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IRUCAA@TDC : 角膜移植,最近の進歩

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Academic year: 2021

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(1)Title Author(s) Journal URL. 角膜移植,最近の進歩 島崎, 潤 歯科学報, 110(2): 88-89 http://hdl.handle.net/10130/1470. Right. Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/.

(2) 88. 角膜移植,最近の進歩 島. 潤. 市川総合病院眼科. 角膜移植は, 100年以上の歴史を持ち,世界的にも 現在最も多く行われている移植手術である。市川総 合病院眼科は1991年より角膜移植を始め,このとこ ろずっと年間約250件(全国の約10%) 施行し,日本 一の症例数を誇っている。本稿では,角膜移植にお いて近年起こっている手術方法の変化をご紹介した い。. 3.合併症が少ない 4.再手術が容易である などの理論的な利点を持つ。しかしながら,ただ でさえ薄い角膜を層状に移植するので,技術的な困 難が問題となってきた。近年の術式や器械の進歩 は,この課題を克服しつつある。ここでは代表的な 2つの術式を紹介したい。. パーツ移植の概念. 深層層状角膜移植 (deep anterior lamellar keratoplasty:DALK). 角膜は, 0. 5から0. 7ミリという非常に薄い透明な 膜であるが,ここが混濁したり変形したりすると視 力が大きく低下してしまう。世界的に見て,角膜疾 患に起因する失明患者は,全体の約1割を占めると いわれている。この治療として行われる角膜移植で は,従来は角膜の全ての層,すなわち上皮,実質, 内皮のすべてを切除して,新たなドナー角膜を縫着 する『全層角膜移植』がほとんどの例で行われてき た。しかし近年,上皮,実質,内皮の悪いところだ けを移植する「パーツ移植」の考えが広まりつつあ る(図1) 。 パーツ移植は,レシピエント角膜の健常な部分を 残すので, 1.侵襲が少ない 2.回復が早い. 角膜の最も深層には,デスメ膜という厚さ20ミク ロン程度の薄い膜があり,その裏側を内皮細胞とい う一層の細胞が覆っている。内皮細胞は角膜内の水 分を移すポンプの役割を果たしており,その機能が 損なわれると角膜浮腫を生じる。全層角膜移植後に 20−30%の例で生じる拒絶反応は,内皮細胞に対し て生じるもので,この細胞は再生能力がないために 多くの例で移植片が混濁してしまう。内皮細胞が正 常で,その他の上皮,実質の混濁・変形がある例に 対して近年行われるのが DALK である。DALK で は,角膜をデスメ膜に至るまで深く削って切除し, そこにドナー角膜を乗せる。内皮細胞がレシピエン ト由来であるので,当然拒絶反応は起こさない。 わずか数10ミクロンしかないデスメ膜を残して,. 図1 ― 6 ―.

(3) 歯科学報. 図2. Vol.110,No.2(2010). 深層層状角膜移植。上;デスメ膜と実質の間にヒアル ロン酸を入れて分離しているところ。下;中央部に露 出したデスメ膜. 残りの角膜組織を切除するのは至難の業である。メ スで切除していても,角膜のどの深さにあるのか分 からずにデスメ膜を損傷する合併症が高率に生じて いた。そこで近年,前房内にエアーを注入して,そ こに映し出されるメスの反射像を観察することで, 安全に切除を進める方法が開発された(図2) 。メス の代わりに針を刺入して,そこから一気にエアーを 角膜内に入れて,その圧力でデスメ膜と実質の分離 を図る,という変法も開発された。デスメ膜は,手 術顕微鏡の下で見ても全く透明で平滑な美しい膜で ある。これが温存されて安全に手術を終了できた時 の喜びは大きい。しかも患者さんにとっても,緑内 障や感染などの術後合併症の原因の一つとなるステ ロイド点眼を早期に止めることができるなど,多く のメリットがある手術法である。. 角膜内皮移植 (endothelial keratoplasty:EK) 上記とは逆に,角膜内皮のみが障害される異常も 多い。多くは白内障や緑内障などの手術後に発症 し,「水疱性角膜症」と言われ,近年増加傾向にあ る。この異常に対して,ドナーの内皮細胞と深層実 質のみを移植するのが EK である。 EK では,まずレシピエントのデスメ膜と内皮細 胞を前房側から擦過除去する(除去しない術式もあ. 図3. 89. 角膜内皮移植前後と光干渉像による術後角膜断面図. る) 。その後,マイクロケラトームという電動のカ ンナに似た器具で,ドナー角膜を薄くそぐように切 開する。薄くなったドナー角膜を丸く打ちぬいて, ディスク上のグラフトを前房内に入れる。通常の全 層角膜移植との最大の違いは,EK では縫合糸を使 わずにグラフトを固定することである。すなわち, グラフトに下にエアーを入れて,創間の液を排除し て,エアーの浮力で固定する。患者には一晩仰向け 安静をしてもらうことで,高率に良好な接着が得ら れる(図3) 。 縫合しなくていいということは,単に異物感の軽 減がもたらされるだけでなく,角膜の形状の変化が ほとんどないので,乱視が少なく早期の視力回復が 得られる。縫合糸の緩みや断裂に伴う合併症もな く,これも術後の管理が楽な手術法である。 こうしてみると,DALK も EK も,術後合併症 が少なく,その分 patient­friendly な手術であると いえる。従来の「濁った角膜が移植して透明になれ ば成功」といった考えから,「いかに合併症が少な く,早い視力回復を実現するか」という方向に角膜 移植も変わりつつある。実際当科でも,最近は約半 数の角膜移植が,こうした「パーツ移植」の方法に 基づいて行われるようになっている。. ― 7 ―.

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