• 検索結果がありません。

地域経済におけるさとうきび産業の役割: 沖縄地域学リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "地域経済におけるさとうきび産業の役割: 沖縄地域学リポジトリ"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Title

地域経済におけるさとうきび産業の役割

Author(s)

白川, 繁利

Citation

沖縄農業, 33(1): 74-78

Issue Date

1998-08

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/1409

Rights

沖縄農業研究会

(2)

地域経済におけるさとうきび産業の役割

白川繁利 (石垣島製糖株式会社) ShigetoshiSIIIRAKAwA:TheroleofthesugarcaneproductionintheeconomyofLshigakiisland. ばよいと安易な考えを根底に持っていることも否めな い. 沖縄県の島喚は,49の有人島からなり,その内16の島 に大小20工場がある.表1に製糖工場のある島喚の状 況を示した.各島の普通畑面積,工場能力,造る製品も 異なり,これを一まとめにして論じることは難しいの で,筆者の関係する石垣島について述べる. はじめに 沖縄県の基幹作物であるさとうきび作は,地域経済 を担う主要な一次産業であったが,近年急速に生産量 が落ち込み,その減少傾向に歯止めがかからない.図1 に沖縄全県のさとうきび生産量と粗生産額の推移を示 した.さとうきび作の急速な減少傾向には農家の高齢 化や後継者不足の理由が上げられるが,さとうきび作 の労働生産性を考えると家業といえども継ぐ気持ちが 薄らぎ,葉たばこや多少のリスクを冒しても花き,果樹 に挑戦し,肉用和牛の繁殖に転換しているしかし,そ の作目転換が成功しなければ又,さとうきび作をすれ 1.さとうきび作農家の経済 高校卒業の一般サラリーマンで,年間]800時間働き 得られる収入は200万円であり,これに見合うさとうき 粗生産額:百万円 生産量:万t 40000 2側0 印㈹ 0 0 側 0 0 1 叩 8 8 ■弓 2 ? 35000 30000 25.000

二墨』

20.000 15.000 10000 5.000 0 昭47484950515253545556575859606162図平元234567年 図1沖縄県のさとうきび生産量と粗生産額の推移 資料:沖縄総合事務局「沖縄農林水産統計年報」各年

(3)

白川:地域経済における「さとうきび作」の役割 75 表1製糖工場のある島喚の状況(平成8年) 総世帯数 (戸) 農家戸数(戸) 農家率a(%) 工場能力(t/日)

普通畑b普通畑/農家備考

(ha)(ha) No.島喚名 工場数 沖縄本島 久米島 宮古島 石垣島 伊是名島 伊江島 北大東島 南大東島 伊良部島 伊平屋島 粟国島 多良間島 小浜島 西表島 波照間島 与那国島 合計 離島のみ計 123456789,,,田Ⅲ砠肥 422,761 3,258 16,270 15,047 758 1,954 195 536 2,432 433 367 480 220 818 230 702 19,434 1,218 4,419 1,709 317 675 104 217 1,149 127 144 263 74 178 152 159 6424853523286816 ●●●●●●●●●●●●●●●● 4W〃、似剖開仙〃別劉別羽n冊胆 4121111111111111

川棚川Ⅲ棚川棚側Ⅲ別別別帥別ⅡⅡ

2 12 913 19183

剛川棚剛棚畑捌側Ⅲ〃閃柵珊捌卿狐

9999 11 09 0401436162658289 ●●●●●●●●●□●●●●●● 1122115812021221

鞭〃〃”〃〃〃

41,820 21,860 466,461 43,700 30,33910,905 6.5 25.0 20 16 17,9608,660 1.4 2.0 資料:沖縄総合事務局第26次『沖縄農林水産統計年鋤 注a比率の小さいほど就農率が少なく,行政を誤るとさとうきび作は無くなる b比率が大きいほど-戸当りの耕作面積が広く機械化農業に移行可能 び作について試算した. ・さとうきび作10a当りの労働時間 116.23時間 年間1800時間で出来る面積は 1800÷116.23×10=155a ・10a当り7.0t, 単価t当り20,420円 155÷10×7.0×20,420=2,220千円 これが夏植一作型の平均的粗収入である. ・耕起,植付,収穫,苗作りを自家作業とすれば, 物財費は10a当り20,001円!) 155÷lOx20,001=310千円 ・基盤整備賦課金,水使用料金10a当り15,000円,夏植 は2カ年使用するので, 155÷l0x15,Ⅲ×2=470千円 ・収益は,2,220-310-470=1,440千円 サラリーマン収入の72%である. 夏植は収穫まで15カ月を要するので毎年収穫するに は2倍のa1haの農地が必要になる. さとうきび作は天候に左右されるが基本作業を確実 に実行すれば,10a当り10tは収穫でき,粗収入は 155÷10×10×20,420=3,170千円とする. 収益は3,170-310-470=2,390千円,(120%) 春値株出しで10a当り7.0t収穫できれば粗収入は l55X2÷10X7X20,420=4,440千円 収穫にハーベスターを使用し,10a当り25,000円の 収穫量はl55x2÷10×20,000=775千円 物財費l55x2÷10×20,001=620千円 基盤整備賦課金,水使用料は夏植同様470千円 収益は4,440-775-620-470=2,580千円 収穫にハーベスターを使用してもサラリーマン収入の 130%となる. 図2に八重山の年期別さとうきび作の反収を示した. 現実には,気象条件等の影響で平均10a当り7.0tの反収 を毎年出すのは難しい. 春植を収穫し一回株出しをするのが収益としてはよ

(4)

沖縄農業第33巻第1号(1998年) 76 10 0 876 4 2 反収(トン) 。■。■。■ 。■ロ■。■ 。■。■ 。■』■■■。■』■ロ■二■。■。■。■。■。■|■』■。■二■二■。■』■。■■ ロ■■■。■■■。■。■。■ロ■。■』■。■ロ■。■』■。■ロ■。■。■。■ロ■。■ |』。 ■■■】・・・・・口・・・・・・】・】。。 ■・■■ 。■■■■・■■■。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■。●■■■■■■Ⅱ■■■■■■■■■ |・・ ロロ u団団団田皿団印印印団団印印印印印印印■ 0ⅡⅡIⅡⅡ1011Ⅱ0ⅡI--1-1--111ⅡIIⅡIⅡⅡIⅡⅡIⅡⅡI■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ IIIIIIIIIIIIIⅡ 〃〃〃の刀刀》〃刀勿巫酩死玖以妖奴〃〃〃 IIIIIIIIIⅡ 111 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■|■■■|■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■|■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ’’00110 日■■■■■■■■■■■■ 平2468 2468 2468 2468 2468年 石垣 小浜 西表 波照間 与那国 図2八重山の年期別さとうきび作の単収 資料:各製糖工場の資料より作成 いが,八重山は春植の最盛期は雨が多く,広大な面積の 植付けが難しい.又台風の発生状況によっては,春植の 被害が大きくなる欠点もあり,敬遠されがちである. さとうきびの買上げ価格は品質によって決められ, その年の出来高には左右されず,豊作になれば総て農 家の収益の増になる利点がある.しかし生育に15カ月 を要する夏植は,天候の影響を多く受け,収量が大幅に 変化する不確定要素もある. 農家経済の安定を維持するためには,夏植一作型に し,さとうきび作をベースに余裕の時間で他の作目と 複合経営することが望ましい. 量が下廻ると工場は大きな経済的打撃を受けることに なるが,さとうきびの生産量が製糖工場の採算ベース 以上であればさとうきび作農家個々の経済効果が小さ くてもその産業のもたらす経済的波及効果は大きい. 経済効果の検討は,石垣島を例として製糖工場の採 算分岐点であるさとうきび10万tをベースに試算した 1試算基礎 さとうきび収穫面積1,430ha,反収7.0t さとうきび生産量100,000t,糖度140. さとうきび価格20,420円/t,砂糖歩留120% 砂糖生産量12,000t,砂糖価格275,000円/t 廃糖蜜歩留2.8%,廃糖蜜量2,800t, 廃糖蜜価格1,300円/t,ケーキ5,600t,(甘薦56%) 余剰バガス3,800t,(甘薦38%) バガス価格1,000円/t, 以上の試算基礎により計算された金額を,図3にさ とうきび産業の経済効果として示した 2.さとうきび産業の経済効果 さとうきび作は,製糖工場を必要とする-次,二次産 業結合型で,農家と製糖工場が自主的に分業制度を行っ ている不離一体の産業と言える. この為,製糖工場の規模より大幅にさとうきび生産

(5)

白川:地域経済における「さとうきび作」の役割 77 2経済の波及効果 さとうきび作で得た原料代2,042.0百万円が製糖工場 で砂糖になりこれを事業団が買上げ商社に売る.その 価格が3,3300百万円,関連産業へ波及した総合計は 7,695.7百万円にもなり,さとうきび代の3.8倍である 石垣市の平成7年度の自主財源5,250百万円,依存財 源19,590百万円,計24,840百万円の31%に当たる.さと うきび産業の経済効果が無くなった場合の冷え込みは 想像にあまりある. 3製糖工場の収支決算 収入3,3074-支出3,2979=95百万円 原料10万tで製糖工場は漸く黒字となる 4生産農家の経済 10万tのさとうきび代2,042.0百万円入るが,肥料代 (7袋/10a)農薬代(標準値)の支払いがある 耕起,植付,収穫,苗づくりを自家作業でやればよい が,最近は耕起70%,苗づくり,植付50%,ハーベスター 収穫60%,手刈り人夫使用10%は受委託に出している この金額919.1百万円はさとうきび代の45%になり農家 収益の減となる. 5関連産業への波及効果 a)JA(農協)肥料,農薬,運搬車輌の燃料, 手数料及び耕起,植付,ハーベスター収穫の25% を担当計5648百万円 さとうきび代の27.7% b)農業開発組合耕起,植付,ハーベスター収穫 の75%を担当,苗代10%,計428.0百万円 さとうきび代の210% c)トラック組合さとうきび,砂糖,廃糖蜜余剰 バガス,ケーキの運搬,計199.0百万円 さとうきび代の9.7% 。)海運関係砂糖,廃糖蜜の船積,海上輸送計 117.7百万円 さとうきび代の5.8%

菰=1「言~可同向、1-可隔量」

JA 労務費 季節役職目 URV1日 千敗Ⅵ 辺行白金 餌付 トラック 組合 廃■ 随上埋没 畑 IF丙使用 恨込 港内使用 海運 Ⅱ■ 図3さとうきび産業の経済効果

(6)

沖縄農業第33巻第1号(1998年) 78 億円 '00

】il篭

90 80

70 一一一合計 ……畜産 一さとうきび 野菜 一葉たばこ ---パイン777.ル ー ̄水稲 その他 60 50 40 30 20 '0 0 345678年 図4石垣島の農業粗生産額の推移 資料:沖縄総合事務局石垣統計情報出張所資料 平成元2 e)関連産業の合計1309.5百万円 さとうきび代の64.2%になる. 6雇用効果 a)農業開発組合職員(5人)長期臨時(7人) ハーベスター運転手(19人)(季節工) b)トラック組合さとうきび運搬者(45人)積 込補助(35人)砂糖,廃糖蜜運搬(10人)砂糖 積込係(5人) c)製糖工場役職員,嘱託,長期臨時(77人)農 務,工務の季節工(36人)合計常駐雇用者 (89人)季節労務者(150人)となる. 参考文献 l沖縄農林水産統計年報 2沖縄総合事務局石垣統計情報出張所資料より作 成 3.考察 さとうきび作がもたらす経済の波及効果,雇用効果 は大きく,島の経済にとっては無くてはならない産業

参照

関連したドキュメント

[r]

[r]

2006 年 6 月号から台湾以外のデータ源をIMF のInternational Financial Statistics に統一しました。ADB のKey Indicators of Developing Asian and Pacific

第?部 国際化する中国経済 第3章 地域発展戦略と 外資・外国援助の役割.

太平洋島嶼地域における産業開発 ‑‑ 経済自立への 挑戦 (特集 太平洋島嶼国の持続的開発と国際関係).

国(言外には,とりわけ日本を指していることはいうまでもないが)が,米国

恒川著『ラテンアメリカ危機の構造』(1986 年,有斐閣)を読むとよくわかります。政

バク・ヒョンス (2005,第4 章) では,農林漁 業の持つ特性や政治的な理由等により,農林漁