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自身の最後と向き合いながら闘病を続けた夫婦との関わり ―患者が残した妻への思いやり―

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Academic year: 2021

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スタッフへの円滑な連携につながると えている. また, 環境設定については予後や病状の進行を 慮した対応が 必要と えている.

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10. わたしの話は聞かなくていいです.」と話す患者と の関わりを振り返って 富田 俊, 伊東 京子, 藤生 あや 関 真由美, 大和 彩, 五十嵐麻衣 鈴木 大介, 小見 雄介, 久保ひかり 春山 幸子, 大館由美子, 小保方 馨 佐藤 浩二 (1 前橋赤十字病院 8号病棟) (2 同 かんわ支援チーム) 【はじめに】 終末期がん患者の対応で悩むことは多くあ る.今回, わたしの話は聞かなくていいです.」と話す患 者との関わりを振り返り, なぜ患者がそのような発言を したかを 察したので報告する. 【事例紹介】 A 氏は 70歳代の女性. 胸水貯留を認め入院となった. PS2, 独居 でキーパーソンは長男であった. 進行期肺癌と診断され 主治医より家族へ対症療法の方針が提案された. A 氏と 家族の希望により患者に未告知な状態で胸水コントロー ルを行っていた. その後の精査で, 化学療法の適応があ り主治医より A 氏への病状告知を薦められた. 家族から A 氏に告知が行われ化学療法が開始された. 入院当初は, A 氏から医療者に仕事と家族の話をする姿がみられた. しかし, 病状告知後より, 医療者が調子を伺っても目を 瞑ったまま話さないことや, わたしの話は聞かなくて いいです」などの言葉が聞かれるようになった.一方,面 会に来る家族との会話は声が廊下に聞こえるほどであっ た. かんわ支援チームが介入し精神的な評価を行った上 で, 抗うつ薬が開始になった. 化学療法の効果が不十 であること, 化学療法剤の内服に対しての拒否がみられ るようになり治療は中止となった. 抗うつ薬投与後に 「少しなら車椅子にのってみる」などの言葉が聞かれた. 医療者の中で「どのように関わればよかったのか」との 思いが残り, B病院緩和ケアチームとの合同カンファレ ンスにて事例検討を行った. 【 察】 長男は患者に 告知をしないことで A 氏―長男との関係性の維持を保 守しようとしたと える. しかし, 長男は診断結果で化 学療法の適応あり治療効果に希望をかけたかったと え る. A 氏にとって望まない告知は驚異であったと える. また, 未告知の期間があったため, 医療者と家族は, 当事 者である A 氏を治療方針に関与できない位置に置いて しまった.そのため,信頼関係が破綻してしまい「わたし の話は聞かなくていいです. 」と発言があったと えら れた. 11.独居高齢者の服薬アドヒアランスについて える 小見 雄介, 春山 幸子, 久保ひかり 土屋 道代, 須藤 弥生, 前島 和俊 小保方 馨, 佐藤 浩二, 阿部 毅彦 (1 前橋赤十字病院 かんわ支援チーム) (2 同 薬剤部) 【はじめに】 服薬アドヒアランスとは患者が積極的に治 療方針の決定に参加し, その決定に従って治療を受ける ことを意味する. 当院かんわ支援チーム (以下, チーム) が介入した, 服薬アドヒアランスが保てずに再入院が必 要となった独居高齢者の 1症例を経験したので報告す る. 【症 例】 70歳代女性. 肺腺癌, 頸椎・胸椎に骨転 移あり. 独居. 生活保護受給中. 頸部の疼痛コントロール 目的でチームに紹介となった. 患者は白内障の既往あり, 薬剤や説明書などの小さな文字は識別不能であった. チーム介入後, 注射薬にて医療用麻薬の投与量を調節し, 内服製剤に変 した. 退院にあたって服薬指導を行うと 共に, 服薬の自己管理の練習を行った. 退院前に医療用 麻薬以外の薬は自己管理可能であった. 医療用麻薬は金 庫管理が必要なので引き続き病棟管理を続けた. 医療用 麻薬の薬剤名や薬効を時々忘れることがあり, 長谷川式 スケールを行ったところ 22/30点で認知機能の低下を認 めた. 退院後の服薬指導も含め訪問看護を導入し, 自宅 退院した.しかしながら,退院後数日で嘔気・めまいを主 訴に再入院した. 病棟担当薬剤師が確認した際, 医療用 麻薬を処方量の倍量で服用していたことが判明した. チームの再介入後に服薬指導を再 した. 医療用麻薬を 貼付剤に剤形変 し, 他の鎮痛薬との区別を明確化した. 写真付で大きな文字の薬剤説明書を作成し指導した. 患 者自身に薬剤の説明をしてもらい理解を確認した. 医療 用 麻 薬 の 管 理 可 能 と 判 断 し 再 度 自 宅 退 院 し た. 【 察】 医療用麻薬は有害事象の点から服薬コンプライア ンスが必須であるが, 服薬アドヒアランスには患者の理 解が不可欠である. 高齢者では併存する疾患により様々 な機能に障害を来たしやすい. このため, 服薬指導には 症例に応じた個別化が求められる. また, 独居の高齢者 における在宅医療には, 継続した服薬支援体制を整える 必要がある. 12.自身の最期と向き合いながら闘病を続けた夫婦との 関わり ―患者が残した妻への思いやり― 金子 愛,井達 理恵,大川 文代 宮野 桂子,山根美智子,中村 敏之 (館林厚生病院 4階西病棟) 【はじめに】 終末期患者が残された時間をどのように過 299

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ごしたいのか, 希望を持っていても叶えられない事が多 い. 今回その希望を叶えるためにお互いを想い合いなが ら最期の時をむかえた夫婦との関わりから学んだ事をこ こに報告する. 【患者紹介】 I 氏 男性 71歳 右腎 癌・多発性肺転移 性格 : 我慢強い 妻と二人暮らし 【経 過】 X 年 8月右腎腫瘍と診断され, 右根治的腎摘 出術施行し化学療法を重ねたが病状は進行していった. I 氏は自 の病気の事について全てを知りたいと希望し, 自ら医師に確認し予後が永くはない事を知る. I 氏は気 にふるまっていたが, 自宅に戻り夫婦で涙した事を後 日妻より聞いた. その後呼吸苦出現し入院した際に, も う自宅への退院は困難と思われた. 医師から余命 3ヵ月 は難しいとの説明が妻のみにいき, 妻から「辛い人生 だったから穏やかに楽にさせてあげたい.」との訴えが あった. I 氏は自宅退院を強く希望しており妻自身も夫 とゆっくり会話する時間が必要と話す. 地域連携看護師 と在宅に向けての調整を始め, 妻が様々な思いを表出で きるよう緩和チームに依頼する. 退院後, 毎日訪問看護 師が訪問し在宅にて過ごす. 2ヵ月後再び呼吸苦強くな り I 氏・妻の希望で入院となる. 自 たちで予想してい た時間より長く在宅生活が出来た. 今後は苦痛のないよ うに対応してもらうことを望みます.」I 氏の希望にて塩 モヒの持続皮下注開始し 24時間妻が付き添う. 3日後呼 吸状態が悪化し妻に見守られながら 71歳 8カ月にて永 眠された. 【 察】 予後を知り間近に迫る死を感じ た I 氏は会社の整理や葬儀の事などを自 で整えたいと 願った. それは残された妻が困らないようにとの思いも あったのではないか. そして, I 氏の姿をそばで見てきた 妻も I 氏の希望を最優先に えていた. I 氏の希望は妻 の希望でもあったと思われる. I 氏と妻が望む環境を提 供出来たことで, 息を引き取る瞬間まで二人で穏やかな 時間を過ごすことが出来たと える. 【終わりに】 患 者の死は家族にとっても別れの時である. 残される家族 の悲しみはこれからも続いていくものであり家族に対し てのケアも重要となる. 今後グリーフケアをより充実さ せていくことが課題となる. 13.終末期にある患者との関わりから ヒルデガーE. ペプロウの看護理論を用いて振り返る 相原 鮎美,青木亜希子,小川 昌代 (日高病院 3階北病棟) 【はじめに】 近年, 当病棟での終末期の患者は社会的背 景から最後を在宅よりも病院で迎える方が多い. 最後の 時までその人らしく, その人が望む最期を迎えられるよ う看護師も関わりをもっていくが, 患者の希望を叶えら れるためには家族の協力が必要となることは多い. 今回 経験した患者と家族への関わりから多くのことを感じ, 自己の看護への学びがあったため看護理論を用いて振り 返りたい. 【患者紹介】 H さん 女性 夫は死去 長 男夫婦と同居 自営で理容店を経営しており長男が跡取 り精査にて切除不能胆管癌と診断され化学療法を導入, 第一クール後に検査データ悪化や体調不良のため施行で きず, 癌進行に伴う症状のため入院となった. 家族の強 い希望があり本人への告知はされていなかった. 家族は できるだけ治療を受けてほしいと希望しており, 本人は 苦しむことはしたくないが家族の思いと治療をしなけれ ば病院にいられないとの えから治療を受けることを希 望された. それから化学療法を 3回施行されたが, 著明 な副作用はみられないものの徐々に肺転移の悪化に伴う 呼吸困難感や腹部症状が出現し対症的にコントロールを 行った. 本人は家に帰りたいという思いがあるが長男夫 婦に遠慮があると話されていたため, 家族と面談を組み 治療が終了し症状が落ち着いている日に外出へでかける こととなる. しかしそれは叶わず永眠された. 【看護の 実際】 1 方向づけの段階,2同一化の段階→ H さんへプ ライマリーナースであると挨拶してからは, 受け持ちで なくても訪室するようにし, 少しでも時間を作るように した. 次第に自身の生い立ちや理容師である長男への思 いを話してくれるようになった. 長男夫婦へもプライマ リーナースであると挨拶し, 現状についてどう えてい るかを, 本人に関わる情報を提供しながら確認した. 3 開拓利用の問題→ H さんとの関わりを続けていくこと で治療や予後への不安, 家族への要求など本心を話して くれるようになった. また家族の思いを聞き, その両者 の仲介ができるよう努めたが H さんは家族の思いを尊 重し抗ガン剤治療を受けることとなった. 日々増強して いく疼痛と呼吸困難感へは麻薬で対応し落ち着いたとこ ろで外出を提案する. 家族もそれを受け入れてくれ, 本 人も喜んでいた. 【 察】 プロセスの中で時間を作 り関わりが増やせたことで H さんのニードを明確にす ることはできたが, 協力に必要不可欠である家族の意思 を本人よりも重視してしまっていた. H さんの代理人と して家族へ本心を伝えていき, 必要な情報提供, タイム リーな調整を行い本人と家族双方の関係性を保ちながら 解決へ向かうことが必要だった. その人らしい最期を迎 えるためには関係の構築を基盤とし, その中でニードの 明確化, 充足を行って行くことが必要なのである. 今回 の振り返りによってそれをより理解でき, また関わる看 護師の知識, 技術によってその生活自体をさゆうしてし まうことを改めて感じた. ペプロウが「看護とは治療的 人間関係のプロセスである」と述べているように, 看護 とはただ私達が提供するだけのものではなく, それに よって成長することが出来, また, その成長を次へ活か していくことが出来るものである. H さんとの関わりで 300 第 27回群馬緩和医療研究会

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