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笑いの探究 : Prid and Prejudiceにみる

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Academic year: 2021

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(1)笑 い の 探 究 ― 一 Prづ αθttα Prθ ル α. に み る一 一. "θ. 中. 喜 美 子. 野. 序 「 智 に働 け ば角が立 つ 。情 に悼 させ ば流 され る。意地 を通せ ば窮屈 だ。兎 1)と. 角 に人 の世 は住 み に くい。」. 夏 目漱石 も言 って い るよ うに,科 学 が進歩 し. ,. 宇 宙 時代 とな って も人間関係 は煩わ しい もので あ る。緊張 した対人 関係 によ り神経 の疲 れ た現代 人 に とって もっ とユ ー モ ア とか,笑 いが必要 な ので はな いだ ろ うか。 笑 い を与 え るものには小説 があ る。 小説 とは特定 の読者 を相手 に教 え る目 的 です るものか ,あ るいは 多数 の読者層 を 相手 に楽 しませ るために あ るも のか,い ろ い ろ 議論 され ると こ ろであ る。 しか し小説 の勃興 が 王侯将相 を. heroと す る romanceか ら Daniel Defoeに よる. Rθ 房容θ πC″ π. "θ. のよう. に社会的 地位 の低 い平凡 人 が小説 の主 人公 とな った novelへ と発生 した こ とな どを考 え るな らば,小 説 はで きるだ け多 くの読者 を対象 とす るもので あ る方 が望 ま しいのであ る。. Jane Austenの 小説 は ど こにで もあ りふ れ た平凡 な 日常生活 の事柄 , 感 情 ,事 件 を と り扱 って い るに もか かわ らず ,多 数 の読者 を楽 しませ て くれ る ル απご P″ ″%肋 θの笑 い を探 っ ので あ る。 その秘 密 は ど こに あ るのか,Pγ グ てみ る こ とによって その面 白 さをみ て み よ う。. (1) しか しなが ら作 品 の 中 に数多 くの 笑 い が満 ちて い る と して も作 品全 体 と し. 1)夏 目漱石 ,「 草 枕」. (「. 漱石全 集」 第 2巻 ,岩 波書店 ,昭 和41年 ),p。 ,. 387。.

(2) 中 野 喜. 67. 美 子. て読者 を最後 まで惹 きつ け る魅 力がな けれ ばその作 品 の 中 に笑 い を見 つ け る こ とはで きな い と思 われ る。. Jane Austenの 小説 を読 んでみ ると 新 聞 の連載小説 や連続 テ レビ ドラマ と通 じる一面 があ る。連載小説 や テ レビ ドラマ は一 日毎 に終 り大衆 が好 まな けれ ば途 中 で止 めて別 の方面 を見 て もよ い し,次 回は見 な くて もよ いので あ る。 しか し面 白 い番組 で あ ると,つ ま らな い事柄 を題材 として いて も次 回 も 見 た くな り,最 後 まで見 て しま うので あ る。 Jane Austenの 小説 の場合 に も共通 な面 があ る。 それ は題材 が平凡 な事柄 で 大衆 に親 しみやす く,小 説 が 各章 ごとに分 れて い ることであ る。読 者 がその章 で読 みた くな ければそ の ま ま放 って お いて も良 いので あ る。 しか し平凡 な 日常茶飯事 の,一 見 つ ま らな い よ うに思 え る事柄 で あ るのに早 く次 の章 を読 みた くな るのであ る。 つ ま ら な い と思 いなが ら,最 後 まで続 けて読 んで しま う,こ れ は Jane Austenが 読者 を最後 まで惹 きつ け,楽 しませ る方法 を身 につ けていたか らであ る。 そ の方法 につ いて考察 してみ よ う。. (a)題 材 が私達 の身近 の平凡 な 日常 あ りふ れ た人 物 ,事 件 ,事 柄 で あ ること。. b)起 承転結 が各章 ご とにあ ること。 読者 はその章 だ けでひ とつ の短編 小説 を読 んだ よ うな気持 にな る。. (C)各 章 を通 して最後 まで一 貫 したテー マ があ ること。各章毎 に起承転結 で 終 って しま うので は 読者 の興 味 は消えて しま う。 読者 の興 味を 最後 まで ル απグ P″ ィ%″ θ θ では 引 うぱ って ゆ く一 貫 したテー マ が必要 であ る。 P″ グ. Darcyの pride,Elizabethの prejudiceが 読者 の興 味 を最後 までひ きつ け てい くのであ る。 は)好 奇心 をそそ る こ と。. detective storyと も通 じるが,作 品 の至 るところに謎 を散 りば め, 読者 に 謎解 きの興味を与 え てい る。. (e)女 性 を主人公 に し,活 躍 させ る こと。 1)し. Jane Austenは 女性 で あ る こ とを よ くわ きまえて いた。 1)Cf。 ,拙 稿,真 実 の探究「甲南女子大学英文学研究」,第 4号. か し喜劇 を作 る. 昭和42年 12月 。.

(3) 笑. い. の. 探. 究 )そ. ためには女性 が ベ ー ル を被 って 隠れ ていたので は喜劇 が生 れな いよ. のため. には女性 が男性 と同等 に活躍 しな けれ ば喜劇 は で きな い。 その女性 とは教養 のあ る頭 の良 い,男 性 に匹敵 しうる婦人 でな けれ ばな らな い。 Shakespeare たθの POrtia, r yυ π の作 品 では A yθ %Lグ ルθル の Rosalind,動 θν″物 ″ ρ ■膨J/Jλ. Mg乃 ′の Maria等 ,. 女性 が活躍す ると ころに喜顔lの 面 白 さがあ. ル απグ P″ イπttθ θ で は Elizabethを 活躍 させ る る。 Jane Austenの Pγ グ こ とによって喜隊Jを 作 ってい るの で あ る。. (f)Dramatic MOdeを 用 い る こ と。 人物 の Dialcgueを 中心 に小説 が進行 してゆ く。 Reuben A.Browerは. JameS流 に同 じ行動 に さまざまな解釈 の可能性 の意味を 述 べ てい るが,彼 女 の作 品 の登場人物 の会話 は 日常茶飯事 伝 えて い る。」 のあ りふ れ た ものであ るけれ どもそ こに さまざまな多様性 があ り,読 者 の想. 「 Jane Austenは. 2)と. 像 力 によ って どの よ うに も解釈 で きる。 Jane が誇張 に感 じられ るのは. Austenの 小説 の人 物 の会話. Dramaに おいて会話 を誇張す る こ とによって虚構. を真実 らし く見 せ よ うとす る方法 と通 じるものがあ る。. (2) ル απαP″ イ笏姥θ の笑 い とは どのよ うな ものであ るか考察 それでは P″ グ して い こ う。 笑 い と言 って も種 々 さま ざまで あ るがそ の 中 に他人 を傷 つ け る笑 いがあ る。 他 人 を傷 つ け る笑 い とは「 友達 の不幸 ,失 敗 ,欠 点 ,不 遇 をみて,意 識的 ,. のであ 無 意識 に,私 達 の現在 の状態 と比較 して優 越感 を感 じ,嘲 笑 的 に笑 う 4)v。 3)こ 1。 Chapter 8で 風邪 をひ いて 寝 こんでい る Jane の作 品 では る。」 1。. ηCθ θ グノ (MiCkleham Ed。 ),p・ 59. l)Cf。 ,George Meredith,ス ηEsscノ θ “ グιαπα P筵 7グ. 2) Reuben A.Brower,“ The Controlling Hand;Jane Austen and Pγ ι",SCmtiny θ ノπググ. Vol.XIH,No.2.(September 1945),p.990. 「%π θ%γ απグ 0ノ カιγEsscノ s,pp. θノ カ s力 Sθπ sθ 3) CfO,HarOld Nicolson,T力 θEπ g′ グ. 10--11(London, 1956。. ). 4) Jane Austen,Pγ ググθ αηグ P″ ノπググθθ,edo Ro W.Chapman。 (OxfOrd unive P。 1965。. )Textは. これ を使 用 し,以 後 頁 数 の み示 す 。. ,.

(4) 中 野 喜 美. 69. 子. の と ころに Elizabethが 泥 だ らけにな って 駆 けつ け た時 ,. petticoatが `six inches deep in mud'(pe 36。. Elizabethの. )で あ った の を. MiSS Bin―. gleyが 見 て笑 って い る。 しか しなが ら Jane Austenの 笑 い とは,こ のよ うに人 の苦境 をみて笑 う嘲笑 的 な笑 いではない。 作者 は Elizabethに 次 の よ うに言 わせ てい る。 “.`.I hope l never ridicule what is wise or goodo Follies and nonsen―. se, whilns and inconsistencies d♭. divert me, I own, and l laugh at. thenl whenever l can。 一― But these,I suppose,are precisely what you are without。 ''(p。 57.). Jane Austenの 笑 い とは他人 を傷 つ け る ridiculousな 笑 いを離 れ て人 間 の行動 の f01lyゃ , 偽 善 と真実 との くい違 い等 による人間 の弱 さを笑 う笑 いで あ る。 それゆえ , 彼女 の笑 い は `SpOntaneous laughter'1)で はな く ,. `renective laughter'2)で ぁ る。`renective laughter'の 中 で Jane Austen. の作 品 には Witと ironyが 多 く含 まれ て い る。彼女 は平凡 な 日常 の会話 や 人物 の行動 の 中 に鋭 い感受性 で もって矛盾 や くい違 いによる滑稽 味 を見 い 出 し,私 達 を笑 わせ て くれ るのであ る。 それでは次 に Elizabethの 性 格 が どうして笑 いを見 つ け出す のにふ さわ しいのであろ うか。 Mre. Bennetは 5人 の娘 の 中 で Elizabethを 一番気 に. 入 って い る。 彼女 につ いて は `quickness of mind',`liveliness of mind'と い う言葉 で表現 され ,頭 の鋭 い彼女 は Witに 富 んでいて, 平凡 な事物 ,事 件 ,会 話等 か ら笑 いを見 つ け出す能 力があ る。 それゆえ,彼 女 の現 れ ると こ ろには生 々 と した,明 るい笑 い がお こるので あ る。 Elizabethは witを そ の まま代表す る人 物 と言 って もよ いで あろ う。 一 方 , Mro Bennet は `rniXture of quick parts,sarcastic humour, re― 1)HarOld Nicolson,op.cite,p.26。 `spontaneous laughter". とは本能 的 , 根源 的 ,自 然力 の楽 しみの感情か ら生 じる. 笑 いで あ る。. 2)“ renect市 e lttghter"と は非常 に精神 的 ,知 的活動 を必要 とす る笑 いで あ る。.

(5) 笑. 7θ. い. の. 探. 究. serve,and caprice' と表現 され て い る。彼 は妻 の美貌 にひかれて結婚 した が,そ の情熱 も消え失せ ,思 慮分別 のない妻 を 自分 の と ころまで高 めよ うと す る努力 もせ ず ,夫 婦 の間 に真 の対話 は途 絶 えて いた。彼 は田舎 で書斎 にひ お き こ もって, もっぱ ら読書 に耽 け り, 世 をす ねた 風刺家 で あ る。 彼 は “ y。 %Llilθ ル の. JaqueSと 似 た と ころがあ る。 しか し財産 が限定相続 され て い るのに, 5人 も娘 があ りなが ら, まるで経済観念 のない と ころは George. Meredithの Genera1 0pleに 似 た と ころがあ る。 しか し彼 の ironyは Elizabethの wit とうま くかみ合 って笑 いを醸 し出 して い る。 彼 の笑 い と ...For what do we live,but to make sport for our neighbours,and は “ laugh at them in our turn?"(p.364。 )と 述 べ られ て い る。彼 は隣人 の愚 行 ,勿 体 ぶ りを種 に笑 いを見 い 出 して いる。 しか し. Lydiaの 駆落 の時 は逆. に 隣人 か ら笑 われ る こ とにな るか ら皮 肉な もので あ る。 この作 品 ではEliza―. beth,Mre Bennetの 他 に も種 々 さまざまの登場人物 の動 きによって笑 いが 生 れて いる。. (3) そ れ で は この 作 品 の 登場 人 物 は ど の よ うな で あ ろ うか 。MarVin 2)と. characterき. typeに 分 か れ ,笑 いが 生 じる の. Mudrickは 二 つ の typeに. complex(intricate)Characters3)と. cters には Mrso Bennet, Lydia, Mr。. 1)そ. 分 け て い る。. れ は Simple. でぁる。simple. chara―. {Collins, Lady Catherine, Jane,. Bingley等 が含 まれ, COmplex Charactersに は, Char10tte,Wickham, Mre Bennet,Darcy,Elizabeth等 が含 まれ て い る。Simple charactersと complex charactersと が恋愛 ,結 婚 を通 じて絡 み合 うと ころに笑 いが お こ θ",」 磁πθ ε グθ απグ P″ πググ ,Marvin Mudrick,“ Irony as Discrimination, Pγ グ υ θ πSθ απ″ Dグ sε θ ι π,ル θηノ ぉ Dグ υ 4ぉ ″ η ,(Princeton Univ。 ,1952) sha110Wness,Mr.Collinsは Character(Bingleyは で で きる った形 表現 ま 容詞 定 Cf。. `selfoimpottance'等. ). 容易 に判 断 され た り分類 され た りで きな い charaCter。 る。. 絶 えず その性質 が変化す.

(6) 7プ. 中 野 喜 美 子. Yes, but intricate characters are the most るので あ る。Elizabethは , “. amusing.They have at least that advantage."(p。. 42。. )と 辺シベてい る。. intricate(COmplex)charactersは その言動 が複雑 であ るため, Elizabeth に とって興 味 があ る。 intricate characterは Aと い う人 が見 る見方 と,B,. Cが 見 る考 え方 とがそれぞれ異 な って いる。 昨 日の彼 と今 日の彼 とで はまた くい違 って いる。 それ ゆえ彼 の動 きは弾力性 に富 み 多様性 があ るため面 白 い ので あ る。 しか しその複雑性 のために人 間 関係 に くい違 い,誤 解 が生 まれ. ,. 互 いに真 の対話 が遮 られ るために笑 いが お こるので あ る。. '. (4). それで は どのよ うな と ころに笑 い があ らわれ て い るので あろ うか。作 品全体 を通 して 感 じられ る笑 いにつ いて見 て み よ う。 (1)の. い)で この作 品 の各章 が起承転 結 よ りな って い る こ とを述 べ た。 その起. 承転結 の構成 によ り笑 い がお こ るので あ る。Vo1 3,Chapter lで み ると. )Pemberley Woodを Elizabethと Gardiner夫 妻 が訪 問す る。 こ の時 Elizabethは Darcyが 翌 日でなけれ ば帰 って こな い こ とを知 って い る。森 を見 なが ら Elizabethは 自分 が Darcyの 申込 みを拒絶 しなか った (起. ら,今 頃 は ここの mistressに な って いたか も しれな いの に と思 う。 (承 )hOusekeeperで. あ る Mrso Reynoldsが. Darcyの. こ とをほ め る。. Elizabethは Darcyに 対 して好意 を持 ち始 め る。 (転 )Darcyが 翌 日でなければ帰 って こな いはず なのに突然現れ るb Eliza一. bethは 申込みを拒絶 した後 なので ばつ が悪 く,恥 ず か しくて仕方 がない。 (結 )Elizabethは. Darcプ が留守 だと思 って訪問 した ことを説明 し,Dar一. Cyは 丁寧 に Gardiner夫 妻 にゆきとどいた世話 をす る。 以上 のよ うに Jane Austenは 各章 ごとに起承転結 を繰 り返 し,「 転」のと ころで予想外 の事件 を起 こす ことによって,滑 稽味を出して いるのである。 次 に読者が登場人物 の知 らな いことを知 っていることより生ず る笑 いにつ いてみていこう。 この作品の中の登場人物 にとっては herOと herOineは.

(7) 笑. 72. い. の 探. 究. Bingleyと Janeで あ る。皆 の 関心 は Bingleyと. Janeの 恋愛 が どのよ う. にな るか に 向け ら れ て い る。 しか し読 者 に とって の. heroと herOineは. Darcyと Elizabethで あ る。作 品 の登場人物 か らは Darcyと Elizabeth の恋愛 の進 展 は隠 され て い るが,読 者 の方 はす べ て知 って いて,二 人 の婚約 が整 った時 ,登 場 人物 は不意 の 出来事 として驚 くので あ る。 しか し読 者 は登 場 人物 が知 らな い こ とを知 って い るとい う優 越感 によ り笑 うのであ る。 これ は ラジオ の「 20の 扉」 や「 なぞな ぞ」で正解 を陰 の声 として聴取者 に話 しか つ け る方 法 とよ く似 て い る。 Jane Austenは 巧 まず して 多数 の読者 の心 を かむ 術を心得 て いた。彼女 は書簡集 な どか らみ ると, 自分 の書 いた物 を後世 に永 く残 そ うとい う気持 はあ ま り持 って い なか った よ うに思 え る。 しか し彼 女 の平凡 な題材 を取 り扱 いなが らも読者 の心 をつ かみ,小 説 の終 りまで その 気 持 をそ らさず に持 って ゆ く手法 は(1)で も述 べ たよ うにテ レビ,新 聞,ラ ジ オ等現代 の マス コ ミに も通 じる新 しさを持 って い る。彼女 の天成 の笑 いの手 法 は19世 紀初頭 の もので あ ったが,今 日に も通用す る普遍性 を持 って い る。. Bingleyと Jane,Darcyと い る こ とは. Elizabeth, この二 組 の恋愛 で は っき りして. Darcyと Elizabethの 恋 が COmplex loveで あ るのに対 して. ,. Mr.Bingleyと Janeと の恋 は Simple loveで あ る。大 の男 であ る Bing― leyが Darcyの 意 のままに動 か されて いて,Janeに 対 す る恋 も Darcyの 意志 によって Janeを 諦 めた り,ま た 申込 みを した りす ると ころに笑 い を感 じるので あ る。Janeは 世 間 を全 て良 く見 よ うとす る性 質 で,そ のため Miss. Bingleyに Janeの 恋が邪魔 され てい るのに 盲 目で あ る。 Janeに とって Elizabethの 助 けは 必要 で , 彼 女 によ って 恋 が成就 す るので あ る。 一方 Elizabethと Darcyは ,二 人 とも精神 的 に成熟 して いて,分 別 も判 断力 も あ り,COmplex loveを す るので あ る。 この Elizabeth,Darcyと い う精神 的 に大人 の COupleが Jane,Bingleyと い う精神 的 に子供 の COupleを 助 け 導 いて い くと ころに笑 いが起 るのであ る。 次 に Simple characterと. cOmplex characterと の絡 み合 いによ る面 白. さをみ て い こ う。 Mr.Bennetは ironyに 満 ちた COmplex characterで あ.

(8) 中 野 喜. 美. 子. 7ヨ. る。彼 は妻 の愚 か さを十分 に知 って い る。 しか し 退屈 しの ぎに 妻 の poor. nervesを か らか って ユ ーモ アを楽 しんで いる。 Mrs.Bennetは 平凡 な女性 で あ るが,夫 の Mro Bennetと の対話 にな ると優 れ た comedianに 変化す るか ら面 白 いので あ る。 ここで は COmplex characterで ぁ る が巧 み に Simple characterで あ る. Mrs.Bennetか. Mr.Bennet. らユ ーモ アをひ き出 し. ∞ medyを 作 って い る。 次 に Vulgarと. well‐. manneredと を見 て い こ う。Elizabethは 当時 の女. 性 の嗜 の「 音楽 ,歌 ,絵 画 ,ダ ンス,近 代語 の完全 な知識 ,な おそ の他 に歩 き方 とか,声 の 調子 ,話 し方 とか,言 い こな し(p。. 39。 )」. を身 につ け た女性 で. あ った。 しか し田舎 に住 んで い るため,上 流好 み の Miss Bingleyは Eliza―. bethを Vulgarだ と偏見 を持 って いた。 Miss Bingleyか ら見 れば悪天候 の中 を. Janeの 風邪 の看病 のために徒歩 で 駆 けつ けた Elizabethの 態度 は. 当時 の女性 の エ チケ ッ トに反 す る vulgarな 態度で あ った。 また Darcyと. Darcyの 気 に入 られ よ うとして論 って い る Elizabethは Darcyと 同等 に振 舞 い活発 な Witに 満 ちた態 度. 話す場合 に MiSs Bingleyは のに,一 方. を取 って い る。 Mre Bingleyと の会話 の時 には Mrso Bennetが 見 かねて, “Lizzy",.… “remember where you are, and do nOt run on in the wild. manner that you are surered to do at home.''(pe 42。. )と 注意 を与 え. て い る。 Darcyの 妹 の Georgianaも 最初 Darcyと Elizabethの 会話 を 聞 き,父 の よ うに尊 敬 してい る兄 が Elizabethに か らかわれ て いるのを 聞 いた時 , 驚 くが, 妻 にはそのよ うな 態度を許 して も 良 いのだ と納得 して い る。 Elizabethの よ うに男性 と同等 に意見 を交 わす女性 は新 しい typeの 女. vulgarで ぁ ったか も しれな い。 しか し その vulgarが well‐ manneredな MiSS Bingleyゃ MisS De Bourghを お い. 性 で 当時 の 淑女 か ら 見 れ ば. て,Darcyを 惹 きつ け ることにな り, Elizabethを 玉 の輿 に乗 せ ることに な ったのだか ら皮 肉 な もので あ る。 次 │こ unfeelingと. feelingと につ いて考 えてみ よ う。Lydiaは. WiCk―. hamと 駆落 して家族 の皆 を心配 させ ,世 間 の評判 を落 した こ とに対 して全 然.

(9) 笑. 74. い の 探. 究. high animal spirits,''(p.45.)と 後悔 して いな い。作者 は彼女 の こ とを “ よんで い るがそんな彼女 と分別 を備 えた Elizabethと の会話 は笑 い を誘 う ものが あ る。 “And. then when you go away, you may leave one or tw0 0f my. sisters behind you;and l dare say l shall get husbands for them be一 fore the winter is overe''. ``I thank you for my share of the favour,'' said Elizabeth; ``but I " (p。 317。 ). do not particularly like your way of getting husbands。. Elizabethは Lydiaの 厚 顔 無 恥 な態 度 に決然 と Ч dO nOt particularly と反 駁 して い る。. like your way of getting husbands". Lydia. の 耳卜を耳さ. と も思 わ ぬ 態 度 に まわ りの 常 識 あ るノ、々 が振 まわ され て い る と こ ろ に笑 い が 生 じる。 も う ひ とつ の 例 は. Mrs.Bennetの. 中年 婦 人 に あ りが ちな羞 恥 心 を捨 て さ. っ た 図 々 しさ と Elizabethの 結 婚 前 の deliCateな 娘 の気 持 とが対 照 的 に 示 され て い る と こ ろが あ る。 V011.Chapter. 18で Mrs.Bennetは Lady. Lucasを 相 手 に Janeと Bingleyが 結 婚 しそ うだ と い う予 想 を しき りに喋 の りま くり, この 縁 談 に よ る利 益 を数 え上 げ て い る。 Elizabethは 向 い 席 に. Darcy. が座 っ て いて一 部 始 終 を 聞 いて い るの で 恥 ず か しさに 真 赤 にな り母. を とめ よ う とす るが ,Mrs.Bennetは. “What is Mro Darcy to me,pray,. that l should be afraid of hiln? I am sure we OWe hiln no such parti―. cular civility as to be obliged to say nothing hear.''(p。. 99。. 駆落事件で. Bennetに. 力θ may not like to. )と 答 え て い る。 しか し皮 肉 な こ とに は この 言 葉 は Lydiaの Darcyが 奔 走 した こ とに よ り,全 く反 対 の 意 味 とな って Mrs.. 帰 って くる ので あ る。. mixture of servility 次 に Mro Collinsに つ いて 考 え て み る と, 彼 は “ and self‐. importance"で あ る。 彼 は Lady Catherineの. 分 の 身 分 の 低 さを. Lady Catherineの. て い る。 しか も彼 は. Self‐. 追 従 者 で あ り, 自. 寵 愛 を ふ りか ざす こ とに よ って 隠 し. importance を身 につ け て いて , Elizabethに 求.

(10) 中 野 喜 美 子. 75. 婚 した時 にそれ が現 れて いる。 Elizabethの 拒絶 を `according to the usu― al practice of elegant females'(p.108。. )と 解釈 し,. うぬぼれてい る。. ...]Do not consider me now as an elegant fe― と こり らが Elizabeth が “ male intending to plague you, but as a rational creature speaking the truth from her heart。 ''(pe lo9.)と は っき りと当時 の女′ Lと してはかな り. You are uniformly charming!"(p。 きつ い言葉 で拒絶 して も “. 109。. )と 叫. ぶ あた りは 自尊 心 が強す ぎて滑稽 で あ る。 しか も Elizabethの 両 親 の. au―. thorityに よ って許 され る こ とになれ ば, 必ず受入れ られ ると彼 は信 じて い る。 Mre Collinsは Lady Catherineの 名 をふ りか ざ した り, Elizabeth に結婚 申込 みをす る時 は Elizabethの 両親 の authorityを 用 いた りして. ,. たえず 誰か の権 力をか さにきて いば って い ると ころに笑 いがあ る。. Lady Catherineは 家族 や地位 に対 して誇 を持 ち優 越感 を持 って い る。彼 女 は Mre COllinsと い う追従者 を持 ち, 自尊 心 を満足 させ て い ると ころが 面 白 い。 しか し彼女 の家族 や地 位 の誇 も自尊 心 も Elizabethと. Darcyの. 恋愛 の前 には脆 くも崩れ去 って ゆ くと ころが笑 い をお こす ので あ る。彼 女 は. Because honour,decorum,prudence,nay,in― 二 人 の結婚 に反 対 して, “ terest,forbid ite...',(p.355。. に Elizabethに. )と Elizabethに 言 うが,. しか しそれが逆. Darcyを 愛 して い るとい う自覚 を 目ざまさせ ,Darcyに も. Elizabethが 三 度 も結婚 を拒絶 しな いだ ろ うとい う確信 を与 え,結 婚 の 申込 みを Elizabethに す るので あ る。 Lady Catherineは 名誉 ,家 柄 ,地 位 に 対 して 自尊心 を持 ち優 越感 を持 って いるが,Darcyの 権威 や富 , Elizabeth の知性 と自主独立 の精神 の前 にその 自尊心 が くず れ て ゆ くところ に滑稽 味 が 感 じ られ る。 しか し. Darcyと Elizabethが Lady Catherineの 権 力 に勝. ちえ たのは二 人 が COmplex characterで あ り,二 人 の愛 が Janeや. Bin―. gleyの 愛 と違 って成熟 した大人 の心 を持 った愛 であ るか らで あ る。 人 間関係 において は さまざまな誤解 によ り真実 を見誤 り,そ こに笑 いが生. WiCkhamの 美貌 と巧 みな弁舌 に惑 わ され て,Darcyが WiCkhamを 迫害 した と誤解 し,そ のため Darcyの 最初 の じる こ ともあ る。 Elizabethは.

(11) 76. い. 笑. の. 探. 究. 結婚 申込 みを断 るのであ る。 しか し Darcyの 手紙 によ り事実 は逆 で WiCk―. hamが Darcyの 恩顧 を裏切 った ことがわか りそ こに笑 いが生 じるので あ る。 WiCkhamの 回先 に乗 せ られ て Elizabethが 編 され た こ とによる笑 い で あ る。人 の言葉 と実際 の行動 との くい違 いによ りお こ る笑 いで あ る。. Darcyは 判 断力 と知性 の備 わ った人 物 で あ るが,そ の彼 で も失敗 はす る。 Janeの Bingleyに 対す る顔 つ きや態度 か ら見 て,彼 女 が Bingleyを 愛 し て い な い と判 断 し,Bingleyに. Janeの こ とを諦 め させ るのであ る。 しか. し実 際 は Janeは Bingleyを 深 く愛 して いたので ,. Janeは 失恋 の苦 しみ. Darcyが 自分 の判 断力を過信 し, Janeの re― servedで 自分 の感情 を外 に表 さな い とい う性 質 を Darcyが 知 らな いために に悩 む ので あ った。 これ は. お こ った間違 いで あ る。外面 の態度 は時 々人 を欺 くもので あ る こ とよ りお こ る喜 kllで あ る。 次 に blindness,follyよ りお こる笑 いにつ いて み て み よ う。Jane Austen の小説 において は世 間知 らず の若 い女性 が社会 の人 々 との交 渉 によ り真実 に め ざめて行 く過程 が描 かれて い る。 Emmaは それ を よ く表 して い るが. ,. Elizabethも や は り. Emmaと. 同様 に世 間 を知 らず ,未 熟 な女性 で あ り,そ. のため真実 に盲 目で あ る。前 に. WiCkhamの 巧 みな弁舌 によ り Elizabeth. が編 され た こ とを述 べ たがそれ は Elizabethの 方 に も落度 が あ ったはず で あ る。 彼女 は 自分 の識別 力を 自負 し,Janeの `generous candour'1)を 軽蔑 して いた。 しか しその結果. Darcyに も WiCkhamに も盲 目で あ ったので. あ る。 “But vanity,not love,has been lrly folly。 い る。 彼女 は. ''(p。. 208.)と 後悔 して. WiCkhamの 言 う こ との みを聞 いて判 断 し, Darcyの 言 う こ. とを聞かなか った。 Darcyの 言 う こ とを 聞 かなか った こ とは片手 落 で あ っ た。 “...I have courted prepossessiOn and ignorance, and driven reason. 1)frankness(率 直 さ),. Open―. mindness(公 平無私 )を 意 味す るが ,こ の小説 で は. `kindliness'を 含 む事柄 で あ り, 他 人 に対 して好意 的 に 見 よ うとす る こ と,他 人 の言葉 や行動 を最善 に解釈 しよ うとす る性質 であ る。 Elizabeth の言 い方 によ ると, `tO take the gOod of every body's Character and make it still better, and say nOthing of the bad。 '(pp。 14--5。. ).

(12) 中 野 喜 美 子. 77. away… ''(pe 208.)と Elizabethは 深 く反省 して いる。 reasonを 追 い は らった と ころ │こ prepossession と ignorance が生 まれ, さ らに f01lyへ と 人 を追 いや るので あ る。Jane Austenは 女性 の f01lyを 描 いた作家 だ と言 われて い る。 E血 maは narcissismと 何 で も自分 の思 いの ままにで きす ぎる 環境 が彼女 を盲 目に し fOlly に駆 りたて たが, Elizabethで は 自分 の判 断 力 に対す る prideが follyに 追 いや った。 そ こに 自分 の能 力, 才能 を 自負 した結 果 の愚行 がみ られ,笑 い を誘 うので あ る。. Elizabethは Janeと くらべ ると大人で あ るが しか し結 婚 とい う問題 にな ると Char10tteの 方 が大人 で あ る。 Emmaは 親 友 の Charlotteが `neither. sensible,nor agreeable'な. Mro Collinsと 結婚 した時, 非常 に驚 いた。. Elizabethは Mre Collinsの 人柄 だけを考 えて,彼 との結婚 は望 ま し くな い と考 えて い る。 しか し Char10tteは. Mr.COllinsの Elizabethが. す るよ うな欠点 (SnOb,Self_importance)を 知 りな が ら,そ. l旨. 摘. の欠点 に 目をつ. む って, 自分 自身 を Mr.Collinsの よ うな Simple characterに 変 え る こ とによ って彼 と結婚 したので あ る。 それは彼女 が大家族 の一 員 であ る こ と. ,. 教育 はあ るが財産 の少 な い若 い婦人 に とって,結 婚 がた とえ幸福 を与 え ると 確信 で きな くて も,欠 乏 か らの最 も快 い予防法 で あ ったか らで あ る。 Char―. I am not romantic you know. I never was. I ask only a com― lotteの “ fortable homa"(p。. 125。. )と 言 う言葉 に彼女 の結婚 に対す る智恵 が窺われ. るので あ る。 ここで は Elizabethの romanticな 考え方 と Char10tteの 当 時 の社会 におけ る女性 の経済 的安定 を考え た考 え方 とが対 照的 で 笑 い を生 ん で い るので あ る。 次 に ■rst impressionに よ る誤 解 か ら くる 笑 いにつ いて 見 て み よ う。. Bingleyが Elizabethを ダ ンス に誘 うよ うに と Darcyに 頼 んだのに対 し てr, ]Darcy は, ``She is tolerable;but not handsome enough to tempt ″ …"(p。 ;・. 12.)と 言 ったのを Elizabethは 立 聞 き し,皆 にその事 を話 し. た。 Darcyは まさか Elizabeth 自身 が聞 いて いよ うとは夢 に も思 い は しな か った のに彼女 が 聞 いて いた こ とは滑稽 で あ る。 しか し二人 の態度 を考 えて.

(13) 78. 笑. い. の. 探. 究. み ると,■ rst impressionで 二 人 は互 いに無 関心 でおれない何 かを感 じた と. Darcyは prideに 満 ち,ま た男性 的な男性 によ くあ りが ちな こ とだが女性 に対 す る気恥 しさが作用 して Bingleyの よ うに素直 に女. 思 われ る。 しか し. 性 を讃美す る こ とがで きな い。 そのため Elizabethに 惹 かれていなが ら. ,. Elizabethに prejudiceを 与え るよ うな事 を言 ったので はな いだ ろ うか。一 方 Elizabethも. Darcyに 何 か惹 かれ るものがあ ったので Darcyの 言 った. 事 を皆 にふれ まわ ったので はな いだ ろ うか。 二 人 は ■rst impressionで 一 目惚れを して お りなが ら, pride,prejudice. とい う強 い 甲冑で 身 を 固 め. ,. お互 いに真 の対話 がで きず に さまざまな誤解 を抱 いて暗 中模索 した。 しか し その pride,prejudiceと い う甲冑を脱 いだ と ころに真 の対話 が生 まれ,二 人 は互 いに愛 を確認す るよ うにな ったので あ る。 Elizab9thと. Darcyが 互. いに愛 しなが ら,pride,prejudiceに よ り反撥 しあ って い くと ころに笑 いが 生 れ るのであ る。 次 に VO1 3.Chapter 12で Elizabeth と. Darcy. が互 いに話 し合 いた. い とい う意志があ りなが ら, 場 が さえ ぎ られ ると ころに笑 いがあ る。 Darcy が. Lydiaの 駆落事件 で尽 力を して くれ た後 ,Elizabethは Darcyへ の偏. 見 も解 け,愛 情 を感 じて Darcyと 話 し合 いたい と思 い,Darcyの 方 も Eliza‐. bethと 話 し合 いたい と思 って い る。 と ころが Elizabethが cOreeを 注 い で い る tableの 周囲 に婦人達 が ぎっしりと詰 め寄せ , 紳士 を割 り こませ な い よ うに した ので ,Darcyは Elizabethの 傍 に近 寄れ なか った。 次 は Eliza―. bethの 母 が カル タの 相手 をか り集 めて いて, 強 引 に Darcyも その仲 間 に され ,Elizabethの と ころに来 れなか った。 この よ うな方法 は メ ロ ドラマ の 手法 の heroと heroine とのすれ違 いによ く用 い られ てい るが, ここで は 笑 い を誘 うので あ る。. (結. 論). 今 まで「 起承転結 により お こる笑 い」 「 読者が登場人物 の 知 らない こと を知 っている ことより お こる笑 い」 「精神的 に成熟 した恋人達 (Darcyと.

(14) 中 野 喜 美 子. 79. Elizabeth)が 精神的 に未熟 な恋人達 (Bingleyと Jane)を 導 いてい くこと によ りお こる笑 い」 「 Vulgarが 笑 い」「 unfeclingと. Well‐. mannered を凌 ぐこ とによ りお こる. feelingと の対照 による笑 い」「 SerVilityと. self一. importanceに よ り生ず る笑 い」「 名誉 ,地 位 を誇 る こ とよ りお こる笑 い」 「 言葉 と行動 の くい違 いによる笑 い」「 外的態度 と真情 との くい違 いによる 笑 い」「 blindness,follyに よる笑 い」「 ■rSt impressionか ら生ず る笑 い」 「 真 の対話 が妨 げ られ る こ とによる笑 い」 を見 て きた。 この作品 の笑 いにつ いて考 えてみ る前 に作者 の ど うい う雰囲気 ,感 情 の も. wθ% とに この作品 が書 かれ たのか見 て見 よ う。 この作 品 は最初 屁″St I犠夕″θ とい う題 で書 かれ ,1796年 10月 か ら1797年 8月 に執筆 され,そ れ か ら1813年 に 出版 されて い る。 出版 され た作 品を彼女 は `my OWn darling child'1)と 呼 んで い る。40近 くな った. Austenか. ら見 れ ば この作 品 は若 い おてん ば時代. の懐 しい産 物 で あ ったのだ ろ う。 屁″. "ル. π を書 い た時 は21才 の時 SSグ θ つ ″θ. で あ った。夢多 き乙女 に とってはす べ てが 明 る く楽 しか った にちが いない。 その 明 るさ,陽 気 さは作品全体 に流れ てい る。 しか しただ明 るか った この作 品 に人生 の真実 の意義 を与 え,ぴ りっと した風刺を利 かせ たのは出版 まで に 16年 の才月 が流れた こ とで あ った。 20代 の初 めか らほぼ40近 くまでの年月 は で あ る。 その間 には さまざまの恋愛 女性 に とって は一生 の 中で重 大 な 時期」. ,. 結婚 な どの悩 みを経験 し, upper‐ middle classの お嬢 さんで あ った Jane. Austenに もさまざまの人生 の喜怒哀楽 が潮 の満千 のよ うに到来 して は退 い て い った であろ う。 しか しその16年 間 の人生経験 はただ明 るか った 2γ S′ θ とい う傑作 に ル απグ P″ ″%″ θ ルZ″ aSSグ θπ に さまざまの陰影 を与 え, P″ グ まで 高 めた と考 え られ るので あ る。 それゆえ この作 品 におけ る笑 い も 屁γS′ π 執筆 当時 の明 るい笑 い を さ らに深 めた人生 経験 の に じみ 出た笑 SSグ θ ル炒″θ いへ と変化 した と思 われ るので あ る。 彼女 の笑 いにつ いて考 え る前 に,Austenの 作 品は範 囲 が 限定 されて い る 1) J.E. Austen― Leigh,R.Wo Chapman ed. η,(OXfOrd,1963),p.104. ■を解θ グ γο /メ απθ4π Sノ θ.

(15) 笑. い. の. 探. 究. 1)に. こ とにつ いて見 てみ よ う。 Austenの 舞台 は「 田舎 の 3,4家 族」. English Country Gentryが 中心 で あ った。 しか も Austenが. 限 られ. ,. 女′ Lで あ る. とい う限定 もあ った。 この 限定 の もとで 彼女 が描 いたのは人間 の行動 ,心 理 の変化 を描 く方法 で あ った。彼女 は この手法 を Richardsonゃ Fieldingか ら学 んだ。 笑 い を お こす のは Smollettの よ うに次 か ら次 へ と出来事 をたたみ重 ねて 変化 を与 え る こ とによ って読 者 の興 味を ひ く方法 もあ る。 しか し Austenの 作 品 で は事件 といえ ば Lydiaの 駆落 と. Janeの 風邪 ぐらいで事件 らしい事. 件 はお こ らず平凡 なあ りふ れ た事柄 ばか りな ので, Smollettの よ うな手法 は用 い なか った。 それで は変化 を起す ものは何 で あろ うか。 それ は人 間 の心 の動 きを 会話 を中心 と して話 を進 め Narrat市 e Artを 用 いた。 そ して その 会話 とは(1)で 述 べ たよ うに一 見 つ ま らな いよ うに見 え る 日常会話 か ら James 流 に読者 にさま ざまな解釈 の多様性 を与 え,ど こに笑 いが含 まれ てい るか は 読者 の想像 にまかせ た。 さ らに登場人物 は Simple characterと. complex. characterと に分 れ, ∞ mplex characterは 接す る人 によ って さまざまに 印象 がちが い,変 化 に富 んだ もので あ り,随 所 に笑 い を ひ きお こ した。. Jane Austenが 女性 で あ るとい う限界 につ いて は,Shakespeareゃ Lau― rence Sterneの 笑 いにみ るよ うな Sexualな 笑 いを避 けて,若 い結婚前 の 女性 が顔 を赤 らめな いで 話 せ るよ うな上 品な知的 な笑 いへ と向 った。 それ は. renective laughterで あ り,精 神的,知 的な活動 を必要 とす る笑 いで あ り. ,. 人 間 の心理 の変化 を描 く手法 と合致 した。 それで は Jane Austenの 笑 い とは何 か。 それ は二 通 りの笑 い が考 え られ るので あ る。 ひ とつ は彼女 の天賦 の,巧 まず して に じみ 出 る笑 いで あ り,も うひ とつ は作者 が 作品 で述 べ よ うと意図 した笑 い とに分れ るので あ る。 最初 に彼女 の天賦 の, 巧 まず して に じみ 出 る笑 いにつ いて 見 てみ よ う。. Jane Austenは 天賦 の COmedianで あ った。彼女 の人 柄 が笑 いを好む性格 1)Ro W.Chapman(ed):′. Zη θ. 4塔 ノθπ's Lα ノι雰. 0ノ カθ だ (Oxford U.P。 ,1932),p.401。. ο Jシ γ 3sノ θγ C“ sα πグz ノ. απグ.

(16) 8=. 中 野 喜 美 子. で あ り,平 凡 な 日常生活 の 中 か ら人 間 の勿体 ぶ りや上品 ぶ り等 か ら鋭 い洞察 力 で笑 い を見 つ け出す感受性 があ った。 Austenの 作 品は娯楽作品 として も 面 白 い もの があ った。書簡集 な どか らみ ると,. Jane Austenは 読者 を楽 し. ませ よ うな どとは思 わなか ったで あろ う。 しか し彼女 は天賦 の大衆を楽 しま せ る手法 を身 につ けて い た。 それ は(1)で も述 べ たよ うに私達 に平凡 な 日常茶 飯事 の題材 を と り扱 い なが ら,各 章 ごとに起承転結 が行 なわれ ,各 通 を通 し て 最後 まで一 貫 したテー マを持 ち,好 奇心 をそそ り,女 性 を活躍 させ た こ と で あ る。 また作 中人物 に 内証 で秘 密 を知 らせ て くれ ,知 らな い秘 密を知 って い るとい う優 越感 を与 えて くれ た。 これ らの手法 は現代 の新 聞, ラジオ,テ レビ等 マ ス コ ミに も通 じる新 しさを持 つ 方法 で あ る。 次 に Jane Austenの 意図 した笑 いにつ いて考 えてみ よ う。 この作 品 には恋愛 と結婚 が 中心 とな って い る。 それで は Jane Austenは どのよ うな結婚 を理 想 としたために笑 い がお こるので あろ うか。結婚観 の場 合 , `It Was wrong to marry fOr money, but it was silly to marry. 1)De Cecilの. without it.'と い う. 説 が最 もよ く知 られて い る。 Austenは 小. 説 において,love marriageを 理 想 としたが,経 済 的安定 も必要 な もので あ った。その上 ,階 級 ,家 柄 も大事 な条件で あ った。Elizabethは Lady Cathe‐. rineか ら Darcy との婚約 を家 柄 が釣 合 わな いか らしないよ うにと言われ た。 (4)の と ころで Charlotteを 賢明 だ と言 ったが, それ は結 婚 が彼女 に と って生 活 の安定 の上 で課 せ られ た もので あ る場合 ,与 え られ た候補者 の 中 で は. Mr.C01linsが 一 番適 当で あ ると思 われ たか らであ る。 しか し, もっと. 広 い候補者 の 中 か ら Charlotteが 夫 を選 ぶ chanceが あ ったな ら, `It was. wrong to marry for money'と 言 って笑 ったか も知れな い。Lydiaと Wick‐. hamの 駆落 につ いて は. seXua1 loveだ けで結 びつ き,生 活す るす べ につ い. て は まるで無 知 で あ るか ら `It was silly to marry without it'.と 笑 われ る で あろ う。 しか し作者 は愛 ,財 産 ,階 級 の他 に大 事 な ものが あ る ことを私達 1) D.Cecil, “Jane Austen", in Pθ θノ s απグ S′ θ′ θ ′ 雰, (COnstable,London, 7-Tι ′ 1960), p. 116。.

(17) 笑. 82. い. の 探. 究. に教 えて くれた。 それ は精神的 に も成熟 した大人 で あ る こ とで あ る。 Darcy と Elizabethが. Janeと Bingleyを 思 いの ままに動 かす と ころに笑 いを. 感 じた。 しか し作 者 は笑 い を通 して Janeと Bingleyの よ うな精神 的 に未 熟 な人 間 で は い けな い と い う こ とを 教 えて くれ るので あ る。 笑 い を 通 して. Austenは moralを 教 えて くれ るので あ る。 Miss Bingleyは 女性 と して の才芸 を身 につ け た. Well‐. manneredな 淑女. で あ る。Elizabethも 女性 と して の才芸 を身 につ けて い るが,当 時 の女性 の エ チケ 、 シ トに反す るよ うな悪天候 の 中を徒 歩 で ひ とり歩 きを した り,男 性 と 同等 に意見 を述 べ る Vulgarな 女性 で あ る。 どうして その Vulgarな 女性 が well‐ manneredな. 女性 を さ しお いて Darcyと 結 婚 した ので あろ うか。 Aus‐. tenは MiSS Bingleyに み られ るよ うな表面 上 だけの勿体 ぶ った作法 よ り も人間 の本質的 な精神 の 作法 を理 俎tと したか ら で あ る。 それ は Elizabeth に見 られ るよ うな生 々 とした,. Witに 富 んだ, 自主独立 の 精神 で あ り, 姉. Janeの 病気 を心配 して休裁 をか まわず駆 けつ け た優 しい 愛情 で あ った。 そ れゆえ. Austenは Miss Bingleyの 上 品ぶ った態度を笑 った のであ る。. 次 に Servilityと Self‐ importanceに よる笑 い を見 て い こ う。 この笑 い は Jane Austenが 人間が不完 全 で 弱 い,欠 点 に満 ちた存在 で あ る こ とを充 分 に知 っていた こ とよ り生ず る笑 いで あ る。人間 は平凡 な不完 全な存在 で あ るの に, しか し生存競 争 の激 しい社会生活 にお いて,少 しで も自分 を他 よ り 優 れ て 見せ よ うとして 苦 心す る。 Mro Collinsは Lady Catherineと い う 立 派 な家柄 の婦人 を 自分 の盾 と して,た えず彼女 の名 をか ざす こ とに よ って 自分 の弱 さを隠そ うと した。一方 Lady Catherineは 家柄 ,名 誉 ,体 面 をふ. Darcy りか ざ して Darcyと Elizabethの 結婚 を妨害 しよ うと した。 しか し の 富 と権 力 と知識や Elizabethの 自主独立 の精神 のために破 れた ので あ っ た。 Mre C01linsに しろ,Lady Catherineに しろ,少 しで も自分 を勿体ぶ って 偉 く見 せ よ うとしたが,墨 染 めの衣 の下 か ら隠 したはず の鎧 がち らりと みえ ると ころに笑 いがお こるので あ る。人間 が 自分 の不完全 さ,欠 点 を隠そ うと して隠せ な い と ころに笑 いが あ った。 lane. Austenが 完全 な人間 を好.

(18) 中 野 喜. 美 子. 8θ. まなか った こ とも一 因 で ある。 対人 関係 において は,第 一 印象 だ けで人 を判 断 した り,外 面 的 な事柄 だけ で半」断 し,そ こか ら笑 い がお こる こ ともあ る。Elizabethと. Darcyは ■rst. impressionで 反撥 しあ うもの を感 じた。 これ が Elizabethの prejudiceと. Darcyの prideと 衝突 し, この作品 のテー マ とな った。 また Darcy は Janeの reservedな 外見 だ けで Bingleyを 愛 して い な い と判 断 して し. な り,. WiCkhamの 巧 みな弁舌 にだ まされて, Darcy を誤解 した。 この よ うに対人 関係 において は さまざまの思 い違 い,意 見 の相 ま った。一 方 Elizabethは. 違 ,誤 解 が 多 い もので あ る。 それ ゆえ,自 分 自身 が rOundに な り,古 い 固定 観念 で人 を判 断せ ず に,た えず 印象 を改 め,判 断を新 に してゆ くことによ っ て ,ま ちが った見解 を少 しず つ 修 正 してゆ くこ とが望 ま しい と作 者 は私達 に 教 えて い る。. Elizabethの blindnessと は. fOllyに よ る笑 いにつ いて考 えてみ ると彼女. WiCkhamの 言 う ことだけを聞 き, Darcyの. 言 う こ とは聞かず に 自分 の. 判 断力を 自負 して Darcyを 悪 い ときめて しま った。彼女 の態度 は reasOnを 追 い払 って,先 入観念 と無 知 に従 った。 その結果 ,fOllyに 陥 ったのであ る。 彼女 は判 断力を過信 せ ず にも っと謙虚 にな るべ きで あ った と作者 は注意 して い るので ある。 今 まで Jane Austenの 笑 いをみて きたら それ は Elizabethの Witに 富 ん だ生 々 とした明 るさ,. Mr.Bennetの 鋭 い irOny等 ,作 品全体 に笑 いを. ひ き起 し,読 者 を楽 しませ て くれ た。 しか し,そ の笑 いの奥 には Austen が立 って いて,楽 しい笑 いで くるめた人生 の教訓 のひ とつ ひ とつ を私達 に教 えて くれ たので あ る。 Austenは 笑 いの仮面 をか ぶ って 多数 の読者 を彼女 の 作 品 に惹 きつ けなが ら,実 は私達 に説教 して いたので あ る。.

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参照

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