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多地域移動型の共創を支援するソーシャルメディアシステムの提案

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(1)

多地域移動型の共創を支援する

ソーシャルメディアシステムの提案

A Social Media System

to Support Co-Creation Activities in Multiple Regions

堀田 竜士

1,2

仙石 晃久

3

伊藤 孝行

2

Ryoji Horita

1,2

Akihisa Sengoku

3

Takayuki Ito

1 1

富士ゼロックス株式会社/

1

Fuji Xerox Col.,Ltd.

2

名古屋工業大学大学院/

2

Nagoya Institute of Technology

3

株式会社サイバーエージェント/

3

CyberAgent, Inc.

Abstract: Regional revitalization is required in Japan because the issues caused by the declining

birthrate, aging population, and depopulation etc., are increasing in rural area. New problem-solving methods which are generated through co-creation are required in regional revitalization. In co-creation, social media is important in order to continuation and sharing of activities. In the past, social media existed to support co-creation in order to solve issues in specific or global area, but there was no social media that support solve concrete issues common to multiple regions. This study proposes a social media to support co-creative activities in order to solve regional issues common to multiple regions. Promotion and sharing of co-creative activities are important factors in this social media. The social media we named MiraiLab was designed to satisfy these two factors. To confirm the effectiveness of MiraiLab, social experiments were conducted in Special Interest Group on Crowd Co-creation Intelligence (SIG-CCI) at The Japanese Society for Artificial Intelligence. As results, it was found that MiraiLab was effective for the promotion and sharing of co-creative activities. Specifically, regarding promotion, MiraiLab contributed to the continuation of creative activities and the creation of outcomes. Regarding sharing, it was found that co-creative activities were shared between projects, between research groups, and between users and non-users through MiraiLab.

1

はじめに

地方の人口減少や少子高齢化,過疎化等によって生 じる様々な課題への対応として,日本全国で地方創生 が求められている.伊藤 [12] は,地方創生活動を,1. 地方集中型,2. 多地域移動型,3. ソーシャルメディア 集中型の 3 つに分類した.それらの課題として,1,2 に関しては個々の事例が閉じていることが多く,横の つながりが保ちにくいこと,3 に関しては地域の生の 課題を想定することが難しいことを挙げた.その上で, これらの課題を解決する「ソーシャルメディアによる 市民共創知支援モデル」を提案した(図 1). 多地域移動型の研究会とソーシャルメディアの 2 つ を組み合わせ,地域課題解決に向けた共創を創出・共有 連絡先:富士ゼロックス株式会社 研究技術開発本部 コミュ ニケーション技術研究所       〒 220-8668 横浜市西区みなとみらい 6-1        E-mail: [email protected] 図 1: ソーシャルメディアによる市民共創知支援モデル (文献 [12] より抜粋)

(2)

できる社会システムの全体像を提示した.しかし,伊 藤はモデルの全体像は示したが,モデルを構成する多 地域移動型の研究会とソーシャルメディアという 2 つ の要素の具体的な内容については言及していない. Horita は,上記の 2 つの要素のうち,多地域移動型 の研究会の設計方法を提案した [3].市民と研究者の共 創のための 4 ステップを開催地域に関する学習,発表・ 対話,共創プロジェクトの創出,共創活動の実践と定 義し,4 ステップを反映した研究会のプログラムを提示 した.その上で,人工知能学会第 2 種研究会に新たに 設立した「市民共創知研究会」を対象とした社会実験 を通じて,からのステップの有効性を検証した.一方, 共創活動の実践を推進する方法論には言及していない. また,Horita も伊藤のモデルのソーシャルメディアの 具体的な内容には触れていない. ゆえに本稿は,以下の 2 点を目的とした.1 点目は 共創活動の推進である.多地域移動型の研究会によっ て創出された共創プロジェクトの活動を推進すること によって,各地域の課題解決を前進させる成果を生み 出す.2 点目は共創活動の共有である.各地で行われて いる活動の現状や成果を参加者,地域,社会と共有す ることによって,共創におけるシナジー効果を促進す ることを意図した. 本稿は以下のように構成される.2 章で関連研究を 整理し,本研究の位置づけを明らかにする.3 章で多 地域移動型の共創を支援するソーシャルメディアに求 められる要件と,それらの要件を満たすよう設計され たソーシャルメディアの機能について述べる.4 章で 社会実験を通じて得られたソーシャルメディアのログ データを元に効果検証を行った結果を記述し,5 章で 考察を行う.

2

関連研究

ソーシャルメディアによる共創支援に関する研究は, 伊藤の類型うち,地方集中型とソーシャルメディア集 中型の 2 つに大別される.

2.1

地方集中型

地方集中型に関する研究として,市民活動の活性化 のために,市民活動を実践したい個人と,活動支援を求 める NPO や政府の仲介を行う社会技術プラットフォー ムに関する研究が挙げられる [?].本プラットフォーム は多数の市民に活用され,金銭や物品の寄付をはじめ とした様々な行動を仲介することに成功した.このよう な特定地域を対象とする市民活動支援プラットフォー ムは,他にも多く存在する ([21] 等). 一方,これらのプラットフォームは特定地域に居住 する市民による活用を想定しており,複数地域間で活 動を共有することは意図されていない.地方では,同様 の課題が複数地域で発生している場合があるため,課 題解決に向けた活動の現状や成果が共有されれば,各 地域の課題解決が促進されると考えられる.

2.2

ソーシャルメディア集中型

ソーシャルメディア集中型に関する研究として, Cli-mate CoLab が挙げられる [11].CliCli-mate CoLab は,気 候変動に関する課題の解決を目指すプランを創出する ことを目的としている.専用の Web プラットフォーム では,誰でもプランの作成と議論が可能である.この 試みによって,気候変動課題の解決に関する優れたア イデアが多数生まれた. 一方,Climate Colab はテーマが気候変動に限られ ており,地方で現在生じている生の課題をテーマにす ることは難しい.またプランの提案が目的であり,実 現は目的としていない.地方創生では,現在発生して いる問題や今後生じる可能性が高い課題を解決する活 動を早急に生み出すことが求められており,プランの 提案だけでなく実行を支援するシステムが必要である と考えられる. また Open IDEO は,世界中の様々な課題に対する アイデアを募り,相互評価により結論を導き出すオー プンイノベーションプラットフォームである [8].イン スピレーション,コンセプティング,エバリュエーショ ン,ウィニングアイデア,という 4 つのフェーズを経 て,課題解決のための優れたアイデアを抽出する.抽出 されたアイデアはスポンサーが事業化する場合もある. しかし,日本の地域課題には解決を通じた金銭的価 値の創出が難しく,スポンサーを募ることが容易でな い場合もある.またスポンサーとなった企業や NPO・ NGO が何らかの理由で活動を停止した場合,活動主体 が地方からいなくなり,活動が継続できない可能性が ある.ゆえに,地域住民が課題解決に継続的に関わる ことができる仕組みが必要である.

2.3

本研究の位置付け

関連研究と本研究の位置づけを図 2 に示す.縦軸を 活動の進捗度,横軸を対象地域の範囲とした.地方集 中型のソーシャルメディアは特定地域を対象とし,活 動の進捗度はアイデア提案から成果の創出まで様々で ある.ソーシャルメディア集中型は世界中の地域を対 象とするが,活動目標はアイデア提案もしくは活動実 施に留まる.本研究は,複数地域,あるいはその集合体 である国を対象地域とし,成果の創出までを行う共創

(3)

図 2: 関連研究と本研究の位置づけ を支援するソーシャルメディアの提案を行う.具体的 には,多地域移動型の研究会で生まれた共創プロジェ クトの活動推進・共有を促進し,成果を創出すること を目指すソーシャルメディアを構築する.これらを通 じて,複数地域を対象としながらも,各地域の課題解 決に寄与する具体的な成果を生み出すことが可能にな ると考えられる.

3

多地域移動型の共創を支援するソー

シャルメディア

3.1

要件

多地域移動型の共創では,活動母体が複数の地域を 移動するという特徴から,(1) 共創活動の推進と,(2) 共創活動の共有の 2 点が課題となる. (1) に関しては,地域課題を解決することを目指す共 創プロジェクトは,前述の多地域移動型の研究会を通 じて多数生み出される.しかし,研究会参加者は日本 全国に散らばっており,職種や所属も異なる.このよ うに多様な人々が研究会後も活動に継続的に取り組め る適切な仕組みがなければ,活動を継続することは難 しく,共創の成果が出しにくいと考えられる. (2) に関しては,各地域で生まれた共創プロジェクト の活動内容や成果を共有する仕組みがなければ,地方 集中型やソーシャルメディアを介さない多地域移動型 の地方創生活動と同じく,個々の事例が閉じてしまい, 横のつながりが保ちにくいという課題が生じる可能性 が高い. 図 3: プロジェクトページの例 次項で (1),(2) の要件を満たすよう設計されたソー シャルメディア「みらいらぼ」[18] の機能の詳細につ いて述べる.

3.2

みらいらぼの機能

みらいらぼの機能を,基本機能,活動推進機能,活 動共有機能に分けて記述する. 基本機能 みらいらぼ上では,ユーザは「プロジェクト」を作成 することができる.プロジェクトとは,目標を共有し 共に活動するチーム活動の単位である.多地域移動型 の研究会を通して創出された共創プロジェクトが,み らいらぼ上でプロジェクトとして登録される.みらい らぼでは,プロジェクトを単位として共創活動を行う. 図 3 にプロジェクトページの例を示す.プロジェク トは誰でも作成でき,主旨や規模,種類等は限定され ない.プロジェクトを作成したユーザをオーナーと呼 ぶ.プロジェクトページには,共創活動を推進するた めの機能が実装されている.次節で詳細を述べる. 活動推進機能 共創活動の推進機能として,「参加・応援機能」,「議 論機能」,「進捗報告機能」,「サポート機能」,「インセン

(4)

図 4: 議論機能 ティブ機能」を設けた. 【参加・応援機能】参加機能とは,ユーザがプロジェ クトに参加するための機能である.プロジェクトに参 加すると,ユーザはプロジェクトページの編集,通知 の受け取り等を行うことができる.プロジェクトへの 参加は自由に行うことができ,ユーザは自身が閲覧し 興味を持ったプロジェクトに参加できる. 応援機能は,プロジェクトに対する応援の意向を示 すための機能である.応援機能によって,各ユーザは プロジェクト参加者に対して肯定的なフィードバック を与えることができる.プロジェクトに参加すること は難しいが,プロジェクトを応援したい場合は,応援 機能を活用して,プロジェクトの応援者になることが できる.応援者の増加が,プロジェクト参加者の活動 に対するモチベーションを向上させると考えた. 【議論機能】議論機能は,プロジェクトに関する議論 ができる機能である.議論機能の例を図 4 に示す.実 装においては電子掲示板型の議論プラットフォームを 用いた.ユーザは議論機能を用いて,プロジェクトの 計画立案やアイデアの共有等を行うことができる.テ キストだけでなく画像やリンクを貼ることもできる仕 様とした. 【進捗報告機能】進捗報告機能は,プロジェクトの進 捗をユーザ全体に伝えることができる機能である.進 捗報告機能の例を図 5 に示す.進捗報告機能のフォー ムで書き込みを行うことによって,みらいらぼに登録 しているユーザに,プロジェクトの進捗を伝えること ができる.ユーザは気になった投稿にコメントを行う こともできる.プロジェクトの進捗が全ユーザに報告 されることによって,進捗を報告するユーザ,される ユーザ双方がプロジェクトを推進する意欲を高められ ると考えた. 【サポート機能】サポート機能は,プロジェクトの 推進のために必要なスキルやアイデアに対する支援を, 全ユーザに求めることができる機能である.サポート 機能によって,各プロジェクトのオーナーや参加者は, 図 5: 進捗報告機能 課題解決に必要な知識,リソース,人脈などを獲得す る手段を得られる.また他のユーザは自身のスキルに 合ったプロジェクトへの参加を行うことを検討できる ため,プロジェクト内容と参加者の適切なマッチング 効果が期待される. 【インセンティブ機能】インセンティブ機能は,ユー ザ行動に対して架空のポイントを付与する機能である. Web 上のコンテンツ作成は,全ユーザのうち上位 1%の ユーザによって行われているという指摘がある [13].近 年の SNS 等の台頭によりコンテンツを作成するユーザ の割合は上昇しているものの,頻繁にコンテンツを作 成するユーザよりも閲覧中心のユーザが未だ多いと考 えられる.特定のユーザのみによる活動が行われてし まうと,多様なユーザによる共創を生むことが難しく なる.インセンティブ機能を導入することによって,特 定のユーザのみでなく,全体のユーザの活動促進につ ながると考えた. 付与されるポイント数の一覧を表 3.2 に示す.活動の コストやプロジェクトの進捗への影響度によって,各 活動に対するポイント数を定めた.付与されたポイン ト数に応じたランキングが,ユーザやプロジェクト毎 に表示される仕様とした. 活動共有機能 共創活動の共有機能として,「バンディッ トアルゴリズムを用いた通知機能」,「自動タグ抽出機 能」,および「協調フィルタリングを用いたリコメンド 機能」を設けた. 【バンディットアルゴリズムを用いた通知機能】バン

(5)

表 1: インセンティブ機能における配布ポイント一覧 ユーザ行動 ポイント数 プロジェクトの閲覧 5 プロジェクトへの応援 30 プロジェクトへの参加  50 議論機能でのコメントの投稿 100 プロジェクトの活動報告 200 プロジェクトのサポートの追加 100 プロジェクトの編集 150 プロジェクトの作成 300 ディットアルゴリズムを用いた通知機能とは,ユーザが 閲覧する可能性が高いプロジェクトページの情報を通 知する機能である.通知によるプロジェクトページの 閲覧数は,ユーザにどのプロジェクトを通知するかに よって大きく異なると考えられる.そこでバンディット アルゴリズムを通知機能に応用して,閲覧数をリアル タイムに取得し,1 週間に 1 回,閲覧する可能性が高い プロジェクトをユーザに通知する機能を設けた.ユー ザによるプロジェクトの閲覧数は,時間経過に伴う興 味・嗜好の変化によって異なると考えられるため,動 的報酬バンディッドアルゴリズム Discounted UCB を 用いた [2].探索を各ユーザに対するプロジェクト通知, 報酬をユーザのプロジェクトの閲覧数とした.ユーザ による閲覧可能性を向上させることによって,プロジェ クトとユーザのマッチング効果を狙った. 【自動タグ抽出機能】自動タグ抽出機能とは,BM25[?] により抽出されたキーワードを,プロジェクトを表す タグとして付与する機能である.抽出されたタグの例 を図 6 に示す.プロジェクトの特徴を表すタグを閲覧 することによって,ユーザはプロジェクトの概要を容 易に把握することができ,興味や関心のあるプロジェ クトを効率的に探すことができる. BM25 は,文章中の単語の重み付けを行う手法であ る.各プロジェクページに記載されたタイトル,概要, オーナーの思いの文章における単語の重要度を算出し, 重要度が高い 8 つの単語を,プロジェクトを表すタグ として表示する仕様とした. 【協調フィルタリングを用いたリコメンド機能】協 調フィルタリングを用いたリコメンド機能とは,ある ユーザと閲覧パターンが類似した他のユーザが多く閲 覧しているプロジェクトを,トップ画面に表示する機 能である.Web アプリケーションにおいて,コンテン ツとユーザをマッチングさせることが重要である.み らいらぼでは,ユーザに最適なプロジェクトを表示し, ユーザにプロジェクトを閲覧・参加してもらうことが 重要であると考え,本機能を実装した.各ユーザのプ ロジェクトの閲覧数を評価値とし,ピアソンの相関係 図 6: 抽出されたタグ 数を用いて近似度の算出を行う仕様とした.

4

効果検証

みらいらぼのプロジェクトの活動推進・共有に対す る効果を検証するための社会実験を実施した.図 7 に 実験スケジュールを示す.丸い点が市民共創知研究会 の実施日である.第一回研究会は岩手県遠野市,第二 回研究会は長崎県対馬市,第三回研究会は愛知県名古 屋市で実施された.また矢印がみらいらぼ上での活動 期間である.みらいらぼ上の活動が大部分を占めるこ とが分かる. 分析対象を,みらいらぼにアカウント登録したユー ザのシステムログとした.2017 年 12 月 24 日時点まで のログデータを分析に用いた.

4.1

ユーザ数とユーザ行動

表 4.1 に研究会毎のユーザ数,各ユーザ行動数およ び割合を示す.同一人物によって複数作成されたアカ ウント,テスト目的で作成されたアカウント,および 運営側のアカウントはユーザ数にカウントしなかった. ユーザ行動数の合計は,閲覧 1,684 件,プロジェクト 作成 20 件,コメント 211 件,進捗報告 28 件であった. 割合に関しては,コメントが全体の 51.5%を占めた.

4.2

活動推進

共創活動の推進に関する分析を,継続日数,進捗,創 出された成果の 3 つの観点で行った 継続日数 プロジェクトの継続日数を,プロジェクト を作成してから最後のコメントまたは進捗報告までの 日数と定義した.表 4.2 に,第一回,第二回研究会開 催日からの経過日数,各研究会で創出された共創プロ ジェクトの継続日数の平均と標準偏差を示した.第三

(6)

図 7: 実験スケジュール 表 2: ユーザ数とユーザ行動 研究会 ユーザ数 閲覧 プ ロ ジェ クト作成 コメント 進捗報告 サポート 応援 参加  計 1 38 1284 6 177 19 1 53 41 297 2.0% 59.6% 6.4% 0.3% 17.8% 13.8% 100.0% 2 25 285 10 25 9 1 6 14 65 15.4% 38.5% 13.8% 1.5% 9.2% 21.5% 100.0% 3 15 114 6 9 0 1 15 18 49 12.2% 18.4% 0.0% 2.0% 30.6% 36.7% 100.0% 合計 78 1684 20 211 28 3 75 73 410 4.9% 51.5% 6.8% 0.7% 18.3% 17.8% 100.0% 表 3: 継続日数 研究会 経過日数 (日) 平均 (日) 標準偏差 (日) 1 392 100.8 123.2 2 175 60.3 71.4 回は研究会が終了してから十分な期間が経過していな かったため除外した. 第一回研究会は開催から 392 日が経過しており,プ ロジェクトの継続日数の平均は 100.8 日,標準偏差は 123.2 日であった.第二回研究会は開催から 175 日が 経過しており,プロジェクトの継続日数の平均は 60.3 日,標準偏差は 71.4 日であった.第一回,第二回共に 60 日以上活動が継続していた.一方,継続日数には大 きなばらつきがあることが明らかとなった. 創出された成果 成果は,対外的に何らかのアウトプッ トが行われたことと定義した.成果が生まれたプロジェ クト数は 6 件,全体に占める割合は 37.5%だった.具 体的には,学会発表 11 件,イベント実施 3 件の成果が 得られた(表 4).同一のプロジェクトから複数の成果 が生まれた例もみられた.

5

おわりに

本稿では,伊藤 [12] が提示した,地域移動型の研究 会とソーシャルメディアの 2 つを組み合わせ,地域課 題解決に向けた共創を創出・共有できる社会システムの 全体像の具現化を述べた.ソーシャルメディアシステ ム mirailab を試作し,研究会を立ち上げ,実際に利用 することでその効果を検証した.特に,プロジェクト の継続日数の平均が 60 日を超えていた.多様な人々に よる共創活動は継続が難しいという指摘があるが [22], 本研究においてはプロジェクト活動の継続がみられた ため,ソーシャルメディアの存在が活動継続に一定の 寄与を示したと考えられる.

参考文献

[1] Derek L. Hansen, Jes A. Koepfler, Paul T. Jaeger2 John C. Bertot, Tracy Viselli: Civic action brokering platforms: Facilitating local engagement with AC-Tion Alexandria, Proceedings of the 17th ACM con-ference on Computer supported cooperative work & social computing (2014)

[2] Garivier, A. and Moulines, E.: On upper-confidence bound policies for switching bandit problems, in In-ternational Conference on Algorithmic Learning The-ory, pp. 174188Springer (2011)

(7)

表 4: プロジェクト活動を通じて生まれた成果 プロジェクト名 種類  内容 インタラクション 2017[4] 1 スーパーアグリ構想 学会発表 第 79 回情報処理学会全国大会 [5] 第 31 回人工知能学会全国大会 [6] 第 2 回市民共創知研究会 [7] 第 2 回市民共創知研究会 [9] 2 共創のための舞台をつくる 学会発表 第 18 回日本オフィス学会 [10] イベント実施 アカデミアと地域と企業を結びつける共創の場のつくりかた 第 2 回市民共創知研究会の実施 3 遠野らしい学びの場を創る 学会発表 第 2 回市民共創知研究会 [19] 4 みらい創りの仲間づくり 学会発表 第 2 回市民共創知研究会 [14] 第 3 回市民共創知研究会 [15] 5 みらいらぼ名古屋の共創 イベント実施 第 3 回市民共創知研究会の実施 6 MiralLab の開発と運用 学会発表 第 79 回情報処理学会全国大会 [16]               第 2 回市民共創知研究会 [17]

[3] Ryoji Horita, Minoru Mitsui, Takayuki Ito, Shun Shiramatsu, Akihisa Sengoku, Katsuhide Fujita and Naoki Fukuta: A Design of Research Group Work-shop to Generate Co-Creation Between Researchers and Citizens, 12th International Conference on Knowledge, Information and Creativity Support Sys-tem (KICSS2017) (2017) [4] 一ノ瀬修吾,白松俊,大森友子: Kinectを用いた鍬動作 の比較分析のための動作プリミティブ分割機構の試作, イ ンタラクション2017, 3-410-64 (2017) [5] 一ノ瀬修吾, 白松俊,大森友子: 市民共創による農作業 支援技術開発のためのモーションセンサを用いた鍬動作 の分析,第79回情報処理学会全国大会, 6D-06, (2017) [6] 一ノ瀬修吾,白松俊,大森友: Kinectを用いた鍬動作の 初心者と熟練者の比較分析手法の試作,第31回人工知 能学会全国大会, 2E4-OS-36b-3in1 (2017) [7] 一ノ瀬修吾,白松俊,大森友: Kinectを用いた鍬動作分 析研究における市民共創知研究会を通じた今後の展望, 第2回市民共創知研究会(2017)

[8] Open IDEO: https://www.openideo.com/

[9] 池田晃一: 共創をうながす柔軟なはたらき方の検証,第

2回市民共創知研究会(2017)

[10] 池田晃一:共創の場の設計とそれを支えるプラットフォー

ムについて,第18回日本オフィス学会(2017)

[11] Introne, J., Laubacher, R., Olson, G., and Malone, T.: The Climate CoLab: Large scale model-based collaborative plan- ning, in Collaboration Technolo-gies and Systems (CTS), 2011 Inter- national Confer-ence on IEEE, pp. 4047 (2011)

[12] 伊藤孝行,仙石晃久,白松俊,藤田桂英,三井実,堀田竜

士,福田直樹: 市民共創知研究会の構想:グローバルで

持続可能な地域創生活動支援の仕組み, 2017年度 人工

知能学会全国大会, 2F1-5 (2017)

[13] Ben McConnell: The 1% Rule: Chart-ing citizen participation, Wayback Machine, http://web. archive.org/ web/20100511081141/ http://www.churchofthecustomer.com/blog/ 2006/05/ charting wiki p.html (参照日2018.4.30) [14] 水谷美由起: 「チームみらい創り」、始まります。複数 みらい創り拠点間市民協働を目的とした遠隔対話実験の 実施,第2回市民共創知研究会(2017) [15] 水谷美由起,尾崎夏穂,千葉祥子,山口昌美: 複数みらい 創り拠点間市民協働を目的とした遠隔対話実験結果の検 討,第3回市民共創知研究会(2017) [16] 仙石晃久,伊藤孝行,白松俊,堀田竜士,三井実,藤田 桂英,福田直樹: 地方創生のための共創プロジェクト促 進システム「みらいラボ」の試作,情報処理学会第79 回全国大会,6ZA-01(2017) [17] 仙石晃久,伊藤孝行:集合知を用いた共創支援システム 「みらいらぼ」の開発と社会実験,第2回市民共創知研 究会(2017) [18] 人 工 知 能 学 会 第 二 種 研 究 会 市 民 共 創 知 研 究 会: http://www.mirailabcci.com/ [19] 遠山竜也,伊藤孝行: 第1回市民共創知研究会における 実例に基づいた研究会に高校生が参加する意義と留意点 に関する考察,第2回市民共創知研究会 (2017)

[20] Robertson, S. and Zaragoza, H.: The Probabilistic Relevance Framework: BM25 and Beyond, Founda-tions and Trends in Information Retrieval, Vol. 3, No. 4, pp. 333-389 (2009)

[21] Vanessa Levingston: Hear Every Voice Case Study: Give a Minute Chicago, Minnesota Department of Transportation

[22] 涌井美帆子,三井実: 対話×オンラインコラボレーショ

ンー対話から持続的な活動を生み出すプロセスの検証―,

グループウェアとネットワークサービス, GN-96, 20, pp

図 2: 関連研究と本研究の位置づけ を支援するソーシャルメディアの提案を行う.具体的 には,多地域移動型の研究会で生まれた共創プロジェ クトの活動推進・共有を促進し,成果を創出すること を目指すソーシャルメディアを構築する.これらを通 じて,複数地域を対象としながらも,各地域の課題解 決に寄与する具体的な成果を生み出すことが可能にな ると考えられる. 3 多地域移動型の共創を支援するソー シャルメディア 3.1 要件 多地域移動型の共創では,活動母体が複数の地域を 移動するという特徴から,(1) 共創活動
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表 1: インセンティブ機能における配布ポイント一覧 ユーザ行動 ポイント数 プロジェクトの閲覧 5 プロジェクトへの応援 30 プロジェクトへの参加  50 議論機能でのコメントの投稿 100 プロジェクトの活動報告 200 プロジェクトのサポートの追加 100 プロジェクトの編集 150 プロジェクトの作成 300 ディットアルゴリズムを用いた通知機能とは,ユーザが 閲覧する可能性が高いプロジェクトページの情報を通 知する機能である.通知によるプロジェクトページの 閲覧数は,ユーザにどのプロジェクトを通
図 7: 実験スケジュール 表 2: ユーザ数とユーザ行動 研究会 ユーザ数 閲覧 プ ロ ジェ クト作成 コメント 進捗報告 サポート 応援 参加  計 1 38 1284 6 177 19 1 53 41 297 2.0% 59.6% 6.4% 0.3% 17.8% 13.8% 100.0% 2 25 285 10 25 9 1 6 14 65 15.4% 38.5% 13.8% 1.5% 9.2% 21.5% 100.0% 3 15 114 6 9 0 1 15 18 49 12.2% 18.4% 0
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