卵胞ホルモンの生物学的検査法について(附. ラットの血中Estrogen値): University of the Ryukyus Repository

Title

卵胞ホルモンの生物学的検査法について(附. ラットの血

_{中Estrogen値)}

Author(s)

渡嘉敷, 緩宝; 江藤, 禎一

Citation

琉球大学農家政工学部学術報告 = The science bulletin of

the Division of Agriculture, Home Economics & Engineering,

University of the Ryukyus(8): 273-278

Issue Date

1961-06

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12000/23281

卵胞 ホルモ ンの生物学的検査法 について

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渡 嘉 敷 緩 宝 *･江 藤 禎 - **

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緒 呂 Estrogcnは卵巣か ら分泌 され る主要 なホルモンで, これが定見法は 1923年 Allen-Doisyにより脱 上皮の角化を指標 と して 用いて確立 され,その後 Sulman(1952)の艦内注入法等多 くの方法が 報告 されている. しか し血中Estrogen の測定にはその濃度微崖のため,多義の血液 を濃縮, 抽 出する操 作 を必要 と し,その測定は今の ところ簡単ではない｡ 著者 らは血中Estrogen の生物学的測定 を実施するにあた り,先ず Estroneを用い皮下注射並びに 艦内微量注入法によって碇上皮の変化に 関する用虫反応曲線を求め,両方法 を比較 し,更に艦内微量 注入法によりRatの血中 Estrogen値を測定 した｡血中 Estrogen値については Ratの性周期の一定 時を定めて測定 した例は未だない と思われるので, ここにその概要を報告する｡ なお本実験は 1960年7月 よ り 1961年3月の間に東大農学部において行 なった ものである｡

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の陸上皮角化反応

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皮 下 放 射 法 (1) 方 法 正常性周期 を示すW istar系 雌 ラッ ト (体重 200-300g)を選び, 卵巣別除後 5日以 上 Smearの検査 を行なって発情 を示 さぬ ことを確認 した後, 2週間を経てか ら使用 した｡ 実施方法は結晶 Estroneを適 当豊のラッカセイ油に溶解,混和 して検体 を作 り,その 0.1mlを 1 日1回 3日間計 0.3mlを皮下注射 し,初回注射後 48時間か ら 100時間まで朝夕の 2回計 5回にわ た って Smearを採取 した｡検査は江藤 ら (1958a)の方法によ りスポイ トを用いて少量の水 を艦内に 注入 した後吸引 し,スライ ドに滴下 して乾燥 させ Giemsa染色を施 して鏡検 した｡ Smear判定の規準は小林 (1956a) の方法に準 じて行ない,角化上皮細胞が有核上皮細胞や白血球 に此 し明かに優位 を示すものを陽性 と し, 角化細胞が少ない ものを陰性 と した｡ (2) 成 東 各用量について 行なった 成績は第 1表第 1図の如 くで, 1郡の試験動物の50% 以上 に陽性反応を招来するに要するEstrone の畳は概ね 10×(3/4)3FLg即 ち 4FLg であるC 2.腫 内 微 量 泣 入 法 (1) 方 法 皮下注射法に使用 した去勢 Ratを 1ケ月以上休養せ しめた後使用 した｡

実施方法は結晶 Estroneを Propylenglycolに溶解混和 した 後, これに等量の水 を加えて検体 を作

*琉球大学鹿家政工学部畜産学科 **東京大学農学部家畜生理学研究室

274 渡 嘉 敷 紋 宝 ･江 藤

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一 第1表 皮 下 注射 に よる陽性 反応 第1図 皮 下注射 に よる陽 性 反 応 り,O.01mlずつ1日2回 2日間計 0.04mlをあらか じめ水銀によって検定 した微量注射装置 (使州 にあたっては吉永 1961progesterone局所投与の方法 を参考 と した) を用いて艇内に注入 した｡ なお 注射針の先は鈍性に した後,ポ リエチ レンのチューブを装着 して 睦の損傷を防 ぐと共に, 針を抜去す る際は腔 口をお さえて検体の漏出を防止するよう留意 した｡

初回注入後 65時間,72時間,89時間 日の 3回 Smearを採取 し,乾燥,Giemsa染色をほどこ し

卵 胞 ホル モル の生物 学 的 検査 法 に つ い て 275 (2) 成 績 各用塩について行な った成鰍 ま第2表お 声び第2図のhr･1くで,1

郡

の試験動物の 5Oro 以上に陽性反応 を招来するに要するEstroneの藍は25ILg即 ち0･03FLgであるO 第2表 膝 内徴堂注入 に よる陽性反応 217 2-6 2-5 2-4 2 3 2 2 2l lp g 第2図 膿 内微壁注入 に よる陽 性反応 3.着 轟 (1) 本実験において1群の試験動物の 5070以上に陽性反応を招来するに要する Estroneの畳は 皮下注射の場合は 4〃g であ り,艇内微量注入の場合は 0･03〃gであるo従 って艦内微量注入法は 皮下注射法に此 し約 130倍鋭敏 であるため,血中 Estrogenの測定法 と して価値 あるもの と思料 する｡ (2) KahnトDoisy(1928)は皮下注射法によ り1RUが概ね 0.33膵 のEstroneに相 当 してい る

276 披 素 数 駿 宝 ･江 藤 禎 -と報告 しているが,本実験においては 1RU は･4pgに相 当 してい る｡従 って本法は Kalmt-Doisy法 に此 し概ね 1/10の感度 をもっているが,その差異Q.=ついては明かでない. (3) 艦内微量注入法 による本実験の 5070陽性反応は 0･03FLg の Estr_∼oneによって得 らオ1たが, 一方小林 (1956b)の報告に よれば 0･001FLg/0･1ml以上で1群の Ratの 6070以上に陽性反応を 招来 している.この場合の検体 はEstroneBenzoatに して,実験方法について も相異があるため,両 方の感度 を此械することは閣靴である｡

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の測定 (1) 方 法 E日脚審問を一定に した環境下で飼育 した (江藤 ら1958bの方法による)正常性周期 を 示す成熟 Ratの 1期 (発情前期)の午前 11時-12時に ether麻酔を施 して開腹 し,後大静脈に少 量のヘパ リンを注入 してか ら全採血 を行 なった. 即 ちRat14匹か ら 100mlの血液 を集め,Szego andRobert(1947)の方法によって濃縮袖山を行なった (第3図)｡濃締乾固 した ものは未だ脂肪等の 不純物が含 まれているため更に次の操作 を加えて精製 し,艦内微量注入法によ り測定 を行なった｡ 100mg血 液 10倍 塵 の ア セ トン 混 和,2℃ に 1夜 放 iitrr.･ ア セ トン ･エ ー テル 1:1 で洗源 3回 (遠心分離1,000回,15分) 1 集合 1 減圧 韮 発

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乾固) 第3図 血 液 の濃縮 抽 出法 (SzegoandRobert1947)

277

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6. Sulman, F. G. 1952 Endocrino!. 50, 61.

7. Szego, C. M. and S. Roberts 1947 Endocrino!. 41, 322.

8. -:-~7krt!r= 1961 ~~·~~~i!l~t. 6, 152.

Resume

1. I'he author studied cornified reaction of epithelial cells of vagina of rats, by injecting (1) estrone into subcutaneous tissue of body and (2) small amount of it into vagina. To obtain 50% of possitive reaction, 4.p,g of Estrone was necessary in the case of subcutaneous injection and 0.03 pg in the case of intravaginal injection. Intravaginal injection was about 130 times more sensible than subcutaneous injection, and it \vas found that the former is of value as a method of measuring estrogen in the blood stream.

278

2. The author measured the amount of Estrogen in the blood stream of rat in the morning durin,g the period of proestrus by making extraction samples of blood. The extrac-tion samples was madeby removing fat in addition to Szego and Robert method and small amount of it was injected into vagina. As the result of the measurement, the total Estrogen in 1cc of the blood was 0.015pg.