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Total_ScoreモデルとGLIM 小 島 秀美*

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(1)

Total_ScoreモデルとGLIM

小 島 秀美*

(1991年9月13日受理)

Total−Score Models and GLIM

Hideo KO川A

(Received September 13,1991)

は じ め に

今日,ログリニア(lo9−linear)分析は,10翫multiplicativeモデルや109−bilinearモデルの開発といっ

たように多様な発展をみせておりD,それらの多くは社会調査のデータ解析においてきわめて強力 な武器になるものと思われる。しかしながら,それらのモデルは主として統計学者によって開発さ れたものであるために,一般の社会科学者がそれらのモデルを使用するためには,モデルの意味を 理解するということに加えて,既存のコンピュータ・プログラムを使用し,データを実際に分析し なければならないという課題が存在しているといえる2)。本稿の目的は,最近doodmanによって開 発されたTotal−Scoreモデルをコンピュータ・プログラムGLIM(Generalised Linear hteractive

Modelling)3)を使用して設定することである。

Total−ScoreモデルとGLIMによる設定

まず初めに,Total−Scoreモデルについて説明しておこう4)。Total−Scoreモデルは,(1)tota1 score−conditioned independenceモデルと,(2)total−score nonindependenceモデルに分類される5)。

tota1−score−conditioned independenceから説明することとする。説明をより具体的なものにするた

めに,表1のデータを使用することとする。表1においてA,B,℃, Dは項目を示し,0はある

項目に対して「賛成」したことを意味し,1は「反対」したことを示す。4つの項目(A,B, C, D)

への反応は(i,j, k,1)(i=1,0;jニ1,0;k=1,0;H,o)と表わすごとができる。たとえば(1,1,

1,1)はすべての項目に対して,「反対」であることを意味している。

反応パターン(i,j,k,1)の総合スコア(total score)は, t=1+j+k+1と表わすことができる。表1の

場合には,tは「反対」の合計を意味する6)。表1は,それぞれ高知能グループ・それ以外のグル

*茨城大学教育学部社会情報研究室(〒310水戸市文京2−1−1)

(2)

126        茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)41号(1992)

表1 知能別にみた4項目への生徒の反応パターン

反応パターン        知      能 A  B  C  D      高 知 能それ以外

0     0      0     0      122         62 0     0     0     1      68         70 0     0      1     0       33         31 0     0     1     1       25        41 0     1      0     0      329        283 0     1     0     1      247       253 0     1      1     0      172        200 O     l      1     1      217        305 1     0     0     0       20        14

1  0  0  1      10    11 1  0  1  0      11    11

1  0   1  1       9     14

1     1     0     0      56         31 1     1     0     1      55         46 1     1     1    0       64        37 1     1      1     1       53         82

一プごとの4重クロス表とみなすこともできるし,{A,B,C,D,E}の5重クロス表とみなすこともで

きる。また表1は,IABCD,Eiの2重クロス表とみなすことも可能である。2重クロス表{ABCD,E}

の場合,変数ABCDと変数Eの独立モデルは,

R、kl・−Np灘      (1)

と表わすことができる。ここでFi」kiはヤル(i,j,k,1)の期待度数を示し, Nはサンプル数pllllは ある個人が項目(A,B,C,D)に対して(i,j,k,1)の反応をする確率を示す。(1)式は,

居jk1・一η囎・1       (2)

のように書きかえることができる7)。ここで乗法パラメータτ1糟とτ1は,それぞれ{ABCD}と{E}

      E   E

フ周辺度数に関連するパラメータである。ここで(1)式の塔を鴨、に置きかえると(1)式は,

Fi」k且s=Npll£IP豊1、   (tニi十j+k+1)       (3)

となる。Pll、は,項目(A,B,C,D)に対する総合スコアt(tニi+j+k+1)が与えられた場合に,ある 個人が項目Eに関してSと反応する条件付き確率を示す。(3)式は,

監、k・♂η・1罪1・1・緊       (4)

       ET

フように書きかえられる。(4)式のパラメータτ,tは,変数EとABCD問の非独立を示し,その非独

(3)

立は変数ABCDから得られた総合スコアtに依存していることを示すものである。

(3×4)式で示されるモデルはadditモデルとよばれるものであるが,このモデルの意味を理解する ために(3)式の一部を次のように書きかえることとする。

EPsl 1,k1=Ps l t    (t=i十」十k十監)       (5)

ここでP、1。k1は,項目(A,B,C,D)に対してある個人が(i,j,k,1)の反応をした場合に,項目Eに

       E

ホするその個人の反応がSである条件付き確率を示す。さらに(4)式の一部は,Ω、1、jklと書きかえる ことができる。Ωll ljklは,変数ABCDがレベル(i,j,k,1>である場合に,項目Eについてある個人が レベルS+1であるよりはレベルSであるという条件付き確率を示す。したがって,(6)式を得ることが できる。

Ωll。k1一γ1γ緊(t−i+j+k+1) (6)

ここで,

γ1−・1/・1+1,γ緊一・量・llL、

      E

ナある。(6)式は,変数Eについての条件付き確率Ω、1、、klは,変数ABCDから得られた総合スコアtに 依存しているということを示している。(6)式は,以下のようにも書きかえられる。

Ωlluk1=Ω島、   (t=i+j+k+1)    (7)

ここでΩlltは,項目(A,B,C,D)に対する個人の総合スコアtが与えられた場合に,項目Eにつ いて個人がS+1であるよりもSであるという条件付き確率を示す。以下にGLIMによるモデル構成が

示されるが,(4)式で示されるモデルの自由度は,二分類の変数がm個ある場合には,2厘一m−1とな る。モデルH。は独立モデルであり,[ABCD⑭E]と表わされるぎモデルHlは(4)式で示されるモデル

であり,[ABCD⑭ElT ]と表される。ここでT は,表1に示されたデータの総合スコアである。

モデルH㌃は,変数Aの順序を逆にしたものであり,[ABCD⑭ ElT ]と表記される。

モデルH;とHIは1次元の総合スコアtを想定するものであるが,2次元の総合スコアtを想定す

ることも可能である。すなわち,

E       E  E嚇V

Ω、11、k1=γ,γ、.,    (u=i+j, v==k+1)   (8)

       E

ニ表わされるモデルである。(8)式は,条件付き確率Ω,11、、、は変数ABと変数CDから得られたスコア

      ,

普≠堰{jとv二k+1に依存しているということを意味している。ここでT=(uv)とすると, H、は[ABcD

⑭ElT 1と表わされるものであり,砿は変数Aの順序を逆にした場合であり[ABCD⑭ElT ]      o

で表わされる。GLIMによる計算では,これらにレベルが与えられる。すなわち, i㌔の場合にはTは

(0,0)(0,1)(0,2)(2,1)などの数値となるが,GLIMではこれらの異なる組合せに異なるレベルが

(4)

128        茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)41号(1992)

設定される。モデル¢は,ザが与えられた場合にはUの値が一致しているかあるいは異なってい るかによってEのレベルが決定されるというモデルであり,[ABCD⑭ElT*]で表わされる。モデ

ル}ず*はモデル砿の条件に加えて,k+1ニ2の場合に変数Eに対する4つの(i,j)の反応パターンは同

じであるというものであり,[ABCD⑭ElT**]で表わされる。以下にGLIMによる設定方法が示され

ている。

¥C THIS IS GLIM RUNSTREAM FOR MODELS HO,H1(1),H1(2),

¥C H2(1),AND H2(2)IN TOTAL−SCORE−CONDITIONED INDEPENDENCE MODEL

¥UNITS 32

¥DATA DATA

¥READ

122  68  33  25  329  247  172  217  20  10  11  9  56  55  64  53 62  70  31  41  283  253  200  305  14  11  11  14  31  46  37  82

¥C READ ITEMS

¥DATA A

¥READ

1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2

¥DATA B

¥READ

1 1 1 1 2 2 2 2 1 1 1 1 2 2 2 2 1 1 1 1 2 2 2 2 1 1 1 1 2 2 2 2

¥DATA C

¥READ

1 1 2 2 1 1 2 2 1 1 2 2 1 1 2 2 1 1 2 2 1 1 2 2 1 1 2 2 1 1 ・2 2

¥DATA D

¥READ

1   2   1   2   1   2   1   2   1   2   1   2   1   2   1   2

1   2   1   2   1   2   1   2   1   2   1   2   1   2   1   2

¥DATA E

¥READ

1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

2   2   2   2   2   2   2   2   2   2   2   2   2   2   2   2

¥C LEVEL FOR H1(1)

¥DATA TO

¥READ

1   2   2   3   2   3   3   4   2   3   3   4   3   4   4   5

(5)

1   2   2   3   2   3   3   4   2   3   3   4   3   4   4   5

       「

盾b LEVEL FOR H1(2)

¥DATA T1

¥READ

2   3   3   4   3   4   4   5   1   2   2   3   2   3   3   4

2   3   3   4   3   4   4   5   1   2   2   3   2   3   3   4

¥C LEVEL FOR H2(1>

¥DATA TX

¥READ

1  2   2   3   4   5   5   6   4   5   5   6   7   8   8   9

1   2   2   3   4   5   5   6   4   5   5   6   7   8   8   9

¥C LEVEL FOR H2(2)

¥DATA TXX

¥READ

4   5   5   6   7   8   8   9   1   2   2   3   4   5   5   6

4   5   5   6   7   8   8   9   1   2   2   3   4   5   5   6

¥C LEVEL FOR H2*

¥DATA TY

¥READ

1   3   3   5   2   4   4   6   2   4   4   6   1   3   3   5

1.  3   3   5   2   4   4   6   2   4   4   6   1   3   3   5

¥C LEVEL FOR H2**       、

¥DATA TZ

¥READ

1   3   3   5   2   4   4   5   2   4   4   5   1   3   3   5

1   3   3   5   2   4   4   5   2   4   4   5   1   3   3   5

¥YVAR I ATE DATA

¥ERROR P

¥LINK L

¥FACTOR A  2 B  2 C  2 D  2 E  2 TO 5 T1 5 TX 9

¥FACTOR TXX 9 TY 6 TZ 5

¥C MODEL HO

¥FIT A.B.C.D十E

¥DISPLAY E M D R       .

¥C MODEL H1(1)

¥FIT A.B.C.D十E.TO

¥DISPLAY E M D R

¥C MODEL H1(2)

(6)

130        茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)41号(1992)

¥FIT A.B.C.D十E.T1

¥DISPLAY E M D R

¥C MODEL H2(1)

¥FIT A.B.C.D十E.TX

¥DISPLAY E M D R

¥C MODEL H2(2)

¥FIT A.B.C.D十E.TXX

¥DISPLAY E M D R

¥C MODEL H2*

¥FIT A.B.C.D十E.TY

¥DISPLAY E M D R

¥C MODEL H2**

¥FIT A.B.C.D十E.TZ

¥DISPLAY E M D R

¥STOP

       1      

アれらのモデルの意味について説明しておこう。モデルH、とH、は,項目A,B,C,Dより求めら

      ,      

黷髑麹㏍Xコアtによって変数Eのレベルが測定できるということを意味している。恥とH,は,項

目A,Bによって求められるスコアと項目C,Dによって求められるスコアでEのレベルを測定すること

ができるということを意味している。モデル峠は,項目C,Dのスコアと項目A, Bが一致してい

目C,Dのスコアが2の時には, AとBのレベルについての情報は不必要であることを意味している。

 ここに示されたモデル以外に,より特殊なモデルを設定することは可能である。たとえばモデ ,ルH1において,レベル2とレベル3が等しいというモデルを設定することができる。また,これら

のモデルは二分類ばかりではなく,多元的な変数に拡大することは可能である9)。

つぎに,totaレscore nonindependenceモデルについてみてみよう。このモデルは,

B、、1・・1・1・1・1・1 (t・i+」+k+D (9)

       「 ニ表わされる。パラメータτ1は,4次元クロス表帆B,C, D}の非独立を示す「総合スコア効果」

を示している。(9)式は,総合スコアt(t=0,1,2,3,4)のレベルが与えられた場合に,変数A,B,C,D は相互に準独立(quasi−independent)である。このモデルは, Raschモデル1°)と関連している。(9)式

は1次元を想定したモデルであるが2次元・3次元を想定したモデルを考えることは可能である。

以下では,項目Aを除去した場合の高知能グループについてのみのGLIMによるモデル構成を示すご

ととする。

¥C THIS IS GLIM RUNSTREAM FOR TOTAレSCORE NONINDEPENDENCE MODEL

¥UNITS 8

(7)

¥DATA DATA

¥READ

142  78  44  34  385  302  236  270

¥DATA B

¥READ

1 1 1 1 2 2 2 2

¥DATA C

¥READ

1 1 2 2 1 1 2 2

¥DATA D

¥READ

1 2 1 2 1 2 1 2

¥DATA T

¥READ

1   2   2   3   2   3   3   4

¥YVARIATE DATA

¥ERROR P

¥LINK L

¥FACTOR B  2 C  2 D  2 T  4

¥C MODEL HO

¥FIT B十C+D

¥DISPLAY E M D R

¥C MODEL TS

¥FIT B十C十D十T

¥DISPLAY E M I) R

¥STOP

要約と結論

本稿の目的はGLIMを使用し, TotaレScρreモデルを構成することであった。これらのモデルも

通常のログリニア・モデルと同様に扱えることが明らかにされた。今日,Raschタイプのモデルが

社会調査データ解析においても関心を集めているがtotal−score−conditioned independen ceモデル

も調査データ解析においてきわめて強力な分析方法になると判断される。たとえば意識調査にお

いてその応用可能性は高いと考えられる。

(8)

132        茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)41号(1992)

@       .

1)これらのモデルについては,次の文献を参照せよ。Leo Goodman, New metbods for analyzing the intrin一 sic character of qualitative variables using cross。classified data,, A〃1εr cαηノoμrπα1ρブ50do 08y,93(1987).

Leo Goodman, Some useful extensions of the usual correspondence analysis approach and the usual log一

1inear models approach in the analysis of contingency tables ,1力惚rηα∫ oηα ∫畝∫∫5∫∫cα R6り εw,54(1986).

Mark P. Becker andα重fford C. Clogg,6Analysis of sets of two−way contingency tables using association       P

高盾р?撃刀h, Joπrπα qr∫舵ノ1〃187 cαπ5 α 競 cαムA∬oc如∫ oπ,84(1989).

2)実際わが国の社会学においては,データ分析の水準が低いことはよく知られている。それは,モデルを理 解できたとしても,実際にコンピュータを使用して計算しなければならないため負担が大きくなることにも

原因を求められよう。  ・

3)GLIMについては,次の文献を参照せよ。小島秀夫「GLIMによるログリニア・モデルの測定」r茨城大学教 育学部紀要(人文・社会科学,芸術)』38,1991。なお最近では,GLIMを考慮した本が書かれている。

Ronald・Cbristensen, Lo8−L ηεα7ルfo4eな(New York Springer−Veriag,1990).Alan Agresti, Cσ e807 cα1 Dα砂

、4πα{y廊(New York:John Wlley&Sons,1990).わが国ではまだGLIMは普及しているとはいえない。

4)このモデルについては,次の文献を参照せよ。Leo Goodman, Tota1−score㎜de監s and Rasch−type models

for the analysis of a multidimβnsional contingency table, or a set of multidimensional contingency tables, with

specified and/or unspecified order for response categories in Chfford C. Clogg(ed.),30cめJog cα1〃8此o一

       r

S0 08y 1990(Bρsil Blackwell,1990).      .

5)これらのモデルの訳はまだない。

6)0と1は,たとえば「正解」『と「誤り」や「賛成」と「反対」などなんでもよい。また,このモデルは,

二分類のみではない場合にも拡張できる。

7)通常のログリニア「・モデルのモデル表記では,(ABCD)(E)となる。

8)Leo Goodman, Tbe multivariate analysis of qualitative data;interactions among multiple classifications ,

∫o駕rηα1ρゾ醜θA〃387たαπ3伽だ∫琵cαムA∬oc如 oπ,65(1970).      ・

9)ただし,変数が3カテゴリーであるような場合には,コンピュータの容量が問題になると思われる。

10)Raschモデルの社会学での応用については,次の文献を参照せよ。 Otis D. Duncan, Rasch measurment in

survey research:further examples and discussion in Charles F. Turner and Elizabetb Martin(eds.),5配7一

         vρy η8∫駕毎θcπy8 P宛επo〃2θηα2(Russell Sage Foundation,1983).

@ 」

@      ,

@       1

参照

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