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教科の好き嫌いと原因帰属,学習動機の関係

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

教科の好き嫌いと原因帰属,学習動機の関係

著者 玉瀬 耕治, 杉村 健

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

巻 21

ページ 105‑113

発行年 1985‑03‑23

その他のタイトル Relationships among liking of subjects, causal attribution of achievement, and academic

motivation.

URL http://hdl.handle.net/10105/6575

(2)

教科の好き嫌いと原因帰属,学習動機の関係.

玉瀬耕治  杉村  健舳

       (心理学教室)

 子どもによって、好きな教科もあれば嫌いな教科もある。どの教科も好きだという子もいれば どの教科も嫌いだという子もいる。また教科の好き嫌いは学年や性によっても異なる(上田・杉 村.玉瀬,1972)。このような教科の好き嫌いは、子どもたちの実際の学習とどのような関係が

あるであろうか。ある教科が好きだといラ子と嫌いだという子では、自分のその教科の成績につ いて、果して同じようなとらえ方をしているであろうか。また、これらの子どもたちがその教科 の学習にとり組む動機は果して同じであるだろうか。本研究は、これらの問題を検討するために 行われた。本研究の目的は、教科の好き嫌いと原因帰属、学習動機、学業成績および知能との関 係を明らかにすることである。

 ここでいう原因帰属とは、成績がよかった場合や悪かった場合に、その原因を何に求めるかと いうことである。たとえば、国語の1学期の成績がよかった場合、ある子どもはがんぱったから だと思うであろう。またある子どもは先生の教え方がうまかったからだと悪ラかもしれない。前 者と後者では、帰属の仕方が異なっている。すなわち、能力や努力など、自分の中に内在してい る要因に帰属する場合は内的帰属とよび、テストや先生など自分以外の要因に帰属する場合は外 的帰属とよんでいる(Weiner,1980)。我々の先の研究(杉村・藤田・玉瀬,1983)で、小学生 では成績がよい時には内的帰属(努力:がんぱったから)をする老が多く、悪い時には外的帰属

(テスト:テストがむずかしかったから)をする者が多いことが明らかにされている。また、成 績が悪い時にテストに帰属する傾向は、低学年でもっとも著しく、高学年になると努力(なまけ たから)に帰属する者が増加する。本研究では、教科の好き嫌いによって、このような原因帰属 の仕方に差異がみられるかどうかを検討する。

 次に、学習動機についても、従来いろいろな研究がなされている。たとえば杉村(1968)は、

小学生の学習動機について、 親にほめられたいから 、 新しいことを知ワたいから など14 の質問項目を設けて調べている。その結果、新しいことを知ワたいなどのいわゆる内発的動機は 学年とともに増加し、親にほめられたいなどの外発的動機は低学年でのみみられることが示され ている。学習指導の観点からは、子どもたちができるだ竹内発的な動機づ付によって学習するよ うになることが望ましいと考えられるであろう(波多野・稲垣,1973;1981)。本研究では、

.  ReIationships amoIlg liking of subiects,ca皿saユ a ribu on of acIliovemen6, and  academic mo圭iva6ion.

} Koi i Ta㎜ase and Takeshi S凹gimum ( θρ8κ θ 彦。∫戸5∫c五〇joeγ,M8r2 σ〃ルθ〃   0∫刀a σθ君ゴ。〃、 ハ 8r  )

(3)

内発的動機と外発的動機をそれぞれ2つずっとりあげ、教科の好き嫌いとこれらの動機とあ関係 を調べることにした。

 最後に、本研究では教科の好き嫌いが実際の子どもたちの学業成績や知能と関係があるのかど うかについても検討する。これらの関係は、教科によって異なることが予想される。ある教科で は好きだということがその教科を学習する上でかなり重要であるかもしれない。他の教科では好 き嫌いとは無関係に学業成績が決まってしまうことも考えられる。

調査対象  調査対象は奈良県下の小学校の2,4,6年生で、表1に示したように男女合計 373名であった。

       表1 調査対象(人数)

2年  4年  6年 54   64 45   71 99   135

77 62 139

合計 195 178 373

 調査内容と手続き  (1〕教科の好き嫌い  印刷した調査用紙を用い、国語、社会、算数、

理科の4教科について、それぞれ とてもすき 、 すき 、 きらい のうちのどれか1つを 選択させた。

 (2〕原因帰属  まず国語について1学期の成績を思い出させ、 よかった かまたは わる かった かのいずれかの判断をさせ、下に示すような調査用紙の( )内にO印をつけさせた。

次に、O印をつけた下にある3つの選択肢(帰属の要因)のうちのどれか1つを選んで符号にO 印をつけさせた。社会、算数、理科についても同様の手順で回答させた。

     1がっきの国語のせい世きについて       ( )よかった        ( )わるかった       ア.がんぱったから       ア.なまけたから

      イ.先生のおしえかたが     イ.先生のおしえかたが         うまかったから        へただったから

      ウ.テストがやさしかった    ウ.テストがむずかしかった         から      から

 (3)学習動機  調査用紙には番号のみを印刷しておき、はじめに どんな気持で国語の勉強 をしているのかをたずねます と教示して、以下の項目を1つずつ読みあげ、 はい のときは 番号に○印をつけさせ、 いいえ のときはX印をつけさせた。

   ①先生にほめられたいから国語の勉強をする。

   ②お父さんやお母さんにほめられたいから国語の勉強をする。

(4)

  ③おもしろくて楽しいから国語の勉強をす乱   ④新しいことを知ワたいから国語の勉強をする。

 社会、算数、理科についても同様の手順で回答させた。

 (4)学業成績  国語、社会、算数、理科の4教科について、1学期の成績(素点)を学級担 任から提供してもらった。

 15)知能  2年生には東大A S知能検査L版、4年生と6年生には同H版を手引書に従って 実施した。これらの検査は、いずれも直観判断{論理思考および記憶・注意力に関する5つの下 位テストからなっている。

 以上のうち、(1)、(2)、(3)については、1枚の調査用紙にすべて印刷してある。調査は昭和59年 10月に筆者らと心理学専攻生によって行われた。最初に知能検査を実施し、そのあとで国語、社 会、算数、理科の各教科ごとに教科の好き嫌い、原因帰属、学習動機の順に調査を行った。

結 果 と 考 察

 教科の好き幾い  表2は、学年別男女別に、各教科ごとに とてもすき すき 、およ きらい を選択した者の割合(%)を示したものである。これらの結果は、教科によってかな

り異なる傾向を示している。3つの選択肢のうち、 すき はここではむしろ どちらでもない に近いものとして扱うことにする。以下に述べる点は、λ2検定によって有意性が認められたもの を中心にまとめたものである。

表2 学年別、男女別にみた各教科の好き嫌い係)

2年 4年 6年 全体 2年 4年 6年 全体

とても

キ き

男児

18,5 R1.3

9.4 S.2

2.6  9,2 Q0.9  1a9

55,5 T1.1

41.3 W.5

39−O P4.5

44,3 Q1.3

 男児き 女児 55,5

T3.3

57−8 Uτ6

55,8  56−4 U3,0  62.4

24,1 R7.8

33,3 S5.1

28,6 R7.1

28,9 S0.5

きらい 男児

26.O 撃≠U

32.8 Q&2

41,6  34,4 P6,1  20.7

20,4 P1.I

25,4 S6.4

32,4 S8.4

26,8 R8.2

2年 4年 6年 全体 2年 4年 6年 全体

とても

キ き

男児

3τ0 Q6.7

29,0 Q3.9

30−0  30,0 Q4,2  24.7

57,4 S6.7

65,6 U3.4

28,6 P3.O

4&7 S1.6

 男児き 女児 33,3

R5.6

45.2

SZ3

46,7  42−5 S3,5  41,O

26,0 S0.O

21,9 R5.2

45,4 T1.6

32,3 S2.1

きらい 男児

297

R7,3

25.8

Ra8

27,3  27,5 R2,3  34.3

16,6 P3.3

12.5

P.4

26,0 R5.4

19.o P6.3

(5)

 まず、国語は、全体にとてもすきな者が少ない(13第)。女児は男児に比べてとてもすきな者 が多く、逆に男児はきらいな者がよワ多い。また、男女をこみにして学年差をみると、2年生で はとてもすきな者が他の学年に比べてよワ多く、逆に4,6年生ではきらいな者が多くなってい る。社会は、全体がほぼ3分の1ずっとてもすき、すき、およびきらいな者に分かれている。男 児は女児よワもとてもすきな者が多いが、逆に女児はきらいな者がよリ多い。この教科は学年差 が著しい。とてもすきな者は2年生では全体の過半数(54第)を占めるのに、4,6年生になる と、それぞれ24%、28第へと減少する。逆にきらいな者は、学年が進むにつれて、16第、37第、

40第と増加する。特に4,6年生では、女児においてきらいな者が著しく増えることが注目され

よう。

 算数は、とてもすきな者ときらいな老がほぼ同数(28第と31%)てあり、男女差も学年差もほ とんどみられないのが特徴である。この教科については、統計的検定の結果は全く有意にならな かった。理科は、他の教科に比べると、全体としてとてもすきな者がもっとも多い(45系)教科 である。とつわけ2年生(53系)、4年生(64系)でとてもすきな者が多く、6年生(22第)に なると激減する。また、2年生と6年生では、男児のほうが女児よワもとてもすきな者が多い傾 向がみられる。

 以上の結果は、12年前に調べられた上田ら(1972)の結果と男女差や学年差に関してかなりよ く一致しており、小学生についての一般的な傾向を示しているものと理解される。

 原因帰属の要因  表3は、教科別に原因帰属の要因を示したものである。ここで、人数の合 計が妻1と一致しないところは、1学期の成績がよかったかわるかったかを答えなかった者が若 干いたためである(表5も同じ)。前回の調査(杉村ら,1983)では、4つの要因をとりあげた が、内的帰属の1つである能カベの帰属がきわめて少なかったので、今回の調査ではこれを除く 努力・先生、およびテストを用いている。表3で明らかなように、どの教科でも成績がよかった 場合は努力(がんぱったから)に帰属し、わるかった場合はテスト(むずかしかったから)に帰 属している。言いかえれば、成績がよいときには内的要因に帰属し、わるいときには外的要因に 帰属するといえる。この傾向は前回調査においても得られている。今回は、よかった場合に努力 に帰属する傾向は、どの教科でもほぼ同じであるが、悪かった場合にテストに帰属する傾向は社 会でもっとも顕著に示されている。

妻3 各教科における原因帰属の要因係)

よ か っ た わるかった

教科 努力 先生 テスト 人数 努力 先生 テスト 人数

51.6 29.6 18.8 223 37.3 2.7 60.O 150

54.4 29−6 16−8 228 25.7 4.9 69,4 144

55.O 21.5 23,5 260 441 O−9 55,O IlI

55.8 25.9 17.3 274 36.7 6.1 57.2 98

(6)

 学習重力機  表4は、教科別学年別に学習動機を示したものである。 先生にほめられたいか お父さんやお母さんにほめられたいから の2つは外発的動機を調べたものであリ、

おもしろくて楽しいから 新しいことを知りたいから は内発的動機を調べたものである。

まず、外発的動機についてみると、先生にほめられたいは全体では約1o第てあり、親にほめられ たいは約15系である。これらの動機は2年生ではかなワみられるが、4,6年生ではほとんどみ

られなくなる。4,6年生でこれらの動機が減少する理由の1つは、この学年になるとこれらの 動機を是認することが社会的に望ましくないと考えられるためかもしれない。次に内発的動機に ついてみると、これらの動機は全体的に外発的動機に比べてかなワ高率である。おもしろくて楽 しいは教科による違いが著しい。この動機は理科(特に4年生)でもっとも高い割合を示してい る。新しいことを知リたいは、どの教科でも共通して高い割合を示している(全体で約70第)。

ただし国語については、4,6年生でこの動機はかなワ減少している。

妻4 教科別、学年別にみた学習動機(矧

教科 2年一 4年 6年

       国語 先生にほめ  社会

られたい   算数        理科        国語 親にほめら  社会 れたい    算数        理科        国語 おもしろく  社会 て楽しい   算数        理科        国語 新しいこと  社会

を知ワたい 算数        理科

19,2 31,3 28,3 30.3 28,3 29,3 32,2 35.3 49,5 54,5 36,4 55.6 85,9 78,8 66,7 83.8

3.0 6.7 2,3 2.2

5.2 7.0 7.5 3.7

29,6 48,5 45,1

80.7 61,5 76,9 72,2 81.4

2.2 1.4 3.6 1.4 7,2 10.l

14.4

9.4

33,8 45,3 39,6 51.O 54,7 65,5 60,4 68.3

全体

7.0 I1.3 9.7 9,4 12,1

14,8 16,7 14,2 36,5 48,9 40,7 63.O 65,4 73.I

66,3 77,2

 教科の好き業いと原因帰口の関係  妻5は、教科の好き嫌いと原因帰属との関係を示したも のである。まず各教科における好き嫌いことに、よい(よかった)と答えた者とわるい(わるか

った)と答えた者の人数を見てみると、どの教科でも共通して、 すき および とてもすき ではよい と答えている者が圧倒的に多く、 きらい ではわるいと答えている者がよワ多くなっている。この 種の調査では、成績がよかったから好きになったのか、あるいはもともと好きだから成績がよく

(7)

なったのかという因果関係については明らかにすることができない。しかし、教科の好き嫌いと 成績の良し悪しについての主観的な評価の問には相関関係があることは、上の結果から明らかで

ある。

      妻5 教科の好き嫌い別にみた原因帰属の要因係)

とてもすき

教 科 よい わるい よ い わるい よい わるい

50.0 25.0 53.O 43.2 47,1 31.4

40.O 12.5 28.9 2.7 20.6 1.4

国 語 テスト 1O.O 62.5 18.1 54.1 32.3 67.2

40 8 149 72 34 70

55.7 2τ8 6L9 21.2 39.1 28.O

33.0 5.5 28.9 O 21.8 8.O

杜 会 テスト ll.3 66.7 9,2 78−8 39,1 64.O

106 18 76 52 46 74

58−2 25.O 50.O 541 61.4 40.O

19−3 0 27.I 0 11,4 1.4

算数 テスト 22.5 75.O 2Z9 4a9 2τ2 58−6

98 4 118 37 44 70

57.9 41.2 50−O 23.7 77.2 46−5

24.3 5.9 31.0 5.3 13.7 7,O

理 科 テスト 17,8 52.9 19.O 71.0 ql 46.5

152 17 1OO 38 22 43

 次に、原因帰属の要因については、煩雑さを避けるために、 すき を除外して、 とてもす き と きらい について比較してみよう。全体としては、表3でみたように、とてもすきであ

ってもきらいであっても、よい時には努力とし、わるい時にはテストとする者がもっとも多い点 は変わっていない。さらに詳しく見てみると、国語については、とてもすきで成績がよい時には 先生に帰属している者が多い(40第)のに対し、きらいで成績がよい時にはテスト(やさしかっ た)をあげている者が多い(32第)。社会についてもこれと同様の傾向がみられる。ところが算 数では、とてもすきで成績がよい時でも、先生に帰属する者はかなリ少な<(19名)、むしろテ スト(23第)に帰属する者の方が多くなっている。理科では、とてもすきで成績がわるい時に、

他の教科の場合に比べて努力不足に帰属している者が多い(41系)のが特徴である。

 教科の好き様いと学習Iカ機の関係  表6は、教科の好き嫌いと4つの学習動機との関係を示 したものである。全体として、どの動機も とてもすき な者でもっとも選択率が高くなっている。

ただし、表4でもみたように、2つの外発的動機については数が少ないので好き嫌いによる違い はあまりあらわれていない。内発的動機については、教科の好き嫌いによる違いが明瞭に示され

(8)

ている。まず国語では、おもしろくて楽しいぱとてもすきな者だけが高い選択率(73第)を示し ておワ、すきな者(5系)およびきらいな者(9実)はきわめてわずかしか選択していない。し かし同じ内発的動機でも、新しいことを知リたいでは、とてもすきな者(8ユ%)およびすきな者

(77系)の選択率が高く、きらいな者(39第)だけが低くなっている。これとほぼ同じ傾向は理 科でもみられる。一方、社会と算数では、おもしろくて楽しいですきな者の選択率が先の2教科 の場合よワもがなリ高くなっている。これらの結果は、内発的動機でも、おもしろくて楽しいと いう動機と、新しいことを知ワたいという動機はかなり異なるものであることを示唆している。

国語や理科では、よほど好きでなけれぱおもしろくて楽しいものとはならないらしい。

表6 教科の好き嫌いと学習動機㈱

学習動機 とてもすき

すき きらい とてもすき すき

先生にほめられたい 146 6.8 3.8 I9.4 7.O 7.5

親にほめられたい I6.7 11.8 1α6 17−7 10.2 1a7

おもしろくて楽しい 72.9 ↓6 8.7 79.8 52.3 13.3

新しいことを知ワたい 81.3 76.7 38.5 82.3 80.5 55.8

学習動機 とてもすき

すき きらい とてもすき すき らい

先生にほめられたい 16.7 3.9 1.4 13.6 7.2 3−0 親にほめられたい 26.5 9−O i&4 16,O 15−2 7.6

おもしろくて楽しい 81.4 36.1 1α5 86.4 5.8 9.O 新しいことを知リたい 88.2 66.5 4a5 9αo 76.0 47.O

 教科の好き嫌いと知能および学業成績の関係  妻7は、教科の好き嫌い別に東大A S知能検 査(偏差値)の平均および1学期の成績(素点)の平均を示したものである。これらの値につい          表7教科の好き嫌いと知能および学業成績悌)

業 成

とてもすき すき きらい とてもすき すき きらい

x

543 51.5 50.6 8ム7 85.8

国 語 82.5

8D 8.5 8.8 8.4 1a0 10.0 14.7

x

52.8 5α8 5G.2 86.6 80.O

杜 会 75.4

3D 9.1 8.4 10.6 7.8 13.3 15.7

x

53.7 51.2 49.3 89−0 82.6 77.6

算 数

3〃 &7 q1 9.5 8.1 11.6 17.7

X 51.8 51,4 5α8 87.1 85.6 84.8

理 科

8D

8.7 9.2 8.3 9−8 10.7 9.7

(9)

て各教科ごとに、とてもすき、すき、ぎらいの3群間で分散分析を行った。その結果、知能につ いては、算数でF(2/368)=a35となり、1第水準の有意差が認められた。これは算数では好 き嫌いによって知能に差があることを示している。さらに単純効果の検定を行ったところ、とて もすきな者(53.7)とすきな者(51.2)およびきらいな者(49.3)の間にそれぞれ有意差のある ことが確められた(煩に6=2.17と6二3.61)。 他の3教科についてはいずれも有意差は認めら れなかった。

 学業成績については、社会(戸=23.37,〃=2/369)および算数(F=2α74,〃=2/368)

でともに1第水準の有意差が認められた。両教科ともとてもすきな者とすきな間(自=407と

=3.85)、すきな者ときらいな者(彦:2.82と彦=3.11)でいずれも有意差が認められた。すなわ ち、社会と算数ではとてもすきな者、すきな者、きらいな者の順に学業成績が並んでおワ、互い に差があることを示している。その他の2教科については、好き嫌いによって学業成績に差があ るとはいえない。

要      約

 小学校の2,4,6年生に国語、社会、算数、および理科について、それぞれ とてもすき すき きらい の3段階の評定をさせ、これらの好き嫌いによって群を構成し、原因帰属、

学習動機、知能(東大A S)、および学業成績を比較した。主な結果は次のとおワであった。

 (1)好き嫌いと原因帰属の関係  全体としては、好き嫌いにかかわらず、成績がよい時には 努力に帰属し、わるい時にはテストに帰属する者がもっとも多かった。国語と社会では、成績が よい時とてもすきな者は、先生に帰属し、きらいな者はテストに帰属する傾向がみられた。算数 と理科では、好き嫌いによる帰属の仕方の違いはみられなかった。

 (2)好き嫌いと学習動機の関係i外発的動機でも内発的動機でも、各教科ともとてもすきな 者の選択率がもっとも高かった。特に、 新しいことを知ワたいから と おもしろくて楽しい から という内発的動機については、好き嫌いによる差が顕著であった。

 (3)好き嫌いと知能および学業成績の関係一知能との関係では算数がとてもすきな者は、す きな者およびきらいな者に比べて知能偏差値が有意に高かった。他の教科では好き嫌いによる知 能の差はみられなかった。また、学業成績との関係では、社会または算数がとてもすきな者、す きな者、およびきらいな者の間には、その順に、成績の宿意な差がみられた。国語と社会では、

好き嫌いによる学業成績の差はみられなかった。

引 用 文 献

波多野誼余夫・稲垣崔世子 1973知的好奇心 東京:中央公論杜(新書)

波多野誼余夫・稲垣佳世子 1981無気力の心理学 東京:中央公論杜(新書)

杉村 健 1968小学生の学習動機 奈良教育大学教育研究所紀要 4,29−34.

(10)

杉村健・藤田正・玉瀬耕治1983小学生における学業成績の原因帰属奈良教育大学教育   研究所紀要 19・105−114.

上田敏見・杉村 健・玉瀬耕治 1972最近の子どもの興味に関する実態 教育心理 20,5,

  367−371.

Weiner,B.1980 ∬ 8  、W0岩ル2 o .N帥York:Ho1t,Rinehar6,&Wioston.

<付記〉 本研究の資料の収集に際し、磯城郡川西町立結崎小学校および心理学専攻生の協力を 得た。統計的分析は心理学専攻3回生植田真佐子、木村鑑廣、伸野保行、横沢祥子によって行わ れた。記して感謝の意を表します。

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