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3 自然対数の底

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Academic year: 2021

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tmt’s math page! 1

3

自然対数の底

eの正体を知るためには対数関数y= logaxの微分を話題にしなくてはならない。微分の定義

∆y

∆x= f(x+ ∆x)f(x)

∆x (∆x0)

にしたがって計算しておこう。

∆y

∆x =loga(x+ ∆x)logax

∆x

= 1

∆xloga

(x+ ∆x x

)

(分子に性質logMlogN = logM

Nを用いた)

= 1

∆xloga (

1 + ∆x x

)

ここで計算の見通しをよくするため、∆x

x =hとおいてみよう。この置き換えで∆x0のときh0で あることに注意した上で、 1

∆xにちょいと手を加えて

∆y

∆x= 1 x· x

∆xloga (

1 +∆x x

)

= 1 x· 1

hloga(1 +h)

= 1

xloga(1 +h)h1 (性質klogM = logMkを用いた)

となることが分かる。問題はh0のとき(1 +h)h1 がどうなるかだ。PowerShellの出番である。

[ps script]

PS C:\Users\Yours > @"

>> [math]::pow(1.1, 10)

>> [math]::pow(1.001, 1000)

>> [math]::pow(1.00001, 100000)

>> [math]::pow(1.0000001, 10000000)

>> [math]::pow(1.000000001, 1000000000)

>> [math]::pow(1.00000000001, 100000000000)

>> "@ > test.ps1

>>

PS C:\Users\Yours > ./test 2.5937424601

2.71692393223559 2.7182682371923 2.71828169413208 2.71828205201156 2.71828205335711

(2)

tmt’s math page! 2

何となく一定の値に収束するように思える。しかし、こういった検証をする場合、これでは不十分である。

理由はh0が必ずしも正の値から0に近づくとは限らないからである。もし負の値から0に近づくなら、

1

h<0である。記述の約束では、指数の負値は逆数を意味したので、その場合は違った値になる可能性がある。

念のため調べておこう。実はそのために、ヒア文字列を使って変数へ代入する代わりにファイルに出力したこ とに注意してほしい。この程度のテキストなら入力もさほど苦にならないだろうが、10...の前に-をつける だけのところもあるので、ファイルに保存して修正することで手間を省いたつもりなのだ。

[ps script]

PS C:\Users\Yours > @"

>> [math]::pow(0.9, -10)

>> [math]::pow(0.999, -1000)

>> [math]::pow(0.99999, -100000)

>> [math]::pow(0.9999999, -10000000)

>> [math]::pow(0.999999999, -1000000000)

>> [math]::pow(0.99999999999, -100000000000)

>> "@ > test.ps1

>>

PS C:\Users\Yours > ./test 2.86797199079244

2.71964221644285 2.71829541998041 2.71828196294237 2.71828175293993 2.71828205338429

どうやら似たような値に収束するらしい。それも有理数でない数に。こんなときにとるべき道はひとつで、

円周率同様この値を文字で表す以外にない。この極限値はeで表すことにする。eは自然対数の底(てい)と 呼ばれ、e= 2.718281828459045· · ·である。PowerShellにさせた計算は若干大きめの値を示しているよう だ。おそらく、有効桁数の限界かpow関数の仕様が影響しているのだろう。

さて、これでlogaxを微分することができた。

(1 +h)1h e (h0)

ということなので、d

dx(logax) = 1

xlogaeである。とくにa=eの場合、関係式は非常に分かりやすい形にな る。1

xlogee= 1

xになるからだ。余計な説明かもしれないが、e1=eに対数の定義を当てはめるとlogee= 1 だからである。一般にlogaa= 1である。さらにa0= 1よりloga1 = 0も分かる。このことは、旅の後半で 使うので覚えておいてほしい。

私たちは10nを基本にして計算しているので、aの値を10とすることが多い。その場合、log10xの微分は

(3)

tmt’s math page! 3 1

xlog10eである。これは少々煩わしい。そのため、微分の計算が簡略化できるように、対数の底は10よりe を優先するのが習慣となっている。もし、logxのように底が省略されたときはlogexであると約束しておき たい。

logxの微分

d

dx(logx) = 1 x

底がeでない場合は d

dx(logax) = 1 xlogae

logaa= 1 loga1 = 0

eの正体が見えてきたのは収穫であるが、だからといってeの計算にメドがたったわけではない。新たな 視点が必要だ。

参照

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