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Kl i ppe l ‑ Tr 6 nau n ay‑ We be r 症候群 における シンチグラフィ所見
関 宏恭 瀬戸 光 二谷 立介 亀井 哲也 柿下 正雄
要 旨
母殊性疾患のひ とつである
Kl i ppe トTr e naunay‑
We be r
症候群 に対 して,手技の簡単 な核医学的検 査 (血液 プール シ ンチグラ フィ) を行 なった とこ ろ,病巣の範囲を明確 に指摘 しえた｡は じめに
Tc‑ 9 9 m
赤血球の体内標識法 による血液プール シ ンチグラフィは,手技が簡便 なわ りには標識率が高く,循環器核医学や脳循環測定等 に よ く用 い られ る｡今 回経験 した
Kl i ppe l ‑Tr e naunay‑We be r
症 候群の症例 は下肢 に広汎な血管腫お よび静脈癌 を有 し,同シンチグラフィにより深部 に至 るまで病巣 を 明確 に掃出 しえたので報告す る｡症 例
1 8
歳男性｡主訴 は右下肢腫脹である｡1
歳の とき か ら右下肢腫脹が見 られ,歩行開始時 より徐々に増 大 してきた｡ また2
歳の ときか ら排便時 に旺門出血Fi g.I Co n t r a s tve r l O gr a mSr e ve a lma r ke ddi l a t i o no fs up e r
f i c i ala ndde e pve i nsi n t her i g h tc al f .
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De p a r t me n to fr a d i o l o g ic a ls c
核医学画像診断
Vol . 2No. 21 9 8 7 .7. ‑ 6 5‑
‑ Fi g.2
The analve no gr am r e ve al s a s e ve r eve nousdi l a
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Fi g.3 Whol e‑ bod
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がみ られた｡右下肢および右背部 には赤色母斑 も認 めたが放置 していた
｡1 7
歳 の とき右下肢疹痛が出 現 したため某県立病院 を受診 した ところ,貧血,右 下肢深部静脈閉塞 お よび直腸 内静脈癌 を指摘 され た｡精査 目的で当院 に入院 した｡入院時身体所見で は,全身状態良好,貧血 な し｡血圧1 1 4 / 6 8
左右差 な し｡胸腹部および上肢 には著変な し｡下肢周囲長 は,右大腿4
1.2,右下腿3 8
,左大腿4 4. 4
,左下腿31. 8c m.
右下腿および右背部 には直径数c m
の赤色 母 斑 をそれ ぞれ認 め,特 に下 腿部 に は静 脈 癌 とt el angi e c t as i a
を認 めた｡下肢動脈 はいずれ も良好 に触知 された｡血液生化学データは異常なし｡画像診断のポイン ト
Fi g. 1
は右下腿部静脈造影である｡広汎な静脈癌 形成が見 られ,同部単純Ⅹ線像では俳骨前縁の骨皮 質不整像 を認 めた｡Fi g. 2
は旺門部静脈造影像 であ る｡直腸周囲にも静脈癌形成 を認 め,旺門出血の原 因 と推測 された｡Fi g. 3
はTc‑ 9 9 m
標識赤血球 によ る全身血液 プール シンチグラムで あ る (aは前面 像,b
は後面像)0Fi g. 3 a
において右下腿 は腫脹 し その全体 にわたって表在性および深在性の静脈癖 と 思われ る異常集積 を認 める｡ また,右腎部 (†印) お よび勝駅排湛像 の上 方 (▲印)にそれ ぞれ母斑 (血管腫) と直腸周囲静脈癌 に一致す る異常集積 が 見 られ る｡Fi g. 3 b
も同様の所見である｡考 察
Kl i ppe l ‑ Tr e naunay‑ We be r
症候群 は先天性であり
,os t e ohype r t r ophi c nae vus
またはhqe man‑
gi oe c t as i shype r t r ophi cans
ともいわれる｡臨床的 には,四肢の皮膚血管腫 (先天性),同側肢 の片側 性肥大 (皮膚,節,骨),静脈癌形成が見 られた時 に診断される｡患部の動静脈 シャン トをしばしば合 併する｡遺伝的関係 は不明である｡発生頻度 は男性 に高 く,女性の約2
倍である｡治療法 としては現在 の ところ根治的な ものはな く,肥大部 に圧迫包帯 を する程度である｡血液プールシンチグラフィは,血 管腫,静脈癌,動脈痛等 といった血液量の増加する 病変に鋭敏であ り,他の画像診断法 に比べて患者の 被曝線量 を不必要に増加 させ ることな く全身のサー ベイを実施できる利点 を有する｡本症例では同シン チグラフィにより血管腫および静脈癌の広が りが右 下肢か ら骨盤部 に限局 していることが明確 に示 され た｡本疾患のみな らず,bl ue r ubbe r bl e b ne vus s yndr ome
等のような血管腫病変の存在部位診断や 多発性の検索 にシンチグラフィは威力 を発揮すると 思われる｡文 献
