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鳳 棒
いわゆる 「資本 と利益 の区別」 には二 つの段 階が あ る領。一つ は,期 間損益
●
計算上 の区別す なわち 「元 入資本 (‑期首資本額士期中資本取引額) と期 間利益 の区別」である. そ して もう一つがタ 本章が と くに関心 を向ける,期 間損益計
●
算後 の区別す なわち 「払込資本 と留保利益 の区別」 である。
「払込資本 と留保利益 の区別」 (以下,単に 「区別」 と表現する場合は,こちら を指す)は, わが国で も長 く商法 (株式会社法)分配規制 と結 びつ けて考 え ら れて きた2ためか, その意義 も, もっぱ ら同規制 との関わ り, あ るい は, その 目的 (とくに債権者保護 目的)との関わ りで理解 され る傾 向が強 くなっていたか も しれ ない。 その ため会計 の領域 で もタ商法 (株 式 会社 法)分 配規制が 「区
別」か ら離 れることが即座 に, その意義 の否定 と結 びつけて検討 されることも あるのだろ う3。
●●●●●●●●●○●●●●● ● しか しタ 「区別」 の本来 的 を意義 は, 出資者及 び経営者 のための任 意 的 ◎個
■●○
別 的 な分 配規制 にお ける利周 にあ る。 いいか えれば, 「区別」 は もともと,倭 権者 のため に行 われ始めたわけではな く, そ して,商法 (株式会社法) の強制 的 ⑳画一 的 な分 配規制以前 に存在 していた。 「区別」 が必要か否 か について議 論が進 め られてい る現在 ,その ことが見落 とされが ちの ように思 う。
そ こで本章 で は, 「区別」 の本来的意義 を確認 ◎検討 す る。 この とき, と く に念頭 にあるのは,安藤英義先生が突 き止 め られた大陸系商法会計制度 におけ
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る六 つ の系譜 の うちヲ債権 者 の ための資本 維持 の系 譜 (『商 法 会 計 制 度論』 第 4 章) よ りも夕 出資者 の ため の利益 調整 の 系 譜 (同第 5 章 ) す な わ ち 「分 配 利 益 の計算 に関す る出資者相 互 間の利 害 の調整 」 (同 タ3 頁 ) の 系 譜 で あ る 。
ここでい う利 害 (の)軍整 とは, よ く知ら れてい る会 計 の 二 大 機 能 の う ち の ‑
つで あ り, 「財 産 ⑳持分 をめ ぐる当事 者 間で の取 るか取 られ るかの 利 害 の 線 引
き」埠の こ とをい う。 なお, もう一つ は情報提供 であ りタ これ は 「企 業 翻 犬 泥 に
つ いての情報 を提 供 す る こ と」5に よって, 「情報 を提 供 され た者 が企業 に 関 し
て正 しい判 断 と意思決定 が行 える ようにす るこ とが 目的であ る 」6。
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「区別」 が必 要 とされ る よ うになった歴 史 的経 緯 につ いて タ ここ で は と くに チ‑ル (D。Kehi)の論述 に沿 って ま とめれば, 次 の ようにな る ア。
16陛紀 イギ リス にお ける株式会社 の初期 的 あ るい は前 身的 な企 業 形 態 (いわ ゆ るジ ョイン ト ス トック ◎カンパニ‑)8ほ 9 ‑ つ の事 業 ご とに財 産 を調 達 し ぎ
それが終 了 した ときに初 めて, 当該事業 に関わ るすべ ての財 産 を分 配 してい た 。
そ こで は,事業 の途 中での財 産分 配 は行 われず,分 配規 制 もみ られ なか った。
ところがタ そのの ちユ7世紀 か ら18位紀 までの イギ リスタ さ らにアメ リカで はタ 企業 の継続性 が高 まるにつれて状 況が変 わ って きた。す なわ ち,企 業が会社 と
して設立 す る根拠 と して規制 当局 か ら付 与 され る特 許状タ あ るい はタ 企業 にお ける 自治 的 なル‑ル を定 め る定款 にタ事 業 の途 中での財 産分 配 について,企業 ご とに個別 のル‑ルが決 め られてい った。
そ こで はタ出資者 の望 み どお りに 「資本」額 に相 当す る財 産 を払 い戻せ るよ うに してお くこ とも可能 であ った。 それ に もかかわ らずタ 財 産分 配 は 「利益」
額 を もとに行 われ る, とい うように決 めてお くこ とが‑般 的 になってい く。 た
第相章 「払込鷺泰と留保利益の区別」と:出資者 癖経営者の利害調整 虜悶
だ当時 は, 「資本 と利益 の区別」 が今以上 に不 明確 であ った。つ ま り, 「利益」
を分配可 能 額 にす る とい うような場合 で もタ その 「利益」 は,例 えば期 間利益 の こ とか留保利益 の こ とかが 明 らかで はなか ったので あ る (そのためここでは, 具体的な内容 を定めずに 「資本」「利益」 という表現 を履いている)。
もし, 「利益」 として期 間利益 の こ とが想定 されていれば, 「資本」欠損 の場 合,す なわちタ純資産額 が 「資本」額 を下 回る場合 であ って も,期 間利益 が計 上 され るか ぎ り財 産分 配 は可能 となる。 しか し, それ に対 して明 らか に,期 間 利益 を直接 的 な分 配可能額 とす るので はな くタ 「資本」 を維持 させ る9分配規言恥 または, 「資本」 欠損 の場合 に財 産分 配 は行 わ ない こ ととす る分 配規制 も, 吹 第 に選択 され る ようになってい ったのであ る。
上 の ような歴史的経緯 をふ まえてケ‑ルほ,分 配可能額が 「利益」 に限定 さ れ る ようになったのは,債権者保護 とい う目的以前 に, まず出資者 のため に, 事業継続 につ なが る 「資本」 の維持 を確 実 に しようとす る 目的があ ったか らで あ る, とみ る相。 その際 にケ‑ルが考 えてい る 「資本 と利益 の区別」 は,究極 的 には 「払込 資 本 と留保利益 の 区別」 で あ るM。 つ ま り彼 は, 「資 本 (払込資
本 )」 欠 損 の有 無 と無 関係 に期 間利益 を分 配可能額 にす る よ りも,事業 の継続 につ なが る払込資本維持型 の分配規制 を原則 とす るほ うが, 出資者 に とって合 理 的 なはずであ る と考 えてい るわけであ る。 そ して, そ こで想定 されてい る分 配規制 は,明言 されてはい ない ものの彼 の論 の運 びか ら,強制 的 ◎画一的を分 配規制 とい うよ りもタ任意 的 ⑳個別 的 な分配規制 であろ う。
ケ‑ルの見解 を私 な りに ま とめ る と,次 の ようになる。 「払込資本 と留保利 益 の区別」 の本来 的 な意義 ◎必要性 はタ債権者保護 とい う目的のため よ りも先
に夕 まず 出資者 のための夕任意 的 ⑳個別 的 な分配規制 にお ける利周 にみ られた。
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た しか に, 「資本 と利益 の区別」 の意味 内容 が不 明確 を時代 にお ける こ とで あ ったか ら,仮 に, 出資者 たちが払込資本維持型 の ような分配規制 を企 図 した
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場合 で あ って も, 当初 は,特 許状 ない し定款 の上 にそれ を表現 しきれ てい な か った (「利益」 を分配可能額 にするというにとどまっていた)可能性 はあ る。 そ
の ような企 図はの ちに,前述 した, よ り明確 な 「資本」維持型 の分 配規制 にお いて次第 に表面化 してい ったのだ とすればタ ケ‑ルの見解 もあなが ち的外 れ と はい えない ように思 う。
また, 「資本」維持 と債権 者保護 とのつ なが りが明確 に認識 され たの は, ア メ リカで1824年 に出 され た Wood v。DummeT事件 判決領2以 降の こ とであ る と いわれ る13。 したが って, それ以前 に置 かれた上 の ような分配規制 にはタ まず は出資者 のための もの とい う性格が明確 であ った とケ‑ルは考 えるわけであ ろ う。 しか もタ その分配規制 は,企業 に個別 の特 許状 ない し定款 に基づ くもので あ りタ前述 の ように,出資者 の望 み どお りの 「資本」払戻 しも許 されていたの な らば,任意 的 や個別 的 な性格 の強い分配規制 であ った とい うこ とがで きるで あろ う。
もっ とも,任意 的 ⑳個別 的 な ものであるか らとい って, 分配規帯摘 言債権者 と 無 関係 になるわけではない。その規制 の内容 をふ まえて もらうことでタ 債権者 が貸付 けについて消極 的 にな らない ようにす る こ ともで きる巧埠。 そのため, 上
の ような分配規制 も,債権者 の こ とを念頭 に置いて設定 された もの とみ る こ と もで きるか もしれ ない。 また,特 許状 ない し定款 において 「区別」 に基づ く分 配規制が採周 されていた として も, その付与時 ない し作成時 にヲ債 権者保護 を
目的 とした規制当局 の介入が なか った ともいい きれ ない。
しか し, これ らの可能性 を認 めて もタ 「払込資本 と留保利益 の区別」 が 出資 者 のため に利周 され る可能性 が排 除 され るわけで はない。それ に,企業 の当事 者 としてほ債権者 よ りも出資者 のほ うが先 ん じる と考 えればタ まず は出資者‑
の配慮 があ って よか ろ う。
以上 の ようにタ 「区別」 に出資者 のための任 意 的 ◎個別 的 な分 配規 制 にお け る意義があ り得 るこ とは, 目を転 じて, ドイツ商法 とアメ リカ会計原則 ⑳基準 の歴史か らも読 み取 れ る。 そ こでタ 次 の第3節 で ドイツ商法, また, それ に続 く第4節 で アメ リカ会計原則 ◎基準 を取 り上 げる こ とに したい。 これ ら二つの
第10寮 「払込鷺泰と留保利益の区別」と出資者 ◎経営者の利 害 調 整 虜欝冨
系 譜 を汲 むわが 国会計 制度 につ い ての検 討 にタ役 立 つ はず で ある 。
なお,本節 の検 討 も,続 く第 3節 及 び第 4節 以 下 の検 討 も,本 章 で い う 「区
別」の本 来 的意義 が ,今 現 実 に存在 す る こ とまで確 認 で きる作 業 で は ない。せ いぜ い, その意 義 が あ り得 る とい うこ とを確 認 す る程 度 の作 業 で あ る。 そ れ で ち,上 の よ うな 「区別」の意義 の可 能性 さえ必 ず しも広 く認識 され てい るわ け で は ない と思 われ る現状 にお い て は なおタ後 者 の作 業 が必 要 で あ ろ う。 そ れ を いず れ前 者 の作 業 につ なげ てい くとい う意識 で,以 下 に検 討 を進 め てい く。
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ドイ ツ商 法 は当初 か ら, 「区別」 の本 来 的意 義 の み な らず , そ れ に対 す る法 の態度 につ い て一 つ の あ り方 を示 して きた。例 えば, ドイ ツの‑王 国で あ った ヴユ ル テ ンベ ル ク の 1839年 商 法草案 (Entwurfeines妄言andelsgesetzbuchesftir das臨地igTeichW色相 embergmatMotiven)は, 法律 と して制 定 され る には至 ら
なか った もの の,次 に示 す合 名 会社 の財 産分 配 に係 る規 定 を含 んで い た帽 。
第 206発 出資財 産 (‑括弧 内省略) を超 え て生 じた剰 余 , す な わ ち利 益 は,財 産 目録 (‑括弧 内省略) の決 算 書 に基 づ い て計 算 されタ
しか もそ れ はタ 経 常 的営 業 を害 さない で可 能 で あ る限 り, 引 き 出 され る。
(第 2項省略)
ここにあ る 「出資財 産」 は,払 込 資 本 の こ とで あ る と解 す る こ とが で きる領ア。
ま た タ 「財 産 目録 の決 算 書 」 は,貸 借 対 照 表 の こ と と解 され る領8。 要 す る に上 の規 定 は,財産分 配 に際 しての,貸借 対 照表 にお け る払 込 資 本維持 を定 め た も のであ る と解す る こ とがで きる 。
こ こ で まず重 要 な こ とは, この規 定 が, 出資者全 員 の合 意 が あれ ば従 わ な く て よい任意 規 定 で あ った とい うこ とで あ る。 つ ま り, 出資者 た ちは, あ らか じ め定款でタ ない しタ総 会 で そのつ ど,別 の分 配 (可能)額 を (資本欠損 の場合 に
∴ ∴
は最近の期間利益額の範囲内で)決め るこ とがで きたわけであ る
確 9 。
その ような任意規定 の 目的は, 出資者相互 間での財 産分配 をめ ぐる争 いの緩 和 にあ った。つ ま りタ 出資者 間で分 配可能額 を決 めてい なか った ような場 合 に は, 上 の規定 に基づいて決着 をつ ければ よい し,別 の分配可能額 を利摺 したい
場 合 は, そち らで決着 をつ けるこ ともで きるタ とい う趣 旨である 。
他方で同草案 には, ドイツで初 めての,株式会社 に対 す る一般 的 な 規 定 が含 まれていた。そ して, その財 産分 配 に係 る第261条 1項 は, 「資本」維持 を定 め る点 で上 の第206条 第 1項 と類似点 を持 つ一方, 対照 的 に強行規定 であ った。
この第261条 1項 は, ドイツ商法 に伝統 的 な,有 限責任社 員 を擁 す る会社 に対 しての強制 的分配規制 を成 す もので,債権者保護 を目的 としていたのであ る20。
以上 の こ とか ら, ドイツ商法 では当初 よ り, 出資者相互 間で財 産分配 をめ ぐ る利害対立が生 じ,その調整が必要 とされ得 る と考 え られていた こ と, またヲ それは出資者 たちの任意 的 な調整 に委 ね得 る問題 であ り, そ こに強行規定 に よ る介入が なか った こ とを知 る。
ところで, ヴユルテ ンベル ク商法草案 にはタ 資産評価規定が ない。それ はタ 分 配可能額 の計算 に, 当時の慣 習 的方法 (棚卸資産に低価主嵐 固定資産に減価 償却 を前提 とする原価主義) をその まま採欄 させタ 分配額 をめ ぐって出資者相互
間で納得が得 られやすい ようにす るためであった とみ られ る2巧。
それ と同 じ姿勢 はタ 上 の第206条第 1項 に も貫 かれてい た とい えるので はな か ろ うか。 つ ま り, この規 定 に基 づ く払込資本維持 型 (に経常的営業維持 を加 味 した)分 配規制 は, 出資者相互 間で納得 が得 られやす い合理 的 な もの と考 え られ たか らこそ, い わ ばデ フ ォル ト ル‑ル (初期設定のル‑ル) と して採庸 されたので はなか ろ うか。 この こ とか らもタ 「区別」 の本来 的 な意義 が読 み取 れ るように思 われ る。 つ ま り 「区別」 は, まず は広 く出資者 のため に必 要 とさ れタ 利周 されていたわけであ る。 この基盤が まず あ って, その上 にタ 株式会社 の場合 には,企業 の財 産分配 を直接 に支配す る立場 に立 てない債権者‑ の配慮 が便乗す るかたちになってい る22。
第 1 8 章 「 払 込 貸 奉 と 留 保 利 益 の 区 別 」 と 出 資 者 ◎ 経 営 者の利害調整 者欝㌘
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あろう。
他方, わが国ではタ と くに 「企業会計原則」一般原則 ◎三 を念頭 に置 きなが らタ 「払込資本 と留保利益 の区別」を会計原則 とみ る立場 は少 な くない。
この論点 については, わが国会計原則 帝基準 の主要 な源流 とみ られるアメ リ カ会計原則 ◎基準 に遡 ってみ るのが よい と思 う鋼 。
「一般 に認 め られた会計原則」 (GeneTauyAcceptedAccountingPTincipies)の 原型 とも称 され る25, いわゆる1932年 AⅠA5原則 には, 「資本 と利益 の区別」
に関わ る次 の原則 (第2原則)が あ る26。少 考長 いが,必要 なので,.その全文 を次 に引周す る望ア。
「いか なる資本剰余金 もその創 出源泉 のいかん を問わず,本来であれば 損益勘定 に倍記 され るべ き当年度 もしくは次年度以降の費周 または損失 を 差引 宅ために 使 用 さ れ て ほな らない。 このル‑ル には次 の例夕痛 言認 め られ る。会社 更生 (r e or ga n izat呈on ) にあたってク当該会社 がその まま継続す る とす れ ば損益勘 定 に倍 記 され るであ ろ う費周 または損失 (charges)を更 生会社 が同勘定 にチ ャ‑ジ しな くて済 む場合 にはタ 当該会社 は会社更生 に よることを くそれ と同一の効果 を達成す ることが許容 される。 ただ し, 杏
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の場合 には当該諸事 実 が株 主 に開示 され, かつ会社 更生 の場合 と同様に当 該行為 につ い て株 主 か ら正式 な承 認 を得 なけれ ばな ら ない 。」
この第 1文 は芦 「元 入資 本 と期 間利益 の 区別」 を念 頭 に置 きなが ら読 む ほ う が理解 しやす いで あ ろ う28。
「払 込 資 本 と留保 利益 の 区別」に関心 を向 け る本章 に とってタ よ り重 要な の
は, 第 2文 以 下 で あ る。 これ はの ち に,資 本 欠損填 補 (い わゆ る未処 理 損 朱 を
払込資本 と相殺 して消滅 させ る処理) に関 わ る会計基準‑ と展開 され て い く調。
その展 開 の実 質 的 を第 一 歩 冒ほ,「1934年協 会規則第 2 (1934年 に AⅠA 会員か ら承認 ◎採択 を受けたタ上の第2原則のこと‑石川)についての敷桁」 (Am班fica‑ tionofⅠnstituteRuk No。2ofユ934) とい う副題 を 付 された夕1939年 9月のA互A 会 計 研 究 公 報 第 3号 「準 更生 または会社 自 主 整 理 」 (唾uas卜鮎 oyganiz離豆onoT CoTPOrate鮎 adjustment)の公 表 で あ っ た 。
この流 れ を汲 む ア メ リカの会計基 準 は , ユ 9 3 2年 A瓦A 5原則以来夕資本欠損 の填補 につ い てタ債権者 で はな く夕株 主す な わ ち出資者の承認 を求めてい くこ
とになる。注 目したいの は, このこ とで あ る。その会計基準 の意味はタ次のよ うに解 される。資本欠損 填補 は,単 に払込資本額 を減少 させるにとどま ら ず タ の ちの 「払込資本と留保利益の区別」 に基づ く財産分配のあ り方夕し た が っ て タ
出資者 のための利 害調整 のあ り方 を変 える可能 性 が あ る 。 こ の場合夕会 計 基 準
は 「区別」 を前提 に してタ資 本 欠損 填 補 につ き 出 資 者 (株 主) の承認を 取 る べ
Lとい う指針 を与 えタ彼 らの ための利 害調 整 を円滑化 す る こ とに‑筏買 っ て き
た, と解 され る30。
なお, ここで強調 してお きたい こ とは, その ような指針 は夕必ずしも強制 的 に通 庸 され る必 要 はない と思 われ る こ とで ある 3頂。 資 本 欠 損 填補はタ それ 自体 が直接 に企 業財産 の変動 , ひい て は, 出資者 の 利 害 に (悪 ) 影響 を及 ぼす わ け で はない。 とはい え 上 に述べ た ようにタ それに よ っ てタ以後 の 「区別」に 基 づ く, 財 産 分 配局面に おいて企業に残 され運周さ れ る財 産額 , あ るい は, 出 餐者
へ の 財 産 分 配 のあ り方 も変わ り得るで あ ろ う。 その こ と も視 野 に入 れ るな ら,
第38章 「払込鷺漆と留保利益の区別」と出資者 ⑳経営者の利害調整 虜79
資本欠損填補 の段 階で,出資者 の承認 を取 るこ とを勧 め る会計基準 が あ って も おか しくない と思 う。 ただ し,それ はあ くまで, 勧 め られ る程度 の こ とであ る。
そ もそ も,会計原則 ◎基準 それ 自体 は,強制 的なルールではなか ったはずであ
る 。
要 す るに, 「払込資本 と留保利益 の区別」 が会計原則 ⑳基準 た り得 る根拠 の
一 つ は, それが財 産分配 をめ ぐる出資者 のための利害調整 にタ よ り任意的 ◎個 別 的 な次元 において役 立 ち得 るこ とである, と解 す る こ とがで きる。そ して こ の こ とは必 ず しも, 「元 入資本 と期 間利益 の区別」 の重 要性 を左 右す るわけで はな く, 「資本 と利益 の区別」 の二段 階 は共存 で きる こ とを付 言 してお きたい0
なお, わが 国 にはタ 資本欠損填補 に関す る会計原則 ◎基準 (それを行 う場合 の,旧資本の部にお ける項 目の取崩順位 や, その結果 の財務諸表記載 の方法 につい ての会計原則 ⑳基準) は存 在 してい たが3望ヲ それ を行 うた捌 こ出資者 の承 認 を 求 め る ような会計 原則 ⑳基準 は存在 して こなか った。それは, 商 法 ◎会社 法 が 資本欠損填補 につ き出資者 (株主)の承認 を求 めて きた33ので,会計原則 ⑳基 準 が あ らためてそれ を求 め る必要が なか ったためであ る とみ るこ ともで きよう。
少 な くとも, わが国の会計原則 ⑳基準 においてタ上 の ようなかたちの利害調整 , もっ と一般 的 にい えば, 財 産分配 をめ ぐる出資者 のための利害調整 は問題 にな らない と考 え られてい るわけで はない と思 う鋼 。
仁.) 十 ,∵.・‑守 ・一・‑主上 ・ I.(i・∵、二宮 、 ‥ 二∴ ㍉ ‥ 十 :I:::: 了 …・・‑∴ 十 三三十 ‡ ところで, ここまで明確 には述べ てこ な か っ た が タ 資 本 欠損填補 につ き出資 者 に承認 を求 め る よう勧 め られてい るの ほ 経 営 者 (取 締 役 ) であ る。 したが っ てタ この場合,上 で述べ た出資者 のため の 利 害 調 整 は , 形 式 としては 「出資者
‑経営者 間」 の利 害調整 である。 これ は タ 経 営 者 に と っ て み れ ば, どれだけの 財 産 を企業 に残 して遅周 す るか に関わ る 問 題 で あ り , ひ い て は 企業 の利益 , そ して 自身の報酬 に関 わ り得 る問題 であ ろ う 。 そ の 意 味 で 経 営 者 も, 「区別」 を 履 いた財 産分配 をめ ぐる利害 関係者と な り 得 る 。 と く に 現 代 に お ける,いわゆ
そ うた い
る所有 と経営 の分離タ したが って出資 者 と 経 営 者 の 相 対 関 係 を ふ ま える と, こ
Jβ。
の 「出資者 ‑経営者 間」 の利 害調 整 は軽視 で きない。
他 方 で 「払込 資本 と留保 利益 の 区別」は, 「出資 者相 互 間」 で の利 害調 整 に も役立 ち得 る。 す なわ ち 「区別」は, と くにアメ リカに お い て タ財 産分 配に つ
いて異 なる権利 を もつ 出資者が存在 す る場 合 にタ それら の 出 資 者 間で 納 得 が 得
られやす い ような (例 えば,分配 優 先 株 主が払い込 んだ金額 と , 普通株主 が 払 い 込
んだ金額 とを分 けて処理 しておいて , 前 者 が払い込んだ金額を後者が受 け取 る とい う 形式 にな らない ような)「区別」に関す る会計 処 理 が検 討 され て きた の で ある 35 。
また,財 産分 配 につ い て異 な る権利 を もつ 出資者 相 互 間 の利 害 対 立 はタ 要 す
るにタ 財 産 分 配 (財 産 を どれだけ企 業 に残 し, どれ だけ分 配す るか) をめ ぐる選
好 の違 い に起 因す る問題 で あ る とみ れ ばタ それ はタ 異 なる権利 を もつ 出資者相 互 間で な くて も,具体 的 には, 普通株 主相 互 間で あ って も36存在 し得 る問題 で あろ う。 その よ うにみ る と, 「区別」 は, よ り一般 的 な意 味で の 「出資 者相 互 間」のタ 財 産分 配 をめ ぐる利 害調 整 に役 立 ち得 る こ とにな る 3冒 。 さ らにい えば夕 前述 の 「出資者 ‑経営者 間」 で の 「区別」 をめ ぐる利 害調整 も, つ まる ところ 財産分 配 をめ ぐる利 害調 整 で あ る点 で は, 「出資 者相 互 間」 の そ れ と同 じで あ
る。
そ こで以 下 で はタ 上 の よ うな利 害 関係 者 た ち を包 括 した意 味 にお け る出資 者 ⑳経営 者 の ため の もの と して, 「区別」 と財 産分 配 をめ ぐる利 害 調 整 を捉 え
る。
(.; ・・∴L:::誹 い ∴半 .;::̲'・∵.':1㌦十 t:I.I‑ ∴ ・十 ‥・‑:、∴・一・、iパ '::::LL:I:.':∴ .ll‑ ∴∴ .i+I: またタ 本節 で は, と くに会計 原則 争基準 を題 材 に してタ 「区別 」 を履 い た 出 資者 ◎経営者 の ための利 害調 整 が あ り得 る こ とを読 み取 って きた 。 しか しそれ は,商法 ◎会社 法 にお いて も問題 にな り得 るはず で あ る。 例 えば , わが 国で はタ
商法 ◎会社 法 が資本 欠損 填補 につ き出資者 の承 認 を求 めて きた ようにタで あ る。
ここまでタ 選 んだ題材, 及 び, 論 の進 め方 の関係 か らタ商法 と会計 原則 ⑳基
準 とを別 の節 で取 り上 げて きたが,上 の こ と もふ まえて以下 で はタ それ ら両方 を含 む会計 制度全体 の問題 と して, 「区別」 と財 産分 配 をめ ぐる出資者 ◎経 常
第帽章 「払込鷺奉 と留保利益の区別」と出資者 ◎経 営 者 の 利害調整 官8虜
者 のための利害調整 について検討 してい くことにす る。 た だ,その利害調整 はタ 会計原則 ◎基準 に基づ く場合 にほ よ り明確 であるが,商法 ◎会社法 に基づ く場 合で もタ 必ず しも強制的 ⑳画一的 にではな く,前述の ように任意 的 ⑳個別 的に 行 われて よい もの として捉 え られてい く。
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章 ::‑..∴ ∴ ∴ 十 十 、∴揮 7:,車千古 il:I.:・.・:・・:膏 恒 帝 :本節 で は, ここまでの検討結 果 の特徴 を明確化 す るため に,「区別」 の意義 に関す る先行研 究 について必要最低 限の レビュ‑ 38を行 う。 これは要す るに, 安藤先生 か ら私 が学 んだ, 「区別」 の意義 に関す る見 方 の独 自性 を確認 す る作 業 である とともに,次節以下 に検討 を進める必 要性 をあ らためて問 う作業 であ
る 。
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まず, 「区別」 に会計 の情報提供機能 を見 出す見解 としてほ,それが留保利 益 の厚 さによる財 政基盤 の強度 の判定や,経済的成長 の測定 に役立つ とい う見 解がある39。
また,分配可能利益 ない し留保利益 に対す る実際の分配金額 の大小 が, 出資 者 (株主) と経営者 との間でエ‑ジェ ンシ‑問題 を発 生 させ るこ とを示唆す る
見 解 ◎実証研 究結果が ある堵0。 これ には,出資者 と経営者 との関係 に注 目す る
点 で本章 の見方 と共通す る面がある。 ただ,そ こでは もっぱ ら,出資者がいわ ば受 身的 にタ あ くまで事後 的を結果 としての情報 を受 け取 るような, 会計 の情 報提供機能が想定 されている。 それは本章 におけるような,情報提供以前 の, 出資者が直接 的 に分配 ない し分配額 の決定 に関わるようを状況 まで想定す る, 会計 の利害調整機能 についての議論 とは違 っている堵領。
とはいえ,上 の ような共通点 と相違点が,一つの ことに気づかせ て くれる。 それ は, 「区別」 が, 出資者 ◎経営者 のための利害調整 の面 で役立 ち得 ること
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と,情報提供 の面で役立 ち得 るこ ととは,本質的 に違 うわけではない, とい う ことであ る。 つ ま り, 「区別」 が利 害調整 の面 で役 立 ち得 るの ほヲ 出資者が 取 るか取 られ るか の財 産分 配 に関 わ る こ とが で きる度 合 いが 強 い場合 で あ りヲ
「区別」 が もっぱ ら情報提供 の面 で役立 ち得 るの ほタ その度合 いが 弱 い 場 合 で あ る と考 え られ る堵望。 この ように,会計 の二つ の 機 能 に 照 らせ ば違 う もの と し て位 置づ ける こ ともで きる 「区別」 の意義 は タ 「出 資 者 ‑経営者間」 の 問題 と
してほ同 じ線 の上 に存在 してい るわけであ る 。
その間‑線上 の片側 (情報提供機能)で意義 が確 かめ られつつ ある とす れ ばタ もう片側 (利害調整機能)の意義 も,程度 の差 こそあ るか も しれ ないがタ実 在 していておか しくない。つ ま り, 本 章が考 える ような 「区別」 の意義 の検討 を, なお進 める必 要性 は認 め られて よい と思 うのであ る 。
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次 に, 「区別」 に会計 の利 害調 整機 能 を見 出す見解 と して ほ,法 に よ り分 配 可 能額 が留保利益 に限定 され る場 合 に 「区別」 は必 要 で あ る とい う見 解 が あ る櫓遜。 ただ しこれは,強制 的 ⑳画一 的 な分配規制上 の意義 であ りタ 法 が い か な る分配規制 を採 るか に左右 され る。 なお,一般 的 に,強制 的 ◎画‑ 的分 配規制 の 目的は債権者保護 にある と理解 されて きたタ とい って よいであろ う。
他方でヲ任意 的 ⑳個別 的 な分配規制 にお ける 「区別」の意義 を認め る 見解 が あ るが,そ こで もと くにタ 企業 (本章でいう出資者及び経営者) と債権者 との利 害 を調整す る役割が指摘 され る朋 。
なお夕理論 的 な観点か ら,本章 と同様 に企業維持 につ なが る 「区別」 の役割 について考 える見解 は少 な くない。 しか し, この見解 にあ って も,制度 的 な観 点が太 る と, 「区別」 と強制 的 。画一 的分 配規制 との結 びつ きを当然 とみ るか の ような見解 につ なが りが ちであ る堵5。
以上 の先行研 究 との違 い を意識 しなが らタ本章 の ここまでの検討 内容 をまと めれ ば,次 の とお りであ る。
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・ 「 払 込 資 本 と 留 保 利 益 の 区 別 」 は , 財 産 分 配 を め ぐ る 「出 資 者 相 互 間 」 及
び 「出 資 者 ‑ 経 営 者 間 」 の 利 害 調 整 に お い て 利 周 さ れ 得 る 。
・ 商 法 は 必 ず し も , 財 産 分 配 を め ぐ る 「出 資 者 禰 宜 間 」 及 び 「出 資 者 ‑ 経 営
者 間 」 の 利 害 調 整 に 画 一 的 に 強 行 規 定 を も っ て 介 入 せ ず タ し た が っ て そ の
利 害 調 整 は タ 任 意 的 @ 個 別 的 な 次 元 で 行 わ れ 得 る 。
・ 会 計 原 則 ◎ 基 準 は , 納 得 の 得 ら れ や す い 「区 別 」 の 指 針 を 示 す こ と で タ 財
産 分 配 を め ぐ る 「 出 資 者 相 互 間 」 及 び 「出 資 者 ‑ 経 営 者 閣 」 の 利 害 調 整 に
役 立 ち 得 る 。
こ こ で は , 「 区 別 」 本 来 の 任 意 的 ◎ 個 別 的 な 性 格 が 強 調 さ れ て い る 。 そ れ に
対 し て タ 安 藤 先 生 は , 「 区 別 」 あ る い は そ れ を 前 提 と す る 払 込 資 本 維 持 を緩和
す る か の よ う な タ こ こ 数 年 の 資 本 制 度 (本 章 で い う 強 制 的 ⑳画 一 的 な 分 配規制)
の 揺 ら ぎ な い し 崩 壊 の 兆 し に も 配 慮 し て お ら れ る 堵60 そ の 一 見 し た と ころの違
い は , 安 藤 先 生 の 会 計 制 度 論 に お い て ほ , 出 資 者 の た め の 利 害 調 整 だけで な く,
債 権 者 保 護 に 関 わ る 利 害 調 整 や , 制 度 の 安 定 性 ◎バ ラ ン ス ま で 視 野 に太 ってい
る 堵 雷 の に 対 し て , 本 章 は も っ ぱ ら , そ の 視 野 の 一 部 で あ る 出 資 者 ⑳経営者 のた
め の 利 害 調 整 に 注 意 を 向 け て い る こ と に よ る 。
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上 に ま と め た 本 章 の 見 方 に お い て ほ , 「経 営 者 ‑出資者 間」 あ るい は 「出資
者 相 互 間 」 で タ 財 産 分 配 を め ぐ る 利 害 の対 立 が存在 しなけれ ば,、「区別」 は必
要 な い 。 こ の こ と は , 考 え の う えで は企業 の規模 を問 わないが,実際 にはタ 所
有 と 経 営 の 分 離 が 太 き く な りやす くタ また,出資者 の数が多 くな りやす い大企
業 で は , 「 区 別 」 が 必 要 とされ る可能性 は高 くなるであ ろ う。反 対 に, 所有 と
経 営 の 分 離 が 小 さ く な りやす く,出資者 の数が少 な くな りや す い中 小 企業では夕
「 区 別 」 が 必 要 と さ れ る可能性 は低 くなるとい う傾 向はみられるであろう。 そ の 一 つ の 現 わ れは,個 人商人 ないし個 人企業 の簿記 ◎会計における資 本 が