氏名・(本籍)
学位の種頬 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件
学位論文題目
論文審査委員
松 本 寛 樹(長崎県)
工 学 博 士
工博甲第 39 号 昭和63年3月18日 学位規則第5条第1項該当
電子科学研究科 電子応用工学専攻
スイッチドキャパシタデータ変換器とその応用に関する研究
(委員長)
教 授 安 藤 隆 男 教 授 宇 野 正 美 教 授 柿 元 章
教 授 山 本 達 夫 助教授 渡 辺 健 蔵
論 文 内 容 の 要 旨
最近のモノリシックIC技術の進歩に伴い,従来のアナログ信号処矧はより正確なデジタルシグナ ルプロセッサ(DSP)に代表されるデジタル信号処理へと置き代わりつつある。しかしながら,画 像′音声′湿度等で馴染みの日常取り扱われる信号は物理量(アナログ信号)であって,直接DSP で処理できないので,物理量と符号を変換するデータ変換器が必要とされる。現在このデータ変換器 をDSP内に組み入れて1チップのアナログ・デジタル混成信号処理LSIの実現が期待されている。
他方,音声帯域のフィルタをモノリシック化する為に発展してきたスイッチドキャパシタ(SC)
回路はアナログスイッチと容量で構成され,容易にIC化できる。SC回路はフィルタへの応脚こと どまらずスイッチの開閉のタイミングをL夫する事により,アナログ信号をデジタル処理するアナロ グ・デジタル混成回路すなわち上述のデータ変換器へ応用できる。(SCデータ変換器)。この観点 に立ち′本論文では′有用なデータ変換器であるアナログ・デジタル(A/D)変換器,デジタル・
アナログ(D/A)変換乳電圧・周波数(V/F)変換乳周波数・電圧(F/V)・変換器をSC 回路を用いて実現した。六,七章でその応用を述べる。
二章では′積分器′増幅器等の基本と成る信号処理部をSC回路で実現する際難点である,スイッ チ制御信号の間隙で演算増幅器の負帰還が外れて生ずる出力飽和現象(スパイク)を解決したスパイ ク補償SC恒】路を提案する0提案伺路は補償用容量CMを僅か1個付加するのみで実現され,種々の SCデータ変換器に広く応用できる。
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三章では,節点に付随する寄生容量,演算増幅器のオフセット電圧,有限開放利得,デジタル部か らの漏れ電荷(クロックフイPドスルー)の影響を受けない50ppm/Vの直線性誤差を示すF/V変 換器及びV/F変換器(VFCq2),ジッタを伴わず発振周波数が安定しているV/F変換器(V FC−1),更に,積分器に流入する電荷と引き出される電荷を平衡させる事により変換を行う14ピッ 卜の高分解能を有する電荷平衡型A/D変換器を提案した。本章で提示したデータ変換器は高分解能 であるが,変換速度が遅いので計測器,試験装置へ応用されうる。
四章では,センサからの信号をA/D変換しデジタル信号処理の後D/A変換しアクチュエータに 帰還することにより制御を行うプロセス制御装置に有用な中速度の循環型A/D変換器,D/A変換 器を提案した。本データ変換器は1ビットのD/A変換を2クロックサイクル,A/D変換を5クロッ クサイクルで実行する。分解能は12ビットであり,変換速度は100/上秒である。両変換器共極めて少 ない素子数で構成できるので,集積化に要するチップ面積は極めて僅かである。従ってここで述べた 回路は安価で高精度のデータ変換器として広く実用に供されよう。
青草では,より高速の変換を行う為に,nビットを1クロックサイクルで並列変換しmクロックサ イクルでn Xmビットの変換を終了する逐次並列型D/A及びA/D変換器を提案した。一般に変換 速度が向上すると分解能が低下するので定められた変換速度に対し,高速データ変換器を最適な回路 構成で実現できる。変換時間は5〟秒が可能であり,分解能は8ビット以Lと推定される。高精度で 高速変換が要求される場合には,小ビットの並列変換構成をパイプライン接続する必要があろう。
六章では,電荷平衡型及び循環型A/D変換器の応用として,デジタル容量計測器を提案した。一 般に披測定容量Cェは接地形式もしくは非接地形式で測定される。本計測器の動作は演算増幅器のオ
フセット電圧や回路の寄生容量に影響されないので,高精度の容量測定ができる。誤差解析によれば,
現在のMOS技術で12ビットの分解能が得られる事が分かった。又,構成素子数が少ないので,集積 化に要するチップ面積も少なくて済む。従って,ここで提案した容量計測器はMOS容量測定,容量 型トランスジューサの信号処理に有用である。
七章では,六章で提示したデジタル容量計を湿度,圧力等を容量型センサで検出し二進数で表示す るデジタル湿度計,圧力計に応用した。特にセンサの容量変化はそのオフセット容量に比して小さい のでオフセット容量をセンサ信号処理回路内で相殺し,感度を向上させた。本デジタル計測器の動作 は節点に付随する寄生容量,演算増幅器のオフセット電圧,有限開放利得等のアナログ部の素子変動 の影響を受けない構成であり,計測精度はセンサの直線性,経時変化により決定され1%である。本 計測器をモノリシック集積化してデジタル出力を有するオンチップインテリジェントセンサを実現で きる。
八章で全体を総括している。
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