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キー ・ワー ド :障害児者, 自立,イメージ,支援 ・指導

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「 障害児者の 自立」のイメージに関する研究

笠 原 芳 隆書・丸 山 昭 生' '

本研究では,障害児教育 を専攻す る学生が もつ障害児者の 自立についてのイメージと,障害児者の 自立を推進す るために必要 と考える事項及び自分 自身が取 り組んでみたい事項 を明 らかにすることを 目的に質問紙調査 を行 った。その結果, 自立 については,身辺 自立や経済的 自立だけでな く, 自己選 択や 自己決定すること,支援 を受けなが ら生活すること,社会参加 し人のためになることを含め,幅 広 くイメージ していることがわかった。 また, 自立推進 に必要な事項 として,支援サービスの充実, 健常者 ・障害者双方の意識改革,教育の充実等があげ られた。 自分 自身が取 り組んでみたい事項 とし て,専門性 を生か した支援 ・指導,地域 における余暇活動やボランティア活動‑の参加等があげ られ た。

キー ・ワー ド :障害児者, 自立,イメージ,支援 ・指導

Ⅰ 問 題

近年,障害者福祉や特別支援教育の分野においては

「自立」がキーワー ドとしてあげ られることが多い。

福祉の分野では ,1 9 9 3 年 , 「障害者の 自立及び社会, 経済,文化その他あ らゆる分野の活動への参加促進 」 を目的に障害者基本法が制定 され,同年,障害者の主 体性 ・自立性の確立等 を目指 した障害者対策に関する 新長期計画が発表 された。それを受けて 1 9 9 5 年には障 害者プラン〜ノーマライゼーシ ョン 7 か年戦略〜が提 示され,新長期計画の重点施策実施計画を具体的な数 値目標達成 としてあげ,施策が実行 に移 された。その 級 ,1 9 9 7 年に中央社会福祉審議会が 「 社会福祉基礎構 造改革について ( 中間まとめ)」 を発表 し , 「 個人が人 としての尊厳 をもって,家庭や地域の中で,その人 ら しい自立 した生活が送れるよう支 える」 こと等 を理念 としてあげ ,2 0 0 0 年には,障害者のサービス利用 に関 する自己選択 ・自己決定を軸 とした支援費制度が導入 された ( 赤塚 ,2 0 04) 。そ して ,2 0 02 年に新長期計画の 理念を継承 ・発展 させた新たな障害者基本計画が閣議 決定され ,2 0 0 3 年には新障害者プラン ( 重点施策実施 5 か年計画) として具体的な施策が実施に移 された 。

現在 , 「 障害者の地域生活 と就労を進め, 自立を支援す

' 障害児教育講座 ' ' 障害児教育実践センター

る」障害者 自立支援法が施行 されようとしている。

一方,教育の分野では,平成 1 1年 3 月告示 の盲学 校,聾学校及 び養護学校学習指導要領改訂 の基本方 針 として, 自ら学 び 自ら考 える力の育成,職業的な 自立の推進 ( 文部省 ,1 9 9 9) 等があげ られた。 また,

「個 々の児童又 は生徒 が 自立 を 目指 し障害 に基づ く 種 々の困難 を主体的に改善 ・克服する」 ことを目標 と した自立活動が新 しい領域 として設けられた。 この 自 立活動は,それまでの養護 ・訓練 に替えて設け られた 領域であ り,基本的な理念 は養護 ・訓練 と変わ らない ちのの , 「自立」 を目指 し児童生徒が 「主体的」 に取 り組 むことを強調 した ところにその特徴がある。

以上の ように,福祉,特別支援教育 それぞれの分

野 において障害児者 の 「自立」が クローズア ップ さ

れ, 自立 を目指 しての支援や指導 を実施する方向で動

いているが,具体的な障害者の 「自立」 とはどの よう

な ものなのだろ うか。海津 ( 2 0 05) は,障害児者 の

施策の中に 「自立」 とい う言葉がいたるところで重要

視 されているにもかかわ らず,その言葉の意味が唆味

なまま使われ,読み手によってそれぞれ違った とらえ

方がなされていることを指摘 し, 自立についての共通

理解 を図ることが必要であると述べている。併せて海

津 ( 2 0 0 5 ) は,厚生労働省 も, 自立をどのように定義

づけ,表現 していけばいいのか検討 を繰 り返 している

段階であることを指摘 している。盲学校,聾学校及び

(2)

笠 原 芳 隆 ・丸 山 昭 生

養護学校学習指導要領解説 ‑自立活動編 ‑ ( 文部省, 2 0 0 0) には, 自立活動 における 「自立」 とは 「 幼児児 童生徒 がそれぞ れの障害 の状 態 や発 達段 階等 に応 じ て,主体的に自己の力 を可能 な限 り発揮 し, よ りよ く 生 きていこうとす ること」 と示 されている。 しか し, 具体的な児童生徒 の 自立の姿 までは触 れていない。

三野 ・霜 田 ・塩入 ・大熊 ( 2 0 0 5) は,小学生か ら大 学生の 日常生活の 自立度 を測 る項 目として,挨拶,身 支度, 自分 の部屋 の掃 除,衣服 の洗濯 ,持 ち物 の準 備 ,食事準備 ,金銭 管理 ,一 人暮 ら し等 をあげて い る。渡辺 ・上村 ( 1 9 9 8) は,子 どもの生活的 自立 とし て,その発達過程 において依存 か ら脱却 し,身辺処理 能力 と生活管理能力の獲得 された状態で,物事 を自己 決定す る自律 の能力 も含 まれる としている 。 一方で小 出 ( 1 9 9 6) は,障害のある人たちについて,障害のた めに受 ける生活上の制限を最小 限にす るように支援 的 対応 を徹底すれげ,生活全般 は確実 によ り自立的にな る とし , 「 他 に支 え られての 自立」が ある と述べ てい る。海津 ( 2 0 0 5) ち, 自立 とは,障害があって もな く て も, 自分が どうしたいのか,何 を したいのか, 自分 を愛 し, 自分の意思で人生 を決め,選択で きるように なって,そのために助 けが必要 な ときは,人 を頼 り助 けて もらい, 自分 らしくよ りよ く生 きることと述べ, 小 出 と同 じように他 に支 え られての 自立の考 え方 を示 している。 また,新潟大学教育人間科学部附属養護学 校 ( 2 α池) は, 自校の児童生徒 の自立を 「 現在及び将来 において,社会の中で 自分の個性や力 を発揮 し,充実 感 を持 ち続 けて生 きることと」 とし, 自立 につ なが る 力 として,豊かな心,健康 な体, 日常の生活動作, コ ミュニケーション,集団生活,地域資源の利用,余暇, 家事 ・労働 の 8 つの観点 をあげて指導 を行 っている。

この ように 自立 に対す る とらえ方 は多様 であるが, その結果 として,実際 に支援 ・指導 にあたる子 どもの 自立の姿 も多様 にな り,支援 ・指導の内容が唆味 にな ることが予想 され る。松本 ( 2 0 01 ) は,特殊教育の 自 立活動 において 自立 を目指 した指導 を行 うためには, 具体 的に自立 を 目指 した個別の指導計画 を立てねばな らず,そのためには,生徒 にとって 自立 とは何か,そ れは どの ような状態像か,本人は もとよ り,教 師 も親 も具体的に考 えなければな らい と述べている。

そ こで,今後特殊教育諸学校等 で障害児者の 自立 に 向けての支援 ・指導 を担 うことが想定 される障害児教 育専攻の学生が,障害児者の 「自立」 をどの ようにイ メージ しているか を整理す ることで,障害児者 に対 し て 自立 に向けての適切 な支援 ・指導 を考慮す る上での

表 1 対象者の内訳 ( 人)

教職経験 (1年以上) あ り なし

障害児者 あ り 1 0 1 1

ボランティア経験 なし 0 1

資料 を得 たい と考 えた。

Ⅰ 目 的

本研究では,障害児教育 を専攻する大学院生が もつ障 害児者の 自立についてのイメージと,障害児者の自立を 推進す るために必要 と考える事項及び自分 自身が取 り組 んでみたい事項 を明 らか にす ることを 目的 とす る。

Ⅱ 方 法

( 1 ) 対象

A 大学障害児教育専攻大学 院院生及 び内地留学生 2 5 名 ( 以下 , 「 対象者」 とす る。)

( 2) 方法

以 下 の質 問項 目につ い て, 自由記述 で 回答 を求め た。調査用紙 は直接対象者か ら封筒 に厳封 した状態で 個別 に回収 した。

( 彰 障害児者 の 自立 につ いてのイメー ジ

② 障害児者 の 自立推進 に必要 と考 える事項

③ 障害児者 の 自立 に向けて 自分 自身が取 り組んで みたい事項

④ 障害児者 の 自立 を考 えた際の障害児者 の障害に ついて

( 3) 分析 の視点

① か ら④ の質 問項 目それ ぞれ につ いて 自由記述 に よ り求 め た 回答 を, 内容 ご とに一項 目 と して分 け, 川喜 田 ( 1 967,1 970) の K J 法 を参考 に整理 ・収束 させ た。

Ⅳ 結果 と考察 ( 1 ) 回収率

2 5 名の対象者 に調査用紙 を手渡 し ,2 2 名か ら回答が あ った ( 回 収率 88. 0%)

対象 者 の内訳 は表 1 の とお

りであった。

( 2) 障害児者 の 自立 についてのイメージ

障害児者 の 自立 についてのイメー ジに関 して 自由記 逮 ( 複数回答) で求めた回答 を内容 ごとに一項 目とし て分 け, K J 法 を参考 に整理 ・収束 させ た。 内容 のま とま りご とにつ けた表札 で表 した結 果 を図 1 に示 し

‑ 4 0‑

(3)

バ リアフリー ・ノーマライゼ ーション

理解 ・啓発を 進める

支援制度が確立するなかで活用 する

就労や所得保杜により生計を 立てる

生計を立てる ( 経済的 自立)

生活に必要なことができる

プライバシーが守られた支樺 を受ける

コミュニケーションがとれる

移動や外出ができ る

不便な く 自 分 でで き る

身 の 回 り のことができる

( 身 辺 自 立 )

一人で買い物できる

自 主 ・ 自 立 の 心 を も つ 向 障害に負けず,自分らしく前 き に

社会の一員として生きる

関係あり

> 因果関係

> 相互関係 i

〉く 鮒 . 対立

重い障害者に r 自立Jの言葉

「帝 叫 lE 軸 q) 皿 斡 」 Q) Jf ,j I ・y .8 ; 表 ヰ か 頚 冷

(4)

笠 原 芳 隆 ・丸 山 昭 生

た。

内容のまとまりとしては , 生活に必要なことがで

きる」 という障害児者 自身の技能に関するものが記述 数 としては 1 5 ともっとも多かった。この内容の下位の まとまりとして , 「身の回 りのことがで きる」 , 「 移動 がで きる」 , 「コミュニケーションが とれる」等があげ られてお り,障害児者が 自分 自身でできることを生か して生活するというイメージを多 くの対象者が もって いることがわかった。ついで,「 障害に負けず,主体 的に目標 をもって生 きる」 といった精神論的な内容の まとまりが 1 2 記述 と多 く,下位の内容 としては , 「 障 害に負けず 自分 らしく前向きに生 きる」 , 「自主 ・自立 の心 をも つ 」 , 「自己実現 させ る」等があげ られてい た。続いて内容のまとまりとして多かったのは ,

労や所得保障により生計 を立てる」であ り,下位の内 容 として , 就労する」 , 金銭面の保障がある」等が あげられていたC ,その他複数の記述があった内容のま とまりとして , 「 意志が尊重 され, 自己選択 ・自己決 定する 」 (9 記述) , 「 支援制度が確立するなかで活用 する」や 「 理解 ・啓発を進める」等を下位の内容 とす る 「 バ リアフリー( ノーマライゼーション)の進展 と 活用 」 (7 記述) , 「 社会参加する」 , 「 人のためになれ る」を下位の内容 とする 「 社会の一月 として生 きる」

(5 記述)等があげられた。なお,これ ら以外の記述 として , 「 行動に責任 を負 う」 , 「 結婚」 , 「プライバシー の守 られた支援 を受ける」 , 「自活する」等があげ ら れ , 重い障害者に自立の言葉 はふ さわ しくない」 と いう記述 もあった。

対象者の内訳 ( 教職経験)別では,記述内容に大 き な違いは見 られなかったが,経験 1年以上の者 に比 べて経験 1年未満の者の方が , 「 障害に負けず,主体 的に目標 をもって生 きる」 , 「 意志が尊重 され, 自己選 択 ・自己決定する」に関連する内容がやや多かった。

新潟大学教育人間科学部附属養護学校 ( 2 0 0 4)は, 自立につながる力 として,豊かな心 健康な体, 日常 の生活動作,コミュニケーション,集団生活,地域資 源の利用,余暇,家事 ・労働の 8 つの観点 をあげて いる。本調査の結果にある 「 生活に必要なことがで き る」や 「障害に負 けず,主体的に目標 をもって生 き る」 , 「 就労や所得保障により生計を立てる」は,それ ぞれ新潟大学附属養護学校があげている観点, 日常の 生活動作 ・コミュニケーション,豊かな心,家事 ・労 働等に関連する内容であると考えられ,対象者は,教 育現場において自立につながる力 と考えられている観 点の一部を自立のイメージとしてとらえている様子が

うかが えた。 また,小 山 ( 2004)は,障害者の自立 について,身の回 りの世話を他人に任せ ようと,一般 雇用に至 らず生活保護を受給 して暮 らそうと,その個 人が 自らの人生 を 「自己決定」するという枠組みに転 換 されて きていることを指摘 しているが,本調査にお いても 「 意志が尊重 され, 自己選択 ・自己決定する」 ,

「 支援制度が確立するなかで活用する」があげられて お り,対象者が障害児者の自立をいわゆる経済的自立 や身辺 自立等の範噂を超 えて幅広 くとらえている様子 が うかがわれた。

一方で , 「 重い障害者に自立の言葉はふ さわ しくな い」 という記述がみ られた。文部省 ( 2 0 0 0)は,特殊 教育において自立活動がめざす 自立を 「 それぞれの障 害の状態や発達段 階等 に応 じて,主体的に自己の力 を可能な限 り発揮 し, よりよく生 きていこうとするこ と」 とし,学習が著 しく困難な重度の障害のある児童 生徒 に対 して自立活動 を主 とした教育課程 を編成でき るとしているが,対象者の一部は重度の障害者に対す る自立を必ず しもこのように広 くイメージしていない こともわかった。

( 3) 障害児者の自立推進に必要 と考える事項

障害児者の自立推進に必要 と考える事項に関して, ( 2) 同様, 自由記述で求めた回答 を内容 ごとに一項 目と して分け,K J 法を参考に整理 ・収束 させた。内容の まとまりごとにつけた表札で表 した結果を図 2に示 し た。

内容のまとまりとして最 も記述数が多かったのは,

「 支援サービスの充実」 ( 26記述)で,下位の内容と して 「 働 く場の提供」 , 「 経済的支援」 , 「 補助具や福祉 機器の充実」,「 支援者やボランテ ィアの育成」 ,

心 して相談で きるところの確保」等があげ られてい た。また, これに関連 して,地方 自治体等による 「 地 域支援制度の充実」に関す るものが 8 記述 , 「 施設や グループホームの整備」等 を下位の内容 とした 「 障害 者が暮 らしやすい環境 ・まちづ くり」に関するものが 1 1 記述あった。 この他の内容のまとま りとして , 「 健 常者 ・障害者双方の意識改革」 ( 1 9記述)があ り,下 位の内容 として,地域 における 「 健常者の障害児者に 対す る理解の深化」,当た り前の ように地域で一緒に 暮 らす といった 「 障害者 自身の意識改革」があげられ ていた。少数 (7 記述)ではあるが , 「 教育の充実」

に関する内容 もあ り,その下位の内容 として , 「 特別 支援教育. における質の向上」,「 将来 をめ ざした教育 内容の設定」 , 「 現実に合わせた場面設定での練習 ( 経 験) 」等があげ られていた。他 に‑記述ずつではある

‑ 4 2 ‑

(5)

柵 遠 軸 Q) 皿 斡 」 8 4 ' ‑ ・7 8; Bg ヰ か 頚 冷

(6)

笠 原 芳 隆 ・丸 山 昭 生 が , 「自立を達成させるための情報 ( 収集) 」 , 「 家族の

サポー ト」等があげられていた。

対象者の内訳 ( 教職経験)別では,経験 1年以上の 者 には 「 支援サービスの充実」に関す る記述が, ま た,経験 1年未満の者には 「 健常者 ・障害者双方の意 識改革」に関する記述が比較的多かった。

小 山 ( 2 0 0 4) は,障害者 自立生活運動の流れの中 で . 「障害のある人は,経済的自立や身辺 自立にとら われることな く,それぞれの生活場面で何 をし, ど んな生活を送 りたいかを自ら選び,それに必要なサー ビスを社会に対 して要求すべ き存在 ととらえなおされ た」 と述べている。本調査の結果には 「 支援サービス の充実」や 「 地域支援制度の充実」 , 「 障害者が暮 らし やすい環境 ・まちづ くり」 , 「 障害者 自身の意識改革」

等があげられてお り,対象者は,障害児者が 自立に向 けて活用できる支援 ・サービスの必要性 と,障害児者 自身に地域で暮̲ らそうとする意識 をもってもらうこと の必要性 を感 じている様子が うかがわれた。また,記 述数は多 くなかったが , 「 特別支援教育における質の 向上」 , 将来をめざした教育内容の設定」等,いわゆ る 「 教育の充実」があげられていた。平成 1 7 年 1 2 月の 中央教育審議会答申 「 特別支援教育を推進するための 制度の在 り方について」では , 「 障害者基本法や障害 者基本計画に基づ き,ノーマライゼーションの理念に 基づ く障害者の社会への参加 ・参画に向けた総合的な 施策が政府全体で推進 されてお り,その中で,学校教 育は,障害児者の 自立 と社会参加 を見通 した取組 を 含め,重要な役割を果たすことが求め られている」 と している。本調査において,対象者が障害児者の自立 を特別支援教育の推進 と関連する内容を取 り上げてい ることが看取 された。なお , 「 健常者の障害児者 に対 する理解の深化」や 「 障害者 自身の意識改革」につい ても特別支援教育に期待 される内容であると考えられ る。

( 4) 障害児者の自立に向けて自分 自身が取 り組んでみ たい事項

障害児者の自立に向けて対象者 自身が取 り組んでみ たい事項に関して ,( 2) ,( 3) 同様に自由記述で求めた回 答を内容 ごとに一項 目として分け,K J 法を参考に整 理 ・収束 させた。内容のまとまりごとにつけた表札で 表 した結束を図3に示 した。

記述数の多かった内容のまとまりは 「 専門性 を生か した支援 ・指導」で,記述数は1 1であった。下位の内 容 としては,将来を見すえた指導や卒業後指導等 「 移 行支援」に関するもの , 「コミュニケーシ ョンに閑す

る支援 ・指導」 , 「 手話通訳や点訳」が複数であげられ ていたほか,‑記述ずつではあるが,「 SST の促進」 ,

「自らいろいろなことを決めて何事 にも立ち向かえる ような精神 を身に付ける教育」があげ られていた。こ のほか , 「 地域 における余暇活動やボランティア活動 への参加」が同 じく 1 1 記述 と多 く,続いて 「自分自身 の障害体験」や 「 行政への働 きかけ」 を含む 「 障害児 者に対する理解 ・啓発 」 (5 記述),「 社会保障や学校 教育に対するモニタリング」等があげられていた。

対象者の内訳 ( 教職経験)別では,全体 として記述 内容 に大 きな違いは見 られなかったが , 「 社会保障や 学校教育に対するモニタリング」に関する記述につい ては,すべて経験 1年以上の者があげていた。

平成 1 5 年 3 月の特別支援教育の在 り方に関する調査 研究協力者会議答 申 「 今後の特別支援教育の在 り方に ついて ( 最終報告 ) 」では,特別支援教育の在 り方の 基本的考え方 として , 「 障害のある子 どもを生涯にわ たって支援する」ことや 「 障害のある児童生徒の自立 や社会参加に向けて,その一人一人の教育的ニーズを 把握 して,その持てる力を高め,生活や学習上の困難 を改善又は克服するために,適切な教育や指導を通じ て必要な支援 を行 う」ことをあげている。本調査にお ける 「 移行支援」や 「コミュニケーションに関する支 援 ・指導」等 「 専門性 を生か した支援 ・指導」に関す る記述は,特別支援教育の考え方に沿 うものであると いえる。 また,盲 ・聾 ・養護学校 においては,その専 門性 を生か して障害者のために専門学科等の施設 ・設 備 を活用 して公開講座 を開催 した り,ボランティア講 座 を実施するなどの取組 を行った りするとともに,辛 業生の生活 ・就労 を支援す る地域の団体等 に対 して ノウハウを提供するなどして,生涯学習を支援する機 関 としての役割 を果たす ことが重要であるとする報告 ( 21 世紀の特殊教育の在 り方に関する調査研究協力者 会議 ,2 0 01 ) や,障害児者の余暇支援 を行 うに当たっ ては特殊教育諸学校等の教員がノウハ ウを提供 し合い なが ら支援 にかかわる必要があるとする報告 ( 笠原 ・ 村中 ,2 0 0 3 ) がある中,対象者か ら 「 地域における余 暇活動やボランティア活動への参加」に関する記述が 比較的多 くあがって きていることは評価で きる。

( 5) 対象者がイメージした障害児者の障害等

今回の調査では,障害児者の自立を考える際のター ゲ ットを提示せず,対象者がそれぞれ どのような障害 のある障害児者 をイメージして考えたかについても自 由記述 ( 複数回答)により尋ねた。その結果,知的障 害が 1 5 ともっとも多 く,肢体不 自由 (7) ,聴覚障害

‑ 4 4‑

(7)

図 3 障害児者の 自立 に向けて 自分 自身が取 り組 んでみたい事項

味 読 軸 Q) 皿 紳 」 Q) J .i ‑ 1?i ; Bg ヰ か 尊 冷

(8)

笠 原 芳 隆 ・丸 山 昭 生

表2 対象

イ メ

した

害児者の 障害等 ( 複数回 答 N ‑22)

種 別 回答数

知的障害 肢体不 自由 聴覚障害 病弱 ・虚弱

自閉症 情緒障害 視覚障害 精神 障害 重度 ・重複障害 その他

1 5 1 2 5 4 4 2 2 2 2 8

(5),病弱 ・虚弱 (4), 自閉症 (4) と続いた。精 神障害 も回答 ととしてあげ られていた ( 表 2)0

自立 をイメージした際の障害については,精神障害 を除 き, これ まで特殊教育の対象 とされて きた ものが 多 い。 中央教育審議会答 申 「 特別支援教育 を推進す るための制度の在 り方 について」では,今後 は LD・

ADHD ・高機能 自閉症等の児童生徒 に対 して も自立 や社会参加 に向けた適切 な指導及び必要 な支援 を行 う こととされているが,対象者の中では, まだこの よう な障害のある子 どもたちがあま り考慮 されていない様 子が うかがえた。

今後,障害種 によって 自立に対す るイメージに違い があるか等について も整理する必要がある。

Ⅴ おわ りに

今 回の調査 をとお して,対象者 は基本的に障害児者 の 自立について,身辺 自立や経済的 自立だけでな く, 自己選択や 自己決定す ることや支援 を受けながち生活 す ること,社会参加 し人のためになることを含め,幅 広 くイメージ していることがわかった。 これは,障害 児者の ターゲ ッ トを決めずに質問 したことが影響 して いると考 え られる。松本 ( 2 0 0 1 ) は,特殊教育 を受け る生徒 にとって 自立 とは何か,それはどの ような状態 像か,本人は もとよ り,教師 も親 も具体的に考 えなけ ればならい と述べている。 ひと口に障害児者 といって も一人一人の障害種や障害の状態 ・程度は異 なる。そ れぞれの実態 を的確 に把握 し,実態 に即 した 自立 を考 えて支援 ・指導 を行 うことが重要であるが,その際に は支援 ・指導する立場の者が 自立 を幅広 くとらえ, 自 立 を推進す るための情報 を収集するとともに, 自らが 担 う役割 を認識 してお く必要があるのではないか と考

える。

今後 は,実際 に教育の現場で障害児 にかかわる教月 が,障害児者 の 自立 につ いて どの ようなイメージを もっているのか把握 し,その ことが 自立 に向けた実際 の支援 ・指導 とどの ように関連 してるかについて明ら かに してい きたい と考 えている。

文 献

赤塚光子 ( 2 0 0 4 ) 障害者福祉サー ビスの概要.新版障 害者福祉論,健烏社. 8 3 ‑ 1 1 4 .

中央教育審議会 ( 2 0 0 5 ) 特別支援教育 を推進す るため の制度の在 り方 について ( 答 申).

海津敦子 ( 2 0 0 5 ) 自立.そだちの科学, 4,1 4 9 ‑ 1 5 7 .

笠原芳隆 ・村 中智彦 ( 2 0 0 3 ) 学校卒業後 における障害 のある青年の余暇支援の意義 と課題 一上越地域にお ける大学の余暇支援 の実践か ら‑.上越教育大学研 究紀要 ,2 3 ( 1) ,9 1 ‑ 1 0 3 .

川喜 田二郎 ( 1 9 6 7 ) 発想法.中公新書.

川喜 田二郎 ( 1 9 7 0 ) 続 ・発想法.中公新書.

小 出進 ( 1 9 9 6 ) 新 しい 自立観 と学校教育①.発達の遅 れ と教育 ,4 6 3 ,1 8 0 ‑ 1 8 3 .

枚本嘉一 ( 2 0 0 0 ) 養護 ・訓練か ら自立活動へ.肢体不 自由教育 ,1 4 7 , 2‑ 3.

三野 た ま. き ・霜 田 里 美 ・塩 入 純 子 ・大 熊 恵 美 子

( 2 0 0 5 ) 日常生活 における 自立意識調査 一長野県 北信地方の小学校 ・ 中学校 ・ 高等学校 ・ 大学 における 実態調査 ‑.信州大学教育学部紀要 ,1 1 4 ,2 5 ‑ 3 5 .

文部省 ( 1 9 9 9 ) 盲学校 ,聾学校及 び養護学校教育要 領 ・学習指導要領.

文部省 ( 2 0 0 0 ) 盲学校,苧学校及び養護学校学習指導 要領 ( 平成 1 1 年 3 月)開設 一自立活動編 ‑.

文部省初等 中等教育局特殊教育課 ( 1 9 9 9 ) 盲 ・苧 ・養 護学校 の教育要領及 び学習指導要領の改訂の概要.

季刊特殊教育 ,9 6 ,1 2 ‑ 2 1.

新潟大学教育人間科学部附属養護学校 ( 2 0 0 4 ) 研究の 経過 と概要.新潟大学教育人間科学部附属養護学校 研究紀要 ,2 7 , 5‑ 9.

2 1 世紀の特殊教育の在 り方 に関す る調査研究協力者会 議 ( 2 0 0 1 ) 2 1 世紀 の特殊教育の在 り方 について〜一 人一人のニーズに応 じた特別 な支援の在 り方 につい て〜 ( 最終報告)

小 山聡子 ( 2 0 0 4 ) 自立 について.新版障害者福祉論, 健 吊社. 4 1 ‑ 5 3 .

特別支援教 育 の在 り方 に関す る調査研 究協 力者会議

( 2 0 0 3 ) 今後の特別支援教育の在 り方 について ( 負 終報告).

‑ 4 6 ‑

(9)

渡辺彩子 ・上村英子 ( 1 9 9 8 ) 児童 ・生徒の生活的自立

行動 と意識 との関連.上越教育大学研究紀要 ,1 8

( l ) .4 1 5 1 4 2 3 .

図 3 障害児者の 自立 に向けて 自分 自身が取 り組 んでみたい事項

参照

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