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特集 神経外傷 Treating Spinal Cord Trauma in the Acute Stage Shinsuke Suzuki, M.D., Tomoo Inoue, M.D., Kensuke Murakami, M.D., Masayuki Ezura, M.D., and Hir

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はじめに

 本邦では脊髄外傷は脳神経外科医にとってポピュラー な疾患ではないかもしれない.整形外科との境界領域で あり,歴史的に先人である整形外科が主にマネジメント している施設が多いのは否定できない.一方,北米では 脳神経外科医が急性期治療を行い,よい成績を報告して いる.また,私たちは症状を出している脊髄責任圧迫病 巣はなるべく早く除圧すべきという単純な考えを展開 し,この 20 年間脊髄外傷を治療してきた.間違いはな かったという自負をもっている.  さて,脊髄外傷は重篤な機能障害をきたすため,本人, 家族のみならず,介助者,社会への影響も多大で経済的 損失も計り知れない.彼らの残された機能を十分に発揮 させ社会復帰に導くように治療し,援助することが必要 となる.最近の報告を含めて,脊髄外傷の急性期治療と その管理に関し報告したい.

脊椎・脊髄損傷の疫学

 本邦の脊椎・脊髄損傷の疫学に関し,Shingu ら20)によ る全国調査(1995 年)では,脊髄損傷(Frankel 分類10) A∼D)の発生頻度は人口 100 万人あたり 40.2 人であっ た.年間 5,000 人程度発生しており,人口あたりの発症 連絡先:鈴木晋介,〒 983 8520 仙台市宮城野区宮城野 2 8 8 国立病院機構仙台医療センター脳神経外科

Address reprint requests to:Shinsuke Suzuki, M.D., Department of Neurosurgery, Sendai Medical Center, National Hospital Organization, 2 8 8 Miyagino, Miyagino ku, Sendai shi, Miyagi 983 8520, Japan

脊髄外傷の急性期治療

鈴木 晋介,井上 智夫,村上 謙介,江面 正幸,上之原 広司

国立病院機構仙台医療センター脳神経外科

Treating Spinal Cord Trauma in the Acute Stage

Shinsuke Suzuki, M.D., Tomoo Inoue, M.D., Kensuke Murakami, M.D., Masayuki Ezura, M.D., and Hiroshi Uenohara, M.D.

Department of Neurosurgery, Sendai Medical Center, National Hospital Organization

  The key points in managing the acute phase of spinal cord injury are ensuring that the patient can leave bed and start on the path of independence as soon as possible, and beginning rehabilitation at the earliest opportunity. Also, in the early acute phase it is imperative to decompress and fix the responsible lesions and any highly unstable lesions that are found. And it should also be noted that by using spinal instrumentation, the postoperative bedtime period can be shortened. In Japan, the number of elderly cases is increasing and measures to meet this increase are necessary.

  Additionally, we should be aware of vertebral artery injuries that may accompany cases of cervical spine trauma. Finally, addressing the needs of transplantation medical care will be a problem in the very near future. In summary, it will become increasingly necessary to understand the basis of spinal cord trauma cases and to increase the number of neurosurgeons who can take the initiative for their treatment.

(Received December 12, 2016;accepted January 23, 2017)

Key words:spinal trauma, acute stage treatment Jpn J Neurosurg(Tokyo)26:200 207, 2017

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頻度はほぼ北米と同程度である.男性が約 80%を占め る.原因は交通事故が最も多く(44%),転落(29%), 転倒(13%)の順であった.年齢分布は二峰性(60 歳代 と 20 歳代)を示した.当科の年齢分布も二峰性を示し, おおむね同様の傾向であった21)∼23)26).完全損傷が全体 の約 1/4 で,骨傷のない頚髄損傷が多いのが日本の特徴 であった.  また近年,2007 年 6 月 12 日に危険運転致死傷罪の主 体が「四輪以上の自動車」から「自動車」へ改正され, 無謀な運転による交通事故が減少し,それに伴い交通事 故外傷例の減少化をみている.一方で超高齢化社会の到 来とともに,高齢者症例の著明な増加傾向をきたしてい る.これまでにみられなかった新たな現象と考える25) (Fig. 1).おそらく,新たな対策が必要とされる.

外傷性脊髄損傷の病理

 外傷性脊髄損傷の病理像29)は時間とともに大きく変化 する.受傷早期に小出血主体の外力による機械的損傷 (一次損傷:primary injury)が,数時間∼24 時間後には 出血性壊死が出現し病変は増大する.二次損傷(second-ary injury)と呼ばれ,外力による脊髄の損傷に続発する 虚血,浮腫,炎症性変化によるものである.典型的な二 次損傷の剖検例の病理像を示す(Fig. 2).

脊髄損傷の重症度

 脊髄損傷の重症度は Frankel 分類10)あるいは ASIA 分類

(American Spinal Injury Association Impairment scale,

Table 1)3)12)16)で評価される.ASIA 分類とは,Frankel 分

類で A と評価された完全麻痺の中に,仙髄機能が残存し

ており(sacral sparing),麻痺の回復をきたす例があり, この例を ASIA 分類では B と評価し,Frankel 分類を改良 したものである.世界的にも ASIA 分類が標準の評価方 法となっている.個々の患者の神経学的評価は,ASIA の standard neurological classification of spinal cord injury

Fig. 3)の表を使用して評価するのが便利である.定量

的統計評価が可能である.ISCoS(The International Spinal Cord Society)のホームページからフリーダウンロードで きるのでぜひ使用されたい.

初期診療と脊髄損傷の診断まで

 脊髄外傷の治療は現場から始まる.脊髄損傷の可能性 があるすべての患者の脊椎は受傷現場から最終的治療に

Fig. 1 Significant increase trend of elderly patients

No. of cases 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ Age 1993~2006 2009/2010 0~ 10~20~30~40~50~60~70~80~90~ Age

Fig. 2  Secondary injury:hamatoma, necrosis

and edema

 39 year old male. C4/5 complete injury autopsy case(3 days after trauma).

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至るまで固定される.頚椎カラーと,ストラップのつい たバックボードに載せて搬送される.脊椎損傷の約 20% が非隣接脊椎に及ぶ多椎の損傷があるためである.患者 の体位交換時や移動時はログロール法(体を一本の丸太 のようにして,回転させる体位変換)で行いたい.必ず 複数のスタッフで移動させるのが基本である25)  脊髄外傷急性期の死亡の最大の原因は誤嚥とショック とされる7).気道確保と低血圧の是正が重要であるため その評価を行う.最終的に MRI にて確定画像診断を行 う.

合併多発外傷の治療

 合併外傷も同時に診断し治療する.頚髄損傷例は高率 に頭部打撲をしているため外傷性脳損傷を常に疑い,早 期に頭部 CT などで評価する.椎骨動脈損傷のスクリー ニングも行う.四肢骨折例の早期安定化も必要で,さら に胸部損傷(血気胸)や腹部損傷も治療が遅れてはなら ない.

脊髄損傷の急性期管理

急性期治療の基本方針(理念)  患部の安静と病変の安定化を目指し,臥床安静を行い つつ,病変以下の臓器機能不全に対して積極的に体を動 かし,リハビリテーションを早期から開始したい.すな わち,初期の急性期治療は,基本的に相反することを同 時にしなくてはならない(Fig. 4).急性期管理上,早期 1

Table 1 ASIA Impairment Scale A ―Complete:No motor or sensory function in the lowest sacral segment.

B ―Incomplete:Sensory but not motor function is preserved in the lowest sacral segment.

C ―Incomplete:Less the one half of the key muscles below the neurological spinal level have grade 3 or better strength. D ―Incomplete:At least one half of the key muscles below the neurological level have grade 3 or better strength. E ―Sensory and motor functions are normal.

ASIA also defines a 5 element grading scale that is prognostic of neurological recovery, the ASIA Impairment Scale.

Fig. 3  International Standards for Neurological Classification of Spinal Cord

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に観血的治療(除圧・内固定)を行うことは,症状安定 目的のための臥床安静期間を短縮し早期リハビリテー ション開始が可能となるため,理にかなっていると考え る. 急性期管理  損傷レベル以下の臓器機能不全に対応するため集中治 療室(ICU)でのモニター管理が必要である.重症頚髄 損傷患者(ASIA grade A,B)では ICU 管理が必要であ る12)28).脊髄損傷患者は呼吸筋麻痺のため,強制的肺活 量と呼気流速の著しい減少があるうえに,副交感神経が 優位のため分泌が多く,肋間筋麻痺のため喀痰排出が困 難で肺炎を起こしやすい.したがって,呼吸管理は最も 重要である15).時期を逸しない気管内挿管や人工呼吸器 装着が必要とされる.低血圧は,外傷による循環血液量 減少や交感神経遮断によるもので,高度の徐脈や低血圧 は重症頚髄損傷や高位頚髄損傷に合併する.長期にわた ることも少なくない.低血圧が持続すると予後が悪くな る.脊髄血流や灌流の低下をもたらし,二次損傷を助長 させるからである1)7)8).ショック対策としては血圧の早 期是正が推奨され,平均動脈血圧は 85∼90 mmHg を維 持することが勧められる12)32).また,2∼3 時間ごとの体 位交換を行い,褥瘡を予防すると同時に喀痰をしやすく させることも必要である.消化器合併症の管理も重要 で,脊髄損傷症例では麻痺性イレウスが起きやすく,腸 管ガスによる腹部膨満により横隔膜が挙上され,肺が膨 らみにくくなり,無気肺や肺炎などの肺合併症がさらに 起きやすくなる.そのような場合は,中心静脈栄養など の経静脈栄養で管理する.  2013 年に改訂された米国脳神経外科学会のガイドラ イン12)では,重症の頚部レベルの脊髄損傷の管理は ICU 管理下で行われるのが望ましいとされている.メチルプ レドニン大量療法4)5)17)は,肺炎,高血糖,深部静脈血詮 症などの合併症による死亡例の報告が多いため,推奨さ れないとされた. 観血的治療  観血的治療の適応に関し,その治療時期,重症度,手 術方法などに絶対的なものはないが,当科では原則的に 48時間以内の除圧・固定をめざし急性期観血的治療を 行っている.完全脊髄損傷は手術しても神経機能が回復 しないとされるが,急性期早期手術例においてかなりの 割合の改善例をわれわれは経験した.ただし,全例が軽 快するわけではなく,その見極めができない.主な目的 は脊椎の安定化にあり,患者を起座位あるいは立位にす ることで,呼吸機能が改善し,早期リハビリテーション が開始できる.また肺炎などの合併症を減少させるのに 役立つ.ただし,全身状態が悪い症例は適応外と考える. 不完全脊髄損傷において,脊髄の障害レベルに一致した 持続的責任圧迫病巣や高度不安定病変がある場合,外科 的治療により減圧と安定化が行われるべきである.二次 損傷を軽減し,さらなる回復が促進される可能性があ る.ただし,脊髄中心症候群(central cord syndrome)は 不完全損傷タイプの 1 つであるが,自然回復の可能性も あるとされ,その観血的治療の適応には議論が多い.そ の急性期手術は症状悪化の可能性が高いとして古典的に は禁忌とされていたが,早期手術が有害であるという明 らかな証拠はない.症例を選べばより回復が得られると の報告がある.最近,北米の脊損センターの共同研究で 発症 8∼24 時間未満の早期手術を推奨するという論文が Fehlingsら9)より報告された.彼らの報告では,多施設前 向きコーホート研究調査にて,24 時間未満の手術例は 24時間以上の手術例よりも 6 カ月後の時点での回復は有 意によいとした.これにより,超早期手術を推奨すると した Jug ら13)はさらに,8 時間以内の手術例の転帰が 8∼ 24時間以内の手術症例よりも有意によいとも報告して いる.  手術術式は,病変に応じ最良の術式を選択する.近年 の脊椎インストゥルメンテーションの発達により強固な 内固定が早期に得られるため,術後臥床期間の短縮が可 能である.その恩恵は大きい.全身麻酔も静脈麻酔が主 流になり,合併症の出現も少なくなり,安全に管理がで きるようになっている.早期離床により,合併症の発症 もさらに少なくなる可能性が高い.ただし,不適切な手 術は避けなければならない.周術期合併症の急性期管理 は,複数科によるチーム医療が必要で,連携した集中治 療を行うことが重要である.また,多数科の医師との連 携と,パラメディカルスタッフの育成がよりよい治療を 継続するうえで必要である. 2 3

Fig. 4  Managements of spinal trauma in the

acute stage

Prevent

secondary injury

Immobilization

Avoid

bed ridden

Ambulation

(5)

当科の急性期観血的治療例の転帰

 1993∼2013 年の約 20 年間に当科で経験した急性期に 観血的治療を加えた 316 例の転帰をTable 2に示す.  完全損傷(A)の 52%は A のままであったが,48%は 1段階以上改善を認めた.ASIA D まで改善した例も経験 している(Fig. 5).不完全損傷(ASIA B∼D)262 例で は,84%の症例で 1 段階以上の改善がみられた.全体で 2段階以上の改善をみた例は 45%あった.入院時介助が 必要な A∼C 例(231 例)のうち,ADL が自立した D, Eへ改善した症例は,68.8%であった.当科例でも認め るが,完全麻痺例 A が D まで改善する例があることに注 目すると,前述した Fehlings ら9)の北米の研究では発症 24時間未満での手術群に同様な例があり,24 時間以降 群にはない結果であったので,超早期手術はかなり奏効 する症例があると考える.

非骨傷性頚髄損傷の治療

 骨傷なしの頚椎責任圧迫病巣をどう治療するか,現時 点ではエビデンスがないが,施設によっては保存的治療 が選択される.非骨傷性頚髄損傷のすべてがいわゆる中 心性頚髄損傷と考えている方が多いが,決してそうでは ない.また,中心性頚髄損傷は保存治療でよくなるもの であるが,上肢麻痺や感覚症状が残存して不自由をきた す症例をよく経験する.この病名は症状が回復すること が前提にあり,誤解を避けるためなるべく使わないよう にしたほうがよい.重症例では呼吸筋麻痺,副交感神経 優位のため,受傷後 3∼10 日前後に肺炎を発症すること はよく経験するところである.いったん肺炎などの全身 合併症が出現すると臥床安静が必要で,回復はさらに遷 延する.特に,有病率の高い高齢者ではこの傾向が大き い.当科では,症状に合致する圧迫病変あるいは不安定 を示す責任病変は急性期に除圧・固定を行う方針として いる10)21)∼23)26).呼吸器合併症を発症する前に観血的治 療を行い,積極的に ICU 管理をして,早期離床させるの がよいと考えている.また,脊髄由来の痛みなどの感覚 障害は Frankel 分類や ASIA 分類では評価されないが,脊 髄由来の自発痛やしびれは薬物治療にも抵抗し,リハビ リテーションに支障をきたす.感覚症状により日常生活 が高度に制限された症例が早期観血的治療にて症状が軽 減することが多いことも強調したい.  非骨傷性頚髄損傷の治療に関して,前向き無作為研究 を植田ら31)が行っている.この報告では,手術群と保存 的治療群の改善度は同じであり,保存的治療が優先され るという結論となった.203 例の登録があったにもかか わらず,わずか 34 例が統計的検討の対象となっている. このスタディデザインでは椎間板ヘルニア機序は対象か

Table 2  Clinical result of surgical

treated 316 cases A B C D E Pre A 28 5 12 9 0 54 B 0 7 8 15 8 38 C 0 0 12 106 21 139 D 0 0 0 30 55 85 E 0 0 0 0 0 0 Post 28 12 32 160 84 316

Fig. 5 Neurological improved case(ASIA A→D) 37 year old male. Operation was performed 3.5 hours from the onset.

(6)

ら除外され非骨傷性頚髄損傷全体を含まないので,公平 な検討であったかどうかわからない.また,手術群の転 帰が明らかに悪い.理由は大体 1 週間前後の手術タイミ ングとなっているためで肺合併症の好発時期と重なり転 帰が悪いのは当然と考える.

高齢者の問題

 超高齢化社会の到来で高齢者例はさらに増えていくも のと予測される24)25).高齢者は運動能力の低下に加え て,支持組織の骨・靱帯・筋肉の加齢的変化による脊柱 の易損性や変形のために,非高齢者群と比較して軽微な 外力で脊髄外傷を発症し得る.骨脆弱性と脊柱管狭窄を 有する例が多いのが特徴である19)30).高齢者で高エネル ギー損傷が少ないため,非高齢者群より合併損傷が少な いことは,回復が期待し得ることである.しかし,頚髄 損傷部位が C3/4,C4/5等の上位に多いとされることは高 齢者群に不利な点である.さらに,全身性合併症を有す る頻度が高いこと,せん妄など11)の精神症状も含めた合 併症が発症することが多く,治療成績を下げる因子とさ れる.当科の症例でも,高齢者の回復はやや不良であっ た24).その特性を知りつつ治療を行うのが肝要である. また転倒例が有意にあまりにも多く,予防対策が望まれ るところである.

外傷性椎骨動脈損傷

 文献上,外傷性椎骨動脈損傷は,頚椎椎間関節脱臼例 (椎間関節損傷),横突孔に及ぶ骨折,C1 3を含む上位頚 椎骨折例に多い2).椎骨動脈損傷には血管内皮損傷や解 離に伴う血管腔の狭窄あるいは血栓付着,仮性動脈瘤や 動静脈瘻形成,血管閉塞,血管断裂が含まれる.完全頚 髄損傷例に椎骨動脈損傷を合併することが多いといわれ ている.当科のデータでは,頚髄・頚椎損傷の 4.4%に椎 骨動脈損傷を認めた27).骨傷の種類別では,Jefferson 骨 折で 20%,Hangman 骨折で 32%,中下位頚椎脱臼で 17%の発生率であった.病変は閉塞病変であることが多 いが,ときに動静脈瘻をきたすことがありその例では観 血的治療前に塞栓術を施行した(Fig. 6).外傷性椎骨動 静脈瘻病変で手術が必要な例では術前塞栓術は行うべき である.また,一側性外傷性椎骨動脈閉塞を示す手術例 では,塞栓予防目的により近位椎骨動脈を血管内治療に て閉塞させることは十分に考慮すべきである.特に脱臼 整復が必要な例では考慮されたい.両側椎骨動脈閉塞病 変では側副路が筋枝から形成されることがあるものの, 両側の椎骨動脈塞栓術の適応は慎重であるべきと考え る.また,来院時より外傷性椎骨動脈閉塞により小脳・ 脳幹梗塞を発症した例は意識障害,麻痺,失調症状のた め,リハビリテーションは難渋し回復はきわめて不良で

Fig. 6 Traumatic VA AVF/C4 5 dislocation which needed preoperative embolization

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あった.ただし,血栓回収治療を急性期に行い改善した 例の報告もあり,そのような例が増えていくものと推測 する.頚椎外傷手術例の術前の椎骨動脈の評価は必須事 項と考える.

今後の展望と課題

 移植治療や再生医療は今後の問題である.動物実験で は有望な結果を得ており,本邦でも臨床に応用され得る ものと考えられる14)18).臨床治験も世界ではかなり行わ れているが,腫瘍化の危惧なども含め決定的なところま では行っていない.今後の宿題とさせていただく.  最後に,急性期脊髄外傷の病態を理解し,急性期の脊 髄外傷の治療と管理ができる脳神経外科医が増えること を切望する.  剖検例の病理像(Fig. 2)は北海道脳神経外科記念病院小柳 泉博士より提供していただきました.ここに深謝申し上げま す.  著者全員は日本脳神経外科学会への COI 自己申告の登録を 完了しています.本論文に関して開示すべき COI はありませ ん. 文 献

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脊髄外傷の急性期治療 鈴木 晋介  井上 智夫  村上 謙介  江面 正幸  上之原広司  脊髄損傷の急性期の管理の要点は,ADL 自立に向けて早期離床させ,早期にリハビリテーションを 開始することにある.責任圧迫病変や高度不安定病変に対しての急性期早期観血的治療を行い早期に 離床させることはその意味で理にかなっているものと思われる.脊椎インストゥルメンテーションの 使用により術後臥床期間の短縮が可能である.本邦では近年,高齢者脊髄外傷症例の著明な増加傾向 を認める.何らかの対策が必要である.頚椎外傷では椎骨動脈損傷に留意し,その評価が重要である. 移植治療は今後有望な治療方法であるが,まだ決定的なところまでは行っていない.今後待たれると ころが大きい.脊髄外傷の病態を理解しイニシアチブのとれる脳神経外科医が増えることを切望する. 脳外誌 26:200⊖207,2017 要  旨

Fig. 2  Secondary  injury:hamatoma, necrosis  and edema
Table 1 ASIA Impairment Scale  A ―Complete:No motor or sensory function in the lowest sacral segment.
Fig. 4  Managements of spinal trauma in the  acute stagePreventsecondary injuryImmobilization Avoid bed ridden Ambulation
Fig. 5 Neurological improved case(ASIA A→D) 37 year old male. Operation was performed 3.5 hours from the onset.

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