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Learning support based on Student Karte (blended e-Learning system) for the core curriculum and its effective operation

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Received on September 4, 2009.

電気通信大学量子・物質工学科 1.はじめに

大学の理工系分野における1年次から3年次までのカ リキュラムは、通常、知識を教授する講義科目(知識伝 達科目)と学生自らが課題に取り組む実践的な演習科 目(ドリル&プラクティス型科目、応用実践科目)で組 み立てられている。例えば本学量子・物質工学科の場合、

講義科目は力学第一、第二、電磁気学第一、第二等であ り、それらに対応する演習科目には力学演習第一、第二、

電磁気学演習第一、第二などが用意されている。学生は

講義科目で習得した知識を演習科目で応用・統合して理 解を深めながら次の講義科目に進むことを繰り返し、専 門分野の根幹となるコア・カリキュラム科目群を体系的 に学ぶ。したがって、高学年の専門科目を学習するには 低学年の学習を1つ1つ積み重ね、その着実な定着が必 須である。他方、高学年の科目を担当する教員が適切な 講義・演習等を提供するためには、低学年の複数科目を 遡って、その学習内容が定着しているか否かを調査する 必要がある。コア・カリキュラム科目とは各学科が専門 科目として必修としている科目を指し、それらの科目全

学習者カルテに基づくコア・カリキュラムへの 学習支援とその効果について

金長正彦,大淵泰司,浅井吉蔵,阿部浩二,鈴木 勝

Learning support based on Student Karte (blended e-Learning system) for the core curriculum and its effective operation

Masahiko KANENAGA, Yasushi OHFUTI, Kichizo ASAI, Kohji ABE, Masaru SUZUKI Abstract

The curriculum for the students on the science and engineering course is usually organized into the lectures and exercises. In the lectures the students only get the fundamental knowledge of their own course and come to grips with the heuristic problems on the exercises to deepen their knowledge. Repeating these processes, the students systematically study the core-curriculum which is the bare bones of their future specialty. We started learning support by using the blended e-Learning system for the basic scholastic ability to study the core-curriculum in April 2008. There is the original characteristic of this system in the following points: 1) The learning situation and the achievement degree of the learner are recorded in so-called patient’s record (we call this record

“Student Karte”). 2) Using “Student Karte”, the learner by oneself judge whether he (or she) reaches the necessary standard. 3) Referring to “Student Karte”, teachers offer the learning materials in accordance with the level of the learner. 4) Through “Student Karte”, the learner can easily understand the connection between topics of physics because teachers develops, modifies and selects suitable physics material to make the learner understand the relation of physics topics.

In this paper, we introduce the summary of this learning support system based on “Student Karte”

and also the results which we got to analyze the learning situation and the achievement degree of the students on this blended e-Learning system.

Keywords : Student Karte, Core-Curriculum, Self-Study Support, Learning Management System, e-Learning, blended learning

(2)

体を総称してコア・カリキュラムと呼称する。コア・カ リキュラムの概念自体は古くから有り、本稿で紹介する eラーニングシステムとは別個の概念である。

コア・カリキュラム教育を有効に実施するには、学生 一人ひとりについて、科目内の学習小単元ごとに学習内 容の定着度合を判断し、きめ細かい学習支援を行う必要 がある。これまで学科・コース等が行ってきた学生の履 修(学習)記録は、各科目の履修状況、4段階の成績評 価など、単位取得状況を記録するに留まっていた。した がって、学生は、その履修記録を利用して、自己の学習 不足な点を詳細に判断することが難しい状況にある。さ らに、近年の大学教育においては、学生の学習志向の多 様化や大学入試の多様化等に伴い、学生の学習履歴と理 解度が様々に変化したため、演習課題の難易度の設定や 講義内容の決定が困難となり、以下の問題が生じている。

Ⅰ. 講義科目においては、必要な基礎知識が不足してい る学生に対して適切で具体的な学習内容の支援が困 難である。また優秀な学生にさらに進んだ内容の具 体的な課題の例示が困難である。

Ⅱ. 演習科目においては、学生一人ひとりの理解度に応 じた適切な演習課題に取り組む作業量が不足してい る。

これらの問題を解決するには、学生各人のレベルに あった学習教材を提供し、学生自身が自己の学習達成度 を判断できるようにすること、教員には学生各人の到達 度を判断でき、それに基づいた学習教材を開発、提供で きるシステムを作ることが必要である。その種のシステ ムの候補として、教材(コンテンツ)を開発するための

「オーサリング支援ツール機能」、学生の学習状況をモニ タリングする「スーパーバイジング機能」、学生のレベ ルに対応し、学生の学習進捗状況を制御する「ラーニ ングコントロール機能」を有するeラーニングシステム WebClassは最適である。

このWebClassを利用した、新しい体系的な取り組み として、「学習者カルテ」eラーニングシステムを量子・

物質工学科は導入実施した。この「学習者カルテ」シス テムは以下のような特徴を備えている。

(1) 学習履歴、到達度を示す記録簿とそれを可視化す る機能により、学生自ら、理解不足な学習小単元 や必要不可欠な学習内容を、複数の科目間を越え て容易に把握できる。教員グループは、その機能 を利用することで、到達度を確認しながら学生一 人ひとりに対応した教材を用意するなど、よりき め細かい学習支援が可能となる。

(2) 整備されたeラーニング教材を利用することで、

低学年の学生にも高学年のコア・カリキュラムの 内容を先行して自主学習することが可能となり、

シラバスと合わせて科目間の関連性を具体的に明 示しうる。

(3) 教員グループでの「学習者カルテ」システムの共 有は、授業担当者間で協力的、相補的な授業を行 うことを可能とし、eラーニング教材を作成する 際に行われる議論を通して教員間の共通認識を熟 成し、コア・カリキュラムを構成する科目間の連 携を深めるFD活動を促進する。

本学科の「学習者カルテ」システムは、講義、演習科目 の学習小単元に対応するeラーニング教材をオーサリン グ支援機能を利用して用意し、小単元毎の学習記録、達 成度をスーパーバイジング機能を使用して記録する。さ らに、これらの学習結果を学生の体系的な理解の深度を 測る学生個々の記録簿として、ラーニングコントロール 機能を利用して学生本人や教員グループに提供する。

このシステムは、学生が通常の講義、演習科目を受講 する際に同時に利用するシステムであり、ブレンデッド 型ラーニング(blended learning)[1]に分類される。ブ レンデッド型ラーニングには様々な学習形態があるが、

ここでは、複数の学生が同時に出席して行われる対面型 授業の講義、演習科目と時間や場所を選ばず学生一人 ひとりが個別に学習するeラーニングとを同時に実施す る学習形態[2](ブレンデッド型eラーニング、blended e-Learning)のことを指している。

本稿では、初めにこのブレンデッド型eラーニングシ ステム「学習者カルテ」のeラーニン部分の概要を紹介 し、次に本学科1年次の学生を対象とする力学第一(講 義科目)並びに力学第一演習(演習科目)補助する目的 で導入されたeラーニング「力学第一」コースについて、

平成20年度前期並びに平成21年度前期の運用結果を報 告し、その分析から見えてきた「学習者カルテ」システ ムの効果的運用方法について、ブレンデッド的側面への 考察も交えて議論する。

2.WebClassを利用したeラーニング 2.1 WebClassに追加した機能の紹介

この章では、我々が「学習者カルテ」システムで独 自に追加した機能について紹介する。本学eラーニング 推進センターに用意されているWebClassシステムにも

“学習者カルテ”と呼ばれる機能が存在する。 その“学 習者カルテ”はWebClassシステムを利用する学生と教 員との面談記録簿であり、WebClassシステムを用いた 学生の学習結果を病院で患者が受ける精密検査の結果と とらえ、検査結果を医者が患者に説明する場で、患者 との面談内容を記録するカルテになぞらえた機能であ る。量子・物質工学科で導入運用を始めた「学習者カル テ」システムは、このWebClassシステムの“学習者カ

(3)

ルテ”に、複数の科目間を越えて学生の学習結果を可視 化する機能やその学習結果に応じた再学習をサポートす る機能を追加拡張したシステムである。以後、両システ ムで共通な表記である学習者カルテを引用句の違いで表 す。WebClassシステムのそれは“学習者カルテ”、我々 のシステムのそれは「学習者カルテ」と表記する。

問題を作成し出題する機能、出題された内容に対する 解説を表示するオーサリング支援機能、学習者の学習結 果を記録するスーパーバイジング機能はそのまま従来の WebClassシステムの機能を利用し、「学習者カルテ」シ ステムで新たに追加した機能の具体的内容は以下の通り である。

①  我々が新たに追加した機能を利用する入口となる、

学習者毎に選択しているコースを表示する機能(図 1)。

②  問題内容を基礎、応用、発展と3段階にレベル分け し、各学習者に対してレベル毎の達成度をグラフで 表示する機能(図2、上段)。

③  問題内容に出題分野、関連する基礎概念を区別する 目印を文字列で付け、出題分野別の学習者の達成度 をグラフに表す機能(図2)。

これら新たな機能①、②、③を追加拡張した「学習者 カルテ」システムが有効に機能する状況を示す。これま でのWebClassシステムでは、問題を作成しシステムに 登録する際に問題作成者が出題レベルや出題分野を予め 決定する必要があった。例えば、講義の進捗状況に対応 する形で出題内容を小単元毎に分け、講義の第1回目に 相当する範囲を扱う複数の問題をひとまとめとして1つ の項目(小単元に相当)に登録、第2回目についても同 様に問題を用意して登録するなどし、これらの作業を必 要と考える回数(講義の回数)繰り返し行い準備する利 用法である。この場合、一度登録を行ってしまうと出題

内容が固定され、例えば第1回目に登録した問題内容と 第5回目に登録した別の問題内容で共通する概念があっ ても、その概念について理解が不十分な学習者にとって は、その関係が見え難く、何が原因で理解できないのか 把握するのが困難である。我々のシステムでは、前述の 機能②と③を利用することでこのような共通概念の認識 が容易になる。例えば“ポテンシャル”という概念は「力 学」のコースに含まれると同時に「電磁気学」のコース にも含まれる概念でもある。この場合、機能③を利用し て、“ポテンシャル”という出題分野を表す目印を2つ のコースの各問題に付け、出題分野別の達成度を学習者 に表示することで、2つのコースが共通概念で結びつけ られていることを学習者に理解させることが可能になる。

2.2 eラーニング「力学第一」コースについて 奥野らの報告[2]は、実験科目である「電子回路学実 験」を対象としてeラーニングを平成19年度に先行して 実施した内容である。平成21年度現在、量子・物質工 学科には、「学習者カルテ」システム用eラーニングコー スとして、1年次学生を対象とした「力学第一」、「力学 第二」、「基礎科学実験A」、2年次学生を対象とした「電 磁気学第一」、「電磁気学第二」、「熱物理学」、「波動と 光」、「電子回路学実験」、年次に関係のない「Basic Sci- ence English Questions」など複数のコースが用意され ている。その中から、本稿では1年次学生を対象として 前期に実施されている講義科目(力学第一)並びに演習 科目(力学第一演習)と対をなすeラーニングコースに ついて報告する。力学第一は物理学の基礎である初等力

Fig.1 「学習者カルテ」の扉ページ例

Fig.2  問題のレベル毎,分野,概念別に達成度を表示

Fig.1 「学習者カルテ」の扉ページ例 Fig.2 問題のレベル毎、分野、概念別に達成度を表示

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学、特に質点の力学に内容を絞り、その目標は、ニュー トンの運動方程式から出発して、質点の自由落下、単振 動、惑星の運動を学生が自ら導出できるようにすること である。力学第一演習は力学第一の理解を確実なものと するために用意された演習を主体とするドリル&プラク ティス型科目であり、さまざまな問題を自力で解くこと で、力学すなわち物理学の根幹をなす分野(コア・カリ キュラムの要素のひとつ)の理解を確実にすることを 目的としている。この2つの科目の学習を支援する目的 でeラーニング「力学第一」コースを導入する際、我々 は本コースの目標を講義内容や演習の問題文を理解する ために必要な基礎知識を獲得させ、定着させることとし た。具体的には、講義と演習の内容に合わせて、全体の 内容を14の項目(小単元)に分け(図3)、項目毎に10 題の基礎的な問題を用意し、講義や演習の進捗状況に合 わせてそれぞれの項目を順次公開する方式を採用した。

WebClassシステムには様々な出題方法並びに解答方法 があるが、それらを使用して、力学の基礎的な概念を身 につける問題を出題するには、解答を選択肢から選び出 す方式(WebClassの【選択肢のみ】テストの中に選択 肢があり、答えだけを選択する方式)が良いと判断した。

例として「物体に作用する力の総和」を求める問題を図 4に示す。問題文中にはこの現象に関係すると思われる

力:“物体に作用する重力”、“物体が床を押す力”、“床 が物体を押す力”を列記しておき、これらの力の組み合 わせで力の総和を表す選択肢が5つ用意されている。こ の問題の場合、入試(受験)勉強のような暗記に頼る方 法で解答を選ぶと、静止しているのであるから運動の第 一法則より力の総和はゼロと考えて選択肢1)を選び不 正解になる。物体に作用する力の総和を表す選択肢を選 ぶのであるから、正解は物体に作用する重力と床が物体 を押す力の和、4)の選択肢である。解説には選択肢の 1)ではなく4)が正解である理由を初歩的な知識がな い学習者でも理解できるように説明することを心がけた。

この例のように、各問題には問題自体と正解を含む幾つ かの選択肢を用意し、それらの問題を解いた後に表示さ れる解説では、その問題の解き方と問題内容を理解する 上で重要である基礎的知識の説明に重点を置いた(図 5)。用意した問題と解説を各項目に登録する際、前節 で説明した機能②、③を利用するため、問題内容のレベ ルと分野、基礎概念を表す目印の文字列を複数登録した。

登録する箇所はWebClassシステムの出題分野を入力す る欄である。「学習者カルテ」システムでは、この欄の 機能を拡張し、複数の文字列を“ 、”記号で区切って入 力可能な形に変更し、2番目の文字列をレベル別、3番 目以降の文字列を分野並びに概念別の目印とした。これ らの用意をした上で平成20年度前期並びに平成21年度 前期に実施した結果を次章で紹介する。

3.ブレンデッド型eラーニングの効果的運用 平成20年度前期に運用されたeラーニング「力学第一」

コースでは、前述の機能①、②、③の実装が完了してお らず、それらを使用しない状態でWebClassシステムの みを使用してeラーニングを行った。一方、平成21年 度前期に行われた「力学第一」コースからは、「学習者 カルテ」機能が備わったWebClassシステムを使用した。

Fig.3 14の項目に分けて登録,一部抜粋

Fig.3 14の項目に分けて登録、一部抜粋

Fig.4 学習者に提示する問題例

Fig.5 解説の具体的表示例

Fig.4 学習者に提示する問題例

Fig.5解説の具体的表示例

(5)

さらに、学生の理解度を教員が容易に把握可能という利 点を備えた学習者応答システム(クリッカーシステム)

を使用して、2クラスに分けて実施される力学第一演習 の1クラスで、eラーニング「力学第一」コース内の問 題の幾つかを授業の中で解かせる試みも行った。すなわ ち、平成20年度の運用はeラーニング単独の学習形態で あり、平成21年度の運用はブレンデッド型ラーニング での運用形態である。

演習科目で利用したクリッカーシステムは、数字で答 えを投票できるリモコンを学生に予め渡しておき、教員 はプロジェクターを利用して問題を提示し、その場で無 記名投票の形で学生に答えさせるシステムである。ク リッカーシステムを利用した教育方法については、本学 科の複数の教員が利用を始めているので、別の機会に報 告する。

ここで強調すべきことは、解答を選択肢から選ぶ方 式を採用した場合、「学習者カルテ」システムで使用す るために用意したeラーニング教材は、比較的容易にク リッカーシステムにも転用可能であるという点である。

この点で「学習者カルテ」システムとクリッカーシステ ムは親和性が大きく、相補的な運用が可能であるという 利点がある。

3.1 平成20年度前期の結果

講義や演習のように学習者が受け身の立場から学習す るのではなく、場所や時間の制約がない状況で自発的 に学習を行うeラーニングでは実際にどれだけ利用され たかという指標が、システムが効果的に運用されてい るかどうかを判断する基準となる。例えば、10題の問 題からなる一つの項目を解いた後、学習者は解答の正 誤を調べ、出題者が期待したように、解説の内容を熟読 し、再度問題を解くかという指標は判断基準の1例であ る。我々が用意したeラーニングコースは、学習者に問 題を直接提示して解かせ、その後で問題を理解するのに 必要な基礎知識と正答を提示するWebClassシステムの

「テスト」機能のみを使用している(WebClassシステム が備えている、通常の授業での教科書にあたる「解説」、

学習者の質問を受付ける「会議室」等の機能は未使用で ある)。そのため、1度の利用で問題内容を理解して正 解を示した学習者を含め、このeラーニングコースを利 用する学習者全員が復習を行うことを前提としている。

その復習回数はWebClassのスーパーバイジング機能を 利用し、システムへのアクセス回数を調査することで把 握可能である。平成20年の実施結果についてWebClass が記録したアクセス回数をグラフ化したのが図6である。

図6の青色折れ線は、 eラーニングを利用した学生全員 についてのアクセス回数を項目番号毎に平均した量を示 し、エラーバーは項目毎のアクセス回数の標準偏差を表 している。第1回目を除き、平均アクセス回数が2回を 越えていない状況が示されている。平均が2回を越えて いないということは、全体的な傾向として1度問題に取 り組んだ後、解説を読み、再度問題に取り組むという復 習を行っている学習者が多くないことを意味する。すな わち、こちらが当初期待したほどは利用されていない状 況である。ただし標準偏差であるエラーバーの上限を考 えると、多くはないが2回以上利用している学習者もい ることが示されている。

次に項目毎の成績の推移を示す。各項目で出題された 問題に正解した場合に1点を与えることとし、各項目 を10点満点として採点した。図7は、その結果につい て、学生全員について平均を取ってグラフ化したもので ある。青色折れ線で結んだ各点は、学生個人が特定され ることがないよう、学生全員ついて各項目での得点を平 均した量であり、エラーバーは得点の標準偏差を表して いる。第6回の点数が他より高いことが目に付くが、そ の理由は、この回の出題範囲が単振動を理解するための 三角関数の問題であり、数学的知識を問う内容が多かっ たことが原因と考えられる。同様な傾向は前半の項目番 号が1、2、3回までの成績にも表れている。これらの 項目は位置、速度、加速度の基礎を扱う内容で、関数や

Fig.6 項目番号毎のアクセス回数の平均 Fig.7 項目番号毎の平均点の推移 0

1 2 3 4 5 6

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

Average of e-Learning access

Item Number

Fig.6 項目番号毎のアクセス回数の平均

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

Average Scores

Item Number

Fig.7 項目番号毎の平均点の推移

(6)

その微分積分など数学的知識を問う問題が多かった。他 の項目番号の内容は物理的内容を問う問題であったため、

得点が伸び悩んでいると考えられる。この推論の証左と なる資料が次に示す図8である。図8は、項目番号毎の 解答に要した時間を学生全員について平均した結果を グラフ化したものである。1回と6回の値が他の値に比 べて小さくなっていることが分かる。つまり、問題文の 中から物理的状況を読み取る必要のない、単に知識を問 う問題であったため、条件反射的に正解を選ぶことがで き、その結果、解答に要する時間が少なかったと考えら れる。なお、2回目と3回目が1回目と6回目に比べて 長くなっているのは、2回目と3回目は問題数が他の回 より多かったためである。成績自体はその内の主要な問 題10題のみを選んで点数を与えているので他の回との 違いは無いが、問題数が多かったために単純に時間が多 くかかってしまったということである。

次節で提示する平成21年度の実施結果との比較を容 易にするため、平成20年度の実施結果をここでもう一 度まとめておく。このシステムは同じ小単元を何度でも 利用可能な状態になっており、復習を繰り返し行うこと で成績を向上させることが可能になっている。しかし、

アクセス回数が伸び悩んでいることからも分かるように、

復習を行っている学生が出題者側が期待したほど多くな い、その結果、成績も向上していない。逆に言えば、ア クス回数が増加すれば、問題内容に対する理解も深まり、

成績が向上すると期待できる。この状況を解消するには、

eラーニングを何度も利用する気になる動機付けが必要 である。例えば、

A) eラーニングの結果を通常の講義や演習科目の成績 を決定する際に加味することとし、それを予め学生 に周知する。

B) eラーニングの教材を、実際の講義や演習で利用し、

eラーニングが講義や演習科目の学習をする上で有 効であることを認識させる。

C) eラーニングの利用状況をモニタリングし、 Web-

Classシステムに備わっている “学習者カルテ”の ラーニングコントロール機能を利用して、学生に注 意を促す。

などの方策が考えられる。ただし、これらの方策の内、

B)の方策に比べてA)は学生に自発的にeラーニングを 利用することを促すという本来の趣旨からは外れ、再び 学生を講義や演習科目のような受動的学習に追いやる可 能性があり、採用することは好ましくない。またC)の

“学習者カルテ”機能を利用する方策は多数の学生の学 習状況を少なくない頻度で把握する必要があり、講義演 習を担当する少数の教員が有効に利用するのは困難であ ると言わざるを得ない。教員が予め設定した条件に従っ て自動的に学生に注意を促すなどの機能拡張が待たれ る。そこで、「学習者カルテ」システムの出題形式と親 和性の高いクリッカーシステムを利用して、比較的実施 が容易なB)の方策を翌年度に実施することにした。

3.2 平成21年度前期の結果

平成21年度前期に実施した「力学第一」コースでも、

WebClassシステムを利用した出題、解説の内容並びに 学生への提示方法は同一である。平成20年度前期に実 施した「力学第一」コースとの違いは、

イ) WebClassシステム上で我々が導入拡張した「学習 者カルテ」機能が利用可能になったこと。

ロ) 演習科目「力学第一演習」2クラスの内、1クラス でクリッカーシステムを利用して、「学習者カルテ」

用eラーニング「力学第一」コースで提示している 問題のなかで、重要と考えられる問題を選んで授業 中に学生に演習させたこと。

の2つである。平成21年度の項目番号とアクセス回数 の関係をグラフ化したのが図9である。なお、平成21 年度の利用学生には、昨年度と全く同じ問題をeラーニ ングで行った学生(過年次学生)が存在するため、平成 21年度入学の1年次学生と区別してデータ処理を行っ Fig.8 項目番号毎の解答に要した時間の平均

Fig.9 項目番号毎のアクセス回数の平均(2009)

00分00秒 0253 05分46秒 0838 1131 1424

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

Average of Access time (minuts)

Item Number

Fig.8 項目番号毎の解答に要した時間の平均

-1 0 1 2 3 4 5 6

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

Average of e-Learning access

Item Number

1年次平均 過年次平均 昨年平均

Fig.9 項目番号毎のアクセス回数の平均(2009)

(7)

た。また、平成20年度に実施した結果も比較を容易に するため、同じ図にグラフ化した。平成20年度のアク セス回数に比べて平成21年度アクセス回数は、1年次、

過年次学生とも平均が2回を越えており、復習を行うシ ステムの利用が増えていることを示している。ただし1 年次学生に比べて、幾つかの例外はあるが、過年次学生 の復習利用は少ない傾向にあることも示されている。そ の差は図10の成績の推移をグラフ化した結果にも表れ ている。こちらも図9と同じ条件で利用学生を分けて、

項目番号毎に成績の平均を表したものであるが、復習利 用に差がある項目では同じように成績にも差が生じてい る。過年次学生にとっては、昨年と同じ内容のeラーニ ング教材が提供されているため、平成21年度当初はそ の有効性を認識することが難しかったと推測されるが、

繰り返しロ)の方策を行うことで次第にその有効性が認 知されるようになると共に、イ)の機能を利用すること で自己の学習の不十分な部分を認識するようになり、復 習利用を行う機会が増えたと考えられる。事実、アクセ ス回数の変化を表す図9では、項目番号が増加、すなわ ち時間が経過すると共に1年次学生と過年次学生の利用 回数の差が狭まる傾向が示されている。平成21年度の 1年次学生と過年次学生をすべて集めて、その平均点の

推移(図11)を調べてみると、前年の結果に比べ、項 目番号毎の成績の推移は前年と同じ傾向を示すが、相対 的に21年度の学生の方が20年度の学生の成績より約2 ポイント(20%)高い傾向にあり、復習利用の効果が出 たと考えて良い結果である。

最後に、クリッカーを用いた授業の効果を示すため、

イ)とロ)の方策の効果に差異があるかどうかを示す。

イ)については、演習科目「力学第一演習」履修学生す べてが利用可能であったのに対し、ロ)のクリッカーシ ステムを利用した方策については、演習科目を履修した 学生2クラスの一方でのみ実施した。実施したクラスを F1クラス、実施しなかったクラスをF2クラスとして eラーニング「力学第一」コースの成績の推移を項目番 号毎に表したのが図12である。標準偏差の相違が多く ないにもかかわらず、平均点には有意な差があることが 明らかである。F1クラスとF2クラスの条件の違いは クリッカーの使用であるから、この差がクリッカーシス テムを利用してeラーニング「力学第一」コースの教材 を実際に演習で使用した効果である。ただし、この差が 平成20年度と21年度との差(図11)と同一でないこと から、残りの部分はイ)の方策による効果であると考え られる。なお、平成21前期の力学第一演習では、毎回 必ずクリッカーシステムを利用してeラーニング教材を 学生に解かせたが、図12を見ると、項目番号が増える、

すなわち時間が経過するとF1クラスとF2クラスの平 均点の差が縮まっていることから、必ずしも毎回実施す る必要性は無いと考えられる。差が縮まった理由は学 生間の口コミなどにより、F1クラスからF2クラスへ eラーニングの有効性が伝わったためと推測できる。

4.おわりに

平成20年度、平成21年度と2度にわたって同一内容 のeラーニングを実施することで、平成20年単年度の実 施では明らかでなかったeラーニングシステム「学習者 Fig.11 項目番号毎の平均点の推移、平成20年度と21年度との

比較

Fig.10 項目番号毎の平均点の推移(2009)

0 2 4 6 8 10 12 14 16

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

Average of Scores

Item Number

1年次平均 過年次平均 昨年平均

Fig.10 項目番号毎の平均点の推移(2009)

0 2 4 6 8 10 12

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

Average of Score

Item Number

2009年 2008年

Fig.11 項目番号毎の平均点の推移,

平成20年度と21年度との比較

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

Average of Score

Item Number

F1 平均 F2 平均

Fig.12 項目番号毎の平均点の推移 F1クラスとF2クラスで分けて比較

Fig.12 項目番号毎の平均点の推移をF1クラスとF2クラスで分 けて比較

(8)

カルテ」の効果が明確化された。平成20年度に実施し た際には、アクセス回数の伸び悩みから得点の向上が 見られず、eラーニングシステムの効果に疑義が生じた が、クリッカーシステムを用いるなど、その欠点を補う 方策を合わせて実施することで、その効果が顕在化した ことは、「学習者カルテ」システムの有効性を示している。

このシステムを有効に運用する上で重要な点は、ブレン デッド型eラーニングなど、対面型授業とeラーニング を結びつける何らかの方法を用いることで、「学習者カ ルテ」システムの利用者である学生に、その有効性を伝 達し認識させることである。その意味では大学1年次の 学生を対象とし、「学習者カルテ」システムを用いて「力 学第一」コースを実施し、その有効性を認識させること は特に重要である。一度その有効性を認識した1年次の 学生は、学年が上がっても継続的に「学習者カルテ」シ ステムを利用すると期待される。それによって、自学自 習の習慣がついた学生はコア・カリキュラムの学習を自 発的に行うようになることが予想され、低学年の学習内 容の着実な定着を促し、高学年の科目を学習する準備が より確かなものとなるからである。

教員側の立場から考えると、本稿でその詳細は述べて いないが、「学習者カルテ」システムで使用するeラー ニング教材を準備する際に教員グループで活発な議論が 行われ、その議論を通して複数の講義と演習を受け持つ 教員間に共通認識が生まれ、科目間の内容について連携 が取れる状況になるという一種のFD活動を促進するこ とが明確になったこと、また物理教育の新たな手法を学 習するFD活動の一環として行われた講演でクリッカー システムの存在を知ったことは大きな収穫であった。本 来、クリッカーシステムには本稿で説明している利用法 とは異なる使われ方があり、 eラーニングシステムの存 在が無くても有効な教育法であることが様々な研究[3]

から示されている。そういう点では今回のようなクリッ カーシステムの利用法はその利用範囲を広げる試みの一 つと見なせる。

将来的には我々が独自に機能を追加した「学習者カル テ」とWebClassシステムが初めから備えている“学習 者カルテ”の機能を融合させることで、学生へのきめ細 やかなサポートを行い、eラーニングを利用した「学習 者カルテ」システムの有効性を、講義科目や演習科目と は独立にそれ単体で、学生に認識させることも可能にな ると予想される。今回は「学習者カルテ」システムと本 来の対面授業が車輪の両輪を成す、互いに相補的な教授 法(ブレンデッド型ラーニングの学習形態)での学習効 果について報告した。なお、「学習者カルテ」システム のみを施行したことによる実際の講義科目や演習科目へ の効果も報告すべきであるが、次の機会を得て報告する 予定である。

謝辞

「学習者カルテ」システムは平成20年度に採択された 特別教育研究経費「学習者カルテにもとづくコア・カリ キュラムの学習支援事業」の助成を受けて行われている。

また、eラーニング教材作成時には量子・物質工学科の 物理学関係の先生方に、様々なご指摘ならびにご意見を 頂いたことに感謝の意を示す。

参考文献

[1] C. R. Graham: The Handbook of Blended Learning:

Global Perspectives, Local Designs, C. J. Bonk & C. R.

Graham (Eds.), San Francisco, Pfeiffer, pp.3-21.

[2] 奥野剛史他:電気通信大学紀要,21巻1・2合併号59

(2009).

[3] 新田英雄:物理教育,57-2,103(2009).

参照

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