九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
腹膜透析患者における感染症関連死リスク予測モデ ルの作成
辻川, 浩明
https://doi.org/10.15017/2556292
出版情報：Kyushu University, 2019, 博士（医学）, 課程博士 バージョン：
権利関係：(C)2019 Tsujikawa et al. This is an open access article distributed under the terms of the Creative Commons Attribution License.
（別紙様式２）
氏 名 辻川 浩明
論 文 名 Development of a risk prediction model for
infection-related mortality in patients undergoing peritoneal dialysis
論文調査委員 主 査 九州大学 教授 江藤 正俊
副 査 九州大学 教授 鴨打 正浩 副 査 九州大学 教授 筒井 裕之
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
腹 膜 透 析(PD)患 者 に お い て 、 感 染 症 死 の 評 価 は 十 分 に 行 わ れ て い な い 。 こ の 研 究 は PD 患 者 の 2 年 間 の 感 染 症 関 連 死 亡 を 予 測 す る リ ス ク モ デ ル を 作 成 す る た め に 行 わ れ た 。
方 法 だ が 、 福 岡 腹 膜 透 析 デ ー タ ベ ー ス 研 究 の 中 で 90 日 以 上 腹 膜 透 析 を 継 続 し て い る 患 者 を 抽 出 し た 。 患 者 の 登 録 期 間 は 2006 年 1 月 1 日 か ら 2016 年 12 月 31 日 ま で で 、2017 年 12 月 31 日 ま で 追 跡 調 査 を 行 っ た 。 予 測 ル ー ル を 作 成 す る た め に 、 患 者 の 特 徴 、 併 存 疾 患 、 検 査 値 を 含 む 感 染 症 死 亡 の 危 険 因 子 に よ っ て 調 整 さ れ た Cox比 例 ハ ザ ー ド モ デ ル を 用 い て 計 算 し た 回 帰 係 数 を 使 用 し 、 各 変 数 の ス コ ア に 重 み づ け を 行 っ た 。
結 果 は 中 央 値 2.2 年 間 の 追 跡 期 間 中 に 138 人 が 死 亡 し 、 そ の う ち 58 人 が 感 染 症 死 で あ っ た 。 最 終 的 な 感 染 症 死 に 対 す る モ デ ル は 年 齢 、 性 別 、 血 清 ア ル ブ ミ ン 、 血 清 ク レ ア チ ニ ン 、 総 コ レ ス テ ロ ー ル 、weekly 腎 Kt/V で 構 成 さ れ た 。 感 染 症 死 発 症 率 は 総 リ ス ク ス コ ア が 上 昇 す る 毎 に 直 線 的 に 上 昇 し た(P for trend<0.001)。 さ ら に 、 予 測 モ デ ル は 十 分 な 識 別 能(C 統 計 量 0.79 [0.72–0.86])、 と 較 正(Hosmer-Lemeshow 検 定 P=0.47)を 示 し た 。 以 上 の よ う に 本 研 究 で 、PD 患 者 に お け る 臨 床 測 定 項 目 を 用 い た 感 染 症 関 連 死 を 予 測 す る 新 た な モ デ ル を 作 成 し た 。
以 上 の 成 績 は こ の 方 面 の 研 究 の 発 展 に 重 要 な 知 見 を 加 え た 意 義 あ る も の と 考 え ら れ る 。
本 論 文 に つ い て の 試 験 は ま ず 論 文 の 研 究 目 的 、 方 法 、 実 験 成 績 な ど に つ い て 説 明 を 求 め 、 各 調 査 員 よ り 専 門 的 な 観 点 か ら 論 文 内 容 及 び こ れ に 関 連 し た 事 項 に つ い て 種 々 質 問 を 行 っ た が い ず れ に つ い て も ほ ぼ 適 切 な 解 答 を 得 た 。 よ っ て 調 査 委 員 合 議 の 結 果 、 試 験 は 合 格 と 決 定 し た 。
