富 山大学保健管理 セ ンターの歩 み と現状

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中村  剛 ,西 村優紀美,山 端 憲 子,角 間 純 子

Tsuyoshi Nakamura, Yukimi Nishimura, Noriko Yamahana, Junko Kakuma:

The History and Existing State of the Department of Health Services, Toyama University

第 1 章 沿   革

第 1 節   セ ンター設 置 に至 る までの状 況3 ) 大学 発足以来, 学 生 の健康管理 は各学部 の厚生 補 導係 が直接 担 当 し, 学 生部 の厚 生課 が連 絡調 整 を行 って きた。学部 で は保 健室 を設 けて,非 常勤 の校 医及 び常勤 の看護婦 が,健 康相談 や応急処 置 を行 うとと もに,毎 年春 に は校 医及 び市 内の病 院 また は開業 医 の医師 ・看護婦 の協 力 を得 て,学 校 保 健法 に基 づ く定期 健 康診 断並 び に臨 時 に要 注意 学 生, 運 動部学 生 等 の健康診 断 を実 施 して きた。

学 生 の健 康 管理 の うち, 特 に重 要 な項 目の結 核 性 疾 患 の早 期 発 見 の ため の レン トゲ ン間接 撮影 は 学 生部 が直接 実 施計 画 を立 て, 各 学部 ごとに行 っ て いた。 当初 は大学 に レン トゲ ン間接撮影装 置が な いので, 日赤 富 山支部 に依頼 して装 置 を大学 に 運 び, 学 生 ・教職 員 の レン トゲ ン間接撮影 を実施 し,異 常者 につ いて は,さ らに直接撮影 を行 って 結 核 の早 期 発 見 に努 め た。 昭和 2 7 ( 1 9 5 2 ) 年 度 に 文部 省 か らレン トゲ ン間接撮影装 置購入予算 の配 布 を受 けたた め, 学 生部 に初 めて 1 台 を備 付 け, 厚 生課 保 健係 及 び非常 勤 の レ ン トゲ ン技 師が各 学 部 の撮 影 を実 施 した。 さ らに昭和 3 0 ( 1 9 5 5 ) 年 度 に は 2 台 を購入 し,教 育学部及 び工学部 の保健室 に備 えつ けた。 また最初 の装 置が10年を経過 し, か な り性能 も低下 したので昭和37(1962)年 に設 備更新 の予算 を得 て, 能 率 の よ い軽 量 の コ ンデ ン サ ー式 レン トゲ ン間接撮影装 置 を購 入 し,五 福構

内 に移 転 した文理学 部 校 舎 内 の レン トゲ ン室 に備 付 けて, 五 福 構 内 の学 生 , 教 職 員 の結核 性 疾 患 の 早 期 発 見 を期 した。

当初健 康 管理 の ため の国 の予算 は少 な く, 十 分 な活動 がで きないので,昭 和 24(1949)年 9月 補 導協 議 会 に諮 り, 学 長 の決裁 を得 て, 学 生 が入学 時 に 1 人 当 た り2 0 0 円の保 健 費 を 昭和 3 4 ( 1 9 5 9 ) 年 まで徴 収 して いた。 この保 健 費 は学 生 の伝 染病 予 防接種 及 び保 健厚生 施 設 の補 助並 び に保 健厚生 に関す る緊急事業 に使用 して いた。昭和35(1960) 年 度 か らは大学 後援 会 か ら学 生 保 健衛生 補 助 費 と して毎年 11万円,昭 和38(1963)年 度 か ら15万円 の補助 を受 け,保 健室 の救急薬 品及 び衛生材料 の 購 入, 寄 宿 舎 の下 水便所 , 炊 事場 の消毒 , 炊 事 人 の検便経 費等 にあてて いた。

この間,昭 和30(1955)年 を境 に して結核 によ る休学 は激減 したが,精 神疾患 は全学生 のO.2‑0。3

% を 占め,   この数 値 はず っと変 わ らなか った。 そ こで精神衛生 の管理 を 目的 の一 つ と して,昭 和30 ( 1 9 5 5 ) 年 7 月 8 日 に制 定 され た学 生 相 談 所 設 置 要 項 の定 め る と ころに よ り, 同 年 8 月 1 日 に学生 相談 所 が発足 す る ことにな った。学生相談所 で は, 1 3 名の学識 と経験豊 か な教官 が交代 で相談 を担 当 して いた。 この13名は当時 の文理学部 の教官 2名 , 教 育学部 5 名 , 経 済学 部 2 名 , 薬 学 部 1 名 , 工 学 部 2 名 , 医 師 1 名 で あ った。

相 談 の事 項 は, 学 業 ・精神衛 生 ・経済事 情 ・就 職 ・健康 ・対 人 関係 ・家庭 ・住 居 な ど, 学 生 の生

著者所属 :富 山大学保健管理 セ ンター,The Department of Health Services,Toyama University

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活 に と って悩 みの種 とな って い るすべて の事項 に 及 び,相 談相手 にな る教官 は,学 生 自 らが選 ぶ こ

とが で きた。

学 生相 談所 は文部省 の厚生補導特別企画 の助成 を うけて,新 入学生 に対 して精神衛生指導 の ため の 人 格 調 査 を実 施 して い た。 この調 査 は昭和 38 (1963)年 度 か ら 3年 の継 続事 業 と して行 った。

調 査 の方 法 は MMPIを 用 い,新 入 学 生 に対 して 一 斉 テス トを行 い,不 適応学生 の早期発見,早 期 治療 を 目的 と して いたので あ るが,そ の成 果が ど の よ うな もので あ ったか につ いて は,資 料が残 さ れ て いな いの で,不 明で あ る。

第 2節  セ ンターの設 置

昭和 41(1966)年 に文部省 は全国 の国立 大学 に 保 健管理 セ ンターを設 置す る方 針 を うちだ した。

昭和41(1966)年 度 は 4校 (東大 ・京大 ・長崎大 0 島根 大)に す ぎなか ったが,そ の後 セ ンター設置 校 は着 実 に数 を増 し,本 学 で は昭和50(1975)年

4月 1日 か らセ ンターが発足 す ることにな った。

同年 4月 にセ ンター事務取扱 いに当時 の林学長 が 就 任 し,同 年 5月 ,富 山大学保健管理 セ ンター規 則 が制 定 され た。 同 7月 には,セ ンター所長 に教 養部 の有沢教授 (併任)が 就任 した。

発 足 当初 は,文 理学部,薬 学部,工 学部 の構 内 に診療室 が あ り,文 理学部 と学生会館 に相談室 を 置 き,定 期 ・臨時健康診 断,応 急処 置,心 身 の健 康相 談 等 に当 た って きた。 ス タ ッフは精神科 医, カ ウ ンセ ラー各 1名 ,看 護婦 4名 (うち 2名 は学 生部厚生課保健係併任, 1名 は工学部学務係併任), 栄 養± 1名 で あ る。他 に非常勤学校 医 9名 ,学 生 相 談 員 と して各 学 部 と教 養 部 か らお の お の 1名 (いず れ も併任 )が セ ンターに所 属 し,「 セ ンター の庶務 は,当 分 の間,学 生部厚生課 にお いて処理 す る」 (富山大学 保健管理 セ ンター規則,第 16条) ことにな った。

この間,昭 和51(1976)年 4月 か ら学生相談所 業務 はセ ンターに移管 されて い る。昭和55(1980) 年 4月 1日 か ら現在 の場所 に移 り,名 実 と もに統 一 され たセ ンターと しての活動が始 め られた。

第 2章  組 織 と運 営 第 1節  組 織

保健管理 セ ンターは富 山大学 にお ける保健管理 に関す る専 門的業務 を行 い,学 生 お よび職員 の健 康 の保持増進 を図 る ことを 目的 と した学長 直属 の 全学 的機 関 であ る。

富 山大学 保健管理 セ ンター規則第 3条 は,セ ン ターに次 の各号 に掲 げる職員 を置 く,と 記載す る。

(1)所 長

(2)教 授,助 教授及 び講 師 暢)学 校 医

)看 護婦

幅)技 術職 員及 び事務職 員 (6)そ の他必要 な職員

しか し,現 員 は,平 成 12(2000)年 4月 1日 現 在教授 (神経精神医学)1,助 教授 (カウンセ ラー) 1,看 護婦 2で あ る。事務職員 につ いて は,昭 和 50(1975)年 の設 立 当時,「 セ ンターの庶 務 は, 当分 の間,学 生 部厚生 課 にお いて処 理 す る」 (富 山大学保健管理 セ ンター規則,第 16条)と い う規 程 に従 うことで当座 を しの ぐことにな っていたが, 20年余 を経 た現在 もこの状況 はま った く変 わ って いな い。 この よ うに庶務 を担 当す る事務職員 の立 場 が学生部所属 で あ るため,そ の上 司で あ る学生 部次長 な どが保健管理業務 に理解が あ るか否かで, 業務遂行 が 円滑 にで きた りで きなか った りす る,

とい う ぐあ いに安定感 が いまひ とつ乏 しい とい う う らみが あ る。

第 2節  運 営機構

保 健管理 セ ンター規 則 の第 10条以下 には,セ ン ターの運営機構 に関す る事項 が記載 されて い る。

第 10条 セ ンター委 員会 に,セ ンターの適正 な 運 営 を図 り,保 健管理 の充実 を期 す るた め,保 健管理 セ ンター運営委 員会 (以下

「運営委員会」 とい う。)を 置 く。

第 11条 運 営委員会 は,次 の各号 に掲 げ る事項 を審議 す る。

(1)セ ンターの事業計画 に関す る こと。

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(2)セ ンターの具体 的運営 に関す る こと。

暢)そ の他所長 が必要 と認 め る事項。

第 12条 運 営委 員会 は,次 の各号 に掲 げ る委 員 を もって組織 す る。

(1)セ ンターの所長及 び教 員

(2)第 7条 第 1項 第 4号 に掲 げ る教員 (3)学 生部長 及 び学生部次長

に)人 事課長 ,主 計課 長,学 生課長 及 び厚生 課 長

第 13条 運 営委員会 に委員長 を置 き,所 長 を もっ て充 て る。

2 委 員長 は,運 営委 員会 を招集 し,そ の 議長 とな る。

3 委 員長 に事故 あ る ときは,あ らか じめ 委 員長 の指 名 す る委 員 が その職 務 を代行 す る。

第 3章  施 設 と運 営 第 1 節 施   設

昭和 5 0 ( 1 9 7 5 ) 年 4 月 1 日 の セ ンター発 足 に先 立 って, 施 設 を ど こに設 置す るか とい うことが問 題 にな った。 当初,セ ンターを現在 の図書館 の付 近 に, 独 立棟 と して設 置 す る とい う考 えが有力 で あ った。 しか し,「 この機 会 に,手 狭 にな った本 部 管理棟 を新 築 した いので, そ の戦 略 に協 力 して ほ しい」 とい う事務局 の要請 を いれ るか たちで, 旧事務局 を改築 し,   1 階 にセ ンター,   2 階 に学生 部 が入 る ことにな った。

第 2 節 設   備

保 健衛生 の主 眼が, 従 前 の, 結 核 を は じめ とす る伝染病予 防か ら成人病予 防へ と シフ トす るにつ れ, セ ンターの設備 も更新 を迫 られて い る。体脂 肪 測 定器 や 自動血 圧 測定器, 健 康教育 ・啓蒙 のた め の ビデオ装 置 な どの設置 はそ う した要請 に応 え た もので あ る。

なお,   レク リエー シ ョン ・セ ラ ピー室 は, 他 大 学 の セ ンター に は見 られ な いユ ニ ー クな設備 で あ り, 学 生 ・教職 員 にたいへん好評 を博 して い る。

この部屋 は, 昭 和5 7 ( 1 9 8 2 ) 年 に設置 した もので, 碁 や将棋 , 保 健 衛生 0 ス ポー ツ関係 の雑 誌 ・書 籍 や ビデ オ装 置, そ れ に体力測定器 な どを備 えて い る。所期 の 目的 どお り, 学 生 同士 の気楽 な交流 の 場 と して, 心 身 の リフ レッシュ と健 康増 進 の ため に役立 って い るよ うで あ る。

第 4 章 事   業

第 1 節   相 談 ・広報 事 業 1 。 相談事業

富 山大学 保 健管 理 セ ンター規 則 の第 1 条 に は,

「本学 に学 生 及 び職 員 の保 健 管理 に関 す る専 門 的 業務 を一 体 的 に行 うため, 保 健 管理 セ ンターを置 く。」 とあ り, 同 規 則 第 2 条 に, 次 の業務 を行 う ことと記 されて い る。

( 1 ) 保 健管理 の実施 につ いて の企画, 立 案 に関 す る こと。

(2)健 康診 断 の実施及 びその事後措 置 に関す る こと。

(3)健 康相談及 び救急処置 に関す る こと。

(4)精 神衛生 その他就学上 の相談 に関す る こと。

(5)学 内 の環 境衛 生 及 び伝 染病 の予 防 につ いて の指導援助 に関 す る こと。

(6)保 健 管 理 の充 実 向上 の ため の調 査研究 に関 す る こ と。

(7)そ の他健康 の保持増 進 に必要 な専 門的業務 に関す る こと。

以上 の ことか ら,セ ンターの 目標 ・使命及 び理 念 は,富 山大学 の学生 ・職 員 の身体 的 ・精神 的健 康 の保持 ・増 進 を図 る ことを通 じて,大 学 が担 う 社 会 的使 命 と して の教 育並 び に研 究 の機 能 を十 分 に発揮 させ,促 進 させ る ことにあ る, と考 え られ る。

と ころが現実 に目を転 ず ると,セ ンターの運営 は様 々な面 で困難 に直面 して い る。

まず,対 象 とな る学生数増 大 の問題 が あ る。 セ ンターが設立 され た昭和50年度 の学生現員数 は 4, 400名余 (学部学生 4,318,大学院生 176,専 攻生, 留学生若千 名)で あ ったが,昭 和 60年度 には5,200

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名 余 (学部 学 生 5,070,大学 院生 136,専 攻 生 , 留 学 生 若 千 名 )に ,平 成 11年度 に は,7,500名 余 (学部学 生 6,718,大学 院生 591,専 攻 生 ,留 学生 200名余 )と ,著 しく増 加 して い る。 これ を直接 反 映 す る もの と して は,健 康診 断 (定期 ・臨時) や相談 の量 的増加 が あ るが,近 年,健 康管理 と相 談業務 の両面 と もに顕著 な質的変化が生 じて いる。

教 育 的環 境 の変化 と して は,志 願 者選抜方法 の 多様化 ,女 子学 生 の増加 ,外 国人留学 生 の増加 , 大学 院生 の増加,モ ラ トリアムの瀬 (び)漫 的風 潮 な どが あ る。 メ ンタル ・ヘ ル スの側 面 で は,摂 食障害,境 界人格障害,ス チューデ ン ト0ア パ シー, 無 気力状態,留 年 0休 学 ・退学 の増加2)がみ られ, マ ル チ商法 や カル ト入信 へ の勧誘,薬 物濫 用へ の 誘惑 な どの不健 全 な社 会 的背景 も見逃 す ことが で きな い。 また,流 行 の きざ しをみせ て い る肺結核 や エ イズの予 防 な どに関す る正 しい知識 の普及 ・ 啓 蒙 の必 要 性 な ど,新 しい問題 が相 次 いで生 じて

い る。

と ころが,当 面,セ ンターの人員増 は望 めそ う もな く,あ まつ さえ平成 11年度 のセ ンター運営費 配 分額 が前年度 よ り約89万 円 も減額 され た結果, 健 康診 断 の費用 が賄 え な い始 末 で あ る。肺結核 の 早 期 発 見 の た め に は胸 部 X線 検 査 が不 可 欠 で あ る が,健 康診 断 の強化 を指示 しなが らも運営 費配分 を減額 す る とい う文部 省 の態度 は ど うみて も不可 解 といわ ざ るを得 な い。 こ う した事 態 に ど う対 応 して ゆ けば よいのか は,大 学全体 が負 った重大 な 今後 の課題 で あ る。

2.広 報活動

広 報活動 の一環 と して平 成 8(1996)年 3月 か ら,広 報紙 「ほけかん」 を年 4回 発行 して い る。

従来,セ ンターは 「学園 ニ ュース」(学生部発行)や

「学 報 」 にセ ンターの情報 を提 供 して きた。 しか し 「ほけかん」 の趣 旨は,学 生 の 自由 な参加 を呼 びか け,彼 らの ニ ーズに直接対応 しよ うい うもの で あ り,そ の反応が徐 々にあ らわれ は じめて いる。

第 2節  調 査 ・研 究事 業

文部 省 見解 で は,保 健 管理 セ ンター は第一義 的

に は 「厚生補導 のための施設」 と位置づ け られて い る。 その ため人員構成,研 究費,設 備 の いずれ の面 にお いて もセ ンター は研究環境 に恵 まれて い る とはいえ ない。

と もあれ,セ ンターの調査 。研究 の うちか ら, 本学 の保 健 管理 の改善 に直結 す ると思 われ る もの の一部 を例示 してお く (以下 の① 〜③)。

① セ ンター発足後 ,最 初 に行 った重要 な調 査 ・ 研 究事 業 は,入 学者選抜 に際 して実施 されて いた 心 身 の障害 によ る合否判定基準 の改正 で あ る。

毎 年 ,「 文 部 省高等 教 育 局長 通知 」 の形 式 で入 学者選抜実施要項 が通知 され るが, こ の うち特 に, 入学者選抜 に際 して健康診断 によ り不合格 の判定 を行 うにつ いて は,「 疾 病 な ど心 身 の異常 の ため 志 望学 部 ・学科等 の教育 の 目的 に即 した履修 に耐 え ない こと,又 は伝染病 な どによ り集 団生活 に適 さな い ことが,入 学 後 の保健指導等 を考慮 して も なお明 白な場合 に限定 す る ことが望 ま しい」 とさ れ る。

本学 の場 合 ,現 在 の富 山大学 入学者選抜健康診 断判定基準 (以下,判 定基準 )が 制 定 され るまで に は,相 当 な時間が必要 で あ った。 す なわ ち,昭 和 54(1979)年 度 まで の入学志願者 に適 用 され た 判 定基 準 で は 「C」 判定 (不合格)に 該 当す る と して,列 挙 され た疾患 ・障害 が 「ハ ンセ ン氏病」

「トラコーマ」 「性病」 な ど時代錯誤 の感 じを免 れ なか った。 そ こで セ ンターの働 きか けによ って, 昭和 55(1980)年 11月 7日 に 「判定基準 に関す る 専 門委 員会」 が発 足 し,判 定基 準 の根 本 的再検討 を開始 した。 当時 の問題点 と して は,「 募集要項」

と 「内規」 との間 に書 かれ た判定基準が違 うこと, 判 定 を行 う校 医 に よ って A, B, Cの 判定 に個 人 差 が生 じる恐 れが あ る こと等 に関 して一般 的 な審 議 が お こなわ れ た。 さ らに,学 部学科 によ って は

「色 覚異常 」 につ いて の偏 見 が根 強 く,改 善 を求 め るセ ンター との間 に激 しい応酬 が あ ったが,そ の後 の社会情勢 の変化 はセ ンターの主張 を後押 し す るか た ち とな り,判 定基準 は大幅 に緩和 され る

ことにな ったのであ る。

② セ ンターで は昭和 54(1979)年 度 分 か ら休 ・

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退学 の実 態調査 を始 めた。 これ は全 国大学 メ ンタ ル ・ヘル ス研究会 の共 同事 業 と して現在 も継続 中 で あ る。 体 ・退学 の原因 を究 明 し,予 防 の手 だて を探 ろ うとい うのが その 目的で あ る2 ) 。

③ 留 年 , 体 ・退学 は, 個 々の学生 の側 の事 情 と 大学 側 の制度 的背景 との関係 に左右 され る ことが 多 い。 その ため治 療者 側 は, 既 に発生 して しま っ た この種 の不適 応状態 を後 か ら追 いか ける格好 に な って,努 力 が空 回 りを して しまい,無 力 の悲哀 を感 じる ことが あ る。 特 に, 留 年 は第一 義的 には 教 育 の問題 で, 問 題 が発生 してか ら精 神 科 医 や カ ウ ンセ ラーが個人 的 レベルで援助 に乗 り出 して も 効 果 が十 分 にあが らな い こ とが 多 い2 ) 。したが っ て,教 職 員 が平生 か らそれぞれの立場 と視野 を活 か して,問 題 に取 り組 む ことが肝要 で あ り,他 大 学 に も 「個 別 の事 務組 織 で あ る教務 や学 生 課 な ど や学生 と係 わ る教官組織 や事務機構 との連携 が必 要」1 ) とい う意見がある。

これ と同様 な立場 か ら,本 学 セ ンター も学 内 に 積極 的 な提言 を して きた。 その結 果, 富 山大 学学 生 相 談 連 絡 会 議 」 ( 平成 8 ( 1 9 9 6 ) 年 1 1 月 8 日 制 定) が 発足 した。 この会議 の組織 構 成 員 に は, 教 員以 外 に学 生 部職 員 の うちか ら 2 人 , 各 学 部 の厚 生 補導担 当事務職 員 の うちか ら各 1 人 ( 第 3 条 ) が含 まれてお り,教 官組織 と事務機構 との連携 が 図 られ て い る。 この組 織 が うま く機 能 す れ ば, 不 適応学生 の救済 に大 きな威 力 が発揮 され るで あ ろ

う* 。

第 3 節   そ の他 の事 業

セ ンターで は定 め られ た 日常業務 を遂行 す る こ との外 に,学 生 の健康 の 自己管理 につ なが る保健 指 導 の一 助 と して, 種 々 の特 異 な企 画 を実 施 して きたので,   この機 会 にその主 な ものを記 して置 き た い。

① 昭和 5 6 ( 1 9 8 1 ) 年 に は, 富 山大学 保 健 管理 セ ンター公開講座 「こころの科学」 (10回 :20時間), 翌 5 7 ( 1 9 8 2 ) 年 に は,   同 「こ ころ とか らだ」 ( 7 回 : 1 4 時間) を 開催 し, い ず れ も好評 を博 した。

② 昭和 5 7 ( 1 9 8 2 ) 年 に は新 しい試 み と して, 学

生 同士 の気 楽 な交流 の場 にな る ことを期待 して, 碁 や将棋,体 力測定器 な どを備 えた レク リエー ショ

ン ・セ ラ ピー室 を設 置 した。 これ は レン トゲ ン室 が年 間 に して 1カ 月程度 の使 用 で,あ とは全 く空 き部屋 にな るため,実 効性 の あ る利 用方 法 を考慮 した結果,学 生 の気 楽 な団乗 の場 にす る ことに し た ものであ る。設置当初 は閑散 と していたが,徐 々 に人気 が高 ま り,現 在 は学生 の出入 りが絶 え な い 状 況 で あ る。

③ 昭和 55(1980)年 に は,文 部 省 か ら厚 生補 導 特 別企 画 の援 助 を受 け,第 1回 「健 康増 進 合宿 セ ミナー」 を,極 楽坂 スキ ー場 で開催 した。 この企 画 は昭和 57(1982)年 まで,都 合 3回 行 われ た。

目的 は,心 身 の健 康増 進 , グ ループ体験 を通 して の好 ま しい人間関係 の形成 と自己実現等 で あ った。

しか し,参 加者 が減少 したので,昭 和58(1983) 年 か ら,北 陸地 区国立 5大 学 合 同 で の 「健康 増 進 合宿 セ ミナ ー」 に切替 え て開催 す る こ とに した。

以 来, こ の企画 は平成 7(1995)年 まで 13回にわ た って続 け られ たが,参 加希望者 が著 し く減少 し たのでit` ったん中止 す る ことにな り, 日下 , こ れ に代 わ る新 しい企画 を考慮 中で あ る。

第 5章  将 来 展 望

保健 管理 セ ンターで は,所 期 の 目標 を達 成 す る ために,(1)定 期及 び臨時の健康診断,(2)身 体的 ・ 精 神 的 健 康 相 談 及 び指 導 ,G)環 境 衛 生 及 び伝 染 病 等 の予 防 につ いて の指 導 ,援 助 を行 って きた。

しか し, よ り積 極 的 な健 康 維 持 に は個 人 個 人 の

「健 康 の 自己管理」 が もっと も重 要 で あ る。 この

「健 康 の 自己管理 」 を行 うに は,健 康 や疾 患 につ いて の正確 な知 識 を有 す る ことが不可欠 で あ る。

そ の ため に は健康教 育 が必要 で あ り, これ を行 う こ とで セ ンターの理念 ・目標 を更 に一 歩前 進 させ る ことが で きる。 この ため に,現 在 は健 康管理 の 施 設 と して位 置 づ け られ て い るセ ンターを,将 来 は研究 ・教育 の施設 と し,全 学 の健 康管理 と健康 教 育 を一 体 化 した専 門 的業 務 を行 う施 設 と して整 備 す る ことな どの検討 が必 要 で あ ろ う。

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文     献

1 ) 湊 博 昭 : 留 年 生 との関 わ り方 。 第 1 6 回大 学 精 神 衛 生 研 究 会 ( 発表 ) , 於 東 京 医科 歯 科 大 学 , 1 9 9 4 . 2 ) 西 村 優 紀 美 , 中 村 剛 : 学 生 の休 ・退 学 につ いて。

学 園 の 臨 床 研 究 , N o . 1 ; 卜 1 2 , 2 0 0 0 . 3 ) 「 富 山大学 十 五 年 史」. 富 山大学 刊 , 1 9 6 4 .

* 参 考 : 富 山大 学 学 生 相 談 連 絡 会議要 項.

( なお脱 稿 後 に, 大 学 改 革 推 進 委 員会 の答 申 に基 づ く, 全 学 委 員 会 の整 理 統 合 の提 言 に従 い, 「富 山大 学 保 健 管 理 セ ンター規 則 」 は廃 止 され, 平 成 1 2 年4 月 1 日 付 け で新 た に 「富 山大 学 保 健 管 理 セ ンター運 営 委 員会 規 則」 が制 定 され た。 そ の 内容 は 「富 山大学 規 則 」 に譲 る。)

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