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中国における「改革・開放」の再検討 : 「国進民 退」の評価にむけて

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(1)

退」の評価にむけて

著者 横井 和彦

雑誌名 經濟學論叢

巻 65

号 4

ページ 901‑937

発行年 2014‑03‑20

権利 同志社大學經濟學會

URL http://doi.org/10.14988/00027433

(2)

中国における「改革・開放」の再検討

―「国進民退」の評価にむけて―

横 井 和 彦  

は じ め に

 中国の経済は,2008年のいわゆるリーマン・ショック後の欧米先進国の経 済悪化や,「失われた10年」あるいは「失われた20年」ともいわれた日本の 経済低迷をしり目に,「世界の工場」「世界の市場」として高度成長を続け,「世 界一の貿易大国」「世界第2位の経済大国」となった.しかしながら,このよ うな現状の評価については,「北京コンセンサス」あるいは「中国模式(モデル)」 と肯定的に評価する議論と,「国家資本主義」と否定的に評価する議論に大き く分かれている.

 すなわち,前者は,新自由主義的な政策である規制緩和・財政赤字削減・

資本市場の自由化・国有企業の民営化などを柱とする「ワシントン・コンセ ンサス」との対比で,政治的民主主義をともなわない政府主導の市場経済化 を進めた中国の経済発展を「北京コンセンサス」と規定し,ここに発展の原 因をもとめ,さらにはこの中国の成功体験を「中国模式(モデル)」として,

先進資本主義国とは異なる発展の道であり,ほかの発展途上国にも適用可能 な開発モデルであるとする議論である.後者は,政府が強権をもち,国有経 済が大きなウェイトを占める経済システムを「国家資本主義」と規定し,中 国の経済体制を資本主義としつつも,政府が政治的利益の追求によって産業 の重要な部分を支配しているとして,先進資本主義国とは相いれない特異な 体制であるとする議論である1)

1) Ramo, Joshua Cooper(2004)The Beijing Consensus, The Foreign Policy Center, London,が,ワ↘

(3)

 中国の経済発展が,1978年から鄧小平によって進められた「改革・開放」

の成果であることに異論はなかろう.それにもかかわらず,その結果である 現状への評価がこのように大きく分かれてしまうのは,この「改革・開放」

に対する理解に違いがあるからだと筆者は考える.すなわち一般的には,「改 革」は中央集権的計画経済体制から市場経済への移行と,国営企業から国有 企業への改革,さらには民営企業(民営経済)の育成という市場経済に適合す る経済主体としての企業の創出と理解されてきたといえよう.また「開放」は,

積極的な対外開放による外資企業の誘致と輸出の促進と理解されてきたとい えよう.そして市場経済化と経済発展にともなって,やがて先進資本主義国 に近づいていくものと理解されてきたといえるのである2)

シントン・コンセンサスによるロシア・東欧・モンゴルの急激な市場経済化・民主化の失敗を ふまえて,「改革・開放」による経済成長・市場経済化を北京コンセンサスとよんで中国の経験 を世界に宣揚して以来の「中国模式(モデル)」にかんする議論については,毛里和子(2011)

「世紀の実験―『中国モデル』をどう考えるか?―」『ワセダアジアレビュー』(早稲田大学 アジア研究機構)No.10記念号,所収;ステファン・ハルパー(園田茂人・加茂具樹訳)(2011)

『北京コンセンサス―中国流が世界を動かす?―』岩波書店;吉岡孝昭(2012)「『中国モデ ル』に関する一考察―ワシントン・コンセンサスと北京コンセンサスの動きを中心に―」『国 際公共政策研究』(大阪大学国際公共政策学会)第16巻第2号,所収;加藤弘之・渡邉真理子・

大橋英雄(2013)『21世紀の中国 経済篇―国家資本主義の光と影―』朝日選書897,朝日 新聞出版,などを参照されたい.

  また,中国経済の現状を「国家資本主義」とする議論については,イアン・ブレマー(有賀裕子訳)

(2011)『自由市場の終焉―国家資本主義とどう闘うか―』日本経済新聞出版社;ステファン・

ハルパー(2011)加藤ほか(2013);渡辺利夫+21世紀政策研究所監修・大橋英夫編(2013)『ス テート・キャピタリズムとしての中国―市場か政府か―』勁草書房,などを参照されたい.

2) たとえば,関志雄(2002)『日本人のための中国経済再入門』東洋経済新報社,では,「改革・

開放」を漸進的改革とし,「中国型の漸進的改革は,できるだけ既得権益層に損を与えないよう な形で反対の少ない順から進められてきたと同時に,じっくりと時間をかけて市場とその主体 である非国有企業を育ててきた.具体的な措置としては,旧体制外の改革と旧体制内の改革と に大別できる.旧体制外の改革は,計画経済という旧体制には新ルールを適用せずに,郷鎮企 業をはじめとした非国有企業,新しい製品,経済特区など新しい分野のみに適用するものである.

一方,旧体制内の増量改革は,計画経済において生産,投入,利潤の上納などに関する計画の 範囲を限定(凍結)し,これを超える部分は企業の裁量に任せるものである.こうして計画外 の投入と産出に関しては,取引の場としての市場が次第に発達してきた.これにより,中国共 産党が国民党との内戦のときに使った,『農村から都市を包囲する』という,いわゆる『毛沢東 戦略』と同じように,新体制による旧体制包囲網が形成され,孤立しつつある旧体制は,いず れ戦わずして自然淘汰されることになるであろう.」(161―162ページ)とのべられている.

  また中兼和津次(2012)『開発経済学と現代中国』名古屋大学出版会,では,「われわれの見 るところ,……中国モデルの最大公約数は,少なくとも経済開発モデルとして見る限り,どう

(4)

 事実,今日の中国では,国内工業総生産の4分の1以上(2011年),輸出の

5割近くが外資企業によるものである.中国の経済発展が,この外資企業にリー

ドされてきたことは周知の事実である.しかしその一方で,たとえばアメリ カのビジネス雑誌『Fortune』が毎年世界企業の売上高にもとづいて発表して いる「Fortune Global 500」(2013年版)には,中国(本土)から85社がランク 入りしているが,民営企業が7社あるものの,ほとんどは国有企業であるこ となどから,中国経済の中心的存在は国有企業であるともいえるのである.

すなわち対外開放,市場経済化が飛躍的に進展しながら,国有企業が躍進し,

民営企業は衰退しているようにみえるのである.「国進民退」とよばれる現象 である.

 この一見矛盾している「国進民退」こそが,「改革・開放」の本質を示すも のであるとともに,先にのべたような評価の分かれ目であると筆者は考える.

そこで本稿では,もう一度「改革・開放」,とくにそれを象徴する対外開放と,

国有企業改革を再検討する.これをつうじて,「国進民退」とよばれる今日の 状況がむしろ「改革・開放」の結果であることを明らかにするとともに,そ れをふまえて,大きく分かれている今日の中国経済に対する議論の是非につ いて検討する.

1 「好調」な外資企業と国有経済

 中国経済が1978年からの「改革・開放」の推進で大きく変貌したのは間違 いない.企業のレベルでは,かつては伝統的な社会主義体制のもとで事実上 国営企業のみであったのが,農村での郷鎮企業の育成,個人・私営企業の容認,

やら開発独裁モデルにほとんど等しい.……それはあくまでも『中国的特色を持った』開発独 裁モデルである.また体制移行モデルとして見ると,このモデルは『漸進主義』モデルにほぼ 相当する.つまり,『中国モデル=開発独裁モデル+漸進主義モデル』と要約できそうである.

「中国経済の発展過程は基本的に従来の開発経済学の枠組みで叙述し,整理することが可能であ るし,その意味で中国の開発経験の多くは,少なくとも長期的に見れば,ほぼ『標準パターン』

に従っているといえる.別の言い方をすれば,中国は特殊な国ではなく,全体として見れば『普 通の』国なのである.」(258―259ページ)とのべられている.

(5)

外資企業の積極的誘致・進出などで多様化した.第 1 表は,売上高2,000元(約

3億2,000万円)以上の工業企業の企業数,工業生産総額(2011年),資産総額,

売上高を所有制(出資)別に示したものであるが,2012年現在で,企業数で みると国有・国有株支配企業(以下,国有経済)以外の企業,とりわけ労働力 雇用を基礎とする私営企業が圧倒的多数となっている.一見すると「国進民退」

どころか,「国退民進」(国有企業の衰退と民営企業の躍進)である.多くの論者 が,共産党が「社会主義」の看板はおろさないものの,中国は資本主義にむかっ ていると評価したのも無理はなかったといえる.

 けれども,資産総額および売上高でみると,企業数では圧倒的に少ない国 有経済と,私営企業と同様に「改革・開放」の「申し子」である外資企業の

企業数(社) 工業総生産額(10億元) 資産総額

(10億元) 売上高

(10億元)

(%)比率 比率

(%) 比率

(%) 比率

(%)

総 計 343,796 100.0 844,268.8 100.0 768,421 100.0 929,292 100.0 内 資 企 業

合 計 286,861 83.4 625,851.6 74.1 596,101 77.6 707,343 76.1 国有・国有株支配企業

私営企業その他

17,851 189,289 79,721

5.2 55.1 23.2

221,036.3 252,325.7 152,489.6

26.2 29.9 18.1

312,094.4 152,548.1 104,458.5

40.6 19.9 13.4

245,076.0 285,621.5 176,645.5

26.4 30.7 19.0 外資企業 56,908 16.6 218,417.2 25.9 172,320 22.4 221,949 23.9

第 1 表 所有制(出資)別にみた工業企業の状況(2012年)

『中国統計年鑑』2013年版にはデータの記載がないため,2012年版による(2011年のデータ)

(注)1) 中国の「工業企業」は日本の鉱工業部門と同じである.なお2011年からは売上高2,000

元(約32,000万円)以上の工業企業の統計となっている.

2) 国有経済による株式支配企業には,国有株絶対支配企業(国有絶対控股)と国有株相対支 配企業(国有相対控股.協議支配制を含む)がある.前者は企業のすべての資本における 国家資本(持ち株)の占める割合が50%を上回る企業であり,後者は企業のすべての資本 における国家資本(持ち株)の占める割合が50%を上回らないが,相対的に企業における その他経済要素よりも大きい企業(相対控股),またはその他の経済要素よりは小さいが協 議に定められたところにより国が実際の支配権を有する企業(協議控制)である.

3) 経営者個人が出資し,個人や家族の労働を中心とする自営業者で従業員8人未満の場合は 個人企業(個体企業)といい,労働力雇用を基礎とする私営企業には含まれていない(そ の他内資企業に含まれる)

(出所)『中国統計年鑑』2013年版より作成.

(6)

「好調」さがうかがえるのである.とりわけ,中国が「世界の工場」とよばれ るようになって久しいが,工業総生産(2011年),資産総額,売上高のいずれ も4分の1を占め,さらに輸出において果たしている役割からみて,外資企 業がその原動力となってきたといっても過言ではなかろう.すなわち,第 2 表は中国の輸出に占める外資企業の割合を示したものであるが,WTOに加盟

した2001年以降50%以上を占めており,さらに輸出企業上位50社を示した

第 3 表からわかるように,50社のうち33社が外資企業なのである3).  一方,国有経済も,2007年に,当時の李栄融・国務院国有資産監督管理委 員会(以下,国資委)主任が,「中国共産党第16回全国代表大会(以下,第16 回党大会というように略称)から,国有企業改革は出資人が推進する新しい段階 に入り,国有企業改革は絶えず深化し,国有経済全体の素質は絶えず高まって,

活力と競争力はいっそう強まっている」4)と高らかに宣言して以来,まさに「好 調」である.たとえばアメリカのビジネス雑誌『Fortune』が毎年世界企業の 売上高にもとづいて発表している「Fortune Global 500」においても,2013年 版でランク入りしている中国(本土)企業85社のうち78社が国有企業である.

第 4 表で示したように,資源・エネルギー・電力関連が23社,製造業が20社,

銀行・保険関連が11社,流通・運輸関連が9社,建設業6社,通信サービス が4社などとなっているのである.

 このように「好調」な外資企業と国有経済であるが,それは,外資企業では,

中国全土に設置されている経済特区・開発区・開放都市に立地し,優遇措置 をうけていることによるものであり,また国有経済でも,経営者や従業員の 能力・努力の結果というよりは独占力と政府の優遇策によるものであるとす る考え方が根強く存在する.いわばつくられた「好調」とさえいえ,「改革・

開放」の評価を,先進資本主義国のような「普通」の資本主義への収斂から,

「国家資本主義」という特異な資本主義への道と転換させる要因となっている

3) 上位200社では132社が外資企業である.

4) 『経済日報』20071219日付.

(7)

年 総 額 外資企業 比率 1981

1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996

220.1 223.2 222.3 261.4 273.5 309.4 394.4 475.2 525.4 620.9 719.1 849.4 917.4 1,210.1 1,487.8 1,510.5

0.3 0.5 3.3 0.7 3.0 5.8 12.1 24.6 49.1 78.1 120.5 173.6 252.4 347.1 468.8 615.1

0.14 0.22 1.48 0.27 1.1 1.87 3.07 5.18 9.35 12.58 16.76 20.44 27.51 28.68 31.51 40.72

年 総 額 外資企業 比率 1997

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

1,827.9 1,837.1 1,949.3 2,492.0 2,661.0 3,256.0 4,382.3 5,933.3 7,619.5 9,689.8 12,204.6 14,306.9 12,016.1 15,777.5 18,983.8 20,487.1

749.0 809.6 886.3 1,194.4 1,332.2 1,699.9 2,403.1 3,385.9 4,441.8 5,637.8 6,953.7 7,904.9 6,720.7 8,622.3 9,952.3 10,226.2

40.98 44.07 45.47 47.93 50.06 52.21 54.84 57.07 58.30 58.18 56.98 55.25 55.93 54.65 52.43 49.90 第 2 表 中国の輸出に占める外資企業の割合(1981〜2012年)

(出所)『中国貿易外経統計年鑑』2013年版より作成.

(単位:億ドル,%)

順位 企業名 輸出額

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

富泰華工業(深圳)有限公司【台湾】

達功(上海)電脳有限公司【台湾】

鴻富錦精密電子(鄭州)有限公司【台湾】

昌碩科技(上海)有限公司【台湾】

鴻富錦精密電子(成都)有限公司【台湾】

恵州三星電子有限公司【韓国】

華為技術有限公司

鴻富錦精密電子(烟台)有限公司【台湾】

名碩電脳(蘇州)有限公司【台湾】

達豊(重慶)電脳有限公司【台湾】

蘇州得爾達国際物流有限公司

鴻富錦精密工業(深圳)有限公司【台湾】

25,222 23,950 15,735 15,143 11,994 9,422 8,555 6,999 6,664 6,518 6,200 6,042 第 3 表 中国輸出企業上位50社(2012年)

(単位:百万ドル)

(8)

13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50

諾基亜通信有限公司【フィンランド】

中興通訊股份有限公司

蘇州三星電子電脳有限公司【韓国】

東莞三星視界有限公司【韓国】

仁宝信息技術(昆山)有限公司【台湾】

仁宝電子科技(昆山)有限公司【台湾】

天津三星通信技術有限公司【韓国】

鴻富錦精密電子(重慶)有限公司【台湾】

北京索愛普天移動通信有限公司【日本】

東莞市対外加工装配服務公司 中国国際石油化工聯合有限責任公司 英順達科技有限公司【台湾】

華為終端有限公司 昆山世遠物流有限公司

仁宝資訊工業(昆山)有限公司【台湾】

英源達科技有限公司【台湾】

緯新資通(昆山)有限公司【台湾】

深圳市宝安外経発展有限公司

国際商業機器系統集団(深圳)有限公司【米国】

達豊(上海)電脳有限公司【台湾】

鴻富錦精密工業(武漢)有限公司【台湾】

偉創力製造(珠海)有限公司【米国】

深圳中外運物流有限公司

楽金顕示(広州)有限公司【韓国】

緯智資通(昆山)有限公司【台湾】

聯想信息産品(深圳)有限公司

摩托羅拉移動技術(中国)有限公司【米国】

達富電脳(常熟)有限公司【台湾】

深圳嘉泓永業物流有限公司 深圳中電投資股份有限公司 緯創資通(昆山)有限公司【台湾】

珠海格力電器股份有限公司 緯創資通(中山)有限公司【台湾】

晟碟半導体(上海)有限公司【米国】

福建捷聯電子有限公司【台湾】

大連船舶重工業集団有限公司 希捷科技(蘇州)有限公司【米国】

捷普電子(広州)有限公司【米国】

5,356 5,166 5,055 4,632 4,479 4,454 4,240 4,152 4,067 3,964 3,962 3,898 3,574 3,511 3,504 3,491 3,477 3,463 3,416 3,024 2,901 2,818 2,806 2,780 2,740 2,714 2,653 2,637 2,503 2,497 2,482 2,414 2,242 2,218 2,211 2,202 2,195 2,048

(注)【 】内は投資国・地域.

(出所)「2012中国出口(輸出)200強」『中国海関』2013年第3期(総第288期)18ページより作成.

(9)

国内順位 社  名 世界 順位 1

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35

中国石油化工集団公司【精油】

中国石油天然気集団公司【精油】

国家電網公司【電力】

中国工商銀行【銀行】

中国建設銀行【銀行】

中国農業銀行【銀行】

中国銀行【銀行】

中国移動通信集団公司【電信】

中国建築股份有限公司【建設】

中国海洋石油総公司【精油】

中国鉄道建築総公司【建設】

中国中鉄股份有限公司【建設】

上海汽車集団股份有限公司【自動車】

中国人寿保険(集団)公司【保険】

中国中化集団公司【商社】

中国南方電網有限責任公司【電力】

中国第一汽車集団公司【自動車】

東風汽車集団【自動車】

中国兵器工業集団公司【多様化】

中国中信集団有限公司【多様化】

神華集団【石炭】

中国平安保険(集団)股份有限公司【保険】

中国電信集団公司【電信】

中国五鉱集団公司【商社】

中国郵政集団公司【郵便】

中国南方工業集団公司【多様化】

中国航空工業集団公司【航空宇宙】

中国交通建設集団有限公司【建設】

宝鋼集団有限公司【金属】

中国華能集団公司【電力】

交通銀行【銀行】

中国人民保険集団股份有限公司【保険】

中国聯合網絡通信股份有限公司【電信】

河北鋼鉄集団【金属】

中国アルミ業公司【金属】

4 5 7 29 50 64 70 71 80 93 100 102 103 111 119 134 141 146 161 172 178 181 182 192 196 209 212 213 222 231 243 256 258 269 273

北京 北京 北京 北京 北京 北京 北京 北京 北京 北京 北京 北京 上海 北京 北京 広州 長春 武漢 北京 北京 北京 深圳 北京 北京 北京 北京 北京 北京 上海 北京 上海 北京 上海 石家庄

北京

428,167.4 408,630.0 298,448.8 133,636.0 113,369.9 103,478.7 98,428.7 96,874.5 90,603.2 83,458.9 77,164.7 76,711.0 76,233.6 73,671.4 71,824.1 66,686.0 64,886.0 61,721.9 58,027.8 55,435.1 54,517.9 53,760.9 53,378.6 51,807.0 50,932.9 47,967.4 47,351.2 47,332.6 45,682.7 44,343.9 43,094.9 40,788.9 40,617.1 39,279.9 38,822.1 第 4 表 「Fortune Global 500(2013年版)」入りした中国企業

(単位:百万ドル)

(10)

36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74

中国航空油料集団公司【精油】

中国鉄路物資股份有限公司【商社】

中国国電集団公司【電力】

中国冶金科工集団有限公司【建設】

冀中能源集団【エネルギー】

華為投資控股有限公司【電信設備】

江蘇沙鋼集団【金属】

中国建築材料集団有限公司【商社】

首鋼集団【金属】

中国機械工業集団有限公司【機械】

武漢鋼鉄(集団)公司【金属】

聯想集団【コンピュータ】

北京汽車集団【自動車】

天津市物資集団総公司【商社】

中国電力建設集団有限公司【建設】

中国化工集団公司【化学】

中粮集団有限公司【商社】

緑地控股集団有限公司【不動産】

浙江物産集団【商社】

山東能源集団有限公司【エネルギー】

中国大唐集団公司【電力】

正威国際集団【金属】

山東魏橋創業集団有限公司【紡績】

中国華電集団公司【電力】

山西煤炭運銷集団有限公司【エネルギー】

中国電子信息産業集団有限公司【電子】

中国遠洋運輸(集団)総公司【海運】

山西焦煤集団有限責任公司【エネルギー】

河南煤業化工集団有限責任公司【エネルギー】

新興際華集団【金属】

山西陽泉煤業(集団)有限責任公司【エネルギー】

中国電力投資集団公司【電力】

中国民生銀行【銀行】

招商銀行【銀行】

江西銅業集団公司【金属】

開灤集団【エネルギー】

中国船舶重工集団公司【機械】

興業銀行【銀行】

中国太平洋保険(集団)股份有限公司【保険】

277 292 299 302 311 315 318 319 322 326 328 329 336 343 354 355 357 359 364 373 376 387 388 389 390 395 401 403 404 406 407 408 411 412 414 415 417 428 429

北京 北京 北京 北京 邢台 深圳 張家港

北京 北京 北京 武漢 北京 北京 天津 北京 北京 北京 上海 杭州 済南 北京 深圳 濱州 北京 太原 北京 北京 太原 鄭州 北京 陽泉 北京 北京 深圳 貴渓 唐山 北京 福州 上海

38,445.3 37,172.1 36,848.4 36,756.2 35,319.9 34,900.6 34,557.9 34,462.2 34,329.7 33,952.3 33,882.3 33,873.4 33,374.5 32,864.0 31,971.0 31,967.9 31,751.5 31,738.7 31,197.3 30,712.3 30,399.3 29,588.3 29,562.0 29,341.8 29,322.6 29,010.4 28,736.0 28,646.3 28,636.6 28,579.0 28,578.7 28,558.4 28,436.3 28,039.5 27,879.6 27,841.8 27,753.0 27,247.9 27,174.4

(11)

のである.そこで以下では,「改革・開放」のうち,まず対外開放を,ついで 国有企業改革をふりかえり,その本質的意図を明らかにしていきたい.

2 対外開放の展開

 中国の対外開放は,周知のように,経済特区の設置を皮切りに,第 5 表に 示した開発区や開放都市がつぎつぎに設けられることによって進展した.本 章ではその過程をふりかえり,それぞれがどのような目的で設けられてきた かを明らかにする.

2. 1 経済特区

 対外開放は,1980年に深圳・厦門・珠海・汕頭に経済特区が開設されて,

華僑や外資が進出したことから始まったといえる.この経済特区は,技術・

管理経験・知識・対外政策の「4つの窓口」として,台湾・香港の向かい側 という未開の地にまったく新しい都市をつくり,そこに同じ中国人で資本主 義・市場経済を経験している,華僑・華人が経営する企業を誘致して,経済

(注)1) 【 】内は業種.分類に際しては,おもに,矢吹晋編(2012)『一目でわかる中国経済地図

―2015年までの展望―』第2版,蒼蒼社,118―119ページを参照した.

2) 網掛けは民営企業.

(出所) 財富中文網より作成.http://www.fortunechina.com/fortune500/c/2013-07/08/content_164367.htm

(201396日取得)

75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85

潞安集団【エネルギー】

大同煤鉱集団有限責任公司【エネルギー】

山西晋城無煙煤鉱業集団有限責任公司【エネルギー】

中国医薬集団【医薬品】

上海浦東発展銀行股份有限公司【銀行】

陝西延長石油(集団)有限責任公司【エネルギー】

百聯集団【商社】

浙江吉利控股集団【自動車】

中国有色鉱業集団有限公司【金属】

広州汽車工業集団【自動車】

鞍鋼集団公司【金属】

430 432 435 446 460 464 466 477 482 483 493

長治 大同 晋城 北京 上海 西安 上海 杭州 北京 広州 鞍山

27,105.4 26,980.0 26,757.4 26,189.5 25,424.1 25,341.7 25,202.4 24,550.2 24,146.2 24,144.8 23,588.3

(12)

(1980経済特区年〜) 経済技術開発区

(1984年〜) 開放都市

(1986年〜)

高新技術産業

(1991開発区年〜)

企業所得税

① 企業の生  産・販売  所得

生産型・非生産型 企業とも15%

生産型企業のみ 15%非 生 産 型 企 業:

30%

同24%

非生産型企業:

30%

同15%

期  間  減  免

生産型企業:経営期間10年以上,

利益計上後2年間免税,3年間半免 操業開始後,3年間免除,2年 間半免

うち先進技術企業の場合,さらに3年間半免,製品輸出企業は無期 限半免.ただし上欄の税率が15%の地区は10%徴収

非生産型企業・経 営期間10年以上・

出資額500万ドル 以上:1年間免税,

2年間半免

非生産型企業:なし

輸出比率(輸 出額/生産総 額)が4割以 上ならば所得 税 率 を10% に低減する

生産型・非生産型企業とも,利益を再投資した場合,既納額の40%

を還付

税率の如何,期間減免・税額還付の有無を問わず,日本では最高税 率(30%)で徴税されたとみなされ,配当所得から控除される

②地方所得税 地区により1.5〜3%課税 関税・増値税等

①物品税

自 社 用 の 建 築 資 材,生産営業用設 備,原材料・部品,

輸送手段,事務用 品は常時免税 各種鉱物性油,煙 草,家財道具も減 免

自社用の建築資 材,生産営業用 設 備,原 材 料・

部品,輸送手段,

事務用品および 製品輸出用原材 料等は免税(生 産用原材料等を 除く資材・設備 等は投資額を超 過しても,場合 により免税)

総投資額の範囲 内で輸入する自 社用の生産営業 用設備,輸送手 段,事務用品お よび製品輸出原 料等は免税

②製品輸出 関税は免税,増値税が課税(売上発生時の納税額を還付)

③製品国内  販売

関税・増値税が課税(特定消費物質にはさらに品目ごとに消費税が課税)

ただし,特区内は 鉱物性油,酒,煙 草を除き免税

第 5 表 中国における対外開放政策とその内容

(出所) 横井和彦(2007)「中国における特区政策の展開―企業改革との関連―」布留川正博編著『グ ローバリゼーションとアジア―21世紀におけるアジアの胎動―』ミネルヴァ書房,所収,

138ページ.

(13)

の遅れを取り戻す方法を学ぼうとしたものであった.これは,つぎの鄧小平 のもともとの考えからも明らかである.

   「われわれは,経済的な方法で経済を管理することを学びとるべきだ.新しく導入 した企業を外国の進んだ方法で管理するだけでなく,既存の企業も進んだ方法で改 造する必要がある.」5)

 そのおもな方法は,合作企業を中心とした,「両頭在外」と「三来一補」で あった.合作企業とは,出資比率とは関係なく契約によってあらかじめ利益 分配を決めておく方法で,華僑・華人企業はこの形態をとることが多かった.

 「両頭在外」とは,原材料を輸入し,製品を輸出するということで,ひとま ず経済特区のみを本土から切り離して発展させる戦略であった.そして「三 来一補」とは,「来料加工」(外国企業から原材料の提供をうける),「来様加工」(外 国の発注者の提示したサンプルや仕様書にもとづき,原材料は中国国内から調達して生 産・加工する),「来件装配」(外国企業が部品,場合によっては技術・設備を提供し,

中国の工場で所定の品質・規格どおりに製品に組み立てるノックダウン方式)という 3つの方式による委託加工と,「補償貿易」(外国企業が技術・設備を輸出し,そ の技術・設備をもって生産された製品でその支払いの全額または一部に充当する)の ことである.

 けれどもこの時期は,依然として中央集権的計画経済体制が維持されてい た.「計画経済を主,市場調節を従とする」という1982年の第12回党大会で の当時の胡耀邦・総書記の報告に象徴されるように,体制に対しての一定の 修正を試みながらも,当時においては,非「国営企業」(1993年の憲法改正以 後は国有企業と改称)は,「共有制経済の必要かつ有益な補完物」として認めら れたにすぎなかった.そして都市部で圧倒的な比重を占めていた国営企業は,

5) 「解放思想,実事求是,団結一致向前看」中国経営会計研究資料叢書編集委員会編(1994)『中

国経営・経済関係資料集 19491992』愛知大学経営総合科学研究所,所収,150ページ.

(14)

依然として中央集権的計画経済体制を支える主柱として位置づけられていた のである.しかしこれら国営企業の多くは,「大躍進」から「文化大革命」へ と長年続いた激動と混乱のなかで活力を失っていた.こうしたことから,こ の時期において経済運営の主導権を取り戻した鄧小平らがまず手がけなけれ ばならなかったのは,混乱した企業秩序を回復して管理・運営方式を再建す ることであったのである.

2. 2 経済技術開発区・開放都市

 このような長年の中央集権的計画経済体制のもとで活力を失っていた経済 の活性化のためには,その中核である国営企業の効率化の促進が不可欠であっ た.そしてその目的を達成するために,沿海部と長江流域の既存工業都市に ある国営企業の人材・技術・管理を,外資との合弁によって育成することを めざし,経済技術開発区や開放都市,そしてその象徴としての上海浦東開発 区をつぎつぎに設置したのである.このような意図は,つぎの鄧小平の考え から明らかである.

   「例えば,江蘇など発展のわりに速い地区は,全国平均速度より速めなければいけ ない.また例えば,上海は現在,より速く発展する条件が完全に備わっている.上海は,

人材,技術,管理の面で大きな強みを持っており,影響を及ぼす面が広い.振り返っ てみると,わたしの大きな誤りは,4つの経済特区をやったときに,上海を加えなかっ たことだ.もしそれをやっていたら,いまでは長江デルタ,長江流域全体,さらに は全国の改革・開放の局面が変わっていたことだろう.」6)

 実際この当時の24万あまりの外資企業の資産総額のうち,57%が国営・集団

6) 「在武昌,深圳,珠海,上海等地的談話要点」小島麗逸・石原享一編(1994)『原典中国現代史』

3巻 経済,岩波書店,所収,80―81ページ.

(15)

所有であったという7).そして第 6 表に示したように,この「国営+外資」企業 のなかには,製品の国内市場シェアを大きく伸ばす企業もあらわれたのである.

 具体的には,まず1984年に大連・秦皇島・天津・煙台・青島・連雲港・南通・

上海・寧波・温州・福州・広州・湛江・北海に経済技術開発区が,1986年には「T 字型経済発展戦略」(東部沿海地区をTの横線とみなし,長江を縦線として延々と遡 行する)にもとづいて長江沿岸開放都市が蕪湖(安徽省)・九江(江西省)・黄石・

武漢・宜昌(以上,湖北省)・岳陽(湖南省)・重慶・万県・涪陵(以上,四川省)

に設置され,沿海部の既存工業都市に製造業の外資が誘致されたのである.

 続いて「大鵬経済発展戦略」(国際的な経済競争に参入するために上海地域を頭 とし,南北を縦断する沿海地域を両翼とし長江流域を胴として沿海地区経済発展戦略と 長江流域を結びつけ,想像上の大鳥である大鵬が翼を広げて飛躍する姿に擬する)の かけ声のもと,1990年には上海浦東開発が始動した.外高橋保税区・陸家嘴 金融貿易区・金橋輸出加工区・張江高科技園区が設置され,他の特区が国営 企業との合弁が中心であったのに加え,この浦東では100%外資の独資企業 の設立も認められた.

 こうした開放都市の拡大について,当時の鄒家華・副首相はつぎのように のべている8)

   「南西部と南部の一部省・自治区の区域計画から着手し,国務院関連部門は関連あ る省,自治区,直轄市とともに,次の経済圏発展計画について重点的に検討していく ことにしている.一つは,上海の浦東を竜の頭とする長江沿岸圏.二つは,珠江デル タ圏だ.鄧小平同志はこの地域を視察したとき,広東省が二十年間にアジアの『四匹 の小竜』に追いつくことを提唱した.これは重要な,戦略的な要求だ.三つは,北京市,

天津市,河北省,山東省,遼寧省を含めた環渤海圏.四つは,南西部と南部の一部省・

自治区.五つは,西北圏.六つは,中原圏(黄河中下流域).七つは,東北圏だ.こ

7) 王洛林等著(1999)『中国工業利用外商投資研究報告』社会科学文献出版社,6ページ.

8) 「関于七大経済圏的講話」小島ほか(1994)所収,81ページ.

(16)

のようにして,中部,西部の省,自治区は,沿海地域,辺境地帯,河川流域沿いの省,

自治区との連係によって,内陸奥地と沿海地帯を有機的に結びつけて,優位を互いに 補完できる.九〇年代には,これら七大経済圏の結びつきと強化によって,わが国の 経済発展と対外開放の新しい枠組みが構築されよう.」

 これをふまえて,さらに1992年初頭の鄧小平の「南巡講話」によって,開 放都市は,「全方位開放戦略」のかけ声とともに,従来の沿海部(「沿海」)や 長江沿岸部(「沿江」)から,内陸諸都市や国境地域(「沿辺」)にまで広げられた.

具体的には,1992年に黒河・綏芬河(以上,黒龍江省)・琿春(吉林省)・満州里・

エレンホト(以上,内蒙古自治区)・伊寧・博楽・塔城(以上,新彊ウイグル族自 治区)・馮祥・東興(以上,広西チワン族自治区)・畹町・瑞麗・河口(以上,雲南 省)が開放都市となった.こうして中国全土に多国籍企業が進出したのである.

企業名 主要産品 国内市場

占有率 上海吉列有限公司

上海大衆自動車有限公司 上海ベル電話設備有限公司

上海AT&T朗信科学通信設備公司

上海AT&T朗信科学通訊設備公司 柳州欧維姆建築機械有限公司 柳州富達機械有限公司 柳州大昌新型建材有限公司 柳州桂康日用化学品有限公司 青島第一電工有限公司 海爾冷柜総公司

青島華涛自動車鋳型有限公司 南京華飛彩色顕示系統有限公司 南京電子網板有限公司

剃刀用品 サンタナ乗用車

プログラムコントロール交換機 通信伝送設備

光ファイバーケーブル 建築機械,橋梁錨具など 圧縮機,ろ過機,乾燥機 ビニール袋

中高級練り歯磨き,歯ブラシ 小型空洞振動モーター 冷蔵ケース

自動車鋳型 カラーブラウン管 平板トロン

70 38〜40

33 30 20 51 15〜25

40 20 60 53 30 15 40 第 6 表 「国営+外資」企業製品の国内市場占有率

(単位:%)

(出所)王(1999)55ページ.

(17)

第 7 表は2011年末現在における各地区の外資企業数である.

 そして鄧小平の「南巡講話」は,その年10月の第14回党大会において「社 会主義市場経済」として定式化され,そのなかで「全方位開放戦略」はつぎ のように強調された.

   「全方位開放を実行する.経済特別区,沿海開放都市,沿海開放地帯および国境沿 い,長江流域沿いと内陸中心都市の対外開放をひきつづきおしすすめ,開放地区の波及,

牽引の役割を十分に発揮させること,主要な交通幹線沿線地帯の開発,開放をはやめ ること,中・西部地区が外資を吸収し,天然資源を開発,利用して経済の振興を促進 すること,統一的に企画して経済技術開発区,保税区を真剣にりっぱに運営し,段階

地 区 外資企業数 地 区 外資企業数

北  京 天  津 河  北 山  西 内 蒙 古 遼  寧 吉  林 黒 龍 江 上  海 江  蘇 浙  江 安  徽 福  建 江  西 山  東 河  南

26,535 11,491 7,426 3,623 3,114 17,960 4,298 5,039 61,461 50,461 29,595 4,466 23,381 7,334 25,885 10,168

湖  北 湖  南 広  東 広  西 海  南 重  慶 四  川 貴  州 雲  南 チベット 陝  西 甘  粛 青  海 寧  夏 新  疆

8,023 4,882 98,564 3,773 3,105 4,461 9,107 1,688 3,956 208 5,983 2,262 347 476 1,311 第 7 表 各地区外資企業数(2012年)

(単位:社)

(注)分社・支社を含む.

(出所)『中国貿易外経統計年鑑』2013年版より作成.

(18)

的であるとともにそれぞれ特徴のある全方位開放の枠組みを形成することをめざす.」9)

2. 3 市場経済化の進展にともなう国有企業改革と外資企業

 この「社会主義市場経済」によって,1990年代の後半以降,対外開放の飛 躍的な拡大,企業所有制のいっそうの多様化,第三次産業の拡充をめざした 産業構造の高度化,諸要素市場の整備・充実などの市場経済化が進められた.

またこの時期,第 8 表に示したように,国有企業の経営悪化が顕在化し始め ていた.こうした市場経済化の進展と国有企業改革の要請をふまえて,それ まで国有企業が負担してきた従業員やその家族への食や住,老後の生活や子 女の教育・就職を,サービス産業として切り離すことがめざされることになり,

さらにはアジア通貨危機・国内金融危機(国際信託投資公司の倒産など)もあい

9) 「中共中央関于建立社会主義市場経済体制若干問題的決定」『北京週報』第31巻 第47号,

1993年,所収,14―15ページ.

年 赤字企業数 赤字企業の赤字 総額=A

黒字企業の黒字 総額=B

純黒字=

B−A 1985

1990 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005

6,749( 9.6)

20,603(27.6)

23,000(33.5)

26,200(37.7)

25,816(39.2)

27,104(41.4)

23,734(41.4)

18,938(35.1)

17,072(35.9)

15,060(35.3)

13,002(35.5)

11,112(35.0)

9,943(34.0)

32.4 348.8 639.6 790.7 831.0 1,023.3 851.4 615.8 688.6 633.2 626.8 669.5 1,026.2

738.2 388.1 665.6 412.6 427.8 490.4 967.0 2,391.9 2,330.3 2,636.1 3,783.5 5,311.9 6,446.9

705.8 39.3 26.0

−378.1

−403.2

−532.9 115.6 1,776.1 1,641.7 2,002.9 3,156.7 4,642.4 5,420.7 第 8 表 国有工業企業の赤字の推移

(単位:億元)

(注)( )内は国有工業企業全体に占める赤字企業の比率(%)

(出所)『中国統計摘要』各年版より作成.

(19)

まって,第三次産業の発展に力が入れられることになったのである.

 その結果,製造業以外への開放業種の拡大も課題となり,「外商投資産業 指導目録」を発表して,政策の重点に応じて業種を選別するようになった10). すなわち,第 9 表に示したように,これをみると,もちろん技術導入や先端 産業育成を意図した業種や項目もあるが,国有企業との合弁といった形態に 固執せずに,国有企業改革という政策の重点に応じて業種を選別し,外資を 誘致するようになったともいえるのである. たとえばこれまで国有企業が従

10) 1995年に最初に公布されて以降,2002年,2004年,2007年,そして2011年に改訂されている.

1995年 2002年

荒地開発  交通インフラ

電子・エレクトロニクス 新興産業

田畑改良          バイオ研究 石油探査・開発       野菜・果樹 高級紙・板紙        銅・鉛開発 船舶製造          自動車・二輪車 電力・ガス・水道供給    デジタルテレビ 鉄道・空港・道路建設    貨物郵送事業 住宅開発・建設

2004年 2007年

農田改造      住宅開発・建設 石油探査・開発    (普通住宅の 食品加工       開発・建設)

医薬        野菜・果樹 交通運輸・通信   銅・鉛開発 老人ケアサービス 高級紙・板紙 発電所(30kW以 自動車   上の火力発電所

  の建設・運営)

野菜・果樹     高等教育(大学)

飲料・タバコ    石油・ガス開発 高分子材料     自動車・同部品 超硬複合材料    バイオ医薬 軌道交通運輸設備  太陽電池生産設備 船舶設計・製造   ごみ処理施設 デジタル通信設備  風力発電設備 大気汚染防止設備  汚水処理 原子力発電所建設  現代物流   ・運営      老人ホーム

都市給水場の建設   ・運営

第 9 表 「外商投資産業指導目録」におけるおもな「奨励」産業の推移

(出所)稲垣清(2008)『面白いほどわかる!いまの中国』中経出版,32―33ページ.

(20)

業員やその家族向けにになってきたサービス部門といえる,住宅開発・建設,

老人ケアサービス(老人ホーム),教育など一見産業発展とは直接関連性が低 い業種や項目が入っていることがそれにあたる.

2. 4 高新技術作業開発区

 やや前後するが,こうした外資の誘致の結果,中国国内では,内資企業か らの外資系企業との不公平な競争条件に対する不満,外資が密集する沿海部 と外資が進出してこない内陸部の地域間格差の拡大(第7表参照)などが表面 化した.さらに国外では,WTO加盟をにらんで「内国民待遇」が議論される ようになり,国内外で中国の対外開放の是非が議論された11)

 こうした議論をふまえて,とくに地域間格差や,外資のみの優遇という不 公平を是正するために,中国全土の主要都市の大学の周辺に,高新技術産業 開発区が設置された.ここでは,高新技術企業と認定されれば,外資だけで なく,国有企業など内資も優遇されることとなったのである.高新技術企業 の条件はつぎのとおりである12)

 ① 高新技術(マイクロエレクトロニクス・電子情報技術・宇宙科学・生命科学・新 素材・省エネルギー技術など)・製品の研究・開発・生産・経営に従事.

 ②企業法人資格をもつ.

 ③ 大卒以上の学歴の技術員が従業員の30%以上で,そのうち高新技術・製

11) その要点はつぎのとおりである(河地重蔵・藤本昭・上野秀夫〔1998〕『中国経済と東アジア圏』

世界思想社,156―157ページ)

  ①地方管理の強化をめざす中央指導部とこれに抵抗する広東など地方省・市の確執.

  ② 中国の人件費・用地使用料が高騰し,外国企業からみても労働集約型産業には不向きとなっ たこと.

  ③ 地方省・市が「特区」と同等の優遇策を提示して外資導入を積極的に展開した結果,関税 や所得税率などの優遇措置が撤廃されれば「特区」の特徴が失われてくること.

  ④ 中国に進出する外国企業の目的が,従来の再輸出基地の段階をすぎ,中国市場自体の開拓 に変化してきており,外国企業が,輸出専用ではなく中国国内で販売できる,よりコスト を抑えた製品の生産工場を求めるようになってきたこと.

  ⑤ WTO加盟をにらんだ貿易優遇制度の統一的な運用.

12) 日中経済協会(2004)『中国経済データハンドブック』2004年版,120ページ.

(21)

品開発に従事する技術者が技術員の10%以上.高新技術製品の生産やサー ビスを主とする労働密集型高新技術企業では大卒以上の学歴の技術員が

従業員の20%以上.

 ④高新技術・製品研究開発経費が当年の売り上げの5%以上.

 ⑤ 技術性収入と高新技術製品売上額の総和が総収入の60%以上.新設企業 の高新技術投入が総収入の60%以上.

 この高新技術産業開発区の設置は,国有企業や,力をつけはじめた郷鎮企業・

私営企業などの「民営経済」の産業構造の高度化を進めるとともに,海外か らの帰国留学生や研究者の起業等をつうじたさらなる高次化,すなわち研究・

開発を意識したものといえるのである.

2. 5 小括

 これまでみてきたように,対外開放は,①技術・管理経験・知識,そして 対外政策自体の「窓口」としての経済特区,②直接的な国営(有)企業改革 を目的とした外国企業との合弁企業の設置場所としての経済技術開発区・開 放都市,そして③国有企業改革の環境整備としての「外商投資産業指導目録」

による独資企業の誘致,④国有企業も外資系企業と同様の優遇措置がうけら れる高新技術産業開発区というように,経済の活性化・発展という目的だけ ではなく,むしろ企業改革に応じてつぎつぎに実施されてきたといえるので ある.そして「社会主義市場経済体制整備の若干問題に関する中国共産党中 央の決定」(2003年)においてもこの方針が強調されていた.

   「外資の役割をよりよく発揮させる.新たなラウンドの全世界的生産要素の最適化 再編と産業移転の一大チャンスを逃さず,外資利用規模を拡大し,外資利用の水準 を高める.国内の産業構造調整・高度化に合わせて,進んだ技術,管理経験と資質 の高い人材をより多く導入し,導入技術の消化・吸収と革新・向上を重視する.引 き続き加工貿易を発展させ,多国籍企業に技術レベルがより高く,付加価値がより

(22)

大きい加工・製造段階と研究開発機関をわが国に持ち込ませ,加工貿易のタイプ転 換とグレードアップを誘導する.投資環境をさらに改善し,投資分野を広げて,外 資に対し,条件のある地域および国の産業政策に適合する分野への進出を速めさせ,

外資が密集し,内資・外資が結合した,けん引力の大きい経済成長帯をもういくつ か形成することをめざす.」13)

 さらに2010年には「外資利用業務をより一層適切にすることに関する国務 院の若干意見」が出された.そのポイントは第 10 表のとおりである.

 これをふまえて2011年末には「外商投資産業指導目録」が改訂された.そ

13) http://www.bjreview.cn/JP/2003.49/200349-wx1.htm(201396日取得)

おもな特徴 ポイント

産業政策と連動した選別的 な企業誘致

最先端の製造業,ハイテク産業,省エネ・環境保 護産業などへの投資を奨励

資源の浪費や汚染につながるプロジェクト,生産 過剰業種の設備増強プロジェクトなどは制限

地方への権限移譲等の検討

金融,通信サービスを除く,サービス産業の企業 設立については,関連法規にもとづき地方政府が 審査・認可できるよう権限を委譲

総投資額3億ドル以下の奨励類,許可類プロジェ クトは,一部例外を除き,地方政府が審査・認可 を行う

条件を満たした外資企業の資金調達手段拡大策と して,株式公開,人民元建て社債の発行も含めた 検討を行う

中西部への投資誘導

条件を満たした西部地域の企業(内外問わず)に 対する企業所得税優遇措置を継続

東部から中西部への外資企業の移転を奨励 第 10 表 「外資利用の一層の改善に関する国務院の若干の意見」のポイント

(出所) 佐野淳也(2010)「中国の対内直接投資の動向と外資誘致政策の変化」『環太平洋ビジネス情 報 RIM2010』(日本総研)Vol.10 No.39,所収118ページ.

(23)

のおもな変更点は,新エネルギー車の基幹部品・充電所運営,ベンチャー投資,

知的財産権サービス,海洋汚染除去技術,次世代通信設備,職業訓練,紡績・

化学工業・機械などの新世代製品が「奨励」に追加され,自動車製造,多結 晶シリコン,石炭化学が「奨励」から外されたことである14).2013年9月に は中国(上海)自由貿易試験区が発足し,金融などサービス産業を中心に規制 が緩和される.

 以上のことから,産業構造の高度化も対外開放で実現しようとしていると さえいえるのである.

3 国有企業改革の展開

 対外開放の半面で,企業改革は,1980年代後半以降,所有制の多様化と国 営企業の企業管理制度改革という側面から本格化した15).その一応の結論が,

株式制企業を柱とした「現代企業制度」の創設であった.すなわち,1993年 秋の中国共産党第14期中央委員会第3回全体会議(以下,中共14期3中全会と いうように略称)での「社会主義市場経済体制を確立するうえでの若干問題に ついての中国共産党中央の決定」において「市場経済の要請に適応した,財 産権のはっきりした,権利と責任が明確な,行政と企業が切り離された,科 学的管理をおこなう現代企業制度」の確立が打ち出され,同年12月に「公司

(会社)法」を制定,翌年7月に施行したのであった.本章では,その実態を 明らかにする.

3. 1 国有企業の株式会社化の実態

 国有企業の株式会社化は,一般的には所有形態の転換,すなわち民営化に

14) 『日本経済新聞』20111230日付.

15) 企業制度改革の展開については,横井和彦(1997)「中国企業改革における効率化と民主管 理―企業管理制度を中心に―」『経済学論叢』(同志社大学経済学会)第49巻第3号,所収,

同(2003)「中国における市場経済化と企業の効率化―企業環境の法的整備を中心に―」『経 済学論叢』(同志社大学経済学会)第54巻第4号,所収を参照されたい.

(24)

よる経営の効率化ととらえられているといえる.しかし中国においては,国 有企業の事業拡張資金の調達を主目的に展開されたというのが実態である.

なぜなら,当初政府が所有する株式は基本的に市場には放出されていなかっ たからである.第 11 表にみられるように,株式会社化の進展によって国家 資本が,比率でみると減少したようにみえるが,金額でみると増加している.

つまり国有株の売却によって絶対的に減少したのではなく,増資によって相 対的に低下したというべきなのである.すなわち,増資による資金調達であ るので,資金は企業に集中したのである.

 さらに,第 1 図に示したように,株式会社化されるのは,おおむね優良国 有企業か,重要国有企業内部の優良資産であった.すなわち,国有企業を株 式会社化する際には,国有企業を発起人とする別会社を設立し,そこに優良 資産のみを投入して,即席の優良企業を編成するのである.利益に貢献しな い非優良資産や,社宅・病院・学校などの社会的部門,当面は利益を生まな い建設中の資産などは投入されない.もとの国有企業は非分離資産を所有・

経営するとともに,別会社の株式を所有する事業持株会社として存続するの おもな特徴 金   額(万億元) 比   率(%)

2004年 2008年 2004年 2008年

国家資本 集団資本 法人資本 個人資本

香港・マカオ・台湾資本 外国資本

8.7 1.4

― 5.1 1.3 1.6

11.4 1.0 8.7 7.8 2.1 3.1

48.1 7.9

― 28.0 7.3 8.7

33.5 2.9 25.6 22.9 6.2 9.1

合  計 18.2 34.0 100.0 100.0

第 11 表 企業出資構成

(出所) 国務院第一次全国経済普査領導小組弁公室・中華人民共和国国家統計局(2005)『第一次全 国経済普査主要数据公報』;国務院第二次全国経済普査領導小組弁公室・中華人民共和国国 家統計局(2010)『第二次全国経済普査主要数据公報』より作成.

(25)

である.これは,形式的にはわが国における会社分割の分社に相当するもの である.

 こうして国有企業は,先にのべた外資との合弁企業の設立と,株式会社化 によって,実際には増殖していったとさえいえるのである.第 12 表は,登 記区分別にみた内資の工業企業の状況であるが,国有企業は6,770社となっ ている.所有制(出資)別にみた第1表によると国有・国有株支配企業(国有

経済)が17,851社であるから,ここから国有企業数を差し引いた11,081社が,

先にのべたような形で設立された,株式会社(有限責任会社と株式有限責任会社)

と考えられるのである.

国有企業(母体企業)

社 会 的 部 門

非優良資産 補助部門 建設中 一般的資産

(現物出費)資産 国有株

(額面発行)

株式 会社

(新設) 優良資産 優良資産

社会的遊休資金 第 1 図 国有企業株式化の実態

(出所) 中屋信彦(2002)「中国における国有企業の株式会社化と資本結合―資金調達と国有資本 支配の構造―」『現代中国』(日本現代中国学会)第76号,所収,135ページ.

(26)

企業数(社) 資産総額

(10億元) 売上高

(10億元) 利潤総額

(10億元)

国有企業 6,770 102,035 77,521 3,882

集団所有制企業 4,814 5,666 10,970 895 株式合作企業 2,397 3,138 4,074 302

聯営企業 481 1,036 1,130 67

国有聯営企業 集団所有制聯営企業 国有・集団聯営企業 その他聯営企業

103 131 101 146

590 104 203 138

499 228 171 232

18 17 12 21 有限責任会社 66,955 224,763 224,155 13,917

国家全額出資会社 その他有限責任会社

1,444 65,511

49,089 175,674

33,114 191,041

1,633 12,284 株式有限会社 9,012 98,057 90,112 7,650

私営企業 189,289 152,548 285,621 20,192

私営単独全額出資企業 私営合名企業 私営有限責任会社 私営株式有限会社

34,678 5,576 141,884 7,151

17,475 2,736 119,629 12,708

48,318 6,879 211,678 18,747

4,029 616 14,104 1,442 その他企業 7,143 8,858 13,760 1,040

第 12 表 登記区分別にみた内資工業企業の状況(2012年)

(注)1) 中国の「工業企業」は日本の鉱工業部門と同じである.なお2011年からは売上高2,000

元(約32,000万円)以上の工業企業の統計となっている.

2) 各企業の定義は下記のとおり.

国有企業:企業のすべての資産が国家の所有に属し,かつ,「企業法人登記管理条例」の 規定にもとづいて登記された非会社制の経済組織.有限責任会社のうちの国家全額出資会 社(国有独資公司)を含まない.

集団所有制企業:企業の資産が集団の所有に属し,かつ,「企業法人登記管理条例」の規 定にもとづいて登記された経済組織.

株式合作企業:協同組合制を基礎とし,企業の従業員が共同出資し株式を取得し,一定 の比率で社会資産を吸収して投資・設立され,自主経営,損益自己責任,共同労働,民主 管理を実施し,労働に応じた分配と株式に応じた配当が結びついた集団経済組織.

聯営企業:2者以上の同じかまたは異なる性質の企業法人または事業単位法人が,自主,平 等,互恵の原則にもとづき,共同で投資し設立された経済組織.

有限責任会社:「公司(会社)登記管理条例」の規定にもとづいて登記され,1名以上50 名以下の株主が共同出資し,各株主がその出資額に応じて会社に対し有限責任を負い,会

(27)

3. 2 国有経済の戦略的調整

 さらに国有企業の「好調」の背景には,国有企業の整理淘汰がある.これ はたんに企業数を減らしたということではなく,むしろ国有経済の内部再編 であり,国民経済に対する政府の支配力を実効的に強化するための方策であっ た.すなわち,国民経済のすみずみに配置されていた国有資本を,売却や破産・

合併などによって「国家の安全及び国民経済命脈」にかかわる重要領域に集 約し,その影響力によって政府による国民経済支配の実効性を強化しようと したのである.

 「国家の安全及び国民経済命脈」に位置づけられたのは,1999年の中共14 期3中全会の決定によれば,「国家の安全に関わる産業,自然独占の産業,重 要な公共財とサービスを提供する産業,および支柱産業とハイテク産業のな かの重要基幹企業」である.

 これをもとに2001年11月に策定された「第10次五カ年計画工業構造調整

社はそのすべての資産をもって債務に責任を負う経済組織.有限責任会社には国家全額出 資会社(国有独資公司)およびその他有限責任会社を含む.

国家全額出資会社(国有独資公司):国家が単独で出資し,国務院もしくは地方政府の国 有資産監督管理委員会が出資者としての職責を履行する有限責任会社.

その他有限責任会社:国家全額出資会社以外の有限責任会社.

株式有限会社:「公司(会社)登記管理条例」の規定にもとづいて登記され,そのすべて の登録資本は,同額の株式構成により,かつ株券の発行をつうじて資本調達され,株主は 購入した株式をもって会社に対し有限責任を負い,会社はすべての資産をもって債務に責 任を負う経済組織.

私営企業:自然人が投資設立または自然人が株式を支配し,労働力雇用を基礎とする営 利性の経済組織.「公司(会社)法」「合(合名)企業法」「私営企業暫定条例」の規定に もとづき登記された私営有限責任会社,私営株式有限会社,私営合名企業と私営単独全額 出資企業を含む.

私営単独全額出資企業:「私営企業暫定条例」の規定にもとづき,1名の自然人が投資経 営し,労働力雇用を基礎とし,投資者は企業の債務に対し無限の責任を負う企業.

私営合名企業:「合(合名)企業法」または「私営企業暫定条例」の規定にもとづき,

2名以上の自然人が協議にもとづいて共同投資・共同経営・共同損益負担を行い,労働力 雇用を基礎として,債務に対し無限の責任を負う企業.

私営有限責任会社:「公司(会社)法」「私営企業暫定条例」の規定にもとづき,2名以 上の自然人が投資するか,または1名の自然人が株式を支配する有限責任会社.

私営株式有限会社:「公司(会社)法」の規定にもとづき,5名以上の自然人が投資するか,

または1名の自然人が株式を支配する株式有限会社.

(出所)『中国統計年鑑』2013年版より作成.

参照

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