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博 士( 理 学 ) 木藤 新 一 郎 学 位論 文 題 名 Random cDNA sequenclngandStudieS OfgeneSengagedinCe11CyCle andSignaltranSduCtionlnrlCe( 〇 rソ2QSQとむぴ QL.)

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Academic year: 2021

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博 士( 理 学 ) 木藤 新 一 郎

     学 位論 文 題 名

    Random cDNA sequenclngandStudieS     OfgeneSengagedinCe11CyCle

andSignaltranSduCtionlnrlCe ( 〇 r ソ 2QSQ とむぴ QL .)

(イネcDNAのランダムシークエンスと細胞周期     及び 情報伝達関与 遺伝子に関する研究)

学 位論 文 内 容 の要 旨

  生物の行なう基本的な生命活動には様々な機能蛋白質が関与し、それらは全て遺伝 子によルコードされている。遺伝子操作技術の著しい進展により、それら機能夕ンバ ク質をコードする遺伝子が微生物から高等生物にいたる多くの生物から単離され、現 在十万種類を越える遺伝子が各種データバンクに登録され、それらに関する数多くの 研究が行なわれている。しかし植物における遺伝子の単離は遅れており、高等植物に 存在すると推定される4〜5万種類の遺伝子のうち、単離同定されたのは全体の1% にも及んでいない。遺伝子の側面から生命現象を解明する上で、遺伝子単離技術は非 常に重要な位置を占める様になってきたが、一般に用いられている抗体や合成オリゴ ヌクレオチドを用いたスクリーニング法、PCRを使用する方法などではターゲット とする特定遺伝子の単離には有効であるが、多数の遺伝子を単離する方法としては限 界がある。そこで本研究では、データバンクを活用して遺伝子を迅速かつ大量に単離 する新たな方法を試みた。また、植物における細胞周期及び情報伝達の研究が遅れて いる ことから、単 離した遺伝子 のうちそれらに 関与するものの解析を行った。

【第1章】  イネは、単子葉植物の中では半数体当りのゲノムサイズ小さく、各種連 鎖地図が作製され、遺伝子導入が確立されているという数多くの利点を持っている。

また、古典的な遺伝学や生理学のデータが豊富に蓄積されているので、単子葉植物に おけるモデル植物になり得ると考えられる。そこで本研究では、イネ培養細胞である カ ル ス由来のmRNAから 合成したcDNAを大腸 菌のpUC系ベクター に直接クロー ン

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化 し、 ランダ ムに選択したクローンの塩基配列を部分的に決定した後、得られた情報 を 既知 のデー タバンクのものと比較する方法によルイネ遺伝子の単離を行なった。総 計637ク ロ ー ン に つ い て調 べ た 結 果 、 約1割 に 相 当 する60ク ロー ンで既 知の 遺伝 子 と の相 同性が 確認 でき た。 このう ち53クロ ーン はイネ で初 めて のもの で、30クロー ン は植 物で報 告されていないものであった。検出された遺伝子は多岐にわたっていた が 、エ ネルギ ー代 謝に 関与 するも のが22ク ロー ンと最 も多 く、 続いて 細胞 周期や情 報 伝達 に関与 する もの が13クロー ン、 転写 や翻 訳など のタ ンバ ク合成 に関 与するも の が12クロー ン、 また 高等 植物で の機 能が 未知 のもの をは じめ 、他の 機能 に関与す る もの が13ク 口ーンあった。これらの多くが植物で単離同定されていないも.のであ る こと から、 本研究により得られたクローンを個別に、又は関連するクローンを総合 的 に研 究して 行くことで、植物における生命現象の解明が一層進む事が期待できる。

  【第2章 】  次に、第1章で同定した細胞周期に関与するクローンのうち、その進行 に 中 心 的 な 役 割 を して い るcdc2キ ナ ー ゼ とS期 特異 的 に 発 現 す る が そ の 機 能 が解 明 され ていな い.cyc〇7遺 伝子と 相同 性を 示す2種類のク口ーンについて、全塩基配 列 の 決 定 と 転 写 産 物 の解 析 を 行 な っ た 。cdc2キ ナ 了ゼ の 遺 伝子 と相同 性を 示す ク 口 ー ン は 、 ア ミ ノ 酸302残 基 か ら な る33kDaの 蛋白 質 を コ ー ド し 、 そ の 配 列 中に はATP結 合 ド メ イ ン 、PSTAIRドメイ ンな ど  cdc2  キナ ーゼ のア ミノ酸 配列 に共 通 に 保存 されて いる特徴的なドメインが存在した。しかし以前に様々な生物から単離さ れ て い るcdc2キ ナ ー ゼと の 相 同 性 が60% 以 下 と 低 く、 系 統 樹を 作成し た結 果、 こ れ ま で に 報 告 さ れ て いるcdc2キ ナ ー ゼ と は 違 う タ イプ で あ ると 予想さ れた 。さ ら に 転写 産物の 解析で、この遺伝子の発現量が幼植物体に比ベカルスで高いことが明ら か にな った。cyc07は、S期 特異的 に発 現す る遺 伝子と して ニチ ニチ草 で単 離され、

相 同遺 伝子の 存在 が酵 母や ラット で確 認さ れている。本研究で単離したcyc07と相同 性 を示 すクロ ーン は、 アミ ノ酸262残基か らな る蛋 白質 をコー ドし 、cyc07とアミノ 酸 で78%の相 同性 を示 した 。また 転写 産物 の解 析で、 幼植 物体 に比ペ カル スでの発 現量が高いことが明らかになった。

  【第3章 】  さらに、第1章で同定したクローンのうち情報伝達に関与することが予 想 さ れ る3つ の ク ロ ー ン に つ い て 解 析 を 行 な っ た。 一 っ は14‑3‑3proteinで 、こ れは動物で神経伝達物質の生合成に関与するチロシン‐3‐モノオキシゲナーゼ、及び   トリプトファン―5ーモノオキシゲナーゼのアクチベーターとして単離され、プロテイ

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ン キ ナ ー ゼCの イ ン ヒ ビ タ ー と し て も 機 能 す る 事 が 明 ら か に な っ て い る 。 最 近 、 こ の

遺伝子と相同性を示す遺伝子が植物からも単離され、大麦では病原菌で発現が誘導さ れる遺伝子として、アラビドプシ‐スではGボックスに結合するタンバク質の遺伝子と して 報告 されて いる 。以 上のこ とか ら、14‑3‑3 proteinは植物においても情報伝達 に深く関与していることが予想される。そこで本研究では、この遺伝子の全塩基配列 の決 定及 び転写 産物 の解 析などを進めた。単離したクローンは、アミノ酸260残基か らな る酸 性タン パク 質を コードし、その配列中にはCa2十結合ドメイン、プロテイン キ ナ ー ゼCの 擬基質 ドメ イン 、さ らにロ イシ ンジ ッパ ー様の 配列 が存 在し、3t非 翻 訳 領 域 には 動 物 で 確 認 さ れ て い るmRNAの 不 安 定 化 に 関 与 す る 配 列ATTTAが 数コ ピ ー存在した。転写産物の解析ではカルスに比ペ幼植物体での発現が高いこと、さらに その発現が塩、低温などのストレスにより誘導されることが明らかになった。以上の 特徴から、本遺伝子のコードするタンパク質は、ストレスなどのシグナルが伝わる情 報伝達系の中に位置する転写因子であると推定できた。

  本 研 究で は、rasに代 表さ れる 低分子 量Gタン パク 質を コー ドする2種類の 遺伝 子

(ricl,ric2)の構造も解析し、各々アミ,′酸202及び217残基からなるORFをもち、

その 配列 中に低 分子 量G夕ン パク質に共通に保存されているGTP/GDP結合ドメイン、

GTPase活性 ドメ イン 及び 膜への 結合 に必 要なC末 のシ ステイ ン残 基の 存在を 明ら か にした。また系統樹から、両クローンがyp t/ra6夕イプに属する事が示唆された。転 写 産 物 の解 析 で は 、ric1に 比 ベric2の 発 現 量が 低い こと、 また 両ク ローン の発 現 が幼植物体に比ベカ ルスで高いことが明らかになった。さらに大腸菌で両クローンの GSTとの 融合 夕ン パク質 を作 成し 、そ のGTPasピ活性 を測 定した結果、低い活性を示 した 。こ れらの こと から 、両遺伝子がイネにおいて互いに機能を異にする低分子量G 夕ンパク質をコードしていることが明らかになった。

  本研究では、ランダムシークエンスとそれに続くホモロジー解析により、植物で単 離されていない多くの遺伝子を単離することに成功した。そして、細胞周期及び情報 伝達 に関 与する5クロー ンに ついては全翻訳領域を含むク口ーンを単離し、その塩基 配列を決定すると共に発現及びタンパク質レベルの解析を行なうことで、各遺伝子の コードするタンバク質の機能について重要な知見を得た。今後、細胞周期や情報伝達 をはじめとした植物の基本的な生命活動の解明に、゛本研究で得られた遺伝子及び知見 が役立っものと考えられる。

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授

教授

教授

助教授

谷藤茂行 石川   内宮博文

(東京大学分子細胞生物学研究所)

加藤敦之

学 位 論 文 題 名

     Random cDNA sequenclng and studies        of genes engaged in cell cycle and signal transductionun rice ( Oryza satiua L.)

.(イネcDNAのランダムシークエンスと細胞周期     及び情報伝達関与遺伝子に関する研究)

  遺 伝 子 を 抽 出 す る に は 特 定 の 蛋 白 質 のmRNAを 免 疫 沈 降 法 等 で 選 択 し てcDNAを 合 成 し 、 ま た は 蛋 白 質 の ー 次 構 造 の 情 報 に 基 ず い てDNAを 合 成 し 、 そ れ ら を 用 い て 核DNAの ラ イ ブ ラ リ ー か ら 選 び 出 す の が 一 般 的 手 段 で あ る 。 然 し ・ 、 そ れ に は 複 雑 な 実 験 操 作 を 伴 い 、 ま た 得 ら れ る 遺 伝 子 は 一 種 類 だ け で あ る 。 申 請 者 は イ ネ 培 養 細 胞 か ら 調 製 し たcDbfA イ ブ ラ ル ー の 中 か ら 無 作 為 的 に 多 数 の ク ロ ー ン 選 ん で 、 そ の ・ 一 部 分 の 塩 基 配 列 を 決 定 し た 。 そ し て 、 そ の 情 報 を 遺 伝 子 の デ ー タ ー べ ー ス で 検 索 し 、 多 く のcDNAを 同 定 し た 。 即 ち 、 イ ネ に 就 い て は 初 め て 見 い だ さ れ た 遺 伝 子 の ク ロ ー ン を53種 類 、 ま た 植 物 で は 未 報 告 で あ っ た も の30種 類 を 同 定 し た 。 そ れ ら の 中 で 、 細 胞 増 殖 の 制 御 に 関 与 す る も の と 、 シ グ ナ ル 伝 達 に 関 連 す る と 恩 わ れ る5個 の ク ロ ー ン に 就 い て は そ の 全 塩 基 配 列 を 決 め 、 そ れ か ら 推 定 さ れ ろ 蛋 白 質 の 構 造 と 機 能 を 解 析 し た 。

  ヒ ト 、 酵 母 、 卜 ウ モ 口 コ シ のcdc2遺 伝 子 に 相 同 性 を 示 し たSS224ク ロ ー ン は 、 ア ミ ノ 302個 のORFを 持 ち 、ATP結 合 ド メ イ ン 、 プ ロ テ ィ ン キ ‐ ナ ー ゼ ド メ イ ン 、cdc2特 異 的 ド メ イ ン を 含 み 、 そ れ はcdc2フ ァ ミ リ ー に 属 す る と 推 定 さ れ た 。 然 し 、 他 生 物 で 報 告 済 み の 遺 伝 子 と 比 較 す る と 相 同 性 は 低 く 、 そ れ は 系 統 的 に 特 殊 な 位 置 に 位 す る と 考 え ら れ た 。     ‑ 82

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  二チニチ ソウのS期特異的発 現を示すcyc07に相同な イネのcDNAクローンのT151は、

アミノ酸262個よりなるORFを持ち、イネの芽生えよりも、増殖性を備えたカルスで発現 が高いことがRNAの解析から判明した。

  アミノ酸260個のORFを有し、プロティンキナーゼC偽基質ドメイン、Ca゛゛結合ドメイ ン、ロイシンジッパーを含むcDNAのS94は、動物のプロティンキナーゼCインヒビターに 相同で、またチロキシンオキシゲナーゼなどのアクチペーターとして知られている14― 3ー3蛋白質にも相同であり、それがシグナル伝達系に関連する蛋白質であることが示唆 された。なお、このS94遺伝子は、イネ培養細胞で、高張液処理や食塩水処理、低温など のストレスで発現が強まる事も認められ、また、ある種の14−3→3類似遺伝子の産物が遺 伝子プ口 モーターの シス配列であるG−ボックスに結合するとの報告もあるので、イネ の S94の 蛋 白 質 が 転 写 因 子 で あ る 可 能 性 の 高 い こ と が 論 じ ら れ た 。   シ グナル伝達 に関連する 低分子量GTP結合蛋白 質に相同な クローン、riclとric2も 同定された。それらのク口ーンでは、アミノ酸、それぞれ202個、217個のORF,GTP/GDP 結合ドメ イン、GTPase活性ドメイン、そして2個の膜結合に関連するシスティン残基が 保存され ていた。然 し、他生物のこの蛋白質に対する相同性が、その2クローン闇で可 成り異な っており、 低分子量GTP結合蛋白質の機能面での多様性が示唆された。また、

それらのcDNAを キメラ遺伝 子とし、大 腸菌内で発 現させて作成した融合蛋白質を解析 し た と こ ろ 、 そ の 蛋白 質 はGTPと 結 合し 、GTPを 加水 分 解す る こと が 証明 さ れ た。

  以上の研 究成果はcDNAのラ ンダムシー クェンス・ データーベース検索法がcDNAを大 量に同定する上で有効なことを具体的に示したもので、また、イネに就いて初めての遺 伝子を多数同定したこと、さらに、現在重要視されているシグナル伝達に関与する蛋白 質の構造 と機能にっ いて詳しく 調査したこ とが大変意 義深い点であり、高い評価を得 ている。公表ずみの参考論文の質も高く、最終試験の結果も満足すべきものであった。

  審 査 員一 同 は申 請 者が 博 士( 理 学)の学 位を受ける 充分な資格 を有すと認 めた。

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参照

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