博 士 ( 情 報 科 学 )
岩 館 健 司 学 位 論 文 題 名
Behavior Emergence of Virtual Creature with Neuro‑
Evolution and Central Pattern Generator for Ariimation
(アニメーションへの利用を目的としたArtif̲cial Neural Network 及び
Central Pattern Generatorに よ る 人 工 生 物 の 行 動 創 発 )
学 位論文内容の要旨
コ ン ピ ュ ―タ グ ぅ フ ィ クス 技 術 は 計 算 機性 能 の 向 上 に伴 い め ざ ましく 発展し ,今日 では映 画。 ピ デオ グ ー ム 等 に 代表 さ れ る 娯 楽分 野 に お い て必 要 不 可 欠 な技 術 と なって いる ,この 中で物 体の挙 動 にり ア リ テ ィ を 与え る 物 理 ア ニメ ー シ ョ ン 技術 へ の 関 心 が高 ま り ,物理 法則 に準じ た挙動 をシミ ュ レ― 卜 す る こ と によ り , 剛 体 や流 体 に 対 し 現実 に 近 い 動 きを 与 え る方法 が提 案され ている ,しか し なが ら , 生 物 の 様に 自 ら の 意 思決 定 に よ り 自律 的 に 行 動 する ア ク ターに 対す る物理 アニメ ―ショ ン の生 成 技 術 は 研 究段 階 に あ り ,現 在 で は キ ―フ レ ー ム 法 及び モ ― ション キャ プチャ 法との 併用が 主 流とな ってい る, 更に, これら の手法 を用い たア ニメ― ション 生成に は高 価な機材,高度な専門知識〜
莫大な 時間が 必要 とされ る.
本 論 文 で はこ れ ら の問 題を解 消する ため ,人工 知能, 人工生 物の 観点か ら,自 律的に 挙動す る人 工 生物 を 対 象 と し た物 理 ア ニ メ ―シ ョ ン を 自 動生 成 す る 方 法を 提 案 し。こ の方 法を適 用した アニメ ― ション 製作ソ フト ウェア を開発 するこ とを目 的と した,
こ れ を 実 現す る 具 体 的 な解 決 策 と し て ,生 物 の 感 覚 器官 に 相 当 するセ ンサ。 筋肉に 相当す るア ク チュ ェ ー 夕 , 神 経系 に 相 当 す る意 思 決 定 機 能を 持 つ3次 元の 人 工 生 物 に対 す る 様 々 な 仮想 物理環 境 中に お け る 自 律 行動 獲 得を実 施し, この結 果を アニメ ―ショ ンとし て利用 する 方法を 採用し た.意 思 決 定 機 能 に は 環 境 変 化 に 対 す る 高 い 汎 化性 を 有 す る 人工 二 ユ ― ラ ル ネッ ト ワ ー ク(ANN)を採 用 し た.意 思決定 機能 の学習 を行う 際に教 £市信 号を 定義す ること が困難 であ るため.この学習には最適化 アルゴ リズム を採 用した .最適 化の戦 略とし て, 「現実 を模倣 した環 境。 生物のモデル化し,生物の行 動原 理 に 基 づ く 意思 決 定 機 能 の最 適 化 を 実 施し た 場 合 , 獲得 さ れ る行動 が自 ずと現 実世界 の生物 の 行動 に 漸 近 す る 」こ と を仮定 し,最 適化の 評価 に生物 の基本 的な行 動原理 を採 用した .これ により 人 工生物 の形状 に依 存しな い移動 行動獲 得方法 を提 案した ,
研究の 第ー 段階と して, 研究の 基盤 を整え るため ,様々 な物理 情報 を持つ 物理モデルの製作,及び,
製作 し た モ デ ル を用 い た り ア ルタ イ ム な 物 理シ ミ ュ レ ― ショ ン を 実現す るソ フトウ ェアを 開発し 、 この ソ フ ト ウ ェ アを 用 いたモ デル製 作実験 ,及 び簡易 的な行 動獲得 実験に より ,ソフ 卜ウェ アの有 用 性を 明 ら か に し た. 第 二段階 として ,開発 した ソフト ウェア を用い た様々 な行 動獲得 実験を 実施し . 獲 得 さ れ た ア ニ メ ― シ ョ ン か ら ソ フ ト ウ ェ ア の 有 効 性 及 び 改 良 点 を 明 ら か に し た . 本 論 文 は 下記 の 通 り 構 成さ れ る . 第1章 は 本論 文の序 論であ り, 研究背 景,目 的,関 連研究 につ い て述 べ , 本 研 究 の位 置 づ け を 明ら か に し た .第2章で は,本 研究の 基盤と なる 物理ア ニメー ション 製 作ソ フ ト ウ ェ ア 「TIPS‑PM」 の 開発 と そ の 応 用 につ い て 述 べ た, 本 ソフト ウェア は、GUIを 用いた モ デル 製 作 , 及 び りア ル タイム な物理 シミュ レ― ション を可能 として おり, ソフ 卜ウェ アを用 いた複 雑 な形 状 を 持 つ 物 理モ デ ル の 生 成実 験 , お よ び簡 易 的 な 自 律行 動 ア ニメ― ショ ン生成 実験に より開 発
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した ソ フ ト ウ ェ アの 有 用 性 を 明ら か に し た,第3章 以降で は. 開発し た物理 アニメ ―シ ョン製 作ソフ ト ウ ェ ア を 用 い た 様々 な 自 律 行 動ア ニ メ ― シ ョン 生 成 実 験 につ い て 述 べ て いる . 第3章 では っANN を意 思 決 定 機 能 に持 つ両生 類型 人工生 物に対 する複 数の環 境中 (地上 ,水中 )に於 ける 自律行 動アニ メ― シ ヨ ン 生 成 実験 に つ い て 述べ て お り , 生成 さ れ た 自 律行 動 の検 証によ り行動 獲得 方法の 有用性 を明 ら か に し た .第4章 で は ,生 物 の 意 思 決定 機 能 へ の 生物 学 的 知 見 の導 入 に よ る 自 律行動 獲得の 効率化 につい て述 べた. 本章で は,生 物の脊 髄等 ,比較 的下位 の神経 系に 於いて観察される「リズム」
の生 成 モ デ ル と して 知JられるCentral Pattern Generator (CPG)を意 思決 定機能 として 採用し ,最適 化ア ル ゴ リ ズ ム を用 い たCPGの 最 適 化 によ り . 様 々 な 形態 的 特 徴 を 持つ 人 工 生 物 に対 す る自律 移動 行動 の 獲 得 実 験 を実 施 し た , 獲得 さ れ た 自律行 動の 解析に より.CPG導 入の有 用性 を明ら かにし た,
第5章 で は , 環境 や 人 工 生 物 同士 の 相 互 作 用を 考 慮 し た 高度 な ク ス ク の達 成 を 目 的 と した自 律行動 獲 得 実 験 に つ い て 述 べ た , 本 章 で は , 第4章 で 獲 得 し たCPGに 上 位 の 意 思 決 定 機 能 と し てANNを 組み 合 わ せ る こ とで ,高度 なタ スクを 達成可 能な意 思決定 機能 のアー キテク チャを 提案 し,最 適化ア ルゴ リ ズ ム を 用 いた 複合行 動( 目標追 尾,障 害物回 避等) の獲 得実験 を実施 した. 獲得 された 自律行 動の検 証によ り. 本手法 の有用 性を明 らかに した .
最後に ,第6章で はこ れまで の結果 を取り まと め。結 論を述 べた,
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学位論文審査の要旨
学 位 論 文 題 名
Behav10rEmergenCeofVirtualCreatureWithNeurOー
EVOlutionandCentralPatternGeneratorf・ OrAnimation (アニメーションへの利用を目的としたArti6cialNeuralNetwork及び CentralPatternGeneratorに よ る 人 工 生 物 の 行 動 創 発 )
本 学位 論 文で は、 人工知 能およ び人工 生物の 観点 から, 自律的 に挙動 する 人工生 物を対 象とし た物 理 ア ニ メ― シ ョンを 自動生 成す る方法 を提案 し,こ の有 効性を 検証す ると共 に,こ の方 法を適 用した シ ン セ テ ッ ク ( 統 合 型 ) ア ク タ ― を 実 現 す る ア ニ メ ― シ ョ ン 技 術 の 開 発 を 目 的 と し て い る . コ ンビ ュ ― タ グ ラフ ィ ク ス 技 術は 計 算 機 性 能 の向 上 に 伴いめ ざまし く発 展し, 今日で は映画 ,ビ デ オ グ ―ム 等 に 代 表 さ れる 娯 楽 分 野 にお い て 必 要 不可 欠 な技 術とな ってい る.こ の中 で物体 の挙動 に り ア リテ イ を 与 え る 物理 ア ニ メ ― ショ ン 技 術 へ の関 心 が高 まり, 物理法 則に準 じた 挙動を シミュ レ ― 卜 する こ とによ り,剛 体や 流体に 対し現 実に近 い動 きを与 える方 法が提 案され てい る,し かしな が ら . 生物 の 様 に 自 ら の意 思 決 定 に より 自 律 的 に 行動 す るシ ンセテ ックア クター に対 する物 理アニ メ ー シ ョン の 生 成 技 術 は研 究 段 階 に あり , 現 在 で はキ ― フレ ーム法 及びモ ーショ ンキ ャプチ ャ法と の 併 用 が主 流 となっ ている .更 に,こ れらの 手法を 用い たアニ メ―シ ョン生 成には 高価 な機材 ,高度 な専 門知 識,莫 大な時 間が必 要と される .
こ れを 実 現 す る 具体 的 な 解 決 策と し て , 生 物 の感 覚 器 官に相 当する セン サ,筋 肉に相 当する アク チ ュ エ ―ク , 神 経 系 に 相当 す る 意 思 決定 機 能 を 持 つ3次 元 の 人 工生 物 に 対 す る様 々な 仮想物 理環境 中 に お ける 自 律 行 動 獲 得を 実 施 し , この 結 果 を ア ニメ ー ショ ンのシ ンセテ ックア クタ ーの行 動生成 と し て 利用 す る 方 法 を 提案 し て い る .意 思 決 定 機 能に は 環境 変化に 対する 高い汎 化性 を有す る人工 ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク(ANN)を 採 用 しし て い る , 意 思決 定 機 能 の 学習 を 行 う 際 に教 師 信 号 を 定 義 す る こと が 困難で あるた め, この学 習には 最適化 アル ゴリズ ムを採 用した ,最適 化の 戦略と して,
「現 実を 模倣し た環境 ,生物 のモ ラッ凵 匕し, 生物の 行動原 理に 基づく意思決定機能の最適化を実施し た 場 合 ,獲 得 される 行動が 自ず と現実 世界の 生物の 行動 に漸近 する」 ことを 仮定し ,最 適化の 評価に 生 物 の 基本 的 な 行 動 原 理を 採 用 し た ,こ れ に よ り 人工 生 物の 形状に 依存し ない移 動行 動獲得 方法を 提案 し、 検証し ている ,
研 究の第 一段階 では, 研究 の基盤 を整え るため ,様 々な物 理晴報 を持つ物理モデルの製作,及び,製 作 し た モデ ル を 用 い た りア ル タ イ ム な物 理 シ ミ ュ レー シ ョン を実現 するソ フトウ ェア を開発 し,こ のソ フト ウェア を用い たモう カレ 製作実 験,及 び簡易 的な行 動獲 得実験により,ソフトウェアの有用性
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志 仁
二 雄
人
正
正
恵
哲
雅
川 原
木 野
本
古
栗
鈴
小
山
授 授
授 授
授
教
教 教
教 教
准
査 査
査 査
査
主 副
副 副
副
を明 ら かに して い る. 第二 段 階で は, 開 発し たソ フ トウ ェア を 用い た様々 な行動獲得実験を 実施し,
獲 得 さ れ た ア ニ メ ― シ ョ ン か ら ソ フ ト ウ ェ ア の 有 効 性 及 び 改 良 点 を 明 ら か に し て い る . 本 論 文 は 下 記 の 通 り 構 成 さ れ て い る .第1章は 本 論文 の序 論 であ り, 研 究背 景, 目 的, 関連 研 究 に つ い て 述 べ , 本 研 究 の 位 置 づ け を 明 らか に して いる , 第2章 では ,本 研 究の 基盤 と なる 物理 ア ニ メ ー シ ョ ン 製 作 ソ フ ト ウ ェ ア 「TIPS‑PM」の 開発 と その 応用 に つい て述 べ てい る. 本 ソフ トウ ェ ア は,GUIを 用 いた モデ ル 製作 ,及 び りア ルク イ ムな 物理 シ ミュ レ― シ ョン を可 能 とし てお り ,ソフト ウ ェ ア を 用 い た 複 雑な 形状 を 持つ 物理 モ デル の生 成 実験 ,お よ び簡 易的 な 自律 行動 ア ニメ ―シ ョ ン 生 成 実 験 に よ り 開 発 し た ソ フ 卜 ウ ェ ア の有 用 性を 示し て いる ,第3章以 降 では ,開 発 した 物理 ア ニ メ ー シ ョ ン 製 作 ソ フ ト ウ ェ ア を 用 い た 様 々 な 自 律 行 動 ア ニ メ ーシ ョン 生 成実 験に つ いて 述べ て い る , 第3章 で は ,ANNを 意思 決 定機 能に 持 つ両 生類 型 人工 生物 に 対す る複 数 の環 境中 ( 地上 ,水 中 ) に 於 け る 自 律 行 動 アニ メー シ ョン 生成 実 験に つい て 述べ ,生 成 され た自 律 行動 の検 証 によ り行 動 獲 得方 法 の有 用性 を 検証 して い る, 第4章 では , 生物 の意 思 決定 機能 へ の生 物学 的 知見 の導 入 による自 律行 動 獲得 の効 率 化に つい て 述べ てい る ,本 章で は ,生 物の 脊 髄等 ,比較 的下位の神経系に 於いて観 察さ れ る「 リズ ム 」の 生成 モ デル とし て 知ら れるCentral Pattern Generator (CPG)を意 思 決定機能 と し て 採 用 し , 最 適 化 ア ル ゴ リ ズ ム を 用い たCPGの 最適 化に よ り, 様々 な 形態 的特 徴 を持 つ人 工 生 物に 対 する 自律 移 動行 動の 獲 得実 験を 実 施し た. こ うし て獲 得 され た自 律 行動 の解 析 を実 施し,CPG 導入 に よっ て「 リ ズム 」の 生 成が 可能 な こと ,お よ びそ の有 用 性を 明ら か にし てい る .第5章では,
環 境 や 人 工 生 物 同 士の 相互 作 用を 考慮 し た高 度な タ スク の達 成 を目 的と し た群 行動 の 自律 行動 獲 得 実 験 に つ い て 述 べ て い る , 本 章 で は , 第4章 で 獲 得 し たCPGに 上 位 の 意 思 決 定 機 能 と し てANNを 組み 合 わせ るこ と で. 高度 な タス クを 達 成可 能な 意 思決 定機 能 のア ―キテ クチャを提案し, 最適化ア ルゴ リ ズム を用 い た複 合行 動 (目 標追 尾 ,障 書物 回 避等 )の 獲 得実 験を実 施している.獲得 された自 律行 動 の検 証に 基 づぃ て, 本 提案 方法 の 有用 性を 明 らか にし て いる .最 後 に, 第6章 では こ れまでの 結果 を 取り まと め ,結 論を 述 べて いる .
こ れ を 要 す る に 、本 学位 論 文で はア ニ メー ショ ン にお ける シ ンセ テッ ク アク タ― の 行動 獲得 に 対 し て . 物 理 モ デ ラ ー のGUIソ フ ト ウ ェ ア を 開 発 し モ デ ル 作 成 を簡 易 にす ると 共 に, アク タ ーにANN とCPGを 組 合 せ た 行 動 獲 得 制 御 方 法 を ニ ュ ― □ エ ヴ ォ リ ュ ー シ ョ ン で 学 習 さ せ た 行 動獲 得を 提 案 し、 そ れら の有 効 性を 検証 し てい る, 従 って ,本 学 位論 文は ア ニメ ―ショ ン技術学および複 雑系工学 に 寄 与 す る と こ ろ 大 で あ り , 博 士 ( 情 報 科 学 ) の 学 位 を 授 与 す る に 値 す る も の と 認 め る .
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