全文

(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

天然ガスの起源と生成過程 : 不活性気体と軽炭化水 素の化学および同位体組成からの新アプローチ

長谷川, 英尚

http://hdl.handle.net/2324/1485071

出版情報:Kyushu University, 2014, 博士(理学), 論文博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

(2)

(比乙様式3)

氏 名 :

長谷川 英尚

論文題名 :

Origin and generation process of natural gas: New approach from chemical and isotopic compositions of inert and light hydrocarbon gases

(天然ガスの起源と生成過程-不活性気体と軽炭化水素の化学および同位体 組成からの新アプローチ-)

区 分 : 乙

論 文 内 容 の 要 旨

本論文は,日本全国の天然ガスの主成分であるメタン(CH4)ガスとそれに共存する不活性ガス

(He, Ne, Ar,N2)および軽炭化水素ガス(エタン(C2H6), プロパン(C3H8))の化学および同 位体組成の分布関係に基づき,従来の天然ガスの有機説(堆積有機物の微生物分解ガスと熱分解ガ スの2分類)と無機説(熱分解ガスへのマグマ起源CH4の混入説)の再検討による新たな起源分類 と生成プロセスを提案したものである。

第1章(序章)には,従来の天然ガス研究の現状と問題点および本研究を行うに至った経緯と目 的が述べられている。第2章に,本研究で用いた実験手法を纏めている。

第3章では,本研究の端緒となった石油基礎試錐第7次5か年計画の現状と結果を紹介し,従来 定説であった天然ガスの地層間での移動・集積現象について,再検討することの必要性を論じてい る。さらに,無機説で日本のグリーンタフ地域(秋田・新潟)の天然ガスにマグマ起源のCH4が含 まれる論拠となった3He/4He比とCH4の炭素同位体比(δ13C)の関係が,その証拠となり得ない ことを明らかにし,新たなアプローチ法の必要性を述べている。

第4章では,北海道,秋田,新潟,千葉および宮崎地域の企業生産井から得られた全国の天然ガ スと東北日本のマグマ起源気体のN2/Ar比とHe/Ar比の分布関係およびグリーンタフ地域の天然ガ スの同位体比(CH4のδ13C値,40Ar/36Arおよび窒素同位体比(δ15N値))の比較による新たな視 点から,グリーンタフ地域の天然ガスには,マグマ起源のCH4が含まれないことを結論付けている。

さらに,これらの不活性気体の組成と同位体比の差異が,天然ガスが生産された地層中の有機物の 熟成度や地層の賦存環境に対応することを明らかにし,これまで定説であった天然ガスが移動・集 積した気体ではなく,その地層内で生成した現地性気体である可能性を議論している。

第5章では,全国の天然ガスの新たなCH4のδ13C 値とN2/Ar比の関係図を提案し,δ13C 値の 上昇に伴う N2/Ar 比の上昇パターンの変化と N2のδ15N 値の関係を明らかにしている。その結果 に基づき,従来の“熱分解天然ガス”を,堆積有機物が全分解した時の高いδ15N値(4~7‰)をも つ“高温熱分解ガス”とそれ以外の“低温熱分解ガス”の 2つに分類し,その境界をCH4のδ13C 値を指標として約-40‰とすることを提案している。

第6章では,世界的な海洋堆積物のδ15N 値の表層及び深度分布とその変動メカニズムを,過去 50万年間のペルー沖堆積物中の石灰質ナンノプランクトン群集とδ15N値の変動関係に基づき議論 している。この海域の堆積物のδ15N値は,3‰から7‰の領域を変動しており,このδ15N値の変 動が,気候変動に伴って引き起こされた海洋透光帯の栄養塩濃度と植物プランクトンによるその消

(3)

(比乙様式3)

費メカニズムの変動に起因する汎世界的な現象であることを解明し,天然ガス中の高δ15N 値を持 つN2の存在が,高温熱分解天然ガスを分類する指標となることを裏付けている。

第7章では,日本全国の天然ガスの軽炭化水素ガスのCH4(C1),C2H6(C2)およびC3H8(C3)

のC1/(C2+C3)比とCH4のδ13C 値の関係図を作成し,δ13C 値の上昇に伴いC1/(C2+C3)比が,急 激に低下し始めるδ13C値(-60‰付近)を微生物分解ガスと低温熱分解ガスの境界値とすることを 議論している。

第8章では,天然ガスの移動・集積説とその中で用いられてきたC1/(C2+C3)比とδ13C 値の混合 ラインの問題点を議論し,新たに本研究で提案したHe/Ar 比と40Ar/36Ar比の関係図に基づき,天 然ガスが従来の地層間の移動・集積ガスではなく,生産された地層中で生成した現地性ガスである ことを裏付けている。

第9章(終章)では,日本の天然ガスは,その起源として有機説のみを考慮し,堆積有機物の微 生物分解および低温と高温の熱分解で発生した微生物分解ガス,低温熱分解ガスおよび高温 熱分解 ガスの3つに分類できること,および各々の境界を CH4のδ13C 値の-60‰と-40‰とする新たな分 類指標を提案できることを結論付けている。

Updating...

参照

Updating...

関連した話題 :

Scan and read on 1LIB APP