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著者 久保寺 貴彦

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(1)

舗装の構造評価を目的として小型FWDを用いた表面 波試験法による分散曲線

著者 久保寺 貴彦

著者別名 KUBODERA Takahiko

雑誌名 工業技術

巻 39

ページ 76‑80

発行年 2017

URL http://id.nii.ac.jp/1060/00009568/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

***技術報告***

舗装の構造評価を目的として小型 FWD を用いた表面波誠験法による分散曲線 D i s p e r s i o n  Curves by S p e c t r a l  A n a l y s i s  o f  S u r f a c e  Wave u s i n g  P o r t a b l e  FWD 

f o r  E v a l u a t i o n  o f  Pavement S t r u c t u r e s  

久保寺

.はじめに

舗装は,表層・路盤・路床の支持力や層厚によって,

その後のパフォーマンスには違いがある.効率的な維持 管理のためには,舗装の構造を非破壊的かっ正確に評価 する必要がある.非破壊構造評価法として,世界的に普 及されている

F W D

試験や研究段階である表面波試験な どある.表面波試験の利点は,層厚が推定可能とされて いること,逆解析を必要としないことなどである.しか し,表面波試験は,実測データから求めた分散曲線の精 度が低いので,実用化に至っていない.精度が低い理由 として,ノイズを計測する可能性があること,表面波試 験では各層を均一層とみなす前提であるが,表層の密粒 度アスフアルト混合物は,骨材とストレートアスフアル トの異なる材料で構成され,特に骨材では波動が乱反射 する可能性があることなどが考えられる.これらの影響 に左右されずに表面波試験の研究を進めるためにも,表 面波試験の数値解析が必要である.ところが,数値解析 を行っても正確に模擬できなく,その原因も不明である.

そこで,著者らは,数値解析における表面波試験を正 確に模擬するため,舗装構造のレイリー減衰係数に着目 し,各層のレイリー減衰係数が分散曲線に及ぼす影響を 把握するため,各層でレイリー減衰係数を考慮、した順解 析プログラムを開発した1)各層のレイリー減表係数の 値は不明であるので,これらを変数として,表面波試験 の数値解析が行われた.この結果,レイリー減衰係数を 考慮すれば,分散曲線において各層の伝播速度を理論値 に近似させることが可能となった1)

ただし,レイリー減衰係数は,現場の温度や各層厚な どに依存するはずなので,現場での実測データを用いて 実舗装構造のレイリー減衰係数を求めるべきである.実 舗装構造のレイリー減衰係数を求めることができれば,

本理工学部都市環境デザイン学科

貴彦*

舗装の構造評価項目の新たなlっとして,正確に舗装構 造を評価可能となる.すなわち,施工直後,健全の実舗 装構造のレイリー減衰係数を把握することが可能とな り,供用後,この値より高くなれば,舗装内部にひび割 れや空洞があることが予想でき,低くなれば,舗装内部 の温度が高いことや下部に硬い層があることが予想で きるはずである.

そこで本研究の目的を,小型

F W D

試験の荷重と変位の 時系列データから,実舗装構造のレイリー減衰係数およ び各層の弾性係数を同定する逆解析プログラムを開発 すること,解析結果を実現象と比較する際,レイリー減 衰係数を考慮、し各層で評価するため,小型

F W D

試験によ り分散曲線における比較を提案することとした.図‑1 に本研究のフローチャートを示す.

図‑1 本研究のフローチャート

(3)

舗装の+高倉評価を目的とした小型

F W D

の表面波試験法による分散曲線

Dispersion Curves by Spectral Analysis of Surface Wave using Portable FWD  for Evaluation of Pavement Structures 

2.

実 際 の 小 型 開

D

鼠 験 概 要

測定場所は埼玉県比企郡の L 交通の密粒度アスフア ルト舗装である.層厚を既知とするため,測定前に掘削 試験が行われ,各層厚は,表層0.05m,路盤0.25m,路 床1.70mという結果が得られている.測定日は2004年 12月18日(晴天)に行なった.

小型FWDは,重錘を落下させたときの載荷板に生じる 荷重と変位の時系列データを測定する装置である.小型 FWD試験は,車載タイプのFWDによる測定が困難な狭院 な個所において用いられ,路盤・路床の剛性を評価する 研究が行なわれているが,舗装構造の評価への適応例2)

は少ない.

小型FWDを重錘の質量15kg,落下高さ0.3m,載荷板 直径O.1mと設定し測定を行った.測定された荷重と変 位の時系列データを図‑2に示す.

8 6 4  

0.4  0.3  0.2 

0.1 ~

0 0 3  

‑0.12 

0 . 2 i

‑0.3  2 

ハリ今︐L

( Z u

‑ )

4 

‑6 

‑8  0.00 

Displacment 

‑0.4  0.01  0.02  0.03  0.04 

time (s) 

図‑2 小型FWDによる実測データ

3.

小 型 開

D

実 測 デ ー タ を 用 い た 動 的 逆 解 析

3.  1 

動 的 解 析

衝撃荷重が作用する舗装構造の運動方程式は,一般に 次式のように書くことができる.

Mu(t)  +  C u ( t )   +  Ku ( t )  

f ( t )   u ( O )   =  0 ,  u ( O )   =  0 

久 保 寺 貴 彦

ベクトノレである.本研究では舗装の動的解析と逆解析に 適する減衰モデ、ルをレイリー減衰モデルとして考慮し ている.レイリー減衰マトリ ックスは以下の式より算出 する.

C=αM+βK 

(2) 

ここに,

α

β

は,それぞれ質量比例減衰係数, 剛性 比例減衰係数である.

3.  2 

逆 解 析

小型FWD試験において,表面でのたわみセンサーでの 測定値と解析値の誤差に対して以下の最小二乗法を適 用して目的関数により評価される.

J(P)=41;f 訪 日 t )

U i (P , t ) Y d t  

L.  i=] 

(3) 

ここに

, n

は着目点の数であり,イ

( t ) , u

( P

, 

t )

は着目点 iに お け る 測 定 値 と 計 算 値 で あ り

= (E]

E2

, . , .

Em

, a , s Y

は各層の弾性係数と全体のレ イリー減衰係数であり

,t o , t 

fはそれぞれ測定時間の上 限,下限である 式(3)はパラメータ

Pj

に関する非線形 関数となり, Gauss‑Newton法を適用することにより, 補正方程式に変換される.

測定された表面たわみの時系列データから未知パラ メータを推定するような逆解析を行うとき,たわみの未 知パラメータに関する感度を計算することが必要とな る3) 動的な舗装構造解析の場合,質量マトリ ックスと 荷 重ベク トルは各層の弾性係数と全体のレイ リー減衰 係数に独立である.感度方程式は式(1)をパラメータ

P j

で偏微分すると得られる.

EA

u ̲ ̲   d u  

M2 1 +(αM + 厚 )一 +K ‑ 4 2 o p 

, 

o p 

op 

( 4 )  

ここに,

M

C

K

はそれぞれ

nxn

の質量,減衰,岡IJ性 初期条件は

t=O

において マトリックス,そして泊

( t ) , u ( t ) ,  u ( t )

nxl

の加速度,速

度,変位ベク トルである.また,右辺の

f ( t )

は衝撃荷重

(4)

舗装の構造評価を目的とした小型

F W D

の表面波試験法による分散曲線

Dispersion Curves by Spectral Analysis of Surface Wave using Portable FWD  for Evaluation of Pavement Structures 

久 保 寺 貴 彦

θuθu  =  0  8 p j δ P j 

感度方程式の右辺はそれぞ、れのパラメータに関して次式の ように定義する.

h;= 何 +βu)‑ 8K  , PJ=EI , j=l , , m ( 6 ) J  '8pj'  J  J 

hj=‑RfE

Pl  =α ,  j=m+l  hl  =‑KU ,P l . = β ,  j=m+2 

(7)  (8) 

ここに

, m

は舗装構造の層数である.

3 .   3 

実 測 デ ー タ を 用 い た 動 的 逆 解 析

有限要素の分割を図

‑3

に示し,材料特性値を表

‑1

のように設定し,未知パラメータの初期値を表一2のよ

うに設定し,図‑2の小型 F叩の荷重と変位の時系列デ ータを用いて逆解析を行った.表‑1のレイリー減衰係 数の設定は既往の研究1)を参考にした.

動的逆解析の結果を表

‑ 3

に示す.

4.

動 的 逆 解 析 結 果 を 用 い た 動 的 順 解 析 に よ る 小 型 開

D

詰験の検証

実舗装構造のレイリー減衰係数および各層の弾性係 数を得ることが可能となったが,これらの値を検証する には,これらの値を動的順解析に戻し, 実現象と比較す る必要がある.レイリー減衰係数を考慮し,かつ各層で 弾性係数を評価するため,小型 FWD載荷による分散曲線 における比較を提案した.

‑ 3

に示した舗装構造の材料特性値を表

‑1

3

と し,図 ‑2の小型 FWDの荷重を作用させて動的順解析を 行った.このときの舗装表面の加速度から表面波試験法 により分散曲線を描いた.

表面波試験は,舗装表面上に複数の受信子を設置し, ハンマリング等の起振子で表面に衝撃荷重を作用させ たときに,受信子それぞれの位置で舗装表面の加速度を 測定する.伝播速度は主に媒体の弾性係数により変化し,

高周波数成分は高剛性を,低周波数成分は低剛性の媒体

(5)  表層コL O.05m I O.25m 

路床

4.70m 

‑3

解析対象とした舗装構造の要素分割

表‑1材料特性値

ポアソン比 │密度

(kg/m

3)

層 盤 床 表 路

0 . 3 5   0 . 35  0 . 3 5  

2300  1900  1800 

表 2 未知パラメータの初期値

E(MPa) 

α (1Is)  β (s)  表層

5886 

路盤

296  5 . 0 0   5 . 0 0 X  10

4

路床

78 

‑3

動的逆解析の結果

E(MPa) 

α (l/s) 

(s)

表層

6 0 3 5  

路盤

300  5 . 3 2   3 . 3 3  X  1 0 ‑

路床

80 

を伝播する.この特性を利用して,受信子聞のそれぞれ で測定した加速度波形から周波数成分ごとに伝達関数 を求め,伝播速度と波長の関係を得る.弾性係数は,式 (9)のようにポアソン比, 密度,伝播速度から求まる.

2(1+  v)ρvf 

(9) 

ここに,

E:

弾性係数,

V

s:伝播速度,

ρ:

密度,

v:

ポア ソン比

伝播速度と周波数の関係をグラブ化したものが分散 曲線である.波長の屈折点から屈折点までの長さの比が 各層の厚さの比とされ,その屈折点における伝播速度と

(5)

舗装の構造評価を目的とした小型

F W D

の表面波試験法による分散曲線 Dispersion Curves by Spectral Analysis of Surface Wave using Portable FWD 

for Evaluation of Pavement Structures  久保寺 貴彦

式(9)から各層の弾性係数が求まる.

実測と解析の小型 FWD載荷による表面加速度から分 散曲線を描いた.受信子間隔が分散曲線に与える影響を 把握するため, 受信子間隔を0.2,0.3,0.4, 0.5, 0.6m 

と変化させたときの分散曲線を図 4に示す.なお,発 信子と受信子の間の距離は,受信子間隔と等距離とした.

図‑4から, 実測と解析共通して以下のことがわかっ た.

小型 FWD載荷により分散曲線が描けることができ,表 層と路盤,路盤と路床の境界相当の屈折箇所が見られた.

このことは,小型 FWDから層厚の推定が行えることを示 唆している.これより,各層の弾性係数は,分散曲線の 屈折部分における伝播速度と式(9)から算出されること ができる.

双方の分散曲線は,比較的近似していることがわかる.

これより,実舗装構造から逆解析を行い,求められた各

層の弾性係数および全体のレイリー減衰係数は妥当と 判断できる.

受信子間隔が広くなると表層相当の伝播速度は低く なる傾向にある.一方,路床相当にはその傾向が見られ ない.つまり,舗装下部に行くに従って,弾性係数推定 は,受信子間隔に依存しなくなる傾向にある.これは, 起信子からの距離が長くなると,受信子が高周波数成分 を拾いにくいことが原因と考えられる.

表 3の弾性係数の設定値と式(9)の弾性係数と伝播 速度の関係を参考にすると,受信子間隔はO.3mがよい

と考えられる.

Phase Velocity (m/s) 

~ ~ ~ ~1~1~1~1~1~~0

4 1 d a u

( g )

E 一

ω︑︐ eh s

04/121181

(a)  受信子間隔 0.2m  Phase Velocity (m/s) 

200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000  .$. 

2

ぷ=

j  3~

曹 申 巨亙

E

(b)  受信子間隔 O. 3m  Phase Velocity (m/s) 

200 400  600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 

~ 4 ~ 予

マ マ

12004/12118

受信子間隔

O .  

4m  Phase Velocity (m/s) 

200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 18002000 

(c) 

4 1 d

d a

( g )

5 ‑ o

詰注

4. おわりに

本研究を通じて以下の結論を得た.

1)提案された逆解析方法を用い,小型 FWD実測データ から,現場の各層の弾性係数とレイ リー減衰係数を 求めることが可能となった.

2) 逆解析結果を各層で検証するために, 逆解析結果を 順解析に用い,分散曲線で評価する方法を提案し,

評イ面が行えた.

なお,本稿は,参考文献 4)を元に加筆修正したもの

(d)  受信子間隔 O. 5m  Phase Velocity (m/s) 

200 400  600 800  1000 1200 1400 1600 1800 2000 

~ 3 r

診 4

~ t 

12004/12/181 

(e)  受信子間隔 0.6m  図‑4 小型 FWD載荷による分散曲線

(6)

舗装の構造評価を目的とした小型

F W D

の表面波試験法による分散曲線 Dispersion Curves by Spectral Analysis of Surface Wave using Portable FWD 

for Evaluation of Pavement Structures  久 保 寺 貴 彦

である.

参考文献

1)  Kubodera, T., Dong, Q., Himeno, K.  and  Matsui, K.  Influence  of  damping  ratio  on  the  evaluation  of  pavement  structures using SASW, The 5th International  Conference on Road & Airfield Pavement Technology and  Exhibition  on  Road  and  Airfield  Construction  and  Management, Vol.  1, pp.1082‑1090, 2005 

2)  上浦正樹,神田一成,久保宏,武市靖:HFWDによる舗装弾性 係数の推定可能範囲に関する研究,舗装工学論文集,第3 pp.  73‑78, 1998 

3)  董勤喜,松井邦人,八谷好高,坪川将丈動的荷重を受ける 多層弾性構造の効率的有限要素解析と感度解析,土木学会論 文集, No.  731/I‑63, pp.247‑255, 2004. 

4)  久保寺貴彦,松井邦人,姫里子賢治・小型FWDの表面波試験 法による舗装の構造評価,第10回北陸道路舗装会議技術報 文集, pp.14‑17, 2006. 

参照

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