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ラバーヒータ用温度制御システムの試作

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Academic year: 2022

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

ラバーヒータ用温度制御システムの試作

髙田, 青

九州大学応用力学研究所

https://doi.org/10.15017/4060762

出版情報:九州大学応用力学研究所技術室 技術室報告. 2, pp.28-30, 2020-07. 九州大学応用力学研究 所

バージョン:

権利関係:

(2)

技術報告 九州大学応用力学研究所 技術室 技術室報告 Vol. 2, 28-30

- 28 -

ラバーヒータ用温度制御システムの試作

髙田 青

要 旨

風工学分野では、ウインドソーラータワーの実用化に向けて研究・実験が行われている。ウ インドソーラータワーは地表と上空の温度差を利用して気流を発生させており、実験ではラ バーヒータを用いて温度差を作っている。このラバーヒータは、かける電圧により温度を調 節するが、目的の温度を維持するために継続的に微調整を行う必要がある。本稿では、温度 維持の簡略化を目的として、ラバーヒータ用の温度制御システムを試作したため、報告する。

キーワード

ラバーヒータ マイコン リレー 温度制御 自動化

1. はじめに

ウインドソーラータワーとは、太陽熱を集積 するコレクタと煙突状のタワーが特徴的な装置 であり、風工学分野が研究・開発を進めている 発電システムである。太陽熱によって発生する 熱上昇風と上空風による吸い込み効果でタワー 根本に設置したタービンを回して発電する仕組 みである。装置の概要については、過去の技術

レポート[1][2]を参照されたい。

風工学分野では、ウインドソーラータワー周り の現象を検証・計測するために、スケールダウン させた模型を用いて風洞実験を行っている。実験 における熱上昇風は、装置下部に設置したラバー ヒータを温めることにより発生させている。ラバ ーヒータへは、図1のスライダックで電力を供給 しており、かける電圧によって加熱具合を調整す るシステムであった。電圧は、スライダックのボ リュームを回すことで調整しているが、その日の 気温などにより目的の温度に必要な電圧が異な るため、微調整を行う必要がある。さらに、実験 中はタワー上部の吸い込みにより発生する気流 などの影響で温度変化が激しいため、温度を維持 するために実験者が張り付いてスライダックを 操作する必要があった。この、非常に煩わしい作 業を簡略化・自動化するために、ラバーヒータ用 温度制御システム(以下、制御システムと記述す る)を試作した。

図1 スライダックの外観

. 温度制御システムの概要 2-1. 温度の測定方法

制御システムの概要を説明する前に、温度の計 測方法について述べる。本実験ではラバーヒータ の表面に熱電対の端子を張り付けており、熱電対 計測システムにより温度を計測している。熱電対 とは、2種類の金属線を接触させて回路を作り、

温度差を与えると電圧が発生するゼーベック効 果を利用して温度を計測するものである。実験で は熱電対による温度計測機能を搭載しているオ ムロン社製の温度調整器(E5CC-RX2ASM)を使 用して、温度を計測している。この機種は温度に 応じて電圧が出力される機能があり、実験では計

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ラバーヒータ用温度制御システムの試作 髙田 青

- 29 - 測用 PCのADCボードに入力することにより、

実験結果として記録している。

2-2. ラバーヒータの制御方法

先述した熱電対計測システムから出力される 電圧に基づいて、ラバーヒータに供給する電力を 調整することにした。電力の調整はSSR(ソリッ ド・ステート・リレー)を介して電力のオンオフ をすることにより実現した。制御機器はワンボー ドマイコンであるArduino Nanoを使用し、温度 調整器から出力される温度情報(電圧)を読み込 み、目的の温度になるようにSSRを制御した。目 標の温度設定は可変抵抗器のボリュームを調整 することにより、抵抗値を電圧に変換して指定し た。また、ディスプレイを設置して制御情報を表 示するようにした。図2にシステムの概要図を示 す。なお、SSRは、目標温度に満たない場合にオ ン、目標に達したらオフになるようにプログラム した。

図2 システムの概要図

. 作製した回路と各部品について

本制御システムは試作であり、今後改良・修正 を加えていくため、まずは回路の変更が容易なブ レッドボードを用いて作製した。図3に作製した 回路図を示す。なお、回路中の5VはACアダプ タから供給した。以下に各部品について説明する。

●Arduino Nano

温度調整器から出力された温度情報を読み込 み、SSRにオンオフ信号を送る。その他目標値の 設定用電圧の読み込みや値表示用のディスプレ イと接続して、制御プログラムを書き込んだ。

●温度調整器(E5CC-RX2ASM)

熱電対計測システムによりラバーヒータ表面 の温度を計測して、温度に応じた電圧を出力する。

●SSR(SSR-40DA)

交流電力をオンオフするリレーモジュールで ある。ラバーヒータの動作に大電流が必要なため、

380V40Aまで対応可能なモデルを選定した。回路

に流れる電流が大きいとモジュールが発熱する ため、放熱機構を取り付ける必要がある。本試作 機では手元にあったヒートシンクを取り付けた。

●スライダック

交流電圧を変圧する装置である。実験では電源 電圧の入力が100Vと200Vの2種類を使用した が、試作した制御システムは100Vのみで動作確 認した。

●可変抵抗器

10kΩ の可変抵抗器のボリュームにより直流 5Vを分圧した。分圧された電圧はArduino Nano の電圧読み込み用ピンに入力した。また、ディス プレイのバックライト調節用の抵抗としても使 用した。

●LCD(液晶キャラクタディスプレイ)

本制御システムの動作情報を表示させるため に使用した。4×20文字が表示可能なタイプを使 用し、ディスプレイには目標値と現在の値をそれ ぞれ表示させた。

図3 試作した制御システムの回路図

スススススス

温温温温(電電)

LED-K

LED-A

DB7

DB6

DB5

DB4

DB3

DB2

DB1

DB0

CS

RW

RS

V0

VCC

GND

LCD

5V 5V

10kΩ

5V

10kΩ 3.3V

4 32

1

SSR-40DA

AC100V

A6

A7

5V

RST

GND

VINTX1 RX0 RST GND D2 D3 D4 D5 D6 D7 D8 D9 D10 D11 D12D13

3V3

REF

A0

A1

A2

A3

A4

A5

Arduino Nano

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ラバーヒータ用温度制御システムの試作 髙田 青

- 30 - 試作した回路の写真を図4に示す。

図4 試作した回路

. 動作結果

本制御システムを使用して実験を実施した。ス ライダックのボリュームは、従来の手動制御で設 定する電圧より少し高い値に設定した。動作中の ディスプレイを図5に示す。ディスプレイの左側 に熱電対計測システムから読み込んだ値を、右側 に目標値を表示させた。なお、2行目に読み込ん だ電圧の生データ(0-5Vを10bit分解能で読み込 んだ値)、3行目に生データから換算した電圧、4 行目に生データから換算した温度を表示させた。

動作結果は良好で、自身でスライダックのボリュ ームを微調整する場合と同等の温度維持ができ た。

図5 動作中の様子

5. 今後の課題と展望

今後の課題として、ノイズの影響かもしれない が、目標温度の電圧と、熱電対からマイコンに入 力される電圧が絶えず変動している問題がある。

本制御システムは応答性を要求されないため、対 策として、ノイズ対策のコンデンサで抑制する案 が考えられる。また、ブレッドボードで回路を組 んでいるため、接点からノイズが発生している可 能性が考えられる。本制御システムはブレッドボ ード上で作製したが、本格的に制御システムを作 製する場合、ユニバーサル基板などで回路を作製 することにより、ノイズの低減が期待できる。

本試作では電源電圧100Vを使用するスライダ ッ ク で 動 作確 認 を し たが 、 実 験 では 電 源 電 圧 200V のスライダックも使用している。SSR は 380V まで対応可能ではあるが、放熱機構が不十 分であると判断して今回は動作確認を見送った。

今後、制御システムを改良するにあたり、200Vの スライダックにも対応可能な放熱機構を検討し たい。

参考文献

[1] 杉谷賢一郎:ソーラータワー実験について,

九州大学応用力学研究所技術職員技術レポ ート, 15, 17-22, 2014.

[2] 松島啓二:ウィンドソーラータワー実証試験

装置における計測システムについて, 九州大 学応用力学研究所技術職員技術レポート, 17, 38-42, 2016.

謝辞

本計測システムの作製および動作を確認する にあたり、機会を与えて頂いたエネルギー研究教 育機構の渡邉康一准教授に厚く御礼申し上げま す。

参照

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