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論 文 の 和 文 要 旨 論文題目

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Academic year: 2022

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論 文 の 和 文 要 旨

論文題目

日本における地域包括ケアシステムにおける住民教育の在り方の研究

~人生の終末期における意思決定支援を中心として~

氏 名 津村 育子

1.研究の背景・目的

本稿の目的は、今後迎える「多死社会」を前に持続可能な社会保障制度を検討するため に「地域包括ケアシステム」における国民への健康教育の在り方を明らかにすることであ る。研究開始当初は、包括的に世代を超えた地域包括システムに焦点をあて調査をおこな っていたが、その調査の中で、インタビュー調査並びに政策研究から、終末期における患 者意思決定支援の在り方が喫緊であり、重要課題としている研究や団体が多く見られた。

しかし、終末期における患者意思決定支援は経済的側面からの研究はあるが、意思決定支 援における施策をまとめたもの及び研究は見られなかった。このため、本論文では、人生 の終末期における意思決定支援における住民教育の重要性に着目した。

日本の高齢化は世界に例のない速度で加速しており、先進諸国の中でも日本の高齢化率 は高く、そのスピードが速いことが特徴であり、日本の超高齢社会における対策は日本と 同じように高齢化が進行しているアジア諸国から注目されている。この対策の中で地域包 括ケアシステムの構築は、超高齢社会の中で政策の柱となっており、第6期高齢者保健福 祉計画で検討がはじめられ、実際に各地で運用が始まった。各地の好事例は厚生労働省を はじめとした総務省、経済産業省などの省庁のホームページや各自治体のホームページで 紹介されているが、2020年1月現在、システムについては解は示されていない。筆者は 2014年4月より地域包括ケアシステムについて各地での好事例を中心に調査研究を行って いるが、各好事例には必要条件があり、システムを運用するためのキーパーソンが必要で あることが分かった。調査の中で、特定の人、モノ、カネに頼らず、持続可能な地域の人 的資源でシステムを運用しているところは少なかった。全国どの場所に行っても応用でき るようにするためには、各地域で、医療の専門職が住民(地域の人的資源)とともに活動 していく必要があると考えた。そこで、システムの中心となるコーディネーターおよび住 民の教育に焦点を当てて持続可能な地域包括ケアシステムの構築に関する研究を行った。

持続可能な地域包括ケアシステムはアジア圏の他国の高齢社会の在り方の指標となると考 えた。特に人生の終末期に係る意思決定を適切に行うための意思決定にかかる教育は現在 の学校教育ではカバーされておらず、国民が人生の終末期にかかる意思決定を行うための 教育はどこで行うのが最適であるかを考えることは日本社会において喫緊の課題であると 考えたが、教育の視点でこの問題を研究したものは存在していない。

(2)

高齢者医療費や介護費用については、社会保障を考えるときには避けては通れない問題 であると考えられているが、本研究では、地域包括支援システムの中で、今後重要になる と予想されている人生の終末期における意思決定支援に焦点を当て、教育により人が幸せ に地域で暮らし続けることができるのか、また、本人の意思に基づいた人生の最期を迎え ることができるようになるためには、どのような教育が必要であるのかという課題につい ての研究を行った。

2.研究の方法

主に厚生労働省や医療職能団体の新聞、雑誌などの政策資料やウエブサイトを中心に文 献調査を行った。また、有益な文献情報を得るために医療政策の研究会やセミナー等で取 材とインタビュー調査を行った。文献調査から明らかになった課題に対して、半構造化イ ンタビューを実施し考察を行った。

3.論文の構成

第1章では研究の背景及び研究目的について述べ、第2章では、日本における地域包括 ケアシステムの現状を示した。第3章では、国が示す好事例の中より、保健師が中心とな り運用している地域包括ケアシステムにフォーカスし、コミュニティでの役割を地方モデ ルと都市モデルに分類して比較分析を行った。第4章では、大学における看護職(保健師 養成課程)の教育について調査、第5章では、薬剤師中心の地域包括ケアシステムを調 査、第6章では、医療施設(病院、診療所)を急性期医療中心、慢性期医療中心、在宅医 療及び診療所の4つに分類し、地域包括ケアシステムの中での役割を文献調査とインタビ ュー調査により行い、その結果を考察した。第7章では第6章の調査において、高齢者の 増加に伴う医療費の増加を課題とする施設が見られた。そのため、日本における医療費削 減の取り組みを調査した。第8章では、同じく第6章の調査から、各医療施設において終 末期の取り組みについて意識して取り組んでいることが分かった。そこで、3団体の世論 調査から国民の終末期に関しての考え方を考察した。第9章では、ここまでの調査研究で 特に課題として挙げられていた団体はなかったが、地域包括ケアシステムにおいては「す まいとすまい方」は生活の基盤として定義され、システムの前提としている。このため、

東京の住まいの状況を調査し、先進例としてアメリアのニューヨーク州の事例を取り上 げ、比較分析と考察を行った。第10章では、ここまでの調査で現存する専門職が終末期 のコーディネーターとなるためにはいくつかの課題みられた。そのため、地域で活躍でき る新たな医療の専門職の可能性を探るため、医療現場で患者の意思決定支援をサポートす る「認定遺伝カウンセラー」と同じく平成に入って認定制度を組織した「特定看護師(日 本版ナースプラクティショナー)」を調査し、第11章では研究の総括を行った。

4.結語

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地域包括ケアシステムの構築においては、各自治体が中心となって行うことになってお り、この中で、神奈川県のように健康寿命の延伸についての取り組みを中心としている自 治体が多数みられた。また、健康寿命延伸の取り組みで医療費の削減の期待をしているも のとしている自治体もあった。しかし、健康寿命の延伸とともに、後期高齢者が推計より 増加することも見込まれ、後期高齢者の医療費が増加し、社会保障全体に影響を及ぼす可 能性もあり、必ずしも「健康寿命延伸の取り組みで医療費が削減できる」構造にないこと が神奈川県の例からも明らかになった。特に、終末期に係る医療費や医療施設数の問題は 今後ますます顕著化すると懸念されている。そこで、本研究では、超高齢社会において国 民が安心して暮らすことを可能とする、持続可能な「地域包括ケアシステム」の構築につ いて検討を行った。少子高齢社会では、働き手が減少し、高齢者が増加し、支え手側の負 担が増えることが想定される。また、多くの自治体が課題としている「医療費」の問題だ けではなく、このように労働者人口減少の問題など、全世代にわたって解決すべき問題が 存在する。その中で、本人が幸せな人生の最後の迎えることは、本人の生活の質を高める と同時に家族の満足度を上げる可能性があることがインタビュー調査により分かった。こ の課題に終末期の意思決定が関与するものと考え、終末期医療についての日本の取り組み と、国民の意識について言及した。結果、地域包括ケアシステムには国民と医療職をつな ぐコーディネーターが必要であった。事例の中にも、保健師、薬剤師を中心に地域包括ケ アシステムを運用している例もあり、汎用化が可能であることが示唆された。ただし、保 健師は筆者の調査した範囲であっても養成課程(大学教育)の教育にける質のばらつき が、教員の配置状況、カリキュラムから推測され、汎用化に当たっては、大学のカリキュ ラム、教員養成の課題解決が前提となる。一方で国民の信頼度が2018年度の日本医療政 策機構による世論調査で最も高かった薬剤師は薬局という施設を拠点とし、地域の活動が 行いやすい環境にあることが分かった。薬剤師は、他の医療職に比べて人数も多いことか ら、今後、日本は薬剤師中心型の地域包括ケアシステムを運用し、中でも人生の終末期に おいて本人の意思に沿った選択ができるような教育を行うことで、終末期に限らず国民の 人生全体の満足度を上げる可能性があることが本研究により示唆された。地域包括ケアシ ステムのカバーする範囲は医療のみならず福祉を含んだ生活全般に及び、その制度を理解 することも必要である。従って、医療の知識にこれらの情報を理解および整理をするため の教育は、必須であろう。そのためには、認定制度による専門職の質の担保の可能性を本 論文は示した。住まいの問題については、東京のみならず、各自治体で課題としている可 能性もあり、今後の対策は必須であるがニューヨーク州のような実現可能なシステムを日 本で運用するためには社会環境の整備とともに国民の意識改革が必要であり、終末期の意 思決定支援にかかる国民教育に含めるべき課題であることが本研究により示唆された。本 研究は、文献調査を中心としており、インタビューも東京都を中心として行った。そのた め限界もある。今後、広域、量的調査を重ねていくと同時に、専門職に対する認定制度の 検討を提案する。

参照

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