はじめに
膝蓋骨骨折は骨折全体の約 1 %を占め,そのメカニ ズムとして膝蓋骨を直接強打することや膝関節屈曲時 に大腿四頭筋の急な収縮により発生することが知られ ている
1 ).また,膝蓋骨骨折患者の約半数は大腿四頭
筋萎縮を認め,長期にわたる筋力訓練が必要とされて いる
2 ).膝関節伸展筋力は移動能力との関連が報告さ れ,日常生活活動(Activities of Daily Living;ADL)
と密接に関連する
3 ).よって,膝蓋骨骨折後の膝関節 伸展筋力の維持・向上は ADL を維持するために重要 な意味を持つと考えられる.
*
Corresponding author:
中条中央病院 リハビリテーション科
〒959-2656 新潟県胎内市西本町12- 1 Tel:0254-44-8800
Fax:0254-44-8696
E-mail:[email protected]
昇段動作の際に身体の前方および上方移動が困難であった 右膝蓋骨骨折術後患者の理学療法
西 倉 尊
1 )*・平 松 翔
2 , 3 )・伊 賀 敏 朗
2 )1 )中条中央病院 リハビリテーション科 2 )中条中央病院 整形外科
3 )北里大学 整形外科
〔受付:令和元(2019)年 9 月17日〕
〔受理:令和元(2019)年11月22日〕
キーワード:高齢女性,筋萎縮,膝関節伸展筋力,体重受容,引き上げ
要旨 昇段動作の際に身体の前方および上方移動が起こらず,安定性が低下した右膝蓋骨骨折術後患者の理
学療法を経験した.昇段動作では第 2 相にて右足底接地後に下腿前傾が乏しく身体の前方移動が行えてい
なかった.さらに,右膝関節伸展による身体の上方移動が行えず左上肢の代償により身体の上方移動を補っ
ていた.身体機能評価から,大腿四頭筋の筋萎縮により膝関節伸展筋力が低下し,身体の前方および上方へ
の移動が困難であると考えた.そのため,膝関節伸展筋力の増強により昇段動作が可能になると考え,理学
療法を行なった.結果,昇段動作の第 2 相において右足底接地後,下腿が前傾し身体の前方移動が起こっ
た.さらに,右膝関節の伸展にともなって身体の上方移動が可能となった.よって,症例は右膝関節伸展筋
力が昇段動作の獲得に重要であったと考えた.
西倉 尊
d,e) .術後リハビリテーションを行い,術後 1 ヶ月 で退院した.術後10ヶ月時に当院整形外科を定期受診 した.術後の経過は良好であった(図 1 :f,g) .受 診の際,主治医に「段差を右脚で昇りたい」と訴え,
外来リハビリテーションが処方された.症例の主訴は
「玄関の段差をいつも左脚で昇っている,右脚でも昇 りたい」であった.降段については「降りるのは怖い から今まで通り右脚から降りればいい」とのことで あった. そのため,症例のニードを「昇段動作の安定 性向上」とし理学療法を開始した.
理学療法 評価
理学療法を行うにあたり ADL,動作観察および身 体機能を評価した.
1 .ADL 評価
ADL 評 価 は 機 能 的 自 立 度 評 価 法(Functional Independence Measure;FIM)を用いた
4 ).FIM 合 計点数は125/126点であった.減点項目は階段であり,
減点の理由は手すりの使用であった.また,症例は買 い物,通院,旅行など日常的に外出の機会が多く,外 出には自動車やバスなどを利用していた.
今回,右膝蓋骨骨折受傷後に観血的整復固定術を施 行し,10ヶ月が経過した症例の理学療法を経験した.
症例は術後10ヶ月が経過していたが,昇段動作の際に 身体の前方および上方移動ができず安定性の低下を認 めていた.これは右大腿四頭筋の筋萎縮による右膝関 節伸展筋力の低下が影響していると考えた.そこで,
昇段動作における上段への右足底接地後の右膝関節伸 展筋力に着目し,右膝関節伸展筋力増強を外来リハビ リテーションおよびセルフエクササイズにて行なっ た. 理学療法の結果,身体の前方および上方移動が出 現し昇段動作が安定した.本稿は膝蓋骨骨折術後10ヶ 月を経過した後も昇段動作が困難であった症例に対し ての理学療法の経過について,考察を加えて報告する ことで昇段動作へ介入する際の一助になると考えてい る. なお,論文の作成に際し趣旨を症例に説明のうえ 了承を得た.
症例紹介
症例は60代女性である.2018年 8 月,買い物のため に訪れたスーパーで転倒し,当院にて右膝蓋骨粉砕骨 折(AO 分類:34-C 3 )と診断され手術目的で入院し た(図 1 :a,b,c) .受傷から 4 日後に観血的整復固 定術(Tension Band Wiring 法)が施行された(図 1:
図 1 :症例の術前(a,b,c),術後 1 週(d,e)および術後10ヶ月(f,g)の画像所見 a,b :単純 X 線正面および側面像.c: 3 DCT 正面像,右膝蓋骨粉砕骨折を認める.
d,e :単純 X 線正面および側面像.良好な整復位が得られている.
f,g :単純 X 線正面および側面像.良好な骨癒合が得られ,転位も認められない.
2 .動作観察
症例の主訴より昇段動作を観察した.段差は自宅内 の上がり框18cm を想定し20cm 段を使用した.動作 の相分けは,第 1 相を振り出し脚離床から接床までの 相,第 2 相を振り出し脚接床から支持脚離床までの 相,第 3 相を支持脚離床から接床・体幹静止までの相 として観察した
5 ).
健側である左下肢を振り出し脚とする昇段動作で は,左足部を上段に接地後に足関節背屈により下腿前 傾が起こり,それにともない身体の前方移動が行われ た.さらに左膝関節の伸展により身体は上方へ移動 し,動作は安定していた.
患側である右下肢を振り出し脚とする昇段動作で は,第 1 相では立位から振り出し脚である右股関節を 屈曲し,それにともない右膝関節屈曲・足関節底屈が 起こり,右股関節屈曲を続けることで右足部が離床し 右下肢が遊脚した.右股関節は右足部が段差の高さを 越えるまで屈曲を続け,右足部が段差の高さを越えた あたりで右膝関節伸展が起こった.支持脚である左下 肢は左足関節背屈により下腿が前傾し,それにともな い身体が前方移動した.そして右足底が上段へ接地し た.
第 2 相では,右足底が上段に接地した後,左手で手 すりを把持した.その後,右足関節背屈により右下腿
が前傾したが,下腿前傾の程度は乏しく右膝は右足部 を超えて前方に出ていなかった.すなわち,右下腿前 傾にともなう身体の前方移動が起こらなかった.この とき右股関節内転および外旋により骨盤が左傾斜し,
それにともない体幹も左傾斜した.左傾斜した体幹は 手すりを把持していた左上肢により支えられた.右下 腿前傾が乏しいまま右膝関節伸展により左踵の離床が 起こり,同時に左肘関節伸展により体幹が左傾斜のま ま身体が上方移動した.身体の上方移動にともない左 つま先離床が起こった.このとき体幹は右足部の後方 に位置していた.
第 3 相では,左つま先離床後に左股関節が屈曲し,
それにともない左膝関節屈曲・足関節背屈が起こっ た.左下肢は足部が段差の高さを越えるまで股関節屈 曲を続け,左足部が段差を越えたところで左股関節屈 曲が終了し,左足底全体が上段に接地した.左足底が 上段へ接地後も体幹は両足部後方に位置していたが両 股・膝関節伸展および足関節背屈により身体の前方お よび上方移動が起こり,体幹直立位の立位姿勢で動作 が完了した(図 2 ) .また,降段動作は患側である右 下肢からの降段が可能であった.
3 .身体機能評価
関節可動域(Range of motion;ROM)は,日本整 図 2 :症例の理学療法前における昇段動作
第 2 相にて右足関節背屈による下腿前傾が乏しく身体の前方移動が起きなかった.そのため体幹は右足部後方に位置していた.ま
た,右膝関節伸展による身体の上方移動ができず左上肢にて代償をしていた.
西倉 尊
形外科学会および日本リハビリテーション医学会が制 定する方法にて測定した
6 ). 膝関節屈曲角度は右 145°,左160°であった.膝関節伸展角度は左右ともに 0 °であった.足関節背屈角度は左右ともに15°であっ た.筋力は徒手筋力検査(Manual Muscle Testing;
MMT)にて測定した
7 ).股関節伸展筋力は左右とも に段階 4 であった.膝関節屈曲筋力は左右ともに段階 4 であった.膝関節伸展筋力は右が段階 3 ,左が段階 5 と左右差を認めた.足関節底屈筋力は左右ともに段 階 4 ,背屈筋力は左右ともに段階 5 であった.MMT において左右差を認めた膝関節伸展筋力の数値化を目 的 に ハ ン ド ヘ ル ド ダ イ ナ モ メ ー タ ー(Hand-Held Dynamometer;HHD)を用いて筋力を測定した
8 ). HHD は徒手筋力計 mobie MT-100(酒井医療株式会 社製)を用いた.筋力は,HHD の計測値(N)・下腿 長(m)/ 体 重(kg) に て 求 め た
9 ). 結 果 は, 右 0.62Nm/kg,左1.52Nm/kg であった.大腿四頭筋お よび下腿三頭筋の筋萎縮の程度を把握するために大腿 周径および下腿周径を測定した.大腿周径は膝蓋骨上 縁および膝蓋骨上縁から 5 cm,10cm,15cm の部位,
下腿周径では下腿最大膨隆部を測定した
10).結果は,
膝蓋骨上縁および膝蓋骨上縁から 5 cm,10cm,15cm の順に右が34.0cm,35.0cm,38.6cm,41.2cm,左が 35.0cm,35.5cm,39.0cm,43.7cm であった.下腿周 径は右が30.6cm,左が31.7cm であった.
4 .問題点の要約
症例の昇段動作における問題点は,第 2 相において 右足関節背屈にともなう右下腿前傾により身体の前方 移動が起こらず体幹が右足部の後方に位置してしまう こと,および右膝関節伸展による身体の上方移動が起 こらず左上肢の代償により身体の上方移動を補ってい る点であると考えた.また,体幹の左傾斜が観察され たが,これは左上肢にて手すりを支持するために代償 的に起こった動作であると予測し問題点としては挙げ なかった.身体の前方移動が起こらなかった点につい て,足関節背屈角度,足関節底屈・背屈筋力および膝 関節伸展筋力の影響を考えた.足関節背屈角度,足関 節底屈・背屈筋力に左右差はみられなかったが,膝関 節伸展筋力は右が左に比べて低下していた.身体の上 方移動が起こらなかった点について,膝関節伸展角 度,股関節伸展筋力,右膝関節伸展筋力,足関節底屈 筋力の影響を考えた.膝関節伸展角度,股関節伸展筋 力および足関節底屈筋力に左右差はみられなかった が,膝関節伸展筋力は右が左に比べて低下していた.
大腿周径は右が左に比べて測定値が小さかった.
したがって,症例は昇段動作の第 2 相において大腿 四頭筋の筋萎縮により膝関節伸展筋力が低下し,身体 を前方および上方に移動することができないと考え た.よって,症例の主要な問題点は右膝関節伸展筋力 の低下であると考えた.
治療
治療は外来リハビリテーションにて40分の介入を週 1 回の頻度で行なった.また,自宅で行うセルフエク ササイズを指導した.
外来リハビリテーションでは右膝関節伸展筋力の増 強練習,動作指導と筋力増強を目的とした段差昇降練 習を行なった.筋力増強練習は,セルフエクササイズ の確認を兼ねて行なった.段差昇降練習は,降段時に 左下肢を振り出し脚,右下肢を支持脚とした後方降段 を,昇段時は右下肢を振り出し脚,左下肢を支持脚と した前方昇段を行なった
11).練習中は下腿前傾を促し た状態で動作を行い,大腿四頭筋の収縮を確認しなが ら行なった.段差の高さは10cm から始め,下腿前傾 が可能になったこと,体幹の左傾斜が観察されなく なったことを確認し,徐々に高さを増し,最終的に 30cm の高さで行なった.
セルフエクササイズでは右膝関節伸展筋力の増強を 目的に,長座位での大腿四頭筋セッティングと椅子か らの起立エクササイズを指導した
12,13).大腿四頭筋 セッティングは,長座位で膝関節伸展位,足関節底屈 位とし,踵を床面に押し付け床面を擦りながら足関節 の背屈運動を行わせ,踵が床面から離れることを確認 するように指導した.起立エクササイズは,膝関節が 屈曲90°となるように椅子に腰掛けた状態からの起立 動作を指導した.これらの運動を毎日20回,朝・昼・
晩に 1 セットずつ,計 3 セット行うように指導し,10 週間の介入を行なった.
結果
1 .ADL 評価
FIM は変化がみられなかった.
2 .動作観察
第 2 相において右足底接地後,右足関節背屈による
右下腿前傾により右膝が右足部を超え,身体の前方移
動が起こった.右膝が右足部を超えたあたりから右膝
関節の伸展が起き,それにともなって身体が上方移動
した.このとき体幹は右足部の上方に位置していた.
身体の上方移動にともない左足関節は底屈し,左つま 先離床が起こった.左つま先の離床が起こった際,体 幹は右足部の上方に位置していた.
第 3 相では左つま先離床後に左股関節が屈曲し,そ れに伴い左膝関節屈曲・左足関節背屈が起こり,左下 肢が遊脚した.右膝関節伸展と合わせて,左下肢は足 部が段差の高さを越えるまで股関節屈曲を続け,左足 部が段差を越えたところで左股関節屈曲が終了し左足 底が上段に接地した(図 3 ) .
3 .身体機能評価
右膝関節筋力は MMT が段階 3 から段階 4 へと向 上した.HHD を用いた右膝関節伸展筋力測定では 0.62Nm/kg から0.89Nm/kg へと向上した.周径測定 では大腿周径が膝蓋骨上縁および膝蓋骨上縁から 5 cm,10cm,15cm の 順 に 右 が34.3cm,35.2cm,
38.7cm,42.2cm, 左 が35.1cm,35.5cm,40.1cm,
44.7cm となり,下腿周径は右が31.6cm,左が31.8cm となった.その他の評価に変化はみられなかった.
考察
今回,昇段動作が困難となった症例の理学療法を経 験した.階段昇降は外出の自立度に強く関与する
14). 一般に昇段動作は片側下肢に障害がある場合,健側か
らの昇段を指導するが,症例は外出の機会も多く,健 側・患側の両側から安定した昇段ができることは今後 の外出に影響を与えると考えた.昇段動作は立脚相と 遊脚相に分けられ,立脚相は目的により体重受容,引 き上げ,前方移動に細分化される
15).
体重受容は次の段差に身体を引き上げるために身体 を最適な位置へ移動する.この位置決めは主に足関節 底屈筋により行われ,その他にも内・外側広筋が活動 を示す報告がある
15,16).また,振り出し脚が上段に接 地した後,床反力,股・膝関節伸展および足関節底屈 モーメントは上昇するとされている
17,18).以上より,
体重受容は引き上げに向け身体を最適な位置へ誘導す るために,足関節底屈,股・膝関節伸展筋力が協調し て行われると考えられた.しかし,症例は身体の前方 移動が行われず,身体が後方に位置したまま引き上げ へ移行しており,右膝関節伸展筋力の低下により右足 底接地後の床反力に対して充分な膝関節伸展モーメン トを発揮できていないと考えた.
引き上げは身体を上前方に移動させるため,主に膝 関節伸展筋の活動により行われるとされているが,身 体を上方移動させる駆動力としては股・膝関節の伸展
力がある
15,18).また,床反力は片脚支持でピークを示
すとされている
17).以上より,引き上げでは身体を上 方移動させるために股・膝関節伸展筋力が重要である 図 3 :症例の理学療法後における昇段動作
第 2 相にて右足関節背屈による下腿前傾が出現し身体の前方移動が行われ,体幹は右足部上方に位置した.また,右膝関節伸展に
よる身体の上方移動により昇段動作が可能となった.
西倉 尊
と考えられた.しかし,症例は身体の上方移動を左上 肢の支持と体幹の傾斜にて代償をしており,右膝関節 伸展筋力の低下により,引き上げの際にピークをむか える床反力に対して充分な膝関節伸展モーメントが発 揮できていないと考えた.よって,症例は体重受容か ら引き上げにおいて,右膝関節伸展筋力の低下により 身体の前方および上方移動が行われず昇段動作が困難 になっていると考えた.
膝蓋骨骨折は大腿四頭筋の筋萎縮を認めることから 長期にわたる筋力訓練が必要とされる
3 ).筋萎縮を把 握する手段として周径測定が行われるが,筋力と周径 には相関があることが知られている
10,19).一般に大腿 の周径測定では膝蓋骨上縁より 5 cm,10cm,15cm の順に内側広筋,外側広筋,大腿全体の筋の発達を示 すとされている
10).日常生活における昇段動作は高い 下肢筋群の筋活動が示され
20),昇段動作中は大腿直 筋,外側広筋の筋活動が高いとされている
15).症例は 日常生活で昇段動作を右脚から行わずに生活をしてい たため,右膝関節伸展筋力の低下は大腿直筋,外側広 筋を中心とした筋萎縮により起きているものだと考え た.よって,右膝関節伸展筋力の増強を行うことで昇 段動作が可能になると考えた.
右膝関節伸展筋力を強化する方法として,外来リハ ビリテーションでは段差を用いた筋力増強を行なっ た.後方降段は関節モーメントを制御する難度が前方 昇段よりも低く,低い段差から始めることで患側に振 り出し脚としての機能を備えることが期待できる
11). セルフエクササイズでは長座位の大腿四頭筋セッティ ング,椅子からの起立練習を行なった.長座位での大 腿四頭筋セッティングは膝関節術後患者が膝関節を意 識しなくても大腿四頭筋の高い筋活動を促せること や,椅子からの起立エクササイズは外側広筋に高い活 動を認めることから膝関節伸展筋力の増強につながる
と考えた
12,13).10週間の理学療法の結果,大腿周径は
増加し右膝関節伸展筋力の向上を認めた.膝関節伸展 筋力を1.0~1.2Nm/kg 以上有する高齢者は昇段動作 が自立する可能性が高いとされ,0.6Nm/kg を下回る 場合は昇段動作が障害される可能性が高いとされてい る
9 ).よって,症例は筋力が増強したことで動作が安 定したと考えられ,右膝関節伸展筋力が昇段動作に重 要であったと考えた.
症例は右膝関節伸展筋力が向上したことで右足部接 地後の床反力に対し,膝関節伸展モーメントが股関節 伸展・足関節底屈モーメントと協調し体重受容が可能 になったと考えた.また,身体の上方移動について,
床反力がピークをむかえる片脚支持の際に膝関節伸展 モーメントが充分に発生することで身体の上方移動が 可能になったと考えた.結果,体重受容および引き上 げが行えることで昇段動作が安定したと考えた.
まとめ
1 .今回,昇段動作の際に身体の前方および上方移動 ができず,安定性の低下を認めた右膝蓋骨骨折術後 患者の理学療法を経験した.
2 .症例は右大腿四頭筋の筋萎縮により膝関節伸展筋 力が低下し,動作が困難であると考え,右膝関節伸 展筋力の増強練習を行なった.
3 .理学療法の結果,昇段動作の第 2 相において右足 底接地後,身体の前方および上方移動が可能となっ た.
4 .症例は昇段動作において,上段に接地した下肢に よる体重受容および身体の引き上げを行うために膝 関節伸展筋力が重要であった.
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