• 検索結果がありません。

加速器科学序説

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "加速器科学序説"

Copied!
164
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

加速器科学序説

2021 年度前期

加速器概論 I ・加速器概論演習 I の導入

2020 年 4 月 15 日(木) 10 時 30 分~ 16 時

総合研究大学院大学

高エネルギー加速器科学研究科 加速器科学専攻 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設

宮島 司 Tsukasa Miyajima (KEK)

(2)

謝辞

• 本講義資料作成にあたり、昨年度まで加速 器概論・演習の初回講義「加速器科学序説」

を担当されました、峠暢一先生の資料を参考

にさせていただきました。感謝いたします。

(3)

本講義の構成

1. 導入: 本講義について(狙い、目標、評価)

2. なぜ加速器が必要か?

3. 加速器とは?

4. KEK の加速器

5. 加速器で必要となる物理と性能を表す指標 6. 荷電粒子の生成

7. 荷電粒子の制御 8. 荷電粒子の加速 9. 荷電粒子の診断

10. まとめ

(4)

本講義の狙い

• この講義の狙いは以下の三つ :

– 様々な加速器、またそのなかの様々な

subsystem について大まかに俯瞰し、

– 後ほど cERL (小型エネルギー回収型線形加速器)

を見学し、

– 実際の加速器の雰囲気を掴む。

(5)

本日の講義時間と見学

• 10:30 – 11:30 講義(加速器概論 I )

• 13:30 – 15:00 講義(加速器概論演習 I )

• 15:30 – 16:00 見学(加速器概論演習 I )

• cERL 加速器見学について

– 本日 15:30 にこの教室に集合後徒歩移動

– 運動靴着用。サンダルは不可。

– 安全帽他は現地で受け取り、見学終了後現地で返 却

– 見学後現地で解散予定

(6)

『加速器概論Ⅰ・Ⅱおよび加速器概論演習Ⅰ・Ⅱ』

• 加速器概論・演習

– コアカリキュラムの一つ (他は高エネルギー加速器科学セミナー)

• コアカリキュラム発足の理念

– 積極的に「加速器科学」という概念を提示し、加速器科学としての独自性に 基づいた考え方、研究のあり方を伝えていく

– 実験や理論の枠を越えて加速器科学の全貌、真髄そして魅力を伝えること を目指す

– コアカリキュラムによって加速器科学全般への入門を行う

– コアカリキュラムの実践を通じ教官側にも好ましい変化が生じることを期待 – 加速器科学専攻をはじめ、他専攻の学生にも広く門戸を開放し受講を歓迎

加速器概論Ⅰ・Ⅱ (木曜 10:30 ~)

• 加速器全般への入門として、

当該分野の専門家がオムニバス 形式で行う講義

加速器概論演習Ⅰ・Ⅱ (木曜 13:30 ~)

• 加速器科学は基礎的な物理学を基礎

としていると同時に、先端科学技術の

集大成であることを演習・実習及び施

(7)

• 到達目標

– 加速器の原理及び機能について説明できること – 加速器を構成する装置について説明できること

• 使用言語

– 加速器概論Ⅰ・加速器概論演習Ⅰ(前期): 日本語 – 加速器概論Ⅱ・加速器概論演習Ⅱ(後期): 英語

• 成績評価

加速器概論

基本的に授業への積極的な参加と 議論の姿勢及び最終レポートを評価 基準とする

• 議論の内容 40 %

• 議論の構成力 40 %

• 最終レポート 20%

加速器概論演習

基本的に授業への積極的な参加と 議論の姿勢及び演習での活動を評 価基準とする

• 議論の内容および構成力 50 %

• 演習での活動 50 %

(8)

• 加速器概論・加速器概論演習の Web ページ

授業科目

加速器概論/加速器概論演習

(9)

2021 年前期 第 1 回

「加速器科学序説」

4 月 15 日(木)

午前 10 時 30 分~

開催形式:

基本:総研大講義室での講義

+ Zoom による配信

( Zoom によるオンライン講義 のみの場合もあります)

加速器概論・加速器概論演習の

Web ページ

• 講義予定

• 世話人への連絡先

• 休講、日程変更

について記載します

(10)

2021 年度の講義及び講師(予定)

1. 宮島 司「加速器科学序説」( 講義+実習 or 見学、1日)

2. 久保 浄「ビーム物理」(講義、午前4コマ)

3. 吉田光宏「ビーム物理」(演習、午後4日)

4. 佐波俊哉「放射線の相互作用と検出」(講義+実習 or 見学、1日)

5. 江川一美「磁石 I (常伝導)」( 講義+実習 or 見学、1日)

6. 荻津 透「磁石 II ( 超伝導)」( 講義+実習 or 見学、1日)

7. 柴田 恭「真空」( 講義+実習 and 見学、1日)

8. 小林鉄也・西脇みちる「 RF I (円形加速器)」(講義+実習 or 見学、1日)

9. 紙谷琢哉・三浦孝子「 RF II (線形加速器)」(講義+実習 or 見学、1日)

10. 山中 将・平木雅彦・久米達哉「加速器開発のための機械工学」(講義+実習 or 見学、1日)

11. 原田健太郎「放射光源加速器」( 講義+実習 or 見学 、1日)

12. 黒田 茂「先端加速器試験施設 ATF 」( 講義+実習 or 見学@ ATF 、1日)

13. 吉井正人「 J-PARC 」(講義 @J-PARC +実習 or 見学 @J-PARC 、1日)

14. 福間均・池田仁美「ビームモニター」(講義+実習 or 見学、1日)

(11)

本講義の構成

1. 導入: 本講義について(狙い、目標、評価)

2. なぜ加速器が必要か?

3. 加速器とは?

4. KEK の加速器

5. 加速器で必要となる物理と性能を表す指標 6. 荷電粒子の生成

7. 荷電粒子の制御 8. 荷電粒子の加速 9. 荷電粒子の診断

10. まとめ

(12)

• 日常的なこと (我々が目でものを見ているとき)

– 光(可視光線)を物体に当てて、跳ね返ってきた光(色が異なる、明るさが 異なる)を受け取る

– その変化(反応)から物体の性質・形(構造)を知る

ものを見ること

(1) 光源から白色光を出す 白色光:いろいろな波長

(色)の光を含む

(2) 光が物体で反射、吸収 (3) 反射された光を見る

色、明るさが物体の性質を反映

(13)

• ビー玉を坂の上から転がして物体に当てることを考える

形を見ることの例

• 当てる(入射する)ビー玉の向きは常に一定とする

• 反射されたビー玉の向きから、物体の面の向き(形)を知ることができ る

• 実際には、物体は隠されていて、ビー玉の軌跡から中の形を当てても

らうクイズとなる

(14)

• 例えば、物体表面のわずかな凸凹をビー玉で見ることはでき るか?

より小さいものを見たいときは

• 答え: できない

• それでは、より小さい形を見たい場合には?

• 見たい大きさに応じてビー玉(あてるもの)の大きさを小さくす

る必要がある。

(15)

• 小さいものを見たいときはどうするか?(例えば分子レベルを見たいとき)

光の場合

• 可視光の波長は分子・原子の大きさの数千倍

• 分子レベルを見るには? ⇒ 波長を短くする

光(光子)のエネルギーと振動数の関係 𝐸 = ℎ𝜈 = ℎ𝑐/𝜆

ℎ ∶ プランク定数

𝜈  : 光の振動数( 1 秒間に何回振動するか)

• 結論: 高いエネルギーの光(光子)が必要

光の波長と振動数 𝜈 = 𝑐

𝑐: 光速 𝜆

𝜆: 光の波長

(16)

• 物質は、何らかの基本的な構成要素から作られている

• 例えばレゴ: 基本となるレゴブロックから構成される

どんな要素からできているかを調べたい

• 基本的な構成要素を調べるには? ⇒ ばらばらにして調べる

• レゴブロックだと、手で分解してばらして、ブロック一個一個をよく見れ

ばよい

(17)

• レゴの場合: 人間が扱える大きさなので、手でばらばらにすればよい

• 手でばらばらにできなければどうするか?

⇒ 物体とぶつけて破壊すればよい

どうやってばらばらにすればよいか?

• 衝突させて破壊して、その破片から中の構造を知る

• 素粒子・原子核実験のイメージもこれと遠くない・・・

• スピードが遅いと壊れない

• ばらばらにするには?

⇒ もっとスピードを上げれば良い (やっぱり高いエネルギーが欲しい・・・)

写真引用元

http://www.kotaro269.com/articles/52109.html 動画

https://www.youtube.com/watch?v=dCPWPj4JHqg

(18)

• 今わかっている物質の最小構成要素(先ほどの例のレゴブロックの 個々のパーツに対応)

素粒子の場合

ざっくりしたイメージで恐縮だが、すごく狭い領域で強く結合しているため、破壊して

(19)

• 破壊する方法

– 固定(静止した)ターゲットに当てる

– 正面衝突

素粒子・原子核実験の場合

• 見たいもの(反応)によって、要求されるエネルギーはどんどん上がっ ていく

• これが高いエネルギーの粒子を必要とする理由

ターゲット(標的)

金とか、水銀、グラファイトとか KEK だと J-PARC という加速器 陽子を加速してぶつける

電子と陽電子(電子の反粒子)

KEK だと SuperKEKB という加速器

(20)

• KEKB 加速器での実験

– 誕生直後の宇宙には粒子と反粒子が同じ数だけあったはずなのに、

現在の宇宙にはどうして粒子ばかり存在するのか?

素粒子実験の例

(21)

• 小さいものを見たい

• 物質を構成する素粒子、原子核の性質を知りたい

• 高エネルギー粒子そのものを利用したい

• 光で見る ⇒ 高エネルギー光子(放射光)が必要

• 素粒子・原子核実験 ⇒ 見たい反応には高いエネルギーが必要

• 高エネルギー荷電粒子を使う ⇒ 照射などによる医学、産業利用

• どちらにしても、高エネルギーの荷電粒子が必要となる

• これを作るにはどうするか?

– 高エネルギー粒子加速器を使う

– 高エネルギー粒子加速器 ⇒ ある意味極微の世界を見るための顕微鏡

• 小さいものを見るために、巨大な高エネルギー加速器を使う

• それでは、加速器とは何か?(どうやって加速された荷電粒子集団を作 るか?)

なぜ高エネルギー粒子が必要か?

(22)

本講義の構成

1. 導入: 本講義について(狙い、目標、評価)

2. なぜ加速器が必要か?

3. 加速器とは?

4. KEK の加速器

5. 加速器で必要となる物理と性能を表す指標 6. 荷電粒子の生成

7. 荷電粒子の制御 8. 荷電粒子の加速 9. 荷電粒子の診断

10. まとめ

(23)

• 物質は原子から構成される 荷電粒子

– 原子の中には荷電粒子がいる (通常は ”+” と ”-” が同じ量あるので中性)

• 例:

– 水素 ( H) : “+” の荷電粒子 1 個 と “-” の荷電粒子 1 個

– ヘリウム ( He) : “+” の荷電粒子 2 個 と “-” の荷電粒子 2 個

この ”+” の荷電粒子 ⇒ 陽子 この ”-” の荷電粒子 ⇒ 電子

電荷量は ” e ” という単位で測られる (e 素電荷:電子 1 個の電荷量)

加速器では、この陽子や電子などの荷電粒子を、

電場と磁場(電磁場)を使って加速・制御している

4

He の例 中心付近に陽子 2 つ(と中性子2つ)

その周りに、

電子が2つどこかにいる

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90

「陽子と電子がいずれくっついてしま わないのか?」 と思った方

⇒ 量子力学から先の現代物理学の 世界へ

(24)

荷電粒子(電荷と電場)

• 電荷の間には力が働く

+ -

生と負の電荷の間に働く力 𝐹 = 𝑞

1

𝑞

2

4𝜋𝜀

0

1 𝑟

2

𝑟

𝑞

1

𝑞

2

遠隔相互作用: 粒子間に直接力が働く 直接粒子間に力が働く代わりに、

「電荷があることによって空間の性質が 変化して、力が伝わっていく」 と考える

⇒ 近接相互作用

+

電荷があることによって生じる空間の変化 ⇒ 電場 E 𝐸 = 𝑞

1

4𝜋𝜀

0

1 𝑟

2

この電場というのが、荷電粒子に力を及ぼす 𝑞

2

に働く力: 𝐹 = 𝑞

2

𝐸

電荷:電磁場との相互作用の

強さを表す指標(粒子の性質)

(25)

電場を用いた電子の加速

• 静(時間変化しない)電場による電子の加速方法 (模型による説明)

電場 Ez

電子(e-

電場によって加速される

“-”の電極 “+”の電極

電池, 電圧V0

○加速された電子のエネルギー : 電圧 × 電荷量

電子 1 個を 1 V の電圧で加速すれば 1eV (電子ボルト)

⇒ 我々が欲しいのは、 GeV (ギガ電子ボルト、じぇぶ)以上が多い ( 1 × 10

9

eV ) k: 1 × 10

3

, M: 1 × 10

6

, G: 1 × 10

9

• 向き合った金属製の電極に電 池をつなぐ

• 電極の間には、電池が作った 電場が生じる

• “-” の電極に、電子 1 個を置くと、

電場によって電子が ”+” の電 極に向けて加速される

この方式でエネルギーを上げようとすると、電極間の電圧が高くなりすぎて、

放電が発生し加速できなくなる

⇒ 時間変化する電磁場 を用いて加速する

(26)

加速器とは ?

粒子線(ビーム):荷電粒子・中性粒子が(ほぼ)同一方向に(ほぼ同じ運動量で)運動して いる状態

加速器:ビームを制御されたかたちで人為的に生成・加速するもの。

ビームの用途:そのままで、または得られたビームから二次ビームを生成し、

素粒子・原子核・物質・生命科学の実験的研究に、また、

物体透視、材料処理等の過程を通して、医療・産業等の実用に供される

– 人間が制御する  制御環境下での実験。物理実験の王道(実際には得失あり)

– 加速器で行った実験がもとになったノーベル賞は今までいくつ?

答:11件/132;21人/203人

加速器はそれ自体が研究・開発の対象でもある

– 粒子の運動エネルギー、粒子数などで新しい(よりチャレンジングな)領域を実現した いとき、他に頼れる別分野は無い。自分でなんとかする、の文化。

– (多方面の分野の方達、含:産業界、との協力でやる話なので、自分が一番偉い、と いったものではないが、ともかく)

(27)

加速器の基本構成要素

荷電粒子の生成

加速

輸送

利用

廃棄

加速器中の荷電粒子の運動

⇒「ビーム物理」

どうやってビームの性能を測 る?

⇒「ビームモニター」

放射線の発生と計測

⇒「放射線の相互作用と検出」

加速器に必要な要素をどうやっ て高精度で製作するか?

「加速器開発のための機械工 学」

高周波加速

「 RF I (円形加速器)」

「 RF II (線形加速器)」

荷電粒子の通る空間

「真空」

荷電粒子の制御

「磁石 I (常伝導)」

「磁石 II ( 超伝導)」

加速器の具体例

「放射光源加速器」

「先端加速器研究施設 ATF 」

「 J-PARC 」

加速器概論 I ・加速器概論演習 I で取り扱う内容

(28)

加速器の形状

• 代表的な加速器の形式

– 円形加速器 (同じ荷電粒子がまわり続ける)

– 線形加速器 (常に新しい荷電粒子を供給し続ける)

• 円形加速器(SuperKEKB, PF-ring, J-PARC MR,…)

線形加速

(Linac)

で電子を生成・加速

貯蔵リングにその電子を入射し、周回させ 続ける (電子をリング内に貯蔵するので 貯蔵リング型加速器という)

• 線形加速器型光源(SACLA, KEK-Linac, cERL) –

電子銃で電子を生成

主線形加速器で利用に必要なエネルギー まで加速

利用部分まで電子ビームを輸送

ビームダンプに捨てる (ビームは

1

回しか 使わない)

衝突実験 衝突実験

(29)

加速器の具体的な例

• 本日午後に見学する加速器: compact ERL (cERL)

• ERL: Energy Recovery Linac (エネルギー回収型線形加速器)

荷電粒子の生成

加速

輸送

利用

廃棄

荷電粒子の生成

加速

3 か所で加速

(電子銃、入射空洞、主空洞)

輸送

利用

廃棄

(30)

粒子加速器をもつ国内機関の例

北海道大学・大学院工学研究院

長岡技術科学大学・極限エネルギー密度工 学センター

群馬大学・重粒子医学センター

日本原子力研究開発機構・高崎量子応用研 究所、原子力科学研究所

産業技術総合研究所

筑波大学・陽電子医学利用研究センター

東京大学・重照射研究設備

理化学研究所・仁科加速器研究センター

早稲田大学・理工学術院電子線加速器施設

東京工業大学・原子炉工学研究所複合照射 実験装置

東京理科大学・総合研究機構

日本大学・量子科学研究所

放射線医学総合研究所

若狭湾エネルギー研究センター

自然科学研究機構・分子科学研究所

京都大学・エネルギー理工学研究所、化学研 究所、工学研究科、原子炉実験所

大阪大学・核物理研究センター、産業化学研 究所

大阪府立大学・大学院海事科学研究科

兵庫県立大学・高度産業科学技術研究所

兵庫県立粒子線医療センター

広島大学・放射光科学研究センター

九州大学・加速器ビーム応用科学センター

九州シンクロトロン光研究センター

九州国際重粒子がん治療センター

https://www.pasj.jp/kanrenshisetu.html

(31)

本講義の構成

1. 導入: 本講義について(狙い、目標、評価)

2. なぜ加速器が必要か?

3. 加速器とは?

4. KEK の加速器

5. 加速器で必要となる物理と性能を表す指標 6. 荷電粒子の生成

7. 荷電粒子の制御 8. 荷電粒子の加速 9. 荷電粒子の診断

10. まとめ

(32)

KEK つくば の粒子加速器

主に電子と陽電子

(33)

加速器の例 – 電子陽電子直線加速器

( KEK つくば市)

峠 暢一「2020年度加速器概論I/同演習I」資料より

(34)

加速器の例 – 電子陽電子直線加速器

( KEK つくば市)

(35)

二つの「ビーム貯蔵リング」。片方に電子 (e-, 7GeV) 、もう片方に陽電子

(e+ , 4GeV) 、相互に反対方向に周回、「ビーム衝突点」で交差 → 素粒子

反応を観測 –

http://www.kek.jp/ja/activity/accl/KEKB.html

加速器目標: ビーム粒 子(電子 vs 陽電子)の 衝突レートを最大化  素粒子物理の実験研究

加速器の例 – SuperKEKB ( KEK つくば市)

Electron Source

Linear Accelerator (Linac) Linear Accelerator (Linac)

Bending Section Straight Section

Accelerator Cavities

Detector Facility for HEP Experiment

Positron Damping Ring

(36)

加速器の例 – SuperKEKB ( KEK つくば市)

(37)

先代の測定器 Belle での 素粒子反応観測例

新しい測定器 Belle-II

(38)

加速器の例 – 放射光リング (KEK つくば市)

硬 X線 stations

PF (フォトンファクトリ)Ring

(2.5 ~ 3GeV)

AR (アドバンスト)Ring (6 ~ 6.5 GeV)

電子のみを周回軌道に貯蔵。

その電子が二極磁石内を通 過するときに軌道を曲げられ るさい放射するX線領域の放 射光(Synchrtoron Radiation

- SR

)を物性等の研究に利用。

http://pfwww.kek.jp/outline/pf/pf1.html

加速器目標 : 実験目的

に適合するSRを最大

数のユーザ実験に提供

(39)

加速器の例 – 放射光リング (KEK つくば市)

KEK フォトンファクトリーの実験エリアの様子

(40)

KEK 東海 (J-PARC) の粒子加速器

主に陽子。及び、陽子が物質と反応して出来る二次粒子

(41)

41

加速器の例 – J-Parc (東海村)

3GeV 陽子シンクロト ロン (0.4  3GeV;

333mA 1MW, 25Hz)

50GeV 陽子シンクロトロン – 15mA

陽子線形加速 器 (0.4- 0.6GeV; 15mA,

500ms, 50Hz) ニュートリノ実験施設.

ハドロン実験 Mat / Life-science exp

Super-Kamiokande へ Accelerator-Driven

Transmutation Fac.

大電力の陽子加速器で中性子、中間子、ニュートリノ等の二次粒子を 生成し、物質・生命・原子核・素粒子の実験で利用。

http://www.j-parc.jp

加速器目標 : 大電力陽子ビームの安定的供給。

(42)

加速器の例 – J-Parc (東海村)

(43)
(44)

T2K 実験

(T2K = Tokai  Kamioka)

(45)

KEK の加速器(つくば)

名前 元ビーム ビームの利用形態 主な用途

SuperKEKB

電子、陽電子 衝突させる 高エネルギー物理研

究のための素粒子反 応発生

PF

電子 放射光を発生させる 物質生命科学研究の

ためのプローブ

PF/AR

電子 放射光を発生させる 物質生命科学研究の

ためのプローブ

電子陽電子入射器 電子、陽電子

SuperKEKB, PF, PF/AR

に提供

CompactERL

電子 放射光を発生させる 新しい放射光源の開

発研究

ATF

電子 ビーム自体が研究対象

ILC

向けビームチュー ニング技術の開発研 究

STF

電子 超伝導加速技術開発の

ベンチマーク

ILC

向け超伝導加速技

術の開発研究

(46)

J-PARC ( KEK + JAEA ) の加速器(東海)

名前 元ビーム ビームの利用形態 主な用途

陽子線形加速器 陽子 RCS, MR に提供

RCS

陽子

MLF

に提供、中性子

やミュオンを生成

物質生命科学研究の ためのプローブ

MR

に提供

MR

陽子

HF

に提供、中間子や

ミュオンを生成

原子核物理、高エネ ルギー物理研究のた めの素粒子・原子核 反応を発生

陽子 ニュートリノビームラ インに提供、中間子 生成

崩壊を経て ニュートリノを

SuperKamiokande

に むけて射出

高エネルギー物理研

究のためのニュートリ

ノを発生

(47)

将来型加速器の例 – Linear Collider

[ 将来型、実機はまだ無い ]

二台の対向する直線加速器で、電子と陽電子を加 速、中央部のビーム衝突点で交差 → 発生する素 粒子反応を実験装置で観測。

Check the movie at http://bit.ly/dutCx0 for visual effects.

http://ilc.kek.jp 250GeV 電子 e- vs 250GeV 陽電子 e+;

衝突繰り返し= 5Hz

加速器目標 : ビーム衝突点での電子・陽電子衝突レートを最大化 .

(48)

本講義の構成

1. 導入: 本講義について(狙い、目標、評価)

2. なぜ加速器が必要か?

3. 加速器とは?

4. KEK の加速器

5. 加速器で必要となる物理と性能を表す指標 6. 荷電粒子の生成

7. 荷電粒子の制御 8. 荷電粒子の加速 9. 荷電粒子の診断

10. まとめ

(49)

加速器の性能を表す指標

• 下記の指標が加速器の性能 を表す指標としてよく使われ ている

– エネルギー

– 荷電粒子の種類 – 電流、ビーム出力 SuperKEKB の性能表

https://www-superkekb.kek.jp/

KEK の放射光源加速器の性能表

https://www2.kek.jp/imss/pf/apparatus/acc/

(50)

加速器の概要と背景にある物理

加速器の目的: 荷電粒子(陽子、イオン、電子、陽電子、

)を加速(エネルギーを高める)こと

加速された荷電粒子の利用:

– 何かとぶつける: 荷電粒子同士(素粒子実験)、物質にぶつける(物性を調べる)、電子を光

子にぶつける(逆コンプトン散乱)等

– 運動状態を変える: 曲げる・止める(電磁場の生成)

H t

 

 

 

E B D

D J B

 0

H B

E D

m

  0

 

t

J

電磁場中での荷電粒子の運動方程式

) ( E v B p   e   dt

d

B(磁場中で曲げられる)

E(電場で加速)

e-

エネルギーの単位 1 Vの電圧で電子を加速 した時のエネルギー

= 1 eV (電子ボルト)

加速された荷電粒子の制御 (加速したりぶつけるためには粒子の軌道を操る必要がある)

粒子を加速: 静電場、時間変化する電磁場を利用

粒子の軌道を制御: 静磁場を利用

加速器の背景にある物理

基本的には電磁気学(と特殊相対論)

c

p  

(51)

基礎的事項 (1)

• エネルギー ; 運動量 :

– 非相対論的な場合(速度が光の速さにくらべて数 % 以下など、十分小 さいとき)

– 相対論的な場合 :

ここで、

– 光の速さ : c = 2.9979 10

8

m/s

mv p

mv

E  ; 

2

1

2

2 2

2 2

2 2

2 4

2

1 / 1

; /

1 /

1 /



c v

mc mc

p

mc mc

c p c

m E

峠 暢一「2020年度加速器概論I/同演習I」資料より

(52)

基礎的事項 (2)

簡単な特殊相対論

速度が光速に近づくとき

𝛽 = 𝑣

𝑐, 𝛾 = 1

1−𝛽2

としておいて、

𝐸 = 𝑚𝑐2𝛾

なお、

𝛽 = 1 − 1 𝛾2

ちなみに、

𝑣 ≪ 𝑐

ならば、

γ ~ 1 +𝛽2

2

であるから、

𝐸~𝑚𝑐2 1 +𝛽2

2 = 𝑚𝑐2 + 1 2𝑚𝑣2

(53)

基礎的事項 (3)

素粒子・原子核では、粒子の質量もエネルギー単位を使って表す: 粒子の静止質量エネルギー = 𝑚𝑐2

電子の場合、

𝑚𝑐2 = 9.109 ∙ 10−31 (2.9979 ∙ 108)2 = 8.19 ∙ 10−14 J 1eV = 1.602 10-19 J であったから、

電子の静止質量エネルギーは、

𝑚𝑐2 = 8.19 ∙ 10−14/1.602 ∙ 10−10 = 5.11 ∙ 104 = 511 keV エネルギー8GeVの電子の速度は?

γ = 8 ∙ 109/511 ∙ 103 = 1.5656 ∙ 104 𝛽 = 1 − 1

𝛾2~1 − 1

2𝛾2 = 1 − 2 ∙ 10−9

峠 暢一「2020年度加速器概論I/同演習I」資料より

(54)

荷電粒子のエネルギーと速さ

ニュートン力学(日常目にする運動では悪くない理論)を加速器の中 の電子に当てはめてみる

(注、わざとこの法則を適用範囲外に当てはめていま す)

𝑣 = 2𝐸

電子の速さ 𝑚 𝐸 : エネルギー 𝑚: 電子の質量

縦軸が 1 のとき光の速さ

0.3 MeV 程度で光速を超えてしまう

(そもそもこの計算は正しくない)

• エネルギー : 力学の場合、力学的な仕事をする能力の大きさを表す

• 加速器で用いるエネルギーの単位: 「電子ボルト (eV) 」を用いる

• 考え方

– 1 Vの電位差で電子が得る運動エネルギー – 電子の電荷: 1.602×10-19 C

– 1 eV = 1.602 × 10-19 J

1 Vの電圧を印加 e-

エネルギーの単位 1 Vの電圧で電子を加速 した時のエネルギー

= 1 eV (電子ボルト)

mv p

mv

E  ; 

2

1

2

(55)

加速器中の電子の速さ

• KEK の加速器( PF-ring )での電子の速さの逆算

– 電子のエネルギー : 2.5 GeV – 1周の長さ: 187 m

電子が1周するのにかかる時間:

0.624 μ 秒

電子の速さ (距離 / 時間)

= 187 / 0.624 × 10

-6

= 29.98 万 km/s

光の速さ = 29.98 万 km/s

加速器の中の電子は、ほぼ光の速さになるが、

光の速さを超えない

次に、電子のエネルギーと速さの関係を、相対論を使って考え見る

(56)

加速器中の電子の速さ

• 相対論的力学を使って計算してみる

𝑣 = 𝑐 1 − 1

𝛾

2

= 𝑐 1 − 1 𝐸 𝑚𝑐

2

電子の速さ

2

𝐸 : エネルギー 𝑚: 電子の質量 𝑐: 光の速さ

非相対論的力学

相対論的力学

相対論的力学を使うと、

いくら加速(エネルギーを高くしても)、

電子の速さは光の速さを超えない 先ほどの、 PF-ring の実験結果と一致 エネルギーの低い領域では、

両者の結果はほぼ同じ

場合によっては静止エネルギー分を差し引いた 運動エネルギー を用いることもある

𝑇 = 𝐸 − 𝑚𝑐

2

(57)

荷電粒子の種類

• 電子、陽電子: 軽い , 𝑚𝑐

2

= 0.51099895000(15) MeV

• ミュー粒子: 中間くらい , 𝑚𝑐

2

= 105.65836668(38) MeV

• 陽子: 割と重い , 𝑚𝑐

2

= 938.2720813 58 MeV

• 重粒子: もっと重い、炭素イオンなど、イオン化できればどんな粒子でも

• 同じ 3 GeV のエネルギーを持つときの速さは? 𝑣 = 𝑐 1 − 1

𝛾

2

= 𝑐 1 − 1 1 + 𝐸

𝑚𝑐

2

2

• 電子: 𝑚𝑐2 = 0.51099895000(15) MeV 𝛾 = 3 × 109

0.511 × 106 = 5870.84

𝛽 = 1

1 − 5870.842 = 0.999999985

⇒ ほぼ光速

• 陽子: 𝑚𝑐2 = 938.2720813 58 MeV 𝛾 = 3 × 109

938.27 × 106 = 3.1974

𝛽 = 1

1 − 3.19742 = 0.94983

⇒ 光速に近いが、まだ遅い

(58)

どうして電子を狭いところに集められるのか?

• 加速器の中の電子

一つの電子を加速しているわけではない

たくさんの電子を同時に加速している (例えば、

ERL

の場合

4.8

億個)

高密度にするために、できるだけ狭い領域に集めたい

• そういえば、同じ符号の荷電粒子には反発力が働くのでは?

– 電子の集団もばらばらになってしまうのでは?

– こたえ:

電子集団が止まっている場合 ⇒ 反発して広がってしまう・・・

加速器の中の電子の場合

⇒ ほとんど光の速さで進む

-

-

(59)

荷電粒子集団の運動

• 加速器中では 1 個の荷電粒子を加速しているのか?

⇒ 多数の荷電粒子の塊を加速している

加速された荷電粒子を利用するときの出力は、荷電粒子の個数に比例 ⇒ ビーム電流(単位時間当たりにある面を通過する電荷量)、あるいは ビーム出力(電流×エネルギー(加速電圧))でビームの強度を表す

vz

• 荷電粒子ビームの出力を上げるには?

– 一つのバンチ(塊)にたくさんの荷電粒子を詰め込む

– バンチをたくさん作る(最大詰め込める数は高周波加速空洞の1周期毎)

• 荷電粒子を多数集めたときに何が起きるか?

– そういえば、荷電粒子間に働くクーロン相互作用(斥力)があるから、一つのバンチに詰め込 むのは難しいのでは?

– 多数の荷電粒子からなる粒子集団(ビーム)の運動をどのように記述するか?

(60)

電子集団内のクーロン相互作用

• 電子集団内のクーロン相互作用 ⇒ 空間電荷効果

極簡単な場合について考察してみる

一様分布を持つ連続円筒ビームを考える

速度

v

z

方向に運動する

ビームの断面

:

半径

r0

の一様分布

電荷密度は一定

(0 = const.)

ビームが作る電磁場分布は円筒対称性 を持つ

電磁場分布の

z

成分はゼロ

Er, Bq

がノンゼロとなる

半径方向の電場(

Gauss’s law

r r

E

r 0

2

0

) 1

( 

 

電荷密度は一様であるので電流密度は j  

0

v

Ampere’s law

より磁場は

1 m 

ビーム内にいる電子(半径

r

の位置 にいる)に働く力は

Er, Bq

より

e r vB

E e

F

r r 20

2

0

) 1

( 

q

 

ビーム内の電子に働く発散力は 1/2 比例する

が大きい(エネルギーが高い)と発散 )

/(

1

, / ,

1 1

0 0 2

2

m

 

 

c

c v

(61)

空間電荷効果とエネルギーの関係

電子の運動エネルギー

E0

より、

は次のように求まる e r

vB E

e

F

r r 20

2

0

) 1

( 

q

 

一様円筒連続ビーム内の空間電荷効果による発散力

2

1

0

mc

E

 

E

0

= 2.5 GeV

8 2 4.2 10 1

4893

E

0

= 10 MeV

3 2 2.4 10 1

6 . 20

E0 = 500 keV

(電子銃直後):

空間電荷効果は非常に強い

E0 = 10 MeV: 500 keVよりは空間電荷効果は小さくなるがまだ無視できない

E0 = 2.5 GeV

PF-ring

のエネルギー):

空間電荷効果は無視できる

GeV

クラスでは第一次近似として空間電荷効果を無視して、電子集団を相互作用のない単粒子の

集まりとして記述

E

0

= 500 keV

1 2 2.6 10 1

98 . 1

エネルギーによってどのように発散力(

1/2

)が変化するか?

(62)

加速器中での荷電粒子の運動の表し方

• 設計粒子というのを考える

• 設計粒子: 加速器の設計エネルギー、設計軌道を通る粒子 ⇒ これが基準 となる

• 加速器中の電子の運動の表し方

設計粒子からのずれで記述 (設計軌道からのずれ)

進行方向位置:設計粒子の進む方向に対して、設計粒子からどれくらいずれているかを表す

(設計粒子より先にいる電子:先方、

head

、設計粒子より後ろにいる電子:後方、

tail

横方向位置:設計粒子の進む方向に対して垂直面をとり、その面内で設計粒子からどれくらい ずれているかを表す(上下方向を垂直方向、左右方向を水平方向と呼ぶことが多い)

x

y

o

(2) 横方向位置

e- e-

(1) 進行方向位置

設計粒子からの軌道長 s の差として表す

Ds

(63)

電子集団の運動の記述

• 単電子の場合は、運動状態は 6 次元位相空間座標 (x, x’, y, y’, z, D p/p

0

) で表さ れる

• 電子集団( n 個)の場合には、 n 個の 6 次元位相空間座標で表される

• 通常は、加速器内のある軌道位置の 6 次元位相空間に n 個の電子の座標を表 示し、その分布から物理量を求めることを行う

9 個の電子の集団運動(自由空間、空間電荷効果なし)

電子集団の運動は、位相空間上のそ れぞれの電子座標の集まりが作る分 布として表される

この分布から電子集団の運動状態(電

子ビームの品質)を表す物理量を計算

することができる

(64)

電子集団の運動状態を表す指標

• 加速器中での電子ビーム:ほとんど同じ速度を持つ(が、完全に同じではない)

• 位相空間(x, x’=v

x

/v

z

)上である粒子分布をもつ

• 電子集団の形状を表す量 ⇒ ビームサイズ(横方向)、バンチ長

• 電子ビームの質を表す量 ⇒ エミッタンス (電子集団が占有する位相空間上 (x, x’) の 面積)

Number of particles

Number of particles divergence

z x

加速器では、ほとんど同じ

vz

をもって 設計軌道上を運動するので、横方向

(x, y

方向

)

の運動を記述するのに

x’ = vx/vz y’ = vy/vz

を用いるが便利である

v

x

v

z

(65)

電子ビームの質を表す物理量

位相空間上

(x, x’=vx/vz)

で楕円分布を持 つ場合の面積(エミッタンス)

1 ' '

2 2

2bxxcx

ax

ac b

2

1/2

A

x

  

x

A

x

. const dxdP

x







x x

x dxdP

dxdP mc A P



1 1

x

nx



 

a, b, c :

楕円の形状を決めるパラメタ 位相空間上の面積

(x, x’)

空間上のエミッタンス

規格化エミッタンスの導入

Liouville

の定理より、位相空間

(x, Px=mvx)

の 面積は不変量

(x, x’)

位相空間の面積は

Ax

1/

は依存する

規格化エミッタンス

x

x’ エネルギーに依存しないようにするには、



を掛 ければよい

x x

x nx

xx x

x

xP P

mc x





2 2 2

2 2 2

' '

規格化 rms エミッタンス

1

位相空間での面積の代わりに 一般的によく使用される定義

これが小さいほど、電子集団の運動状態が揃っている

(66)

エミッタンスが小さいことの利点

• エミッタンス : 位相空間上に電子集団が占める面積 ⇒ 運動状態が揃って いるほど小さい

x x’

x x’

エミッタンスの大きいビーム エミッタンスの小さいビーム

ビームサイズとビーム発散の関係 𝜎

𝑥

𝜎

𝑥

≥ 𝜀

エミッタンスが小さいほど、ビームサイズを小さく絞ることができる ⇒ 電子密度の高密 度化を図ることができる

加速器の設計で重要なこと: 如何にエミッタンスを小さくしていくかということ

(67)

まとめ

• 加速器の中のビームの運動: 基本的には上記の方程式で記述できる

• あとはこれらを解くだけ

• ただし、対象としたい現象に応じて、必要となる物理を取り入れることが重要 – 外部電磁場中の単粒子の運動

– 外部電磁場中の多粒子の運動

– 周囲の環境との相互作用、ビーム粒子間の相互作用 – 電磁場の放射

– 粒子の生成(固体物理、プラズマ物理等)

t H t

 

 

 

E B D

D J B

 0

H B

E D

m

電磁場中での荷電粒子の運動方程式

) ( E v B p   e   dt

d

加速器の背景にある物理

基本的には電磁気学(と特殊相対論)

c p  

絶妙な電磁場を作りだすことが重要となる

(68)

本講義の構成

1. 導入: 本講義について(狙い、目標、評価)

2. なぜ加速器が必要か?

3. 加速器とは?

4. KEK の加速器

5. 加速器で必要となる物理と性能を表す指標 6. 荷電粒子の生成

7. 荷電粒子の制御 8. 荷電粒子の加速 9. 荷電粒子の診断

10. まとめ

(69)

荷電粒子のビームを作る、

とはどういうことか?

• 電子も陽子も地上の物質中には豊富に存在 するが、通常は束縛状態下にある。

• 電子ビームを作る、陽子ビームを作るとは、

– それらの束縛状態を解いて電子だけ、陽子だけ etc にし、

– 加速器で扱いやすい状態にすることを指す。

• 自然界に自然には存在しない粒子(たとえば 陽電子)は人為的につくる必要がある。

峠 暢一「2020年度加速器概論I/同演習I」資料より

(70)

ビーム源(電子の場合 1 )

カソード(負の高電圧をかけておく)を加熱して熱電子を得ることで電子源とする熱陰極電子銃

Electrons

(71)

峠 暢一「2020年度加速器概論I/同演習I」資料より

(72)

ビーム源(電子の場合 2 )

フォトカソードにレーザ光を照射し、得られる光電子をマイクロ波電圧で引き出す 「フォトカソードRF 電子銃」

も使用され始めている

(73)

ビーム源(電子の場合 2 )

KEK電子陽電子線形加速器用のRF電子銃

(74)

ビーム源(陽電子の場合)

高いエネルギーの電子または 光子のビームをタングステン 等の高密度の金属に照射し、

電磁シャワーを起こさせる。

そのなかで発生する e+e- 対

生成(エネルギー閾値 = 2 x

511keV) から陽電子を集める.

(75)

Flux concentrator in construction / testing

峠 暢一「2020年度加速器概論I/同演習I」資料より

(76)

Positron Source

• Flux Concentrator (FC) is a device which is used as OMD (Optical Matching Device) in a positron production system. FC can produce strongly focused ~solenoid field (6-10T) out of eddy current that is induced by pulsed primary coil current on its outside. However, FC, generally is limited in its pulse length (< 30 ms).

• Other devices to use as OMD include:

– AMD (adiabatic matching device) – a solenoid magnet with adiabatically changing field strength;

– QWT (quarter-wavelength transformer) – a short strong solenoid followed by a weaker solenoid;

– LL (Lithium lens).

T.Kamitani

(77)

Positron production system at the KEK electron/positron injector linac.

(78)

ビーム源(陽子の場合)

水素分子

H2,

から電子をはぎ取って

p

とできるが、電子を余分につけて

H-

イオンにするほうが容易

シンクロトロンへの入射のとき、

H-

のほうが実は楽でもある

• J-PARC では H

-

を使用

真空容器内で

TaB6

フィラメント から

H-

を得て

– H-

を複数段の電極による電場 により引き出し

(50kV)

初段加速器

(RF-Q

と呼ばれるタ

イプのもの、詳細はここでは省

)

に渡す

(79)

• Electrons can be stripped off H- easily when an accelerated H- passes through thin foils immediately after injection in RCS.

• Radiation effect on and lifetime of the charge-conversion foils have to be dealt with, however.

H

-

to inject

Proton in RCS

Advantage of H - for Injection into RCS (Rapid Cycling Synchrotron)

Foil

Dipole magnets

(80)

本講義の構成

1. 導入: 本講義について(狙い、目標、評価)

2. なぜ加速器が必要か?

3. 加速器とは?

4. KEK の加速器

5. 加速器で必要となる物理と性能を表す指標 6. 荷電粒子の生成

7. 荷電粒子の制御 8. 荷電粒子の加速 9. 荷電粒子の診断

10. まとめ

(81)

荷電粒子の行き先はどのように 制御するか?

• 荷電粒子は、

– ある程度の運動エネルギーまで加速できてしま えば、

– 何か別の物質粒子に衝突しない限り、大体真っ 直ぐに飛んでいく。

• 荷電粒子が飛んでいく向きを変えるには、

– 電場か磁場を使う

– たいていの場合は磁場を使う(電場での飛程制 御には DC 高電圧が必要になるので)

峠 暢一「2020年度加速器概論I/同演習I」資料より 81

(82)

二極磁石について

二極磁石(

Dipole magnet

)は、ビーム軌道を決め る主要な装置

大きな二極磁石は、加速器全体の展開の形 状を決めることから、

Bend magnet

と呼ぶこ とも多い。

ビーム軌道の微修正のために使う小さな二 極電磁石は、

Correctors

と呼ぶことも多い。

純鉄は

~2T

で飽和するので、純鉄製電磁石は通 常表面磁場

1T

くらいで使う。

鉄を使わない超伝導磁石は数

T

まで。

By = B, Bx = 0 p = mcv = eB

p (GeV/c)

B (T)

の単位なら、

3.3356p = B

(83)

二極磁石

• Q2: 0.2528T で長さ 5.804m の二極磁 石がある。 7GeV のビームは何度曲げ られるか?

• A2:

3.3356p = B ;  = 3.3356p / B

備考

: B in T, p in GeV/c

曲げ角度

q = L/ = BL / 3.3356p

そこで

,

B = 0.2528 T p = 7GeV/c L = 5.804m

q = 0.2528 x 5.804 / (3.3356 x 7) = 0.0628rad

 = 92.37m

長さL 磁場強度B の Bend 磁石

荷電粒子

曲げ曲率半径 

曲げ角度 q

曲げ角度 q

Q2’

: これで360度周回するリングを作るために必要な二極磁石の個数?

ヒント:2 x  / 0.0628 = ?

(84)

Dipole Magnets

Q6: LHC now has beam momentum 3.5 TeV.

Ring circumference is 27km. What is the required B, if the whole ring is completed packed by dipole magnets?

A6:

•  = C / 2

= 27000 / (2 x 3.14) = 4297.2 m

• Remember, 3.3356p = B

• B = 3.3356p / 

= 3.3356 x 3.5e3 / 4297.2 = 2.72T

Q7: The LHC dipoles are actually running at

~4.2T for 3.5TeV beam. What is the “dipole packing factor?”

A7:

• Remember, 3.3356p = B

• Bending radius in dipoles with B = 4.2T would be

 = 3.3356p / B

= 3.3356 x 3.5e3 / 4.2 = 2779.7 m

• Total length to occupy with dipoles would be

2   = 2 x 3.14 x 2779.7 = 17.465 km

• Packing factor

= 17.5e3 / 27e3 = 65%

(Actually LHC has 1232 units of dipoles, each 15m long)

(85)

• 加速器での四極磁石は、ビームを収束さ せるため、ビームの実際の軌道を設計意 図の軌道周りに安定化させるために使用 される。

四極磁石

x y

中心軸上での磁場はゼロ。

中心軸からのズレが大きくなるほど、

磁場が強くなるようにする。

B

y

= Gx; B

x

= -Gy

G = 磁場勾配 [T/m]

(86)

四極磁石

(87)

Quadrupole Magnets

A8.

GL p p

x x GL

F x 3 . 3356

3356 .

/ 3  

 q

p x GL L

3356 .

angle 3

Bend   

q 

x

q

q

Focal length: F

Gx p 3356 .

: 3 radius

Bend  

(88)

単電子の運動の記述

• ここからは、単電子の横方向の運動を考える

• 電子の運動の記述 ⇒ (x, x’) の 2 つの変数で記述

• 設計軌道からのずれが小さい運動のとき(線形な運動として近似)は、転送行 列で電子の運動を記述することが多い

x

s vs

vx

x’ = vx / vs

x’ は、設計軌道に対する角度

自由空間(ドリフト空間の運動)

距離

L

の移動

1

2

 

 

 

 

 

1 1 2

2

'

' x

R x x

x

D

 

 

 

1 0

1 L

R

D

R は自由空間を表す転送行列

(89)

単電子の運動 (復元力を与える)

• 設計軌道は偏向電磁石があれば形作られるが、実際の加速器では誤差磁場 等があるため、軌道がずれた電子を設計軌道に戻す復元力が必要

• このための電磁石が四極電磁石 ⇒ 収束・発散力を与える

K. Harada, OHO08より

N

N S

S

x By

Byx に比例する

⇒ 磁場によって曲げら れる角度も x に比例する これが復元力となる ただし、垂直方向では発 散力になる

四極電磁石の転送行列(薄肉近似の場合、厚みを無視)

 

 

 

1 sin

0 1

kL R

D

k

kは四極電磁石の強さを表す 四極電磁石を適切に配置することで、

設計軌道近傍に電子を集められる

参照

関連したドキュメント

Proof of Lemma 4.2 We shall use T to denote the once-punctured torus obtained by removing the cone point of T (n).. In order to construct covers of T , we require the techniques

I give a proof of the theorem over any separably closed field F using ℓ-adic perverse sheaves.. My proof is different from the one of Mirkovi´c

This technique allows us to obtain the space regularity of the unique strict solution for our problem.. Little H¨ older space; sum of linear operators;

Keywords: continuous time random walk, Brownian motion, collision time, skew Young tableaux, tandem queue.. AMS 2000 Subject Classification: Primary:

Kilbas; Conditions of the existence of a classical solution of a Cauchy type problem for the diffusion equation with the Riemann-Liouville partial derivative, Differential Equations,

This paper presents an investigation into the mechanics of this specific problem and develops an analytical approach that accounts for the effects of geometrical and material data on

The object of this paper is the uniqueness for a d -dimensional Fokker-Planck type equation with inhomogeneous (possibly degenerated) measurable not necessarily bounded

Tsutsumi, Uniqueness of solutions for the generalized Korteweg-de Vries equation, SIAM J.. Hormander, Linear Partial Differential Operators, Springer.Verlag, Berlin/Heidelberg/New