木質材料の研磨工程自動化に関する研究(4)
−木質材料用研磨装置の開発−
春山繁之*1 村瀬安英*2
The Advance of the Sanding Technology for the Wood and Wood-Based Materials Ⅳ.
−Development of the Sanding Device for the Wood and Wood-Based Materials. − Shigeyuki HARUYAMA*1, Yasuhide MURASE*2
本研究では,家具部材の任意形状曲面を自動研磨することができる木質材料用研磨装置の研究成果をもとに,実用 化を目指した研磨装置として試作開発を行った結果について報告を行う。開発内容としては,これまでの研究で試作 開発した研磨装置の制御部分と研磨装置本体機構(形状生成部)をベースに,より安価で使いやすい装置とするため の検討を行った。
1 はじめに
木材及び木質材料の広く大きな曲面形状を高効率・
高精度で研磨することを目的とし試作開発したフレキ シブル研磨装置1)〜3)(図-1)において,これまでの試作 開発により汎用化を図るための制御装置の開発や研磨 装置本体の性能評価実験4)などによりその有効性が確 認されている。そこで,本研究ではこれまでに試作開 発した技術を元に株式会社フジタ技研工業と協力し木 工用研磨装置の試作開発に取り組んだ。
*
2 方法
2-1 汎用性動作確認実験
工具形状生成機構試験装置を用いて,ツール本体の 制御設定エンコーダ・軸の設定(Mag 値)を変更すること により機器の動作が行えることを確認する。
2-2 試作機の設計
これまでの研究成果を元に,実作業時に問題となる 使い勝手(消耗品の簡易交換方法)や製作コストを重 視し,できるだけ安価で十分な性能を得るための設計 を行った。主な変更点を 1)〜4)に示す。
1)ベルト交換方法
これまでのフレキシブル研磨装置では、研磨ロボッ トとの接続5)を考え軽量化に重点を置いたため,図-1 に示すように箱型のフレーム構造方式を採用した。そ のため,研磨ベルトの交換時にフレームをはずす必要 があり非常に時間がかかる作業であった(約 10〜15 分/
回)。この対策として,研磨機本体(形状生成部)を固 定しワークテーブルを稼動させる方式にすることによ り,研磨機本体の外側に研磨ベルトを配置する 3 点式 ベルト方式に変更した。これにより,大幅な交換時間
(約 2〜3 分/回)の短縮が図られた。
2)形状生成用押さえローラ数の変更
ローラ数を3ヶから2ヶに変更した。これによりよ り細かな研磨条件(オフセット研磨)の設定が難しく なるが,ローラ数を減らすことにより,上下・回転方 向のモータ,減速機などの部品を削減がすることがで きる。
1 機械電子研究所
*2 九州大学
図−1 フレキシブル研磨装置
3)主軸駆動部・張力制御の簡易化
本体内部に取り付けていた,主軸部駆動部を本体外 部に取り付けると同時に,モータにより制御を行って いた張力制御を機械的に制御するように変更した。こ れにより,主軸モータの小型化が不用になり汎用モー タを使用することができる。また,張力制御のモータ などが不要になる。しかし,張力制御の詳細設定を手 動により行う必要があるため,作業者の負荷が増加す る。
4)制御盤設計・制御 PC ソフトの流用
新たな研磨装置を設計する際に大きな問題(費用 面・動作保証など)になるのが制御部である。試作機 は,これまでの研究開発で汎用化を図ったプログラム を使用することにより,僅かな変更点(軸数の削減な ど)で,制御ソフトの使用が可能となり,新たに制御 盤の設計をする必要がなくなると同時に動作保証の稼 動テスト等を最小限にすることができる。
3 結果及び考察
3-1 汎用性動作確認結果
図-2 にフレキシブル研磨装置に工具形状生成機構試 験装置を取り付けた状態を示す。工具形状生成機構試 験装置は,押さえ部を上下に動作させ,ベルトのたわ みと研磨時間により任意の複雑形状を作り出すことが 可能な装置である。ここで,フレキシブル研磨装置で は,3 ヶのローラが上下・回転方向にそれぞれ独立して 稼動する 6 軸制御である。また,工具形状生成機構試
図−3 研磨ベルト押さえ部(6軸)
験装置は上下の 6 軸制御方式となっており,軸数が同 じであることから,フレキシブル研磨装置の回転方向 の制御設定(Mag)を工具形状生成機構試験装置の上下 軸に対応した値に変更することにより,稼動が可能で ある。図−4,5 に稼動状況を示す。
図−4 工具形状生成機構試験装置稼動状況1
図−5 工具形状生成機構試験装置稼動状況2 図−2 工具形状生成機構試験装置
取り付け状況
3-2 試作結果
図−6 に試作開発した木工用研磨装置の全体図,図−
7 に形状生成部正面図をそれぞれ示す。
4 まとめ
試作開発した木工用研磨装置の動作確認を行った結 果,誤動作もなく正常な稼動を行うことができること が確認できた。このように,機械部分の大幅な変更を 行ったにもかかわらず,制御部分の大幅な変更を行わ ずに木工研磨装置の試作開発が可能であることが確認 できた。
5 参考文献
1) 春山繁之,村瀬安英,笠上文男,友井貴大:第 18 回 日 本 木 材 加 工 技 術 協 会 年 次 大 会 講 演 要 旨 集 , 松 江,p.31(2000).
2) 春山繁之,村瀬安英,柳川剛二:平成 12 年度福岡 県工業技術センター研究報告,P72〜77(2001).
3) 春山繁之,村瀬安英,柳川剛二:平成 12 年度福岡
県工業技術センター研究報告,P78〜82(2001).
4) 春山繁之,村瀬安英:第 52 回日本木材学会大会講 演要旨集,岐阜,p.548(2002).
5) 新エネルギー・産業技術総合開発機構:平成 12 年 度地域コンソーシアム研究開発事業「ベンチャー 企業支援型地域コンソーシアム(中核的産業創造 型)」「インテリジェント力制御を用いた研磨ロボ ッ ト シ ス テ ム の 研 究 開 発 」 成 果 報 告 書 , P101〜
117(2001) 研磨ベルト
図−6 試作開発した木工用研磨装置
図−7 試作開発した木工用研磨装置
(形状生成部正面図)
ワークテーブル
形状生成部
ワークテーブル 押さえローラ