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研究レポート

No.102 April 2001

IT 革命のミクロとマクロ

富士通総研 経済研究所 日本経済研究センター

富士通総研(FRI )経済研究所

(2)

        

IT革命のミクロとマクロ (要旨)

1) IT革命がもたらすニューエコノミーの本質は、新たな「潤沢性」「希少性」「組み合せ」

をいかに獲得し、活用するかにある。IT革命の行方に拓ける「もう一つの情報化社会」

は、人々が所得・消費次元から潜在能力を発揮する次元へ移行することを意味する。

IT革命の成否はともかくとして、いまやわれわれはITネットワークに繋がっているこ とが生き残るための条件となりつつある。

2) 労働力人口の減少とそれを先取りする形で投資が減少することが、日本経済の低成長 を生み出している、と言う見方が定説になっている。その背景には、資本の限界生産 性の逓減を前提とした新古典派成長モデルの存在がある。代案として、既存の財・サ ービスに対する需要の飽和、鈍化によって成長パターンが決まる、という需要サイド 重視の成長モデルを提示する。IT には需要創造力があり、これこそが経済成長の重要 な駆動力となる。

3) 今後、IT を活かしながら日本経済を活性化させるには、①過大な一般資本の整理、② 人材の流動化、そして③IT 資本をフル活用するためのネットワーク化、経営革新や隣 接技術分野との融合が不可欠である。

4) IT アウトソーシングの規定要因について、リアル・オプション理論を援用しながら考 察すると、不可逆的な投資や不確実性が見られる時には、資産特殊性だけでなく、歴 史(履歴)が重要な役割を果たすことがわかる。

5) 20年前のITができなくて今のITができる最大のものは、情報発信にかかるコストが 極端に小さくなったことである。これによって市場メカニズムそのものも大幅に強化 され、断片化、分散した情報に結合する機会を与えることが容易になった。

6) IT の発達は、①主体間でリンクを張るコストの削減に寄与する、②非所有権資産を所 有権資産に転換する、という二つの意義を持つ。IT 革命と生産性の関係を明らかにす るには、情報ネットワークと生産ネットワークの相互関係を解明する必要がある。

7) これまでの経済発展論からIT革命を位置付けてみる。近代社会を特徴付けてきたアダ ム・スミスの「市場」、マックス・ウエーバーの「組織(官僚制)」を、IT 革命はその いずれをも変貌させ、いずれにも属さない新たな秩序=ネットワークを発展させつつ ある。その力を利用することなしには、経済発展も見込めない。近代社会を特徴付け てきた生産と消費の対立図式にも変化が見られる。

・  本報告書は、(社)日本経済研究センターと共同で行った研究の成果である。

(3)

       

目  次

第1章 IT革命のロードマップ:       今井 賢一  ・・・・4     ITのミクロとマクロ

1. 日本におけるIT革命のロードマップ 2. IT戦略の重点分野とイニシアル・キック 3. ニューエコノミーの本質と新たな産業組織 4. もう一つの情報化社会

5. 新しい関係性の構築 6. むすび

第2章 ITと経済成長:       吉川  洋  ・・・・20     デマンドサイド重視の考え方

1. 人口減少と経済成長

2. 人口が経済成長に与える影響

3. 新古典派成長モデルの再検討―「需要の飽和」理論へ 4. 「需要の飽和」が成長を決める

5. 技術進歩とは何か 6. ITと需要の創造

第3章 IT革新と日本経済の活性化      伊藤 由樹子  ・・・・30 1. はじめに

2. ITの水準 3. 経済成長の要因

4. 産業別にみたITの影響 5. 生産性上昇停滞の背景 6. まとめ

第4章 ITアウトソーシングと履歴効果        原田  勉  ・・・・51 1. はじめに

2. ITアウトソーシングの背景 3. ITアウトソーシングの既定要因

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6. 簡単な実証分析 7. 結論

第5章 情報化と協働構造       国領 二郎  ・・・・79 1. はじめに

2. 情報化とは

3. 情報化がもたらす影響

4. 情報財の特質を生かしたビジネスモデルがそれぞれの業界に与え る影響

5. なぜ日本は遅れてしまったか 6. 日本のこれから

7. まとめ

付論:情報財の収益モデル

第6章 生産ネットワークの生成とその経済効果     長谷川 かおり  ・・・・102 1. イントロダクション

2. 生産ネットワーク 3. モデル

4. 仮定

5. 均衡ネットワーク構造 6. 結語

第7章 経済理論から見たIT革命の意味        香西  泰  ・・・・121 1. はしがき

2. 市場規模と分業 3. 収益逓減vs収益逓増 4. 企業と産業の組織 5. むすび

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第1章 I T 革命のロードマップ :I T のミクロとマクロ

1 . 日 本 に お け る I T 革 命 の ロ ー ド マ ッ プ

現在のような大きな変革期においては、今後のIT経済の発展プロセスに関するおよその

「方向性」を示す「ロードマップ」を作成し、諸政策の指針とすることはきわめて重要で ある。次の図1は筆者(今井)も参加した「IT 戦略会議」での議論に基づいて「日本にお けるIT革命のロードマップ」をえがいてみたものである。

 このロードマップの特色は、時間軸を Initial Kick (2001)

The First Phase (2001-2003) The second Phase (2003-2005) The Future (2005〜)

という4段階のモジュールの分け、それぞれの期間に於ける重点課題を図に書き込むとと もに、それぞれの課題の間の主要なリンクを番号付の点線で示しているところにある。

もちろん、このマップはIT戦略会議における議論に触発されて筆者(今井)自身の構想 でまとめたものであり、とくに図の最下段に加えた「知的基盤」の部分はまったくの個人 的見解である。

図1

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 さて、この図の上段に描いたIPV4から始まる実線の部分は、IT政策の基盤となるITイ ンフラを示すものである。「IT戦略会議」では、これからのITインフラとして、IPv 6という規約を備えたインターネットへの移行を提案した。IPとはインターネット・プ ロトコール(通信規約)のことであり、V6とはそのバージョン6のことである。現在のイ ンターネットはバージョン4であり、それはインターネットがまだ規模が小さいころに設 計されたもので, その43億のアドレスでは不足してしまうことが危惧されている。IPv4 の総量をバケツ一杯の砂とすると、IPv6 のアドレスの量は地球全体分の砂に相当し、そこ まで準備しておこうというわけである。

そのプロセスは図にあるようにまず IPV4から出発し、V4と V6 とが共存する V4+V6 の時代をへて2005年にはV6を全面的に普及させることを目的としている。

 こういうと、いかにもアドレスの量を増やすことが目的であり、大規模化や大容量化と 誤解やれやすい。しかし、IT戦略会議がIPv6に注目したのは単に豊富なアドレス量だけで はない。より重要なのは、冷蔵庫や電気ポットなどの家電器具、自動車、電子ブックなど あらゆるものにアドレスが付けられ、それが相互に通信できるものとなるという点であり、

それが図上では点線のリンク②で示されている。その結果、これまで構想にすぎなかった

「ユービキタス・コンピューティング」、つまり何時でも、何処でも、誰もが手軽にコンピ ュータやネットワークを利用できる世界が図の中央に四角で囲んだ「IT 産業社会」として 実現するということである。しかも、その IT 産業社会を構成するのが、iモードであり、

情報家電であり、ロボットであり、ITS(intelligent transportation system) であって、い ずれも日本が比較優位をもつ産業群である。IT インフラとこのようなミクロの産業群との 間に多様で柔軟な結びつきをつくるることがIPV6を導入することの積極的な意義である。

したがって、「IT戦略会議」の2005年という目標は、それまでに設計図を引き、道 路と同じような政府主導のインフラをつくるということでは決してない1

1もっともIPv6を政府が推進すること自体にも批判がある。NATNetwork Address Translator)を 推進している人々の間には、かねてIPv6は “Unneeded, Unwanted, and Unlikely”だという意見がある。

しかし現在のv4にも欠陥があり、NAT によるアドレス変換はやはり不自然な技術である。アドレスを有 効使用するためにオークションなどが加われば複雑すぎるシステムになる。IPv6の魅力は、インターネ ットが本来もっていた「単純性」を回復できるところにある。  

将来はともかく当面は”Everything over IP”の世界だとすれば、電子商取引のセキュリティ対策などが 根本的に重要で、それにはIPv6のIPsecのようにネット自体がセキュリティ機能を持ち、エンド・ツウ・

エンドのセキュリティが確保されることは極めて重要である。

問題は移行の費用ないし時間の問題であるが、v4を強制的v6に移行させるというようなことは、不 可能だし、また税金を使ってやるべきことではない。現実論としては、当分はv4とv6が並存し、どち らが優勢になるかは、結局のところユーザーが判断するものだと考えるべきである。オプションを多くす るということが戦略論のポイントである。

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2 .I T 戦 略 の 重 点 分 野 と イ ニ シ ア ル ・ キ ッ ク

IT戦略会議では、次の4領域を重点戦略分野として選んだ(図の左端を参照されたい。)

通信基盤―ネットワークインフラと競争政策 法制基盤―電子商取引とセキュリティ 政策基盤―電子政府とワンストップサービス 人的基盤―人材育成と情報リテラシー

これらのいずれにおいても、ミクロとマクロの関係を新しく組みなおすという視点から の課題設定が必要になる。図上には、そのためにどのような発想の転換が求められるかを カギ括弧[ ]で示し、かつ最初に何をやるべきかをその下の注記、あるいは点線でのリンクで 表示している。

かつて経済発展論でノーベル経済学賞を受賞したグンナー・ミルダールが強調したよう に、経済戦略においては「イニシアル・キック」が決定的に重要である。例えをサッカー の試合にとってみれば、最初にボールをどういう方向に蹴るかということが決め手になる ということである。基本戦略に合った方向に「最初のボール」を蹴って、その方向に選手 を集めなければならない。

このサッカーの例における「最初のボール」を、ITインフラの場合における「最初の1 マイル」と置き換えてみれば、ミルダールのいう「イニシアル・キック」の方向はおのず と明になる。

この分野では良く知られているように高速インターネットを実現するうえで、「最後の 1 マイル」と呼ばれる問題は、なかなか実現の難しい課題である。つまり、光ファイバーが 家庭やオフィスのごく近くまで敷設されたとしても、各家庭(あるいはオフィス)の入り 口までの加入線として光ファイバーを引くには、その間がたとえ1マイルであっても相当 なコストがかかる。だから、それは後回しにされるし、誰もがその最後の1マイルは、ま さに最後の問題だと考えても不思議ではない。

しかし、その発想を転換し、「最後の1マイル」を「最初の1マイル」と考えてみたらど うであろうか。たとえば、私個人とか同じマンションの住人とか、あるいはより大きなグ ループとかが、自分に必要な場所から最短距離に敷設されている光ファイバーまでの専用 回線を、ベンチャー企業等と共同しつつ(例えば)電波によって設定するのである。つま り、インターネットへ常時接続するための最初の伝送路をまず自分で作るのである。いう ならば、情報インフラ構築のボトムアップ思想である。こういう発想の転換、つまりマク ロ的なトップダウンから個人のイニシアティブ重視への転換が、マクロのITインフラとミ

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クロの個人ないし企業行動との関係を組替える出発点になるのである。

「最初の1マイル」とは突飛な意見のようだが、私の思いつきではなく、すでにアメリ カでは『最初の100フィート』というような書物も出版されているし、カナダでは半官 半民の教育研究グループなどが、ボトムアップからのインフラづくりに成功している(国 際大学グローコム、土屋大洋氏らのレポート)。歴史的に見てもアメリカの電話の普及は、

農村部における具体的なニーズ(天気予報など)に基づく最初の数マイルの共同敷設によ って促進されたのである。

人々のニーズの強さと種類を推測する観点からも、そのような意味での「最初の1マイ ル」を、それこそあらゆる手段を動員して作るということが、日本のIT戦略の「イニシア ル・キック」であるべきである。

ここで「あらゆる手段を動員して」というときには、光ファイバー、CATV、 電力配線 の利用、電波など、利用可能なあらゆる伝送路の活用、そして電柱などの線路敷設権(利 用権)の開放など実行可能なあらゆる規制緩和を手段とすることを意味する。このなかで 最も有望なのは電波の活用である。他の方法では技術的に十分可能であっても、肝心のコ スト的に「安く」提供し、普及させるという見通しが立っていないからである。それに対 して、電波による(広帯域)インターネットは確実に月数千円で各家庭まで供給しうる。

私が知っている限りでも、すでにそういう事業計画をもっている企業が数社ある。

この電波利用についての問題は、必要な電波の周波数が果たして割り当てられるかどう かである。現在の日本では、政府が電波の周波数帯域を裁量的に割り当てており、一般民 間向けに開放しうる余地に乏しいといわれている。しかし、他方では殆ど使われていない、

あるいは利用度の低い電波帯域が存在している可能性も強い。自民党の伊藤達也議員(前 通商産業政務次官)は、個人的見解ではあろうが、『ボイス』1月号で「開放可能な電波帯 域は、タクシー無線用の、450MH2帯域、業務無線用の800MH および 1.5MH2帯 域、さらにUHF帯のTVチャネルが利用可能だと思う」と具体的に述べている。

私は、このような観点から日本の電波配分の実態を調べようとしたが、公開されている データからは電波の利用実態は明確に把握できなかった。また、現在の電波の割り当て方 針は旧来型の業務区分に基づいており、情報化によって激変しつつある業務の実態に即し ているとは到底考えられない。平たくいえば、誰がどのような理由で電波を割り当て、誰 がどのように利用しているかが分からないのである。今後のIT革命における電波の決定的 な重要性を考えれば、このような事態は早急に改善されねばならない。(そのような観点か ら筆者も属するある研究グループは「IT革命を実現させる電波政策に関する提言」をまと め、1月31日に公表した。(URLはhttp://www.telecon.co.jp/ITME/index.htm)。

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3 . ニ ュ ー エ コ ノ ミ ー の 本 質 と 新 た な 産 業 組 織

さて、IT経済の基本は、新しいかたちの組み合わせの経済である。すなわち、一方でIT によって安くなったもの、たとえば半導体のビット量とか通信の帯域とかを潤沢に使い、

他方で新たな稀少性をもつもの、たとえば新素材とかソフトウエア、デザインに付加価値 の源泉をもとめて、高機能かつ高付加価値の組み合わせを作ることにほかならない。「潤 沢性」と「稀少性」の巧みな組み合わせがポイントである。

 これまでのIT経済を支えてきたものは、「18ヶ月でコスト不変のままチップ密度が2 倍になる」という、いわゆる「ムアーの法則」がもたらした「潤沢性」である。つまり、

チップが小型化するほどコストは加速度的に低下することになり、それをうまく組み合わ せる新しい型の企業が成功した。これは決して量産技術の効果ではなく、組み合わせをつ くるソフトウエアの価値に基づくものである。

図2

しかし、その側面でのIT革命はもはや終わりつつある。いま起こっていることは、通信 における「周波数帯域」、ないしネット上の「つながり」の量と質が、「ムアーの法則」

よりも速い速度で爆発的に増大していることである。それゆえに、IT革命の本質は「コミ ュニケーション革命」にあるとも言われるのである。

そうだとすれば、これからのIT革命の成否は、その周波数の「潤沢性」をいかに活用す るかということにかかってくる。また、その反面に生まれてくる新しい「稀少性」はどの ようなものであり、そこにどんな付加価値をつけられるのかという問題になる。

 前者の結論はすでに明らかである。大企業や大組織でパソコンでインターネットに常時 接続し、動画などを高速で利用するには、大容量の光ファイバーが敷設されていれば良く、

日本ではその段階はほぼ終わろうとしている。潤沢な「つながり」をいまこそ必要として いるのは、家庭であり、中小企業であり、スモール・オフィスなどである。そこでの使い 方に多様性が生まれ、さまざまな知恵が活かされたときに、ミクロとマクロの新しい連結 が生まれ、IT革命なるものは初めて本物になりうるであろう。だからこそ、家庭に至るま

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ることが肝要なのである。

それでは、新たな「稀少性」はどのようなものであろうか。これについては、さまざま な議論もありうると思うが、さしあたり次の二つの区別が重要である(図3参照)。すな わち、驚くべきほど潤沢に利用することができるようになったコンピュータの「ビット」

や通信の「周波数」を適切に組み合わせて消費者や社会の必要を満たすような設計図(ア ーキテクチャー)をつくる論理的な能力である。図3では、それを稀少性 A と表現してい るが、その典型的なものはコンピュータの MPU(中央演算装置)や基本ソフトのアーキテク チャーである。

           図3

  

 もう一つの稀少性は、図3に稀少性 B として示したもので、いま述べたような「論理―

アーキテクチャー」をさらに組み合わせて社会生活のなかで実際に使われる「システム」

をつくっていくときに、それを本当に人間が使いやすいものに仕上げていく「知恵―経験 資源」ともいうべきものである。情報化社会の進展とともに知識の量は膨大になっていく が、いま述べたような「知恵」はなかなか増えるものではなく、また人類5000年の経 験を役立てるといっても、それを使える知恵に凝縮することは容易なことではない。した がって、IT によって新たな潤沢性が生まれるとともに、すぐれた知恵や経験が稀少資源と なり、それが付加価値の源泉となるのである。

 より具体的に証拠を挙げてみよう。まず、稀少性 A については、図4に引用したアメリ カの SEMATECH が作成した「半導体の国際的ロードマップ」の図表が端的に「論理―ア ーキテクチャー」の稀少性を表現している。すなわち、図に菱形の点を連ねた直線は19 91年から2009年までの半導体1チップ当りのトランジスタの密度の増加を示すもの であり、X印を連ねた直線はそのチップを製造する労働生産性の伸びを図示するものである。

図に注記してあるように、ここでは年21%もの生産性の伸びが想定されているが、それ でもトランジスタ密度の増加には追いついて行けないのであって、明らかに論理によるア ーキテクチャーの高度化には限界が来たことを示している。

 その稀少性を補うために、図5の世界地図に書きこんだように、現在、シリコンバレー

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を基点として台湾の新竹、インドのバンガロー、イスラエルなどとの連携が強力に進んで おり、地図に例示した他の地域をも巻き込んで、時差利用の24時間体制での設計システ ムがつくられている。これも世界的なマクロとミクロの新たな関係性構築である。

図4

   

  図5

   

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       図6

       

 この図6は、本章の最初に示したロードマップの全体図(図1)のなかで「IT産業社会」

と書いた部分を、いま日本で議論されている諸案を念頭において、より現実的な4っの楕 円が中央に位置するコンビニを囲む構図として描いたものである。すなわち、一番左上に ある「i-mode」を突破口とし、その下のITSを回転軸とし、それをHome Electronics(情 報家電)の面的な需要につなげ、それらのすべてを利用してe-commerceを展開し、かつ実 物の商品受け取り場所としてコンビニを真中に位置づけるという日本型のIT産業連関であ る。

 このようなシステムを形成していくうえで、もちろん論理的なアーキテクチャーも不可 欠であるが、それらが一応の完成度に達している現時点でより重要なのは、ビジネスと生 活の具体的様式に適したシステムをつくる「知恵と経験」である。この見方には異論もあ りうると思うが、しかし、i-モードの成功が強力な裏づけを与えてくれている。i-モードの 成功は、日本の電波技術と、端末製造技術、そしてコンテンツによるものといわれるが、

より肝心だったのは、それらをうまく組み合わせた利用の「知恵」であり、事実、i-モード 産業は「経験産業」として発展しつつある。

 それでは、そのようなIT産業連関をもう一歩具体化する産業組織はどのように形成され るであろうか。新しい「産業組織」は図7のように表現される。これは表に注記したよう

に B.マハデヴァンの「インターネットに基づく eコマースのビジネスモデル」という論文

から引用したものであるが(若干変えて翻訳)、「ポータル」「マーケットメーカー」「財・

サービス・プロバイダー」という3分類は、IT時代の市場構造を適切に表現している。

そして、この図7には、ビジネスモデルの内容を決める諸要素が「価値の流れ」「利益の流 れ」「ロジスティックスの流れ」という大分類のもとに機能ごとに記入されており、市場構 造を担う先の3主体が、それぞれどの機能を分担するかを丸印で示されている。

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 この表を一見すれば明らかなように、「中抜き」がかかわるのは「財・サービス・プロバ イダー」のみであり、新たに「マーケットメーカー」が表の左端列に示された各機能を担 う専門企業として広義の仲介を行い、新しい市場構造において主要な役割を果たすのであ る。これらの企業は、イーベイ・ドットコムや ネットマーケット・ドットコムのようにI Tを駆使して新たな市場を切り開き、発展させるのであって、卸売業者や小売業者という よりも、まさに「マーケットメーカー」という言葉がふさわしい。

 ただ、いま例示したようないわゆるドットコムの時代はすでに終わりつつあり、今後は より複合した機能をもつ「マーケットメーカー」の時代になるであろう。日本でいえば、

総合商社が急速に「マーケットメーカー」へ向けての舵を切っている。そこには、分社、

独立、提携を含めて、多様なかたちでの組織の「リシャッフル」(組替え)が起こるはずで あり、その行方が日本の産業組織のかたちを決めていくことになろう。

図7

ここで重要なことは、「ポータル」や「マーケットメーカー」の新しい機能を形成してい く上で、前述の新たな稀少性のAとBの両方が共に必要になるということである。すなわ ち、市場での出合いの場を作り出す「ポータル」は、一見したところではすべてが電子的 に処理されているようであるが、人々をその場に引き込めるかどうかは、ほとんど知恵の 勝負なのである。その好例は、この分野のトップを走るヤフーであり、同社の分類は、コ ンピュータに人海戦術で常識を与えようとしたCYC(Encyclopedia の中央の3文字)という

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方、「マーケットメーカー」の仕事となると、たんなる出会いではなく専門的知識に基づく 新たな組み合わせが必要になり、ITとFT(金融技術)の成果が駆使される。たとえば、次 の図8は異なる市場を連結するためにカンマ“M to M”(Market to Market)という新しい 概念を提示し、具体的な新規市場の形成に成功している“i2”社の例である。いうならば、分 野の違うマーケットを連結するアーキテクチャーを提供し、新たな組み合わせとしての新 市場を生み出しているのである。

     図8

4 . も う 一 つ の 情 報 化 社 会

さて、ここでもう一度、図1のロードマップをご覧いただきたい。図1の中央にはこれ まで論じてきた「IT産業社会」とともに「もう一つの情報化社会」という四角い枠があり、

そこには左側の「政策基盤」および「人材基盤」から⑤、⑥、⑦のリンクが張られている。

そのリンクの意味するところは、電子政府や人材育成は「IT産業社会」の形成のために 不可欠ではあるが、より重要な課題として「もう一つの情報化社会」というべきものを構 想すべきだということである。つまり、これまで情報化社会というと、人工知能を使って、

あるいはコンピューターを使いこなしてというイメージであるが、筆者(今井)はかねて、

もう一つの次元を考える必要があると主張している。それは私だけが言っていることでは なくて、インド生まれの経済学者で数年前にノーベル賞をもらったAmartya Senがこれか らの厚生経済学の在り方として提案していることである。すなわち、これまでの厚生経済

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学は所得−消費の次元で考えられていたわけだが、Senはそれを乗り越えて潜在能力の次元 を考えようという提案をし、具体的に国連で大規模な統計収集を始めている。それをITの 文脈でいえば、「もう一つの情報化社会」というビジョンとなる2

これまでは所得が増え消費が増えるということが富の源泉であり、人々を幸福にするこ とだと考えられてきた。それは事実であり、いまでも依然として重要ではある。本報告書 でも論じているように、もしITで経済の生産性が上がらなければ、われわれ日本の経済 社会というものは非常に悲惨な状態になっていく。

しかしこれだけ豊かになった社会では潜在能力が発揮できるということ、つまり仮に所 得が低くても自分は潜在能力を発揮できる、あるいは年を取っても自分の能力がまだなん らかのかたちで社会に役立つ、そのためには人間の機能、つまり健康も十分に良好でなけ ればいけない、という次元は今後ますます重要になる。このような意味での「もう一つの 情報化社会」をIT革命のロードマップのなかに明確に位置付ける必要がある。そういう「も う一つの情報化社会」が充実してこそ、経済全体の生産性も真に向上するのである。

 そういう観点から情報化社会のもう一つのモデルをつくるというのはどういうことかに ついて、一例を上げてみたい。それは「ウエルネス・ビジネス」とか「新しい医療」とい うような分野であり、具体例としては最近立ち上げられた㈱ウエルネス・フロンティア・

センター(WFC)がある。これは、食や住にかかわるウエルネスを増進させようというビ ジネスであり、図9に示すような研究機関の研究データを基盤とするとともに、「沖縄ウエ ルネス計画」の具体的な経験に基づいてビジネスのプラットフォームをつくっているもう 一つのITモデルである。

図9

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 最初の図1のロードマップに示した⑤、⑥、⑦のリンクは、このような「もう一つの情 報化社会」のビジネスを形成していくための政策ルートであり、それによって「新しい公 共性」がまず構築され始めなければならない。

5 . 新 し い 関 係 性 の 構 築

以上が、筆者のロードマップでいえば、2001年の始まりから2003年に至るまで の「イニシアル・キック」の方向付けである。現在のような大変革期においては、その最 初の動きがどのような新たな制度化につながり得るかを見定めることが重要である。その ためには、ここでIT革命とは、一体、どのような意味で革命であるのかをあらためて考察 しておく必要がある。

 普通によく言われるのは、かっての産業革命に匹敵するような変化ということである。

確かに、IT の革新は、そのスピードの速さ、今後の可能性の深さ、社会的なインパクトの 広がりと大きさの点で、蒸気機関やエネルギーの革新を中心としたかっての産業革命をこ えるものをもっている。

 しかし、ただそれだけであれば、産業革命の延長線上の議論になり、IT 革命という新し い用語を使う意味は乏しい。また、IT 革命がたんに技術・経済だけの問題ではなく、私達 の「くらし」と「いのち」に幅広くかかわるという文脈を見失いがちになる。いま情報技 術の中心になっているインターネットは、人と人の間の、人と組織の間の、組織と組織の 間の、情報のやりとり、意志の伝達方法、交流の仕方、つまり「コミュニケーション」の あり方を変え、距離と時間の制約を克服する「コミュニケーション革命」を生み出してい る。それはまた、人と人、組織と組織の間の関係をどのように制御するかという「コント ロール革命」を必然的に伴う。

 かつて欧州では、フランス革命と産業革命をかさねて「二重革命」といわれたことがる が、いま IT 革命といわれるものが、「産業革命」と「コミュニケーション革命」と「コン トロール革命」の要素を三重にかさねもっているとしたら、あえて革命という言葉を用い ることも許されるであろう。

 この三者のなかで「コミュニケーション革命」が鍵である。現在、政治も経済も社会も どこか基本的なところで変わろうとしているが、どこにも明確なビジョンはない。こうい うときには、原点に戻って考える以外に方法はないであろう。人々はなんでも疑って、「そ れほんと?」というような原初の状態でのコミュニケーションを欲するようになっている。

それは理性だけに頼らずに、本能的にいろんな道筋を考えてみようという態度でもある。

 しばらく前に、ロンドン・エコノミスト誌が、近世の革命を総括して、フランス革命も 社会主義革命も「理性」というものを過信した故に失敗に終わったのだと述べたことがあ る。その含意を広く取れば、身体知、感性、経験知こそが重要だということである。

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 ITによる新しいコミュニケーションは、一方で科学的な知識の伝達・普及を進めると ともに、他方では、意外にも「原初的コミュニケーション」(正村俊之)の復活をもたらし ている。ケイタイ、i-モードでの若者の会話などはその典型例である。学級崩壊、成人式の 混乱など、一見したところでは「負」の現象としか思えないものも、背景にあるのは大人 達の建て前でのコミュニケーションに対する反逆なのである。

 「コミュニケーション」とは人々の間の「関係性」をつくるための技術であり、技能で ある。社会に新たな関係性を築くことは、科学技術と論理が支配した近代を超えるための キーポイントである。科学技術の高度な発達の末に生まれた情報技術が、これまでの科学 技術の問題点を克服する鍵を提供しており、関係性という人文・社会系の根本問題の本質 に迫る道具となっているところに、IT革命の面白さがあり、希望がある。

 日本の社会は、いま「グローバルスタンダード」といわれるものに当惑し、それにどう 対応するかに迷っている。俗説のように、「グローバルスタンダード」すなわち「アメリカ 流」とみなすのであれば、国情も文化も異なる日本でそれを模倣する必然性もないが、し かしそれが今後の世界のビジネスシステムの基本になるのであれば素直に従うべきだとい う受身の姿勢が生まれる。しかし、それでは力強い内的エネルギーも湧かないし、日本の 比較優位がどこに得られるかいう不安もともなう。かといって、日本のシステムの良質な 部分を残し、IT時代にふさわしくそれを生まれ変わらせようとしても、そこにはさまざ まな議論があり、方向を決めるのにも時間がかかる。

 どういう表現をするにせよ、われわれはいま、このたぐいの迷いの中にいるのは確かな ようだ。この迷いをなんとか吹っ切るには、先に述べたように原点に戻って考えてみる以 外にない。

 フランス革命における人権宣言が、イギリスにおけるそれまでの市民社会の権利確立と 異なるのは、イギリスの市民社会がそれまでに存在し、成立してきたものを概念的に定義 したのに対して、人権宣言は、世界のすべての人々が人間としての権利をもち、そのこと を人々が相互に承認しうるということを論理的に導き出し、宣言したところにある。それ ゆえに革命と呼ばれた所以がある。同様に産業革命は、たんなる技術革命ではなく、労働 市場とか資本市場というものを、論理的・形式的に確立できたところに革命性があった。

最近、岩井克人氏が強調しているように、基本的人権も純粋な意味での市場経済も、その 本質は形式的なシステムであること、すなわち経験に基づくのではなく、演繹的に導かれ る論理を背景としているところに、その本質があり、強さの源泉がある。そういう論理の 核は重要であるが、しかし論理だけに頼った革命は失敗に終わるというのが歴史の教える ところであろう。さきの『エコノミスト』誌の評価のように「理性過信」ゆえの失敗とい う総括もそこから生まれてくるのである。

 いわゆる「グローバル・スタンダード」なるものが、純粋な論理的形式性のみを重視し、

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というものは、啓蒙的な押し付けを伴いがちであり、村上陽一郎氏がかねて主張している ように「攻撃性」をもつのである。攻撃には形式論理の方が強く、それは個別の文化を破 壊しがちである。

また、もしIT革命というものが、コンピュータの論理や人工知能などを前面に押し出 して、世界をブルトーザで平坦化し、標準化するようなものであるならば、それは社会主 義革命と同じように行き詰まらざるをえないであろう。われわれが本稿で考察しているよ うに、IT革命の本質はそういうものではないし、それに基づく「グローバル・スタンダ ード」も論理的形式性だけを重視するものではない。それゆえにこそ、IT革命の本質が

「コミュニケーション革命」であり、それがつくりだす(社会における)新しい関係性に 注目することが鍵だと考えるのである。

経済システムは社会の生態系とその時代の文脈の上に築かれるものである、社会の生態 系とは換言すれば人々の間の「関係性」にほかならない。アメリカのIT経済自体にも多 様性がり、東部ボストン地域と西部シリコンバレーの生態系の差が注目され、人々の間の 関係、コミュニケーションの違いがITにおけるシリコンバレーの優位性に導いたとされ ている(アナリー・サクセニアン)。

日本の産業システムは歴史的な生態系に基づき企業間および人脈的な「関係性」の強い システムであり、それは開発途上時代と高度成長の文脈のもとにおいては、相互依存的な 量的拡大に有効であった。しかし、その「関係性」はそのままではIT時代には不適合に なっている。なぜなら、いまのIT時代に必要なのは、かってのような企業と企業、ある いは人と人との間の「まるごと」の関係性ではなく、ディジタルベースの個別的な「機能」

にもとづく関係性だからである。その種の関係性にどう組替えていくかが、日本のITの 最重要課題である。

そのポイントは、企業間関係をより直接的に組替えていく具体的な手段としての e コマ ース(電子商取引)にある。事実、eコマースの衝撃は、たんなるもう一つの革新ではない。

それはこれまでの経済・商業取引の慣行を変え、流通という活動の全体を生まれ変わらせ るものである。それは、たんなる決済手段の合理化ではなく、金融という経済活動を分解 し、かつ再統合してゆくものである。また後述するように、日本の常識とは異なって、教 育というものを全面的に新しいかたちに編成し直していくものでる。

 eコマースというと、一般には、電子ショッピング、ホームバンキング、電子出版、企業 間電子商取引などと定義されがちであるが、スタンフォード大学教授であったタンネンバ ウムが主宰するeコマースの国際的な普及団体である CommerceNet がeコマースという ものを定義する際のキーワードは、

● 情報・サービスの交換

● オープンな(グローバル)市場の創造

● 顧客の能力向上(エンパワーメント)

(19)

● 関係のマネジメントのためのプラットフォーム

というものであって、本稿の文脈にもそった本質的な要約になっている。とくに、「関係の マネジメントのためのプラットフォーム」という指摘は、eコマースが企業間の機能的な関 係性を再構築する「場」(プラットフォーム)であり、手段であることを示している。

 ITによる「関係性」のもう一つ別の種類の変化は、「市場の失敗」への対処の仕方である。

経済学の教科書にくわしく書かれているように「市場の失敗」は数多く存在し、市場は決 して万能ではない。現実的に考えても、成功の影には必ず失敗がある。変化が激しく、実 験的な試行錯誤を行なわねばならない情報経済においては特にそうであり、失敗への備え、

いわゆる「セイフティネット」の構築は切実な課題である。

 これまでの議論では、市場経済、とくに情報経済は弱肉強食であり、その推進は「セイ フティネット」を疎かにするものと言われてきた。たしかに、一部の分野、一部の国の一 時期に、その傾向があることは否定しがたい。しかし同時に、「セイフティネット」を市場 に対立するものとしてではなく、市場と協力し、市場を利用しながら幅広く形成していこ うという傾向が現れていることも重視しなければならない。この新しい傾向を支援してい るのが、やはりITなのである。例えば、失敗した企業を再建するIT企業、不良債権化 しつつある社債を取引する市場をつくるベンチャー企業、そしてIT自身によるIT教育 による失業者の再訓練などである。

とくにわれわれは、eコマースを活用した再教育・再訓練を重視したい。教育に関するこ れまでの観念は、一定の場所、一定の期間、一群の先生達というように、特定の時間・場 所および人間関係の概念に強く結びついている。しかし、誰もが何時でも何処でもコンピ ュータ・通信を利用できる Ubiquitous Computing ( Everywhere Computing) の時代には、

教育もまた「何時でも何処でも」という時代になるはずである。そしていま、そのためのe コマースの利用が猛烈な勢いで始まろうとしている。eコマースによる IT教育こそ、市場 の失敗に対処する最良の「攻めのセイフティ・ネット」である。

要約すれば、関係性を組替えるということは、これまでの「制約条件」を取り除いたり、

変化させるということであり、その「制約条件」の内容が新しい制度の本質になるのであ る。

6 . む す び

 最近、アメリカにおけるいわゆるネット株の暴落とともに、IT 革命なるものは幻想にす ぎなかったという意見も多くなっている。本稿でもすでに述べたように、革命は幻想や過

(20)

 かつてケインズは

   In the long-run, we are all dead.

(長期的には、われわれは皆死んでいる。)

といって、短期の有効需要政策を重視したが、日本の場合、そのように達観して、公共事 業を続けることを許される状況ではない。

 本稿の文脈でいえば、ワイアード誌の編集長のケビン・ケリーが言うように、

   If you are not wired, you are dead.

 (あなたがITネットワークに繋がっていなければ、あなたは生き残れない。)

と考えるべきである。IT革命なるものの成否がどうであろうと、この言葉は生き残るであ ろう。

(21)

第2 章   IT と経済成長:デマンドサイド重視の考え方

1 . 人 口 減 少 と 経 済 成 長

 高齢化社会、あるいは高齢社会に向かう過程で日本経済の潜在成長率はどうなるかに関 心が集まっている。この問題を考える際の1つのフレームワークとして、UCLAの青木 正直教授との共同研究の成果を報告してみたい。

図1は、2050 年までの厚生省の人口動態推計(中位推計)を示したものである。この推 計はかなり楽観的なもので、合計特殊出生率なども過大に推計していると言われているの で、将来人口はこの推計よりさらに減少するものと考えられる。

 今後 10〜20 年の労働力人口は、すでに出生している人間についての予測なので、かなり はっきりした推定が可能であり、年々0.6%のマイナス成長と見込まれている。ただし、不 確定要素は残っている。第1は女性労働力率で、現在、託児所を整備するなど、女性の労 働力率を高める施策が行われている。第2は海外からの労働者の移民であるが、これにつ いては、さまざまな問題点が指摘されている。こうした不確定要素があるが、労働力人口

(22)

っても1%どまりではないかという見方が広まっている。事実、平成 10 年度の「経済白書」

は、ソローの新古典派成長モデルを紹介しながら、潜在成長率を議論している。そこでは、

労働力人口の減少を先取りするかたちで投資が減少することから、日本経済の低成長は生 み出されていると論じている。はたして、そうなのか。以下では、まず、人口が経済成長 に与える影響を経験的に検証したうえで、ソロー型の新古典派成長モデルに代わる新しい 考え方を提示してみたい。

2 . 人 口 が 経 済 成 長 に 与 え る 影 響

図2は、 10 年ごとの日本の経済成長に対する労働、資本、TFP(Total Factor Productivity;技術進歩)の貢献を検討したもので、「成長会計」とよばれるものである。

成長会計はデータの取り方等によって結論が変わりうることは衆知の事実だが、『通商白 書』からとった図2は標準的な結果といえる。

図2によれば、高度成長期の 1960 年代の平均実質GDP成長率は 11.1%であるが、この うち労働の寄与は 0.4%にすぎない。高度成長が終了した 70 年代には、実質GDP成長率 が 4.5%に低下しているが、ここでは、労働の寄与は0%である。つまり経済成長にとって、

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労働の直接的な貢献は通常想像されるよりはるかに小さい。

 同様に、80 年代の実質経済成長に対する労働の寄与は 0.4%にとどまり、さらに 90 年代 半ばまでの実質経済成長率は 1.6%に低下しているが、ここでは労働の寄与はマイナス 0.3%となっている。労働がなければ経済活動ができないことは自明のことではあるが、日 本の経済成長は労働ではなく、資本(フローで言えば投資)と、技術進歩(TFP)によ って規定されていたことは明確である。

 労働の貢献というのは、分配面から言えば賃金ということになる。賃金は「裸の労働」

に対する対価と、いわゆるヒューマンキャピタルに対する対価に分けて考えることができ るが、先進国ではヒューマンキャピタル(つまり後天的な教育と技能に対する対価)が約 6割とされている。人数に直接関係する、人間の裸のエネルギーに対する対価は、平均的 な労働者の受け取る賃金の4割にすぎない。高齢化社会で労働力人口の減少が問題になる という場合の労働力は人数であって、教育や技能などの後天的に付与される能力とは直接 には関係がない。人数が減っても能力が高まるということは当然ありうるわけで、賃金の 6割を占めるとされるヒューマンキャピタルが減少することを意味しないわけである。

 いずれにしろ、経済成長にとっては、労働よりも資本やTFPの貢献のほうが大きいわ けで、人口減少にともなって日本の潜在成長率がただちにゼロや1%にとどまるという議 論は根拠がない。

3 . 新 古 典 派 成 長 モ デ ル の 再 検 討 ― ― 「 需 要 の 飽 和 」 理 論 へ

  スタンダードな新古典派成長モデルでは、経済成長の鈍化を資本の限界生産性の低下で 説明している。毎年、GDPの一部が貯蓄ないし投資に振り当てられる。この投資によっ て資本ストックが増加していくわけであるが、いま簡単化のため減価償却を無視すれば、

毎年、資本ストックが増加していくことによって資本の限界効率、限界生産性が逓減して いく。これが新古典派理論において、成長を抑制する基本的な要因である。

 このため、外的な要因を導入しないと、最終的には成長率はゼロになってしまう。新古 典派成長モデル、ソローの成長モデルでは、外的要因として労働力人口が導入される。つ まり労働力人口が一定の率で成長していく(自然成長率)ことで成長が維持されるという モデルであり、定常状態では、資本もGDPもすべて人口成長率に等しくなる。逆に、資 本の限界生産性さえ逓減しなければ成長が続くというモデルでもある。

 われわれは、この資本の限界生産性の逓減が磐石の事実なのかどうかに疑問をもってい る。たしかに農業を見れば、資本の限界生産性の逓減は厳然たる事実として存在する。こ れがリカードが収穫逓減を基礎にすえた理由でもある。しかし、工業ではある範囲内では

(24)

当に証明されたわけではないのである。

 これに対して、われわれは需要面における「ロジスティック成長」の理論を提示してみ たいと考えている。これは、現実の経済社会をみたときに、個別の財、サービス、あるい は個別の産業において必ず需要の頭打ちが起こるという事実に着目して考えたモデルであ る。

図3に実線で示されたS字カーブが、「ロジスティック成長」である。従来の経済学では、

成長というと点線のような指数関数的な成長を想定していたのに対し、個別の財、個別の 産業は当初は指数関数的な成長を示しても、あるところで変曲点を迎えて、成長率が鈍化 し、いずれ天井に沿って成長率がゼロになるとするモデルである。

 たとえば、テレビが市場に登場すると、日本では熱狂的に迎えられて急成長を遂げた。

このとき、需要の伸びに対応してサプライサイドでは 10 倍、100 倍のテレビを生産しても、

工場・設備を拡大し、限界生産性を逓減させないで増産することは不可能ではない。しか し、現実には、ある時点でテレビの需要は頭打ちになるのである。いわば、「需要が飽和す る」のである。これは現実の産業では日常的に生じていることであり、経営学者だけでな く、産業界にとっては当然視される事実である。財やサービスのライフサイクルとして知 られているものと同じである。

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4 .「 需 要 の 飽 和 」 が 成 長 を 決 め る

ここからが、われわれのモデルの特徴であるが、このロジスティック成長をいくつかの 財、産業で同時に考えるのである。図4に示したように、時点0においては1つの財・セ クターであっても、τ2、τ3、τ4 というように、次々と新しい財・セクターが登場してく る。白黒テレビに続いてカラーテレビが登場したり、固定電話に代わって携帯電話が登場 するという例を考えればよい。そして、新しく登場した財・セクターは、それぞれロジス ティック成長を遂げて、いずれもある時点で「需要の飽和」を迎える。新しい財・セクタ ーは、確率的に登場してくると考えておく。

 これをある時点で、縦軸に沿って合計したものが、一国のマクロの生産量、つまりG DPであると考えてよい。新しい財・セクターが確率的に登場するから、GDPも確率的 にならざるをえないが、その期待値を計算するのが図5の式である。

(26)

 上の式は個々のロジスティイクカーブを示しており、分母の指数が−μ(t−τ)とな っている。これはτ時点で登場した財がt時点でどうなっているかを示す式で、tを無限 大にすると指数のついた項が0となり、μ/δとなる。これが図3、図4で示した天井に 当たるわけである。下の式は、上式の個々のロジスティックカーブの総和を求めて、GD Pの期待値Yを求めるものである。

図6の4式は、このGDPの期待値をもとに、潜在GDPの成長率を求めるものである。

この式に基くシミュレーション結果を示したのが図7である。ソローの成長モデルでは、

定常状態でなければ資本装備率の上昇にともなって成長率は鈍化を続け、最終的は人口の 増加率、自然成長率に落ち着くことになるが、われわれのモデルでは、新しい財・セクタ ーが登場してくる確率によって成長率が規定される。正確に言えば、ポアソン・プロセス によって出てくるポアソン・パラメーター(生起率)λが最終的な成長率になるのである。

 つまり、ソローのモデルでは、定常状態にないときの成長パターンは、資本の限界生 産性がどのように逓減するかによって決まる。これに対してわれわれのモデルでは、既存 の財・サービスに対する需要の飽和、需要の鈍化率によって決まることになる。たとえば、

自動車産業しかない経済を考えると、ソローのモデルでは、自動車産業の資本蓄積が進ん で、資本の限界生産が逓減することによって成長率が鈍化するが、われわれのモデルでは、

自動車に対する需要の飽和が成長鈍化を決めていく。

 このような成長モデルを使うことによって、技術進歩、技術革新についても、従来の TFPとは異なったパースペクティブを得ることができる。

(27)
(28)

5 . 技 術 進 歩 と は 何 か

 従来の経済学では、技術進歩とはソロー・モデルのTFPであった。つまり、技術進歩 とは生産関数がシフトアップして、資本と労働の投入が同じでも高い付加価値が生み出さ れることを意味していた。これが技術進歩の定義であった。

 これに対し、われわれのモデルではTFPの伸びはないことを想定している。したがっ て、より多く生産するためには生産要素をより多く投入しなければならないことになる。

それでは技術進歩を否定しているかと言えば、そうではない。図4に示したように、第2、

第3の新しい財が出現してくる、これが技術進歩であって、これが成長のエンジンになる という理解なのである。シュンペーターのイノベーション理論と同じで、生産関数のシフ トアップではなく、既存財の需要の鈍化を新しい財が登場して打ち消すことが技術進歩で あって、これが経済成長の最もファンダメンタルな要因だと考えるわけである。

 もちろん、われわれはTFPを否定しているわけではない。生産関数がシフトアップす れば成長がもたらされるのは当然である。しかし、たとえばクルーグマンがシンガポール など、アジアの「フォー・タイガース」と呼ばれる国々を、資本と労働を多量に投入した ための成長であって、TFPの上昇がないから技術進歩がない「張り子の虎」だと主張し たのは、やはり問題である。成長会計からみればクルーグマンの主張は成り立つのであろ うが、従来、農業しかなかったところにパソコン組み立て工場ができること自体をイノベ ーションと考えるべきではなかろうか。

 また近年携帯電話の爆発的な需要が起きた。携帯電話をつくるためには、従来と同じ資 本と労働の投入が必要かもしれない。ここではTFPの上昇は生じていないが、従来なか った携帯電話というサービスが生み出され、爆発的な需要を生み出したこと自体が重要で はないか。これこそがイノベーションではないかと考える。

 進化経済学(エヴォリューショナリー・エコノミクス)のリーダーであるリチャード・

ネルソンとシドニー・ウィンターは、進化経済学の立場から、クルーグマンの「張り子の 虎」説を批判している。論点は、たとえTFPが伸びなくてもイノベーションはあるとい うわれわれの主張と近い。

6 . I T と 需 要 の 創 造

  最後に、ITに関連して、産業構造の変化の重要性を指摘しておきたい。

 IT産業が経済成長の起爆剤になったアメリカにおいても、1995 年ごろまでは、マクロ レベルでTFPの伸びは見られていない。ミクロのレベルではTFPの伸びがあったが、

マクロではなかったというのが定説になっている(90 年代後半に入ってから最近の数年は マクロレベルでもTFP上昇が定説になっている)。

(29)

  では、1996 年まで、アメリカにはイノベーションはなかったと言えるのだろうか。当時、

アメリカ経済は3%程度の成長を維持し、むしろ加速化の方向にあったとみられる。とす ると、TFPの伸びなしに経済が成長していたことになる。90 年代の成長はIT産業が次々 と新しい需要を開拓していたことを抜きに説明することは不可能だと考えられる。ITに は需要を創造する力があったのであり、この需要の創造こそが経済成長の重要な要因と考 えるべきではないか。今後の日本経済の潜在成長率にも、このITの需要創造がプラスに はたらくのではないかと考えている。

個々の財・サービス、産業の需要は必ず鈍化する。しかし、新しい財・サービス、産業 が登場することで、経済成長が再生する。とすると、産業構造の変化と平均的な経済成長 率には相関があるのではないか。それを調べたのが図8であり、日本政策投資銀行設備投 資研究所の松本和幸氏との共同研究の成果である。

(30)

縦軸に平均成長率をとり、横軸には 25 産業の5〜10 年のシェアの変化を指数にしてある。

個々の産業のシェアをSi とすれば、その総計は1となるが、そのシェアの変化を基に産業 構造の変化を表わす測度Sをつくる。産業構造が変わらなければSは0となる。これを 1955 年から 98 年の日本の産業でプロットしてみると、大きな産業構造の変化があったとき高い 成長を成し遂げ、産業構造の変化が少ないときは低い成長にとどまっていることが示され ている。

 図8は産業構造と経済成長との関係を直接的に示すものではないが、産業構造が変わる ことの重要性を示す一つの材料にはなるであろう。今後、こういう視点から、ITが日本 経済の潜在成長率をどれくらい高めるか、検討を続けていきたいと考えている。

(31)

第 3 章 I T 革新と日本経済の活性化

1. は じ め に

アメリカでは1990年代後半に労働生産性上昇率が加速したが、その約半分は、情報技術

(IT)の貢献によるという実証結果が得られている1。半導体やコンピューターなどIT供給 産業の技術進歩が直接生産性を押し上げたうえ、それに伴うIT関連機器の価格下落によっ てITを利用する産業での労働投入あたりIT資本投入量が増大した結果である。IT供給産 業からIT利用産業へのスピルオーバーについては、現在利用可能なマクロデータからは観 察されていない。

日本でも、90年代に経済全体にしめるITのシェアは、消費や投資という産出面において も、資本ストックでみた投入面においても増大してきている。しかし、労働生産性上昇率 は、アメリカのように加速するどころか、10年間停滞し続けている。IT以外の一般資本に おいて労働投入あたりの資本投入の効率性が低下し、生産性上昇を鈍化させているためで ある。IT 資本は、生産性向上を加速してはいないが、生産性を上昇させる方向に作用して いる。

IT革新の成果を享受するためには、IT供給産業だけでなく、その他の産業や政府、家計 に ITが広く普及し、十分利用される必要がある。産業別にみると資本ストックのIT 比率 は、すべての産業で高まってきているが、アメリカと比較するとその拡がり方は遅い。ま た、日本企業が今なお低収益構造にあることも、IT の効果が現れてこない背景にあると考 えられる。

本稿では、第1節で日本のITの進行度をマクロデータから確認し、第2節でJorgenson and Stiroh(2000b)がアメリカについて行なったように、成長会計を用いて経済成長に対す るITの寄与をみる。その際、資本投入は資本ストック量をそのまま用いるのではなく、資 本サービス量に変換したものを使う。IT 関連資本は、技術革新が急速なため価格低下が著 しい。減価償却が速く、価格低下が激しい資本ほど限界生産性は高く、レンタル価格も高 い。したがって、資本構成が相対的に高い限界生産性をもつITへシフトすると、資本の質 が向上し、同じ資本ストック量でもそこから生み出されるサービス量は増大する。現在の ように、技術進歩のスピードが速い時には、資本サービスで資本投入を測ることは重要で ある。第 3 節では、産業別に IT 導入の生産性上昇への影響に注目する。Jorgenson and

Stiroh(2000b)によれば、アメリカではIT供給産業の技術進歩により、生産性が増大し、そ

れが他のITを利用する産業の実質中間投入を増加させている。また、ドーマー・アグリゲ ーションを用いた分析では、生産性上昇がマイナスの産業もあるため、経済全体のTFPの 伸びは必ずしもIT供給産業の生産性上昇にのみ帰せられるものではないと結論づけている。

(32)

産業別にみた場合、日本ではどうか。最後に第4〜5節では、日本でのIT投資が労働生産 性上昇加速につながっていない背景と今後の方向について考察する。

2 .I T の水準

2.1 産 出 に お け る I T の比率

日本経済においてもIT のウエイトは高まっている。国民所得の支出にしめるIT の構成 比の変化をみると、85年には消費と投資はそれぞれ実質 GDPの0.04%、1.8%にすぎなか ったが、95年には消費は0.2%、投資は3%近くに達した(表1)。投資は85年以降一貫し て伸び続けているが、消費は90年代に入って急増している。なかでも、通信機器の伸びが 著しい。IT 関連は、急速な技術進歩を背景として価格低下が激しいため、名目でみるより も実質でみた場合の伸びはより顕著だ。

これをアメリカと比べると、どの程度ITは日本経済に浸透しているのだろうか。図1は、

日米の民間企業によるIT 投資の実質GDPに対する比率である。日本については、①事務 用機械、②電子計算機、③通信機器、④電気通信施設建設の 4 項目(以上ハードウェア)

に、⑤ソフトウェアを含めた場合と、アメリカの定義に可能な限り合わせた場合の 2 種類 のせている2(表2)。

2 IT関連データの作成方法は、日本経済研究センター(2000a)、土志田・日本経済研究センター(2000)を参 照。

表1 情報関連消費・投資のGDPにしめる割合

%)

1985 1990 1995 1985 1990 1995

家計消費支出  0.06 0.08 0.21 0.04 0.06 0.21

事務用機械 0.01 0.01 0.01 0.00 0.01 0.01

電子計算機・同付属品 0.03 0.04 0.09 0.02 0.03 0.09 電子通信機器 0.02 0.02 0.10 0.02 0.02 0.10

電気通信施設建設 - - - - - -

ソフトウェア業 0.00 0.00 0.01 0.00 0.00 0.01

固定資本形成  2.28 2.80 2.78 1.77 2.28 2.78

事務用機械 0.21 0.26 0.19 0.13 0.21 0.19

電子計算機・同付属品 0.93 1.17 1.07 0.56 0.84 1.07 電子通信機器 0.48 0.62 0.63 0.38 0.54 0.63 電気通信施設建設 0.22 0.10 0.16 0.22 0.10 0.16 ソフトウェア業 0.43 0.64 0.74 0.49 0.58 0.74 国内総支出 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

(注)  国内総支出=最終需要部門計-家計外消費 (資料)総務庁『1985-90-95年接続産業連関表』

名目値 実質値(1995年価格)

図 6 と  図 7 では、特に IT 資本サービスの動向に注目している。図 6 をみると、動きが 激しいのは IT 資本よりも一般資本の方だ。 80 年代までは成長のほとんどが一般資本サービ ス投入で説明されていたのが、90 年代前半に 0.4%まで落ち込み、後半には 0.8%の大きな マイナスに転じている。一方、 IT 資本サービスの寄与に、この 20 年間大きな変化はみられ ない。アメリカでは 90 年代に IT 資本の貢献度が高まっているが、日本ではむしろ最初の IT 投資の盛り上がりがみられた 8
図   2     0期             1期        x i = ( x ij ) j ∈ −N { }i                g = ( g 1 , L , g n )   特殊投資             生産 試行           再交渉          利益              ネットワーク 3

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