運動セルフ・エフィカシーの向上を目的とした
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(2) 第 1 章. 身 体 活 動 ・ 運 動 量 の 増 強 に 関 す る 研 究 動 向 ................................ 1. 第 1 節. 生 活 習 慣 の 改 善 に 向 け た わ が 国 の 取 組 み ................................ 5. 第 2 節. 不 活 動 が 引 き 起 こ す 健 康 問 題 と 対 策 ....................................... 7. 第 3 節. 身 体 活 動 ・ 運 動 量 の 増 加 を 意 図 し た 面 接 介 入 ....................... 10. 第 4 節. 身 体 活 動 ・ 運 動 の 促 進 を 意 図 し た 目 標 設 定 ........................... 29. 第 5 節. 本 研 究 の 対 象 者 .................................................................... 31. 第 6 節. 本 章 の ま と め ........................................................................ 34. 第 2 章. 本 研 究 の 目 的 と 意 義 ................................................................. 35. 第 1 節. 本 研 究 の 目 的 ........................................................................ 35. 第 2 節. 本 研 究 の 意 義 ........................................................................ 37. 第 3 節. 本 研 究 の 構 成 ........................................................................ 39. 第 3 章. 面 接 者 か ら 見 た 個 別 介 入 の 課 題 ............................................... 42. 第 1 節. 本 章 の 内 容 ........................................................................... 42. 第 2 節. 保 健 指 導 の 成 功 ・ 失 敗 原 因 に 関 す る 帰 属 様 式 の 検 討 ( 研 究 1). .......................................................................................................... 43 第 3 節. 大学健康管理施設における身体活動・運動の促進・阻害要因に. つ い て ( 研 究 2) ............................................................................... 66 第 4 節 第 4 章. 本 章 の ま と め ........................................................................ 73 行 動 変 容 を 意 図 し た 発 話 と SE の 関 連 ...................................... 75. 第 1 節. 本 章 の 目 的 ........................................................................... 75. 第 2 節. 質 問 様 式 の 違 い が SE に 与 え る 影 響 ( 研 究 3) ...................... 76. 第 3 節. 会 話 に よ る オ ー プ ン・ク エ ス チ ョ ン が S E に 与 え る 影 響( 研 究 4 ). .......................................................................................................... 98 第 4 節 第 5 章. 本 章 の ま と め ...................................................................... 107 健 康 行 動 に 関 す る 実 施 し や す い 目 標 に つ い て の 検 討 .............. 108.
(3) 第 1 節. 本 章 の 目 的 ......................................................................... 108. 第 2 節. ウ ォ ー キ ン グ 目 標 の 内 容 と 目 標 達 成 度 の 関 連 ( 研 究 5) ..... 109. 第 6 章. 身体活動量の増強を意図した面接効果および面接の受け入れ易さ. ............................................................................................................ 126 第 1 節. 本 章 の 目 的 ......................................................................... 126. 第 2 節. 身体活動量の増強を意図した面接の効果および受け入れ易さ. ( 研 究 6) ........................................................................................ 126 第 3 節 第 7 章. 本 章 の ま と め ...................................................................... 139 総 合 論 議 ................................................................................ 141. 第 1 節. 本 研 究 の 概 要 お よ び 研 究 の 知 見 .......................................... 141. 第 2 節. 身 体 活 動 ・ 運 動 量 の 増 強 を 目 的 と し た 面 接 法 に 関 す る 提 案 143. 文 献 ..................................................................................................... 147.
(4) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 第 1章. 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 近 年 , わ が 国 で は 生 活 習 慣 病 ( l i fe -st yl e rel at ed di sea se ) の 罹 患 者 が 増 加 し , 2002 年 の 調 査 で は , 国 民 の 約 半 数 が , 生 活 習 慣 病 で あ る「 高 血 圧 症 」, 「 高 脂 血 症 」, 「 糖 尿 病 」の い ず れ か に 該 当 す る こ と が 明 ら か に さ れ て い る ( 厚 生 労 働 省 , 200 5 ). 生 活 習 慣 病 と は , 「 食 習 慣 ,運 動 習 慣 ,休 養 ,喫 煙 ,飲 酒 等 の 生 活 習 慣 が ,そ の 発 症 ・ 進 行 に 関 与 す る 疾 患 群 」 と 定 義 さ れ ( 厚 生 労 働 省 , 199 6 ), 不 活 動 や 栄 養 バ ラ ン ス の 悪 い 食 生 活 な ど が そ の 発 症 に 起 因 し て い る .わ が 国では, 「 1 に 運 動 ,2 に 食 事 ,し っ か り 禁 煙 ,最 後 に ク ス リ 」と い う ス ロ ー ガ ン の も と ,若 い 世 代 か ら 生 活 習 慣 病 予 防 の 活 動 が 始 め ら れ て い る .し か し な が ら ,図 1 -1 に 示 す よ う に ,若 年 お よ び 中 年 男 女 の 運 動 習 慣 保 持 者 の 割 合 は そ れ ぞ れ 20 % 前 後 に と ど ま っ て い る . ま た , 図 1 -2 に 示 し た 1 日 あ た り の 平 均 歩 数 の 年 次 推 移 を 見 る と , 20 歳 以 上 の 平 均 歩 数 は 男 女 と も 減 尐 傾 向 で あ る こ と が わ か る . こ の よ う な 不 活 動 傾 向 を 改 善 す る た め に ,身 体 活 動 お よ び 運 動 を 促 進 するための具体的な方略が求められている. 本 研 究 で は ,健 康 増 進 や 疾 病 予 防 を 目 指 し ,身 体 活 動 ・ 運 動 行 動 の促進を目的とした面接における, 「 オ ー プ ン ・ ク エ ス チ ョ ン 」,お よ び「 目 標 設 定 」の 効 果 に つ い て 検 討 を 行 う .オ ー プ ン ・ ク エ ス チ ョ ン と は ,面 接 対 象 者 の 考 え ,関 心 ,態 度 と い っ た ,全 般 的 な 気 持 ち を 広 く 知 る た め に 用 い る 質 問 様 式 で あ る が ( 小 林 , 2 004 ), 本 研 究 で は ,「 対 象 者 に 広 く 考 え さ せ る 」 質 問 様 式 の 意 味 も 定 義 に 加 え た .一 方 ,目 標 設 定 と は ,特 に 身 体 活 動 ・ 運 動 量 の 増 強 を 目 的 と し た そ れ ら の 「 内 容 」,「 頻 度 」,「 量 」 の 決 定 を 指 す . さ ら に , 目 標 設 定 に よ る 自 己 の 能 力 向 上 や ス キ ル 獲 得 も 目 的 と し て い る .従 来 ,健. 1.
(5) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 50.0%. 40.0%. 30.0%. 男性 女性 20.0%. 10.0%. 0.0% 20 - 29歳. 30 - 39歳. 図1-1. 40 - 49歳. 50 - 59歳. 60 - 69歳. わが国における運動習慣のある者の割合. (平成20年. 国民健康・栄養調査結果の概要より). 2. 70歳以上 ※運動習慣のある者とは,1回30分 以上の運動を週2日以上実施し,1 年以上継続している者.
(6) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. (歩). 8000. 7500. 7000 男性 女性 6500. 6000. 5500 2003年. 2004年 図1-2. 2005年. 2006年. 2007年. 2008年. わが国における1日あたりの平均歩数の年次推移. (平成20年. 国民健康・栄養調査結果の概要より). 3.
(7) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 康 行 動 の 促 進 を 目 的 と し た 種 々 の 面 接 法 で は ,効 果 が 認 め ら れ る 要 素 を 面 接 技 術 の 中 に 集 約 し ,そ れ ぞ れ の 技 術 を 意 図 的 に 用 い る こ と で 人 の 行 動 変 容 を 導 い て き た .そ の 理 由 と し て は ,指 導 型 の 面 接 で は 人 の 行 動 が 変 わ ら な い こ と が 経 験 的 に も ,ま た 科 学 的 に も 明 ら か に な っ て き た た め で あ る .目 標 設 定 に 関 し て も ,生 化 学 的 な 正 常 値 を 導 く レ ベ ル ,あ る い は 疾 病 の 発 症 予 防 が 可 能 な レ ベ ル の 目 標 を 対 象 者 に 処 方 す る 方 法 で は ,対 象 者 の 目 標 達 成 が 困 難 で あ る こ と が わ かっている. 一 方 で ,面 接 に お い て 無 計 画 に オ ー プ ン・ク エ ス チ ョ ン や 目 標 設 定 を 使 え ば よ い と い う わ け で は な い .す な わ ち ,ど の よ う な 対 象 者 に 用 い る こ と で ,ど の よ う な 反 応 が 返 っ て く る の か を 予 測 し た 上 で 利 用 す る タ イ ミ ン グ を 計 る 必 要 が あ る .し か し な が ら ,身 体 活 動 ・ 運 動 の 促 進 を 目 的 と し た 面 接 で は ,面 接 技 術 に 関 す る 詳 細 な 議 論 は 行 わ れ て お ら ず ,基 礎 的 な 資 料 が 極 め て 不 足 し て い る .し た が っ て , 現 在 の と こ ろ ,オ ー プ ン・ク エ ス チ ョ ン の 効 果 は 経 験 的 な 仮 説 に 基 づ い て 利 用 さ れ て い る に と ど ま っ て い る .ま た ,目 標 設 定 の 方 略 に つ い て も ,比 較 的 強 度 の 高 い 運 動 や ス ポ ー ツ の 領 域 で は 検 討 が 行 わ れ て い る も の の ,健 康 の 維 持 を 目 的 と し た 低・中 等 度 強 度 の 身 体 活 動においてはほとんど研究が行われていない. こ の よ う な 状 況 に お い て ,本 論 文 で は ,第 一 に ,面 接 に お け る オ ー プ ン ・ ク エ ス チ ョ ン 使 用 に よ り ,対 象 者 の セ ル フ ・ エ フ ィ カ シ ー ( S el f-Effi cac y: 以 後 S E と 略 記 ) が ど の よ う に 変 化 す る の か に つ い て 検 討 し た .更 に ,オ ー プ ン ・ ク エ ス チ ョ ン の 特 徴 を 明 確 に す る た め に ,ク ロ ー ズ ド ・ ク エ ス チ ョ ン 中 心 の 面 接 と の 比 較 ,な ら び に 非対面で会話によらないオープン・クエスチョンとの比較を行い,. 4.
(8) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 多 面 的 な 検 討 を 行 っ た .第 二 に ,目 標 設 定 に 関 し て ,ま ず 目 標 行 動 の 遂 行 者 が ,ど の よ う な 目 標 内 容 が 実 行 し や す い と 評 価 す る の か と い う 目 標 の 実 行 可 能 性 に つ い て 明 ら か に し た .さ ら に ,実 行 し や す い 目 標 と 目 標 の 遂 行 度 の 関 連 を 検 討 す る こ と に よ り ,対 象 者 中 心 の 目標設定法の効果を明らかにした. 身 体 活 動・運 動 行 動 の 促 進 の た め の ポ ピ ュ レ ー シ ョ ン ア プ ロ ー チ に 関 し て は ,こ れ ま で 多 く の 介 入 が 実 施 さ れ ,欧 米 に お い て エ ビ デ ン ス が 蓄 積 さ れ て き た .そ の 一 方 で ,個 別 ア プ ロ ー チ に 関 す る エ ビ デ ン ス は ,わ が 国 に お い て 不 足 し て い る .本 研 究 で 得 ら れ る 知 見 は , 面 接 時 間 の 尐 な い 医 療 現 場 で の 活 用 や 時 間 不 足( 忙 し さ )が 運 動 実 施の阻害要因となっている対象者への行動変容方略として有益な 資料となることが見込まれる.. 第 1 節. 生活習慣の改善に向けたわが国の取組み. 近 年 ,わ が 国 で は ,ラ イ フ ス タ イ ル の 変 化 や 価 値 観 の 多 様 化 と い っ た 大 き な 環 境 変 化 の 中 で ,身 体 活 動 ・ 運 動 量 が 減 尐 し て い る .そ の 結 果 ,癌 や 循 環 器 疾 患 を は じ め と し た 生 活 習 慣 病 罹 患 者 が 増 加 す る な ど ,疾 病 構 造 が 様 変 わ り し た .こ の よ う な 現 象 は ,中 高 年 者 の み に 影 響 を 与 え る の で は な く ,幼 尐 か ら 青 年 期 の 若 年 層 に 対 し て も 健 康 問 題 を も た ら し ,国 民 全 体 に 広 く 悪 影 響 を 与 え る 結 果 と な っ た . 例 え ば , 糖 尿 病 に 関 連 し た 人 口 に つ い て み る と , 2002 年 に お い て 糖 尿 病 の 可 能 性 を 有 し た 人 は 1620 万 人 と な り ,1997 年 か ら の 5 年 間 で 約 2 割 増 加 し て い る . 2004 年 度 に 厚 生 労 働 省 よ り 発 表 さ れ た 生活習慣病の医療費は,悪性新生物,虚血性心疾患,脳血管疾患, 糖 尿 病 , 高 血 圧 性 疾 患 を 合 わ せ て 10 .4 兆 円 に の ぼ り , 国 民 医 療 費. 5.
(9) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 総 額 で あ る 32.1 兆 円 の う ち , 約 3 割 を 占 め る ま で に 増 大 し て い る ( 中 島 , 200 6 ). そ の た め , 保 健 ・ 医 療 分 野 に お い て は , 国 民 皆 保 険 制 度 の 存 続 が 危 惧 さ れ る よ う に な っ て き て お り ,今 後 は ,予 防 に 特 化 し た 施 策 が 望 ま れ て い る ( 厚 生 労 働 省 , 2005 ). 保 険 制 度 の 危 機 に 対 し て ,当 時 の 政 府 は ,現 在 の 医 療 保 険 制 度 維 持 の た め ,「 医 療 制 度 改 革 大 綱 」 に お い て , 生 活 習 慣 病 に 重 点 を 絞 った施策を打ち出し,予防に特化した取り組みの実施を決定した ( 政 府 ・ 与 党 医 療 改 革 協 議 会 , 2005 ). ま た 厚 生 労 働 省 は , 2008 年 4 月 よ り , 生 活 習 慣 病 予 防 対 策 の 推 進 を 目 的 と し て ,「 メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム ( 内 臓 脂 肪 型 肥 満 )」 の 概 念 を 導 入 し , リ ス ク 要 因 に よ っ て 階 層 化 し た 対 象 者 に 対 す る 保 健 指 導 義 務 化 を 決 定 し た( 厚 生 労 働 省 ,2007 ).予 防 へ 向 け た 政 策 転 換 は ,保 健 指 導 を 行 う 医 師 , 保 健 師 , 管 理 栄 養 士 に 対 し て ,「 対 象 者 の 生 活 を 基 盤 と し , 対 象 者 が 自 ら の 生 活 習 慣 に お け る 課 題 に 気 づ き ,健 康 的 な 行 動 変 容 の 方 向 性 を 自 ら が 導 き 出 せ る よ う に 支 援 す る こ と 」( 厚 生 労 働 省 , 2007 ) を 求 め ,単 に 知 識 伝 達 型 で は な い 行 動 変 容 に 関 す る 働 き か け に よ り 活動量を増加させることが必要となった. 一 方 で ,国 は 2000 年 に「 21 世 紀 に お け る 国 民 健 康 づ く り 運 動( 健 康 日 本 21 )」 を 策 定 し , 広 く 国 民 に 対 し て , 国 民 の 主 体 的 で , 意 欲 的 な 健 康 づ く り を 促 す ガ イ ド ラ イ ン を 示 し た .例 え ば ,成 人 に お け る 身 体 活 動 ・ 運 動 の 目 標 と し て は , 1) 身 体 活 動 ・ 運 動 に 対 す る 意 識 の 向 上 , 2 ) 日 常 生 活 に お け る 歩 数 の 増 加 , な ら び に 3) 運 動 習 慣 者 の 増 加 な ど が 挙 げ ら れ る ( 健 康 日 本 21 推 進 全 国 連 絡 協 議 会 , 2 0 0 1). 他 方 , 肥 満 率 の 増 加 が 社 会 問 題 と な っ て い る 米 国 ( C e nt er for. 6.
(10) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. Di s eas e C ont rol and P revent i on: 以 後 C D C と 略 記 , 2005 )で は ,国 立 衛 生 研 究 所( Nat i onal Inst i t ut es of Hea lt h )が 長 期 に わ た る 健 康 的 生 活 の 実 現 に 向 け ,「 行 動 変 容 を 用 い た 疾 病 予 防 に 向 け た 新 し い 取 り 組 み ( 1997 )」 を 発 表 し た . さ ら に , 環 境 整 備 を は じ め と し た 取 り 組 み に よ っ て 国 民 の 健 康 改 善 を 図 る た め ,H eal t h y P eop l e 2000 の 策 定 を 行 い , 複 数 の 健 康 行 動 の 促 進 が 期 待 さ れ て い る ( Uni t ed St at es Depart m ent of Heal t h and Hum an S ervi ces;以 後 HHS と 略 記 ,1990 ). 例 え ば , 身 体 活 動 に 関 連 し て ,「 軽 度 か ら 中 強 度 の 身 体 活 動 を 1 日 合 計 し て 30 分 以 上 , 週 の う ち ほ と ん ど 行 う 」 と い う 目 標 を 示 し て い る . 1995 年 に は , C DC と ア メ リ カ ス ポ ー ツ 医 学 会 ( Am eri c an C ol l ege of S port s Medi ci ne )が 共 同 で ガ イ ド ラ イ ン を 発 表 し て お り , そ の 中 で も 「 中 強 度 の 身 体 活 動 を 1 日 合 計 30 分 以 上 , 週 の う ち ほ と ん ど 行 う 」 と い う 身 体 活 動 量 を 示 し て い る ( R ussel l , 1998 ). こ れ ら の こ と か ら も ,わ が 国 に 限 ら ず ,先 進 諸 外 国 に お い て は ,座 位 中心生活や偏った食生活などからもたらされる疾病への対策が優 先課題となっていることがわかる. 以 上 よ り ,単 に 強 度 の 高 い 運 動 を 推 奨 す る の で は な く ,国 を あ げ て日常生活における活動量を増加させる方向へとシフトしている ことがわかる.. 第 2 節. 不活動が引き起こす健康問題と対策. メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム は ,内 臓 脂 肪 型 肥 満 と 高 血 糖 ,血 中 脂 質 異 常 ,な ら び に 高 血 圧 な ど を 合 併 し た 状 態( 内 臓 脂 肪 と そ の 他 2 つ の 該 当 に よ り メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム と 判 定 )で あ る が ,こ の 状 態 は ,身 体 活 動・運 動 量 の 不 足 や 過 食 と い っ た 生 活 習 慣 に 原 因 が. 7.
(11) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. あ る と 指 摘 さ れ て い る .ま た ,メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム お よ び そ の 他 の リ ス ク 要 因 の 存 在 は ,心 筋 梗 塞 や 脳 卒 中 と い っ た 循 環 器 疾 患 発 症 の 可 能 性 を 高 め る こ と が わ か っ て い る .例 え ば ,身 体 活 動 量 の 違いによって生活習慣病の相対危険度を検証した研究によれば, 「 週 に 2000kcal 未 満 の 身 体 活 動 量 ( 曝 露 群 )」 と 「 週 に 2000kcal 以 上 の 身 体 活 動 量 ( 非 曝 露 群 )」 を 比 較 し た 冠 動 脈 疾 患 の 相 対 危 険 度 は 1 . 31( P affenb arger et al ., 1984 ),高 血 圧 症 の 相 対 危 険 度 は 1.30 ( P aff enbarger et al ., 1983 )で あ っ た .ま た ,糖 尿 病 に 関 し て は , 「週 1 回 未 満 の 運 動 ( 曝 露 群 )」 と 「 週 1 回 以 上 の 運 動 ( 非 曝 露 群 )」 の 比 較 に お い て 相 対 危 険 度 は 1.43 で あ っ た( M anson et al ., 1992 ).以 上 の 結 果 か ら ,身 体 活 動 量 が 尐 な い こ と が 循 環 器 疾 患 の 発 症 を 高 め ることが明らかになっている. 身 体 活 動 量 が 尐 な い こ と ,あ る い は 不 活 動 で あ る こ と は ,心 理 的 な 弊 害 も も た ら す . Gal pe r et al . ( 20 06 ) は , 合 計 6000 名 強 の 男 女 に 横 断 的 調 査 を 実 施 し ,身 体 活 動 量 と 抑 う つ ,お よ び 一 般 的 健 康 行 動 の 関 連 を 検 討 し た .そ の 結 果 ,過 去 3 ヵ 月 に お い て ,身 体 活 動 量 が 多 い ほ ど 抑 う つ 得 点 が 低 く ,一 般 的 健 康 度 が 高 い こ と が 明 ら か に な っ た . ま た , Go odwi n ( 2003) は , 無 作 為 抽 出 し た 約 6000 名 の 男 女 ( 15 -64 歳 ) の 定 期 的 な 身 体 活 動 と 精 神 神 経 疾 患 の 関 連 性 を 調 査 し た 結 果 ,定 期 的 な 身 体 活 動 を 実 践 し て い る 人 は ,精 神 神 経 疾 患 ( 大 う つ 病 ,パ ニ ッ ク 発 作 ,不 安 神 経 症 ,社 会 恐 怖 )を 有 す る リ ス ク が 低 い こ と を 示 し た .こ れ ら の 大 規 模 調 査 は 横 断 的 研 究 で あ る が , Brown et al . ( 2005 ) に よ る 縦 断 的 研 究 に お い て も , 身 体 活 動 と 抑 う つ の 関 連 が 示 さ れ た . こ の 研 究 で は , 9207 名 の 中 年 女 性 に 対 し て身体活動得点と 5 年後の抑うつおよびメンタルヘルスの関連を. 8.
(12) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 調 査 し ,米 国 の 推 奨 ガ イ ド ラ イ ン( 中 等 度 以 上 の 身 体 活 動 を 週 あ た り 1 5 0 分 以 上 )よ り 低 い 身 体 活 動 量 で あ っ て も ,抑 う つ の 発 症 予 防 や メ ン タ ル ヘ ル ス の 維 持 が 可 能 で あ る こ と が 示 さ れ た .以 上 の よ う に ,複 数 の 調 査 結 果 か ら ,身 体 的 に 不 活 動 で あ る 人 の 方 が ,相 対 的 に 抑 う つ 傾 向 に あ り ,精 神 的 な 健 康 度 が 低 い こ と が 明 ら か に な っ て いる. 以 上 よ り ,不 活 動 と 心 身 の 健 康 問 題 の 関 連 性 が 強 く 示 さ れ ,わ が 国 で は , 社 会 的 な 健 康 問 題 解 決 の た め に , 健 康 日 本 21 と い う ガ イ ド ラ イ ン お よ び 健 康 行 動 に 関 す る 目 標 値 が 示 さ れ て い る .ガ イ ド ラ イ ン で は ,国 民 の 主 体 的 な 健 康 行 動 の 実 践 が 求 め ら れ て い た が ,健 康 日 本 21 の 中 間 評 価 に お い て , そ れ ぞ れ の 目 標 に 対 す る 実 績 値 が 参 考 値( ベ ー ス ラ イ ン 値 )よ り も 減 尐 し て お り ,目 標 達 成 に 及 ば な い ば か り か ,不 活 動 が 進 行 し た 可 能 性 も 否 定 で き な い 状 況 と な っ て い る .こ の 結 果 を み て も わ か る よ う に ,目 標 値 の 設 定 や 目 標 値 の 達 成 に 向 け た 活 動 内 容 の 提 示 と い っ た 知 識 提 供・指 示 型 の 取 り 組 み で は ,国 民 の 生 活 習 慣 の 改 善 に 対 し て は 十 分 と は 言 え な い .そ の た め , 人 の 改 善 意 欲 を 引 き 出 し ,自 律 的 な 行 動 変 容 に 導 く よ う な 行 動 変 容 技法を用いた取り組みが必要である. 以 下 ,第 3 節 に お い て は ,身 体 活 動・運 動 を 促 進 す る 介 入 の う ち , 面 接 を 用 い た 個 別 介 入 に つ い て 概 観 し ,臨 床 現 場 の 医 療 者 が 習 得 し や す い 面 接 を 選 定 す る .つ づ く 第 4 節 で は ,個 別 介 入 の 面 接 要 素 の 1 つ で あ る 目 標 設 定 法 に つ い て 述 べ ,身 体 活 動 量 の 増 強 を 目 的 に し た面接における,効果的な目標設定の方法について概観する.. 9.
(13) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 第 3 節. 身体活動・運動量の増加を意図した面接介入. 近 年 の ヘ ル ス プ ロ モ ー シ ョ ン に お い て は ,健 康 行 動 の 獲 得 に 向 け た 知 識 を 提 供 す る 教 育 的 介 入 以 上 の 取 り 組 み が 求 め ら れ て い る .す な わ ち ,個 人 に 対 し て 情 報 提 供 に よ っ て 知 識 や 態 度 を 変 え る だ け で は な く ,集 団 や 社 会 単 位 の 取 り 組 み と い っ た 複 数 の 介 入 を 備 え る こ とにより,ヘルスプロモーションが達成されるというものである. M c Lero y et al . ( 19 88 ) は , 健 康 関 連 行 動 に 対 す る 介 入 を , 生 態 学 的 観 点 か ら ま と め ,表 1 -1 の よ う に ,階 層 ご と に 整 理 し た .彼 ら は , 階 層 を 1 )個 人 内 レ ベ ル ,2 )対 人 レ ベ ル ,お よ び 3 )社 会 集 団 レ ベ ル ,に 分 け ,社 会 集 団 レ ベ ル を さ ら に ① 組 織 的 要 因 ,② 社 会 集 団 要 因 ,な ら び に ③ 公 共 政 策 ,と い う 3 種 類 の 要 因 に よ り 説 明 し て い る . 個 人 内 レ ベ ル の 視 点 と は ,行 動 に 影 響 を 与 え る 個 人 の 特 徴 に 注 目 し た も の で あ り ,ト ラ ン ス セ オ レ テ ィ カ ル・モ デ ル や 健 康 信 念 モ デ ルが該当する.個人内レベルの介入は,個人に直接的に働きかけ, 態度や考え方を変えることにより行動変容を引き出す内容によっ て 作 ら れ る .対 人 レ ベ ル の 視 点 は ,個 人 間 の 相 互 作 用 に お い て 生 じ る 作 用 に 焦 点 を 当 て て い る .こ の レ ベ ル の 理 論 で は ,主 に 社 会 的 認 知 理 論 が 該 当 し ,他 者 の 行 動 を 通 し て 対 象 者 の 考 え や 行 動 に 働 き か け る 仕 組 み と な っ て い る .最 後 に ,社 会 集 団 レ ベ ル の 視 点 と し て は , 組 織 に お け る ル ー ル ,あ る い は 法 的 な 決 ま り が 挙 げ ら れ る .こ の レ ベ ル で の 介 入 は ,外 的 な 強 制 力 を 発 動 さ せ て 行 動 を 変 え る よ う な 内 容 を 指 し ,例 え ば ,通 勤 に 自 動 車 を 使 っ て は い け な い ,エ レ ベ ー タ は使ってはいけない等の規則によって行動を規定する. こ の よ う に ,行 動 変 容 理 論 を 用 い た 介 入 で は ,単 一 の レ ベ ル の 介 入 だ け を 選 択 す る の で は な く ,マ ル チ レ ベ ル の 介 入 が 推 奨 さ れ て い. 10.
(14) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 表1-1 生態学的視点:各レベルごとの影響性 (McLeroy et al.(1988)を参考に著者が邦訳) コンセプト. 定義. 個人内レベル (Intrapersonal Level). 行動に影響を与える個人的特徴(知識,態度,考え,パーソナリ ティ). 対人レベル (Interpersonal Level). 社会的なアイデンティティ,社会的支援,社会的役割を付与するよう な家族,友人,仲間といった個人間の一連のつながり,および第一 次集団. 社会集団レベル (Community Level) 組織的要因 (Institutional Factors). 推奨されている行動を強制,あるいは促進するルール,規則,政 策,非公式な組織. 社会集団要因 (Community Factors). 個,集団,組織において公式・非公式なものとして存在する社会的 ネットワーク,規範,あるいは基準. 公共政策 (Public Policy). 疾病予防,早期発見,疾病管理のための健康的な行動や実践を管 理,あるいは支援する地域,州,国家の政策や法律. 11.
(15) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. る .様 々 な 場 面 ,お よ び 対 象 に 適 し た 介 入 を 組 み 合 わ せ て 活 用 す る こ と が 推 奨 さ れ て お り ,こ れ に よ り ,さ ら に 大 き な 成 果 を 導 く こ と ができると考えられている. 本 研 究 で は ,マ ル チ レ ベ ル の 介 入 の 中 か ら ,個 人 内 レ ベ ル の 介 入 に 当 た る 個 別 介 入 に 焦 点 を 当 て ,身 体 活 動・運 動 の 促 進 を 意 図 し た 面 接 方 略 の 特 徴 を 検 討 す る .面 接 方 略 は 主 に 医 療 現 場 や 地 域 保 健 の 現 場 な ど に お い て ,疾 病 予 防 介 入 と し て 利 用 さ れ て い る が ,面 接 内 容 が 定 式 化 さ れ ,他 の 面 接 介 入 と の 比 較 検 討 に 耐 え う る 方 略 は 限 ら れ て い る .し た が っ て ,面 接 内 容 に 関 す る 原 則 が 決 め ら れ て い る 面 接 を 検 討 の 対 象 と し て 採 用 す る .例 え ば ,医 療 現 場 に お い て 身 体 活 動 量 を 増 強 す る 面 接 と し て は , P h ysi cal Act i vi t y C ounsel i ng ( 以 後 , PA カ ウ ン セ リ ン グ と 略 記 ) と 名 づ け ら れ た 面 接 法 が 多 く 活 用 さ れ て い る . し か し , E den et al .( 2002 ) の レ ビ ュ ー に よ れ ば , PA カ ウ ン セ リ ン グ の 面 接 効 果 が 示 さ れ た 一 方 で ,そ の プ ロ ト コ ル に 一 貫 性 がなく,介入効果を評価できないことが明らかになっている. こ れ に 対 し ,介 入 内 容 が 原 則 的 に 決 め ら れ て い る 面 接 と し て ,主 に 次 の 3 つ の 面 接 方 略 が 挙 げ ら れ る . そ れ ら は , 1 ) Mot i vat i onal Int ervi e wi ng( 動 機 づ け 面 接:以 後 ,M I と 略 記 ),2 )Bri e f Moti vat i onal Int ervi e wi ng ( 短 期 動 機 づ け 面 接 : 以 後 , B -M I と 略 記 ), お よ び 3) 5 A ア プ ロ ー チ ( 以 後 , 5A と 略 記 ), で あ る . 以 下 , そ れ ぞ れ の 面 接の内容を紹介する. 1. MI M I は , 当 初 ア ル コ ー ル 依 存 症 の 治 療 法 と し て R ol l ni ck & Mi l l er ( 1 9 9 5)に よ っ て ま と め ら れ た 面 接 技 法 で あ り ,近 年 で は 運 動 習 慣 の 改 善 , 禁 煙 , 治 療 管 理 行 動 の 遂 行 , な ら び に H IV の 予 防 行 動 等. 12.
(16) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. に も 適 用 さ れ て い る ( Het t em a et al ., 2005 ). M I に お い て は , 面 接 者 が ,オ ー プ ン・ク エ ス チ ョ ン( Op en -e nded quest i on ),肯 定( Affi rm ), 聞 き 返 し( R efl ect i on ),要 約( S um m ar iz e )な ど の 会 話 技 術 を 用 い , 対 象 者 の「 変 化 に 向 け た 意 欲 」に 関 連 し た 言 葉( チ ェ ン ジ・ト ー ク ) を 引 き 出 し ,行 動 変 容 に 対 す る 意 志 を 強 化 さ せ る こ と に よ っ て 動 機 づ け を 行 う . チ ェ ン ジ ・ ト ー ク と は ,「 現 状 を 維 持 す る こ と に よ る 不 利 益 」, 「 変 化 を 起 こ す こ と の 利 点 」, 「 変 わ る こ と へ の 意 志 」, 「変 わ る こ と へ の 楽 観 性 」を 表 す 言 葉 で あ り ,こ れ ら を 強 く 表 出 す る こ と が 行 動 変 容 に 繋 が る ( Mi l l er & R oll ni ck, 松 島 ・ 後 藤 訳 , 2007 ). MI が 健 康 行 動 に 関 す る 行 動 変 容 を 導 く 仮 説 で は , チ ェ ン ジ ・ ト ー ク 数 が 多 い ほ ど ,あ る い は チ ェ ン ジ・ト ー ク の 強 度 が 高 い ほ ど 行 動 的 ア ウ ト カ ム( 飲 酒 回 数 ,喫 煙 回 数 ,エ ネ ル ギ ー 消 費 量 等 )が 改 善 す る こ と が 指 摘 さ れ て い る( Mi l l er & R ose, 2009 ).こ の 仮 説 は ,自 己 知 覚 理 論 ( Bem , 1967 ) や 認 知 的 不 協 和 理 論 ( Fest i n ge r, 1957 ) を 用 い る こ と で 理 解 す る こ と が で き る . MI の 対 象 者 は , ま ず , 面 接 の 中 で の 自 己 の 発 話 を 通 し て ,自 分 自 身 の 健 康 行 動 に 関 す る 考 え や 行 動 を メ タ 認 知 的 に 認 識 す る .こ こ で ,現 在 の 考 え や 行 動 と 理 想 的 な 行 動 実 践 の 乖 離 を 認 識 す る こ と で ,対 象 者 は 理 想 と 現 実 の 乖 離 を 解消するため自分の考え方および行動の変化を起こすと考えられ ている. MI の 効 果 に 関 す る 複 数 の レ ビ ュ ー に よ れ ば , 様 々 な 健 康 行 動 の 中 で も ,特 に 運 動 行 動 の 変 容 に お い て 長 期 に わ た る 効 果 が 示 さ れ て い る ( Het t em a et al ., 2005; Dunn et al ., 2001; R ubak, 2005; Mart ins & M cNei l , 2009; Lund ahl et al ., 2010 ). す な わ ち , M I は ア ル コ ー ル 依 存 症 の 治 療 を 目 的 に 開 発 さ れ た が ,身 体 活 動・運 動 の 促 進 に 対 し て. 13.
(17) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 非常に有効な介入法である. 心 身 と も に 健 康 な 若 者 や 成 人 に MI が 適 用 さ れ た 例 は そ れ 程 多 く は な い .し か し ,タ ー ゲ ッ ト 行 動 を 身 体 活 動 や 運 動 に 設 定 し て 介 入 した事例では成功例がいくつか報告されており,事例の概要を表 1 -2 に ま と め た . 例 え ば , S m it h et al . ( 1997) は , Ⅱ 型 糖 尿 病 を 有 す る 中 高 年 女 性 を 対 象 に , 運 動 の 実 施 と 食 事 管 理 を 目 的 と し た MI を 実 施 し た . そ の 結 果 , 従 来 の 体 重 管 理 プ ロ グ ラ ム ( 全 16 回 の セ ッ シ ョ ン ) と 比 べ , MI を 受 け た 者 の 運 動 日 数 や 血 糖 値 の 記 録 回 数 な ど の 行 動 が 有 意 に 増 加 し ,そ の 結 果 ,疾 病 管 理 行 動 が 改 善 す る こ と が 示 さ れ た .ま た ,Bennet t et al .( 2007 )は ,が ん 患 者 に 対 し て , 化 学 療 法 の 副 作 用 で あ る 倦 怠 感 を 軽 減 す る こ と を 目 的 と し て ,身 体 活 動 量 を 増 加 さ せ る 介 入 を 行 っ た . こ の 研 究 で は , 18 歳 以 上 の 癌 治 療 中 の 患 者 を 対 象 に MI が 適 用 さ れ , MI を 受 け た 者 の う ち , ベ ー ス ラ イ ン 期 に お い て 定 期 的 な 身 体 活 動 に 対 す る SE が 高 い 者 が 身 体活動量を増加させる傾向にあることを明らかにした. し か し な が ら , MI が 健 康 行 動 の 行 動 変 容 を 導 く メ カ ニ ズ ム に は 不 明 な 点 が 残 さ れ て い る( Apoda ca & Lon gabau gh, 2009 ).先 行 研 究 に お い て , MI が 心 理 的 変 数 に 与 え る 影 響 や , 心 理 的 変 数 が 行 動 的 アウトカムを変容させるメカニズムについてはほとんど検討され て い な い .例 え ば ,M I に よ っ て 身 体 活 動 量 の 増 加 が 認 め ら れ て も , 対 象 者 の 心 理 的 な 変 化 は 測 定 さ れ て お ら ず ,身 体 活 動 量 の 増 加 を 導 いた要因の検討が不十分である. さ ら に , MI の 実 施 に つ い て も い く つ か の 問 題 が あ る . 1 つ は 面 接 技 術 の 習 得 に 関 す る 問 題 で あ る . MI の 面 接 技 術 は 容 易 に 習 得 で き る も の で は な く ,専 門 の ト レ ー ナ ー に よ る 訓 練 を 必 要 と す る .ま. 14.
(18) 15. a,c,d. ・プログラム参加回数 ・食事記録表記入回数 ・血糖値記録数 ・運動記録日数 ・摂取カロリー記録日数 ・体重減尐量. ・MI 群は,Standard 群に比べて,すべての項目において良好な 結果(プログラム参加回数多い,食事記録表記入回数多い,血 糖値記録回数多い,運動記録日数多い,摂取カロリー記録日数 多い:すべて有意差あり)を示した。体重減尐量は,MI 群が多 い傾向であった。. ・Standard 群:食事管理,身体活動,血糖コント ロールに関する教育 ・Standard + MI 群:食事管理,身体活動,血糖コ ントロールに関する教育 + MI. ・16-week group behavioral weight-control program (Standard) 群 ・16-week group behavioral weight-control program + MI 群. Brodie DA, Inoue A (2005)a , b. 中高年女性 Ⅱ型糖尿病 患者 16名. ・3群の介入後において,歩行距離が有意に増加(群間差なし) ・MI + SC群およびMI群の介入後において,エネルギー消費量 が有意に増加(群間差なし). ・エネルギー消費量 ・余暇身体活動量 ・座位時間 ・歩行時間 ・歩行距離 ・階段利用時間. ・MI + SC群:心疾患専門看護師による通常ケア (アドバイス) + 研究者によるMI ・MI群:研究者によるMI ・SC群:心疾患専門看護師による通常ケア(アド バイス). ・MI + Standard Care (SC)群 ・MI 群 ・SC 群. 高齢心不全 患者 60名. Smith DE, Kratt PP, Heckemeyer CM, et al. (1997). ・MI群は介入後において,中性脂肪,LDLおよびHDLコレステ ロールが有意に減尐(群間差はなし). ・中性脂肪 ・LDLコレステロール ・HDLコレステロール ・最大酸素摂取量. ・MI群:米国心臓協会の冊子 + MI ・Cont群:米国心臓協会の冊子 + 冊子内容に関 する電話面接. ・MI 群 ・Control 群. 一般中年者 24名. ・Cont群と比較してNC群の疾患特異的QOLが介入後有意に減 尐 ・対象者を75歳以下に限定した場合,社会的活動制限,健康的 悩み・苦悩,疾患特異的QOLにおいて,NC群はCont群よりも有 意に減尐. 成果(有意差が認められた項目). ・NC群:MIをベースとしたコーチング ・Cont群:非介入. 測定指標 (運動・身体活動関連) ・主観的健康観 ・活気 ・社会的活動制限 ・疾患特異的QOL ・健康的悩み・苦悩 ・日常生活困難度. 介入の内容. Kreman R, Yates BC, Agrawal S et al. (2006)b. ・Nurse coaching (NC)群 ・Control 群. 群構成. 有疾患者 111名. 対象者. Bennett JA, Perrin NA, Hanson G et al. (2005)a. 著者. 表1-2 身体活動および運動をターゲット行動にしたMotivational Interviewing に関する研究 (Lundahl, 2010; Martin, 2009; Burke, 2003; Dunn, 2001のレビュー論文をもとに著者が再構成). 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向.
(19) 16. 消防士 599名. Elliot DL, Goldberg L, Kuehl KS, et al. (2007) a , b. 冠動脈疾患リ スク保有成人 218名. Hardcastle S, Taylor A, Bailey M, et al. (2008) b. 肥満,座位生 活成人 55名. 肥満成人 141名. Greaves CJ, Middlebrooke A, O'Loughlin L, et al. (2008) b. Carels RA, Darby L, Cacciapaglia HM, et al. (2007) b. 対象者. 著者. ・2つの群において,介入前から介入後にかけて,体重が有意に 減尐 ・2つの群の減量目標未達成者のうち,MIを受けた者と受けてい ない者の体重減尐量を比較すると,MIを受けた者の方が有意 に減尐. ・MI群は,介入1年後にフルーツ,野菜消費量,ならびにSit-ups 回数が有意に増加 ・Team-centered curriculum群も,介入1年後にフルーツ,野菜 消費量,ならびにSit-ups回数が有意に増加. ・フルーツ,野菜摂取量 (serving) ・脂質からの摂取カロリー ・食事管理の理解 ・食事に関するソーシャル サポート ・最大酸素摂取量 ・Sit-ups回数(1分あたり) ・健康的な身体活動実施 ・身体活動に関するソー シャルサポート ・体重 ・BMI ・Well-being. ・Team-centered curriculum 群:訓練を受けた チームリーダーを中心とした個別目標設定と励ま し ・MI 群:MI ・Control 群:ベースライン時の測定結果配布. ・Team-centered curriculum 群 ・MI 群 ・Control 群. ・Cont群と比較して,Int群のBMI,体重,拡張期血圧が有意に 減尐 ・Cont群と比較して,Int群の合計身体活動量,歩行活動量が有 意に増加. ・血圧(収縮期/拡張期) ・BMI ・体重 ・総コレステロール ・中性脂肪 ・HDLコレステロール ・LDLコレステロール ・身体活動(強度,中等 度,歩行,合計). ・体重 ・最大酸素摂取量. ・Int群はCont群と比較して,5%減量の目標達成率が有意に高 い ・Int群はCont群と比較して,6カ月後の平均体重が有意に低い. 成果(有意差が認められた項目). ・5%の減量達成度 ・週に150分の身体活動 ・体重 ・腹囲. 測定指標 (運動・身体活動関連). ・BWLP 群:身体活動,食事に関するグループ セッション ・BWLP + MI 群:身体活動,食事に関するグ ループセッション + MIをベースとした個別面接. ・Int 群:MIをベースとした面接 ・Cont 群:非介入. ・Int 群:MIをベースとした面接 ・Cont 群:身体活動と栄養管理に関する情報提 供. 介入の内容. ・Behavioral Weight Loss Program 群 ・Behavioral Weight Loss Program + MI 群. ・Intervention (MI) 群 ・Control 群. ・Intervention (MI) 群 ・Control 群. 群構成. 表1-2 続き. 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向.
(20) 17. がん患者 72名. 中年女性 46名. 大学職員 239名. Bennett JA, Lyons KS, Winter-Stone K, et al. (2007) b. Perry CK, Rosenfeld AG, Bennett JA, et al. (2007) b. Butterworth S, Linden A, McClay W, et al. (2006) b. b. Lundahl, 2010 Martin, 2009 c Burke, 2003 d Dunn, 2001 MI = Motivational Interviewing Cont = Control. a. 対象者. 著者. ・MI ベースのヘルスコー チング群 ・Control 群. ・Heart to Heart (HTH) + MI 群 ・Control 群. ・MI 群 ・Control 群. 群構成. ・MI ベースのヘルスコーチング群:MI を元にし たヘルスコーチング ・Control 群:非介入. ・HTH + MI 群:グループセッション+ MI ・Cont 群:運動に関する情報提供 + アドバイス. ・MI 群:MI + 歩数計提供 ・Cont 群:非介入(歩数計なし). 介入の内容. 表1-2 続き. 成果(有意差が認められた項目). ・MI 群は,Cont 群に比して,セルフ・エフィカシーが有意に増加 ・身体活動量に関して,有意な群間差なし. ・HTH + MI 群は,Cont 群に比して,歩行距離およびソーシャル サポートが有意に増加した. ・MI ヘルスコーチング群においてMCSの有意な改善あり. 測定指標 (運動・身体活動関連). ・身体活動量 ・体力 ・SF-36 ・倦怠感 ・定期的な身体活動実施 に対するセルフ・エフィカ シー. ・心肺機能 ・運動に対するセルフ・エ フィカシー ・運動に関するソーシャル サポート ・BMI. ・Short Form 12 (Mental composite score : MCS & Physical composite score : PCS). 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向.
(21) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. た , MI 習 得 後 に 時 間 が 経 過 す る に つ れ て MI が 忠 実 に 行 わ れ な く な る こ と も 指 摘 さ れ て お り( S cho ene r, 2005 ),面 接 技 術 の 維 持 に 関 する定期的な支援が必要となる.これに対して,わが国における MI 専 門 ト レ ー ナ ー の 数 は 極 め て 尐 な く , 現 実 的 に MI の 技 術 を コ メ デ ィ カ ル・ス タ ッ フ に 対 し て 普 及 さ せ ,実 用 的 な 方 法 と し て 定 着 させるためには,マンパワーの問題を解決しなくてはいけない.2 つ 目 は , 面 接 時 間 に 関 す る 問 題 で あ る . MI の 面 接 時 間 は 1 名 あ た り 約 60 分 程 度 必 要 で あ る . し た が っ て , 診 療 時 間 が 短 い こ と が 問 題 と な っ て い る 医 療 機 関 に お い て ,十 分 な M I を 実 施 す る こ と は 難 し く , MI の 内 容 を 簡 略 化 す る な ど の 工 夫 が 求 め ら れ る . 2 . B -M I B-M I は , R ol l ni ck et al . ( 1992 ) が M I の 精 神 と 実 践 を 簡 略 化 し た 形 式 で ま と め た 面 接 で あ る . B-M I は , 診 察 時 間 の 尐 な い プ ラ イ マ リ ケ ア に お い て ,M I の 考 え 方 を 適 用 す る こ と を 目 的 と し て お り , 1 度 の 面 接 介 入 に 対 応 さ せ る よ う に 開 発 さ れ た . B -M I は ,“ 方 略 リ ス ト ( m enu of st ra t eg y)” と 呼 ば れ る 8 つ の ス テ ッ プ を 対 象 者 に 合 わ せ て 使 用 す る こ と に よ り , MI に 用 い ら れ る 熟 練 し た 技 術 を 身 に つけていない医療者でも利用できるようなプロトコルとなってい る .表 1 -3 に は ,薬 物 依 存 を 対 象 と し た 場 合 の 8 つ の ス テ ッ プ を 記 載 し た . 以 下 , 表 1-3 に 沿 っ て , そ れ ぞ れ の 項 目 を 説 明 す る . 「 1 .導 入 方 略:生 活 ス タ イ ル( Openi ng St rat e g y: l i fest yl e,st resses and s ubst ance abuse )」と は ,対 象 者 に お け る 最 近 の 生 活 習 慣 お よ び 薬 物 依 存 を 引 き 起 こ す よ う な 関 連 事 項( 例 え ば ス ト レ ス )に つ い て , オ ー プ ン ・ ク エ ス チ ョ ン を 用 い て 尋 ね る こ と で あ る . 例 え ば ,「 ど う い う と こ ろ で 薬 物 を 使 う の で す か ? 」な ど の 質 問 の 回 答 か ら ,薬. 18.
(22) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 表1-3 Brief Motivational Interviewing の質問項目 (Rollnick et al., 1992 を参考に,著者が邦訳) 方略リスト (The menu of strategies) 1. 導入方略:生活スタイル(Opening Strategy: lifestyle, stresses and substance use) 2. 導入方略:健康(Opening Strategy: health and sustance use) 3. 典型的な1日(A typical day/session) 4. 良い点・悪い点(The good things and the less good things) 5. 情報提供(Providing information) 6. 将来と現在(The future and the present) 7. 心配事の探索(Exploring concerns) 8. 意思決定の支援(Helping with decision-making). 19.
(23) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 物がどのような文脈で使用されているのかを理解する. 「 2.導 入 方 略 : 健 康 ( Openi ng St rat e g y: he al t h and subst ance abuse )」 と は , 薬 物依存がどのような健康障害を引き起こすのかについて尋ねるこ とである. 「薬物を使うとあなたの体にどんな影響がありますか?」 な ど の 質 問 か ら ,対 象 者 の 健 康 問 題 に 関 す る 考 え を 確 認 で き る . 「 3. 典 型 的 な 1 日 ( A t yp i cal da y/ sessi on )」 で は , 対 象 者 に お け る 最 近 の行動について詳細に尋ねる.また,一般的な会話をすることで, 面 接 者 と 対 象 者 の 関 係 性 の 構 築 を 行 う .「 4 . 良 い 点 ・ 悪 い 点 ( The good t hi ngs and t he l ess good t hi ngs )」 と は , 対 象 者 に 罪 の 意 識 を も た せ ず に ,タ ー ゲ ッ ト 行 動 に 関 す る 対 象 者 の 気 持 ち を 引 出 す こ と で あ る . 例 え ば ,「 薬 物 を 使 う こ と の 良 い 点 は 何 で す か 」, あ る い は , 「 悪 い 点 は 何 で す か ? 」と 質 問 す る こ と で ,対 象 者 の 考 え を 引 き 出 すとともに,何が問題であるのかを気づかせることが目的である. 「 5 . 情 報 提 供 ( P rovi di ng i nform at i on )」 は , 対 象 者 の 薬 物 使 用 の 制 止 を 促 進 す る た め に ,適 切 な 助 言 を 行 う こ と で あ る .し か し ,助 言 は 対 象 者 個 人 に 合 っ た 内 容 で は な く ,一 般 的 な 内 容 に と ど め ,助 言 に よ り 対 象 者 の 行 動 が 強 制 さ れ て は な ら な い .「 6 . 将 来 と 現 在 ( The fut ure and t h e present )」 は , 現 状 と 将 来 を 意 識 さ せ る こ と に よ っ て ,現 在 の 自 分 の 言 動 と 将 来 の 自 分 の 姿 の 間 に 矛 盾 を 生 じ さ せ る よ う に す る こ と で あ る .例 え ば ,ま ず「 ど う や っ て 将 来 を 変 え て いくのか」について尋ねる.ここで,理想的な将来像を尋ねると, 達 成 不 可 能 な 未 来 像 を 挙 げ て し ま う た め に ,そ れ を 避 け る こ と が 望 ま し い . 続 い て ,「 今 , 何 を や め た い の か 」 を 尋 ね , 現 在 不 満 を 感 じ て い る 事 柄 を 明 ら か に す る .こ の よ う に 対 象 者 自 身 に 矛 盾 を 広 げ さ せ る こ と が ,対 象 者 に 非 常 に 強 い 動 機 を 与 え る . 「 7 .心 配 事 の 探. 20.
(24) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 索 ( Ex pl ori ng con c erns )」 と は , 対 象 者 が 薬 物 に 関 す る 不 安 や 心 配 事 を も っ て い る 場 合 に ,薬 物 の ど の よ う な 点 に 不 安・心 配 を 抱 い て い る の か に つ い て , 対 象 者 自 身 に 表 出 さ せ る こ と で あ る .「 将 来 と 現 在 」 同 様 に , 矛 盾 を 拡 大 す る 効 果 が あ る .「 8 . 意 思 決 定 の 支 援 ( Hel pi n g wi t h deci si on -m aki ng )」は ,タ ー ゲ ッ ト 行 動 の 遂 行 に 向 け た 意 思 の 確 認 を 契 機 に ,対 象 者 の 決 断 を 支 援 す る こ と で あ る .例 え ば ,「 そ れ で は , こ れ か ら 何 を 実 施 し ま す か ? 」 と い う 質 問 を , 行 動を強制することなく,中立的な言い方で尋ねる. 本 節 で は , R ol l ni ck et al .( 1992 ) の 論 文 を も と に , 薬 物 依 存 を 対 象 と し た 場 合 の プ ロ セ ス を 紹 介 し た .タ ー ゲ ッ ト 行 動 を 薬 物 依 存 か ら 他 の 健 康 行 動 ( 運 動 , 禁 酒 な ど ) に 変 え る こ と で , B-M I を 援 用 す る こ と が 可 能 で あ る .特 に こ れ ま で は ,飲 酒 行 動 を タ ー ゲ ッ ト 行 動 と し て 研 究 が 行 わ れ て き た が( H ea t her et al ., 1996 ),そ の 後 ,様 々 な 健 康 行 動 に 関 す る 研 究 も 行 わ れ て き た .表 1 -4 は ,身 体 活 動 ・ 運 動 行 動 を タ ー ゲ ッ ト 行 動 に し た 事 例 を ま と め た も の で あ る .例 え ば , C hannon et al . ( 200 7 ) は , 若 年 ( 14-1 7 歳 ) の Ⅰ 型 糖 尿 病 患 者 に 対 して,血糖コントロールを目的とした面接の効果を分析している. こ の 研 究 で は , 看 護 師 が 「 方 略 リ ス ト ( m enu of st rat eg y)」 を 用 い た 面 接( 平 均 4 回 )を 行 っ た 群 の 方 が ,情 報 提 供 の み を 行 う 統 制 群 ( 情 報 提 供 回 数 6 回 )と 比 べ て 血 糖 値 の コ ン ト ロ ー ル の 程 度 を 表 す HbA1c の 値 を 改 善 さ せ た .さ ら に ,対 象 者 の wel l -bei n g( Wel l -bei ng Ques t i onnai re ), な ら び に QO L( Di ab et es Qual i t y of Li fe Measure for Youth ) の 得 点 に お い て も , 介 入 群 が 統 制 群 に 比 べ て 有 意 に 高 い 値 を 認 め た . M I に つ い て の 非 専 門 家 ( 看 護 師 ) が 行 っ た B-M I は , 対象者の行動のみならず,心理的側面に対しても効果を示した.. 21.
(25) 22. b. Lundahl, 2010 Martin, 2009 c Burke, 2003 d Dunn, 2001 MI = Motivational Interviewing Cont = Control. a. c,d. 中年患者 523名. 10代Ⅰ型糖 尿病患者 60名. Channon SJ, Cannings-John RL, HuwsThomas MV, et al. (2007) a. Harland J, White M, Drinkwater C, et al. (1999) a , b ,. 一般中年者 1658名. 対象者. Hillsdon M, Thorogood M, White I, et al. (2002) a. 著者. ・身体活動量 ・身体活動の種類 ・身体活動の強度. ・すべての群に身体活動に関するリーフレット配布 ・Group 1 群: 保健師によるMI(1回) ・Group 2 群: 保健師によるMI(1回) + レジャーチケット(割引券30枚) ・Group 3 群: 保健師によるMI(6回) ・Group 4 群: 保健師によるMI(6回) + レジャーチケット(割引券30枚) ・Cont群:非介入. ・Group 1 (MI 1回) 群 ・Group 2 (MI 1回 + 経済 的インセンティブ) 群 ・Group 3 (MI 6回) 群 ・Group 4 (MI 6回 + 経済 的インセンティブ) 群 ・Control 群. ・身体活動得点,強度身体活動量,中等度身体活動量におい て,4群すべてがCont群と比較して有意に高い(4群間に身体活 動量の有意差なし). ・QOL,Well-being(活気以外の4項目),疾患に関する考えにお いて,MI群はCont群と比較して有意に増加 ・ヘモグロビンA1Cは,介入後6ヵ月目までは差は認められず, 12ヶ月後,24ヶ月後にMI群がCont群に比較して有意に減尐. ・MI群:BMIのmenu of strategyを参考とした面接 ・Cont群:疾患に関する情報提供および患者中心教育. ・MI 群 ・Control 群. 成果(有意差が認められた項目). ・糖尿病患者QOL ・Health Locus of Control ・主観的ヘルスケア環境評価 ・糖尿病の知識 ・自己効力感 ・Well-being ・ソーシャルサポート(家族) ・疾患に関する考え ・ヘモグロビンA1C. 測定指標 (運動・身体活動関連). ・エネルギー消費量の変化量に有意な群間差なし ・BMI群はDA群の間と比較して有意な拡張期血圧の減尐. ・BMI群:BMIのmenu of strategyを参考とした面接 ・DA群:健康信念モデルに基づいたアドバイス提供 ・Cont群:非介入. 介入の内容. ・エネルギー消費量 ・BMI ・収縮期/拡張期血圧. ・Brief Negotiation (BMI) 群 ・Direct Advice (DA) 群 ・Control 群. 群構成. 表1-4 身体活動および運動をターゲット行動にしたBrief Motivational Interviewing に関する研究 (Lundahl, 2010; Martin, 2009; Burke, 2003; Dunn, 2001のレビュー論文をもとに著者が再構成). 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向.
(26) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. B-M I を 用 い て 心 理 的 側 面 へ の 影 響 を 検 討 し た 研 究 は , 依 存 行 動 を タ ー ゲ ッ ト 行 動 に し た 研 究 で も 殆 ど 行 わ れ て お ら ず ,C hannon et al . の研究結果は貴重な資料である. Hi ll s don et al .( 200 2 ) は , 中 年 男 女 を 対 象 に , 身 体 活 動 量 の 増 強 を 目 的 と し て B-M I を 実 施 す る 群 ,身 体 活 動 量 増 強 へ の ア ド バ イ ス を 提 供 す る 群 ,な ら び に 介 入 を 行 わ な い 非 介 入 群 と い う 3 群 を 設 定 し ,エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 比 較 を 行 っ た .そ の 結 果 ,各 群 に お い て エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 記 録 を 行 っ た 人 は , B-M I 群 と 非 介 入 群 の 比 較 に お い て ,エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 有 意 な 差 が 認 め ら れ た .そ の 他 の 群 間 に は 有 意 差 が 認 め ら れ な か っ た が , B-M I を 実 施 し た 群 と 非 介 入 群 を 比 較 し た 場 合 に は , B -M I 群 の 方 が エ ネ ル ギ ー 消 費 量 が 増 加 す る ことが明らかになった. Harl and et al . ( 199 9 ) は , 健 常 な 中 年 男 女 の 身 体 活 動 量 の 増 強 を 目 的 と し て B-M I を 実 施 し た .B-M I に よ る 介 入 回 数 の 違 い( 1 回 お よ び 6 回 ) に よ る 効 果 を 比 較 し た 結 果 , B -M I を 1 回 お よ び 6 回 実 施した群の身体活動量は,介入のない群と比べて有意に増加した. ま た ,介 入 回 数 の 違 い に よ っ て 身 体 活 動 量 の 有 意 な 差 は 認 め ら れ ず , M I の 非 専 門 家 ( 保 健 師 ら ) が 1 回 の B-M I 介 入 で 身 体 活 動 量 を 増 加させることが示唆された. Hi ll s don et al . の 研 究 結 果 の み で は , ア ド バ イ ス の 提 供 よ り も B-M I の 実 施 が 効 果 的 で あ る と は 断 定 で き な い . し か し , 情 報 提 供 の み を 行 う よ り も B-M I を 実 施 す る こ と に よ り ,対 象 者 の 心 理 的 変 化 お よ び 行 動 的 変 化 を 起 こ す こ と が 可 能 で あ る こ と が 示 さ れ た .ま た , そ れ ぞ れ の 研 究 か ら , M I の 非 専 門 家 に よ る B -M I が 実 施 可 能 な介入であり,かつ効果的であることが示された.しかしながら,. 23.
(27) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. M I の 研 究 と 同 様 に ,B-M I の ど の よ う な 要 素 が ア ウ ト カ ム に 影 響 を 与 え た の か と い う メ カ ニ ズ ム に つ い て は 検 討 が 行 わ れ て お ら ず ,依 然 と し て 課 題 が 残 っ て い る .ま た ,表 1 -4 か ら も わ か る よ う に ,身 体活動・運動量の増強を目的として実施された事例はまだ尐なく, エビデンスの蓄積が必要である. 3. 5A 5A は , 健 康 関 連 の 行 動 変 容 を 支 援 す る た め の 方 略 で あ り , 医 療 現 場 な ど に お い て 用 い ら れ て き た .具 体 的 に は ,禁 煙 や 身 体 活 動 量 の 増 強 な ど を 目 的 に 利 用 さ れ , 面 接 に お い て は , 5A と 呼 ば れ る 5 つ の 頭 文 字 “ A ”( Ask , Advi se , Asse ss , Assi st , Arran ge ) が 示 す 面 接 ス キ ル を 用 い て ,対 象 者 の 意 図 を 引 き 出 し た り ,あ る い は 適 切 な ア ド バ イ ス を 行 う こ と に よ っ て 行 動 変 容 を 促 す .表 1-5 に は ,禁 煙 に 対 し て 5A を 用 い た ガ イ ド ラ イ ン を 示 し て お り ,以 下 に そ れ ぞ れ の 内 容 を 説 明 す る( 循 環 器 病 の 診 断 と 治 療 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン 2 0 0 3-2 0 04 年 度 合 同 研 究 班 , 2005 ). ス テ ッ プ 1 の “ Ask ” で は , 対 象 者 の 特 徴 を 把 握 す る . 例 え ば , 診 察 に お い て 喫 煙 者 の 特 徴( 喫 煙 の 種 類 ; 現 在 喫 煙 ,以 前 喫 煙 ,非 喫煙など)を特定したり,健康状態の把握を行う.ステップ 2 の “ Advi ce ”で は ,対 象 者 に イ ン パ ク ト の あ る 忠 告 を 行 い ,行 動 改 善 に 向 け た 方 向 付 け を 行 う .例 え ば ,喫 煙 す る こ と に よ っ て ,子 ど も や 家 族 の 健 康 被 害 が も た ら さ れ る と い っ た 忠 告 を 行 う .ス テ ッ プ 3 の “ Assess ” で は , タ ー ゲ ッ ト 行 動 に つ い て の 関 心 を 査 定 す る . 例 え ば 禁 煙 を す る つ も り で あ る か 否 か を 問 い ,意 欲 が あ れ ば 禁 煙 に 向 け た ス テ ッ プ へ 進 み ,意 欲 が 無 い よ う で あ れ ば ,ま ず 禁 煙 に 向 け た 動 機 づ け の 準 備 を 行 う . ス テ ッ プ 4 の “ Assi st ” で は , 様 々 な サ ポ. 24.
(28) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 表1-5 禁煙を対象とした5Aアプローチのプロセス概要 (循環器病の診断と治療に関するガイドライン,2005より抜粋). 段階. 各ステップの概要. 5A. ステップ1. Ask. ・診察のたびに,全ての喫煙者を系統的に同定する. ステップ2. Advise. ・全ての喫煙者にやめるようにはっきりと,強く,個別的 に忠告する. ステップ3. Assess. ・禁煙への関心度を評価する. ステップ4. Assist. ・患者が禁煙を計画するのを支援する ・カウンセリングを行う ・診療活動のなかで,ソーシャル・サポートを提供する ・患者が医療従事者以外からソーシャル・サポートを利用 できるよう支援する ・薬物療法の使用を勧める ・補助教材を提供する. ステップ5. Arrange. ・フォローアップの診察の予定を決める. 25.
(29) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. ー ト の 利 用 ,目 標 設 定 ,お よ び 問 題 解 決 な ど を 行 い な が ら ,タ ー ゲ ッ ト 行 動 の 実 行 を 支 援 す る .具 体 的 に は ,禁 煙 の た め の 処 方 薬 の 紹 介 や 家 族 関 係 の 評 価 ,禁 煙 開 始 日 の 設 定 ,禁 煙 を 阻 害 す る 要 因 に 向 けた対処方法の習得などが挙げられる.最後にステップ 5 の “ Ar ran ge ” で は , フ ォ ロ ー ア ッ プ の 予 定 を 決 定 す る . 医 療 現 場 で あ れ ば , 次 の 診 察 日 の 決 定 が 該 当 す る . こ の よ う に , 5A で は 5 つ の ス テ ッ プ を 段 階 的 に 進 み ,対 象 者 と の 面 接 を 実 行 す る .こ こ で は 例 と し て 禁 煙 を 示 し た が ,タ ー ゲ ッ ト 行 動 を 身 体 活 動・運 動 に 変 え て 5A を 用 い た 介 入 を 以 下 に 紹 介 す る . C os t anz o et al ( . 2 010 )に よ れ ば ,5 A は 効 果 が 紹 介 さ れ て い る が , 確 固 た る エ ビ デ ン ス が 得 ら れ て い る わ け で は な く ,今 後 さ ら に 検 討 す る 必 要 性 を 指 摘 し て い る .例 え ば ,身 体 活 動 量 の 増 強 を 目 的 に 実 施 さ れ た 研 究 の う ち , C al fas et al . ( 1996 ) な ら び に Le wi s & Lyn ch ( 1 9 9 3)の 介 入 は ,5A に 関 す る 良 好 な 結 果 を 示 し て い る .Le wi s & Lyn c h は , 18 歳 以 上 の 外 来 患 者 に 5 A を 実 施 し , 週 あ た り の 運 動 時 間 を 増 加 さ せ , 5A が 身 体 活 動 量 の 増 加 を 導 く 方 略 で あ る こ と を 示 し た . C al f as et al . は , 不 活 動 な 中 年 者 に 対 し て , 内 科 医 が 5A を 実 施する群と身体活動とは関連のないテーマの面接を実施する群の 歩 数 を 比 較 し た . そ の 結 果 , 5A 実 施 群 が 対 照 群 に 比 べ て 歩 数 を 増 加 さ せ た . た だ し , 5A 群 は 5A の 内 容 に 関 心 を 示 し た 内 科 医 に よ り 構 成 さ れ て お り , 5A に 対 し て 好 意 的 な 印 象 を 持 っ て い る こ と が 介 入 に 影 響 を 及 ぼ し て い る と 考 え ら れ る .ま た ,対 照 群 の 面 接 は 身 体活動の増加とは全く関連のない面接内容によって構成されてお り , こ の よ う な 対 照 群 の 設 定 で は , 5A の 効 果 を 示 す に は 不 十 分 で ある.. 26.
(30) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 一 方 で , 5A を 実 施 し て 身 体 活 動 の 増 加 を 意 図 し た も の の , 最 大 酸 素 摂 取 量 な ど の 心 肺 機 能 の 改 善 は 認 め ら れ た が ,身 体 活 動 量 が 増 加 し な い ケ ー ス も 報 告 さ れ て い る ( C ost anz o et al , 2010; The Act i vit y C ounsel i ng Tri al R esea rch Gro up, 2001 ). C ost anz o et al . は , 運 動 行 動 の 変 容 ス テ ー ジ が ,前 熟 考 か ら 準 備 ス テ ー ジ の 中 高 年 女 性 に 対 し て 5A を 実 施 し た . し か し な が ら , 中 等 度 の 強 度 の 身 体 活 動 は 有 意 に 増 加 せ ず ,身 体 活 動 量 の 増 加 に は 効 果 が な い 可 能 性 が 示 唆 さ れ た . ま た , St e pt oe et al . ( 2001) は , 不 活 動 な 中 年 男 女 612 名 に 対 し て , 5A を 用 い た 身 体 活 動 量 増 強 を 目 的 と し た 面 接 を 行 う 群 ( 5A 群 ) と , 身 体 活 動 量 増 強 の メ リ ッ ト を 教 育 す る 群 ( 統 制 群 ) と の 比 較 を 行 っ た .介 入 前 後 に は ,両 群 の 対 象 者 の 身 体 活 動 に 対 す る 行 動 変 容 ス テ ー ジ を 測 定 し ,介 入 前 後 の 変 容 ス テ ー ジ の 変 動 を 分 析 し て 介 入 効 果 を 評 価 し た .介 入 4 ヵ 月 後 で は ,統 制 群 を 1 と し た 場 合 の 5A 群 に つ い て の オ ッ ズ 比 は 次 の よ う に な っ た .“ 前 熟 考 ス テ ー ジ → 実 行 ・ 維 持 ス テ ー ジ ” は 1. 28 ,“ 熟 考 ス テ ー ジ → 実 行 ・ 維 持 ス テ ー ジ ”は 1.4 2 , “ 準 備 ス テ ー ジ → 実 行・維 持 ス テ ー ジ ”は 1.85 と な っ た .さ ら に ,12 ヵ 月 後 に お い て は , “ 前 熟 考 ス テ ー ジ → 実 行・ 維 持 ス テ ー ジ ” は 1.30 ,“ 熟 考 ス テ ー ジ → 実 行 ・ 維 持 ス テ ー ジ ” は 1 . 0 0,“ 準 備 ス テ ー ジ → 実 行 ・ 維 持 ス テ ー ジ ” は 1.89 と な っ た . 4 ヵ 月 後 , 12 ヵ 月 後 , そ れ ぞ れ の オ ッ ズ 比 を み る と , 準 備 ス テ ー ジ 者 に は 効 果 的 だ と 言 え る が ,特 に 熟 考 ス テ ー ジ 者 に は 長 期 的 な 効 果 が な い こ と が わ か る . つ ま り , 5A は 前 熟 考 ・ 熟 考 ス テ ー ジ 者 よ り も ,準 備 ス テ ー ジ 者 を 実 行・維 持 ス テ ー ジ に 引 き 上 げ る た め に 有 効 であることが示された. 以 上 の 結 果 を 導 く 理 由 と し て , 5A が 前 熟 考 ・ 熟 考 ス テ ー ジ 者 に. 27.
(31) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 対 す る 介 入 方 法 と し て 不 適 切 で あ る こ と が 考 え ら れ る .酒 井( 2007 ) は ,変 容 ス テ ー ジ が 前 熟 考 ス テ ー ジ に あ る 人 に 対 し て ア ド バ イ ス を 行 っ て も ,そ れ に よ り 対 象 者 の 抵 抗 が 強 く な り ,介 入 を 拒 絶 す る 可 能 性 が あ る と し て い る .す な わ ち ,特 に 前 熟 考 ス テ ー ジ 者 の よ う な , タ ー ゲ ッ ト 行 動 の 実 行 に 対 し て 意 識 が 低 い 者 に は , 5A ア プ ロ ー チ が 適 切 で は な い と 指 摘 し て い る .し か し ,酒 井 の 指 摘 を 裏 付 け る 科 学 的 な 検 証 が 十 分 行 わ れ て い る と は 言 え な い .ま た ,G l asgow et al . ( 2 0 0 6 ) は , 5A に 関 す る ス タ ン ダ ー ド な 活 用 法 が 設 定 さ れ て い な い た め , 使 用 法 に ば ら つ き が 生 じ る こ と も 指 摘 し て い る . 5A を 適 用 す る に あ た っ て は ,上 述 し た よ う な 身 体 活 動 へ の 関 心 の 程 度 が 低 い者に対して効果的であることが求められる. 本 節 で は ,身 体 活 動 ・ 運 動 を 促 進 す る た め に ,個 人 内 レ ベ ル の 介 入 に 焦 点 を 当 て て 介 入 内 容 の 特 徴 を 概 観 し た .ま た ,医 療 者 ,特 に 保 健 師 ,看 護 師 と い っ た コ メ デ ィ カ ル・ス タ ッ フ( co - m edi cal st aff ) に よ る 実 施 し や す さ の 観 点 か ら 各 介 入 法 を 評 価 し た 結 果 ,以 下 の 通 りになった. MI は , 身 体 活 動 ・ 運 動 量 の 増 強 に 対 し て , 短 期 的 な 効 果 に と ど ま ら ず ,介 入 効 果 が 長 期 的 に 持 続 す る こ と も わ か っ て お り ,個 別 介 入 と し て 優 れ た 面 接 法 で あ る こ と が わ か っ た .し か し ,面 接 技 術 の 習 得 と 面 接 時 間 に 関 し て 解 決 す べ き 課 題 が 残 っ て お り ,た だ ち に 活 用できるとは言えない. B-M I は ,M I の 原 理 を 残 し た 上 で ,面 接 技 術 の 習 得 ,な ら び に 面 接 時 間 の 課 題 を 解 決 し て お り ,コ メ デ ィ カ ル・ス タ ッ フ に 実 施 し や す い 面 接 法 だ と 言 え る .身 体 活 動・運 動 量 の 増 強 に 対 し て は ,B-M I の 効 果 が 認 め ら れ て い る が ,B -M I の 研 究 例 が 尐 な く ,M I と 同 様 の. 28.
(32) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. 介入効果が見込めるかどうかについては今後の研究によってデー タを蓄積する必要がある. 5A は 医 療 現 場 に お い て 多 く 活 用 さ れ て き た 面 接 法 で あ り , 利 用 実績から実行可能性の高い面接だと評価できる.また 5 つの A が 面接者の行動を指し示しているため,分かりやすく,コメディカ ル ・ ス タ ッ フ に は 活 用 し や す い と 言 え る .し か し な が ら ,先 行 研 究 で は ,身 体 活 動 量 の 増 強 に は 効 果 が 認 め ら れ な い 事 例 が 報 告 さ れ て い る こ と や ,健 康 行 動 に 無 関 心 な 人 に は 面 接 効 果 が な い こ と も 示 さ れている. 以 上 よ り , B-M I は 介 入 効 果 に 関 す る エ ビ デ ン ス の 蓄 積 が 将 来 も 含 め て 必 要 だ が ,介 入 内 容 は コ メ デ ィ カ ル・ス タ ッ フ が 習 得 可 能 な も の で あ る . ま た , B-M I は , 身 体 活 動 等 に 対 し て 無 関 心 な 者 に 対 す る 身 体 活 動・運 動 量 の 増 強 に 介 入 効 果 が 見 込 ま れ る 面 接 で あ る と 評 価 し , 本 研 究 で は B-M I を 採 用 す る . B -M I は , 面 接 が 心 理 的 変 数 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 不 明 確 で あ る た め ,今 後 ,心 理 的 変 数 に 対 する面接効果を検証する必要がある.. 第 4 節. 身体活動・運動の促進を意図した目標設定. M I,B-M I,お よ び 5A は ,対 象 者 の タ ー ゲ ッ ト 行 動 の 遂 行 を 促 進 す る 面 接 法 で あ る が ,面 接 に お け る 目 標 設 定 法 に 関 し て は ,そ れ ぞ れ 具 体 的 な 記 述 が さ れ て い な い .特 に ,身 体 活 動 量 の 増 強 を 目 的 と し た 場 合 ,ど の よ う な 対 象 者 に ,ど の よ う な 目 標 が 適 し て い る の か は 判 明 し て い な い .し た が っ て ,上 記 の 面 接 方 略 を 補 完 す る た め に , 身体活動や運動行動に関する目標設定法の検討が求められる. 目標設定法は,個別の面接方略やポピュレーション・アプローチ. 29.
(33) 第 1 章 身体活動・運動量の増強に関する研究動向. に 加 え ,身 体 活 動 や 運 動 の 開 始 を 促 進 す る 有 効 な 手 段 の 1 つ に 挙 げ ら れ て い る ( Dun c an & P oz ehl , 2002 ). こ れ ま で , 身 体 活 動 量 の 増 加 を 目 的 と し た 目 標 設 定 に 関 す る 研 究 に お い て は ,目 標 設 定 の 有 無 と ア ウ ト カ ム の 関 連 を 比 較 し た 研 究 が 多 く ,ま た ど の よ う な 目 標 内 容 が ア ウ ト カ ム に 良 好 な 影 響 を 与 え る の か と い う 検 討 が 研 究 者( 目 標 設 定 者 )側 の 視 点 か ら 論 じ ら れ て き た .し か し ,無 作 為 化 比 較 試 験 に よ っ て 行 わ れ た 研 究 に お い て は ,目 標 設 定 を 行 う こ と が 身 体 活 動 量 の 増 強 さ せ る こ と が 示 唆 さ れ た 研 究 ( Annesi , 2002; Duncan & Poz ehl , 2002; Al ex y, 1985 )と ,目 標 設 定 者 が 目 標 未 設 定 者 と の 間 に 身 体 活 動 量 の 有 意 差 を 示 さ な か っ た 例 ( McKa y et al ., 2 001; C obb et al ., 2000 ) が 報 告 さ れ た . 例 え ば , Annesi は フ ィ ッ ト ネ ス ク ラ ブ に 通 う 2 0 ‐ 60 歳 の 対 象 者 を 目 標 設 定 群 と 非 目 標 設 定 群 に 分 け て 運 動 実 施 度 合 い を 比 較 し た と こ ろ ,目 標 設 定 を 行 う こ と に よ り ,ド ロ ッ プ ア ウ ト 率 の 低 減 ,お よ び 運 動 参 加 回 数 の 増 加 が 有 意 に 達 成 さ れ る こ と を 示 し た .ま た ,ク リ ニ ッ ク に 通 う 心 疾 患 患 者 を 対 象 に 行 っ た Duncan & P oz ehl の 研 究 で は , 運 動 を 行 う 際 に 目 標 設 定 を 行 っ た 群 と目標設定をせずに運動を行った群の運動継続率を比較したとこ ろ ,目 標 設 定 を 行 う こ と に よ り ,運 動 継 続 率 の 増 加 に 加 え ,将 来 に おける運動継続の自信も高まることが示された.その一方で, M cKa y et al . は , Ⅱ 型 糖 尿 病 患 者 を 対 象 に , イ ン タ ー ネ ッ ト を 用 い て 目 標 設 定 に よ る 身 体 活 動 量 の 増 強 を 行 う 群 と ,身 体 活 動 量 増 強 に 関 す る 情 報 提 供 の み を 行 う 群 の 身 体 活 動 レ ベ ル の 比 較 を 行 っ た .そ の 結 果 ,両 群 と も に 身 体 活 動 レ ベ ル が 向 上 し た た め ,目 標 設 定 の 効 果 は 認 め ら れ な か っ た . ま た , C obb et al . は , フ ィ ッ ト ネ ス プ ロ グ ラムに参加している大学生を,目標設定群,情報提供(読書)群,. 30.
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