卒業研究成果報告会発表用レジュメ 人文学部国際文化学科 2006/02/04 比較社会論コース 4年 0210020531 石井 恵美子
日本映画産業の活性化について~現状と展望~
目次 はじめに
序論
第1章 世界の映画産業 第1節 産業としての映画 第2節 世界の映画産業の現状 第2章 日本映画産業の歴史と現状 第1節 日本映画産業の歴史 第2節 国内での日本映画の現状 第3節 日本映画の海外進出 第4節 日本映画産業の構造 第5節 日本映画産業と政府
第3章 日本映画産業は活性化しているのか 第4章 海外の映画産業
第1節 アメリカ 第2節 フランス 第3節 韓国
第5章 日本映画産業の展望 おわりに
問題意識、論文の目的 映画を見ることが好きである。以前はハリウッド映画ばかり見ていたが、近年、日本映
画に注目が集まっているように感じられる。日本映画が活性化しているといった言葉も聞 かれる。海外の国際映画祭でも日本映画や日本人俳優が表彰され、ハリウッドでも日本映 画のリメイクが相次いでいる。国内でも日本映画が大々的に宣伝され、興行的にも成功を 収めているといった報道を耳にする。これらの状況を見る限りでは、確かに日本映画が活 性化している印象を受ける。しかし、実際はどうなのだろうか。映画を産業という面から 捉え、「日本映画産業は本当に活性化しているのか」を検証することを目的とする。さらに、
日本映画産業の問題点・改善点などを示し、今後の活性化に向けて提言をする。
序論(調査)
・新聞報道、統計などによる近年の日本映画産業の状況の捉え方
日本映画の好調ぶりを報道。統計からも興行成績の上昇が見られる。
・映画を産業と捉えることに関して、先行研究のまとめ
第1章 世界の映画産業(調査)
・映画産業の特徴:不確実性、人的資源のネットワークの重要性、二次利用による収益へ の期待感、巨額の初期投資が必要など
・映画産業活性化のメリット:多角的メディア展開、映画作品を通じた商品・サービスの マーケティング、キャラクタービジネス、観光、国家イメージ・文化への理解増進
・映画産業を含めたコンテンツ産業は、今後高い成長が期待される
第2章 日本映画産業の歴史と現状(調査)
・国内興行成績、映像ソフト市場規模は、長期的スパンでは減少続いているものの、短期 的には上昇傾向
・国際映画祭受賞作品は増加傾向、評価の高まり
・海外での興行成績は思わしくない
・海賊版被害の拡大
・ブロックブッキングなど構造的問題
・政府など公的機関の対応の遅さ
第3章 日本映画産業は活性化しているのか(分析、考察)
「日本映画産業は活性化しているのか」を考える上で、第2章までを踏まえ、以下の7 つ の項目を挙げ、分析する。
項目①興行成績
:大きな流れで見た場合減少を続けているが、近年の成績上昇は、これから活性化して いくことを示してるのではないか。また、日本のアニメーションは日本映画のひとつと して、重要な存在である。
項目②二次利用
:鑑賞方法の広がり→映画館での興行だけでなく、二次利用での収益確保 DVDの急速な成長。
項目③鑑賞設備
:シネコンの増加→鑑賞設備の向上 項目④映画の質
:国際映画祭での表彰→質の向上を表している 制作費の高さは質の高さとは直結しない 項目⑤メディア・ミックス
:効果的なタイ・アップの増加→映画の興行成績上昇につながる。
項目⑥制作関連
:フィルム・コミッションの成長、広がり→制作環境の整備 項目⑦海外展開
:国際映画祭での評価の高まり。ハリウッドによるリメイク作品増加。世界で認められ る日本の映画人。
⇒「日本映画産業は活性化しているとは言いがたいものの、活性化の兆しは見られる」
第4章 海外の映画産業(調査)
日本映画産業の問題点、課題をはっきりとし、第 5 章で提言を行うために海外の映画産 業を参考にする。
世界第 1 位の映画産業を誇るアメリカ、古くから映画産業を国の文化としているフラン ス、近年成長の著しい韓国の映画産業を概観。
第5章 日本映画産業の展望(分析、考察、提言)
・新しい人材が活躍できる場をつくる 人材育成、作品発表の場、顕彰制度等 ・鑑賞設備、鑑賞料金の見直し
映画に行きたくなる鑑賞設備、鑑賞料金の低料金化 ・公的機関の対応見直し
資金援助、産業界との連携 ・国際展開を進める
東京国際映画祭の見直し、国際展開の窓口機関の整備
成果と課題 ・第3章で、項目を7つ設定し、活性化しているかを分析した
・活性化しているかを結論付けることができた
・他国の映画産業を調査しそれをもとに、自分なりに提言を行うことができた ・活性化の定義が最後までできなかった
・富山の映画産業の状況の調査(インタビューなど)ができなかった
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岡田裕『映画創造のビジネス』筑摩書房、1991.9
金鐘文『韓国映画躍進の秘策:韓日文化交流の新時代』現代書館、2004.5
コンテンツビジネス研究会編『最新版 図解でわかるコンテンツビジネス』日本能率協会 マネジメントセンター、2002.11
佐野眞一『日本映画は、今:スクリーンの裏側からの証言』ティービーエス・ブリタニカ、
1994.6
信州大学経済学部産業社会交流科目運営委員会編:根元祐二[ほか述]『21世紀を創造す る文化産業』税務経理協会、2002.4
菅谷実、中村清編著;磯本典章[他]共著『映像コンテンツ産業論』丸善、2002.9
クリーク&リバー社『コンテンツ・プロデュース機能の基盤強化に関する調査研究:
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財団法人デジタルコンテンツ協会編『デジタルコンテンツ白書 2001 ブロードバンド時 代のリッチコンテンツ』デジタルコンテンツ協会、2001.7
財団法人デジタルコンテンツ協会編『デジタルコンテンツ白書 2002 デジタルコンテン ツのビジネスモデル』デジタルコンテンツ協会、2002.7
財団法人デジタルコンテンツ協会編『デジタルコンテンツ白書 2003 世界をめざすコン テンツ産業』デジタルコンテンツ協会、2003.7
財団法人デジタルコンテンツ協会編『デジタルコンテンツ白書 2004 ソフトパワー時代 の国家戦略 コンテンツビジネス』デジタルコンテンツ協会、2004.7
デジタルコンテンツ協会編『世界を目指すコンテンツ産業』デジタルコンテンツ協会、
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中川洋吉『生き残るフランス映画:映画振興と助成制度』希林館、2003.5 浜野保樹『表現のビジネス-コンテント制作論』東大出版会、2003.1
藤本信介『韓国映画の観客占有率における急成長要因‐1999 以降の観客占有率の上昇を 様々な視点から分析‐』富山大学人文学部国際文化学科比較社会論コース平成14 年度学部卒業論文(未公刊)
丸山昭一『世界が注目する日本映画の変容』草思社、1998 村上世彰、小川典文『日本映画産業最前線』角川書店、1995.5
山本明、藤竹暁編『図説日本のマス・コミュニケーション』日本放送出版会、1987.6 四方田犬彦『アジアの中の日本映画』岩波書店、2001.7
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『映画年鑑1983年版』、『映画年鑑1993年版』~『映画年鑑2004年版』
韓国 文化観光部ウェブページ http://www.mct.go.kr/japan/japan_index.html (2006年1月16日確認)
韓国 映画振興委員会(KOFIC)ウェブページ http://www.kofic.or.kr (2006年 1月16日確認)
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(2006年1月16日確認)
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日本貿易振興機構(JETRO)ウェブページ http://www.jetro.go.jp/indexj.html (2006年1月16日確認)
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