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幢 だうは忿 いかる顔 かをばせを現 げんじ口より鉄 てつの鋒 ほこさきを吐 はきて罪 ざい人を縛 ばく執 しうして。 前 セん丗 ぜの罪 ざい業 ごうを白 はく
狀 じやうすること。 朙 あきらかにして隱 かくれなし。此 この時 ときに琰 ゑん魔 ま王 わう。人頭 とう幢 たうの白 はく狀 じやうにまかせて。罪 ざい人を執 とつて。八寒 かん八t ねつ一百三十六の。地 ぢ獄 ごくに墮 だすれば。おのれが罪 ざい業 ごうをば顧 かへりミす。唯 たゞ人頭 とう幢 とうを恨 うらむるなり。 此 この時 ときに地 ぢg ざうの悲 ひ願 ぐわん力 りきをもつて。 人頭 とう幢 だうを執 とつて。 舌 したを卷 まき口 くちを閉 とぢて語 かたらせずして。 白 はく狀 じやうをやめさするを。A だん陀 だ地 ぢg ざうとなづくるとなり。 扨 さて地 ぢg ざう本 ほん願 ぐわんI ぎやうに。佛 ほとけ普 ふ賢 げん菩 ぼ薩 さつに告 つげて娑 しや婆 ば丗 せ界 かい一切 さい衆 しゆ生 じやう。
C あく業 ごうの報 むくひのe とがの輕 きやう重 じうに依 よつて。地 ぢ獄 ごくの名 なも。さま〳〵に有 あることなり」
12オ此 この
地 ぢg ざうは惣 さうじて。 現 げん在 ざいの利 り生 しやうは。男 なん女 によ愛 あい敬 きやうを守 まもりて。 子 このなき女 によ人 にんには。子 こ
をあたへて。平 へい産 さんを守 まもり。難 なん産 ざんの人をすくひ給ふなり。 さて六道 だう輪 りん廽 ゑの業 ごうを除 のぞき。一切 さいの諸 しよ願 ぐわんをかなへて。 無 む上 じやう菩 ぼ提 だいにいたらしめんとなり。 地 ぢg ざう本 ほん
願 ぐわんI きやう延 ゑん命 めいI ぎやう十輪 りんI ぎやう等 とうを。見 ミたまふべし。利 り益 やくは地 ぢg ざう霊 れい驗 げんG き。利 り益 やく集 しう.書 しよ物 もつ沢 たく山 さんに出 しゆつ生 しやうセり地 ち獄 ごくの歌 うたとて新 しん續 ぞく古 こ今 きんに つくりこし罪 つミを友にてしる人もなく〳〵 こゆるしての山道 ミち 二條 しやう院 ゐん宣 のふ㫖 むね 夫 ふ木 もく集 しう ひとつ身をあまたにかせの吹きりて
ほむらになすぞかなしかりけり 西 さい行 ぎやう法 ほつ師 し 第七 瑞 ずいN たい寺 じ地 ちL ざう腰 こしO ぬけ本 ほん復 ぶく之 の事 こと」
。 ま橋草外に。淺爰〳〵すに或應Bは國尊のg大馰中込瑞家sの寺此名地 あるめうかほかくにちうはしぢこまごミずいたいじこのざうくさそんかんあふこゝあさ 12ウ
に。 中 なか根 ねF うじ何 なに某 がしの息 そく女 によ。 十五歳 さいになるまで。 生 しやう得 とくとして。 腰 こしq ぬけたつことを得 ゑざれば。k ぶ毋 も常 つねに是 これを悲 かなしミ。 彼 かの女 によ子 し四五歳 さいの時 じ分 ぶんより。 百醫 いをつくすに。其 その㓛 こうなければ。 さては藥 やく力 りきにては治 ぢし難 がたし。此 この上 うへは佛 ぶつ神 じんの冥 ミやう助 ぢよを。頼 たのまずんば本 ほん復 ぶくすべからずとて。 まづ淺 あさ草 くさ観 くわん音 をんへ。 代 だい參 さんをもつて。 一七日を限 かぎりとして。 日 につ參 さんさせて祈 き誓 せいするに。 其 その甲 か斐 いなければ。 また神 かん田 だの明 ミやう神 じん
ゑ一七日を限 かぎりとして。 代 だい參 さんをたつるに。其 その驗 しるしなし。また其 その後 ゝち龜 かめ井 いo どのU てん 神 じんへ。一七日代 だい參 さんをたつるに。 其 そのB かん應 あふなければ。 其 その時 とき父 ぶ毋 もこれこそ業 こう病 びやう
にて。 佛 ぶつ神 じんの威 い力 りきにも叶 かなはずとて。 元 げん禄 ろく五年 ねんの春 はるまで。 」
。。。な中Fr根佛僧ら。一前諸語はけがのるのg地はに行に中て薩立 なかたちねさうかたりゆきうぢまへざうぢなかさつぶつしよぼ 。。。 瑞込馰kをの⺼二年此頃伴前寺りけるに彼門の人より法寺師s三通 ほつともないずいこのとしころしこまごミちゝたいもんゼんとうかのてらじ 。13オた置捨ちうり をきすて
菩 ぼ薩 さつほど。利 り益 やく深 ふかき㕝 ことはなし。此 この頃 ごろの事 ことなるに。 近 きん所 じよの去 さる腰 こしq ぬけ。 瑞 ずいs たい寺 じの地 ぢg ざう菩 ぼ薩 さつの。霊 れいある事 ことをY きゝて。一七日を限 かぎりとして。 立 りう願 ぐわんして祈 いのるに。 其 その
儘 まゝ平 へい復 ぶくしたると語 かたれバ。餘 よの二人の僧 そうのいはく。 されば彼 かの地 ぢg ざう尊 そんへ諸 しよ願 ぐわん
を祈 いのるに。一として成 じやう就 じゆせずと。 云 いふ事 ことなしと語 かたり行 ゆくを。 中 なか根 ねF うぢつく〴〵とY きゝ。夫 それより屋 や敷 しきにかへり。 娘 むすめを乗 のり物 ものにのせて。 k ちゝ同 どう道 だうして瑞 ずいs たい寺 じへ參 さん詣 けいし。香 かう
蕐 け燈 とう朙 ミやうを尊 そん像 ざうに。供 く羪 やうし奉 たてまつり。一心 しんに立 りう願 ぐわんし。 k ちゝ娘 むすめともに一日に。地 ぢg ざう
尊 そんの名 ミやう号 ごうを百遍 へん宛 づゝ唱 となへ。 一七日を限 かぎりと」
となり成したる所就願 しよぐわんじやうじゆ にはに目日七一.にるす參日.と二無信透復本女.し詣參て歩し息單. そくすきしんむけいぶくにつさんさんあゆミほんによたん .. よ〳〵ばかな早二日めよ足少宛。立しかりkに.てし喜隨い大き毋 すこしあしづゝずいきたちはやくもぶ. 13なすして.日參るにウ不思る議 ぎさんふし
第八 六地 ぢL ざう二番 はん之 の像 ざう利 り生 しやう之 の事 こと
馰 こま込 ごミ千 せん駄 だ木 き林 ばやしにて. 淨 じやう土 ど宗 しう一心 しん山 ざん專 せんW ねん寺 しの. 寳 ほう珠 しゆ地 ぢg ざうは餓 が鬼 き道 たうの能 のふ化 けにて. 如 によ意 いを持 もちたまふ.餓 が鬼 き道 だうの衆 しゆ生 じやうの. 前 ぜん生 じやう慳 けんJ どんの罪 つミに依 よつて.五百歳 さいI ふれども飮 をん⻝ じきの. 名をY きく㕝 こともなし. おのれがL なふを摧 くだき散 ちらし.自 ミづからの子 こを取 とりて. ⻝ しよくして飢 うへを暫 しばらくも息 やすめるとなり. 此 このごとくに.𫝆日娑 しや婆 ばにても.人々我 わが子 こを賣 うりて.その金 きん銀 ぎんをもつて.身 しん命 めいをつなぐこと目 もく前 ぜんにあり. さて此 この時 ときに如 によ意 い宝 ほう」
. 賣の人にはじて六地Z惣かなへ給ふとのことなり.をの望々買その品. またばいぢばい〳〵のぞミさうしな ... く.人の煩のりかZな事ふまた願立ば事とりかくれな本を復のする ことくわんぶくわづらいりうほん . 冨きものにあ貴をたへぼしとの扨こと.如宝珠のごとし意⻝一切物の によきもつしよくさていほうさいしゆふつ... 種の所好の生よ衆の道鬼餓.り珠子てのを飽し⻝aす⻝る飮E まんたちまちしゆばうがきしゆだうじじやうしよくこのむじきところおんしゆ 14オ
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g ざうは. 衆 しゆ生 じやう二世の所 しよ求 ぐを.悉 こと〴〵く成 じやう就 しゆせずんは. 正 しやう覚 がくをとらじとなり.延 ゑん命 めいI ぎやう本 ほん願 ぐわんI ぎやう釈 しやく攵 もんのごとくなり. 餓 が鬼 き道 だうのうたとて. 新 しん續 ぞく古 こ𫝆 きんに すずしやと.かわせのなミに.立よれば もゆるおもひの.ミづからぞうき 前 さき大 だい僧 さう正 しやう道 だう玄 げん 月清集に 身をせむる.うへのこゝろに.たへかねて.子を おもふ道ぞわすれはてぬる 後 ご京 きやう極 こく摂 せつ政 しやう」
14ウ
第九 六地 ぢL ざう三番 ばん之 の像 ざう利 り生 やく之 の事 こと
谷 や中 なかの新 につ堀 ほり村 むら. 諏 す訪 はの社 やしろ真 しんJ ごん宗 しう.宝 ほう林 りん山 ざん淨 じやう光 くわう寺 じの. 地 ぢg ざうハ寳 ほう印 ゐん地 ぢg ざうと申なり. E この地 ぢg ざうは輪 りん宝 ぼうと. 花 け鬘 まんを持 もちたまふなり. 畜 ちく生 しやう道 だうの. 苦 くるしミを助 たすけたまふなり. 畜 ちく生 しやうの互 たがいに. 殘 ざん害 がいの苦 くをq ぬきて. 微 ミ妙 みやう清 しやう淨 じやうの. 飮 をん⻝ じきをあたへて.各 おの〳〵に實 じつ相 さう甘 かん露 ろの. 法 ほう味 ミを含 ふくませたまふとなり. 一切 さいの畜 ちく生 しやうの苦 くをq ぬきて. 樂 らく
をあたへたまふなり. 扨 さてまた人間 けん界 かいにては.子そだてなき人. E この尊 そんに立 りう
願 ぐわんあるべし.E この地 ぢg さうを信 しん心 じんする人は. 盗 たう賊 ぞくの厄 あや難 うきをのがれ. 他 た國 こくに出ては. 山 さん河 がの難 なん.諸 もろ〳〵の横 わう難 なんを. のがるゝとなり. 一切 さい毒 どくのむし.蛇 へびなどに障 さハりなし.萬 よろずの畜 ちく生 しやうに. 痛 いためられぬとなり. 延 ゑん命 めいI ぎやうのことく. 山 さん神 じん木 もく神 じん。江 こう
海 かい水 すい神 じん.蛇 じや神 じん路 ろ神 じん等 とうは.地 ぢ藏 ざう信 しん心 じんの」
.. にぬとの.ことなり.さ畜て生道のうたとて山家集され化もに狸狐 ちくしうたぬききつねかさんだうしやうばか ..15あるオ衆りな生をばへ守ゆ護 じやうしゆしゆこ
かぐらうた.草とりかふは.よけれども なをその馰 こまに.なることはうし 西 さい行 ぎやう法 ほつ師 し 月清集に 水にすミ。雲 くも井 いにかける.こゝろにも うき世のあみは. いかゞかなしき 後 ご京 きやう極 ごく摂 せつ政 しやう 第十 六地 ちL ざう靈 れい驗 げん之 の事 こと
第 だい三番 ばん目 めの. 地 ぢg ざう菩 ぼ薩 さつに.御 をん籠 かご町 まちに.八 や木 ぎF うち何 なに某 がしとて.眼 がん病 びやうを煩 わつらいて. E この 地 ぢg ざうに毎 まい日 にち參 さん詣 けいして. W ねん佛 ぶつを。我 わが盛 せい力 りきの盡 つくる裎 ほと申外 ほかには. 别 べつの羪 やう生 じやうはなし.初 はじめは子 こに手 てをひかれて. 二三十日は參 さん詣 けいもうせしが。後 のちには杖 つえばかりにて. 一人宛 づゝ」
.. 其を知す人もなきゆへに趣.意よの六躰に其慥あるといへどもにも數 たいしりそのかずたしかそのいしゆ... にの寺誰とりとめて.さて六ヶ寺地るなりをg方しるの霊じて驗B てらかんたれじざうげんれいじがた .. 堂gけるなり地に見上元名實名假とて礼御して其復本のごとくにけ あげミへざうぢミやうじつミやうけれいをんそのぶくほんもとだう .. 15。り两まいりW佛してウ漸々內になての日百明にに眼 ねんりやうぶつあきらかゼんがん〳〵うち
難 がたし. Y きゝおよびにまかセ.粗 ほゞかきG しるしをく所 ところに. 未 ひつじの年 とし類 るい火 くわに燒 しやう失 しつセり. 地 ぢ
g ざう不 ふ信 しん心 じんの故 ゆへとせり 第十一 六地 ぢL ざう四番 ばん之 の像 ざう利 り生 しやう之 の事 こと
下 した谷 や池 いけの端 はた萱 かや町 てう. 淨 じやう土 ど宗 しう影 よう向 ごう山 さん心 しん行 ぎやう寺 じは. 持 ぢ地 ち地 ぢg ざうと申なり。修 しゆ羅 ら道 だうの能 のふ化 けたり. 幡 はたと御 をんI きやうを持 もちたまふ.扨 さて修 しゆ羅 らハ地 ぢにすむ。帝 たい釈 しやくはU てんにあつて.毎 まい⺼ げつ十六日辰 たつのとき.决 けつ定 じやうして. 」
16とにるあ羅戦オ合羅修毎修.と釈度帝. らまいかつしゆセんらしゆしやくたいど
軍 いくさに屓 まけて. ひき退 しりぞき. 闘 たう諍 じやうの楯 たて.大海 かいの底 そこに落 おつるに.U てんの雷 らいの鳴 なるがごとくなれば. 帝 たい釈 しやくは軍 いくさ鼓 だいこを.Y きゝたまひて. 肝 きもを消 けし魂 たましいを失 うしないて. 苦 く患 げん無 む量 りやうなり. E このときに.持 ぢ地 ち地 ぢg ざうは. 大 たい地 ぢを持 もちて. 修 しゆ羅 らの合 かつ戦 セんの. 城 じやう郭 くわくを警 けい固 ごしたまふ.其 その時 とき阿 あ修 しゆ羅 らj ぐうは安 あん穏 おんとなりて. 闘 とう諍 じやうの苦 く患 げんを脱 だつするを.持 じ地 ち地 ぢ
g ざうとなづくとなり。惣 さうじて人間 げんの. 嗔 しん恚 いのほのふを消 しやう滅 めつし.横 わう死 し横 わう難 なん.時 とき
のはやり病 やまいを除 のぞき.また菩 ぼ提 だい心 しんを增 ざう進 しんしたまへて. 男 なん女 によ一切 さいの. 病 やまい消 しやう滅 めつしたまふとなり. 修 しゆ羅 らの歌 うたとて. 拾 しう玉 ぎよく集 しうに 須 しゆ弥 みの上は.めでたき山と。Y きゝしかど. しゆらの軍 いくさぞ.なをさはがしき 慈 じ鎭 ちん和 お尚 しやう」
浪たてし.心の道の.すへはまた 月清集に 16ウ
くるしき海の.そこにすむかな 後 ご京 きやう極 ごく摂 せつ政 しやう