軽水炉の国産シビアアクシデント解析コードの開発
事後評価 説明資料
平成29年10月
原子力規制庁長官官房技術基盤グループ
シビアアクシデント研究部門
目 次
1.
研究概要
2.
研究期間を通じた主要成果
2.1.1 圧力容器内炉心損傷・溶融進展モデル検討
2.2.1 圧力容器内炉心損傷・溶融進展解析コード開発
2.1.2 圧力容器外溶融デブリ落下後のデブリベッド形成及び冷却性
(1) 関連する現象の同定
(2) 解析モデル化のアプローチ検討
(3) データ拡充をすべき妥当性確認実験の調査
2.2.2 データ拡充をすべき妥当性確認実験の調査
(1) 高解像度決定論的アプローチ
(2) 中解像度確率論的アプローチ
2.3 シビアアクシデント時ソースターム評価技術高度化
3.
まとめ
4.
成果の活用について
5.
成果の公表等
6.
自己評価
1. 研究概要(1/2)
重大事故において格納容器機能喪失を防止又はその影響を緩和するため、格
納容器内への冷却水注入、格納容器の減圧等の対策が講じられる。その際に発
生する物理化学現象の中には、解析モデル化する上で不確実性が大きなものと
して以下が挙げられる。
a. 圧力容器内炉心損傷・溶融進展
b. 圧力容器外溶融デブリ落下後のデブリベッド形成・冷却性
c. ソースターム
これらの現象については、個別効果実験及び積分効果実験を系統的に実施し、
これらに基づき妥当性を確認した解析コードにより実機条件へのスケールアップ
を行う必要がある。
1. 研究概要(2/2)
物理化学現象及び解析モデル 目的 2.1.1 2.2.1 圧力容器内炉心損傷・溶融進展 核動特性、多相・多成分系熱流動、燃料熱機械挙動、制御 事故分析に適用すると共に、溶融デブリの性状、分布等の分析に用いる。 2.1.2 圧力容器外溶融デブリ落下後のデブリベッド形成・冷却性 2.2.2 (1) 高解像度決定論的アプローチ a 高温溶融ジェットのプール内の分裂に伴うデブリベッド形成 圧力容器下部貫通により、溶融炉心がプール水を 蓄えたキャビティに落下する際の、詳細なデブリ ベッド形成過程を考慮した上で冷却性を評価するこ とにより、コンクリート侵食量及び侵食形状を評価 する。 b プール内に冠水したデブリベッド内二相流動を伴う伝熱 c キャビティ床面上のメルトスプレッド挙動 d デブリベッド内の固化相-溶融相の相互作用 e 非対称キャビティコンクリート侵食 2.2.2 (2) 中解像度確率論的アプローチ a 高温溶融ジェットのプール内の分裂に伴うデブリベッド形成 現象の空間解像度を維持した中解像度モデルによ り、広範なパラメータに対する感度解析を可能とす る。 b キャビティ床面上のメルトスプレッド挙動 2.3 ソースターム 発生、分子状ヨウ素、有機ヨウ素、ホウ素によるヨウ素、セシウム化学 形態、影響、格納容器圧力抑制室プール水pH変化等 放射性物質の移行挙動に多大な影響を及ぼす化学形に関するモデルの高度化を実現する。2. 研究期間を通じた主要成果(1/17)
2.1.1 圧力容器内炉心損傷・溶融進展モデル検討
BWR炉心損傷・溶融進展モデルの構成 BWRにおける炉心損傷及び溶融進展に関するモデルに関する最新動向 チャンネルボックス、制御ブレード、制御棒案内管等が多数存在し、炉心から下部における圧 力容器流路構成がPWRとは異なることの影響について検討を要する。 MAAP、MELCOR等主要な総合SA解析コード間の圧力容器内損傷関連モデルの比較が行われ ている。 溶融炉心の酸化物、構造材、制御材等の組成の非均一性に関する情報を得ることにより溶融デブリ の性状及び炉内分布に対しても有益な情報を与えることを目的として、 以下に示す広範囲の現象を考慮し、高い空間及び時間解像度 において炉心損傷及び溶融進展に関する情報を提供する解析 コードを開発することとした。 a. 水位低下による燃料被覆管温度上昇・酸化・脆化 b. 制御棒崩落 c. 燃料・集合体の溶融 d. 溶融デブリの集合体下部への流下 e. デブリベッド形成及び溶融デブリの炉心支持板へ の流出 f. 核特性-熱水力-燃料挙動解析2. 研究期間を通じた主要成果(2/17)
2.2.1 圧力容器内炉心損傷・溶融進展解析コード開発
原子炉容器内部を3次元幾何形状でモデル化したシビアアクシデント解析 a. 熱流動-燃料ピン挙動-核特性計算モジュールのタイトカップリングに関しては、単位燃料集 合体幾何形状を用いて、及び各計算モジュールの解析機能の検証を実施した。 b. 燃料損傷挙動モデルの確認にはSNLによるDF-4試験、KITによるQUENCH-07試験及び CORAシリーズ試験解析を実施した。 c. 炉心支持板近傍の溶融物質リロケーションモデルの確認には、SNLによるXR-2試験解析を 実施した。 d. 燃料微粒子化挙動モデルの確認には、JRCによるKROTOS及びFAROシリーズ試験解析を 実施した。また、上記のモデル改良を行い、定量的な予測性能向上を図っている。 e. 最終段階では、左図に示すように1/4原 子炉圧力容器内体系を対象として初期 条件を変化させて炉心損傷解析を実施 し、実機適用性について確認した。Sandia National Laboratory; サンディア国 立研究所
Karlsruhe Institute of Technology; カール スルーエ工科大学
Joint Research Centre of European
Commission; 欧州共同体協力研究センター SNL:
KIT: JRC:
2. 研究期間を通じた主要成果(3/17)
2.1.2(1) 圧力容器外溶融デブリ落下後のデブリベッド形成及び冷却性
キャビティ(
BWRにおいてはペデスタ
ル)に溶融炉心が落下しデブリベッド
が形成される状況において格納容器
機能喪失を防止することとしている。
左図のような複数の現象が係わるデ
ブリベッド形成、冷却性、そしてコンク
リート侵食に関する、より詳細な解析
コードの開発が必要となる。
東京電力福島第一原子力発電所1
号機から
3号機の調査結果が報告さ
れ、現実的なデブリベッド形成と冷却
性に関する議論が必要となる。
(関連する現象の同定)
中心からずれた落下位置 粒子固着により透水 性の低い集積デブリを 形成 低融点構造物が高 温堆積層と接して溶 融 溶融デブリメルトスプレッド 圧力容器 下部ヘッド キャビティプール水面 粒子デブリの気泡撹拌による平 坦化(セルフレベリング) デブリ堆積層への 冷却水浸透 デブリベッド上への 溶融デブリ落下 流路閉塞と再溶融 粒子デブリの越流、 サンプ等への粒子デ ブリ堆積 溶融炉心・コンクリート相互作用(MCCI)を抑制すことができるか?2. 研究期間を通じた主要成果(4/17)
2.1.2(1) 圧力容器外溶融デブリ落下後のデブリベッド形成及び冷却性
圧力容器外のデブリベッド冷却の成否にかかわる現象を、イベントツリ的アプローチによ
り整理した結果、本研究の対象を、圧力容器下部が損傷し溶融炉心が放出されるタイミ
ング以降とし、キャビティ
内にはプールが形成され
ていることを前提とし、デ
ブリベッドが形成され冷却
され、十分冷却されるまで
に、コンクリートを侵食す
る諸過程に対する解析コ
ードを開発の対象とする。
解析コード開発対象(関連する現象の同定)
DCH(格納容器雰囲気直接加熱 )及FCI(溶融燃料-冷却材相互 作用)及については既存コード の改良に属する課題である。2. 研究期間を通じた主要成果(5/17)
2.1.2(2) 圧力容器外溶融デブリ落下後のデブリベッド形成及び冷却性
No. 個別現象 高解像度決定論的 中解像度確率論的 ① 高温溶融ジェットのプール内の分裂に伴うデブリベッド形成関連現象 a 溶融ジェット分裂 ○ ○ b 溶融液滴集積 ○ ○ c 粒子状デブリ堆積 ○ ○ d 溶融デブリ着床 ○ ○ ② プール内に冠水したデブリベッド内二相流動を伴う伝熱現象関連現象 a プール‐発熱粒子堆積層-溶融デブリ体系二相伝熱流動 ○ − b 粒子のセルフレベリング ○ − c 蒸気流及び乱流中の微小粒子の浮遊拡散 ○ − ③ キャビティ床面上のメルトスプレッド挙動関連現象 a 溶融物のヘッドにより駆動される拡がり ○ ○ b 溶融デブリの上面及び下面における熱伝達 ○ ○ c 溶融デブリの上面及び下面におけるクラスト形成 ○ ○ d 溶融物内固化による粘性変化 ○ ○ ④ デブリベッド内の固化相-溶融相の相互作用関連現象 a 高温固相(酸化物)粒子堆積層内での低温溶融層(金属)の流動 ○ − b 粒子堆積層内の流路閉塞による高温固相の再溶融 ○ − c 温度勾配によるクラスト形成、溶融プール形成 ○ − ⑤ 溶融炉心–コンクリート相互作用(MCCI) a 側面等を含む非対称キャビティ内での浸食 ○ −(スケーラブルな解析モデル化のアプローチ検討)
高解像度決定論的: 大規模計算に基づく現象の最適評価を指向するもの。 中解像度確率論的: モデルパラメータ等の不確実性を考慮した多数の感度解析により現象の幅 を予測すること指向するもの。2. 研究期間を通じた主要成果(6/17)
2.1.2(3) 圧力容器外溶融デブリ落下後のデブリベッド形成及び冷却性
(データ拡充をすべき妥当性確認実験の調査)
No. 重要現象 実験設備(実施組織) 1 溶融デブリのメルトスプレッド(ドライ床上) KATS, ECOKATS(共にKIT), VULCANO(CEA) 2 溶融デブリのメルトスプレッド(ウェット床上) PULiMS(KTH) 3 発熱する粒子デブリのセルフレベリング PDS-C(KTH) 4 プール−発熱粒子デブリ体系の二相伝熱流動 DEBRIS(IKE), COOLOCE(VTT)5 溶融ジェット分裂挙動、粒子デブリの集積 FARO(JRC), ALPHA(JAERI), DEFOR-A(KTH)
6
再溶融:固相−溶融相間の相互作用、デブリ ベッド上への溶融デブリ落下、粒子デブリ内の 流路閉塞
Melt Progression(SNL), RASPLAV, MASCA(共にKurchatov Institute), CORA(KIT), REMCOD(KTH) 7 非対称キャビティでのコンクリート浸食 CCI(ANL) a. 溶融デブリのメルトスプレッド(ウェット床面上):既往設備PULiMSを用いてにデータを拡充する。 b. 溶融ジェット分裂挙動及び粒子デブリの集積:既存設備DEFOR-Aを用いて可能な範囲で溶融ジェッ ト径を拡大し、集積デブリの生成モデル構築のためのデータベースを構築する。 c. 固化相-溶融相の相互作用関連現象:熱電対及び可視化計測による溶融物流動観測が可能な新た な設備REMCODを製作し系統的データベースを構築する。 これらの実験は、「軽水炉の重大事故の重要物理化学現象にかかわる実験」において実施中。
2. 研究期間を通じた主要成果(7/17)
2.2.2(1) 圧力容器外溶融デブリ落下後のデブリベッド形成及び冷却性
(高解像度決定論的アプローチ)
複数モジュールから構成されるTHERMOSと呼ぶ解析コード体系の開発を進めることと
した。
これらのモジュールを単
独に用いた解析を可能と
しながら、最終的には複
数モジュールの組み合わ
せによる解析を可能とす
るスケーラブルな解析シ
ステムを指向してインター
フェイスを統一する。
THERMOSモジュール化コード体系図2. 研究期間を通じた主要成果(8/17)
2.2.2(1) 高解像度決定論的アプローチの開発
DPCOOL堆積層運動量保存定式化 IKE-DEBRIS実験のDPCOOLによる解析結果 (DPCOOLの開発)(2.2.2(1)②) プールについてはNavier-Stokes式を適用し、堆積層についてはErgunによる単相モデルをTung & Dhirが二相流に拡張したモデルを適用し、流動様式に関するSchmidt補正モデルを考慮した。 コードの妥当性確認として、IKEのDEBRIS実験において実施された誘導加熱かつ均一ポロシテ ィデブリベッドにおけるTop Flooding及びBottom Flooding実験との比較を実施し、基本的な現象 を十分に再現していることを確認した。2. 研究期間を通じた主要成果(9/17)
2.2.2(1) 高解像度決定論的アプローチの開発
(a) KATZ-12実験装置 (b) MSPREAD拡がり断面図 (c) MSPREADと実測及びTHEMEの比較 MSPREAD酸化溶融物組成 Al2O3, SiO2, FeO, MgO, MgO
=(83.0:8.5:6.0:1.5:1.0) 溶 融物温度 2303K (液相線+105K) 基盤組成 コーディエライトセラミックス 基盤温度 298K 雰囲気 空気、298K 、1気圧 溶 融物流入 時間0 (s) から 1 0.4 (s) において、体積流量を 12.752 ( L/ s) から 0 ( L/s ) に線形に減少 溶 融物 溜まり チャンネル 放出口 スロープ (MSPREADの開発)(2.2.2(1)③) 本現象では、水平方向のスケールに対して鉛直方向のスケールが小さいことから、上部及び 底部のクラスト成長を適切に考慮し、高さ方向メッシュ分割を行わずヘッドによる駆動力を精度 よく扱うことができる2次元浅水方程式を採用した。固相率が流動限界固相率を超えると流動 が停止することを表現するために、粘性係数の温度依存モデルとしてRamacciottiモデルと Stedmanモデルのいずれかを選択可能とした。 妥当性確認として、KITが実施したKATS-12実験に対する解析を実施した。上部及び底部クラ ストモデルをオフにし、粘性はRamacciottiモデルとした場合、拡がり速度を過大評価すること が分かった。 MSPREADにおける運動量保存式及びクラスト形成モデル KATS-12実験のMSPREADによる解析結果 KIT(Karlsruhe Institute of Technology; カールスルーエ工科大学)
2. 研究期間を通じた主要成果(10/17)
2.2.2(1) 高解像度決定論的アプローチの開発
(JBREAKの開発)(2.2.2(1)①) 溶融物分裂、液滴の集積、粒子デブリ堆積及び溶融デブリ堆積を扱う解析コードとして基本設 計を行った。MC3D等の既往FCI解析コードに関する文献をベースに、溶融ジェット–周囲流体の 摩擦、界面追跡法、溶融ジェットからの液滴発生等についてコードの仕様を検討した。界面追 跡法については3次元デカルト座標において非対称性を考慮するものとした。また、液滴発生 のメカニズムとしては、溶融ジェットと周囲流体の界面における不安定として、側面のKelvin-Helmholtz 型及び先端のRayleigh-Taylor 型のモデルに着目した。 (REMELTの開発)(2.2.2(1)④) 解析コードの基本設計のベースとするため、炉心溶融・リロケーションモデルの先進的研究を 調査した。ここでは、IKEのBuck等が開発した解析コードMESOCOに着目した。炉心損傷過程に おける相変化のモデル化において、ZrO2とUO2のZrによる溶解速度の差が大きいことから、これ等をUO2-Zr又はZrO2-Zrの擬似2元系に分離して扱い得ること、UO2、UO2-ZrO2、U-Zr-O、
ZrO2、Zr、Fe等の複数組成を含む固相及び溶融相から構成される損傷炉心内の保存式は、擬
2. 研究期間を通じた主要成果(11/17)
2.2.2(1) 高解像度決定論的アプローチの開発
(CORCAABの開発)(2.2.2(1)⑤)
規制庁が開発した簡易3次元MCCI 解析コードSOCCR-3D、2 次元MCCI 解析コードCOCO及び CORQUENCH、MEDICIS等の既往MCCI解析コードのモデル間比較に基づき、非対称体系のコン クリート浸食を実用的な解析時間において評価することが可能な解析コードの予備的仕様を作 成した。離散化及び数値アルゴリズムの実装はX-Y-Z 体系又はノッチ体系とし、キャビティ内デ ブリ境界条件、崩壊熱、浸食速度、側面・底面・上面クラスト成長及び上面クラストを通じての 冷却水浸透等に関するモデルを組み込むこととした。 (物性値ライブラリMAPLIBの開発)(2.2.2(1)④) 水及び水蒸気の物性値ライブラリと共に、本解析コードで扱う広範囲の溶融炉心、構造物及び コンクリートに関する物性値ライブラリを整備するものとし、必要な数式等についてまとめた。整 備する物性値の種類としては、比エンタルピ、溶融炉心の液相線-固相線及び固相率、溶融炉 心の熱伝導率、溶融炉心の粘性係数、溶融炉心の密度、表面張力及び放射率、コンクリート成 分、密度、放射率及び熱伝導率等とする。
溶融炉心の液相線-固相線図は完全酸化状態のUO2-ZrO2系に関するLamberston-Mueller相図 に基づく。コンクリート含有による液相線-固相線図の変化については、PWR相当の溶融炉心組 成についてRoche等が得たデータに基づき考慮する。これを、任意組成の溶融炉心に拡張する
2. 研究期間を通じた主要成果(12/17)
2.1.2(2) 圧力容器外溶融デブリ落下後のデブリベッド形成及び冷却性
(中解像度決定論的アプローチ)
As Tmax Mc+Ma (Vd) 保守的 アプローチ 例えばAht/Vdの最小化 Mc Ma Mp ブレークアップ (粒子化) 凝集 床面上の拡がり As JASMINE コード Tmaxまたはhd Aht 確 率密 度 Tablまたはhcool 成功 確 率 失敗 確 率 不確実性を考慮した 決 定論的手法の適 用 溶 融炉心の重量、温度(過熱度)、組成( 物 性)、ジェット径、 格納容器内の水プール温度や物 理 モデル等の不確実性に 依存するTmaxまたはhdの確 率 分布 成 功 確 率 水深 基準値 冷却可能 冷却不可 機構論的 アプローチ Tabl:コンクリートの 溶 融浸食温度 hcool:冷却可能な 溶 融炉心最大堆積深さ hd 日本原子力研究開発機が開発したFCI解析コードJASMINEを改良し、MCCI評価に関する確率論的アプ ーチを構築する。こでは、格納容器床面に堆積する溶融炉心デブリのうちMCCIに寄与するものの 質量(Mc及びMa)及び床面での 拡がり面積(As)を評価し、解析 条件の不確実性を考慮した多 数の解析によりMCCIに至らない 確率(すなわち、冷却成功確率 )を定量化し、最終的に溶融炉 心冷却成功確率と水深の関係 を得る。 中解像度確率論的アプローチに基づく溶融炉心-コンクリート相互作用評価概念2.2.2(2) 中解像度確率論的アプローチの開発
(溶融ジェット分裂モデルの開発)(2.1.2(2)①) 液滴化粒子の粒径分布として、Rosin-Rammler分布を 採用し、JASMINEに本分布に従って粒子を生成できる 機能を追加した。KTHが実施したDEFOR-A実験に基づ く解析では、異なる冷却水サブクール条件に対して、溶 融物粒子の空間分布や落下時の軌跡に違いが生じて おり、これらの傾向は実験と定性的に一致することを確 認した。 先に落下した 固相粒子群(grp2) 落下してきた 液相粒子群(grp1) 重なり部分を除く 床面投影面積: Sgrp 判断の評価指標Φ = Spar / Sgrp 粒子断面積 の総和: Spar grp1 grp2 液滴集積として、床面又 は溶融物プールの上面ク ラストの上に落下した溶融 粒子について、落下点近 傍の粒子との接触状態や 粒子温度から評価するモ デルをJASMINE追加し、 実験で計測された集積割 合の傾向をおおむね再現 できることを確認した。 DEFOR-A2代表粒子飛跡 DEFOR-A2解析結果 液滴粒子の集積判断ロジック 0.5 1.0 1.5 0 20 40 60 80 100 水深 (m) DEFOR-A5 今回モデル 実験結果 液体粒子割合 ア グ ロ メ レ ー シ ョ ン 質 量 割 合 [ % ] 集積モデルあり 集積モデルな し 実験結果 集 積 粒 子 の 質 量 割 合 (% ) DEFOR-A5集積判断ロジック確認結果KTH: Kungliga Tekniska Högskolan; スウェーデン王立工科大学
2.2.2(2)中解像度確率論的アプローチの開発
(メルトスプレッドモデルの開発)(2.1.2(2)② ) JASMINEの溶融物プール計算モデルを改良し、水中 での溶融物伝熱流動の解析の精度を向上させると共 に、左図に示す2点の改良を追加した。 a. 溶融物と床の接触点温度を正確に評価するため 床内熱伝導の解析機能 b. 基盤床又は溶融物から発生したガスにより溶融物 中にボイドが生ずることによる浮力増大 改良したコードをKTHのPULiMS実験の解析に適用したとこ ろ、床面への伝熱量が減り実験結果と同様に底部クラスト が上部クラストよりも薄くなり、また、溶融部先端の進展速 度が実験結果とおおむね一致した。一方、溶融物中ボイド が拡がりに及ぼす影響は見られず、拡がりは依然として過 大評価となった。 床面上の溶融炉心拡がりモデルの改良 床コンクリート 水プール 溶融物 表面クラスト 底クラスト 自由水蒸発 CO2発生 結合水分離 r T: Temp. Tc hp dcr Melt jet Top crust Tav Tsf Tm Tfix dbWater/ Steam two phase flow
Melt pool
Melt particles
Bottom crust
Tm
2.3 シビアアクシデント時ソースターム評価技術高度化
PRA(Probabilistic risk assessment; 確率論的リスク評価)では、発生し得る事故の
発生頻度とその影響の積をリスクとしていることから、その活用を促進していく観点か
らソースターム評価の精度を向上することは重要である。
燃料からの
FP放出、放出時のFP化学形・化学的安定性及び環境放出までの移行過
程に分類し、既往実験データ及び新規実験から得られるデータに基づくモデルの改
良を行った。
具体的アプローチ
分子状ヨウ素や有機ヨウ素、
BWR制御材に含まれるホウ素がヨウ素及びセシウムの
化学形に及ぼす影響や、その結果として生ずる格納容器圧力抑制室プール水の
pH変
化等の影響を詳細に扱えるようにモデルを改良する。
総合SA解析コード:THALES2
ヨウ素化学解析コード:KICHE
による連携解析ツールの高度化
2. 研究期間を通じた主要成果(15/17)
2.3 シビアアクシデント時ソースターム評価技術高度化
(発生) 核分裂物質放出モデルの拡張のため、雰囲気条件(還 元性、不活性及び酸化性)を考慮できる放出モデルで あるCORSOR-MRを導入した。 CORSOR-MRモデルを使用した場合、同モデルのベー スであるCORSOR-Mモデルと比べてCsの放出が緩やか となり、放出が長く継続した。 (化学形態) 原子炉冷却系内におけるCs化学及びI化学のモデル化に 柔軟に対応するため、従来から考慮していたCsI、CsOH等 に加え、HI、Cs2MoO4、CsBO2を取り扱い可能な化学種に 追加した。 Csの化学形をCsOH、CsBO2あるいはCs2MoO4とした場合、 個々の物性、特に蒸気圧特性の違いにより原子炉冷却系 内におけるCs沈着量に2倍程度の差異が生じ得ることが 示された。 0 1 2 3 4 5 6 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 Core support plate fail R e le as e f ra c ti o n fr o m f u el ( -) Time (hours) CORSOR-MR CORSOR-M Core melt start 時間(hour) 燃 料 か ら の 放 出 割 合 炉心支持板 損傷 炉心溶融 開始 0 5 10 15 20 10-4 10-3 10-2 10-1 100 S/C PCV fail CSOH case CSBO case CSMO case Time (hours) F ra c ti o n (-) RCS ENVI 時間(hour) 存 在 割 合 格納容器破損 圧力 抑制室 環境 原子炉 冷却系 燃料からの放出モデルの比較 化学種による領域ごと存在割合の比較2. 研究期間を通じた主要成果(16/17)
2.3 シビアアクシデント時ソースターム評価技術高度化
VICTORIA及び代替統計モデルによる主要化学物質放出割合の比較
(a) ヨウ素 (b) ヨウ化水素 (c) ヨウ化セシウム (代替統計モデルに基づく熱化学平衡計算機能) 格納容器内化学反応・放射性 物質移行解析コードVICTORIA によるデータベース ノンパラメトリック・ベイズ法 を用いた学習モデル ヨウ素、セシウム等の元素濃度、 雰囲気組成及び雰囲気温度と いった入力パラメータに対して、 計6種類のFP化学種の平衡組成を 求める代替熱化学計算モデル2. 研究期間を通じた主要成果(17/17)
3. まとめ
1.
(成果)原子炉施設で著しい炉心損傷に至った場合の
圧力容器内炉心損傷・溶融進展
圧力容器外溶融デブリ落下後のデブリベッド形成及び冷却性
ソースターム
について、SA現象における国内外専門家による課題抽出結果及び我が国に
おけるSA対策の動向を踏まえて解析コードの開発を実施した。
2.
(既に活用された成果)溶融ジェット分裂、メルトスプレッド及び粒子化デブリの
セルフレベリングによる平坦化に関するモデル化を通じて得られた知見は、実
機体系でのFCI及びMCCIに関連する不確実性の影響に関する最新知見として
有効性評価の技術支援に活用された。
3.
(今後公表が期待される成果)「圧力容器外溶融デブリ落下後のデブリベッド
形成及び冷却性」においては、一部の現象領域においてプロトタイプコードが
整備され、主要なモデルに関する妥当性確認も実施されており、その成果を
適宜国内外の学会等で公表していることから、こうした情報をとりまとめてジャ
ーナルへの投稿を検討している。「ソースターム」については、THALES2/
KICHEが整備され所期の性能が確認されたことから、今後、成果を国内外の学
会等で公表していくことを検討している。
4. 成果の活用について
1.
プロジェクト時間内
圧力容器外のデブリ冷却に関する知見の調査を通じて得られた知見は、
FCI及びMCCIに関する最新知見として審査の技術支援に活用された。 FCI
におけるプール水深効果及び粒子状デブリのポロシティ、セルフレベリング
等によるコンクリート浸食等への影響等の検討の技術支援に活用した。
2. 今後の見通し
炉心損傷から、リロケーション、圧力容器下部破損、そしてデブリベッド形成
に至る過程について、現象の幅を評価することができれば、そこから派生す
る
DCH、FCI、MCCI等、格納容器機能喪失に関わる現象における初期・境
界条件の不確実性について合理的な議論が可能となり、レベル
2PRAの分
岐確率の評価の合理化に繋がることが期待される。
THALES2/KICHEが高度化され、ソースターム評価の信頼性が向上するこ
とにより、環境影響と発生頻度の積として総合的に評価する手法の信頼性
が高まることは、将来的な安全性向上に資すると期待される。
5. 成果の公表等
5.1 NRA技術報告 なし
5.2 論文投稿
A) T. Okawa and T. Nakajima, “Modeling and Verification of Three-Dimensional Simulation for BWR In-Vessel Core Degradation,” Annals of Nuclear Energy, Vol.101, 182-195(2017).(査読あり)
B) T. Okawa, S. Shiba and T. Nakajima, “Physical Model Features and Validation Status of Three-Dimensional Simulation Model for BWR In-Vessel Core Degradation,” Annals of Nuclear Energy, Vol.105, 168-183(2017).(査読あり)
5.3 国際会議プロシーディングス
C) Tsuyoshi Okawa, Hiroshi Endo, Toshihisa Yamamoto, Tomoko Ishizu et al., “Development of Mechanistic Core Degradation Analysis Code and Plan for Validation Experiments toward the Regulation of Fukushima Daiichi NPS, ANS Winter Meeting and Technology Expo,” Washington, DC, November(2013). (査読なし)
D) T. Okawa and T. Nakajima, “Multifunction Model Features and Current Status for BWR Core Degradation. 2016 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP2016) ,” San Francisco, CA, USA, April(2016).(査読あり)
E) T. Okawa and T. Nakajima, “Validation of Multifunction Model for BWR Core Degradation on DF-4, QUENCH-06 and CORA Experiment, The Nuclear Materials Conference (NuMat2016) ,” Montpellier, France, November(2016).(査読あり)
F) T. Okawa and S. Shiba, “Validation Progress and Exploratory Analyses of Three-Dimensional Simulation Model for BWR In-Vessel Core Degradation,” ERMSAR 2017, 8th Conference on Severe Accident Research, Warsaw, Poland, May(2017). (査読あり)
5.4 学会発表 G) 堀田亮年、秋葉美幸、森田彰伸、「格納容器内先行注水による溶融炉心冷却挙動に関する研究 (1) 全体計画」、日本原子力学会2016 年 秋の大会、平成28年9 月(査読なし) H) 堀田亮年、土井悠生、秋葉美幸、「デブリベッド冷却性解析コードTHERMOS-DPCOOLの開発 (1) 理論及び検証」、日本原子力学会2017 年 春の年会、平成29年3月(査読なし) I) 土井悠生、堀田亮年、秋葉美幸、「デブリベッド冷却性解析コードTHERMOS-DPCOOLの開発 (2) 実験に基づく妥当性確認」、日本原子力学 会2017 年春の年会、平成29年3月(査読なし) 5.5 その他
J) A. Hotta, M. Akiba and H. Hoshi, “Current Severe Accident Research Activities in S/NRA/R Japan, IAEA Training Meeting on Post Fukushima Research and Development Strategies and Priorities,”Vienna, Austria, December(2015).(査読なし)