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マトリョーシカ 目 次 教 科 書 ロシア 語 会 話 編 導 入 部 ロシア 語 のアルファベット Русский алфавит 1 第 1 部 さあ 始 めよう Начнём! 第 1 課 3 第 2 課 7 第 3 課 春 ですね сна! 11 第 4 課 どれがおいしいの т вку с

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(2)

『マトリョーシカ』 目次

教科書 ロシア語会話編

導入部 ロシア語のアルファベット

Русский алфавит

1 第 1 部 さあ、始めよう

Начнём!

第1課 3 第2課 7 第3課 春ですね

сна !

11 第4課 どれがおいしいの

т вку сн ?

14 第5課 友だちになれますか

н с а ми нак мит с ?

18 第2部 モスクワにようこそ

а л ват в скву !

第6課 22 第7課 万事順調

сё в дк !

25 第8課 ロシア語が完璧ですね

к а сн в и т - у сски!

29 第9課 申し分のない暮らしぶり

иву к а сн !

32 第 10 課 モスクワ・街並み

сква ! ли !

36 第 11 課 いいお家ね、すごい

ака к а сна ква ти а!

39 第 12 課 仲良くしよう

ава йт д у и т !

42 第 13 課 おやすみなさい

к йн й н чи!

46 第 14 課 ロシアレストラン

Ру сский ст а н лки- а лки»

49 第 15 課 たんと召し上がれ

и тн а ти та!

53 第 16 課 ご出身はどちら?

тку да в ?

57 第 17 課 すべてはこれから

сё в ди !

61 第 18 課 9月1日

в с нт

65 第 19 課 日曜日何をしますか?

т в д ла т в в ск с н ?

69 第 20 課 偉いぞ!

л д !

73

(3)

II

第 2 部

ロシアフォークロア案内編

第1回 ロシアの妖怪(1) 1 第2回 ロシアの妖怪(2) 3 第3回 ロシアの昔話 5 第4回 ロシアの魔法昔話 7 第5回 ロシアの伝統的な暦と祝日 9

ロシア音楽案内編

第1回 グリンカ、ルビンシテイン兄弟 11 第2回 「ロシア五人組」(1)― バラキレフ、キュイー 13 第3回 「ロシア五人組」(2)― ボロディン 15 第4回 「ロシア五人組」(3)― ムソルグスキー 17 第5回 「ロシア五人組」(4)― リムスキー=コルサコフ 19 第6回 チャイコフスキー 21 第7回 リャードフ、タネーエフ、アレンスキー、グラズノフ 23 第8回 ラフマニノフ 25 第9回 スクリャービン、グリエール、メトネル 27 第 10 回 ロシア・アヴァンギャルドの作曲家、ストラヴィンスキー 29 第 11 回 プロコフィエフ 31 第 12 回 ショスタコーヴィチ 33 第 13 回 ハチャトゥリャン、カバレフスキー、スヴィリードフ、シチェドリン 35 第 14 回 デニーソフ、グバイドゥーリナ、シュニトケ、ペルト、カプースチン、 ローゼンブラット 37

(4)

ロシア文学案内編

第1回 プーシキン 39 第2回 レールモントフ 41 第3回 ゴーゴリ 43 第4回 トゥルゲーネフ 45 第5回 ドストエフスキイ 47 第6回 トルストイ 49 第7回 チェーホフ 51 第8回 ブーニン(ノーベル賞作家①) 53 第9回 20 世紀の詩人 55 第 10 回 パステルナーク(ノーベル賞作家②) 57 第 11 回 ブルガーコフ 59 第 12 回 ナボコフ 61 第 13 回 ソヴィエト期の詩人・作家(ノーベル賞作家③⑤) 63 第 14 回 ソルジェニーツィン(ノーベル賞作家④) 65 第 15 回 現代作家 67 その他 読書案内 69

ロシア人のくらし案内

第1回 ロシア連邦の一口メモ・ロシア文字の成立 73 第2回 ロシア生まれのキャラクター チェブラーシカ、マトリョーシカ 75 第3回 ロシアの民族楽器 77 第4回 ロシアのスポーツ サッカー、アイスホッケー、サンボ 79 第5回 ロシア料理 アラカルト 81 第6回 ロシア人 生まれてから死ぬまで 誕生・学校 84 第7回 ロシア人 生まれてから死ぬまで 兵役・結婚 86 第8回 ロシア人 生まれてから死ぬまで 新居・葬式 88 第9回 ロシア人のつきあい方 補遺 ロシアのことわざ 91 第 10 回 ロシア人の名付け 99 第 11 回 ロシア人のジェスチャー 101 第 12 回 入浴習慣と国際トラブル、ロシアの温泉療法 103 第 13 回 シベリアの森林火災と地球温暖化 106 第 14 回 流氷と豊かなオホーツク海 108 第 15 回 クイズでわかるロシア学入門 110 特別付録 札幌大学ロシア語フェスタ案内 114

(5)

« ат ёшка »

53

第15課

к 15

(

дц

ь)

たんと召し上がれ

г !

1.

л ва .

この課に出てくる単語

2.

Г амматика.

文法モデルと練習

[モデル1]動詞

ст , ит

は現在形で特殊変化をする。 食べる 飲 む

с ь

и ь

単 数

м

ю

т

шь

ёшь

н а )

с

ё

複 数

м

д

м

ём

в

д

ё

ни

д

ю

Задани 1

【課題1】モデル1にならって動詞を変化させなさい。

1)

а а и ма ма ст ) суши и ит ) лён й чай.

2)

– т в ст ) и ит )?

– ст ) сала т и ит ) в ду.

[モデル2]名詞の造格。この格を求める前置詞と結びつき、前置詞に応じて意味を表す。 [例]前置詞

с

は造格と結合して、「~を伴った」という意味を表す。辞書を参照せよ。

1 в да

9 м л к

ミルク

2 ди

та

ダイエット

10 м

н

アイスクリーム

3 на

11 м

с в ш чк

肉野菜の壺焼き

3 ака

ват

注文する

12

д

食事

4 лён й

緑の

13 ит

飲む

5 ка у

ста

キャベツ

14 с

~を伴う

6 к

ф

コーヒー

15 сала

т

サラダ

7 м н

メニュー

16 са

ха

砂糖

8 фи иа

нт

ウエイター

17 чай

紅茶、緑茶

а л ват !

ようこそ。

(6)

« ат ёшка »

ис

и ки

с

и с

м

米入りのピロシキ

ка у ста

и ки

с

ка у ст

й

キャベツ入りのピロシキ 硬子音字

-

男 性 主 格

стака

му

й

авт м и л

ь

造 格

стака н

м

му

м

авт м и л

м

-

-

女 性 主 格

к мнат

н д л

т т а д

ь

造 格

к мнат

й

н д л

й

т т а д

ью

-

-

中 性 主 格

м ст

м

и

м

造 格

м ст

м

м

м

и

м м

人称代名詞の造格は、以下のように変化する。 単 数 複 数 主 格

т

н

на н м

в

ни

造 格

мн й т й им

й

им на ми ва ми и ми

Задани 2

【課題2】メニューをみて、あなたが欲しいと思うものを注文しなさい。

М

к

«

М

АТРЁШКА»

カフェメニュー

к

с с м

チーズ入りピロシキ

Ч й

紅茶

и ки с м с м

挽肉入り

ай с лим н м

レモン入り紅茶

и ки с й

魚入り

ай с м л к м

ミルク入り

и ки с ка у ст й

キャベツ入り

и ки с и а ми

キノコ入り

ё н й к ф

ブラックコーヒー

с м л к м

ミルク入り

ф с лим н м

レモン入り

(7)

« ат ёшка »

55

Задани 3

【課題3】例にならって、造格を使った表現を完成させなさい。 [例]

чай / са ха

чай с са ха м.

紅茶・砂糖 → 砂糖入りの紅茶

A. 1)

к ф м л к

2)

и ки с

3)

и ки ка у ста

B. 4)

му на

5)

с а ка к шка

6)

а и на нт н

3.

Т кст.

テキスト

а и на с му м нт н м и и ки с н й к в ст а н

лки- а лки». и ки и к ака ва т у сский д. ни д т

сала т, , м с в ш чк , м н . и ки ёт к ф . к

ёт чай с са ха м.

нт н и а и на на ди т . ни д т и ки с ка у ст й и т

в ду. ак ма л !» – в и т к . Н ма л н » – в и т нт н.

Задани 4

【課題4】4人それぞれの注文内容を日本語で答えなさい。

Задани 5

【課題5】ロシア人夫妻が小食な理由は何ですか。また、日本人夫妻がたくさ んの注文をした理由は何ですか。考えてみよう。

4.

Русский этик т.

ロシア料理エチケット

伝統的なロシア料理は、4ステップに分けて食べることになっている。まずは冷菜と呼ば れるグループで、これにはサラダや塩漬け、ニシンなどが該当する。次は、第1コースの料 理であり、これは各種の野菜や魚スープが大勢を占めている。ボルシチやウハーが世界的に 知られている。第2コースの料理では、肉や魚のホットな料理が食卓を飾る。ビーフストロ ガノフやカツレツの名前は、君たちも耳にしたことがあると思う。最後が、第3コースだが、 もはやデザートに等しい。アイスクリームやクッキー、フルーツ類で料理は締めくくられる。 飲み物は一般的には、コンポート(果物の甘露)やキセーリ(澱粉でとろみをつけた飲み物) だが、最近は紅茶やコーヒー、ジュースに変わっている。 日 本 で は 「 い た だ き ま す 」 と 食 事 の あ い さ つ を す る が 、 ロ シ ア で は

и тн

а ти та!

(たんと召し上がれ)と言う。但し、これは自分に向けたことばではなく、食事 中の人に対して、または食べ始めようとしている人に向けたことばであることに注意したい。 フランス伝来の習慣である。 肉野菜の壺焼き料理

(8)

« ат ёшка »

5.

иал .

対 話

聞いて繰り返しなさい。

1. аки

х ти т аку ски?

どんな前菜がいいですか。

2. т на

в ?

スープ類は何に。

3. т на вт

?

メインは何に。

4. т на т

т , на д с т?

デザートには何。

5. и

тн а ти та!

たんと召し上がれ。

Задани 6

【課題6】聞いて繰り返しなさい。

Официа нт:

а л ват ! х ти т дат ?

Хироки:

а, дат .

Официа нт:

аки х ти т аку ски?

Хироки:

а луйста,сала т.

Официа нт:

т на в ?

Хироки:

На в , а луйста, .

Официа нт:

т на вт ?

Хироки:

На вт , а луйста, м с в ш чк .

Официа нт:

т на т т , на д с т?

Хироки:

На д с т, а луйста, м н .

Юко:

, а луйста, чай с са ха м.

Официа нт:

д ди т н мн !

(5分後にウエイターが料理と飲み物を運んでくる。)

Официа нт:

и тн а ти та!

6.

Ра в .

会話練習

Задани 7

【課題7】

на аку ску, на в , на вт , на д с т, и,

а луйста,…

などのフレーズを使って、ロシア料理を注文しなさい。

7.

ис м .

書き方練習

Задани 8

【課題8】課題7をロシア語に訳して、ノートに書きなさい。

8.

машн адани .

宿 題

Задани 9

【課題9】ロシア料理レストランでの昼食を想定して会話文を作りなさい。

(9)

1 19 世紀半ばのルボーク

第1回 ロシアの妖怪(1)

(

1

)

「妖怪」などというと、いかにもおどろおどろしい。しかし、ロシアに古くから伝わる 妖怪たちは、実はそれほど「おどろおどろしい」わけではない。彼らはロシア語で「不浄 なる力

н чи ста си ла

」「不浄なる精

н чи ст й дух

」といった、否定的価値観を伴う 名前で呼ばれている。だが、彼らはもともと森や川といった自然的空間の主、家屋の守り 神として畏れられる同時.に崇められる存在だった。それが、10 世紀にロシアの国教とし てキリスト教が受容された結果、キリスト教的見地からみて、邪教、異教に属する「不浄 な」存在として貶められたのだった。 ここで紹介するレーシー、ヴォジャノイ、ドモヴォイ、ルサールカは、いずれもロシア に古くから伝わる伝統的な妖怪である。彼らは人間に益を与え、また祟る存在であるが、 時には人間に一杯食わされ、自ら失敗を犯すこともある。そうした、ある意味人間的 (?) な 一面が、ロシアの妖怪たちの魅力といえよう。 これらの妖怪たちは、口承伝承(フォークロア)によって語り継がれてきた。どのよう に語り継がれてきたのか、以下に簡単に紹介しよう。

1.レーシー

Л ш й

ロシア(特に北ロシア)、ベラルーシ東部、ウクライナ東 部で知られる森の精霊、森の主、森の全ての生き物と植物の 守護者である。名前は、森を意味する「

л с

」に由来する。 いろいろな姿(普通の農夫、老人、知り合い、巨人、毛む くじゃら、角がある、鹿などの動物等)で現れる。周囲の木 や草の丈に合わせて背の高さを変化させるともいわれる。人 間の姿の場合、衣服を表裏あるいは左右逆に着ており、靴も 前後逆さに履いているという。眉や睫毛が無いともいわれる。 森の生き物たちの守護者として、動物たちを守り、養って いる。つむじ風となって森に異常がないかを見回っていると いう。 人間に対しては、基本的に敵対的であり、森の中で高笑いや 口笛、手を叩く音を立てて人を道に迷わせると考えられている。人をさらうともいわれ、 レーシーの家族のもとでしばらく暮らして戻ってきた人や、さらわれてレーシーの妻とな った女の話も伝えられている。 レーシーから身を守るには、レーシー同様に衣服を逆に身に着けるといいという。また 十字架や祈りの言葉も効果的である。

(10)

19 世紀半ばのルボーク ロシアの妖怪譚① 賭博をするレーシー ロシアのレーシーたちがシベリアのレーシーたちと大掛かりな賭博をした。勝ったのは ロシア側だった。負けたシベリアのやつらは賭けたリスを自分たちのタイガからトボーリ スクを超え、ウラル山脈からさらにペチョラ川、メゼニ川流域の密林へと追っていった。 レーシーたちはこういう大規模な賭博以外にも、毎日のように近所の仲間内で小さな賭博 をやり、ウサギやリスを林から林へと追い立てているんだ。【斎藤君子『ロシアの妖怪たち』 大修館書店、1999 年、12~13 頁。】

2.ヴォジャノイ

д й

スラヴではさまざまな水の精が知られるが、ロシアの水の 精はヴォジャノイと呼ばれ、川、湖、沼、池といった淡水に いるとされる。名前は水を意味する「

в да

」に由来する。 ヴォジャノイは水死者と結び付けて考えられることが多い ためか、他の妖怪たちと比べて凶悪なイメージが強く、「悪魔 (チョールト)」と呼ばれることもある。 ヴォジャノイもまた、いろいろな姿(仔羊、子ども、犬、 鴨、白鳥、魚、老人、全身藻に包まれた/全身緑色の人間等) をしており、水辺に坐っていたとか、歩いていた、という形 で語られることが多い。 ヴォジャノイは人間を水に引き込むといわれ、特に聖イリ ヤの日(旧暦7 月 20 日)、イワン・クパーラ(夏至祭)、聖ペ テロの日(旧暦6 月 29 日)には生贄を求めていると考えられた。 そのため、これらの日には水浴びは控えられた。また水難による犠牲者を出さないため、 決まった日にヴォジャノイへの捧げものとして食べ物やタバコが水中に投じられた。 このように、人間に対しては容赦ないヴォジャノイであるが、漁師や粉屋、養蜂家から は供物をもらい、その代わりに援助を与えるという、互助関係を持つと考えられた。 また、日本の河童が馬と深い関係を持つことはよく知られているが、興味深いことにヴ ォジャノイも牛馬と密接な繋がりを持ち、大切に飼育しているといわれる。ヴォジャノイ も十字架と祈りに弱く、また雷を恐れると考えられている。 ロシアの妖怪譚② 人を水中に引き込むヴォジャノイ あるとき水に溺れた若者を探していたが、見つからなかった。そこで白樺の薪を投 げ入れて、「チョールト、チョールト! この薪を受け取って、替わりに遺体を返して おくれ」といった。すると薪が沈んだ場所で死体が見つかった。【斎藤君子『ロシアの 妖怪たち』大修館書店、1999 年、63 頁。】

(11)

23

第7回 リャードフ、タネーネフ、

アレンスキー、グラズノフ

1.「第 3 世代」 グリンカらの世代を「第1 世代」、「五人組」やチャイコフスキーらを「第 2 世代」 と呼び、その第2 世代の弟子たちを「第 3 世代」と呼ぶことがある。一般的な知名度 の低い作曲家が多いが、第2 世代の業績を幼少時より吸収し、ロシア音楽を大きく発 展させた功績は非常に大きい。また、この世代はピアノ音楽と室内楽が特に発展した。 1880 年代、ペテルブルグで産業資本家ベリャーエフを中心とした「ベリャーエフ・ グループ」が誕生する。そこではリムスキー=コルサコフやボロディンらが長老とな り、リムスキー=コルサコフの弟子リャードフ、グラズノフを中心に数多くの若い音 楽家が集まった。これらの音楽家の集団は「ペテルブルグ楽派」と呼ばれる。 一方、モスクワでは、第6 回で触れたメック夫人のほか、鉄道建設で成功したマモ ントフなどのパトロンによる財政的支援に支えられながら、チャイコフスキーやその 弟子タネーエフらに教わった一連の音楽家たちがモスクワ楽派を形成していく。 2.リャードフの生涯と作品 ア ナ ト ー リ ー ・ コ ン ス タ ン チ ノ ヴ ィ チ ・ リ ャ ー ド フ (Анатолий Константинович Лядов, 1855-1914 ) は ペ テ ル ブ ル グ 生 ま れ 。 1870-78 年にペテルブルグ音楽院でリムスキー=コルサコフに作曲を 師事。78 年からペテルブルグ音楽院、85 年から宮廷合唱学校で作曲 などを教える。70 年代に「五人組」と深く関わり、その伝統を受け継 ぐ。 小形式の作品ばかりを手掛け、《8 つのロシア民謡》のほか、ロシアのおとぎ話を題 材にした《バーバ・ヤガー》、《キキモラ》、《魔法にかけられた湖》などの管弦楽曲が 有名。また、繊細な書法に満ちたピアノ作品を多く残し、スクリャービンら次世代に 与えた影響も大きい。 3.タネーエフの生涯と作品 セルゲイ・イヴァノヴィチ・タネーエフ(Сергей Иванович Танеев, 1856-1915)は、ロシアの古都ヴラジーミル出身。モスクワ音楽院でピ アノをニコライ・ルビンシテインら、作曲をチャイコフスキーに学び、 演奏と作曲の両方で金賞を獲得して音楽院を卒業。78 年からモスクワ音 楽院で教鞭を執り、85 年院長に就任。名教師として名高く、弟子にスク リャービン(第9 回参照)、ラフマニノフ(第 8 回参照)その他がいる。 出版された作品数は大変少ないが、4 曲の交響曲、弦楽四重奏曲など

(12)

の室内楽曲、オペラ、合唱曲、ピアノ曲、正教会聖歌など、実際には多数の作品を残 している。構築性に富み、古典主義的な作風が特徴と言われるが、後期には、国内外 の新しい音楽の潮流を研究し、自分なりの新たな音楽の模索も続けていた。 4.アレンスキーの生涯と作品 ア ン ト ン ・ ス テ パ ノ ヴ ィ チ ・ ア レ ン ス キ ー (Антон Степанович Аренский, 1861-1906)はノヴゴロド生まれ。1879 年にペテルブルグ 音楽院に入学、作曲をリムスキー=コルサコフに師事。1882 年に金メ ダルで卒業し、翌 83 年にはモスクワ音楽院から講師に招請され、1889 年には教授に昇進。モスクワではタネーエフやチャイコフスキーらと 親しく交わり、大きな影響を受けた。また、在任中にラフマニノフや グリエール(第 9 回参照)など多くの逸材を輩出した。 1895 年にモスクワ音楽院を退き、ペテルブルグ帝室礼拝堂合唱団の楽長に就任し、 1901 年までピアニスト、指揮者として幅広く活躍した。その後は豊かな年金を与えら れ、公職に就かずに過ごした。最期は結核に命を奪われた。ペテルブルグ楽派とモス クワ楽派をつなぐ役目も果たし、ロシア音楽史における功績は大きい。 ピアノの小品が多いが、その他に交響曲、オペラ、合唱曲、バレエ音楽、歌曲その 他多くのジャンルで曲を残している。作風は極めて洗練された和声と抒情的で美しい 旋律が特徴的である。室内楽(ピアノ三重奏曲、ピアノ五重奏曲、弦楽四重奏曲)や 2 台ピアノのための組曲(全 5 曲)などが傑作として知られる。 5.グラズノフの生涯と作品 アレクサンドル・コンスタンチノヴィチ・グラズノフ(Александр Константинович Глазунов, 1865-1936)は、ペテルブルグ生まれ。 リムスキー=コルサコフのもとで音楽の教育を受けた。その後リャー ドフと並んで「ベリャーエフ・グループ」の中心的存在になっていく。 1899 年にペテルブルグ音楽院の管弦楽法の教授に就任、1905 年 2 月 に院長に就任。28 年に西欧に出国し、30 年頃からパリに落ち着く。 オペラ以外のほぼあらゆるジャンルで作品を多数残している。特にバレエ音楽(《ラ イモンダ》、《四季》)、交響曲、ヴァイオリン協奏曲などがよく知られる。 グラズノフの作品は、初期には「五人組」の圧倒的な影響のもと、国民主義・民族 主義的な作品を基調とするが、しかし当初から洗練された音楽理論に基づき、色彩的 で華麗な管弦楽法や豊かな和声法を特徴とする。 しかしその後、1880 年代後半以降モスクワのチャイコフスキーやタネーエフに強い 影響を受け、深い抒情性や対位法的な構築性も身につける。

(13)

41

第2回 レールモントフ

ихаи л вич м нт в, 1814-1841)

1. 生涯と作品 モスクワ生まれ。父方はスコットランド系の貴族、母方は裕 福な地主貴族の家系。3 歳で母を亡くし、母方の祖母に養育さ れる。父は祖母と折り合いが悪く、面会もまれだった。早くか ら詩作をはじめ、初期の詩には『帆』(1832)などがある。 1837 年、プーシキンの悲劇的決闘死を悼む『詩人の死』を寄 せ、一躍時の人となる。しかし、このことは皇帝ニコライ I 世 の不興を買うきっかけともなる。度々カフカースに左遷され、 1841 年、プーシキン同様、陰謀めいた決闘で生命を落とした。37 歳で亡くなったプーシキ ンよりも 10 年短い、27 年に満たない生涯だった。代表作は、物語詩『ムツィリ(修道僧)』 (1839)、『悪魔』(1829-1839)、連作小説『現代の英雄』(1840)など。文才以外に、楽才(ヴ ァイオリン、ピアノ)、画才にも恵まれており、多くの風景画や自画像をのこしている。 2. レールモントフ原作の音楽作品、舞台芸術、美術、映像作品 音楽作品としては、アントン・ルビンシテインのオペラ『悪魔』(1871)、バラキレフの 交響詩『タマーラ』(1882)、ハチャトゥリャンの組曲『仮面舞踏会』(1944)などが知られ ている。代表作はすべてソヴィエト時代に映画化されている。近年では、パラジャーノフ 監督の遺作『アシク・ケリブ』(1988)が話題になった(日本語字幕 DVD あり)。 挿絵も多く描かれ、レーピン、セロフ、クジミンなどの作品がある。 レールモントフ自画像 レールモントフの油彩画 レールモントフの油彩画 『カラシニコフの歌』(レーピン) 『預言者』(レーピン) 『現代の英雄』(レーピン)

(14)

レールモントフ作品に寄せられた絵画として最も有名なのは、ヴルーベリの『悪魔』シ リーズである。モスクワのトレチャコフ美術館には、ゆうに 2 メートルを超える作品群が 所蔵されている。 3. 作品紹介 レールモントフの詩には多くの作曲家が曲を寄せた。世界中のさまざまな歌手を魅了し つづける『コサックの子守唄』の一部を鑑賞しよう。この歌は、レールモントフがカフカ ース追放中に、現地で採集したものである。自治軍事集団であるコサックに生まれた男児 は、長じて兵士になることが運命づけられていた。幼な子の成長を喜び慈しみながらも、 その将来を案じる母の複雑な心情がうかがわれる。 (抜粋) お前は勇士になるでしょうね ат т у д ш с ви ду 真のコサックに ка а к душ й. 私がお前を見送りに出ると ― в а т т в йду — きっと手を振ることでしょう… Т махнёш ук й… ひっそりと どれほど苦い涙を к л к ких слё ук а дк й 私はその夜流すことでしょう!… в ту н ч л !.. 眠れ 私の天使よ 静かに 安らかに и, м й а н л, ти х , сла дк , ねんねんころり а шки- а . (1838 年) 1838 г. 『仮面舞踏会』(クジミン) 『仮面舞踏会』(クジミン) 『現代の英雄』(セロフ) 『タマーラと悪魔』 (ヴルーベリ) 『タマーラと悪魔』 (ヴルーベリ) 『棺の中のタマーラ』 (ヴルーベリ) 『座る悪魔』 (ヴルーベリ)

(15)

81

第5回 ロシア料理 アラカルト

1.ロシア料理の特徴と基本的要因

1.塩漬けや酢漬けの野菜、キノコが用いられる。 2.ビーツ(赤カブ)やライ麦を多用する。 3.川魚や野禽を用いる。海魚は伝統的な調理にほとんどない。 4.果物の保存法として、もとの形の残るジャムが好まれる。 5.前菜とスープの種類が豊富である。 6.大きさ、形、中身の組み合わせによってさまざまなパイが作られる。 7.料理の味付けは主に塩とコショウだが、香草(ハーブ)をふんだんに用いる。 2.食器の歴史 1)スプーン ○『過ぎし歳月の物語』(996 年)に登場し、もっとも古くから使用された。 「我らには頭痛の種がございます。陛下は我らに銀ではなく、木のスプーンを使うように 命ぜられました。」酒宴になると、親衛隊はこのように不満を漏らしたものだった。これ を聞き、ウラヂーミル大公は銀のスプーンを作るように命じた。曰く、「金や銀で汝らのよ うな親衛隊を得ることはできない。余は親衛隊と一緒になって金銀を得ることにしよう。 我が祖先がやったと同じようにな」と、記録に残されている。 ○「備えある客は、スプーンなしでは来ない」(ロシアの諺) ○「敵にスプーンは贈らない」(ロシアの諺) 女性から男性に(豊かな食事や幸福の意味で)スプーンを贈る習わしがある。 2)ナイフ ○当初は万能ナイフとして使用された。 ○食卓用ナイフの出現は、18 世紀以降。 3)フォーク ○18 世紀以降にヨーロッパから伝来する。 4)皿や食器類 ○食卓に置いた深皿(ミスカ)から各自が食物を取り分ける。 ○壺(ガルショーク)は調理、食事、保存などあらゆる用途に使用された。

3.壺こそ伝統の守り手(ロシア料理エッセ-)

もしあなたがグルメならば、後にした故郷を思い起こす大事なよすがとなる料理に当然ノス タルジーを感じるならば、そして祖国の伝統をかけがえなく思うならば、壺(ガルショーク)を お買いなさい。中身のたっぷり入る、粘土で作られ釉薬のかかった、厚いふたのついた壺、こ れはすてきなものだ。ロシアの作家がみな、ゴーゴリの『外套』から出てきたように、すべての ロシア料理は壺から生まれた。 ピョートル・ワイリ、アレクサンドル・ゲニス著 『亡命ロシア料理』沼野充義他訳、『未知谷』出版 博物館所蔵 ノブゴロドのナイフとドン地方のフォーク 木製スプーンと木製食器

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4.日本で有名なロシア料理

1.ボルシチ(牛肉と赤カブのスープ) 2.ピロシキ(具入りの焼きパンまたは揚げパン) 3.きのこの壺焼き(キノコ料理) 4.ペリメニ(シベリア風水餃子) 5.ロシア式紅茶(飲物)

5.本場ロシアの普段料理

1.ライ麦パン(黒パンとも呼ぶ) 2.クヴァース(ライ麦製の清涼飲料) 3.シチー(キャベツの漬物を使った野菜スープ) 4.ブリヌィ(ロシア式クレープ) 5.クリーチ(復活祭用のお菓子)

6.ライ麦パンの特徴

1.色が茶色 2.酸味がある 3.湿気がある 4.食感に腰がある。パンの栄養成分比 較は以下の通りである。単位は 100g あたり。 カルシウム 鉄 亜鉛 ビタミンE ビタミンB1 食物繊維 食パン 29mg 0.6mg 0.8mg 0.6mg 0.07mg 2.3g フランス 16mg 0.9mg 0.8mg 0.1mg 0.08mg 2.7g ライ麦 16mg 1.4mg 1.3mg 0.3mg 0.16mg 5.6g ロシア語一口メモ「パンに関するロシア語表現」 вст чат с хл м-с л パンと塩で迎える(客を敬意をもって出迎えること) ロシア風クレープ『ブリヌィ』 スーズダリ風ボルシチ 復活祭料理『クリーチ』 ウラヂーミル風壺焼き料理 ライ麦清涼飲料『クヴァース』 ライ麦パン『ボロジンスキー』 シベリア風ペリメニ(左側料理 トゥーラ風焼きピロシキ

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83 вм ст ст хл -с л パンと塩を一緒に食べる(仲間であること) а т ч хл -с л パンと塩のことを忘れる(他人の恩を忘れること)

7.シチーの香り(ロシア料理エッセ-)

ロシアの食卓のシンボルとは何か。ウオッカだろうか。詰め物入りの魚か。取っ組み合い の喧嘩か。もちろん、そうではない。それはシチー、つまりロシア風キャベツ汁だ。これは われわれの文化と歴史を一身に背負うものである。ロシア語で「シチー」が恭しくも複数形だ けで使われるのは、だてではない。 かつてシチーの香りは、かいがいしく家事が営まれ、居心地のいい、いかにもロシアらし い家庭を意味していた。「ここはロシアのにおいがする。ここはシチーのにおいがする」と、 こんな風に偉大な詩人プーシキンは、叙事詩『ルスランとリュドミラ』の冒頭で書いたとか、 書かなかったとか。 『亡命ロシア料理』沼野充義他訳、『未知谷』出版

8.ロシアの紅茶

紅茶はどこにある。もみの木の下か。そこは極楽だろうさ。 紅茶を飲んでいるか。百歳まで長生きするはずだ。 カップを飲み干したか。憂さなんか忘れてしまったろう。 紅茶を囲んでいるのか。退屈なんか嘘だろう。 ロシアの民間伝承 ペローフ『ムィチシの紅茶風景』 『モスクワの居酒屋』1916 ヒジニャク『紅茶を飲む』 パンと塩で高橋知事を出迎える(国後島)

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執 筆 者 飯田 梅子 札幌大学地域共創学群ロシア語専攻准教授 ジダーノフ V. N. 札幌大学地域共創学群ロシア語専攻教授 ジダーノワ N. I. 札幌大学地域共創学群ロシア語専攻非常勤講師 高橋 健一郎 札幌大学地域共創学群ロシア語専攻教授 塚崎 今日子 札幌大学地域共創学群ロシア語専攻非常勤講師 山田 隆 札幌大学地域共創学群ロシア語専攻教授 『マトリョーシカ』

М трёшк

● 教科書 会話編 ● ロシアフォークロア案内 ● ロシア音楽案内 ● ロシア文学案内 ● ロシア人のくらし案内 ● ロシア語フェスタ 表紙デザイン 寺島 美郷(札幌大学外国語学部ロシア語学科) 2013 年 4 月 1 日 初 版 2014 年 4 月 1 日 改訂第2刷 2015 年 4 月 1 日 第2版 編著者 © 札幌大学教科書編集委員会 札幌市豊平区西岡3条7丁目3番1号 電話(011)852-1181 E-mail : takaken@sapporo-u.ac.jp (専攻代表)

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