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九州における国内観光客の特徴とさらなる誘客に向けた方策

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Bank of Japan Fukuoka Branch 金融経済トピックス

九州における国内観光客の特徴とさらなる誘客に向けた方策

2014 年 9 月 16 日 日本銀行福岡支店 当資料は当店ホームページに掲載しています http://www3.boj.or.jp/fukuoka/ <内容に関するお問い合わせ先> 日本銀行福岡支店営業課 Tel:092-725-5513

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1 (はじめに)  近年、九州の観光地の入込みについては、政府によるビザ発給要件の緩和 や格安航空会社(LCC)の就航の効果等から、外国人観光客の増加が注目 されることが多いが、最近は国内景気の回復に伴い、国内観光客も増加して いる。本稿では、国内観光客に焦点を当て、九州への観光客の特徴を整理し た1 1.国内客のウェイトが高い九州の観光  九州への観光客は、このところ増加傾向にある2。内訳をみると、外国人 観光客が安定的に増加していることに加えて、国内景気の回復に伴い、国内 観光客も増加している。外国人観光客の増加の寄与度をみると、九州よりも 全国の方が外国人観光客の寄与が高い(図表1)。  最近の九州への入込み観光客の構成を、国内客と外国人でみると、外国人 のウェイトが高まってきているが、全国と比べると増加テンポは緩やかで、 国内客の入込みが与える影響は大きいことがみてとれる(図表2)。 2.関東圏や近畿圏からの誘客を伸ばすことの重要性  各地域の域内観光客(九州でみると、九州内の各県から九州域内を旅行す る観光客)の動向をみると、当地は他地域と比較して域内観光客の割合が高 い(図表3)。  次に、域外から九州への観光客の内訳をみると、関東圏や近畿圏からの観 光客の割合が高い(図表4)。もっとも、同地域の観光客が旅行先として九 州を訪れた割合は、関東圏が3%程度、近畿圏でも5%弱で、かつ、九州新 幹線の全線開通や高速道路網の整備の進捗等があった 2010 年と 2012 年を比 較しても、ほぼ横ばいとなっている。他地域の観光客にとっては、九州は旅 行先として必ずしもウェイトが高くない(図表5)。  当地の観光ビジネスを盛り上げていくためには、域内観光客はもとより、 1 外国人観光客の特徴等については、金融経済トピックス「福岡県を訪れる外国人観光客の 特徴について」(2013 年 9 月 13 日)を参照。 2 観光庁の「宿泊旅行統計調査」、「旅行・観光消費動向調査」の宿泊者数は観光目的以外の 旅行を含んでいるが、統計上細部の区別ができないため、全体の計数を使用。

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2 人口が多く潜在的に大きな需要層を抱える関東圏や近畿圏からの観光客を 吸引していく必要がある。 ── これらの地域の居住者は、可処分所得に占める教養娯楽サービスや 旅行費用の支出割合や金額が高く、1回当たりの国内旅行単価も高め となっている等、潜在的な旅行需要は大きい(図表6~7)。 3.九州域外からの観光客の誘客策  域外から九州への観光客の誘客策に関し、当地の魅力に関するPR方策と 価格設定の2点について整理した。 (1)ニーズに応じたきめ細かなPR  最近の旅行者が国内旅行に求める内容が、セグメントによってかなり異な ってきており、それに応じた対応が求められている。  たとえば、関東圏や近畿圏に住む旅行に関心のある女性に対する民間調査 をみてみると、旅行へのニーズとしては、「今までに行ったことのない所に 行きたい」、次いで「温泉めぐり」、「食べ歩き」、「その時期だけの特別な観 光」が上位となっている(図表8)。  一方、シニア層に対するアンケートで「旅行で楽しみなこと」として挙げ ているものとしては、「おいしいもの」、「気分転換」、「景色・風景」が上位 となっている。また、このアンケートでは地域別にばらつきがみられており、 たとえば、関東圏では「おいしいもの」、「景色・風景」、「楽しく過ごす」が 相対的に高い一方、近畿圏では「天然温泉」、「観光名所」、「癒し」が高めと なる等、地域による旅行者ニーズには多少違いがあるように思われる(図表 9)。  こうした中、九州のイメージをみると、「旅行先を選んだ理由」の都道府 県ランキングでは、「魅力的な温泉があったから」で九州の各県が上位にラ ンクインしている一方、「そこならではの食、特産品に興味があったから」 ではいずれの県も 10 位までに入っていないほか、「大人が楽しめるスポット や施設・体験が多かったから」のランクインも少ない(図表 10)。  九州では各地に魅力的な「グルメ」(図表 11)や、これまでの長い歴史・

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3 文化に関連する名所・遺跡や近代化産業遺産等、大人が興味を持つスポット や施設等が数多く揃っていることを勘案すれば、決して魅力がないわけでは ない。ただ、域外の観光客へのアピール効果としては、必ずしも十分な効果 をもたらしているとは言い難いとも言える。  上記のニーズを踏まえると、「グルメ」や「大人の楽しめるスポット」等 をはじめ、九州の持つ様々な魅力について、旅行者のニーズに対してきめ細 かなPRを進めていくことが、域外からのさらなる誘客に繋がるものと考え られる。 (2)地域特性に応じた販売価格展開  また、居住地別の旅行者の「価格選好」を意識したマーケティングも考慮 する必要がある。居住地域別に、1回当たりの旅行単価と1人当たりの旅行 回数の関係をみてみると、関東圏の居住者は、旅行単価の低下と旅行回数の 増加に一定の相関性がみられ、費用対効果を意識して旅行先を選ぶ傾向にあ るものと考えられる。一方、近畿圏の居住者は、旅行単価が一定額以下に下 がると旅行回数が増加しやすい一方、旅行単価が高額になると極端に旅行回 数が減少することから、価格にシビアな見方をしていると考えられる(図表 12)。 ―― なお、九州の居住者について、同様の視点でみてみると、価格が 相応に高いにも拘わらず、旅行先として関東圏や近畿圏を選好する 傾向にある。旅行費用を強く意識して旅行先を選ぶわけではなく、 価格に非弾力的な傾向にあることが読み取れる(図表 12 再掲)。 (おわりに)  今後、旅行者の地域特性に応じた価格選好を考慮しながら、「グルメ」や 「大人の楽しめるスポット」等を含めた魅力ある観光資源を効果的にPRす ることにより、九州における観光ビジネスが一層盛り上がることを期待した い。 以 上

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4 0  10  20  30  40  50  60  70  80  北海道 東北 関東 北陸信越 中部 近畿 中国 四国 九州 沖縄 2010年 2011年 2012年 (%) 95.3  94.7  93.5  4.7  5.3  6.5  90  92  94  96  98  100  12 13 14/1Q (%) 九州 (年) 94.0  92.8  91.4  6.0  7.2  8.6  90  92  94  96  98  100  12 13 14/1Q (%) 全国 外国人 国内客 (年) (図表1)延べ宿泊者数の推移(前年比、前年比寄与度) (資料)観光庁「宿泊旅行統計調査」 (図表2)延べ宿泊者数に占める国内旅行者の割合 (資料)観光庁「宿泊旅行統計調査」 (図表3)地域別の延べ国内旅行者数に占める域内旅行者の割合 (資料)観光庁「旅行・観光消費動向調査」

左が

1.1  0.8  1.0  ‐0.9  3.9  2.2  ▲2 ▲1 0 1 2 3 4 5 6 7 12 13 14/1Q 九州 (年) (%) 1.9  1.6  2.4  3.4  4.4  0.1 ▲2 ▲1 0 1 2 3 4 5 6 7 12 13 14/1Q 全国 寄与度(国内客) 寄与度(外国人) 前年比(%) (年) (%)

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5 7.7  7.9  53.7  54.5  10.7  9.9  12.0  11.3  6.6  6.6  3.2  3.2  0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2010年 2012年 北海道 東北 関東 北陸信越 中部 近畿 中国 四国 九州 沖縄 13.1  13.4  5.5  4.0  15.3  16.4  45.4  47.1  7.0  7.0  5.9  4.4  4.3  4.6  0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2010年 2012年 北海道 東北 関東 北陸信越 中部 近畿 中国 四国 九州 沖縄 2.5  0.7  36.4  2.2  11.3  23.4  19.7  3.7  0.1  北海道 東北 関東 北陸信越 中部 近畿 中国 四国 沖縄 (図表4)域外からの九州への旅行者の居住地域別内訳(2012 年、延べ旅行者数、構成比、%) (資料)観光庁「旅行・観光消費動向調査」 (図表5)居住地域別の主目的地(延べ旅行者数、構成比、%) <関東> <近畿> (注)延べ旅行者のうち、目的地不詳者は除く (資料)観光庁「旅行・観光消費動向調査」

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6 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 100 200 300 400 500 600 全 国 北 海 道 東 北 関 東 北 陸 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州 沖 縄 可処分所得(左軸) 宿泊料+パック旅行費(右軸) (千円) (千円) 可 処 分 所 得 宿 泊 料 + パ ッ ク 旅 行 費 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 全 国 北 海 道 東 北 関 東 北 陸 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州 沖 縄 教養娯楽サービス (%) 0.0 0.5 1.0 1.5 全 国 北 海 道 東 北 関 東 北 陸 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州 沖 縄 宿泊料+パック旅行費 (%) 38 40 42 44 46 48 50 52 全国 北海道 東北 関東 北陸信越 中部 近畿 中国 四国 九州 沖縄 (千円) (図表6-1)可処分所得に占める支出の割合(2013 年平均) (注)二人以上の世帯のうち勤労者世帯 (資料)総務省「家計調査」 (図表6-2)可処分所得、宿泊料+パック旅行費の支出額(2013 年平均) (注)二人以上の世帯のうち勤労者世帯 (資料)総務省「家計調査」 (図表7)旅行1回当たりの国内旅行単価(2012 年、宿泊旅行) (資料)観光庁「旅行・観光消費動向調査」

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7 全体平均 33.2 全体平均 39.8 全体平均 41.7 1位 大分県 73.3 北海道 58.0 千葉県 59.3 2位 群馬県 67.5 香川県 56.7 京都府 56.3 3位 岐阜県 60.6 高知県 56.0 沖縄県 54.8 4位 栃木県 59.7 沖縄県 55.6 長崎県 50.8 5位 愛媛県 59.0 富山県 54.6 三重県 48.4 6位 山形県 57.0 広島県 53.9 島根県 47.2 7位 佐賀県 56.3 宮城県 52.1 広島県 46.7 神奈川県 45.1 大阪府 45.1 9位 秋田県 53.5 三重県 49.3 石川県 51.9 熊本県 51.9 10位 魅力的な温泉があったから そこならではの食、特産品 に興味があったから 大人が楽しめるスポットや 施設・体験が多かったから 順位 8位 鹿児島県 54.3 石川県 52.0 京都府 48.6 奈良県 44.4 12.6% 18.1% 20.8% 22.1% 29.8% 32.0% 32.3% 49.0% 51.1% 69.1% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% あまり他の人が行かない所へ行きたい 豪華な旅行などがしたい パワースポットめぐりがし たい 趣味を深める旅行がした い 出来るだけ多く行きたい 気に入った所に何回も行きたい その時期だけの特別な観光ができる旅行がしたい 食べ歩き旅行がしたい 温泉めぐりがしたい 今までに行ったことのない所に行きたい (図表8)首都圏・関西圏等の女性が行ってみたい国内旅行 (注) 過去3年間に宿泊を伴う国内旅行、または海外旅行へ行ったことがある、首都圏、中京圏、 関西圏在住の女性、20~64 歳、2,060 人(複数回答) (資料) JTB 総合研究所「女性の旅行と情報収集についての調査」(2014 年 6 月) (図表9)関東圏・近畿圏のシニア(50 歳以上の男女)が旅行で楽しみなこと(目的)(複数回答) (図表 10)旅行先を選んだ理由(%) (資料)じゃらんリサーチセンター「じゃらん宿泊旅行調査2014」(2014 年 7 月) (資料)シニア・ナビリサーチ「シニアの旅行に関するアンケート調査vol.3」(2013 年 3 月) 0 10 20 30 40 50 60 ①お い し い も の ②気 分 転 換 ③ 景 色 ・ 風 景 ④ 天 然 温 泉 ⑤ 楽 し く 過 ご す ⑥観 光 名 所 ⑦史 跡 ・ 歴史的建 造物 ⑧ 癒 し ⑨自 然 ⑩宿 泊 施 設 全体(回答者数=444人) 関東居住者(回答者数=195人) 近畿居住者(回答者数=91人) (%)

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8 (単位:個、%) 順位 キーワード 記入数 記入率 1 温泉 381 36.2 2 ラーメン 57 5.4 3 阿蘇山 50 4.8 4 博多 41 3.9 5 ハウステンボス 35 3.3 6 歴史 30 2.9 7 明太子 29 2.8 8 長崎 25 2.4 8 食べ物 25 2.4 10 湯布院 23 2.2 11 とんこつラーメン 22 2.1 11 くまモン 22 2.1 11 なし、分からない 22 2.1 1,052 100.0 九州 記入者数 0 20 40 60 80 100 120 140 160 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 北海道 東北 北陸信越 中部 近畿 中国 四国 九州 沖縄 関東(単価/回数) 2010年:20.1/2.95 2011年:21.4/2.76 2012年:19.6/2.66 (千円) (回/人) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 北海道 東北 関東 北陸信越 中部 中国 四国 九州 沖縄 (回/人) (千円) 近畿(単価/回数) 2010年:19.2/2.11 2011年:19.2/2.27 2012年:17.5/2.16 0 20 40 60 80 100 120 140 160 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 北海道 東北 関東 北陸信越 中部 近畿 中国 四国 沖縄 (千円) (回/人) 九州(単価/回数) 2010年:20.7/2.88 2011年:21.1/3.20 2012年:21.3/2.66 北海道(単価/回数) 2011年:213.0/0.023 (図表 11)九州の名前を聞いて連想する主なキーワード (注) 1、回答結果をもとにできるだけ細かいキーワードとして集計(例:「青い海」は「青」と「海」でそれぞれカウント) 2、20 個以上の記入があったもののみをすべて表示 (資料)九州経済調査協会「首都圏女性の九州観光に関するイメージアンケート」(回答者数:1,052 人)(2013 年 4 月) (図表 12)居住地域別の1回当たりの旅行単価と1人当たりの旅行回数(2010~2012 年) 関東 近畿 九州 (注)1回当たりの地域別の旅行単価については、当該地域での旅行消費額と、当該地域への延べ旅行者数より算出。 1人当たりの旅行回数は、当該地域への延べ旅行者と、各地域の人口より算出 (資料)観光庁「旅行・観光消費動向調査」

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9 図表番号:3~5、7、12 都道府県 北海道 北海道 東北 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 関東 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県 北陸信越 新潟県、富山県、石川県、長野県 中部 福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 近畿 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県 中国 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 四国 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 九州 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 沖縄 沖縄県 図表番号:6-1、6-2 都道府県 北海道 北海道 東北 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 関東 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県 北陸 新潟県、富山県、石川県、福井県 東海 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 近畿 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県 中国 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 四国 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 九州 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 沖縄 沖縄県 (参考)資料中の地域区分は以下のとおり。

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