Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiety for the Soienoe of Design“
地域 の 「華」づ く り とテザ イン
”
は、
い まデ ザ イ
ン
は
地
域
に
機 能
で き る か
Is Desi即SUitable
for
Region
?東 北 工
.
業
大学 第
三生産 技
術 研 究 室の事
例 研 究 を 中 心に山
下三
郎
(
Yamashita
Saburo
)
舛 岡
和 夫
(
Masuo
Kazuo
>
東北
工業大 学
1:業 意
匠学
科
東
北一
[:業 大学
工業 意
匠学
科1.
は じ めに近代 文 明
の象徴
であ
る 科学
技術
の急速
な発
展と展 開は、
」業
化
の推 進
による経 済発
展 と そ れに と も なう近代 的
生活 を も た ら してく
れた。
こ の近代
文 明 的 な 生活
スタ イルは、
人
問の欲 望 を拡 大
してき
たの だ が、
技
術の高度
で急速
な進歩
は人間
が感 知
で きる範
囲 を乗 り越え
て、未来
の生活
スタ イルを
不確
か な もの に し てい る様
相
もな く は ない。人
間
にとっ て意 味
のあ
る未
来の生活
ス タ イルは、
いか
にあ
る べ き なのか。産 業
・
技
術 と生活
の関 係 を改
め て問直
さざ
るを得 ない局
面に、
わ れ わ れ は立
た され ているの では ないだろう
か。
とこ ろ で
、
わ れ わ れ は、
表1
のよう
に、
生産技
術 を 生 産 地、
素材
、
技術
、
流
通という各
産 業 要 素の相 違
に よっ て区 分 してい る。 よっ て、
デザ
イ ン予法
を そ れ ぞ れに変 え
るべき
で ないか と考
えて きている。
大 手 企業 (
企業産 業 〉
に よる 生産方 式
を第
・
生 産技 術
、
地
場 企業
に よ る 生産 方 式
を第
「生 産 技
術 と位 置
づけ
、
第
三の生 産 技 術(
コ ミュニ ティ生産技
術 と筆
者
らはいう)
を研
究す
る共
同研 究 室
、
第
三 生 産技術 研 究 室
を1978年
に開 設 した。
この
第
三の生産
技
術につ い て の研 究
は、
生産 技
術の基層
を なす
生活文化
にか か わ りが 深い ため に、
デザイ ン機 関にとっ て手 を染
め にくい未 開の分 野でも あっ た。
従
来のデ ザ イン手 法
に比較
し て、
手
離れが極 端 に 悪い。 しか も、
も
の のデ ザ インでは な く、 地 域 を デザ
インしな け
れば
な らないか らであ
る。2 .
第
三 の 生産技 術
第
三の技術
であ
るコ ミュ ニ ティ生 産技術
は、
人
間の暮 ら
しの た めの技術
であ り
、
生活
と生産
を.
一
体
的に捉 える と こ ろ に特 徴 があ
る。
かつ て のわれわれ の暮
らしは、
コミュ ニ ティのエ リ ア のな かで自作 自
用、
自
給自
足 的 生活
スタ イルを維 持
し てい た。自
らの暮
ら しを自
らが組
立 なけ
れば 生き
ていけ ない か ら、
知 恵
と工夫
にあ
ふ れ た世界
にあ
っ た。自然
に働 き
か け る こ とで大
L
ト
の衣食 住
に 関す
る ほ と ん ど を賄 う暮
ら し であ
っ た か ら、
住
まい の空
間も
、
生活
の場
であ
ると同時
に、
生 産の場でもあ
っ た。
3
.
大 野 村
の実 践
東北 農 山村
では、
このコ ミュ ニ ティ生 産 方 式の復 権
こそ、
地
域の地力
の衰 え を回復す
る鍵
と捉え
ている。 だ が、
当然
の こと な が ら時 間 を 遡行 す
る わけに はいか ない。現代
の文脈
に乗 りう
るコ ミュ ニ ティ生産 方式
の形式
は どの よう
な ものか。
1978
年
よ り開始
した研 究 課
題が、
「
コ ミュ ニ テ ィ機 能再
生・
増幅
のた め の 『裏作
i
:芸』 導
人 の実
践 的研
究一
東
北 地方
を事
例
と して」
で あり
、
そ
の実 践対 象
が大
野村
という
こと に な る。3
,
1
「
裏作
工芸
」
ま
ず
、
私
ども
はコ ミュ ニ ティ生 産方 式 (
里モ ノ生産 方 式 )再
生のため に は、
地 域 的
には主産
業
に閑期 (
冬 期 ) を も
つ農
由 村 に、
ま
た、
個
々人
に は週 末
、
夜
間、
老後
に、
「
裏 作」
と して の 「工 芸」
=
「裏 作
工芸」
導
入が ふさわしい もの と推 断
し た。「
工 芸」
「工
芸
」は、
高
い付 加価 値
特 産材
に よ る素材
か ら製 品 ま での・
貫性
移 動技 術 (
無 施
設 工法 )
誂 え
のき く多 品種 少
量 生 産 にその生 産 ヒの特 性 を みる ことがで きる。
地
域との 関 連で は、
「
誂 え」
の技
法
を維
持 す
る こ と「
誂え」
に応ず
ることで、
生活者
の生 産参
加の復
権 に役
立つ町
や村
で 工芸
品 を作
る こ とで、
コ ミュ ニ ティに 生産
力
を
回
復
でき る各
々の 生活
に ふ さわしい用 具 を 供 給す
る ことで、
個
性 的な 生
活環 境
を創
る こ と に役
立つ省 資 源
をめざす
こ と で、
地 域の自律 的
な展 開
のため の主
要 な
鍵
とな る と考 え
ら れ る。「
裏 作 」
工
芸 活 動
をすす
め るには、
個
々人
に、
地域
に、
相
応
の経 済 的
基 盤
と 時 間、
自分の生活
の型 を操 作
でき
る だけの気 持 ちの余 裕 が不
可欠
と な る。
そのた めに は、
無 理
なく
接 近 で き る 裏 作 が 相応
しい t/
ま た、
先
に掲 げ
た「
工芸
」の条 件 を満 たす
のは、
基本
的に は、
裏 作 的にやっ ているもの、
す
な わち
、
産 地でも そ して 企業
でも
、
副次
的 生 産 による ものが少 な くな
い。
した がっ て
、
高品 質
で誂 え を受 け
ること の でき
る 里 もの生産
方 式
の再
生には、
「
裏 作
」 が「
工芸 」
と と もに重要
な柱
と して 位 胃づ け ら れる の であ
る。
表
1
産 業
タ イプ別
に よ る産業
要 素
生 産 技 術 生産 方 式 産 業タイ プ 生 産 地素材
技 術 流 通 第一
生 産 技 術 企業生産 方 式 企 業 産 業 i 固定
さ れ ず 土地柄な し 科 学 技 術 国際流通 第二生産 技 術 産 地 生 産方 式 地 場 産 業1
固 定 さ れ る 土 地 柄 あ り 生活
技 術 科 学 技 術 広 域流 通 第三 生産 技 術 コミュ ニティ生 産 方 式 俚 もの 生 産 方 式)
地 域産 業 (福 祉 産 業 ).
一
固定され る 土 地 柄 あ り 生 活 技 術 地域 流 通24SPECiAL
ISSUE OF JSSD Vol.
2 No.
1 1994 デ ザ イン学 研 究特 集 号Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiety for the Soienoe of Design表
2
大 野 村
の実 践
の概 要
実
践の対 象 岩 手県 九戸郡 大 野 村 村 民実
践の 出発 (財〉トヨタ 財 団助 成研 究の対 象 地と して筆 者ら第三生 産 技 術研 究 室秋 岡芳 夫チー
ムが一
方 的に決 定実
践の期 間 1979年より現 在実
施の目的 コ ミュ ニ ティ機 能 再生・
増 幅のため の 「裏 作工芸」の導 入の実 践 的研 究 組 織 : 木工 グルー
プ 技 術 : 半 割工法・
プ リ ポ リマー
含 浸 木 固め技 術の修得,
ろくろ・
ルー
ター
デ ザ イン 1 導入+ 1部 自 力 開 発 木工 工房 形態 :企業的 1
(
13人)
・
生業3
(
6人)
・
裏
作4(
4人)
実 生産 額:
3
億 円(
推 定)
村 と生 活 との関 係 : 学校 食 器 と し て 使 用。
家 庭 での使 用 率大幅 に高ま る。
践 しか し、
多
く は記 念 品・
贈 答用 と して使わ れ てい る 授賞
:日本 民芸 館 展で 日本民芸 協 会 賞
・
岩 手日報 文化 賞・
日本ク ラフト展・
高 岡クラ フ トコ ンペ等 多 数 の 組 織 : 酪 農 グルー
プ・
生活 改善 グルー
プ・
研究 会・
産 業デザイン セ ン ター
レ ス トラン他 ヒ 到 食1
技
術・
デザイン :乳 製 品加工
(
アイス クリー
ム・
ヨー
グル ト・
一
部チー
ズ),
薫 製 品加工 (ハ ム
・
ソー
セー
ジ・
魚の 薫 製)
,
郷 土料理(
湯葉・
莱っ ぱ汁 等の商 品化一
産 業デザイ ン セ ン ター
で郷 土料理・
ア イスク リー
ムを 出食 ) 達 生 活: 上 記グルー
プ を 中心に自作 自用 を進め てい る 授 賞: よつ ばグ ルー
プ等農 林 大 臣賞 (健 康的 な食生活の実 践活 動) 多 数 点 学校 給 食 器 : 大野一
中はじめすべ て の中学 校・
小 学校・
保育 園で村の木の器を使 用 推 進組 織 事務 局役 場 産 業 課 が 担 当1名
、
専従から専 従 配 置に近い。
現在、
役 場か ら産 業 課主管
のデ ザ イン セ ンター
に 出向主査 1名、
担当1名、
属託 3名+パー
ト2
〜
3名 拠 点施 設 産 業デザイ ン セ ンター
を187− 「
90に建 設。’
91より本格的始動。
現在 宿 泊 研 修 施 設、
ガラス、
陶磁器、
織 物等工房 群 を建 設 中 図1
大 野 村
の現 在 佐
々木
工芸
辞
W争
艶鼾
町
蝕 讐「
舞
巒 轡 罍響
、
聴 華磯
康鵯
愚爭
磯
.鷲
図2
大 野村
の現 在 大
野 村 産 業 デ ザ インセン ター
3
.
2
導
入 と継 続
を可能
に し た人材
と組 織
村 側の
導
入実 践
主体
とし て、
まず
やっ て みること が 重要
であ
り
、
試行 錯 誤
の道
のり
を恐れ ない人 材
.
の存 在
が挙 げ
ら れ よう
。 図3
大 野 村の現 在 大 野 村 展 示 即 売 場次
に、
村民
と提 案 者
との繋 ぎ手
と して、
常
駐指導
にあ た
った
本学
客員
研 究員
・
時
松辰夫
の存 在 が 大 きい。
その内 容は技 術・
デザ イン・
流 通の分 野に とどま らず、
生 活づ く りに重 点
が お かれた か ら
であ
る。
さ ら にこ の よ
う
な先
の兄 えな
い試行
を支援
した トヨタ財 団
、
仙台 通産
局プ
ロ ジェ ク トチー
ム や報 道機 関
が 両 者 を 鼓舞
した。
もち
ろ ん、
村
が主役
にな
る に従
い、
岩 手県
が その重き
を増
した のはいうま
でも
ない。
そ して、
筆 者
ら を中心
とす
る全体
を企 画 調 整 し、
推 進 する チー
ム の存在
であ
る。時
松の自
由にそ して十 分 に力
を 発 揮 でき
る 生活補 償 も
、
こ の チー
ムが担 当
した。村
発行 広 報
の年 表
には このチー
ムは登 場
しない が、「
継続
は力
な
り」
に は こ のよう
な組織
が何
ら かの形
で不
可欠
である。
3
.
3
導
入 の方 法
導
入 は、
提案
→
応 答
→
提案
→
応 答
という動 的方法
を と り、
当時第
三生巌 技術 研 究室 代 表秋 岡芳 夫
が提 案 内容
を著書
に した あ と、
1980
年
の春 か ら「
81
年の冬 ま
で4
回「
大
野村
キャンパス’
80
」
デサイン学 研究特 集号 SPECIAL ISSUE OF JSSD Vol
,
2 No.
1 199425Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiety for the Soienoe of Design図
4
大 野村 春
のキャ ンパ ス80
時
松の実 演
図
5
大 野 村 春
のキ
ャ ンパス80
シンポ会 場
シリー
ズで具 体化
した。
各
種
の工芸
、
食
品 加丁 の実
物と実 演
実 習
を含
む もので、
主 体 的
な 人 材発
掘の場として機能
した。
この
期
間 は自学 自習
の段 階 で あ り、
本
工芸研
修の結 果、
何 と か 商 品 と して 流 れ 始 め たの は2
年
を経 た あと であ
っ た。
3.
4
流 通 開発
につ い てと こ ろで
、
流通 開発
は キャンパス開
始
時
より配慮
している。
そのた め、
キャ ン パス シ リー
ズに続 く各
種
の展 示 会 とも
、
大
野村
の生 活づ く り、
大
野村
か らの萩 しい生 活 提案
と して 企 画 さ れ た。 しか し、
域内
か ら域外
へ という教 科 書 的
な 流 通開発
は結 果
的
に はとれな
かっ た。東 京
→
盛 岡
→
地方
へ と戻
る逆
な経 路
を た どり
、
そ
して、
地 域 内
か ら地域外
へ の方 向
へ軌 道修
正さ
れ た 。3.
5
技 術 指 導
・
開発
に つい て技術 指 導
は、
家 具 組合
の ]二房
や納屋
工房
が研 修
セ ン ター
と なり
、
夜 半 ま
でお
こな
わ れ た。
伝 統 的技術
に加
え、
新
しい技 術
が積極
的に導
入 され た。
木
工 で はプ リポ リマー
含 浸
に よ る木 固
め 」二法、
半 割工法
が、
食
品 加工 で は乳 製品加
工・
薫
製品加
匚・
世
界
の料 理 法
であ
る。 ま た、機械 等
は、
大野 村
の身
の丈
にあっ た道具
と して使
いこなせ る装
置・
工具 群に組 み直
され た。
そし て現 在
では、
機械
工具
の自作 自用
が不断
の こ と と なっ ている。3
.
6
商
品 開 発につ いて毎
日の食 卓
の1−
/一
の料 理
、
そ れ を 盛る 皿・
ボー
ル・
椀
・
箸
、
そ して、
テー
ブル・
部
屋・
建 物
という方 向
で、
商 品化
を進
め てき
た。一
つ は、
日常
不断
に 用いる 食 品 や 道 具 はつ く る 側 に とっ て、
自分
の側
に ひき寄
せて考 え
られ る対 象
であ る という
こ と。図
6
大 野 村 秋
の キャンパ ス80
「 つは、
毎
日使 う
もの だけ
に、
人 間の数
ほ どの需 要
があ
ると想
定 さ
れるか らであ
る。3
,
7
学 校給 食器
について「
一
人
一
一
芸」
のな か で も先行 す
る木
工芸
は、
村 教 育委 員 会
が 村 民である木
⊥ グルー
プ
に対
し て学校 給 食 器
を発
注
、
その実
現
に よっ て一
躍 脚 光 をあ
びる こと となっ た。
そ れ は、
大野
の木
工 芸は自作
自用の意
味に おい て本物
であ
る こと を、
村肩 身
が証
明す
る こ と となっ た。
木
1
:芸
は当初 皆 無
に近 かい 状 態 か ら、
現
在
、
自作 自
用・
裏作
・
生業
・
企業
と種
々 の方 式
の生 産 活動 が 見
られ る状 態
にあ る。食
品 は、
自作
自
用 が域 内流 通
の段 階 ま
で進
行
し、
域外
で のイベ ン ト等
で も高
い評 価を得
るま
で になっ た。ま だ ま だ
分 野
の広
がり
は狭 く
、
関 与
す
る村
民も
多
く
はな
い が、
産 業
デザ
イン セ ン ター
の力
も蓄
え
ら れつ つあ り
、
地 域
があ
る能力
をも
つ状 態
の方 向
に着 実
に進
みつ つ あ ること は認
め ら れ てい い だろう
。
靆
善
・
・ …
一・
・
t
図
7
大 野 第
1
中 学 校 給
食
風 景
4
.
研 究 課 題の外 延 :HOCCO
の実 践
大
野 村での実 践 はコミュ ニ ティ産業
開 発 機構
の必 要 性 を浮 ヒ させた。
構
想
の発 端
は、
大野村
におけ
る第
三 生産技 術
によ る 生産 方式 (
コ ミュ ニ ティ生産 方式)
から生 ま
れ る産 品
に ふ さ わ し26SPECIAL
ISSUE
OF
JSSD Vol
.
2 No.
1 1994 デ サ イン学 研 究 特 集 号Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiety for the Soienoe of Designい
流 通機 構
が ない ものかにあっ た。 近代
流 通では、
地 域の事
情
が無 視
さ れ、
種
々な試
み も潰
さ れて しまう事
例 が続
いていた か らであ
る。仙 台 通産 局
に よるグルー
プの支援
も あっ て、
コミュ ニ テ ィ産業 開発 機構
HOOCO
の趣
意
書
はで きていた が、 こ れ ま た実
践 が先行 さ
れ た。全 国 を巡 回す
るH
CO
展
の開催
であ
る。HOCCO
か らの生 活提案
とそ
れ を支
える機 構
を お 亙いが力
を 出 し合
っ て創
ろう
との提 案
。
前者
はす
と ん と落
ちて も後者
は頭
でし か わ か ら ない。
学外
に事務
局を
つく り
、
常
設の シ ョ ウ ルー
ムも設 け
た。
他 人 〔ひ と)のた めの仕事
と捉 えた せ いな の か、
事
務
局長
の 二足
の草
鞋の限界
なのか、
シ ョ ウ ルー
ム単独
と し て も継続 す
る という視 点
か らの創
意
工夫
が欠
けてい た の か。
1981年
からSO
年
まで の実
践で停
止 状態
に あ る。
だ
が、
国
・
県
は じめ、
行
政も
地 域 に大 き
く梃 子 入 れを
開始
したこと、
デパ
ー
ト等 も
ス トァ ブ ラン ド充 実
のた め地域
の事情
に耳
を傾
け始
めた
こと
、
こ の様
な 流 通の姿 勢の変化
に HOCCO は大 き く貢献
した とい え よう
。
図
8
HOCCO
展 (
仙
台)
5
.
「
大 野 村方式 」
の他 地 域
での展 開
地域
と第
三生 産 技 術 の関係
の定
式化
5
,
1
津
山・
置
戸・
帯
広・
板 柳・
二戸広域
・
湯 布院 等
で の展開
さて
、
本 研 究
室の継 続
は、
当 方
の主体 的条件
だけ
では決
ま ら ない。共 同
で実 践
の質
を
高
め合 う地 域
が要
る。
大野 村
の「
一・
人
一
芸
の村 計 画」
の狙
いを よく
知
る 地域
と は・
致
した研 究課 題
を設定
しやす
い 。宮 城県 津
i1
酊 との共 同 は今
のと
こ ろ矢 羽根
の開発
だけ
にと ど まっ ている が、
北 海道
の 置戸
町 や 帯 広 市、
それに、
青森 県 板 柳
町、
岩 手 県
二戸 広
域の事
例 は 「一
人一・
芸」
の延 長 線.
ヒにある。
それぞれいま だ産 業
の域に達 して いない が、 産業
の芽
とその 土壌
は確 実
な もの になっ てい る。最 近
では、
時
松辰 夫
が ア トリエを作
っ た湯布 院
で里山
を 生 かす新
た な展 開
に手
を染
めてきてい る。
大
野 村の実
践は、
各 地
で確 か
めら
れ、
思想
と して の手 法
に ま で 深ま
っ てき
たと
み てい いの では な かろう
か。
5
.
2
組 合 での展 開さて
、
次に舞 台に乗 るのは、
伝 統 的 産 地の組 合との新 商
品 開 発である。
大
館の曲ワッ パ、
秋
田県
の桶樽
、
白
石の こけ
し、
福 島県 小
野 町の石 材
の組
合等
が対 象
で あっ た。共 通
してい たこと は、
す
で に、
製
品 と地元
の生活
と は無
縁 な関
係 に なっ ていること で あっ た。 だ か ら第
τ三生 産技
術研
究 室の登 場 で あっ た という
こと かも
知
れ ない。事
業
が終
わ れば 「
も との木
阿 彌」
の傾向
は そう簡
単
に は産
地 か ら は な くなるまいが、一
人やr.
人 は その殻
を破
っ て き た よう
に思っ ている.
6 ,
第
三生 産技 術 を背 景
とす
る商 品 開発
・
空間計 画
の展 開
:ソ フ ト
優 先
のハー
ド計 画
これ
ら
の実 践 が続 くな
かで、
秋保
工芸
の里・
大 野村 産 業
デ ザ インセ ンタ…、
時 松 辰夫
の工房
、
置 戸 町 ク ラフ トパー
ク等
の計
画
に手
を染
めて きてい る。第
二三生 産技
術研
究 室 ら し く、
ソ フ ト優
先に確 信
を もっ た施 設 計
画 が あ る。
さ らに、
地 元 企 業 との共同
で の商
品開発
が ある。機 器
と空 間 との狭
間の テー
マ、
折 り畳 み仮
設ハ ウスや寒 冷地 用
の外 椰空 間
のた めの部
位開発
であ る。 こ れも ま
た、
こ のト数 年
の蓄積
の上にあ
る開発 課題
といわ なけ
れば な ら ない。7
.
ま と めに かえ て :内向
き の デ ザ イン と外 向 き の デ ザ イン筆 者
らは「
』
rl
芸」
のところ で も少
し触
れてい る が、
地域振
興 と は、
卞人公
たる住 民
が地域
を自己実 現
を は か るに相応
しい環
境
にす
る こ と として捉
えてい る。
そ のため には、
住 民
が まず
地域
の資 源
を知恵
と工夫
によっ て生 か し き り、
自律 的に地 域 を整え
ていく
力 (
地力
・
生産
力
) を持
つ ことが不
[IJ.
欠
と考
え る。そのた めのデ ザ インは
「
内向 き
のデザ
イン」
と なる。 これ は 風i
:を背
景
に した日常
不断
の暮
ら しのな かで善
し悪 しが確
か め られ、
鍛え
られ、
質
が高 ま
るという性 格
をも
つ 。 し た がっ て、資 本則
.
を基 盤 とす
る企業
で はない地 域
が即
、
顔 見知 り
の関係
を 超え
る「
外 向き
のデ ザイン」 をす
る こ と は乱暴
という
ことにな る。 「内向
きのデ ザ イン」
を昂 じて 飛 躍 させ、
「
外 向 き
のデザ
イ ン」
に移 転す
る道筋 を
めざす
な ら ば、
地 域振 興
にも「
外 向 き
の デザ イ
ン」
は有効
に機 能 す
る という
のが、筆 者
らの見
解 で あ る。
す
で に試
行
か ら15
年
。
試行 錯 誤 を繰返 し
な が らも成 果
が眼
に 見え
る ところま
で到 達
した。
した がっ て、
稿
を お こす
と な る と文
脈 を揃 え よう
という誘
惑にから れ て しま う
。
他 方
、
時 聞
も な い 。 そ こで、
本
稿 は その都 度筆
者らが 記 した文書
をでき
るだけ
引 用 す
る形
で構 成
した ものであ るこ とを、
お断 り
し て おき
た い。
デザ イン学研 究特 集 号 SPECIAL ISSUEOF JSSD Voi