The Assooiation Association for the Geologioal Geological Collaboration in Japan (AGCJ) (AGCJ } 地球科学 47 巻 6 号 (1993 年 11 月 ) 了 厘 軟体動物殻体構造の

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全文

(1)

地球 科学47巻6号 (1993年11月 )569

5了4 569

軟体動物殻体構造

鈴 

 

   

k

1

  は じめに  軟体 動 物 門は動 物 界におい て節 足動 物門に次ぐ巨大 な 分類群であ り, 私 達の 日常生活に深 く馴染んで い る無脊 椎 動物である

そ の化石は古生代, 中生代, 新生代を通 じて産 し

古生物学の主要な研究対 象の 1つ と なっ て いる

軟体動 物 化 石 を 用いた 研 究 内容 は

分 類 学 を 基 礎 と して

系 統 発 生 学

生 層 序 学

機 能 形 態 学

古 生 物 地 理 学など

広い範 囲に及んでいる

.一

般に化 石 と して み られるの は貝 殻 (殻 体 )の部 分で

生 物学的に この物 の本 体 をなす 軟 組 織 は消 失 して いることが 普 通である

にもか か わ らず

貝 殻 化 石の古 生 物 学 的 研 究 内容が多 彩 であ るの は

無 細 胞の硬組織である貝殻が, こ の動 物の 分 類 学 的 形 質のみ な らず

生 理や生 態 な ど様々な 生物活 動を 反映し た形質を保有する か らで ある

  古 生 物 学において伝 統 的に利 用 さ れてき た形 質は

貝 殻 表 面にみ られ る

主に肉 眼で識 別 され るマ クロ的 な 外 部 形 態である

,一

方で

貝 殻 内 部の

ミ クロ の構 造 (殻 体 構 造

貝 殻 微 細 構 造 な ど と呼ば れる) も極めて豊富な 情 報 を 提 供 す る

殻 体 構 造の観察は鉱物学や生 物学の分 野で古 くか ら行 な わ れていた が

古 生 物 学で その 重 要 性 が 認 め られる ようになっ た の は

,Newell

1954

) の指 摘 以 後の よ うで ある

目本 国 内におい て も

小 林 (1964)以来 多 数の研 究 成果 が公 表さ れて いる

し か し

研 究 成果の普及

研究者層の拡が り (着手研 究者の 育 成 ) とい う観 点 か らは

特異 な専 門分野とい う見方が なさ れ るのが実 状であ ろ う

そこ で

先 ず 軟 体 動 物の殻 体構造にっ い て簡単に説明して

研究の現状と問 題点な どを紹介 する

H

  貝殻

構 成 と殻体 構造

 軟体動物の貝殻は

内 臓

諸 器 官覆 う外 套 膜

E

皮 組 織か ら分泌形 成さ れ るもの で

殻 皮と呼ば れ る外 側の有 基 質 薄 層と その内 側の石 灰 化 層か らなる

石 灰 化 層 は 炭 酸カル シウム の鉱物結 晶を 主要 構成物と し

たん ぱ く質 を 主成分とする有 機 基質を結 晶 間や結 晶 内に含ん でい る

鉱物種はア ラ レ石と方解 石で あ る が, 動物種か ら み ると

アラ レ石の みの貝 殻が かな り多 く

アラ レ石 1 解 石の 貝殻は少ない

解 石の みの 貝殻は知られて いな い

  殻体 構 造 (shell  structure )は

どの貝に も認めら れ る 構 築 構 造 (microstructure )

殻 層 構 造 (shell

layering)

成 長 (線 ) 構 造 (growth   strueture )

,一

部の貝に発 達 する管 状 構 造 (canal  structure ) な ど

貝 殻 内部 構造の総称である

こ の うち

構 築構造 は貝 殻 構 成物 が 特 定の規 則 性 を保っ て沈 着 するた めに生 ずるもので

その種 類は結品の種 類

形 態

サ イズ

配 列 様 式や, 角

機基質の種 類

賦存 様 式な どで識 別され る

殻層構造は

付加 成長を行う貝殻において

付加 沈 着の方 向 (や形式)が部位に より 異な る こ と に由 来し て 形 成 される

した がっ て

その区 分 は外 套 膜上 皮 組 織の 位 置 との対 応で行 わ れ る

成 長 構 造 は貝 殻 物 質の分 泌 が 等 速 度 的で はないため に生 ずるもので

年周期や 日周 期 で リズミッ ク に形成されるものは年令査定

生活史の解

明 な どに利 用 さ れる (

Lutz

 and  

Rhoads ,1980

管 状

構 造は貝 殻 内表面 か ら外 表面方向に延 びる細 長い空洞 か らなる構造で

生体 時は こ の空 洞 内に外套膜上皮細胞の

部 が 入 り込ん で い

1981

感 覚 器 官 と し の機 能 を 持つ と言わ れ ている が

他に貝 殻 と外 套 膜の固 着機能も考え られて い る

 どの殻 層にどの構 築 構造 が 発 達 するかは

動物種に よっ て特定して い る

ま た

系 統 的に 近縁なグル

プで は

そ れ が同じ か ま た は類似 する と い う傾 向が 認 め ら れ る

し た が っ て

殻体構造の進化を考察 する上で

とく に重要なの は構 築 構造 と殻 層 構造で あ る と考え られ る

 

古生

学 か ら

の ア プロ

  近 年

生体 鉱 物 化 作 用 (

biomineralization

)とい う 境 界 領 域 分 野の研 究が活 発に行わ れて い る

こ の分 野は 生 物 体の

を なす 鉱物 質組 織

あ るい は生物が造る鉱 ‘ 長崎支部

福岡教育大学地学教室

〒811

41 宗 嫁市 赤 間729

(2)

570 鈴木 清

物に関 連 する諸 科 学 を 包 括 した 分 野であ る

し たがっ

ア プロ

チの方 法 も実に多 彩であ る

こ の分 野の近

年の成果を集 大成した

3

つ のテキス トが 相 次いで出版 さ

れ た が  (

Simkiss

 and  

Wilbur,1989

Mann

 et α

1989

Lowenstam

 and  

Weiner,1989

生 物 学

古 生 物 学と

そ れ ぞ れ異な る立場か らまとめ られた もの で

同名か極め て類似し た表 題である にもか か わ ら ず

内容 的に はか な り相違 した構 成になっ てい る

ま た

,1990

10

月に小 田原市で開 催さ れ た 「第 6回 生鉱 物 化 作 用に関 する国際シンポジ ウ ム」 を例に と る と

参 加 者は地質学 (堆積学

鉱 床学)

古生物 学

鉱物学

化 学

生 物 学 (動 物 学

植 物 学 )

歯 学

薬 学

病 理 学

環境科 学

生 物工学

水産 学

物 理 学などをべ

と す る 研 究 者 で あっ た (Suga   and   Nakahara

1991

貝 殻は

当 然 な が ら

こ の分 野の主 要 な対 象の

1

っ で あ り

殻 体 構 造の研 究にっいても

多 方 面 か らの 様々なア プロ

チが ある

国 内で は

真 珠の養 殖 事 業に 絡み, 水産学 (お よびその基礎である生物学) か らのア プロ

チ が 古 生 物 学 か らの それに先 行 して行 わ れて い た

古 生 物 学 か らのア プロ

チは

主に殻 体 構 造と軟休 動物の系統発 生 との関 連 を 解 明 することを 目的 と してい る (他に

占環 境 解 析や 占生態 学へ の応 用 も試 み られて い る )

しか し

目 的は同じであっ ても

ア プロ

チ の 仕方は多 岐に渡っ ている

  先 ず

研 究 対 象は何 かであ るが

古 生 物 学にお け る研 究で あ る 以上

化 石 を 対 象 とする

と考 えるのが常 識で ある

しか し

現 実に は現 生 貝 を 対 象にした 研 究 が 圧 倒 的に多 く

化 石 を用いた研 究 は む しろ少 ない

筆 者 も現 生 貝 を主 要な研 究 対 象に してい る

こ のような研 究 実 態 のにあるの は

現 生 種の殻 体 構 造に関 するデ

タが ま だ ま だ 不 備で あるこ とが 第1にあ げ られる

第 2は

化 石に お け る構 造 保 存の問題で

,一

般に は

化 石 化の過 程で貝殻が溶解したり変質して初生 的構造 を 消失させて しま うことが多いか らである

と くに ア ラ レ石質の殻 化 石は

見 か け

ヒは未変質の場 合で も

方解石化 して構 造が消 失して い る ことが しば しば認め られる

も う工っ は

これ ら よ りも積 極的 な根拠 を持っ 由で あ る が

個 体発 生 を 通 して系統発牛を 推察する立 場か ら

貝殻 搆 造 の形 成過程や メ カニ ズムを 生体実験に よ り調べ る た めで ある

な お

化 石 か ら直接 得 られるデ

タの重 要 性は言 う まで もない こ とで あ り

これまで にも

Runnegar (1985)に よ る カンブリア紀の軟 体動物殻 体 構造の報 告

MacClintock (1967)に よ る石 炭 紀の 絶 滅 腹足 類

Bellerophon の殻 体 構造の報 告な ど

貴乖 な成果が あ げ られて い る

 分 類 群でみ る と, 殻 体構造の記載が多く

包括的に行 わ れてい るの は 二枚貝 綱であ る

二枚貝綱に お い て は

既に こ の グル

プ全 体を網 羅し た殻 体 構造の進 化 仮 説が 複 数の研 究 者によっ て提 唱 されてい る (

Taylor,1973

; Kobayashi

1980;魚 住

鈴 木

1981)

ま た

こ の綱 内の 目や科レベル の サ ブ グル

プにっ い て ま と め た研 究 もい くつ か 公 表 さ れてい る (

Shimamoto ,

1986 ;

Carter,

990

これに対 して

他の グル

プにつ いて の研 究はあ まり多くない

腹 足 綱 (巻 貝 )につ い て は

特定の サブ グル

プにっ い てま とめた 研 究 が あ る が (

MacClintock,1967

Batten,1975

全 体に構 造の 記 載が小数の に限定さ れ

グル

プ全体に渡る構造多 様 化の傾 向と系 統 的意味につ いて は

そ の概要が述べ ら れて い る にす ぎない (都郷

鈴 木

1988)

頭足 綱に しては

Mutvci (1964)の著 名な研 究や その後の 成果 を ま とめ た

Bandel

1990

)の告が あ る が

この類が 構 造の多 様 性に乏 しい こと か ら

構造 進化を直接 的に言 及 した もの は少ない

た だ し

絶 滅 頭 足 類の である ア ン モナ イ トの殻体は幼殻 部が保護さ れ る よ う に成長す る た め

化石と なっ て も幼殻部の保存が例外的に良い

こ のため

幼 殻の構 造 を 用い て個 体 発 生と系統発生の 係 を 追 及 し た 優 れた研 究が ある (

Tanabe

  et α

1.

ユ979)

こ の他の小グル

プで は

Haas (1972)の多 殻 綱 (ピザラガ イ 類 )

Erben eL al

(1968)の単 殻 綱 の記 載 が あ る程 度で あ る

な お

牧 貝に関 する研 究が 多い の は

こ の グル

プが構造の多様 性むこと が根 本 的 理 由で ある が

研 究 対 象と して

他に もい つ かの 有 利な条 件 を もっ て い るからで ある

その ⊥っ に観察試 料 作製が 比較 的 容 易であ ること が あげら れ る

例えば

ほとんどの 「枚 員 殻 体 は

殻 頂 か ら腹 縁 方 向に直線 的に 切 断 す れ ば

1っ の断面 試 料で成 長 段 階を連 続 して追 跡 することができる

腹 足 類の殻 体では

平 巻 や笠 型の も のを 除 き

これは不 可 能であ る

ま た

二 枚 貝綱 が 分 類 群 と して着 手 し易いサ イズ であ ること もあ げ られ る

現 生 種 を 例にとれ ば

約20

000

種 が80前 後の科にま とめら れて い る (種 数の見 積 りは研 究 者によ り異 なるが

こ こ

で はLehmann  and  Hillmer

1983の 資 料に基づ い

以 ド同様)

ちな み に

現生 腹 足 類は105

000Ptに昇 り

科の数 も

200

近い

逆に

頭 足類は

7DO

種 余 りで

そ の うち 殻 体 を保 有 す るの は

ムガ イ類 や トグロ コウ イ カな ど小 数の種に限られる

  殻体 構造の進化過程解明の具体的方法につ い て み る と

直接的に造 問の 系 統 関 係 を探ろう とする ものか ら

機 能形 態学な ど 別の 観 点 か ら構造の 多 様 性の意 昧を 捕え

間接 的に系統 進化を追及し ようとするものまで,

(3)

軟体 動 物 殻 体 構 造の研 究

571

これ ま た多 様である

後者の例 を あ げ れ ば

,Taylor

and  

Layman

 

1972

 

Carter

 (i980),  Mutvel (

1983

) らは

貝殻の最も基本 的機 能である軟体 部の保 護 機 能に着 目し

貝 殻の物理的強度と殻体構造の関 係 を 調べ

機 能 的 発 展 方 向 を 議 論 しいる

また

貝殻 表面 の形 質 (表 面 装 飾 や二枚 貝α)靱 帯

歯な ど)と殻体構造 の関係 を調べ

表面 装 飾 発 現の 由来を解 明する とい う研 究 も ある (

Waller

1972

;Flajs,19了

2

;真 野

981

構 造その ものでは な く

構 築 構 造の 有 機 基質の賦存 様

超微構造

生 化 学 的 性 質 を 調べ い う 方 法があ り

これ に携わ る研究者の数は多 く

また研 究 報 告 も膨 大で ある (佐俣

1988)

有 機基質へ の関 心 が 高い の は

動 物 体か ら貝 殻に何 らかの遺伝 的 情 報が も た ら さ れ ている とす れ ば

その情 報は主体を なす無機の鉱物相で は なく

微量の有 機 基 質に有る と み られ る か らで あ る

な お

大 局 的に

生体鉱物 化 作 用の メ カニ ズムの進 化 と いう観 点から

軟 体 動 物における石 灰 化機 構 獲 得

構造 の多 様 化

鉱 物 種の化など を 議論する研 究 もみられる

(Lowenstam  and  Weiner

⊥989)

 こ こ で

殻体構造 研 究にお ける現 段 階の大 きな問題 点

と して

構 築 構造の 区 分や同 定が 研究 者に よ り異なっ て

おり

混 乱して い るこ とを指 摘しな け れ ばならない

Taylor

 et α

1.

1969

) は]

0

種 類 前 後にま とめて い る の に 対 し

,Carter

 and  Clark 1985) は50種 類 余 りに細

分して い る

これは構 築 構 造に対 する認 識の差に 由来 す る

例えば

構 造であるか ら形 態 型のみ を 区分 基 準 とす る か

構 造と はいえ

物 質である か ら構 成 鉱 物や有 機基 質の種類も区基準に加え るべ なのか

筆 者ら は後 者 の立場で

Taylor らの区 分 法 を 改 良 し

20種 類 程 度を 識 別 して い る

形態型 に し て も

結 晶 配 列の秩 序 性 (ordering を どの スケ

ルで捕 える かによ り

構 造 の変異幅に対する 認識が異 なる

また

ある種の構 築 構 造で は

構造の完成に至 る先 駆段階が殻 体 中に残 存 する 場 合があ り

これを先駆 段階としてある構造の変 異 幅 内 に収めるか

別種類の構造 と見做すか

研 究者によ り見 解は違っ て いる

V

 

殻体 構

造の

起源

分化

 殻 体 構造の進化を解 明 する上で重 要なことは

起 源 的 構 造と構 造分 化 様 式ら か にするこ とである

古 生 物 学にお け るこ の類の研究の歴史が浅い と はいえ

これ らに関 して はこれ まで に いくっ かの仮 説が提 唱さ れて い る

しか し

以 下に述べ よ う

いず れ も定 説と して 認識される段 階に至っ ていない とい うのが現状で あ る

 起源的構造に関 する研 究で注 目を浴び たの は

Erben et

 al

1968

)に よ る

IVTeo

ρ

ilin

αの殻 体構造につ い ての 報 告である

こ の動 物は軟 体 動 物の中で も最も原 始 的な 体 制 を もっ と言 わ れ る単 殻 綱に属し

古生代に繁栄した その グル

プ が 細々 と生 きなが らえ た末 商である

即 ち

Erben ら は レリッ に起 源 的 構造 を求め た わ けで あ る

こ の動 物の殻 体 構 造は稜 柱 構 造か らな る外 層と真珠 構造 か らなる内 層の組 み合 わせである と記 載さ れ た

稜 柱 構造

真 珠構造の み 合 わせを 起 源 的 構 造とする説 は

二枚貝の構造分 化の トレ ンドを 初め て論 じた

Tay −

10r

1973

) を含あ

その 後の多 くの研 究 者に よっ て支 持 されて いる

しか し

個体発 生の初期に形成される原 殻の構 造 を 調べ た り

殻 体再生 実験をなっ て い る研 究 者は

別の見 解 を もっ て い る (鈴 木

979

Togo

 et al

,1991

即 ち

系 統 発 生 上の起 源 的 構 造を個体発 生 に求めた わ けであ る が

個 体 発 生 上は多 くの構 築構造 が

有 機 基 質の形 成

そ の内部で の結晶核形 成

結 晶 成 長 とい うプロセスを 踏 んで形 成 さ れ る

稜 柱 構造 も真珠 構造 も結 晶成長は そ れ な りに進 行 してお り

結 晶成長が 不 十 分な粒状構造のよ う なものがよ り原 始 的な構 造で は ないか

と みて い る の である

 構 造 分 化にっ い ては

同じ二枚貝 を 扱っ た ものが 主で あるに もか か わ らず

多くの 柑 違が み られる

その原 因 は や は り研 究 方法

観点の違いや

前述し た構 造に対 す る認識の違いか ら来るもの の ようで あ る (鈴 木

都 郷

1987)

最も基本的な観 点の相 違は

別のデ

タに基づ い て打ち立て られた従来の統図に殻 体 構 造 を あてはめ て その分化を 論 ずるのか

と りあ え ず 構 造 分 化 過 程を独 自の 問 題 と して捕え

そ れを 解明した後に動物系統を論 ずるのか

と い う点にある

勿 論

殻 体 構 造の進 化 はそ の勤物の進化を 反 映 する わけであるか ら

それぞれの分 化 ト レン ドは平 行し て並ぶ はずである

最終 的に は々 な形 質 を総合的に判断して動物進化を明らかにす るわ け で ある が

当初か ら従 来の系統 を前 提にす るのでは

殻 体 構 造 研 究の古 生物学へ の 貢献は極 めて限られ た もの に なっ てし ま うで あ ろ う

  以

H

の ような

殻休 構造の 起 源 と分 化 をめぐ る 論 争  (?)に

大セ ン セ

シ ョ ンを ま き おこ したの は

Runnegar

らの

一・

の研 究である (

Runnegar

1985

Runnegar  and  

Pojeta,1985

な ど)

こ の中で

カン

ブ リア紀の化 石に基づ い て

軟 体 動 物の各 綱の 出現 期 や 系 統 関 係 を示 す とともに

遅 くて も中期カンブリ ア紀に は単殻 綱の殻 体に

真 珠 構造

交差板構造

葉状構造 な どの主要 構築 構造がそろっ て いたこ と を明ら か に し た

即 ち

起 源 的 構 造 や 構 築 構 造 自体の分化過程は

よ り 原始 的 な 軟 体 動 物 か 軟 体 動物の祖 先となる無脊椎動 物

99

(4)

572

鈴 木 清

に求め なけれ ば な ら な いことに なっ たの で ある

た だ し

留意すべ きこと は

殻体構造の分化 (進 化 )と構 築 構 造の分 化と は別 もの である とい うことであ る

殻 体 構 造の分 化 過 程 は

各 殻 層にお け る構 築 構 造 分 化 過 程 と殻 層 自体の発 展

消 滅の過 程 を 複 合 して

動 物の系 統 発 生 を通 して行われてい る

これ もまた, 事 実なのであ る

V

  化 石化 作用

構 造保 存

 と ころで, 最 近の古 生物 学 界に おい て タフ ォノ ミ

(taphonomy )とい う用 語が し ば し ば用い られる

タ フ ォノ ミ

は キに古 生 態学 的 観 点か ら広 義の化 石 化の 問 題 を 扱 う分 野で あ る

広 義の化 石 化 過 程 は

古 生 物の死 か ら地 層へ の埋 没に至 る前 半の過 程 と

埋 没 後の続 成 作 用に伴 う 後 半の過 程 (狭 義の化 石 化 )か らな る

した がっ て

化 石 化の問 題 と くにその後 半の過 程は堆積学 と共 通 す るテ

マであ る

実 は

前 述 した化 石 貝 殻の構 造保存の題は

主に こ の後半の過程に関連するもの で あるが

,一

般論 (構造の破 壊 ) とは別に

化石化に よっ て 構 造の 保 存が保証 さ れ る とい うデ

タ が

堆 積 学 分 野 で蓄 積 さ れて いた (Tucker

1991;Carson

 lggl)

具 体 的には

炭 酸 カルシウムの貝 殻 が

埋 没段階の早期 に (内部構 造の破 壊の前に)

その後の続 成 変 化に強い 他の鉱 物で交 代されたり

周 囲 を 充 嗔 するセ メン ト物 質 に構 造の

部 を 刻 印 して残 す

とい う ものである

前 出 の

Mutvei

(1983) や

Runnegar

(1985)の研 究は燐 酸 塩で交 代

充 嗔された化 石の観察に よ るものである

筆 者 ら もシ リカ鉱 物 や緑 泥 石で交 代 され た第三紀の化石 貝 殻 中に アラレ石 質の構 築 構 造 が 残存 してい ること を報 告 した (Suzuki et α1

 in press

こ の ように, これ ま で殻 体 構 造の研 究で はあ ま り注 目されていなかっ た変わ り種の化 石 も

重 要な研 究 対 象 と して活 用 されるこ とが 期 待 される

ま た

こ の種の化 石は

埋 没前に形 成さ れ た二次 的 構 造 (例 え ば

菌 藻 類の穿 孔 跡 ) が保存される こと もあ るの で

タフ ォ ノ ミ

分 野でも有 効 な対象とな る であろう

V

[ お わ

に  今回は

軟体 動物の殻 体構造の研 究とい

古 生 物 学 全 体 か らみれ ば

極めて限定さ れ た分野を取 り上 げたの であ るが

こう して ま とめてみ ると

その 内容の広さ と 深さを あら た め て思いら さ れ る

 

方で

古 生 物 学 を べ

スにした研 究 者 層は段々高齢化して いることに気づ く (生 体 鉱 物 化 作 用 全 体で は

む しろ逆の 傾 向に あ る)

上 述 した よ う に

着手さ れ た どの 方 面の研 究 も未 完の段 階にあ り

課 題は山積み されて い る

新た な研 究 の拡がり も期 待 さ れる

若い方の参 人 を 是 非にも望むも の である

 なお

文 献は

できるだ け 入手し易い もの を選 んで引 用 し た た め

重要な もの で もか なり省 略して い る こと を

末 筆な が ら おこと わ り しておく

文  

Bandel

  K

(1990) Cephalopod  she 】l structure

 and  general mechanisms  of shell formation

  fn 

Carter,

 J

 G

(ed

 

SheletCtl

 Biominer α

li

:a

 ‘‘・n : Patterns

  P厂ocesses αnd   Eu・餓 めnα・rcr  Trends

 Vol

  i

,97−115,

 

Van

 

Nos

しrand  

Rein−

 hold

 

New

 

York ,

Batten

 R

 L

1975

)The 

Scissurellidae

are they  neotenously  

derived

 

fissurellids

? (

Archeogas−

  tropoda)

 

Anzer.

 

Mus ,

 ヱVovi亡ates

 no

 2567

  1

 

− 29.

Carson ,

 

G 、

 

A .

1991

Silicification

 of 

fossils

 In

 Allison

 P

  A

  and  Briggs

  D

  E

  G

(eds

  Taphonombl

, 456−

499

  Plenum  Press

  New  

York

 and  

London .

Carter,

 

J 、

 

G ,

1980

Environmental

 and  

biologi

 caI contrQls  of 

bivalve

 shell mineralogy  and

 microstructure

 

fn

 

Rhoads ,

 

D .

 

C .

  and  

Lutz,

 R .

A

(eds

 

SheZetat

 

Gro

ωth 〔ゾ

Aqu

αtic O厂

 

g

αnisms

69−113,

 

Plenum

 

Press

, 

NewYork ,

       (

1990

Evolutionary

 significance  of shell

 microstru ¢ture 

in

 the Palaeotaxodonta

  Pteri

 QmQrphia  and  

IsofiIibranchia

 (Bivalvia

 

Mollusca

.Jn

 

Carter,

 J

 

G .

(ed

Sfeeletat  Biominerali : αtion : Pαtterns

  Processes artd

  Evolutionαr )

1 

rends

  Vol

35

296

  Van  

Nostrand

 

Relnhold,

 

Now

 

York .

       and  

Clark,

 

G .

 R

  H (1985Classifica

 tion and  phylQgenetic significance  of mollus

 can   shell   microstructure

  frL  Broadhead

  T

 、V

 (ed

) 

  M 〔,llusfes

  No 亡e 

fer

 α  

Short

 

Course,50一

1,

 

Dept.

 

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