香川生物(Kagawa Seibutsu)(23):81M83,1996.
香川県産ヒメタイコウチについて(Ⅰ)
豊 嶋
弘 〒769−01香川県綾歌郡国分寺町新居3369−1上 崎 聡 敏
〒533 大阪市東淀川区下新庄6−4−3−501阿 部 信 之
〒563 池田市神田3−19−20中 村 俊 之
〒544 大阪市生野区巽南5肌6−29 NotesonNqpahQffhaTmiEsaki(Nepidae,Hemiptera) fromKagawaPrefecture(Shikoku)(Ⅰ) HiromuTosbima,3∂甜一ノ,Ⅳ;よ,gOゐ㍑わ昆可£−Cん往Aッα㍑ね−g乙↓花,肋gαMα,7甜イ〃Jdpα軋SatoshiKamisaki,4T3L501,SimosiTd66ch∂me,Higashiyodogawa−hu,OsahaCity,
5∂30sαゐα,Jdpα札NobuyukiAbe,19−20,Kanda3ch∂me,1hedaCity,Osaha,563JapaTL.
ToshiyuliiNakamura,6−29,7七とSぴm云mよ乃αmよ5cん∂me,戊比花0−ゐ昆,OsαゐαCま紗,Osαたα, 朗4J(軍α花. 豊嶋・松村(1995)は四国未記録であったヒ メタイコウチ〃甲αん0〝mα柁花よEsakiを,香川 県中讃東部沿岸の低山丘陵地から初めて記録し た。1995年には,既知生息地の東側に隣接する 五瀬山・雨滝山周辺を中心に分布調査などを行 った。その結果,新しい生息地が判明し,雲附 山付近から石鎚山・五瀬山を経て,北山(志度 町)・雨滝山付近に至る低山丘陵地に生息地の 点在していることが確認できた(図2)。 さら に,峰続きの立石山周辺,北山北方の低山丘陵 地にも分布している可能性がある。 また,志度町艮行の既知生息地でほ,環境の 変化とともに,生息個体数の増加を認めたので 併せて報告しておく。 1.生息地の追加 志度町大佐(北山山聴) 4∼5令幼虫各1ex. 20.ⅤⅡ.1995. 〝 西山(五瀬山山壕) 3∼4令幼虫 5exs,22.Ⅵ.1995. 志度町末東(五瀬山山雀) 5令幼虫 2exs. 22.ⅤⅡ.1995. 樺田町神野(柴谷トンネル付近) 1谷1箪 22.ⅤⅠ.1995. 区=.水辺の落ち莫の開から這い出てきた ヒメタイコウチ. 鵬81wOLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
図2..ヒメタイコウチの生息地(国土地理院 5万分の1地形図縮小) 星印:新しく判明した生息地 花弁印:既知の生息地 図3.志度町長行付近におけるヒメタイコウチの生息環境と生息場所の変化.
Aり1992∼1994年の調査(破線:林地と草地・ B.1995年の調査(破線:林地と草地の境界
耕作地の境界日 渡線:小水路.) 波線:小水路.) ★●◆★ 毎年発見した範囲= ★1回だけ少 ★◆★ 多数の個体を発見した範囲. 数個体を発見した場所 ★少数の個体を発見した場所 津田町神野(雨滝山山麓) 4∼5令幼虫 3exs一. 溝や小水路を中心に形成された湿地性の草地で 20.ⅤⅠい1995い ある。休耕田があっても,田の畦や周囲の小水 発見された生息場所ほ,いずれも林縁と休耕 路がU字溝のようにコンクリ・−ト化されている 田の接点に.あり,少量の浸出水が流れている小 地区では発見できなかった。 −82−OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
図4.生息場所の景観(1995年5月). 1993年まで水臥 矢印はヒメタイコウチの生息している小水路があるところ. 2.志度町長行付近における 生息環境と生息個体数の変化 志度町長行付近の生息地では1993年を最後に 稲作を中止した。その跡地は,僅か2年後の19 95年には,イネ科草本とセイタカアワダチソウ が優占する草原に変化し,周囲の小水終には湿 地性植物が密生するようになった(図4)。 1994年までは,水田または休耕田の周囲の小 水終にヒメタイコウチがいることは稀であった が,1995年の調査時には小水路の経で多数の成 虫と幼虫が発見された。以前に,比較的多く発 見できた林縁と畑・果樹園の境にある小水路で は,同じ程度か,場所によっては,むしろ少な かった(図3)。 他の生息地での状況も併せて考えると,山麓 にある,湿地性の草地に変化した休耕田あるい は周囲の小水絡は,ヒメタイコウチの好む生息 環境であり,良い繁殖の場となっていることに 疑いはない。 しかし,長尾町長行付近の生息場所の一つほ 再び畑に整地されたので,草地も湿地も無くな り,ヒメタイコウチは発見できなかった。この ように休耕田ほヒメタイコウチの生息場所とし ては,何時潰されるかわからない,不安定な環 境でもある。