香川生物(KagawaSeibutsu)(34):29−30,2007
屋島湾から得られたオノミチキサンゴ伽〃dr呼毎〃由cr≠ムro∫α
明 石 英 幹・藤 原 宗 弘・吉 松 定 昭
〒7針ト0111香川県高松市屋島東町75−5 香川県水産試験場 高 砂 一 義 〒761−0130 香川県高松市庵治町6371庵治漁業協同組合OccurrenceoftheahermatypICCOral,Dendr呼hylliacribrosa,
atYashimaInlet,KagawaPrefbcture
HidekiAkashi,MunehiroFttiiwaraandSadaakiYoshirnatsu,
ん.′ご.′…Jり‥・…・、′/J/、/…いJ・り,√=仙川・・/烏・′′J・′′′・ ̄■、「・トハん∼′′廿//ごヾtハ/一・・Jt・∴・〃〃=け、古・ ̄●′・トJ′J/J‥JりJ川∫ Ka孔IyOShiTakasago,旬げ長鳥erf甜Co呼ピ′・αJ∼veA∫∫OC∼α′わ玖∂j7J刃ん花嵐α肌α′∫〟花川プjqt/呼α〃 1月初旬,著者の一人である高砂一義が潜水作業中,屋島湾口に近い高松市庵治町平石
(図2)で発見し,1月17日に香川県水産試 験場へ持ち込んだものである。穿孔性生物の 食痕がみられるなど劣化が進んでいたが,群 オノミチキサンゴββ〝dr呼毎JJ∠αCrfムJ・0∫〟 は,我が国でもっとも古くから知られていた 非造礁性イシサンゴ類の一種である(江口, 1935)。明石ほか(2007)は,これまでに報告 のなかった香川県海域からの本種に関する情報をまとめた。その結果,県下における分布
は,庵治町(現高松市)∼土庄町にかけての海 域と,坂出・丸亀市境∼詫間町(現三豊市) にかけての海域に大別できることが明らかとなった。しかしながら,庵治町周辺海域につ
いては,漁業関係者等への聞き取り調査によ り過去の目撃情報が得られたのみであり,何 らかの形で現存している事例を確認すること はできなかった。その後も情報収集を続けた 結果,同所海域から得られたイシサンゴ頬試 料が本種骨格標本であると同定されたので報 告する。 今回得られた骨格標本(図1)は,2006年 図1.屋島湾で採取されたオノミチキサンゴ 伽〃d′・呼如才J∫αCrfみ′・0∫α骨格標本の全体 像およびセプタ(隔壁)の拡大像. − 29 −OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
あった。 目撃情報しか 見つかったこ.とは,他の情報の信憑性を高め ると共に,同所海域で少なくとも最近まで,
本種の産地が残っていたことを示すもので
あった。また,今回の発見場所が,こ.れまで に目撃情事技の寄せられていた場所よりも南西 に位置していたこ.とは,庵治半島周辺の広い 範囲に本種の産地が存在して−いたことを示唆 して−おり,さらに情報収集に努めることで, 新たな産地や生存個体の発見が期待できることから,今後も継続的な調査活動が望まれ
る。引用文献
明石英幹・藤原宗弘・吉松定昭小 2007.香川 県海域で確認されたオノミチキサンゴかe乃− ゐ・呼々γJJ宣αCrヱあ′・05α.香川生物34:印刷中. 江口元起.1935.東京滑及附近に採れる石珊 瑚類.植物及動物4(2):66−68. 小川数也・高橋秋之介1995い 日本産非造礁 性イシサンゴ類の再検討と同定の手引−Ⅱ, キサンゴ属.南紀生物37(1):15−33.Ogawa,Kazunariand Kounosuke Takahashi
2000.Notes onjapanese ahermatypiccorals− Ⅱ,NewspeciesofDendrqp々γllia・Publ‥Seto MaI\Biol,hb.39(1):9−16, 図2.オノミチキサンゴ伽〃dr甲々γ〃ねcrヱあ′05α 骨格標本の採取場所 体は樹木状で英の芽生に偏りがないこと,英 の突出はわずかであること,セブタ(隔壁) が5系4回を示して−いることなど,小川・高 橋(1995)およびOgawaandTakahashi(2000) に記載されたオノミチキサンゴの指標とよく −・致したことから,本種と同定され 当水産 試験場に保管している。群体は,高さ13.0 叫 幅12.5cmであった。当水産試験場に保管 している他のオノミチキサンゴ標本が石に着 生していたのに対し,本報告の個体はかなり 劣化の進んだカキ殻に着生して−いた。30個の 英を測定した結果は,長径平均値5.9mm(4.7 ∼8.Omm),短径平均値5.2mm(4.1∼6.6mm)で 一 30 −