徳島県におけるサシバButastur indicusの営巣の1例-香川大学学術情報リポジトリ

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香川生物(KagawaSeibutu)(30):9−12,2003、

徳島県におけるサシバβ〟奴ゞ血r加d血∫の営巣の1例

野 口 和 恵

〒776−0034 徳島県麻植郡鴨島町飯尾550−253

ArecordofnestlingButasturindicusinTokushima,Japan

KazueNogucIli,550−25j,血叫助椚呵J∽β,rbた‘‘∫烏∼椚α,7乃−00j4ノ8p〟仇 2002年4月上旬,山ヘワラビ採りに出かけた 際,スギCりpわ肌er‘αノ呼0〝血の樹頂にとまり鳴 いているサシバβ〟ねぼf〟r∫〃d血∫1羽を見た。後 日,サシバの行動を観察し巣を発見したので, その観察記録を報告し,今後の研究に供じた い。徳島県においてサシバは夏鳥として渡来 し,繁殖するタカである(日本野鳥の会徳島県 支部目録部,1988)。これまでの文献によると, サシバは大きな木の地上10∼20m付近に小枝を 重ねて巣をつくり,4月下旬から5月上旬頃に 2∼4個の卵を産む。抱卵中の雌には雄が餌を 運び,巣の近くで雌に餌渡しをおこなう。5月 下旬から6月上旬に卵字化する(小林,1976;小 島,1982;K句ima,1987;森岡はか,1995参照)。 生息場所は平地から山麓の森林あるいは谷津 である(内田,1974;小林,1976;小島,1982; 東ほか,1998,1999;時田・東,1999)。 調査場所は徳島県麻植郡鴨島町内で,標高約 500mの稜線が連なる山の麓である(北緯340 02′∼03′,東経1340 21′∼22′)。斜面は,おも にスギやヒノキCん〃椚αeりpαr由0わ血Jαの植林,ア カマック血∫de那ヴわrαおよび広葉樹の混交林か らなる。なお標高200mあたりまで,果樹園(ミ カンやキウイ)が広がっている。

調査期間は2002年4月30日から7月11日の

間で,計10回観察をおこなった。うち6回は, 視界が開けている果樹園沿いの道で,サシバの 飛翔範囲や行動を観察した。残りの4回は,林 内で巣内の雛の様子を観察した。補足調査とし て,2002年11月19日に営巣木の胸高直径,樹高, および巣の高さを,巻尺(最小目盛り2皿皿)と樹 高計(牛方商会製アルテイ・レベル)を用いて 計測した。 サシバの飛翔やとまりがよく見られた地域 は,植林と果樹園が隣接する谷であった(図 1)。観察中に確認できた行動範囲の最外郭は 図1のとおりである。サシバは針葉樹の樹頂や 枯れ木によくとまっていた。とまり木は果樹園 に面した場所あるいは植林内にあった(図1, A∼Ⅰ)。 4月30日,1羽の成鳥が餌を持って飛翔し, スギAにとまっていたもう1羽の成鳥に餌を 渡した。この間,鳴き声がひっきりなしに聞こ えた。また,広葉樹の枯れ木Bへとまった後, 果樹園へ飛翔した。 5月5日,果樹園に面したマツの枯れ木Cか ら果樹園へ飛翔後,餌を持って植林に入った。 果樹園はおもに狩り場として利用されていた ようだ。 5月12日,ヒノキDでとまっていた個体が果 樹園へ飛翔した。枯れ木Cで羽繕いをした後, 飛翔してヒノキE,スギFへとまり,あたりを 見回していた。飛翔してきた雄が植林内のマツ の枯れ木Gで雌へ餌を渡し,雌はその場で採餌 した。枯れ木Bから飛翔してヒノキHにとまり 鳴いた後,植林の奥へ飛翔した。 − 9 −

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図1..サシバの生息場所および周辺の環境.

●,営巣木N;×,とまり木A∼Ⅰ ■,人家;太線,行動範囲の最外郭.

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5月19日,飛翔中の成鳥が広葉樹の樹冠部分 へ侵入後,新緑の菓がついている小枝をくわえ て飛翔し,植林内のスギの樹冠に入った。 5月25日,成鳥が枯れ木Cで羽繕いをした 後,果樹園へ飛翔,しばらくして植林地方向へ 飛翔した。 6月1日,枝運びがおこなわれたスギを調べ たところ,枝のつけ根にある巣を発見した。こ の営巣木は標高約140mの位置にあった(営巣 木N,図1)。営巣木の胸高直径は0い48m,樹高 は18小7mで,周囲のヒノキより大きかった。巣 は地上10.3mの位置にあり,おもな巣材はスギ の枯れ枝と枯れ葉であった。広葉樹の小枝を運 んでいたので,巣の内部には青葉が敷かれてい たと推測される。巣直下の下草には,白い糞の 跡が付着していた。巣内を見ることはできなか ったため,卵あるいは雛の有無はわからなかっ た。成鳥が巣に出入りする行動が見られた。 6月9日,白い羽毛で覆われた雛2羽が巣内 で羽ばたきおよび歩行していた。また,巣内か ら総排泄腔を外に向けて糞を排泄した。成鳥1 羽が巣内へ餌運びをおこない,もう1羽の成鳥 は営巣木近くのヒノキⅠの樹頂から巣の方向 を見て−いた。 6月23日,雛は成鳥とほぼ同じ体サイズに成 長していた。幼羽が生え,胸には褐色の縦斑, そして黄白色の太い眉斑があった。巣内に3羽 の雛がいた。 6月30日,巣の近くの枝に雛2羽がとまって おり,枝の上を歩いて移動していた。巣内に雛 はいなかった。

7月11日,成鳥1羽と幼鳥1羽が,枯れ木C

にとまったり,近辺を飛翔していた。 11月19日,巣を構成している枝は減少してお り,巣は崩壊しかけていた。 サシバのとまり木は,環境と利用方法により 2つに分かれた。B∼Fは果樹園内あるいはそ の周辺にあり,おもに狩りや休息のために利用 された。−・方,AおよびG∼Ⅰは植林内にあり, 餌渡しや巣の見張りに利用された(図1)。この ようなとまり木の場所とその利用方法は,小島 (1982)の報告と共通していた。 徳島県におけるサンバの営巣木として,アカ マツとモミ舶∼e5β′椚αが報告されている(日本 野鳥の会徳島県支部目録部,1988)。今回の営巣 木はスギであったので,新たな1例として付け 加えたい。徳島県で確認されたこれら3種の営 巣木は,他県においてもサシバによく利用され る樹木であった(小島,1982;森岡ほか,1995)。 今回の営巣木の位置は,水の流れる谷にはさ まれた狭い尾根付近であった(図1)。サシバの 営巣場所と地形の関係について,これまで報告 されていないので,今後の課題にしたい。 本研究をおこなうにあたり,原稿の校閲をし ていただいた香川大学教育学部生物学教室の 金子之史教授,さらに営巣木調査にあたり助言 をいただいた同教室の末広喜代一・教授にお礼 申し上げる。 引 用 文 献 東淳樹・武内和彦・恒川篤史‥1998い谷津環境に おけるサシバの行動と生息条件∴環境情報科 学論文集12:239−244. 東浮樹・時田賢一‥武内和彦・恒川篤史..199臥 千葉県手賀沼流域におけるサシバの生息地 の土地環境条件∧ 農村計画論文集(1999年) 11月:253−258. 小林桂助‖1976..原色日本鳥類図鑑増補改訂新 版い 保育社,大阪叶 248pp“ 小島幸彦い1982..サシバ 徳〟ぬ5加‘〟d血5)のテ リトリ・−とテリトリ・一行動… Tori30:11ト 147. Kqjima,Yukihiko‖1987..Bleedingsuccessofthe Grey−fhcedBuzzardEagleBuLasEurindicus・.Japh J.Olnitholい 36:7ト78.. 森岡照明・叶内拓哉・川田隆・山形則昇.1995. 図鑑日本のワシタカ類‖文一・総合出版,東京. 631pp、. 日本野鳥の会徳島県支部目録瓢.1988..創立10 周年記念徳島県鳥類目録.日本野鳥の会徳 島県支部,徳島県い 339pp.. 時田賢一・・束淳樹.1999.千葉県手賀沼流域にお −11一−

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けるサシバの生息地の土地環晩.我孫子市鳥 内田滴之助い1974.最新日本鳥類図説.講談社,

の博物館調査研究報告7:37−47,. 東京.319pp.

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