Bastard Faulconbridge
に つ い て
一К流亀初
/t72と 7‐/2ι ttο"♭
肪θ
ηι
ttα
を寛
ιげ れ曜拗乃ηとの比較的考祭一
英文学教室 岡
イ弛 拗 力
2(以
下 てデ と略す)の
Bastard Faulconbridgeに
ついて考えてみ たい。コblinshed
な どによ るわずかな “trifling variations''を 除いては,Iデ
の原典(1)は 助 夕rr9″♭ルp″
翼αセ″げ Fitgラ 砺″。
)(以
下TRと
略す)で
あるといえ る。本論では, Shakespeareの Bastardは
ど うい う人 間か, TRと
の関連の もとに,考
察 して ゆ きたい。Bastardの
全体像を考え るさいに必要にな って くるので,最
初 にF」の テキス トの問題 を取 り上げよう。 このテキス ト(the First Folio)に は多 くの矛盾 があ る。 明 白な間違 いのみを例示 して も次の通 りである。
act and scene d
isionに
つ いて。二幕はわずか76行 か ら成 り立 ってい るにす ぎない。 この幕には
5人
が登場 して いたが,“ Exeunt''も 与 え られない ままに新 しい幕が始 まる。 この幕の区切 りは非常に不 自然 だ といえ る。 また四幕一場 は
2つ
あ る。後 に出て くるのが五幕一場 の間違 いであるとい ってよい。
stage directionに つ いて。 これ も非常 に不完全である。 明白な間違 いのみを例示 しよう。
1,(1.36)(3)Exit Chat,and Pemo Exeuntに
正 すべ きで あろ う。2。
(1.232)SD.Enter Lady Faulconbridge and lames Gurney
こィ化1ま 1.2301こ花詑く′ミ きであろ う。3. (■
.292-3)Enter befOre Angiers, Philip King Of France, Lewis, Daulphin,Aus―
tria,Constance,Arthur.Lewisと Daulphinは
同一人物 であ る。4。
(1,996)Constance,Arthur,Salsburyに Exeuntが
与 え られて いない。 5。(1.1296)複
数 の人 が退場す るがE
tと
な って い る。6。
(1.1648)な
んの 卜書 きもない。Hubertが
(estrike〔hiS〕 fOOt'' し,刺
客 が登場 しているはずだが。
7. (1. 1662)E/7σ ・ I aln best pleas'd to be frOIn such a deede.
И″ザ
.Alas, I then haue chid away my friend.
Arthurの
科 白の前 に,刺
客 が退 場 して い るはず だ が,な
ん の 卜書 き も与 え られて いない。3. (1, 1880)】,/Bη・ Deliver hi:n tO safety, and returne,
For l must vse thee:
(1.1905)S,D Enter Hebert
① “The princiPal sOurce was T.資 . which is f0110wed prettey closely as regards historical
events, the selection of scenes, and even the logical run of many of the dialogues,"E. K。
Chambers,7ゲ
",″
″S力,確gsp効″ヮ(London,Oxford Univ.Press,1930),p.367.
② テキ ス トは Geoffrey Bullough(edぅ ,珂″″,ガυヮα″′D紹陶″,,Sり ″ι公 げ S物ク々珍ψ″セ
,IV(London,
Routledge and Kegan Paul,196り 用ヤヽた。
③ Norton Facsmileの line―
numberに
よ る。Charlton Hinman(prep.),3修
F″S♂ F9カ09/
説,脅ヮs,ヵ″
(New York,W.w,NortOn&Company.Inc.,196の
明 俊
岡村 俊明 :Bastard Faulconbridgeに ついて
Hubertは
ェ の命令通 り退場 し,再
登場す る。 しか し1.1880でExitは
与 え られて いない。9.(1.2003)卜
書 きはない。 また1,2005で Arthurは
死 ぬが,
城 壁 か ら飛 び降 りる際 に も 見 当 らない。10,(1.2033)SaliSburyが Arthurの
死体 を見 つけるのだが,
卜書 きはない。 ■.(1.2164)SD.Exit. Exeuntと
な るべ きで あろ う。12.(1,2370)Dο J.What lusty Trumpet thus doth summon?こ
こに も 卜書 きはない。13。 (1. 2616)FF72. Let hiln be brought into the orchard heereP 卜辱筆き1まない。」
Ohn
王 を連れて くるため
,Bigotが
退場す るのだが。14. (1. 2674) 卜「妻き1まない。 (1. 2675)1こ etS,′, You breath these dead ne、
ves in as
dead an eare."と
ぁ るか ら,1.2674で
Joh五 王 が死んだはずだ。以上 は初歩的で確定的な間違 いで ある。 高度の判断を必要 とす るのは
,
これよ り進 かに多い といえ る。
headil■
gに
つ いて。QuCen Motherは
Elea.,Eh.,Ele.,Queen, Qu.WIO.,01d Qu.
と七 通 りに書 かれている。King John,Hubert,King Philipな
どにつ いて は, Queen WIOtherの
例 ほ ど多 くはないが,幾
通 りものheadingで
書 かれて い る。Bastardは
初 めはPhilipで
登場 す る。獅子工 の庶子 と して認 め られ ると,Bastard(1.146)と
な り,
それ以後 このheadingが
与 え られて い る。 しか し1.998の
卜書 きでPhilipが
使 われ,■ .1057,1059で
もPhilipが
使 われて い る。■.294311で
はLewisと
あ るのは,K.Philipの
間違 いで あ ろ う。1.449で King
二♂ωゲ∫,determine what we shall do strait,と
ぁるが,King Lewisは
存在 していない。また これ ら以外 に もこのテキス トには多 くの誤謬 を含んでいる。 どの研究者 に も指摘 されて いる が
,Hubertと
CitiZenの
問題,
」Ohn工
の命令の問題(Arthur暗
殺 の命 がいつ のまにか彼を 盲 目にす る命 にな って い る)な
どで あ る。 また劇的効果か ら考えて も不 自然 な要素 が多い。特 に伏 線 の欠如 は著 しい といえ る。 大 きい役割 をはた した二人 の女性 の突 然の死,
」Ohn工
の三 度の戴 冠 式 の経過,Daulphinと
フ ランスエ の役割 の変遷,JOhn工
の死後 のPrinceの
役割,貴
族 た ちが赦 された経過等 はその例 に当 る。 既述 した矛盾 は明白な ものばか りであ るが
,そ
れは高度 な判 断 を要 す る矛盾 と違 い,読
者 の主 観 によ って左右 され るものでは ない。 この作品 のテキス トの乱 れはShakespeareの
他 の作品 と比 べて も,追
か に多い といえ る。 以上 の ことか ら言 え るのは,多
くの明白な矛盾 が矛盾 のまま放置 されてい ることであ る。 次 にBastardに
焦点 を あてて,々
と r£ とを比較 しよ う。 まずPhilipを
獅子工 の庶子 と し て認 め る個所 を考えたい。TRで
Robertは
次 のよ うに言 う。look but on Philip's face,
I[is features, actions, and his lineaments, And all this Princely presence shall confesse,
Hc is no other but King財
れ,T7d Sonne,(I。 168-71)Robertは
Philipの
父 は獅子工 であ ると主張 してい る。 これをJOhnェ
もElinorも
認 めたが ら ない。 これに反 して てデ では,Elinorも
」Ohn王
も彼の顔つ きを見 るや,獅
子工 の子 だ と断定 す る。鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会科学 第25巻 第 2号
(f′ゲ筋″HC hath a trick of Cordelion's face,
The accent of his tongue affecteth hiln:
Do vou not read some tokens of my son
ln the large composition of this man?
F.デ
ο力2. h/1ine eye hathヽ Vell exanlined his parts,And finds them perfect Richard。
(I. 1. 84-90)(1)J.D,Wilsonは
これを くta great improvement''(ワ)だ
と述 べてい る。Shakespeareが
手 を入 れてい るところに,次
の もの もあ る。Bastardが
生 まれ たのは, RttSiXweeks before the account iny Father made.''(rR)で
ぁ る。Sir Rbbert Fauconbridge
は 自分 の不在 の期間 とPhilipの
生 まれ た 日を計 算す ると,ど
う して も6週
間 あわ な い と考 えて い る。だか ら妻 の もとに通 っていた獅子工 の子 であると思 う。Iダ で は14週 間前 に生 まれ た ことにな ってい る。Sir Robert Faulconbridgeの
子 でない ことを もっと強 めよ うと したか らで あ る。 ま たShakespeareは Robertの
父 が死 ぬ まぎわ に〔【That this my mother's so4 was none of
his''と ぃ ぅ遺書 を残 したが,
これはTRに
はない。Shakespeareは
14週間早 く生 まれ た とか, それを更 に強 め る遺書の ことで, Philipが
獅子工 の庶子 で あ る事実 を確実 に した い意 図があ るよ うで あ る。Bastardが
領土 を捨 てて,獅
子工 の庶子 と自 ら認 め る個所 を考察 しよ う。TRで
Philipの
父 に つ いて,彼
は三度尋ね られ る。儀 式めいた ことであ るが,
三 度までFauconbridgeの
子 だ と言 い は ると,そ
の子 と しておおやけに認 め られ る。 二度 まで獅子工 の庶子 を否定 したが,最
後 に次 のよ うに述 べ る。PHILIP Please it your Maiestie, sir Rο
♭ι″ι―P/Jぢι″
,that
Я″クθο″う″ゲ兆w cleaVes to thy jawesi lt、vill not out, I cannot for my lifeSay l am Sonne unto a F力
″fο″う″ゲ鬼?。 (I。 270-73)“Sir Robert''ま で言 って息 い とどま り
,獅
子工 が彼 の父 だ と言 う。 それ ほ ど未 練 が ま しく思 っていた。勇気 がい ったのだ。
JOhn工
が次 の ことをいってい るのをみて もわか る。Then Pん ガ″
blame nOt ine,thy selfe has left
By wilfulnesse, thy living and thy land.(I.285-86)
てデ で も
Bastardは
相続権 に執着 はあった。(3)し か しTAと
比較す ると思 いき りよ く手放 してい る。Shakespeareは Philpが
獅子工 の庶子 だ とTRよ
り明確 に認 めよ うと した。 そのために6週
テ キ ス トは J・ D.Wilson(ed・), Ibid.,P,101. C£. I. i. 132-33, 138-47. 65 ① ② ③岡村 俊明 :Bastard Faulconb
dgeに
ついて を14週 間 に し,蹴
になか った遺書 の問題 を出 して,
またその庶子 にな りたい彼の気持を押 し出 し て,そ
の証拠を固めてい るといえ る。 そ して劇 的効果 をよ り高 め るために, Elinorと
」ohn王
が 自主的 に彼 を認 め るよ うShakespeareは
骨 をお ってい る。 次 にShakespeareは
どんなBastardを
作 ろ うと したか,考
察 してみ よ う。 「Rで
は名誉心 の強 い
Bastardが
描 かれてい るが,
それを辿 ろ う。Philipは
Faulconbridgeの
相続権 を捨 てて
,獅
子工 の庶子 にな るが,TRと FJで
はそれぞれ どのように描 かれているのだろうか。rnで
はPhilipの
心 の 中には大 きな葛藤があ った。How are thy thoughts y、
vrapt in Honors heaven?
Forgetful what thou art, and
、vhence tho■l camst.Thy Fathers land cannot maintaine these thoughts,
These thoughts are farre unfitting F,7♂ ο″♭rt鞍:(I. 257-60)
彼 には 強 い名 誉 心 が あ った。 同時 に相続 権 を失 い た くな い とい う気 持 も強 か った。
Wilt thou upon a frantic madding vaine
Goe loose thy land, and say thy selfe base borne? No, keepe thy land, though nん 力α″″、vere thy Sire,
ヽVhat ere thou thinkst, say thou art F,クθο″♭″力管夕.(I. 265-68) しか しつ い に彼 は領 土 を捨 て る。
Let land and living goe, tis hOnors fire
That l■
akes me sweare King R,θ
力,″〃was my Sire.
Base to a King addes title of l■ore State,
Than Knights begotten, though legittiinate.(I。 274-77)
それ は名 誉心 のためで あ った といえ る。 心 の中で悩 ん だ が
,相
続 権 よ り名 誉心 の ほ うが勝 を制 した わ けだ。Fヌ で は どの よ うに描 か れ て い るの だ ろ うか。 彼 が相 続 権 を手放 す の は思 い き りが よい。 一 人 残 され て独 白を す る時
,獅
子 工 の庶 子 とな った今 は,
どの よ うに人 と応対 しよ うか,挨
拶 は ど う した らい い の か,思
い め ぐらせ て い る。A foot of honour better than I
、vas,But inany a many foot of land the worse._.
Well, no、v can l make any
」oan a lady.`Good den, Sir Richardl'一 `God‐a‐Inercy, fello、v'一
And if his name be George, I'1l call hiin Peter;
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会科学 第25巻 第 2号
相続権を失なった ことも言及 しているが
,獅
子工の庶子 と認め られた喜びが,そ
れよりもっと強い といえる。 こうい う喜びにあふれた空想が しばらく続いた後で,彼
は次のように述べる。But this is worshipful society
And fits the mounting spirit like myself.(I. i. 205-6)
この決断の原動 力は
,
彼 の名誉心 と「高 きを望む精神」であ るといえよ う。 彼の葛藤はTRに
比べて弱 く描 かれているといえるが
,そ
れは名誉心 を重ん じる彼を,
もっと強 く押 し出す ことにもなってい る。
Bastardの
あ る面 をShakespeareが
時 と して削除 して い る。TRで
は獅子工 の庶子 との告 白 を し,Bastardは
母 と二人 にな り,彼
の実 の父を問いただす。母 は国を閉 して言 わない。す ると,And here by heavens eternal lampes l sweare,
As cursed
うWZηwith his mother did,
So l with you, if you resolve me not.(I, 369-71)
本 当の ことを言 わな ければ
,Neroの
よ うに母 を殺す と威 喝す る。 こうい うBastardの
野蛮な面 は削除 されてい る。(1)次 に
Blanchの
結 婚 につ いて。TRで
Bastardは
Blanchの
結婚 に反対 す る。彼はBlanCh
の命 じた通 り,Lymozesが
身 につ けて いた``Lyons skinne"を
とり,彼
女 の愛を得ていたか ら で ある。 それが突 然降 ってわいた よ うなLewisと Blanchの
政略結婚 に反対 す る理 由であった。しか し
Shakespeareは
この反対理 由を取除 いてい る。Iデ を注意 してみ よ う。
Blanchの
夫 とな るLewisが
彼女 を誉称 えているのを聞いて,
次 の よ うな悪 口を言 う。Dra、vn in the flattering table of her eye, Hanged in the fro、 vning wrinkle of her bro、7,
And quartered in her heart, he doth espy
Hilnself love's traitor. This is pity now:
, That hanged, and draw學
, and quartered, there should beln such a love so vile a lout as he。 (II. i. 504-9)
しか しその前 に彼は両軍 に戦 を させ よ うとや っきになってい る。
Ha, inajesty!how high thy glory to、 vers,
When the rich blood of kings is set on firel
O, no、
v doth death line his dead chaps
、vith steel,① 後で Bastardは修道院から財宝をまきあげるが, この場面も削除されている。この理由は単一のもので
岡村 俊明 :Bastard FaulcOnb
dgeに
ついてThe s、 vords of soldiers are his teeth, his fans,
And no、
v he feasts, mousing the flesh of men,
In undeter■ lined differences of kings.ぃ.
Why stand these royal fronts amazed thusP
Cry `havoc'I kings, back to the stained field, You equal potents, fiery:kindled spiritsI
Then let confusion of one part confirm
The other's peacei till then, blows, b100d, and death!(II. i・ 350-61)
彼 は名 誉 心 のた め に戦 いが した い の で あ る。 彼 の言 葉 づ か い に もっ と注 目 しよ う。
Then in a moment Fortune shall cull forth
Out of one side her happy H
nion,To、
vhonl in favour she shall give the day,And kiss him with a glorious victory.(H.i。
39Ⅲ90
Bastardは
戦 争を壮大 な ものだ と考 えて い る。 このために恋のは らいせ とい った個人的理 由を,Shakespeareは
削除 した と思 われ る。次 に
Bastardと Austriaの
口論 につ いて考察を加 えよ う。TRで
はBastardは Austriaと
戦 いた くてた ま らない。 それ は次 の理 由によ るといえ る。1 level at thy head,
Too base a ransome for my fathers life.
′Princes, I crave the Combat、
vith the Duke
That braves it in dishonor of my Sire.(I. 924-27)
Austriaの
こういった口論 はTRで
は連続 した一 ケ所 だけに出て きてい る。 イデ で は何 ケ所 かに 散在 して い る。 しか しAustriaに
事 あ るごとにたてつ く。(。 彼 と戦 い,殺
し,父
の名誉 をは らした くてたま らない。
TRに
あ る趣 旨をShakespeareは
イア で も生iかして い る といえ る。」
Ohn王
がPandulphに
降参 す るが,そ
こはどう描 かれてい るのだろ うか。TRで
JOhn工
は 遺 巡 してい る。彼 はArthurの
死 や貴族達 の寝返 りは既 に知 ってい る。 しか しフ ランス軍 が上陸 した との報せ を受 けると,堪
え きれず彼はPandulphに
降参 す る。 その後 」Ohnェ
はPandulph
か ら王冠をいただ く。Bastardは
その場 に居合 わせ,皮
肉た っぷ りに次 の よ うに述 べ る。A proper iest,When Kings must stoop to Friers,
Neede hath no(law,when Frier lnust be Kings。
(II,639=40)Pandulphが
Lewisと
」
Ohn王
を和解させようとする。
同席 していた
BaStardは Pandulph
66
鳥取大学教育学部研究報告 人文 。社会科学 第25巻 第 2号
の後押 しをす る。
Lewiミ iS but the agent for the Pope,
Then must the Dolphin cease, sith he hath ceast.(II. 687-88)
しか しPandulphの
調停 が失敗 す ると,は
じめてBastardは
強 い態度にで る。curse the Cardinal,
Betake your self to armes, my troupes are prest
To answere Lewes。
(II.710-13)てデ で は次 の 通 りで あ る。
Pandulphの
手 か らJOhn王
は載冠 す る。 そ してPandulphは
和解 工 作 の た め,そ
の場所 を去 る。 す る とBastardは
入 れ 代 り登 場 す る。 彼 はLewisが
上 陸 した こと
,Dover Castle以
外,す
べ てが降参 した こと,Arthurが
死 ん だ ことな ど悪 い報 せ を一 度 に告 げ る。 王 は落 胆 し,悲
しそ うな顔 を す る。Bastardは
王 を励 ま し次 の ことを言 う。Be great in act, as you havё been in thought; Let not the world seё fear and sad distrust
Govern the motion of a kingly eye:
Be stirring as the tiine, be fire with fire,Threaten the threat'ner, and outface the brow
Of bragging horror,(V. 1・ 45-50)
また
Pandulphに
降参 した ことを聞 くが,そ
れには強 く反撥す る (``O inglorious league." V.1,65)。 その理 由はShall、
ve, upon the footing of our land, .
Send fair‐play orders and make cOmproHllse,
‐Insinuation, parley and base truce
To arms invasiveP(V。
1. 66-68)“
arms invas
e''に対 して和解 は け しか らん とい うわけだ。彼はLewisと
Pandulphの
もと え行 く時,事
態の如何 にかかわ らず,和
解 をぶ ち こわす算段 で あ った。 両者 を比較す ると,次
の差異 があることに気がつ く。 「nで
Bastardは
,Cardinalゃ
フ ラン ス軍 に対 して挑戦的にな るが,そ
れ は土壇場 にな ってか らである。 それまで は皮 肉な態度 しか とら なか った。イヌ ではは じめか ら挑戦 的で,勇
猛心 にあふれ,侵
略軍 に対 して は断 固戦 う姿勢 を持 っ て い る。Bastardの
勇壮 さはrnに
比べて強め られてい るといえよ う。Shakespeareは
終始一貫 して彼 を引 きたてて い る。Elinorは
一 時 フランス軍 に捕 え られ る。i9‐
Rで
はJOhn玉
が彼女を助 け る。Iダ ではBastardが
助 け る。Fnで
は貴 族達 を連れ戻す役岡村 俊明 :BlS,ard Fttulconbriageに ついて
(失敗は したが)は
Hubertで
ある。々 では工の命を受けて,BaStardが
彼 らを連れ戻 そ うと画 策する。工の信がそれだけ厚いことになる。勇気 りん りん とした性質は次のものもある。Hubert
は
Bastardに
会い工の臨終を知 らせようと思 うが,た
めらっているg写
)。 す ると彼はShow lne the very、
vound of this illnessl am no woman,I'■
not swoon at it。(V.Vi.21-22)
と凄む。なお
TRで
はBastardは
ェのそばにい る。Iダ で臨終の真際に
Bastardが
急ぎ登場す る。工は彼を心待に待 っていた。 O cousin, thou art come to set mine eye:The tackle of my heart is cracked and burnt, ^
And all the shrouds wherewith my life should sail
Are turned to one thread, one little hair.(V. Vii.51・
54) _
工 は生 死 の境 目にい た。 それ で もBastardは
フ ラ ンス軍 が上 陸 した こ と,
味方 の軍 勢 は大 部 分 洪 水 に流 され た 凶報 を告 げ る。 とたん に王 は死 ぬ。 こ うい う時最悪 の報 せ を言 う必要 は ないで は な い か と思 い た くな る。rRで
も悪 い報 せ を告 げ るが,工
の態 度 は少 し異 な って い る。What news with theё
P If bad, report it straite.If good, be mute, it doth but flatter me.(II. 806-7)
r」 の
Bastardは
勇気 の前 に馬鹿 がつ くほどであ る。 最 後 の科 白は有名 で あ るが,そ
れを考察 しよ う。7‐
R Let E■
g′αη′live but true、 vithin it selfe,And all the、
vorld can never wrong her State.
L♂txJ体, thou shalt be bravely shipt to France,
For never Frenchman got of Enghsh ground
The twentith part that thou hast conquered.
Dο″肪
2,thy handi toフ
νι欝ル″we will march:
Lords all, lay hands to beare your Soveraigne
With obsequies of honor to his grave:
If ttζど,η″
,Peeres and people joyne in one,
Nor Pope,nor FrF″ ″乾
,nor聰
う,ガ″Can doo them wЮ
ng。(H.118作
96)0, let us pay the tilne but needful woe,
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会科学 第25巻 第 2号
This England never did,nor never shall,
Lie at the proud foot of a conqueror,
But when it first did help to wound itself.¨
No、
v these her princes are come home again,
Come the three corners of the
、vorld in arms, And we shall shock thenli nought sha11 1■ake us rue
lf England to itself do rest but true,(V. Vii. 110-18)
TRで
はPandulph(か
つてはJOhn王
が降参 した ローマ教皇使節)と
Lewis(JOhn王
と戦 っ て い る相手)を
前 に して言 われ た科 白である。そ して フランス側がイギ リスの領土 を獲得 した こと,お ょび
Dolphinと
の和解 がほのめか されてい る。てデ では その場面 にPandulphも Lewisも
いない。 この科 白のなかに
Dauphinの
ことも言及 されていない。余分 な ものは一切排除 されてい る。そ して愛 国心 にみ ちあふれたBastardの
姿 は強 まってい る。乱 れた国を ま とめて,中
心 とな って国を守 る,勇
壮 なBastardは
強め られて い る。Shakespeareは
Natureの
作家 であ るといわれて い る。「造化 に鏡捧 げて…有 りのま ゝを写 し て見す る」 態度を彼は もってい る。 ここで もその例 にもれず原典 であるTRを
極 めて大切 に して い る。 よ く似 た科 白は非常 に多い。(1)そ
れ に もかかわ らずTRの
Bastardと
は多少違 った人間 を作 り出 してい る。Bastardが
獅子工 の庶子 だ と認 め る個所 は,TRよ
りもっと客観 的な根拠 を考 え出 してい る。高貴で,高
きを望 む精神 に満 ちあふれ,戦
闘的 であ るBastardは
TRに
もあ る。 しか しShakespeareは
それを さ らに拡大 してい る。 時 と して r資 ょ り彼 を引 き立ててい る。 ま た勇壮で,そ
の性質 の延長点 ともいえ る蛮勇の人間を作 り出 してい る。 こうい う姿は劇 の初 めか ら 終 りまで一貫 して見 られ る。 そ して これが彼 の最後 の科 白 と結 びついてい る。 この科 白を Shake―speareは
大切 に して い ると思 うが,Shakespeareが
考 えて いた彼 のイメー ジを,こ
の点 に集約 し て い るとい って よい。Bastardに
つ いて考 えて きたが,
この姿 と相容れない次 の三つの科 白がある。1.
radana, by chance but not by truth,、vhat thoughP
Something abollt, a little fro■ l the right, In at the windo、 7, Or else o'er the hatch:
Who dares not stir by day must walk by night,
And have is have, ho、
vever men do catch:
Near or far off, 、vell 、von is still well shot,
And l a■l I, howe'er I、vas begot. 2. For he is but a bastard to the tilne
That doth not smack of observation.
①
E.K.
PlaCeS a
context。"
4つ is in COmmon,but in some 150
by no means always in the same
Chambers,Op.cit,,p.367,“ Only one line(V・ iV・岡村 俊明 :Bastard Faulconbridgeに ついて
And so ani I, 、
vhether l smack or no: .
And not alone in habit and device,
Exterior forn■
, outward accoutrement;
― But fro■l the inward motion to deliverSweet, sweet, sweet poison for the age's tooth―
Which, though I、
vill not practise to deceive,Yet, to avoid deceit, I mean to learn;
For it shall stre、v the footsteps of my rising… ..(I.ユ. 207-15) 3. A/1ad、vorld!inad kingsI Inad composition!
And why rail l o4 thiS Con
noditypBut for because he hath not、 vooed me yet:
Not that l have the power to clutch my hand,
ヽVhen hid fair angels would salute my palln,
But for my hand,as unattempted yet,
Like a pOOf boggar, raileth on the rich: Well, 、vhiles l am a beggar, I will ra』,
And say there is no sin but to be rich;
And being rich, my virtue then shall be
To say there is no vice but beggary:
Since kings break faith upon conllnodit予 ;
Gttin;be mサ 19rd,fof l will worship t“ee。 (II・ i・ 561-98)
二つ とも同 じ特色を もつ科 白である。
TRで
は これ に該 当す るBastardの
科 白は ない。(1)この第一 と第二 の科白の特色は
proverbialな
言葉を使 ってい ることであ る。諺 を拾 い出す と次の ものがあ る。
W456 To come in at the windor
αメer tle h9tCh)H256 Have ls have.
T420 To have a s、 veet(WantOn)tooth・
(つBastardは
軽 やかな票1軽な態度で,
諺 をお りまぜ なが ら言 って い るわ けだ。 しか し軽やかな装い の下 には,``Iam I"な
どにみ られ る,冷
徹 な個人主 義者 の姿 が あ る。またappearanceと
re―① J.D.Wilson cop・ Cit・,P。13の は次 の よ うに述 べ てい る。 “But though there is no B.'s sPeech
in T. R. three lines which that text gives to Constance, viz.:
Why how now LordsP accursed Citizens ‐ .1
To
£ill and tickle their ambicious eares,汐静
4捧
五
欝嘉
親茅魏疲場療呼魂挽舟朗堪筑矛坊
テ
%励
fttr二 hh
鳥取大学教育学部研究報告 人文 。社会科学 第25巻 第 2号
alityの
は なはだ しい差異 があ り,利
益 を追い続 け,そ
れ のみで動 く人 間 の姿 が あ る。この二つの科 白か ら考え る限 り
,Bastardは
Shakespeareの
他 の作品 に登場 す る Richard llEゃ
Edmundと
よ く似た人間であ るといえ る。J.F,Danbyゃ
Ronald Bermanは
これをNew
Manと
名 づ け, BaStardも
この範 ち ゅうに入 ると してい る。しか し大 き く異 なるところがある。
Richard
Ⅲ もEdmundも
自分 のrealityは
こうだ と繰返 し独 白
,傍
白で示 し,か
つ行動 でそれを裏づ けてい る。 またそれは劇全体を通 じてみ られ る。観 客 の誰 の 目に も,そ
の姿はは っき り してい る。 イデ のBastardは
そ うではない。劇全体で二つの科 白 しかない。 しか も二幕 の最後で消えてい る。 この二つの科 白以外 に,
彼 がNew Manだ
と証 明す る資料は全然ない といえ る。 独 白,
素 振,
行動 において もこの三つ の科 白 とは全 然違 う。 γ£ との関連 において既 にみて きた通 りであ る。庶子 の身分 とその疎外 された状況 か らして,劇
の前半 に作者 は,Richard
Ⅲ やEdmundの
よ うな人間を創造す る好機 だ と,
判 断 したか も しれ ない。 とい うのは 第 二 番 目の独 白 くくkings
break faith upOn commodity''で
,正
義をいつ も口に し,そ
の じつ利益を軸 に動 く工候達をいってい るが, このテーマは劇 の最後 まで続 く。 これは
appearanceと
realityの
違 った,利
益 の み で動 く男 の恰好 の舞台であ るともいえ る。 しか しBaStardの
この科 白以後Shakespeareは
New Manに
特色的な,同
様 の科 白,素
振,行
動 を彼 に与 えてい ない。New IManの
イメー ジは立 消 えて しま う。 どう して これは発展 しなか ったのだ ろ うか。
この劇 には我 々が既 にみて きたよ うに
act and scene divisionゃ Stage directionの
不完全 さ,headingの
間違いな ど実 に多 くの矛盾 が ある。 また劇 的効果 か ら考 えて も不 自然 な要素 が多 い。 この二つの科 白もShakespeareの
他 の矛盾 と同様 に矛盾 の まま残 されてい る と考 え るべ きで は ないだ ろ うか。(1)Bastardの
全体 像 は既述 した よ うに,
高貴 で,
高 きを望む精神 にみ ち,勇
猛 心 にあふれ,国
を思 う男である。 これが劇全体 に貫 かれてお り,こ
の姿 とNew Manが
同居 で き ない とShakespeareは
判 断 し,さ
りとて調整 もせず,矛
盾 のまま放置 して い るので は ないだ ろ う か。 テキス トの多 くの矛盾 と同様 に,そ
う考 え るべ きでは ないだろ うか。① J.Do Wilson(op,Cit・ ,P,xl iit・