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2011年東北地方太平洋沖地震における建物被害率と地震動特性の関係

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Academic year: 2021

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2011

年東北地方太平洋沖地震における建物被害率と地震動特性の関保 呉浩@正木和明@入禽孝次郎 1.はじめに 2011年 3月11日に三陸沖を震源として日本観測史上最大の Mw9.0の巨大地震が発生した。この地震は 気象庁によって 12011年東北地方太平洋沖地震Jと命名された。この地震による津波、液状化、建物倒壊な どの被害は日本沿岸部を中心として幅広く分布している。一方、内陸の栗原で最大震度7及び最大地動加速度 2,933galが観測された。このような巨大地震は日本にとって経験がなく、今回の地震動の特徴を解明するのは 重要である。本研究では今回の地震における建物被害率と地震動指標の関係を究明する。

2

.

被害地と強震観測点 消防庁は l都 16県の建物被害を公表した。特に建物被害が集中している地域は岩手県、宮城県、福島県、茨 城県、千葉県及び栃木県である。本研究ではこれらの地域の市町村別の建物全壊数、半壊数、一部破損数を用い て被害率を算定した。この結果 82の市町村の被害率を得ることができた。なお、地震動による被害を究明する ため、津波被害を受けた市町村は除外した。 また、これらの地域に設置された 78ケ所の K-NET強震観測点と 45ケ所の KiK-net強震観測点の記録を用い て地震動指標、すなわち,最大地動加速度 PGA(PeakGround Acceleration)、最大地動速度 PGV(PeakGround Velocity)、計測震度 IJMA及びスペクトル値 SIを解析した。一方、 Motosakaらは栗原市の築館観測記録が観測装

置の基礎が浮き上がることによって生じたと指摘した。このため、栗原市の観測記録は除外した。

3

.

建物被害率と地震動特性の関保 3.1 被害関数 本研究で建物被害率と地震動指標の関係者E示す。被害関数は次式に示す累積正規分布φをとして構築された。 DR=φ((x -λ)/ () ここでDRはある地震動指標x(すなわち IJMA,lnPG,AlnPGV及び lnSI)における一部破損以上の被害が発生する 確率である。つまり、DRは全壊、半壊、一部破損の棟数を合計し、それを全棟数で割ったものと定義した。また、 A., (は地震動指標xの平均値と標準偏差であり、最小二乗法により求めた。 PG, PGVA , SIは水平 2方向の観測値の うち大きい方の値である。 図lに被害関数を実線で示す。表

u

こ求めた各地震動指標

x

のそれぞれのA.,

c

および決定係数R2(重相関 係数の 2乗)を示す。この 4つの地震動指標そ比較すると PGVの決定係数R2が他の指標に比べて最も大きく

SI、IJMA、PGAの順となる。よって、建物被害率は速度に関する指標(例えば、 PGVとSI)との相関性は加速度

に関する指標(例えば、 IJMAとPGA) より高いことが分かる。 表1. 被害関数に関する係数 (R2は決定係数) PGA(gal) PGV(cmls) IJMA SI(cmls) 入 7.64 4“33 6.54 4.39 1.568 0.794 l.063 0.904

R

2 0.297 0.421 0.359 0.387 35

(2)

il')u, 1001 場勤 @ 場参 記7 聞 羽 門 官 ︺ 区 一 由 品。 官製} 主出心

-

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円 n a 忠 臣 。 坤 国 判 (揖}庄内同 3明 2 .0 200 地震動スベクトルの特性と等価卓越周期

(

T

e

q

)

今回の地震で、建物被害が小さかったという報告はいくつか出ている。図1fこ示すように今回の地震最大被害 さ抽 被害関数 図 1

3

.

2

率は

65%

程度だった。これに対して

1

9

9

5

年の

Mw6.9

兵庫県南部地震の最大被害率は

90%

以上の地域もあった、 この地震における最大地動加速度

PGA

8

4

8

g

a

l

、最大地動速度

PGV

1

0

5

c

m

/

s

であり、今回の地震より小さい。 (ここでは、

PG

,A

PGV

3

成分の合成値とした)。被害率の違いは地震動のスペクトルの特性の違いと考えられる。 図2に今回の地震観測記録と兵庫県南部地震]R鷹取観測記録の擬似速度スペクトルを示す。 この図より、応 答レベルに大きな差はないが、今回の地震の卓越周期は短周期側

(

0

-

1

秒)にあることが特徴である。 がら、建物に大きな被害を引き起こす周期帯である

1

-

2

秒における今回の地震の応答値は兵庫県南部地震]R鷹 しかしな この事が今回の地震で被害が小さかった原因である。 一方、等価卓越周期

(Teq=2πPGV/PGA)

と被害の関係を図

3

に示す。今回の地震で被害率

30%

以上の地域は、 等価卓越周期

0

.

5

s

前後に分布 取駅の記録の約半分しかないことが分かる。 { ぉ ¥ 軍 国 ) ﹀ 阿 w a これに対して、兵庫E m 県南部地震]R鷹取の記録の等

E

4

ω

価卓越周期は大きな被害を与え

i

m

るl目

O

s

前後であり、

PGV

も高 2

100 している。 し、。 等価卓越周期と被害率の関係 図3. 図

2

擬似速度応答スペクトル(減衰定数

h

=

0

.

0

5

)

まとめ 4. これらの地域の強震観測点の記録を 本研究では建物被害が集中した地域の被害情報を集めて被害率を算定し、 用いて地震動指標を解析し、建物被害率と地震動指標の関係を検討した。結論は以下の通りである。

(

1

)

建物被害率と速度に関する指標(最大地動速度

PGV

、スペクトル値S1)の相関は高いが、加速度に関する指 標(計測震度I、最大地動加速度

P

G

A

)

との相関は低い。

(

2

)

兵庫県南部地震より今回の地震の被害が小さかった原因は、建物に大きな被害を与える周期帯

1

-

2

秒におけ る応答値が今回の地震は低いことである。

(

3

)

今回の地震の被害地域の等価卓越周期は

0

.

5

s

前後である。

3

6

参照

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