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marginal, compared to emissions from arterial transits, but it is more important to reduce travel-time in feeder transit for promoting arterial public

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アジア途上国大都市における

パラトランジットを活用した

低炭素旅客交通システムの検討

名古屋大学大学院環境学研究科

藤田 将人

名古屋大学大学院環境学研究科

中村 一樹

名古屋大学大学院環境学研究科

加藤 博和

名古屋大学大学院環境学研究科

林 良嗣

Effective Feeder Paratransit Systems for Low-Carbon Transport

in Mega-Cities in Asian Developing Countries

Masato FUJITA

Graduate School of Environmental Studies, Nagoya University

Kazuki NAKAMURA

Graduate School of Environmental Studies, Nagoya University

Hirokazu KATO

Graduate School of Environmental Studies, Nagoya University

Yoshitsugu HAYASHI

Graduate School of Environmental Studies, Nagoya University

Abstract:

In mega-cities in Asian developing countries, it is necessary to shift travel modes to low-carbon one in order to mitigate CO2 emissions. This study aims to examine the

impact on CO2 emissions from passenger transport of a seamless transportation

system that utilizes paratransit modes specific to Asian developing countries as a feeder transit system. The result shows that CO2 emissions from feeder transit are

著者連絡先 藤田 将人

〒464-0803 愛知県名古屋市千種区不老町 C1-2(651) 名古屋大学大学院 環境学研究科 都市環境学専攻 E-mail: mfujita@urban.env.nagoya-u.ac.jp

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marginal, compared to emissions from arterial transits, but it is more important to reduce travel-time in feeder transit for promoting arterial public transit use. Considering the results, the low-carbon feeder paratransit modes, which are classified to a taxi type and a mini-bus type, are selected in each neighborhood area.

Keywords: Low-carbon transport, Feeder transit system, Paratransit, Asian developing countries 1.はじめに IPCC は,2050 年までに温室効果ガスを半減させる 長期的な目標を掲げている 1).特に急速な経済成長に より CO2排出の大幅な増加が見込まれるアジア途上国 において早急に対策を講じる必要がある.運輸部門は, モータリゼーションの進展によって CO2排出量は急増 しており,交通起源 CO2排出量削減策の 1 つとして, 公共交通システムの整備が挙げられている.実際,ア ジア途上国大都市では,高速かつ大量輸送可能な幹線 公共交通システムの整備が進みつつある.しかし,幹 線が整備されたとしても,その端末交通手段の整備が 不十分な場合,幹線利用を妨げ,渋滞解消や CO2排出 量削減の効果を限定的にしてしまう可能性がある.既 に,アジア途上国大都市ではモータリゼーションが進 展していることを考えると,幹線の整備とともに端末 交通手段も適切に導入する必要があるといえる. 一方,アジア途上国では,パラトランジットと呼ば れる,輸送容量の小さな交通手段が地域需要に応じて 様々な形をもって発展してきた.パラトランジットは 過剰な供給による客待ちや路肩への駐車が原因の渋滞, 乱雑な運転による事故,車両の整備不足によって安全 性や燃費効率が悪いといった特徴を持つ.しかし,需 要に応じて柔軟なサービスが可能であり,狭い路地で の走行が可能で,混雑した路上では他の大型車より有 利に走行可能なので,複雑な細街路や道路渋滞が多い アジア途上国において,有効な交通手段となっている. そのため,低炭素交通システムをアジア途上国大都市 において構築するために,幹線部の大量輸送機関を整 備するにおいて,その端末交通として既存のパラトラ ンジットを活用し,公共交通利用を促進していくこと が必要だと考えられる. そこで本研究では,タイのバンコク首都圏を対象に, 様々な車種・運行形態を有するパラトランジットをタ クシー型,ミニバス型と分類し,それぞれ端末交通へ の導入による CO2排出量への影響を推計する.そして, この結果を用いて,都市内の各地区において最も低炭 素となるパラトランジットを選定する. 2.本研究の位置づけ (1)アジア途上国における端末交通の重要性 アジア途上国大都市で公共交通利用が妨げられて いる原因として,大量輸送機関のネットワークが未だ 不十分であり,それに加えてネットワークへのアクセ スが困難であることが挙げられる.例えばバンコクで は,乗用車交通量が多く歩道整備も不十分であるので, 徒歩や自転車による移動が危険かつ困難である2).ま た,アジア諸国の熱帯性の気候も,歩行によるアクセ スを阻害する要因となっている. 加えて,渡邉ら 3)はバンコクを含めた都市別の街路 構造の比較を行い,ソイと呼ばれる行き止まりの細街 路の存在が幹線道路や公共交通へのアクセスを難しく していることを指摘している.バンコクの街路構造は, 幹線道路や街路が密に連結したグリッド型というより は,幹線道路から独立したソイが枝分かれするツリー 型に形成されており,ソイの出口での交通渋滞が発生 しやすくなるなど,交通移動の容易性にも負の影響を

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及 し れ て バ ン と る ラ る 当 が ラ に 及ぼしている 一方で,こ して,アジア れる小容量の てのパラトラ バンコクにお ンケートによ として,その る有効な手段 ランジットは る.矢尾ら 5) 当たり CO2排 が低くなるこ ラトランジッ に与える影響 (2)パラト アジア途上 て,表1にタ 要に応じて様 によってタク 理される7) タクシー型 サービスを提 トワーク内を トランジット る. このような街路 ア途上国都市で の輸送機関が普 ランジットの役 おけるバイクタ よって調査し, の移動距離が 段となることを は低炭素な交通 )は,乗車需要 排出量はバス ことを示してい ットを導入する 響は十分に評価 トランジットの 上国都市にお イの例を示す 様々な形態が クシー型とミ 型とは,個別需 提供する形態で をより自由に走 トとしては,よ 路ネットワー ではパラトラ 普及している 役割は大きく タクシーの利 自宅から駅 1km 前後を を示している 通機関となる 要の低い場合 スよりパラト いる.しかし ることが,幹 価されてきて の整理 おけるパラト す.パラトラ 存在する6) ニバス型の2 需要に応じて であり,その 走行する.タ より小型な車 ークの交通手段 ンジットと呼 .端末交通と ,山崎ら 4) 利用者の特性を 駅までの交通手 境に徒歩に代 .また,パラ うるものでも 合では利用者一 ランジットの ,端末交通へ 幹線公共交通利 いない. ランジットと ンジットには ,その運行形 種類に大きく ドアトゥドア 車両は街路ネ クシー型のパ 車両が使用され 表 1 タイに 段と 呼ば とし は, をア 手段 代わ ラト もあ 一人 の方 へパ 利用 とし は需 形態 く整 アの ネッ パラ れる こ tuk 短 く で 態 劣 大 り と の 軽 ア 交通 ス て幹 で 状況 ー る 化 少 将来 要 におけるパラ ことが多く,自 k)が例に挙 短くするとい ,サービス供 で,様々な地区 一方,ミニバ 態である.これ 劣るが,路線運 大きいので効率 乗り降りの箇 競合する形で のパラトランジ 軽トラックのよ アップトラック このようなパ 通としても利 が需要追随的 幹線交通サー タクシー型の 況である.一 ビスは供給側 ものも多いた が難しい.ま ない場合はタ 来の鉄道ネッ が増加した時 トランジット 自動二輪車(M げられる.タ う点で利用者 供給側から見て 区でサービス バス型とは,基 れは,タクシー 運行している車 率的な輸送が 箇所について で存在してい ジットは,よ ような小型四 ク(Songtaew) パラトランジッ 利用されている 的に供給されて ービスとして用 のパラトランジ 一方で,こうし 側の地域でのコ ため,体系的な また,現在のよ タクシー型の輸 ットワークが整 時に,輸送効率 ト Motorsai)や自 タクシー型は 者に魅力的と ても新規参入 が行われてい 基本的に路線 ー型に比べ移 車両の単位当 可能である. ての自由度が高 いる場合も多い より中型の車両 四輪車(Silor-w)が例に挙げ ットサービス る.しかし, ていて,乗用 用いられてい ジットを多く したパラトラ コミュニティ な端末交通シ ように幹線公 輸送効率で十 整備され,幹 率の悪化によ 動三輪車(Tu は,歩行距離を いうだけでな 入が比較的容易 いる. 線を走行する形 移動の柔軟性に 当たり輸送量が また,バスよ 高いため,バス い.ミニバス型 両が用いられ lek)やピック げられる. スは,既に端末 個々のサービ 用車の代替とし いたり,都心部 供給している ランジットのサ ィで成立してい システムへの変 公共交通需要が 十分成立するが 幹線公共交通需 よる待ち時間の uk を な 易 形 に が よ ス 型 れ, ク 末 ビ し 部 る サ い 変 が が, 需 の

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増 ス は に 端 よ 3 導 る る を 間 こ 響 C 詳 モ を 約 と 都 決 都 段 出 る 端 お に ア ー 増加や供給台 ス水準が低下 は,幹線の公 による幹線公 端末パラトラ よる低炭素性 3.パラトラ 導入によるC 端末交通手 るCO2排出量 る所要時間と を構築する. 間を,都市レ ことで端末交 響を考慮し, CO2排出量を 詳細を以下に (1)幹線交通 本研究では モデルとして を用いる.こ 約500kmの鉄道 と都市空間構 都市域の拡大 決定すること 都市空間構造 段階推定法で 出している. る3kmメッシ 端末交通モデ おける人口分 に示す. (2)端末内 端末交通の ア途上国特有 ークを設定す 台数の増加によ 下することが考 公共交通整備に 公共交通の利用 ランジットの輸 性を評価する. ンジットを活 CO2排出量推 手段としての 量推計ツールと とCO2 排出量 そのモデルで レベルの幹線交 交通所要時間が 幹線・端末交 評価する.モ に示す. 通モデル は,バンコク首 て,山本ら8) ここでは,バン 道整備計画9) 構造が変化する 大度合いをコス で,長期的な 造を表現してい で配分し,都市 この幹線交通 ュの地区毎の デルにインプッ 分布と鉄道利用 道路ネットワ の道路ネットワ 有の街路構造を する.本研究で よる交通渋滞 考えられる. に加え,その 用促進の可能 輸送容量と運 活用した端末 推計方法 パラトランジ として,まず 量を推計する端 で得られた端 交通モデルに が幹線交通分 交通を含めた モデルのフロー 首都圏を対象 の都市交通シ ンコク首都圏 が実現し,鉄 ることを想定 ストとその逓 な空間立地の いる.その時 市内交通起源 通モデルのア の人口密度や ットし分析を 用トリップ数 ワーク ワークを考慮 を表現した仮 では,ツリー 滞によってサー そこで本研究 端末交通の整 能性を考慮して 運行形態の違い 末交通システ ジット導入に ず端末交通にお 端末交通モデ 端末交通の所要 インプットす 分担率に与える 都市内交通起 ーを図1に,そ 象とした幹線交 ミュレーショ 圏で2050年まで 鉄道ネットワー 定している.交 逓減係数によっ 変化を考慮し 時の交通需要を 源CO2排出量を ウトプットで 鉄道分担率を 行う.2050年 数の分布を図2 慮するため,ア 仮想的なネット ー型の街路構造 ービ 究で 整備 て, いに テム によ おけ デル 要時 する る影 起源 その 交通 ョン でに ーク 交通 って した を四 を算 であ を, 年に 2,3 アジ トワ 造を 想定 混雑 リ に居 口が 周辺 線道 定し(図 4), 雑の多いネッ ンクとノード 居住者人口を配 が,各ノードに また,OpenSt 辺の幹線,非 道路密度の参 図 2 幹線鉄 図 3 公 経路選択性が ットワークを表 ドで構成し,5 配分する.本研 に同数ずつ存在 treetMapのデー 非幹線道路の割 参考値を与える 図 1 分析モ 鉄道ネットワ 公共交通トリ が少なく幹線 表現する.ネ 50mおきに設 研究では,ネッ 在するものと仮 ータを用いて 割合を算出す る. モデルのフロー ワークと人口分 リップ数分布 線道路周辺での ネットワークは 置した各ノー トワーク内の人 仮定する. て,バンコク都 することで,幹 ー 分布(2050 年) (2050 年) の は ド 人 都 幹 )

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ノ 生 た 一 量 ワ を 通 る 距 の パ ン に ン 通 ダ (3)端末交 各ノードの ノードの発生 生交通量は, た乗用車利用 一様に掛け合 量は,端末交 ワークと端末 を目的地にす 通ネットワー る.次に,Ch 距離とアクセ の交通結節点 パラトランジ ンジット端末 (4)端末交通 端末交通に に,OD交通量 ンクのQV式は 通量と旅行速 ダッカで計測 図 5 交通OD交通量 の人口にトリ 生交通量を算出 都市レベルの 用と鉄道利用の 合わせ算出する 交通ネットワー 末交通ネットワ する.乗用車利 ークの幹線道路 halermpong2)ら セス交通分担率 点までの需要量 ジットによるア 末利用のOD交 通各機関別所 における各道 量のネットワ は,アジア諸 速度の関係を考 測したリンクパ 図 4 端末交 アクセス距離 量の算出 ップ生成原単 出する.幹線 の幹線交通モ の分担率を各 る.公共交通 ーク内の幹線 ワークを結ぶ 利用の発生交 路の端点(図4 らが示した交 率の関係に基 量を,徒歩によ アクセスに配 交通量を決定す 所要時間の算 道路リンクの所 ワーク配分計 諸国の道路整備 考慮するため パフォーマン 交通ネットワー 離と徒歩分担率 単位を乗じて 線交通機関別の デルで推計さ 各ノードの人口 通利用の発生交 線公共交通ネッ ぶ交通結節点( 交通量は,端末 4)を目的地と 交通結節点まで 基づき,鉄道利 よるアクセス 配分し,パラト する.(図5) 算出 所要時間をも 算を行う.各 備状況による め,Anwarら10 ンス関数を用い ーク 率(参考値) て各 の発 され 口に 交通 ット (駅) 末交 とす での 利用 と, トラ もと 各リ る交 0) いる. ア や す 端 ン た に必 型 の 中容 位置 表 る 定 ト 全需 長 あ こ t: pop cap n: t’: 形態 め 間 ( 端 延長 で す デー ジア諸国では タクシーの客 くなっている 端末交通の所 ジットの供給 め,鉄道需要 必要な時間の は,少容量の サービスを需 容量の車両で 置づけ分析を 1の登録台数 . タクシー型の され,式(1)で の供給台数と 需要が移動す い待ち時間の るため,これ t こで, パラトランジ p:パラトラ p:パラトラン パラトランジ :パラトラン ミニバス型パ 態が異なり, ,式(1)に加え も考慮する. 5)端末交通 端末交通ネッ 長,および車 ,各リンクに る.原単位に ータは入手で は,道路の交通 客引きなどによ ることを表現す 所要時間は,鉄 給量が少ない場 要の発生交通量 の平均値とする の車両で端末道 需要に応じて行 で幹線道路上を を行う.パラト を都市内各地 の所要時間は で算出する.そ と車両別要領か するための往復 の場合はこの全 れを2で割った 2 ( cap pop t ・ ・  ジット所要時 ンジット利用 ンジットの輸 ジット導入台 ジットのOD走 パラトランジ 幹線道路上の えて停留所まで 通起源CO2排出 ットワークの各 車種ごとのCO におけるCO2排 については,パ できなかったた 通容量に対し よって交通渋 する. 鉄道需要に対 場合の待ち時 量の輸送を完 る.本研究で 道路を含めた 行うもの,ミ を繰り返し運 トランジットの 地域の人口に は輸送容量と それぞれのパ から総輸送容 復回数が決定 全往復回数分 た値を平均待ち 2 ' ) 1 t n ・ 時間(分) 用人口(人) 輸送力(人/台) 台数(台) 走行時間(分) ジットはタク の固定ルート での徒歩によ 出量の算出 各リンク交通 O2排出原単位 排出量を式(2) パラトランジ ため,ベース して,路上駐車 渋滞が発生しや 対してパラトラ 時間を考慮する 完了させるため では,タクシー たドアトゥドア ミニバス型は, 運行するものと の導入台数は に応じて配分す 運行形態で決 パラトランジッ 容量が算出され 定される.最も 分の所要時間で ち時間とする (1 シー型と運行 トを走行するた よるアクセス時 通量に,リンク 位を乗じること )のように算出 ジットの実燃費 スとなる各車両 車 や ラ る め ー ア と は, す 決 ッ れ, も で る. 1) 行 た 時 ク と 出 費 両

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種別の実燃費と走行速度に依存する燃費式11)を用いて 燃料消費量を算出することで,各車種別の燃料消費量 とした.求められた燃料消費量に燃料別の排出係数を 用いてCO2排出原単位を算出する.

 

i j j j i q i l i E i CO2 () ・ ()・ () (2) ここで, CO2j(i):機関jのリンクiからのCO2排出量(g- CO2) qj(i):機関jのリンクiの交通量(台) l(i):リンクi の延長(m)

Ej(i):機関jのリンクi におけるCO2排出原単位(g-CO2/

台・km) 端末交通所要時間は幹線交通分担率に影響するため, 本モデルで推計した端末交通所要時間を幹線交通モデ ルにインプットし幹線分担率を再推計する.このフィ ードバックについて繰り返し計算を行い,端末と幹線 交通のそれぞれからのCO2排出量を推計する. 4.バンコク首都圏における低炭素端末パラトラン ジットの選定 (1)端末交通システム導入時の所要時間・CO2排出 量推計結果 表1で示したパラトランジットをそれぞれ端末交通 に導入した場合の,端末交通における所要時間・CO2 排出量と鉄道需要量の関係を図6,7に示す.所要時間 は,需要の少ない場合はドアトゥドアで運行を行うタ クシー型で優位である.需要が大きくなるにつれて, タクシー型では往復回数が増加し待ち時間が増えるこ とから,乗車可能人数の大きいミニバス型での輸送が 所要時間において優位となっていく. トリップ当たりCO2排出量については,タクシー型 では,需要が少ない場合では運行回数も少なく,乗用 車と比べて燃費が良いのでCO2排出量が乗用車より小 さくなるが,需要が大きくなり,運行回数の増加や混 雑の影響を受けると,CO2排出量が大きく増加する. しかし,これをミニバス型の排出量と比較すると,全 ての需要レベルにおいて,輸送容量の大きいミニバス 型において少ないという結果になった. (2)都市内地区別の低炭素端末パラトランジット 選定結果 端末パラトランジット別のCO2排出量について,幹 線交通からCO2排出量と比較したところ(図8),端末 交通において発生するCO2排出量は幹線交通からの排 出量の2~6%に留まる結果となった.このことから, 低炭素な端末パラトランジットを選定するためには, 図 6 鉄道需要-端末所要時間関係 図 7 鉄道需要-端末 CO2排出量関係 図 8 幹線と端末の CO2排出量比較 0 5 10 15 20 25 30 0 10000 20000 30000 40000 50000 端末内所要時間 (分 ) 鉄道需要量(トリップ/日) motorsai tuk tuk silor‐lek songtaew car 0 250 500 750 1000 0 10000 20000 30000 40000 50000 CO 2 排出 量 (g ‐CO 2 / トリッ プ ) 鉄道需要量(トリップ/日) motorsai tuktuk silorlek songtaew car 0 10 20 30 40 50 60

Motorsai Tuk tuk Silor‐lek Songtaew

CO 2 排出 量 (kt ‐CO 2 /) パラトラ(端末交通) 乗用車(端末交通) トラック バス 鉄道 乗用車

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端末交通起源CO2排出量を基準にするのではなく,幹 線公共交通の分担率を上げるために端末交通所要時間 を最も削減する交通機関を基準とする方が有効と考え られる. このような点を踏まえ,パラトランジットを導入し た際の都市内各地区における端末交通所要時間を算出 し(図9),都市内地区別に所要時間を最小化する端末 交通の交通機関を選定した(図10).都心や鉄道沿線部 では,人口密度が高く鉄道の分担率が高く,端末パラ トランジットの需要が大きくなる.そのため,このよ うな地区では,輸送能力の高いSilor-lekやSongtaewとい ったミニバス型が,タクシー型のパラトランジットと 比較して所要時間が短く利便性が高い.一方で,乗用 車利用の多い郊外部では,端末パラトランジットの需 要の低いため,ドアトゥドアの移動を可能とするTuk tukやMotorsaiといったタクシー型のパラトランジット の所要時間が短くなることが示された. また,端末交通の所要時間を最小化する端末交通を 導入した場合と,現状の需要追随型の供給のように都 心や鉄道沿線にタクシー型,郊外にミニバス型のパラ トランジットを導入した場合を BAU シナリオとし, それぞれパラトランジットを導入した場合について, 都市内交通起源 CO2排出量を比較した結果を図 11 に 示す.各地区で最も端末交通所要時間を最小化する端 末パラトランジットを導入すると,乗用車利用から鉄 道利用への転換によって総 CO2排出量は約 14%削減さ れる.このため,都市内各地区の端末交通の所要時間 削減による幹線公共交通利用促進が,端末交通での CO2排出量削減より低炭素性が高いことが示された. 5.結論 本研究では,アジア途上国にて低炭素交通システム を構築するために,パラトランジットを幹線公共交通 システムの端末交通として位置づけ,有効な端末交通 機関を選定した.パラトランジットをタクシー型とミ ニバス型に分けると,その輸送容量や運行形態の違い によって,端末交通の所要時間,CO2排出量に与える 影響が異なる.トリップ当たりCO2排出量はミニバス 図 9 導入パラトランジット別 端末交通所要時間

Silor-lek

Songtaew

Tuk tuk

Motorsai

所要時間(分)

songtaew songtaew 0 1 - 2 3 - 5 6 - 10 11 - 20 21 - 30 31 - 1000 songtaew songtaew 0 1 - 2 3 - 5 6 - 10 11 - 20 21 - 30 31 - 1000 図 10 端末交通所要時間最少の端末パラトランジット 図 11 端末パラトランジットによる CO2排出量変化 0 10 20 30 40 50 60 BAU 端末交通の 所要時間最少 パラトランジット (端末交通) 乗用車 (端末交通) トラック バス 鉄道 乗用車

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型がタクシー型より低い一方で,所要時間への効果は 需要の大きな地区ではミニバス型が,需要の小さな地 区ではタクシー型が大きいということが示された. しかし,いずれの端末パラトランジットについても, 端末交通から排出されるCO2排出量は,幹線交通から の排出量に比べて大きくはない.このため,端末交通 のCO2排出量の最小化は必ずしも低炭素な交通システ ムにつながらず,幹線公共交通の利用を促進するため にはむしろ所要時間の削減が重要であると考えられる. そこで,端末交通の所要時間を最小化するパラトラン ジット機関を選定した結果,幹線公共交通の利用者の 多い都心や鉄道沿線地区ではミニバス型が,幹線公共 交通の需要の少ない郊外地区ではタクシー型が効果的 となることが分かった.そして,端末交通の所要時間 を最小にする端末パラトランジットの導入は,現状の ような需要追随型の端末パラトランジット導入よりも, 都市内交通起源CO2排出を約14%削減可能であること が示された. 以上の結果は,アジア途上国大都市において,端末 パラトランジットをより体系的に整備することが,低 炭素な交通システムを実現する上で有用であることを 示している.所要時間最小化の交通システムは,自然 発生的な需要追随型のパラトランジット普及でも成り 立つかもしれない.しかし,アジア途上国都市の現況 では,パラトランジットは個別に運営されているため, 幹線・端末交通の区別が明確でなく様々な交通機関と 競合してしまい,必ずしも効率的な端末交通システム が形成されているとはいえない.これより,低炭素な 都市交通システムを整備する上で,パラトランジット 運営をより組織化し,統合的な幹線・端末交通システ ムを計画することは重要と考えられる.このような点 を踏まえ,端末交通システムを含めた階層的な都市交 通システムの有用性や運営について,今後より一層の 分析が期待される. 引用文献 1)IPCC(2007):第 4 次評価報告書第 2 作業部会報告書 2)Saksith CHALERMPONG,Sony S.WIBOWO:TRANSIT STATION ACCESS TRIPS AND FACTERS AFEECTING PROPENSITY TO WALK TO STATION IN BANGKOK, THAILAND , Journal of the Eastern Asia Society for

Transportation Studies,Vol.7,2007 3)渡邉貞文,坪井善道,秋山慎之介,星原真彦,渡邉佳英: バンコクの街路構造の特性に関する研究-スクンビットアリ アにおける路地空間を対象として-,日本建築学会大会学術 講演梗概集,pp.969-974,2008 4)山崎隆之,大蔵泉,中村文彦,矢部努:バンコクにおけ るバイクタクシーの端末交通手段としての可能性に関する 研究,土木計画学研究・講演集(CD-ROM) ,Vol28, pp.162-166, 2004 5)矢尾和也,伊藤圭,沢山愛,加藤博和,林良嗣:アジア 途上国大都市におけるパラトランジットを活用した低炭素 交通施策の検討,土木計画学研究・講演集,Vol41,2010 6)外尾一則,ヨッポン・タナボリブーン:開発途上国にお けるパラトランジットの特質,土木計画学研究・講演集 No.16(1),pp.917-924,1993

7)Xiugang,Li and Luca,Q:Feeder transit service: Choosing between fixed and demand responsive policy ,Transportation Research Part C 18,pp.770-780,2010

8)山本充洋,中村一樹,藤田将人,加藤博和,林良嗣:ア ジア途上国大都市における長期的将来の低炭素都市・交通シ ステム構成要素の検討,土木計画学研究・講演集,Vol.46, (38),2012

9)Atrans:Integrating Congestion Charging Schemesand Mass Transit Systems in Bangkok,Final Re-port, Research Grant 2009, Part A34,pp.171-205,2009

10)A.H.M. Mehbub ANWAR,Akimasa FUJIWARA,Junyi ZHANG : Newly Developed Link Performance Functions Incorporating the Influence of On-Street Occupancy for Developing Cities: Study on Dhaka City of Bangladesh , Transportation Research Board Annual Meeting 2011 Paper #11-2988,2011 11)松橋啓介,工藤祐揮,森口祐一:交通部門における CO2 排出量の中長期的な大幅削減に向けた対策,地球環境,Vol.12, No.2,pp.179-189,2007 謝辞 本研究は,環境省・環境研究総合推進費(S-6-5)「アジアに おける低炭素旅客交通システム実現方策に関する研究」の支 援により実施された.ここに記して謝意を表する.

参照

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