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Harmonize 稲と暮らす やさしい眼・やさしい手 産業と暮らしの場で 活かされていく新技術 Technical Break 地震による被害を推定する技術 「SI 値と液状化検知」 Application 岩手県 盛岡市クリーンセンター 合同ガス株式会社 Savemation Spirit 地震による被害状況を 的確に把握するインテリジェント 地震センサが果たす大きな役割 News&Topics 博物を楽しむ 馬の博物館 June.2000

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山武グループ PR 誌セーブメーション

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稲はどこからきたか…縄文の稲と弥生の稲

日本には古来「縄文の稲」と「弥生の稲」があった。遺伝子考古学の第一人者であ る静岡大学農学部の佐藤洋一郎氏が書いた本を読んでの感想だ。ただし、ふたつの 稲の呼び名は、そう名づけた方が楽しかろうという素人の思いつきである。 従来の稲渡来説では、南方説、江南説、朝鮮半島経由説のどれを見ても稲の種類 を1種類としてその起源を求めようとしてきた。ところが佐藤氏は、遺跡に残されて炭化 した古代の米を遺伝学的な手法によって分析すると、どうも1種類とは考えられないとい う結論を導き出した。稲の種類にはインディカとジャポニカの2種類があるが、実はジャ ポニカには「熱帯ジャポニカ」と「温帯ジャポニカ」があるという。そしてある遺伝子の特 質をとらえ、さまざまな実験とアジアへ出かけての研究などを重ねながら、日本に渡来し たのは、南方経由で渡来した陸稲 りくとう の「熱帯ジャポニカ」と、中国から朝鮮半島経由で渡 来した水稲 すいとう の「温帯ジャポニカ」というふたつの種類であったことを氏は突き止める。こ れが氏のいう稲の渡来ルートに関する「南北二元説」という仮説である。 しかし現在の日本にある稲はそのほとんどが水稲に適した温帯ジャポニカである。熱 帯ジャポニカはどこへ行ってしまったのだろうか。ところが遺伝子で探ると、「熱帯ジャポ ニカに特有の性質を断片的に持った品種」は、在来品種の中に残っている。これは、か つて熱帯ジャポニカがいったんは本土に分布したことを物語る証なのだ。つまり、日本 に渡来した2種の稲は国内に分布し、田を隣り合わせにして栽培されることにより自然 交配を起こし、遺伝子を交換した結果が今の姿ではないかと氏は推察する。 熱帯ジャポニカは陸稲に適した種類である。アジアに稲のさまざまな生態を見て歩 いた氏のまなざしに映じたのは熱帯ジャポニカの生息環境であった。その生息環境は、 ある時は乾いた土地であり、ある時は水たまりのような湿地であり、それは実に変化に 富んだものだった。そこで次のような推論が成り立つ。熱帯ジャポニカは、おそらく他の 雑穀などとともに、水田とも畑ともつかない未分化な環境の中でしっかり日本に根付いた のではないかと。そしてそれは、中国からの水稲に適した温帯ジャポニカが渡来する以 前であったはずではなかったかと。熱帯ジャポニカを縄文の稲と呼ぶ所以 ゆ え ん である。

渡来のプロセス…持ち込まれた稲たちは

数多くの縄文遺跡発掘により、縄文時代も稲の栽培が行われていたことが明らかに なった。遺跡で発見された米は、決してどこからか持ち込まれたものではない。そこで 栽培されていたことを示す証拠がプラントオパールと呼ばれるものだ。植物の葉には土 の主成分のひとつである珪酸が溜まる。このかたまりを珪酸体という。これが土中に埋 まった場合、珪酸体がそもそもガラスと同じ成分である故に土中でもほとんど分解しな い。こうして出土したものをプラントオパールという。稲が栽培されていたところでは稲の プラントオパールが大量に出土する。縄文の数々の遺跡からもプラントオパールが大量 に出土し、ここで稲作が行われていたことが実証されている。 こうした縄文時代の稲作は、弥生時代に温帯ジャポニカが渡来する前の熱帯ジャポ ニカであった。つまり日本では、かなり長い時間にわたって縄文時代から稲作に対する 経験が蓄積されていたのである。そこに弥生時代になって温帯ジャポニカが、さまざま な文化とともにもたらされた。いや佐藤氏によれば、むしろ中国へ出向いて自分たちの 栽培経験に見合った都合のいい品種を持ち帰った可能性さえうかがわせるデータがあ るという。そのデータとは、当時渡来した品種がわずか2種類しかないという事実だ。そ 2.June.2000 Savemation

HARMONIZE

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の当時中国・江南等ではもっと数多くの品種が栽培されていた。その中からたった2種 類しか入ってこなかったとすれば、それは渡来人が幾種類もの品種を持って渡ってきた と考えるより、当時の弥生人が、自ら栽培しやすい種を選んで持ち帰ったと考える方が、 妥当性が高いという推論である。とすれば温帯ジャポニカによる水田稲作は、古代日本 人が自ら取り入れた海外文化だったということも可能なのだろう。だからこそさまざまな 遺跡の調査から導き出された結論のように、新たな水田稲作は、あっという間に西日本 において広がったといえるにちがいないのだ。 遺跡から発見される米の研究によれば、熱帯ジャポニカは平安時代まで間違いなく、 温帯ジャポニカとともに栽培され続けていたという。熱帯ジャポニカと温帯ジャポニカの 併存時代は、思ったより長い。だからこそ現代の稲の中にまで、熱帯ジャポニカの特質 が断片的に残ることになったのだろう。このふたつの品種こそが、私たち日本人の暮ら しに欠かすことのできない稲のルーツなのだ。 ところで、稲のもうひとつの種類であるインディカについて触れておこう。インディカは、 ジャポニカのように日本に入ってはこなかったのだろうか。古代においても多少は渡って きたようすが見てとれるが広く栽培された形跡は見つけられないという。インディカが 大々的に栽培されたのは、実は中世のころであった。当時はインディカの稲に和名さえ 付けられていた。それを「唐 から 法 ほう 師 し 」という。唐法師は赤 あか 米 ごめ の品種であったようだ。唐法 師は中世において盛んに拓かれた新田で栽培された。高台や低湿地などに拓かれる 新田の悪環境によく耐えたと考えられる。 ところが江戸時代に入って年貢制度が確立されると、ある現象が起きてくる。唐法師 の栽培に制限が加わってくるのだ。それは何故か。米を徴収する藩や幕府が、唐法師 の食味が伝統的な米食の食味に合わないといってこれを嫌ったからだ。藩による記録 などを見ると、そこには「唐法師の類は農民のものたること」などと強調されていたという。 つまり唐法師は、栽培したとしても年貢に出すなということなのだ。年貢はあくまで普通 の米で出すようにという指示なのである。ここで農民たちは年貢に取られる心配のない 唐法師をせっせと作り始めた。田の周りに唐法師をぐるりと囲んで植える「たいとうさし」 という田作りが流行ったという。こうした風景を考えてみると、唐法師栽培の急増は、年 貢として取り上げられることのない米を作るという意味で、藩や幕府へのひとつのレジス タンスという側面を持っていたとさえ感じられる。ところが明治になって、いわゆる年貢制 度がなくなるとともに米は商品となった。そのとたんに農民は、そもそも食味が合わない とされていた唐法師作りをやめだした。その栽培は急速に減少したのだ。そしてインデ ィカである唐法師の一部は、ジャポニカの稲作がさらに広がる中で、手に負えない雑草 として生まれ変わることになった。同じイネ科である。ジャポニカを育てる条件を整えれ ば、インディカもよく育つ。雑草化したインディカとの闘いは長く続いたという。

稲と暮らす…米、

稲藁、

籾殻たちの行方

稲の渡来以降、日本人の暮らしに稲は欠かせなくなった。 それはまず米という主食としてであった。 米の姿を、当 時世界最大の人口を誇ったという江戸の町の暮らしに見 てみよう。長屋の朝食はだいたいがその突き当たりにあ る水道井戸と呼ばれる共同炊事場で作られた。飯 めし などの 煮炊きははここで行う。ところでいま「飯」と書いたが、「ご飯 はん 」 と「飯」の違いをご存じだろうか。実はご飯とは炊き立ての銀しゃ

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りだけをそう呼ぶ。冷や飯も炊き込みも本来はみんな飯。だから松茸を入れて炊き上 げた高級なものも銀しゃりではない故に当然のごとく飯となる。松茸ご飯ではなく松茸 飯である。なんだか、あんまりありがた味を感じなくなるから不思議だ。 朝食に戻ろう。煮炊きをするといっても各家々に竃 かまど のある例は少なかったのが江戸の 長屋だ。そこで七 しち 輪 りん などで煮炊きをするのだが、その七輪も十軒長屋暮らし程度では、 あっても長屋に2∼3個。これを使い回す。しかも銀しゃりであるご飯を炊 くのは朝だけ。昼は冷や飯で夜は茶漬けという感じだった。朝は銀しゃ りの美味さだけで喰う質素な朝食。これに対して昼は焼き魚や煮物な どがついたりする。冷や飯でもおかずがつくからぐっと豪華だった。今 の夕飯という感覚かもしれない。当時は、夕暮れとともに一日が終わっ てしまう時代だから、夕食に豪華なものを喰っている閑 ひま など商家や町人 の暮らしにはまずない。夜は茶漬けぐらいでさっさと寝てしまうものだっ たのだ。お米が食事の中心であったから、平均すると1日1人五合が基 準だったという。今の感覚からするとかなり多い。江戸中期まで食事は 1日2回が普通であったから一食で二合半。これを量りやすいようにと各 家には二合半の升があった。これで量れば一人前がすぐに量れる。そ こで生まれたのが「一合野郎」というののしり言葉だった。二合半の半分 にも満たない半ちく野郎という意味だ。江戸っ子は悪口までも洒落ている。 ところが江戸時代を見てみると稲の利用は主食の米としてだけではな い。米を食用に利用した後の稲のあらゆる部分が暮らしの中で極めて重 要な資源として活用され続けてきた。それはほんの数十年前までである。 そのころまで我々の暮らしは江戸時代につながっていた。そうした暮らしぶりの中には、 現代の我々からみると実に合理的な生活の在り方が散見される。そのひとつが灰であ る。稲 いな 藁 わら は、草鞋 わ ら じ になり、蓑 みの になり、縄 なわ になり、畳になり、肥料になり、藁 わら 葺 ぶ き屋根などに なる。また籾 もみ 殻 がら は輸送の際の緩衝剤として用いられた。そしてそれらは、使い古されて 捨てられるのではなく最後は竃に入れられて燃料になる。もちろん初めから燃料として 用いることもあった。その結果生まれてくるのが灰であるが、江戸時代には「灰買い」と いう専門の商いもあったほどである。灰は、実は天然の化学薬品として幅広い用途が あったからである。

江戸時代は植物立国…そこから見えること

灰の利用先でまず思いつくのは農家である。元来が火山国である日本の土は放置 しておくと酸性に傾きやすい。そこで土の酸性を中和してくれるアルカリ性の灰は、牡蠣 か き 殻 がら や石灰岩から作る石灰などと違って手軽に入手できるところから土壌改良の大きな役 に立っていたのだ。と同時に灰はカリ肥料としても役立っていた。ことに根菜類の根肥 として有効であり、「江戸の三白」といわ れた白をめでる食品の豆腐・白米・大 根のうち、大根を育てる近郊農家には、 最適の肥料であったのである。 酒造りにもまた灰は重要であった。 何に使うのかといえば灰は麹 こうじ 作りに欠 かせないものだった。カビの一種であ る麹菌が他の有害なカビと混ざらない ように灰を用いたのだ。蒸し米に灰を かけて表面をアルカリ性にするとアルカ リに強い麹菌だけがよく育ち、他のカビ 類は生えてきにくいのだ。しかも灰の主 成分であるカリウムやリンが麹菌の増 殖を助けるという効果もあった。また、 酒の発酵が思うようにいかなくて酸味を 帯びた時などに灰を加えておくと酸を中 和すると同時に灰の含んでいる炭素が 4.June.2000 Savemation

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匂いを吸着するために味が良くなったという。こうし た灰の利用法は、伝統的な酒造りを行っている蔵 くら 元 もと で現在でも用いられている。麹作りには灰が役立て られ、酒の風味づくりには炭素濾過による工程が、 欠かすことのできないものとなっている。 その他、灰をリサイクルする場所はたくさんある。 それは主に灰汁 あ く としての用い方である。和紙を作る 際に木皮を煮込んで繊維をほぐさなければならない が、この時に灰汁のアルカリが木のリグニンやタンニ ンなどを溶かすので木の繊維だけを取り出すことが できる。また絹や麻などの糸や布を染めるためにも 灰汁は欠かせなかった。媒 ばい 染 せん 剤 ざい として色の抽出に使 うのである。そういえば陶器の釉薬 うわぐすり も灰が原料である。そして灰の使い方でもっとも身 近なものは洗剤としての利用であろう。油の付いた食器、汚れのひどい衣類など、灰汁 は石鹸や洗剤の先輩として、古くから人々の暮らしに役立ってきたのである。 灰は、江戸時代の徹底したリサイクルぶりをうかがわせるひとつの例である。江戸時 代を改めて眺め直してみると、そこには「植物立国」とでも呼べる姿が現れてくる。それ はこういうことだ。稲を含めた木や草などは、実は太陽エネルギーによって作られたもの である。これらが徹底して利用され、さらにはリサイクルされる。木は使えなくなれば燃 料に、麻や木綿は古切れとしてリサイクルされた。そして最後は灰になり、ふたたび土に 還元される。また燃やされたとしても、そこから出る程度の少量の炭酸ガスは、むしろ植 物の光合成に役立てられてリサイクルされ、次の年の植物を育てる糧にさえなっている のだ。そのことは次のようにいいかえることもできる だろう。「江戸時代は植物を媒介とするこ とで太陽エネルギーの巨大なリサイクル ワールドを形成してきた」と。太陽電池 で太陽エネルギーを電気に変換する 程度のことではなく、生活のすべてに活 かしていたともいえよう。太陽エネルギー 利用がさまざまに取りざたされているが、 江戸時代はすでにそれを立派に使い切っ ていたということができるのだ。 その植物立国を底辺で支えたもののひと つが先の稲藁である。当時の稲作農家から 生まれる稲藁は、20パーセントが日用品に、50 パーセントが堆 たい 肥 ひ や厩肥 きゅう ひ などにされ、残りの30 パーセントが燃料にされたという。しかも草 ぞう 履 り や畳などの消耗品として使われた稲藁は、それ らがへたってきた後には立派に堆肥などへとリサ イクルされていた。燃料にした結果生まれる藁灰もまたカリ肥料としてリサイクルされてい た。つまりすべてが最後は土に還 かえ されていたのである。完璧なリサイクルである。この 稲藁の使われ方を見ていると、どこか石油に似たイメージが喚起される。日用品になり、 肥料になり、燃料になるという点では同じである。植物立国にならっていえば、現代は 紛れもなく「石油立国」の時代である。しかし地底奥深くから地表へと掘り出された石 油は、稲藁のように最後に土に還すというわけにはいかない。掘り出された石油のほと んどは、何らかのかたちで、地表に永遠に残り続けざるを得ないのである。そこに、便 利で効率はいいが、石油立国の一番の問題点があるといえる。 だからといって、江戸時代にふたたび戻ろうなどとすることは困難であり、ナンセンスで あろう。問題は、わずか数十年ほど前までの我々の暮らしがそういうものだったという意 識を持つことによって、今の環境問題を改めて見つめてみる意識だろう。そうした時、有 機農業や無農薬農業などへの取り組みに、なぜ篤い志を持つ人々が増え続けている かがよく理解できるはずである。 【主な参考文献】 『DNAが語る稲作文明−起源と展開』佐藤洋一郎著/日本放 送出版協会 『稲のきた道』佐藤洋一郎著/裳華房 『稲とはどんな植物か−コメ再考』佐藤洋一郎著/三一書房 『対談 杉浦日向子の江戸塾』PHP研究所 『大江戸エネルギー事情』石川英輔/講談社文庫 『大江戸生活事情』石川英輔著/講談社文庫

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シーズとニーズの交差点で

山武は燃焼関係の制御に長く携わり、この分野で 実力を発揮してきた。生産の場では、製品が作り上 げられる過程で燃焼制御が重要となるフェイズが 多々ある。山武には、そのための計測と制御に関す る経験の蓄積とさまざまな製品ラインナップがあり、こ とに燃焼制御の重要な部分を占める最適空燃比制 御を実現するためのガスや空気の流量計測におい ては実績を積み 重ねるとともに高 い技術力を示し てきた。 今回取材した 電池式気体用マ スフローメータ (CMR)はそうした現場ニーズ の蓄積と技術力が基盤とな って生まれたもので ある。そのベース には、μF(マイクロフ ロー)センサとい う、マイクロ マシニング 技術と薄膜 技術によって 開発された画 期 的なセンサ というシーズがあっ た。これを背景とし てユーザー個々の ニーズにどう応え ていくかという技 術マインドの中 からCMRは生まれ た。技術シーズとユーザーニーズの交差点において、 高機能と省エネルギーを両立する製品が生み出され ていくところに、山武が掲げるSavemationという企 業理念の現われ方があるといえようか。

CMR誕生のプロセス

従来、一般に作られてきた気体用マスフローメータ に対して、ユーザーが個々のアプリケーションの中で 求めてきた課題は、より小型で、高速応答性に優れ、 微小流量計測が可能な消費電力の低いものという ことであった。こうした課題に対して独自の技術シー ズとしてμFセンサが応用され、まず、気体用マスフ ローメータ(CMS)が開発された。消費電力は従来型 の1/4となった。 しかし製造の現場にはさらなるニーズがあった。た とえば圧縮エアで稼動する製造マシンのエア量が製 品の品質に影響するなどという場面である。この他 にもエア量を最適に管理しなければならない場面は 数多くある。だが、各現場に電源供給の配線を施し て流量計測のための機器を設置するにはコストがか かりすぎる。そこで求められたのが電池駆動メータ である。 しかし電池を頻繁に交換しなければならないもの では交換の工数がかかりすぎ、配線コスト削減の意 味がなくなってしまう。今回開発された電池式気体 用マスフローメータ(CMR)は従来製品に比して 1/1600という超低消費電力を実現した。1年間電池 交換不要。省エネルギーであるばかりか、交換に対 するユーザーの手間も大幅に削減する。

最適を実現する技術開発

この技術は工業生産の場だけではなく、OEM向 け専用モデルとして私たちの生活の場にも提供され はじめている。それは医療現場における酸素供給な どの気体流量計測の場面だ。 患者への酸素供給は、その生命 を維持するためには欠かせな い医療手段であ る。だからこそ電 池駆動で正確な 酸素供給量を測 り続ける意味は大 きい。また酸素供給 は健康保険の対象と もなっている。正確な 供給量計測は、保険料 の問題が大きく取り上 げられている現在、病 院の社会的責任としても欠かす ことはできない事柄だ。医療の 現場でμFセンサ利用の計測器 は今、そうしたニーズに応えつ つあるのだ。 μFセンサという技術シーズとユーザーニーズが CMRを生んだ。とすれば、今度はこのCMRがシー ズとなって、新たなユーザーニーズに応えた最適を実 現していく場面が生まれるはずである。新たな技術 がニーズと出会って新たな製品になり、その新たな製 品が、新たなアプリケーション課題に出会って最適を 図っていく。そして省電力 設計という基本コンセプト が、今もっとも求められて いる環境課題である省エ ネルギーにも貢献していく ことになる。そういう技術 開 発 のひとつの 典 型を CMRは示しているということができるのではないだろ うか。 6.June.2000 Savemation CMRについての問い合わせ先 ■株式会社 山武 制御機器事業部 マイクロフロー事業推進部 TEL : (0466)20-2226 FAX : (0466)20-2193 ホームページ : http://www.yamatake.co.jp/mf/ 研究開発のプロセスにはさまざま なテストが行われる。テストのた めのプロトタイプ作りにおいては、 小さな道具たちが開発技術者を支 える。無表情に見える小道具たち が活き活きとする瞬間である。 環境コラ 取材構成 ・須藤賢一( ルポライ ター) 広くを見つめ微細を見逃さ ないまなざしから環境を 考える新しい技術 が生まれる。

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「ただいま。今日は鯰が釣れたよ」 「え? 鯰? 地震でも起きそう」 「どうして?」 「だって昔から鯰が暴れて地震を起こすっていわれているでしょ」 「そうだね。でも大丈夫だよ、山武のインテリジェント地震セン サが活躍しているから」 「インテリジェント地震センサ?? どういうこと?」 「地震による被害を最小限に食い止めるためには、どの場所で、 どのくらいの被害が発生しているのかを迅速に把握し、適切な 判断、対応が重要なんだ。そのためには、広範囲かつ高密度 に地震センサを設置した防災システムが必要となるんだけれ ど、そのような防災システムの構築には多大な費用が必要な ため、防災システム導入の大きな障害となっていたんだ」 「今回、東京ガス株式会社と山武は共同開発で、被害との相 関の高いSI値を計測し、大きな被害を引き起こす液状化現象 を検知できる低価格・高機能な地震センサを開発したんだ。こ のセンサは、東京ガスの供給エリア内に点在する3600カ所の 全地区ガバナに設置される予定で、これが完成すれば世界で 最も高密度な防災システムになるんだ」 「SI値? 液状化検知? 何なのそれ?」 「SI値とは、Spectral Intensityの略で米国のハウスナー教授 によって提唱された地震の揺れの大きさを表わす指標のひと つで、日米の100Gal以上を超える地震動記録約170例から、 “地震によって一般的な建物がどのくらいの被害があるのか” を数値化したものなんだ。 計算方法は、地震によって発生した加速度から一般的な建物 ● 問い合わせ先 株式会社 山武 制御機器事業部 TEL(0466)20-2278 FAX(0466)20-2193 がもつ特定の固有周期範囲についての速度応答解析を行い、 その平均値を算出することによって求められる(図1)。 これまでの地震で観測された最大加速度(Gal)と比較すると、 図2のようにSI値の方が被害との相関が高いことがわかる。加 速度が低い時でも、被害が発生する場合もあるし、逆に加速 度が高い時でも、被害が発生しない場合もあるんだ。 このため、ガス業界では、被害との相関の高いSI値を基準に 地震対策を行っていて、最近では各種プラント・交通関連など でも使用されはじめているんだ」 「じゃあ液状化は?」 「それは今から説明するよ。地震によって地盤が液状化すると さまざまな建造物、埋設物に甚大な被害を及ぼすことがある。 また、液状化が起こるとSI値が低めに出る傾向にあり、復旧 の優先度が下がる可能性があるため、液状化検知は高度な 被害推定を行う上で非常に重要なファクターとなるんだ」 「え? 知らなかった」 「従来液状化検知を行うためには、ボーリング工事などの大規 模な工事を行う必要があり、多大な費用が発生するため、高 密度に設置することが難しかったんだ」 「今回、液状化することにより地表加速度波形が変化すること を利用して液状化検知を実現したんだ(図3)。液状化した地震 波形、しなかった地震波形、約70波形を実際に加震台に乗せ、 検証・解析を行った結果、液状化が発生した地震波形は、地 盤が柔らかくなるため、周期の長い波形となること、ある程度 大きな揺れが必要であることなどがわかった。 この解析結果を元に液状化検知アルゴリズムを開発して、SI センサに搭載し、高度な被害推定を安価に構築できるように なったんだ」 「へぇー、すごい技術なのね。でも私、鯰より鰻うなぎのほうがいいなぁ」 「…」 テクニカルブレイク

地震による被害を推定する技術

「SI値と液状化検知」

次回は山武ビルシステムの「BEMS」をお届いたします。

SI=

2.4

1

SvdT(h=0.2)

0.1 2.5 Sv:速度応答スペクトル T :周期 h :減衰定数 周囲で建物等の被害発生 被害なし 宮城県沖(塩釜) 松代群発 エルセントロ 日向灘(細島) 十勝沖 (青森) 十勝沖 (八戸) 根室半島沖 (釧路) 伊豆半島 近海 (柿田川) 日本海中部 (秋田) 十勝沖 (室蘭) 阪神淡路 (神戸) 120 110 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 最大加速度(Gal) SI ( Kine ) 図2 SI値と最大加速度の関係 図1 SI値を求めるための式 [SI値計算式] 5 10 15 20 時間[s]   加速度 [ Gal ] 400 200 0 −200 −400 5 10 15 20 時間[s]   加速度 [ Gal ] 1000 500 0 −500 −1000 図3 ■通常の地震波形 ■液状化した地震波形 なまず

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徹底した環境保全のニーズに応えるべき実績

の高さと安定性がDCS導入のポイントに

JR盛岡駅から真北に車で向かうと約20分ほどの ところに盛岡市クリーンセンターがあります。およそ 2万人の人々が暮らす市内最大の松園ニュータウ ンを抜けると、丘陵地に囲まれるようにクリーンセン ターの建物が見えてきます。 「当センターの建設にあたり、地域住民の方の心配 される環境への影響などについては、その対策を 話し合う場として、1993年(平成5年)に二つの地元 連合町内会それぞれに地域環境整備協議会を設 けていただき、この中で環境対策、余熱利用施設、 あるいは地域振興策についての話し合いを重ねて きました。地元の方々との話し合いは100回を超え ましたが、なかでも環境対策については50回に及 びました。さらに排ガスを規制値よりどこまで低くす るかなど、細部にわたる協議会の意向のほとんどを 取り入れました。そして建設にあたっては、そうした 環境保全のための意向を十分に果たすべき施設 の建設を日本鋼管株式会社にお願いしたのです」 (盛岡市クリーンセンター・北村所長) 環境対応としてクリーンセンターが基準とした自己 規制値は、法規制値よりかなり厳しく設定されてい ます。たとえば硫黄酸化物を1592ppmの法規制値 に対し10ppmに設定するなど各種排ガスについて も徹底して自己規制値を設けています。そして安定 した完全焼却のための燃焼制御、二次公害防止 のための高性能排ガス処理についても現段階で可 能な高レベルの設備が施されました。こうした高度 な装置に対し、これを自動運転する中央監視・制御 システムとして、山武産業システムのTDCS3000*が 採用されています。 「最近のごみ焼却施設は余熱の利用なども含めて 多面的な展開が求められています。と同時に、環境 対策の上で十分に安定した運転を継続していくこ とも欠かせない課題です。その結果、複雑で高度 な運転技術が求められますが、その点を考慮して、 集中監視や全体制御を高度に自動化し人にやさし く安全にプラント運転が行えるよう、DCSとして実績 のあるTDCS3000の導入を図ったのです」(日本鋼 管・池田室長)

多重電送装置とTDCS3000の機能を用いて

排ガスデータを住宅地等に表示

同センターのシステムを特徴づけるもののひとつ に、各炉ごとの排ガス値データを表示する設備があ ります。これは一般にごみ焼却施設内に設けるもの

環境保全対策に重点をおいた

ごみ焼却処理プラントの高効率運転を

自動制御する機器とサポート体制。

プラットホーム 松園ニュータウンに設置された排ガス表示板 *印は山武グループの商標です。

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必要となり、それに伴うDCS プログラムの変更も発生しま した。しかしDCSプログラム 変更対応については、市内 に身近な拠点を持つ山武産 業システムが迅速に対応し てくれ、変更・追加がスムー ズに行われました。またこの 変更では、新たな装置から の信号の取り合いなどにつ いてもシステムの拡張性・柔 軟性が確認できたと考えて います。本施設はすでに2年 間稼働していますが、その間 に山武グループの統合・再 編があり、産業オートメーシ ョン市場で事業を展開する山武産業システムが誕 生しました。しかしそうした変化の中でも、万一のト ラブル対応や改善要求に対する対応もまったく変化 することなく、サービス体制が維持されてきました」 (盛岡市クリーンセンター・箱崎係長) 「試運転の当初から現在のアフターサービスまで、 山武産業システムの盛岡営業所の担当者が一貫し て現場で一緒に作業してくれています。私どもプラ ントメーカーとしては、引渡し前の最終の調整から、 その後も引き続きメンテナンスを担当してほしいとい う要請をしておりましたが、それがうまく実現してい ると思います」(日本鋼管・池田室長) 同センターでは、増え続けるごみに対して、分別 回収などについて市民の協力を求め、より環境負 荷の少ない焼却設備運転をめざしているといいま す。 ですが、同センターではこれを盛岡市役所の市民 ホールと工場の東西にある住宅地でも確認できる ようにしています。表示板には、上の段に住宅地環 境の数値、そして下の段に焼却場の排ガス値が表 示されて比較できるようになっています。特に住宅 地環境の数値データは焼却設備稼働の1年前から 蓄積されており、焼却設備稼動後の排ガス影響に 関する有無が分かるようなシステムになっています。 「表示板のデータは、設置場所の定点測定データ も管理しなければなりませんので、多重電送装置を 設けています。定点観測データはこの多重電送装 置を経てTDCS3000に送られてきます。また排ガス データはTDCS3000が蓄積していますので、このふ たつを住宅地にある2カ所の表示板と市役所に電 送する仕組みになっています」(日本鋼管・中澤氏)

ダイオキシン対策装置の追加にも

柔軟に対応した身近なサービス拠点

1998年(平成10年)4月に稼働してから約10カ月 後の1999年(平成11年)2月には、ダイオキシンの発 生をさらに抑制する新たな装置が追加されました。 これは、完全燃焼による燃焼管理に加えて、各炉 からの排ガスが有害ガス除去装置の反応塔に送ら れる途中に活性炭吹き込みの装置を付加すること で対応したものです。これにより0.5ナノグラム/m3 ら0.1ナノグラム/m3になっているといいます。 「新たな装置の追加にあたっては炉の安定燃焼 制御に使われているACC自動燃焼装置の改良が 中央制御室に設置されたTDCS3000 盛岡市クリーンセンター 所長 北村 正彦氏 盛岡市クリーンセンター 副主幹兼施設係長 箱崎 嘉克氏 日本鋼管株式会社 総合エンジニアリング事業部 制御技術部 第二技術室 室長 池田 英二氏 日本鋼管株式会社 総合エンジニアリング事業部 制御技術部 第二技術室 中澤 一暢氏 盛岡市クリーンセンター外観 盛岡市クリーンセンター 所在地/岩手県盛岡市上田字小鳥沢145-25 操業開始/1998年(平成10年)3月 処理能力/1日当たり405t 対象エリア人口/23万9500人 盛岡市の人口約 29 万人の 80 %を超える 24 万人の生活ごみ 焼却処理を担当する盛岡市クリーンセンターでは、近隣に2 万人が暮らす市内最大の松園ニュータウンもあり、環境保全 対策に重点をおいています。自動燃焼制御を採用し有害ガス 除去装置などを設置した施設への見学者は、1999年(平成11 年)だけで 6000 人。県内・近県からだけでなく、一般見学 者とともに焼却施設を計画している市町村からも多くの担当 者が九州や関西から訪れているといいます。今後は、焼却熱 の有効利用をさらに図るために、隣接地に屋内温水プールを 中心とした余熱利用施設の建設を予定しています。 減温水の温度を調節する調節弁CV3000 スラリー流量をコントロールする調節弁VFRとスラリー流量を計測する2線式 電磁流量計SMT3000

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すべてのガス需要家における安全を

平等に追求した防災対策を追求

1995年(平成7年)の阪神淡路大震災を教訓に、 我が国では現在、地震災害時のガス漏れによる二 次災害防止対策が、全国のガス事業者を対象に指 導されています。これは1996年(平成8年)にまとめ られた『ガス地震対策検討会報告書』、および1997 年(平成9年)発行の『簡易ガス事業地震防災対策 マニュアル』に基づく指導で、具体的には「複数の 特定製造所を設置する地点群にあっては、同一の 感震センサにより、それぞれの特定製造所の遮断 弁を同時に作動させる感震自動ガス遮断装置を10 年程度を目途に計画的に設置する」というものです。 このガイドラインに則した簡易ガス設備地震防災 対策を全国に先がけて完成させたのが、三重県津 市に本社を構える合同ガス株式会社です。同社は 2176軒のプロパンガス需要家を擁する四日市市の 桜団地において、簡易ガス設備の親局に山武のイ ンテリジェント地震センサSES51E*を設置。さらに 親局と3カ所の子局を無線通信回線で結ぶことで、 都市ガス設備クラスのガス供給遮断システムを実現 したのです。 「当社は三重県伊勢湾周辺の7市5町1村、約13 万戸の需要家に都市ガスと簡易ガスを供給してお り、地震防災対策マニュアルが発行されて以来、ど のようなガス遮断システムを構築するべきか検討に 検討を重ねてきました。これらのマニュアルに明記 されたポイントは、より高精度のシステムを要求する 都市ガス設備に比べ、簡易ガス設備においては旧 来の落球式地震計でも可能であり、通信手段も限 定しないという点です。しかし、供給するガスに都 市ガスか簡易ガスかの違いはあっても、需要家の 安全と安心はあくまでも平等に追求しなければなり ません。そのような考えから当社は、SIセンサ式の 地震計と無線通信回線による簡易テレメ・テレコン 無線システムを構築したのです」(水谷取締役)

より確かな安全性と信頼性を求め

Iセンサ採用の無線システムを導入

桜団地の簡易ガス設備は、親局のLPガス充填・ 気化設備で気化したガスと、3カ所の子局の供給ボ ンベより気化したガスを、ループ状の導管で結び、 団地内の各需要家のもとへガス供給しています。 「桜団地の親局には簡易ガス設備の遠隔監視制 御を目的に、10年以上前に無線通信回線によるテ レメータ・テレコントロール設備を設置していました。 そのため、今回の感震自動ガス遮断装置も、この既 設設備の活用を前提に検討に入り、最終的には3 つの方法が浮かびました。まず、通信にPHSを使う 方法ですが、これはいろいろ調査していくうちに距 離的に無理だということがわかりました。次は、特 定小電力無線局を使って通信する方法なのです が、これは災害時の通信手段としては安定性という 面で疑問がありました。特に桜団地はその中央を 東名阪自動車道が縦断しており、平常時でもトラッ ク無線による電波障害が危惧されます。そして、3 つめの案は既存電波を利用する方法ですが、この 方法はシステムが大型化し莫大な設備投資が必要 となります。このようにいくつもの方法を検討した結 果、通信手段としては安全性の高い業務用無線を 使って団地内完結の簡易テレメータシステムを構築

簡易ガス事業地震対策を全国に先がけて

実現した四日市市・桜団地で

活躍するインテリジェント地震センサ。

四日市市・桜団地簡易ガス設備の親局。ここでガス充填・気化したガスと、3カ所の子局の供給ボンベで気化したガスをループ状の導管で結び需要家へと供給する *は山武グループの商標です。

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の立場で構築しなければいけない』というのは青マ ネジャーの言葉ですが、自己診断機能で検査性や メンテナンス性を高めたSES51Eなど、山武のシス テムや計装機器はまさに現場を理解して作られてい ると思います。また、今回の案件は発注が1999年 10月中旬で、納期が年末というかなり厳しいスケジ ュールでしたが、山武グループの力によって予定通 りに仕上げられ、さまざまな面で満足しています」 (伊藤氏)

ガス供給遮断の責任とリスクを踏まえ

一切の妥協を排したシステムを目指す

防災マニュアルのガイドラインに従いながら、それ 以上の安全性と信頼性を遠隔集中ガス遮断システ ムに求めた合同ガス。その積極的な対応からは、 ガス事業者として需要家の安全と安心を心から願 う、同社の真摯な姿勢がうかがえます。 「このような防災システムは、本当ならいつまでも活 用されない方がありがたいものですが、常に地震 が危惧される日本では欠かすことのできない防災対 策といえるでしょう。しかも、ライフラインであるガス 供給を遮断するということは大変な責任とリスクを 負う業務であり、判断ミスや誤作動は絶対に許され ません。需要家の方々に安全と安心を約束するに は、設備そのものの信頼性を徹底的に追求し、一 切の妥協を排したシステムを構築す るべきでしょう。そうした考えから、私 たちは簡易ガス設備も都市ガスと同 等の設備として踏まえ、考え得る最 善のシステムを模索してきました。今 回、山武から提案を受け、完成した システムは、まさに私たちの思考を形 にした最善のものだったと思っていま す」(水谷取締役) してはどうかという結論に達しました。無線を使用 するには新しい電波を取得しなければなりません が、東海電気通信監理局に当社の主旨を説明し たところ、その公共性や社会的意義から快く許可 を得ることができました。次に問題になるのが具体 的な装置の選定ですが、簡易テレメータレベルで 業務用無線が使え、シーケンサからインターフェース できる製品は山武にしかありませんでした。また、 簡易テレメータは私どものグループ会社である合同 液化ガスで公衆回線を用いたシステムの実績もあり ます。そして地震計には落球式よりも信頼性が高い SIセンサを使うという、山武の提案が一番だと判断 しました」(青マネジャー) こうして1999年(平成11年)末に完成した桜団地 簡易テレメ・テレコン無線システムは、親局のインテ リジェント地震センサSES51Eが常にSI値を計測 するとともに、親局と3つの子局の各設備の稼働状 況は定期ポーリング監視機能により、簡易テレメー タDCX200*を介して親局テレメータ盤のEST300* と本社監視制御室の監視モニタにリアルタイムで表 示されます。そして、万が一大地震が発生した場合 は、親局、全子局の遮断弁がSIセンサと連動して 同時に作動し、ガス供給を停止することで二次災 害を防止。さらに本社または親局のEST300からの 指示により遠隔操作によっても遮断できるようになっ ています。 「私は現場の定期巡回も担当していますが、EST 300をはじめ、山武製品の使いやすさには助かって います。『システムはメンテナンス性まで考え、使う側 親局および本社からの指令を受け、遮断弁を作動させる 簡易テレメータDCX200 合同ガス株式会社 取締役供給部長  水谷 富之氏 合同ガス株式会社 供給部 施設保全グループ マネジャー  青 克之氏 合同ガス株式会社     供給部 施設保全グループ 伊藤 讓一氏 合同ガス株式会社 外観 合同ガス株式会社 所在地/三重県津市南丸之内4-10 設立/1930年(昭和5年)8月 供給区域/四日市市、鈴鹿市、津市、久居市、松阪市、伊勢市を 中心とした7市5町1村 伊勢湾周辺を供給区域とする合同ガス株式会社は、1995年 (平成7年)5月に天然ガス転換事業を完了し、クリーンな都 市ガスの安定供給を推進するとともに、遠隔集中ガス遮断シ ステムを構築した桜団地をはじめ、防災対策に全社をあげて 取り組んでいます。 また、グループでの関連事業として、LPGの販売、簡易ガス 供給、住宅・リフォーム事業などを展開し、地域に密着した活 動を続けています。 親局の中圧ガスの圧力 を測るスマート差圧/圧 力発信器DSTJ3000 New A ce* と、中圧ガ スを遮断する遮断弁に 取り付けてある防爆スイ ッチVCX− 5001* お よび遮断弁 本社のガス供給監視制御室 親局に設置されたインテ リジェント地震センサS ES51E。通常はスチー ルケースで防護されてい る ガス遮断弁制御盤に設置され た表示器EST300。親局と3 カ所の子局の状況監視とコント ロールが行える あお

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かつて天災は、自然の猛威とし て仕方なく甘受されてきた歴史を 持つ。しかしテクノロジーの発展は、 これをできるだけ正確に予知しよ うとその技術を確立し続けてきた。 と同時に、予知が不可能に近い天 災については、むしろ被害の実態 をよりリアルタイムに想定することで 危機管理の効果を上げようとする 方向へシフトしつつある。地震は 被害が甚大であるにもかかわらず、 きわめて予知の難しい災害であ る。その地震とどう取り組むか。生 活インフラを支える産業や市民の 安全を守る自治体において今、こ れに対する真剣な取り組みがなさ れはじめており、そこに山武の画期 的な地震センサがコア技術として 活かされているという。 取材・構成/沢常好(ルポライター)

技術大賞を受賞した技術

山武が開発した画期的なインテ リジェント地震セン サは、従来計測され てきた「最大加速度 (Gal=ガル)」のみな らず、被害との密接 一地震が起きて二次災害予防の ためのガス遮断がなされる場合も、 SIセンサによる確実な被害想定に 基づいて地震の強さに応じた遮断 が迅速に行われる。東京ガス株式 会社ではこのインテリジェント地震 センサを1km 四方にひとつずつ 設置して世界一高密度なリアルタ イム地震防災システムを整えつつ ある。 また、過日台湾の台中を襲った 地震においてこんなエピソードが あった。東京ガスエンジニアリン グ株式会社が、ガス供給防災シス テムを台湾に輸出した。システム のコアには山武のインテリジェン ト地震センサがあった。システム 立ち上げの日に地震が台中を襲っ た。だがシステムは確実に稼動し た。と同時に、台北の一郭におい て予想外に高いSI値を示したこと も判明した。ところが、そこから 1kmも離れていない場所では半 分にも満たないSI値だった。これ は、地下の見えないところで起き る地震規模の想定がいかに難し いかを物語る一方、予想外の地 な関 係を示 すといわれる「 S I 値 (Kine=カイン)」を計測・演算する 能力を持つもので、災害程度を想 定するのにきわめて大きな威力を 発揮する。それに加えて世界初の 液状検知機能をも備えており、高 機能・高信頼のインテリジェント地 震センサとして、各方面から注目を 浴びている。 その技術は、ガス事業の世界で もっとも高い権威を持つといわれる 日本ガス協会の技術大賞をこのた び受賞した。評価の対象として高 機能・高信頼があげられたのは当 然のこととして、さらに機器が従来 の地震センサに比べて小型で廉 価、しかも設置が容易なことなどに も注目が集まった。それは、ガス導 管網に対してこれまでよりも一層数 多くのセンサを取り付けることが可 能になることを意味する。そして地 震におけるガス自動遮断の精度を 著しくあげることができるのだ。万 12.June.2000 Savemation

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地震による被害状況を

的確に把握するインテリジェント

地震センサが果たす大きな役割。

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警察 消防署 病院 鉄道 役所 災害復旧センター にいかに地震の大きな力が加わ るかを示すひとつの ケースであ った。

さまざまな産業の場面で

地震被害に対する早期復旧へ の希求は、さらに生活や産業の 場面で幅広く求められている。例 えばプラントや工場においてであ る。可燃性及び有毒性の液体や ガスを用いるところでは、地震から の二次災害を最小限に食い止め るために地震発生時には地震規 模に応じた遮断を行って近隣住 民や社員を守らなければならない。 そういうモラリティが求められてい る。そのために大手プラント企業 では、プラント各所にインテリジェ ント地震センサを設置し、地震規 模に応じた確実な遮断による安全 確保を図りつつある。また大手の 自動車メーカーや半導体メーカー では、可燃性ガスや有毒性ガスの 自動遮断システムの構築を急いで いる。こうした課題に対して、山武 のインテリジェント地震センサは、 小型・廉価、容易な設置工事とい う特性によって、高機能・高信頼の 自動遮断システムを、プラントや工 場のより広い場面に押し広げ、さら なる安全確立をサポートしていると いう。 またライフラインのひとつであ る鉄道や道路などにおいてもイン テリジェント地震センサは活躍す る。例えば鉄道の場合、これまで の地震センサでは計測地点の距 離 が 長 いため、地 震時停止列車の復 旧 に 多くの 作 業時 間を割 か ね ば なら なかった。しかし数 多くのインテリジェ ント地震センサを観 測ポイント間の距離 を大 幅に 縮 めるか たちで配置すれば、 より的確な列車停止 等のコントロールが 行えるようになる。こうす ることで、列車停止の本数 や時間を最小限に抑えること ができ、乗客への迷惑を大幅 に減らせるようになるのだ。

災害復旧を迅速にするために

地震災害に対する対応をさらに 真剣に考えているのが地方自治体 である。有事には確実な被害想定 に基づく実効度の高い緊急復旧 施策が求められる。この課題を実 現するためには、いかなる体制が 必要なのか。一部の自治体では、 このシミュレーションを急ぎはじめ ている。そこで切実に求められて いるのが、地震発生とともにリアル タイムで市内各所の被害規模を知 る方法である。ある市では、できる だけ数多くのポイントにインテリジェ ント地震センサを設置し、その情 報をより早く収集するために、災害 に強い多様なネットワーク構築をい かに図るかという点に絞り込んで 考えているという。 どの地点の災害規模がどれほ ど大きいかをリアルタイムに知るこ とが、その後の救助活動、消火活 動、医療活動、救援活動などにい かに的確に活かされることか。市 民の安全を預かることも行政の重 要な課題のひとつである。その意 味で、自治体が展開しようとする、 インテリジェント地震センサをコアと して構築されるこのネットワークシ ステムは、地震検知システムという よりはむしろ「災害早期復旧対策 システム」と呼べよう。 巨大なエネルギーで大地を襲撃 する地震に対し、インテリジェント地 震センサは、そのインテリジェント性 で果敢に挑もうとする。センサが地 震に挑んで的確に算出するその地 震計測データは、私たちの暮らしを 守る頼もしい砦として、有事の際に 大きな力を発揮するにちがいない。 多様な通信ネットワーク手段 インテリジェント 地震センサ情報 災害早期復旧対策システムイメージ図 ●問い合わせ先 株式会社 山武 制御機器事業部 プロダクト事業統括部製品企画部 TEL(0466)20-2278 FAX(0466)20-2193

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14.June.2000 Savemation

中型カラー表示器EST240Z機能拡大

(株)山武 制御機器事業部では、中型カ ラープログラマブル表示器EST240Zにレシ ピ機能、ならびにデバイス一覧編集の機能 を搭載した製品の販売を開始しました。 【特長】 ①レシピ機能 EST240Zの本体に品種ごとの設定データを 記憶させ、それをEST240ZもしくはPLCなど から指定し、設定データを生産品種に対応 して一括変更する機能です。 とくにEST240Zのマルチチャンネルを活か してPLCと温度調節計などの設定値を一括 で管理すれば品種管理が容易になりPLC のプログラム負荷の大幅な低減が実現でき ます。 ②デバイス一覧編集 APエディタVer1.1では表形式で使用デバ イスの編集が可能になりました。これによりア プリケーションを再利用する際の工数が大 幅に削減できます。 ③ヘルプ機能 APエディタを操作しているときにキーワード を入力すると対応する機能を検索することが できます。 ●問い合わせ先 株式会社 山武 制御機器事業部 TEL(0466)20-2278 FAX(0466)20-2193

SVS100/200機能拡大

(株)山武 制御機器事業部・新事業開発 室では、画像処理専用のLSIとともに画期 的画像処理アルゴリズムPOC(Phase Only Correlation:位相限定相関法)を採用した、 従来の常識を覆す画像センサとしてSmart Vision Sensor(SVS)を販売してきましたが、 この度機能を拡大した製品の販売を開始し ました。 【特長】 ①2台のカメラからの入力を可能にしました。 ②良品ワークを複数登録するだけで最適な 登録パターンを自動生成します。 ③画像中の比較したいものだけの類似度が 測定でき、画像ノイズの影響が少なくなり、位 置決め・判定性能が向上しました。 ④128画素モードでの登録アプリケーション を従来製品の4倍に増やしました。 ⑤最新の警報発生画像をSVS本体メモリー に保存し、保存された画像と再演算を行う ことで計測結果の再検証を行うことができま す。 ⑥位置ずれ量表示、実値変換係数の設定 方法の改定、類似度表示の一本化など画 面表示を改定しました。 ●問い合わせ先 株式会社山武 制御機器事業部 TEL(0466)20-2232 FAX(0466)20-2193 株式会社山武 新事業開発室 POCプロジェクト TEL(0463)91-9656 FAX(0463)91-9735

スマート・バルブ・ポジショナAVP3000

Alphaplusならびに圧力発信器DSTJ

3000NewAce緊急即納対応のお知らせ

山武グループでは、スピード経営をめざす 一環として、製造リードタイムの短縮による生 産性およびお客さまの満足度の向上に取り 組んでおります。 このたび、山武産業システム(株)では、お 客さまの緊急時の対応として、スマート・バル ブ・ポジショナAVP3000Alphaplusの納期 を3日に短縮。および圧力発信器DSTJ3000 NewAceの緊急製品を翌日に出荷できる納 期体制を整えました。 ●問い合わせ先 山武産業システム株式会社 プロダクトマーケティング部 TEL(045)461-8881 FAX(045)461-8770

カナダのレイクス社と販売提携して

環境安全管理ソフトウエアを独占販売

(株)山武 新事業開発室では、工業市 場・建物市場における長年の省資源・省エ ネルギーという環境保護への取り組み経験 とノウハウをもとに、欧米の進んだ環境ソフト ツールを利用した環境ソフト販売サービス事 業を推進しております。このたび環境ソフト導 入の第1弾として、環境汚染物質の拡散状 態や人体への危険度などをシミュレーション できるソフトウエアを開発したカナダ Lakes Environmental Software Inc.(社長: Jesse L. The,博士)との間で、同社の主要 なソフトウエアを日本で山武が独占販売する ことで合意しました。 ①大気拡散モデリング プラントの通常操業での有害物質の拡散に ついて、気象・地形・ビルなどを考慮して周 辺各地点の空気中汚染物質濃度とその地 表への蓄積濃度を求めることができます。 価格30万円から ②緊急時のリスクマネジメント プラントで火災・爆発などの事故が発生した 場合の有害物質の拡散シミュレーションを行 い、周辺住民への危険度が予測できます。 価格30万円から。 ③人体リスクアセスメント ①の大気拡散モデリングで得た結果を元 に、その汚染物質の土壌・水質・穀物・家畜 への影響が評価でき、その結果人体への影 響・危険度をシミュレーションできます。価格 300万円から。 ●問い合わせ先 株式会社 山武 新事業開発室 TEL(03)3486-2151 FAX(03)3486-2155

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ライトカーテン ミニセーフ

MS4600シリーズ販売開始

(株)山武商会では、安全用ライトカーテン ミニセーフMS4600シリーズの販売を開始し ました。 MS4600シリーズは、自動車工場などの製 造装置やロボット、または半導体製造装置な どで防護ドアの取り付けられないアプリケー ションから作業者の安全を確保する安全用 ライトカーテンです。 【特長】 ①北米・ヨーロッパの安全規格に完全適合 CEマーキングをはじめ、ANSI、OSHA、CS A、NRTL規格に適合しています。 ②投光器、受光器本体のみでIEC61496タイ プ4適合 出力は2PNP安全出力、1NPN出力です。 リレー接点出力が必要な場合は、強制ガイ ド付リレー接点式のコントローラも用意して います。 ③投光器と受光器の配線不要 投光器、受光器間の配線(同期信号)が不 要なため、配線が簡単です。 ④光軸合わせに便利なビームインジケータ ビーム遮光時、受光時の各々のビームインジ いつも「Savemation」誌をご愛読いただきありが とうございます。本誌に対するご意見・希望・感想、 取り上げてほしいテーマなど皆さまからのお便り をお待ちいたしております。なお、お便りを頂戴し ました皆さまの中から抽選で毎月5名さまに粗品を 進呈させていただきます。お名前、貴社名・部署名、 ご住所、電話番号などをご記入の上、はがき、手紙、 FAX、電子メールにて、下記までお寄せください。 また、他ページのプレゼント応募についても、下記 までお寄せください。 宛先:〒150-8316 渋谷区渋谷2-12-19 東建インターナショナルビル 株式会社 山武 広報室 セーブメーション編集係 FAX:(03)3486-2190 E-mail:save@pres.yamatake.co.jp 「未来の夢・3Fだてバス」 川内丸 拓也くん (茨城県北相馬郡守谷二三ヶ丘幼稚園・奨励賞) ぼくが大人になるころには3がいだてのバスがあっ たらいいなぁ。3がいの一番うえにのって旅行した り、ドライブするんだ。窓からいろんな風景がよく 見えて、ほかのお客さんもきっとよろこんでいるよ。 ◆この絵は、社団法人発明協会が子供の自由奔放な 発想を広く集めた「第21回未来の科学の夢絵画展」 の作品の中から、同協会のご協力を得て掲載し、表 紙に特徴的部分を拡大しています。 「こんなにたくさんご応募いただいているのに5 人なんて申し訳ないなぁ」。これは毎月のBOOK プレゼントの抽選を担当している広報室長のひと り言。「何回も応募しているのに当たらない」と いうおたよりも時折見かけます。読者の皆さまに は申し訳なく思っております。今度こそ当選され ることを祈りつつ皆さまのご応募をお待ちしてお ります。(つぼね)

編集後記

発行日………2000年6月1日 発行…………株式会社 山武 広報室 〒150-8316 東京都渋谷区渋谷2-12-19 (東建インターナショナルビル) 発行責任者…後藤博 制作…………有限会社オーバル ●本誌に関するお問い合わせは、株式会社山武 広報室までお申し付けください。 TEL(03)3486-2451 FAX(03)3486-2190 E-mail:save@ pres.yamatake.co.jp ●ご住所などの変更に関するご連絡は、宛名ラベ ルに表示されております 8 桁の登録番号もあわ せてお知らせください。 【おことわり】本誌でご紹介しているインターネット のウェブサイトはウェブ管理者の都合により本誌発 行時点で削除されている場合があります。

表紙のことば

お便りお待ちしています

ケータLEDが点灯しますので、長距離で使 用する場合でも、容易に光軸合わせができま す。 ⑤コンパクトなセンサヘッド 投光器・受光器は35mm×50mmのコンパ クトサイズでスペースをとりません。 ●問い合わせ先 株式会社山武商会 販売第7部 TEL(03)3777-5143 FAX(03)3777-2835

展示会情報

山武グループでは、下記展示会に出展い たします。皆さまのご来場を心よりお待ちし ております。 ■山武ビルシステム株式会社 ●名称:蓄熱・厨房フェア 2000 ●会期:2000年6月7日(水)∼9日(金) ●時間:10: 00 ∼ 17 : 00(最終日は 10: 00 ∼ 16:00) ●会場:メイフェアプラザ仙台ワッセ ●入場料:無料 ●主催:東北電力(株) 東北電気協会 東北 七県電力活用推進委員会 ■山武産業システム株式会社 ●名称:2000年 JEMIMA計測プラザ ●会期:2000年6月13日(火)∼15日(木) ●時間:10:00∼17: 00 ●会場:アジア太平洋トレードセンター(AT C) ●入場料:無料 ●主催:(社)日本電気計測器工業会 ■山武ビルシステム株式会社・山武産業シス テム株式会社 ●名称:第13回インターフェックスジャパン 医薬品・化粧品・洗剤製造技術国際展 ●会期:2000年6月14日(水)∼16日(金) ●時間:10:00∼17: 00 ●会場:東京ビッグサイト/東2・3ホール ●入場料:5000円(招待券持参者は無料) ●主催:リードエグジビションジャパン(株) ●問い合わせ先 山武ビルシステム株式会社 マーケティング部 TEL(03)3454-7607 FAX(03)5439-6741 山武産業システム株式会社 営業管理部 TEL(045)461-8853 FAX(045)461-8751 E-mail:techcomm@yis.yamatake.co.jp

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販売店

●本誌にはエコマーク認定の再生紙を使用しています…「セーブメーション」 本誌からの無断転載・複製はご遠慮ください。

Savemation Vol.31 No.6/国際標準逐次刊行物番号 ISSN 0289-5730

山武グループホームページ http://www.yamatake.co.jp/ 〒231-0853 横浜市中区根岸台1-3 1045-662-7581(根岸競馬記念公苑) ●京浜東北・根岸線根岸駅下車。市バス21 系統桜木町行「滝の上」下車、目の前。 ●開館時間/10:00∼16:30(最終入館は 16:00まで) ●休館日/月曜日(祝日・振替休日の場合は 開館)、4/1、6/1∼6/7、12/28∼1/4、他 ●入館料/大人100円、小学∼高校30円 ●根岸は日本における洋式競馬発祥の地で ある。かつて外国人や上流社会の社交場と なっていた競馬場がここにあった。その跡は 現在、根岸森林公園となりその一隅に、財団 法人馬事文化財団による馬の博物館(根岸競 馬記念公苑)がある。広い苑内には公園やポ ニーセンターもあり、サラブレッド、日本在 来馬などがおり、直接馬に触れて親しむこと もできる。博物館内は洋式競馬の歴史、馬の 文化史、さらには馬の進化、人の暮らしと馬 の関わりなど、幅広い展示がなされている。 常設展とテーマ展、特別展が行われている が、現在はテーマ展「絵画に見る源平合戦」 が7月30日まで行われている。 なお博物館のテラスからは、1930年(昭和 5年)に建てられて今なお残る旧根岸競馬場 の「壱等馬見所」と名づけられた一等スタン ドを見ることができる。 馬の博物館

馬と人を一体化した最大の発 明は馬銜は みである。それは馬の口に みられる構造の特殊性から生まれ た。馬の口は前3分の1ほどに歯 がない。ここに馬銜を銜くわえさせるこ とで馬の制御道具が生まれたの だ。この馬銜と手綱が、人の数倍 もある動物を御すことを可能にす る。しかも馬は利口な生き物であ る。人の制御をよく理解し人が伝 える意思をよく実行する。馬場馬 術における馬の特異な操り方を見 ると、その人馬一体の姿に不思議 な感銘さえ受けることがある。 馬の速さを最大限に引き出すス ポーツが競馬である。競馬の起源 は、騎馬による戦闘や戦車競走、 さらには狩猟などにあるといわれ る。古くはギリシア最古の長編叙 事詩であるホメロスの『イーリアス』 の中にも戦車競走がうたわれてい るほどである。一方、近代競馬の 形態が整えられたのはイギリスに おいてであった。14世紀ごろ王侯 貴族の間からそれは始まったとさ れる。しかもこのスポーツによって 馬は、速さばかりか、きわめてノー ブルな美しささえ人に供していると はいえまいか。 神馬という言葉がある。堂々た る馬を思い描くが、そこには他の 動物を神格化したときの姿とは異 なるかたちが見える。一般に動物 を神格化する場合、自然野生の 姿であることが多いが、神馬はみ ごとに飾られた馬だ。その姿は神 が乗るものとして飾られた結果で ある。神馬とは祈願祈Rのために 神社に奉献する馬を指す。だから こそ神の駒ともいう。いわゆる「絵 馬」はこの神馬から生まれた。馬 のかたちを額に描いて祈願や感謝 として神に奉ったものがそれだ。 こうした神馬の姿に、人と馬の 不思議で濃厚な関係がある。家 畜になった動物は多い。その役割 は労役に使われ、肉や乳を人に 供するものがほとんどである。もち ろん馬にもそうした役割が担わさ れてはいる。しかし世界を見まわし ても肉や乳を利用する例はわずか といってよい。牛がその力を人に 供したとすれば、馬はむしろその速 さを供したことが、人との関係で他 の家畜との違いを生み出したので はなかろうか。 馬の速さは、情報の伝達 速度を飛躍的に高め、 人そのものの迅速な 移 動をも可 能にし た。我が国の早馬 や駅伝役、アメリ カ西部の駅馬車 などがそれだ。と 同時に馬の速さ は軍事に大いな る役割を果たした。 人馬一体となって戦場を駆け まわるその威力は、遠く古 代オリエントまでさかのぼる ことができる。 ▲ 馬銜 上・イラン 紀元前1千年紀 中・イラン 紀元前7世紀 下・イラン 紀元前1千年紀 埴輪馬頭部(茨城/古墳時代) 埴輪馬(茨城/古墳時代) 花菱紋銀平目梨地鞍 (江戸時代) 牡丹銀象嵌鐙(あぶみ) (室町時代) しん め 写真:馬の博物館所蔵

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