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グラフからは 過去 17 年間において日本株は 1997 年の金融危機 2000 年の IT バブル崩壊 2007 年のサブプライムとそれに続くリーマンショックによって3 回の下落相場に見舞われたことが分かる 他方 TOPIX の上昇 / 下落の局面別に分類 集計した表からは 当該 204 ヵ月間に

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2 2001122年年88月月号号

インデックスを用いたリスク抑制型運用

Ⅰ.はじめに Ⅱ.ボラティリティに着目したインデックスの運用手法とその特徴 Ⅲ.リスクの観点から各インデックスを比較 Ⅳ.各インデックスの要点整理 Ⅴ.おわりに インデックス戦略運用部 株式運用グループ 佐野 裕一 Ⅰ .は じ め に 年金資産の変動の多くの部分が、株式リスクに起因している。多くの年金基金において、 株式投資は成長ドライバーとして運用の中核的役割を担っているが、リーマンショック以降 株式市場のボラティリティの増加は深刻な問題となっている。株式のリスクを回避するため に単に組入比率を落とすのではなく、収益獲得資産としての位置付けを維持しながら株式の 下落リスクをいかに抑えるかが、年金基金にとって重要なテーマとなっているのである。 なぜ下落リスクを抑制することが重要なのか、ここであらためて確認したい。図表1は 1995 年4月から 2012 年3月まで、過去 17 年度のTOPIX の累積パフォーマンスのグラフと、同 期間のTOPIX の月次収益率を上昇月と下落月の局面別に集計した表である。

図表1:

TOPIX の累積リターンの推移(期間;1995/4~2012/3)

出所:Bloomberg より三菱 UFJ 信託銀行作成 目 次 -40% -30% -20% -10% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 199 5年 3月 199 6年 3月 199 7年 3月 199 8年 3月 199 9年 3月 200 0年 3月 200 1年 3月 200 2年 3月 200 3年 3月 200 4年 3月 200 5年 3月 200 6年 3月 200 7年 3月 200 8年 3月 200 9年 3月 201 0年 3月 201 1年 3月 201 2年 3月 月数 平均リターン 累積リターン 上昇月 103ヶ月 4.08% 5822% 下落月 101ヶ月 -4.10% -99% 通 期 204ヶ月 0.03% -19%

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グラフからは、過去 17 年間において日本株は、1997 年の金融危機、2000 年のIT バブル崩 壊、2007 年のサブプライムとそれに続くリーマンショックによって3回の下落相場に見舞わ れたことが分かる。他方、TOPIX の上昇/下落の局面別に分類、集計した表からは、当該 204 ヵ 月間において上昇した月は下落した月よりも多く、また下落月と上昇月の月次平均リターン はほぼ同等であったことや、累積リターンでは下落月が△99%であるのに対し、上昇月は 5,822%のリターンをあげていることが分かる。局面別の平均リターンが上昇月は+4%で下 落月は△4%であることからは、通期の累積パフォーマンスが△19%というグラフの日本株 市場の長期低迷傾向は思い描きにくい。しかし「当該期間、TOPIX は上昇局面で 59 倍に増 えたが、下落局面で 100 分の1に減少した」、と表現を変えれば、TOPIX が通期で減価した ことが即座に理解できる。上昇月は下落月を数では上回るもの、下落を補うに必要な 100 倍 相当の上昇エネルギーがなかったのである。 当該期間でTOPIX 下落率のワースト・スリーは、ロシア危機が発生した 1998 年8月(△ 12.3%)とリーマン・ショック時 2008 年9、10 月(△12.6%、△20.3%)である。ここで 仮にこのワースト・スリーのリターンの下落を半分に抑制できたと仮定すると、通期の累積 リターンは△19.2%から+4.5%へと、プラス圏に改善する。このことはリスク抑制によって ポートフォリオを破壊的な影響から守ることができれば、パフォーマンスが大きく改善でき ることを物語っている。 ボラティリティが高く収益性の低い相場環境では、下落リスクを抑えることが重要である。 現在、このようなニーズに応えるべく各種のリスク抑制型インデックスが開発、提供されて いる。そこで、本稿ではリスク抑制型インデックスにはどのような種類があり、その特徴や リスク抑制効果がどのようになっているか分析、報告したい。 Ⅱ . ボ ラ テ ィ リ テ ィ に 着 目 し た イ ン デ ッ ク ス の 運 用 手 法 と そ の 特 徴 本章ではボラティリティに着目したインデックス戦略を取り上げ、その運用手法とパフォー マンス特性について解説する。取り上げるインデックスは4種類で、TOPIX リスクコントロー ル指数(以下、リスクコントロール指数)、S&P500 ダイナミックベクター指数(以下、 ダイナミックベクター指数)、最小分散ポートフォリオ、リスク加重指数である。 以下の分析における各インデックスの分析期間は、TOPIX、リスクコントロール指数、最 小分散ポートフォリオ、リスク加重指数が 1995 年4月から 2012 年3月、S&P500 とダイナ ミックベクター指数が 2006 年4月から 2012 年3月である。 また各インデックスのパフォーマンス特性の分析においては、時価加重インデックスに対 して、月次リターンの散布図と時系列リターンの2通りの方法で比較している。散布図は横 軸に時価加重指数の月次リターンを、縦軸に各インデックスの月次リターンを取っている。 また、時系列比較は各インデックスと時価加重指数の年度別累積リターンを比較したもので ある。

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2 2001122年年88月月号号 1.リスクコントロール指数 (1) 運用手法 リスクコントロール指数とは、株式とキャッシュに資産配分し、それぞれの配分比率を変 更することによってボラティリティを一定に保つインデックス戦略であり、スタンダード& プアーズ社(以下、S&P)が提供している。具体的には、株価指数の実績リスクが目標とす るリスク(ターゲットリスク)になるよう図表2の通り日次で株式の組入比率を決め、残り をキャッシュに配分する。ターゲットリスクは事前に決めた一定の値(例えば 10%)であり、 実績リスクが増加すれば株式組入比率が減少し、実績リスクが減少すれば株式組入比率が増 加する仕組みになっている。株価指数がTOPIX のものについては、S&P のメソドロジーに 基づいて東京証券取引所がターゲットリスク5%、10%、15%の3種類を公表している。

図表2:

TOPIX リスクコントロール指数の資産配分の仕組み

出所:東京証券取引所ホームページより三菱UFJ 信託銀行作成 なお本稿では、東京証券取引所が公表しているインデックス算出方法に従い、弊社がター ゲットリスク 10%のTOPIX リスクコントロール指数を、日次でシミュレーションした結果 を利用している。 (2) パフォーマンス特性 TOPIX との散布図が図表3である。この図表から TOPIX のリターンが大きく振れた際、 リスクコントロール指数のリターンは、キャッシュ比率を高めることによる効果でリターン の振れを抑制できていることが分かる。例えば、2008 年 10 月のリーマンショックの際に、 リスクコントロール指数は株式のボラティリティが上昇したため、キャッシュ比率を 2008 年9月末の6割から 2008 年 10 月末には8割にしている。このことが寄与し、リスクコント ロール指数のリターンは△7%と、TOPIX の△20%よりも小さく、リターンの下振れを抑制 できている。また、ターゲットリスク 10%の場合、全期間を通したキャッシュ比率の平均は 47%と、株式に分類される指数ではあるが、約半分をキャッシュで運用する結果になってい る。 目標リスク (ターゲットボラティリティ) 実績リスク (過去100日ヒストリカルボラティリティ) 株式組入比率 (上限100%) = ÷ キャッシュ組入比率 = 100% - 株式組入比率 目標リスク (ターゲットボラティリティ) 実績リスク (過去100日ヒストリカルボラティリティ) 株式組入比率 (上限100%) = ÷ キャッシュ組入比率 = 100% - 株式組入比率 キャッシュ組入比率 = 100% - 株式組入比率

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図表3:リスクコントロール指数の月次リターン散布図(期間;1995/4~2012/3)

-25% -20% -15% -10% -5% 0% 5% 10% 15% 20% 25% -25% -15% -5% 5% 15% 25% TOPIX月次リターン リ ス クコ ン ト ロー ル指 数月次 リ タ ー ン 出所:三菱UFJ 信託銀行作成 次に、年度別累積リターンをTOPIX と比較したのが、図表4である。TOPIX が 20%以上 マイナスの年度が4回あるが、いずれも TOPIX よりもリスクコントロール指数の方が年度 の下落率を抑制できている。ただし、実績リスクが高くならずに株価が下落した 1996 年や 2010 年などの局面では、下落抑制があまり機能しない結果となっている。

図表4:リスクコントロール指数の年度別リターン推移(期間;1995/4~2012/3)

-40% -30% -20% -10% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 TOPIX リスクコントロール 出所:三菱UFJ 信託銀行作成 2.ダイナミックベクター指数 (1) 運用手法 ダイナミックベクター指数とは、株式と株価下落時に上昇しやすいボラティリティに資産 配分するインデックス戦略であり、S&P が提供している。株式市場が急落し、マーケットの 累積リターン TOPIX -19.2% リスクコントロール 9.2%

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2001122年年88月月号号

見通しが不透明な状況下では、株価変動が大きくなり、株式のボラティリティは上昇する傾 向が見られる。S&P500 の市場参加者のボラティリティの見通し(インプライドボラティリ ティ)を表したものが、恐怖指数とも呼ばれるVIX 指数(以下、VIX)である。図表5左側 のグラフは、S&P500 と VIX の日次の指数値の推移を示したものである。S&P500 が上昇す る局面では VIX は低下し、S&P500 が下落する局面では VIX は上昇する傾向が表されてお り、両者の相関は△0.8 前後と逆相関の関係にある。この関係を分かりやすく図示したのが 図表5右側の散布図である。横軸にS&P500 日次リターン、縦軸に VIX の日次リターンがプ ロットされている。S&P500 の変化よりも、VIX の方が倍以上大きく変化しており、株式の 配分比率の半分以下をVIX に配分すれば、株式部分の下落をヘッジできることが分かる。

図表5:

S&P500 と VIX の日次推移との散布図(期間;2006/4/3~2012/3/30)

出所:Bloomberg より三菱 UFJ 信託銀行作成 株式とVIX の資産配分についての基本的な考え方は、株式リスクが高い局面(市場急落時) ではVIX の保有比率を高め、株式リスクが低い局面(平常時)では株式の保有比率を高くす るものである。具体的にはダイナミックベクター指数の場合、S&P500 のボラティリティの 実績変動率とVIX の価格推移の方向性に基づき、株式と VIX 短期先物の保有比率を決める。 例えば、市場急落時など、S&P500 の実績変動率が大きく、VIX の価格推移の方向性が上昇 傾向にある場合、S&P500 を 60%、VIX 短期先物を 40%の比率で保有する。逆に市場が平常 で S&P500 の実績変動率が小さく、VIX の価格推移の方向性が下降傾向ある場合、S&P500 を 97.5%、VIX 短期先物を 2.5%の比率で保有する。 なお、ダイナミックベクター指数には戦略が機能しない場合、損失を限定するためストッ プ・ロスの仕組みが組み込まれている。具体的には前5営業日間の損失が2%以上になった 場合には、株式とVIX 短期先物の比率をゼロにし、キャッシュに 100%配分する。詳しくは、 S&P のホームページをご参照頂きたい。また、本稿では、Bloomberg より取得したダイナ ミックベクター指数に基づいて分析を行っている。 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 20 06/ 4/3 20 06/ 8/3 200 6/1 2/3 20 07/ 4/3 20 07/ 8/3 200 7/1 2/3 20 08/ 4/3 20 08/ 8/3 200 8/1 2/3 20 09/ 4/3 20 09/ 8/3 200 9/1 2/3 20 10/ 4/3 20 10/ 8/3 201 0/1 2/3 20 11/ 4/3 20 11/ 8/3 201 1/1 2/3 20 12/ 4/3 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 SP500 VIX(右軸) -80% -60% -40% -20% 0% 20% 40% 60% 80% -80% -60% -40% -20% 0% 20% 40% 60% 80% S&P500日次リターン V IX 日次リ ター ン

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(2) パフォーマンス特性 図表6はS&P500 との散布図である。この図表から S&P500 のリターンが大きく振れてボ ラティリティが大きくなった際に、ダイナミックベクター指数のリターンはVIX 短期先物を 保有していることがプラスに寄与し、パフォーマンスが大きくプラスとなっている。そして、 リターンがプラス側に大きく振れた場合とマイナス側に大きく振れた場合では、マイナス側 の方がダイナミックベクター指数のリターンが大きくプラスになっている。これは先ほど述 べた通りVIX が株価下落時に上昇する傾向があるためである。

図表6:ダイナミックベクター指数の月次リターン散布図(期間;2006/4~2012/3)

-30% -20% -10% 0% 10% 20% 30% -30% -20% -10% 0% 10% 20% 30% SP500月次リターン ダ イ ナミ ック ベ ク タ ー 指 数月次 リ タ ー ン 出所:Bloomberg より三菱 UFJ 信託銀行作成 次に、S&P500 との年度別累積リターンを比較したのが図表7である。リーマンショック の 2008 年度にS&P500 が 40%近いマイナスとなっているが、ダイナミックベクター指数は VIX 短期先物を保有していることがプラス寄与し、30%程度のプラスとなっている。このこ とからVIX を保有して株式市場の下落をヘッジする戦略は、リーマンショックのような危機 が発生し株式が下落し、ボラティリティが大きくなる場合は有効に機能することが分かる。 ここで、平常時のダイナミックベクター指数のパフォーマンスを見るため、リーマンショッ ク(2008 年9~11 月)と欧州債務危機(2011 年8~9月)の際に、VIX 短期先物による効 果を除外した累積リターンを計算すると、その結果は△1.1%となり、S&P500 の 23.5%を 下回りパフォーマンスの魅力は低下してしまう(ダイナミックベクター指数の 2008 年9~11 月と 2011 年8~9月のパフォーマンスが S&P500 と同じであるとして算出した)。この理 由は、VIX 短期先物を購入することは、株価下落に対する保険を買うことと同じであるため、 株式が下落しない場合は保険料がかさみ、パフォーマンスが低下するためである。また、2007 年後半や 2008 年前半のようにボラティリティの上昇を伴わず株価が下落する場合は、VIX を保有してもヘッジが機能せず、期待した効果が得られない局面もある。

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図表7:ダイナミックベクター指数の年度別リターン推移(期間;2006/4~2012/3)

-50% -40% -30% -20% -10% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 2006 2007 2008 2009 2010 2011 SP500 ダイナミックベクター 出所:Bloomberg より三菱 UFJ 信託銀行作成 3.最小分散ポートフォリオ (1) 運用手法 最小分散ポートフォリオとは、株式ポートフォリオの絶対リスク最小化を目指す戦略であ り、弊社をはじめとする運用機関やMSCI などのインデックスベンダーが提供している。最 小分散ポートフォリオは、資産配分によりボラティリティをコントロールするのではなく、 効率的な株式の組合せの中から最もリスクの小さいポートフォリオを選択し、絶対リスクの 抑制を図る。 弊社の分析では、株式の個別銘柄のリスクの関係について2つのことが明らかになってい る。①過去のリスクの低い銘柄は、将来のリスクも低いというリスクの継続性が見られるこ と、②極端にリスクが高い銘柄のリターンは悪い傾向が見られること、である。ここで、② の分析結果は、リスクが高ければリターンも高いというリスク・リターンのトレードオフが 成立していないことを意味し、低ボラティリティ・アノマリーが存在することを示唆してい る。したがって、リスクの低い銘柄を中心に最小分散ポートフォリオを構築し、極端にリス クが高い銘柄の組入比率が少なければ、低ボラティリティ・アノマリーにより投資効率の改 善が期待できる。 本稿では TOPIX を投資対象ユニバースとし、毎月リバランスの条件でシミュレーション した最小分散ポートフォリオのパフォーマンスに基づき分析を行っている。 (2) パフォーマンス特性 図表8はTOPIX との散布図である。そして、最小分散ポートフォリオのリターンを TOPIX のリターンで回帰したものが図表中の実線である。回帰直線の傾きは 45 度線よりも緩やかで ある。ここから、最小分散ポートフォリオのリターンは TOPIX よりも小さく、リターンの 振れが抑制できていることや、最小分散ポートフォリオが低βの特性を持つことが分かる。 累積リターン SP500 23.5% ダイナミックベクター 149.4%

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図表8:最小分散ポートフォリオの月次リターン散布図(期間;1995/4~2012/3)

-20% -15% -10% -5% 0% 5% 10% 15% 20% -20% -10% 0% 10% 20% TOPIX月次リターン 最 小分散 ポ ー ト フ ォ リ オ月 次リ タ ー ン 出所:三菱UFJ 信託銀行作成 次に、年度別累積リターンをTOPIX と比較したのが図表9である。TOPIX が 20%以上マ イナスの年度が4回あるが、いずれも最小分散ポートフォリオの方が年度での下落率を抑制 できている。ただし、2007 年度と 2008 年度はマーケット自体の下落が大きかったこともあ り、下落率は他の年度と比べるとやや大きくなっている。

図表9:最小分散ポートフォリオの年度別リターン推移(期間;1995/4~2012/3)

-40% -30% -20% -10% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 19 95 19 96 19 97 19 98 19 99 20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 TOPIX 最小分散 出所:三菱UFJ 信託銀行作成 4.リスク加重指数 (1) 運用手法 リスク加重指数とは、個別銘柄を等リスクで保有することによって超過リターンの獲得を 目指す戦略であり、MSCI が提供している。等リスクで銘柄を保有するため、リスクの小さ 累積リターン TOPIX -19.2% 最小分散 32.9%

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2 2001122年年88月月号号 な銘柄の保有ウェイトを大きく、リスクの大きな銘柄の保有ウェイトを小さくする銘柄保有 構成になっていることが特徴である。リバランスの際には、リスクの大きさに応じたウェイ トに引き戻す投資行動を採るが、リスクに基づくウェイトは短期間ではあまり変化しないこ とから、株価が上昇した銘柄のウェイトを引き下げ、株価の下落した銘柄のウェイトを引き 上げる、いわゆる逆張り戦略の効果が期待できる。 なお本稿では、弊社がTOPIX を投資対象ユニバースとし、過去 60 ヵ月の月次データを使 用して個別銘柄のリスク(=分散)を算出、毎月リバランスの条件によって実施したシミュ レーション結果に基づき分析を行っている。

リスク加重指数の特性を調べるため、Barra 社 Aegis 日本株モデル(以下、Barra モデル) により 2012 年3月末のリスク分析をしたものが図表 10 である。図表 10 左側の表をみると、 ファンドのトータルリスクは 17.14%と、ベンチマークとしたTOPIX のリスクである 18.78% とほぼ同じ水準であり、リスクはあまり低減していないことが分かる。また、リスクの中で 最大の要因は、リスクインデックスの 6.96%である。更にリスクインデックスの中でどのリ スクを取っているのか示したのが、図表右側のレーダーチャートである。企業規模指標が△ 2.0 程度であることから、TOPIX と比べサイズ特性は小型に偏っていることが分かる。また、 リスクインデックスのボラティティ指標が、ゼロより少しマイナスに位置しているが、ゼロ がTOPIX と同程度の水準であることを意味していることから、リスク加重指数は低ボラティ リティ特性をもたず、リスク抑制効果が期待できないことも分かる。

図表 10:Barra モデルによるリスク分析結果(2012 年3月末)

出所:Barra 社 Aegis 日本株モデルを使用して三菱 UFJ 信託銀行作成

この戦略の問題点として、投資対象の銘柄数の影響を大きく受ける点が挙げられる。図表 11 は銘柄数の影響を見るために、投資対象が2銘柄の場合と5銘柄の場合を比較したもので ある。まず投資対象が2銘柄の場合、標準偏差が高い銘柄A と標準偏差が低い銘柄 E のウェ イトは、リスク加重指数のルールに基づくと 10%と 90%になり、両者のウェイト差は 80% である。次に、投資対象が5銘柄の場合、標準偏差が高い銘柄B~D を投資対象に加えたと すると、標準偏差が高い銘柄A~D のウェイトは 7.7%に対し、標準偏差が低い銘柄 E のウェ イトは 69.2%になり、リスクが低い銘柄と高い銘柄のウェイト差は 61.5%になる。このよう にリスクが高い銘柄が加わっても、リスク加重指数はウェイトを必ず配分してしまうため、 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 ボラティリティ 企業規模 モーメンタム 売買活況度 株価相対企業価値 金利感応度 企業成長度 財務レバレッジ 海外経済感応度 日経225組入度 東証2部組入度 東証外組入度 (% 年率標準偏差) リスク ファンドトータルリスク 17.14 ベンチマークリスク 18.78 アクティブリスク(TE) 7.65 マーケットタイミング要因 3.13 リスクインデックス要因 6.96 業種要因 2.88 銘柄選択要因 1.25 ベンチマーク;TOPIXを指定

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銘柄数が増えるほど低リスクの銘柄に重点的にウェイト配分する効果が弱まってしまう。し たがって、TOPIX のような 1600 銘柄を投資対象とする場合には、さらに低リスクの銘柄に ウェイト配分する傾向が薄れ、最終的に等ウェイトに近いウェイト配分になってしまうので ある。

図表 11:投資対象の銘柄数がリスク加重指数に与える影響

標準偏差 ウェイト 標準偏差 ウェイト 銘柄A 30% 10.0% 30% 7.7% 銘柄B 30% 7.7% 銘柄C 30% 7.7% 銘柄D 30% 7.7% 銘柄E 10% 90.0% 10% 69.2% ウェイト差 80.0% 61.5% 5銘柄の場合 2銘柄の場合 出所:三菱UFJ 信託銀行作成 (2) パフォーマンス特性 図表 12 はTOPIX との散布図である。リスク加重指数のリターンを TOPIX のリターンで 回帰したものが図表 12 の実線である。回帰直線の傾きは 45 度線にほぼ重なっており、TOPIX リターンの変化とリスク加重指数のリターンの変化が同程度であることを示しており、リター ンの振れを抑制できていないことが分かる。

図表 12:リスク加重指数の月次リターンの散布図(期間;1995/4~2012/3)

-30% -20% -10% 0% 10% 20% 30% -30% -20% -10% 0% 10% 20% 30% TOPIX月次リターン リ ス ク加重 指数月 次リ タ ー ン 出所:三菱UFJ 信託銀行作成 次に、年度別累積リターンをTOPIX と比較した表が図表 13 である。下落率を抑制する観 点では、TOPIX よりもマイナス幅が大きい年もあり、下落率を抑制する傾向があるとはいえ ない。

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図表 13:リスク加重指数の年度別リターン推移(期間;1995/4~2012/3)

-40% -20% 0% 20% 40% 60% 80% 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 TOPIX リスク加重 出所:三菱UFJ 信託銀行作成 Ⅲ . リ ス ク の 観 点 か ら 各 イ ン デ ッ ク ス を 比 較 本章ではこれまで紹介した4種類のインデックスについて、絶対リスクの推移とテールリ スクの抑制について比較分析し、さらに投資効率について確認する。 1.絶対リスク水準の比較 絶対リスクの推移を比較するため、TOPIX、リスクコントロール指数、最小分散ポートフォ リオ、リスク加重指数について、過去 24 ヵ月の実績ボラティリティ(年率標準偏差)の推移 を示したものが、図表 14 左側のグラフである。TOPIX の絶対リスクは 12~25%の間で推移 しており、またリーマンショックの際には、指数が大きく下落したことを受けてリスクが上 昇していることが分かる。 4種類のインデックスのなかで、TOPIX と比較し絶対リスクを抑制できているのはリスク コントロール指数と最小分散ポートフォリオである。リスクコントロール指数は目標の 10% 前後のリスクとなっており、最小分散ポートフォリオは 10~15%程度に推移している。 一方、リスク加重指数はTOPIX と同水準以上のリスクで推移している。特に、1997~1998 年の日本の金融危機の際に、リスク加重指数のリスクは 30%とTOPIX の 20%前後より大き くなっている。このことからリスク加重指数は、リスク抑制の目的に合ったインデックスで はないといえる。 累積リターン TOPIX -19.2% リスク加重 48.8%

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図表 14:各インデックスの実績ボラティリティ(年率標準偏差)の推移

出所:三菱UFJ 信託銀行作成 次に、S&P500、ダイナミックベクター指数について、過去 24 ヵ月の実績ボラティリティ (年率標準偏差)の推移を示したものが、図表 14 右側のグラフである。全期間を通した絶対 リスクの水準は、ダイナミックベクター指数の方がS&P500 よりも少し低くなっている。た だしリーマンショックの際には、S&P500 とダイナミックベクター指数の双方とも、リスク が急上昇している。ダイナミックベクター指数は絶対リスクを一定の値にコントロールする 戦略ではなく、VIX に資産配分し株式の変動をヘッジすることによって株価が急変する局面 でリターンを稼ぐ戦略であり、絶対リスクは時価加重インデックス並みに変動する結果となっ ている。 2.各インデックスのテールリスク抑制効果比較 テールリスクとは、確率は低いものの発生すると大きな損失をもたらすリスクのことを指 す。このテールリスクの抑制効果を比較するため、TOPIX と S&P500 と各インデックスの 月次リターンの分布を比較したのが、図表 15 である。 TOPIX は△21%~△18%の区分のリターンが 2008 年 10 月に発生し、△15%~△12%の区 分のリターンが 1998 年8月と 2008 年9月に発生しており、テールリスクがある。一方、リ スクコントロール指数と最小分散ポートフォリオは、月次リターンの分布が△3%~0%の 区分と0%~△3%の区分の所にリターンが集中しており、TOPIX と比べテールリスクが抑 制され、期待通りの結果となっている。 S&P500 は△18%~△15%の区分のリターンが 2008 年 10 月に発生し、△12%~△9%の 区分のリターンが 2009 年2月に発生しており、テールリスクがあるが、ダイナミックベクター 指数は△6%より小さいリターンは発生しておらず、テールリスクが大幅に抑制されるとい う期待通りの結果となっている。 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 199612 199706 199712 199806 199812 199906 199912 200006 200012 200106 200112 200206 200212 200306 200312 200406 200412 200506 200512 200606 200612 200706 200712 200806 200812 200906 200912 201006 201012 201106 201112 TOPIX 最小分散 リスク加重 リスクコントロール 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 200 712 200 802 200 804 200 806 200 808 200 810 200 812 200 902 200 904 200 906 200 908 200 910 200 912 201 002 201 004 201 006 201 008 201 010 201 012 201 102 201 104 201 106 201 108 201 110 201 112 201 202 SP500 ダイナミックベクター

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図表 15:各インデックスの月次リターン分布

出所:三菱UFJ 信託銀行作成 3.各インデックスの投資効率比較 リスクを抑制することができてもパフォーマンスが悪化しては意味がないため、投資効率 を比較分析する。まずリスクコントロール指数、最小分散ポートフォリオ、リスク加重指数 を比較した図表 16 から見ていく。リスク当たりリターンは、リスクコントロール指数がTOPIX のテールリスクを抑制したことなどが奏功し 0.10 と、TOPIX の 0.02 より改善している。さ らに最小分散のリスク当たりリターンは 0.20 と、TOPIX やリスクコントロール指数を上回っ ている。 ここで最小分散ポートフォリオの投資効率が、TOPIX の投資効率を上回った要因を調べる ため、最小分散ポートフォリオが TOPIX よりもボラティリティが小さいことが功を奏した のか、それとも低ボラティリティ・アノマリーによるリターン改善効果によるものか分析す る。最小分散ポートフォリオの過去 24 ヵ月ボラティリティと同じになるように、TOPIX の 過去 24 ヵ月ボラティリティをリスク調整したTOPIX のリターンを算出し、最小分散ポート フォリオの超過リターンをリスク水準の等しい TOPIX に対して求めたのが図表 17 である。 最小分散ポートフォリオは、リスク調整 TOPIX のリターンを比較して累積超過リターンを 獲得していることから、単に分析期間における最小分散ポートフォリオのボラティリティが TOPIX より低かったことが投資効率改善の要因ではなく、低ボラティリティ・アノマリーに よるリターン改善の効果によるものと考えられる。 次に図表 16 のダイナミックベクター指数のリスク当たりリターンは 1.08 と、S&P500 の 0.32 より改善している。これは VIX を保有することによるヘッジが機能し、株式が大きく 下落した際にもリターンを獲得できているためである。 TOPIX 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% -24 % 未 満 -24% ~ -2 1% -21% ~ -1 8% -18% ~ -1 5% -15% ~ -1 2% -12% ~ -9% -9% ~ -6% -6% ~ -3% -3 %~0 % 0 %~3 % 3 %~6 % 6 %~9 % 9% ~ 1 2% 12% ~ 1 5% 15% ~ 1 8% 18% ~ 2 1% 21 % 以 上 最小分散 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% -24 % 未 満 -2 4% ~ -21% -2 1% ~ -18% -1 8% ~ -15% -1 5% ~ -12% -12% ~ -9% -9% ~ -6% -6% ~ -3% -3 %~0 % 0 %~3 % 3 %~6 % 6 %~9 % 9% ~ 12% 12% ~ 15% 15% ~ 18% 18% ~ 21% 21 % 以 上 リスク加重 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% -24% 未 満 -24% ~ -21% -21% ~ -18% -18% ~ -15% -15% ~ -12% -12% ~ -9% -9% ~ -6% -6% ~ -3% -3% ~ 0% 0% ~ 3% 3% ~ 6% 6% ~ 9% 9% ~ 12% 12% ~ 15% 15% ~ 18% 18% ~ 21% 21% 以 上 リスクコントロール 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% -24 % 未 満 -24% ~ -2 1% -21% ~ -1 8% -18% ~ -1 5% -15% ~ -1 2% -12% ~ -9% -9% ~ -6% -6% ~ -3% -3 %~0 % 0 %~3 % 3 %~6 % 6 %~9 % 9% ~ 1 2% 12% ~ 1 5% 15% ~ 1 8% 18% ~ 2 1% 21 % 以 上 SP500 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% -2 4% 未 満 -24% ~ -21% -21% ~ -18% -18% ~ -15% -15% ~ -12% -12% ~ -9% -9% ~ -6% -6% ~ -3% -3 %~0 % 0 %~3 % 3 %~6 % 6 %~9 % 9% ~ 12% 12% ~ 15% 15% ~ 18% 18% ~ 21% 2 1 %以上 ダイナミックベクター 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% -24% 未 満 -24% ~ -21% -21% ~ -18% -18% ~ -15% -15% ~ -12% -12% ~ -9% -9% ~ -6% -6% ~ -3% -3% ~ 0% 0% ~ 3% 3% ~ 6% 6% ~ 9% 9% ~ 12% 12% ~ 15% 15% ~ 18% 18% ~ 21% 21% 以 上

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図表 16:各インデックスのリスク・リターン一覧

出所:三菱UFJ 信託銀行作成

図表 17:最小分散ポートフォリオの低ボラティリティ・アノマリーによるリターン

改善効果

-40% -30% -20% -10% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 19 9504 19 9602 19 9612 19 9710 19 9808 19 9906 20 0004 20 0102 20 0112 20 0210 20 0308 20 0406 20 0504 20 0602 20 0612 20 0710 20 0808 20 0906 超過累積(低ボラティリティ・アノマリー) 最小分散累積リターン リスク調整後TOPIX累積リターン 出所:三菱UFJ 信託銀行作成 Ⅳ . 各 イ ン デ ッ ク ス の 要 点 整 理 これまで述べてきたことをリスク抑制効果、戦略の狙い、運用方法、特徴、留意点、及び 前章の分析結果についてまとめると、図表 18 のように整理できる。今回取り上げた4種類の インデックスのうち、絶対リスクの水準やテールリスク抑制の観点で「リスク抑制型インデッ クス」といえるものは、リスクコントロール指数、ダイナミックベクター指数、最小分散ポー トフォリオの3種類である。 リスク抑制型インデックスのうち、リスクコントロール指数と最小分散ポートフォリオに ついて比較すると、両指数ともテールリスク抑制効果と投資効率改善効果が見られ、前章の 図表 16 にあるように最小分散ポートフォリオのリスク当たりリターンはリスクコントロール 指数よりも高いことが特徴として挙げられる。次に、ダイナミックベクター指数は株式の急 落時にリターンを獲得できることから、テールリスクの抑制効果と投資効率改善効果のどち らの観点で見ても魅力的であるといえる。ただし、VIX に投資することはヘッジコストがか かるため、リーマンショックなどの株式急落時のパフォーマンスを除外すると、時価加重指 数を下回るパフォーマンスとなることがあるため注意が必要である。また、今回取り上げた ダイナミックベクター指数は日本株式を対象にしたものはまだ作成されていない。 SP500 ダイナミックベクター リターン(年率) 5.6% 16.1% リスク(年率) 17.3% 14.8% リターン/リスク 0.32 1.08 最大ドローダウン -16.8% -5.5% 相関 0.08 TOPIX リスクコントロール 最小分散 リスク加重 リターン(年率) 0.4% 1.0% 2.4% 4.2% リスク(年率) 17.9% 9.6% 11.7% 19.7% リターン/リスク 0.02 0.10 0.20 0.22 最大ドローダウン -20.3% -7.0% -11.9% -14.7% 相関 0.95 0.84 0.83

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図表 18:各インデックスの要点一覧

リスクコントロール指数 ダイナミックベクター指数 最小分散ポートフォリオ リスク加重指数 リスク抑制効果 あり あり あり なし 戦略の狙い 絶対リスクを目標に保つ テールリスクを抑制する 絶対リスクを抑制する 超過リターンを獲得する 戦略の運用方法 ターゲットリスクになるよう 株式と現金に資産配分す る 株式の実績リスクやVIXの 価格推移に基づき株式と VIXに資産配分する ポートフォリオの絶対リス クが最小となるよう最適化 により保有比率を決める 個別銘柄のリスクに基づ き各銘柄のリスクが等しく なるよう保有比率を決める 戦略の特徴 TOPIXよりも指数の変動 が抑制されるため、利益 や損失の振れを小さくでき る 株式の下落を収益機会に できる 低ボラティリティ・アノマ リーにより投資効率の改 善が期待できる リバランス効果やサイズ効 果などにより超過収益の 獲得が期待できる 留意点 この指数は株式のアセット クラスに分類されるが、 ターゲットリスク10%の場 合、平均してキャッシュを 半分程度組入れる結果と なっている 株式のリスクが大きく変動 しないボックス相場ではVI X保有によりヘッジコストが かさみパフォーマンスの低 下を招く 市場全体のボラティリティ が高まると、最小分散の 絶対リスク水準も上昇する 場合がある 等リスクで投資することが 超過リターン獲得につなが ることについて、理論的な 背景がない 絶対リスクの水準 ターゲットリスク前後 時価加重指数より低水準 時価加重指数より低水準 時価加重指数と同水準 時価加重指数に対す る投資効率改善効果 あり あり あり あり 出所:三菱UFJ 信託銀行作成 Ⅴ . お わ り に 現在、インデックス運用の世界では、TOPIX のような従来から存在する時価加重指数を代 替、もしくは補完する目的で、新しい領域のインデックスが開発・提供されている。本稿で 取り上げたリスク抑制型インデックスはその新しい領域の中の一つである。 インデックス運用はルールに基づいた運用であり、透明性が高く、期待される効果を事前 に予想しやすいという利点がある。リスク抑制型インデックスの導入を検討する際には、そ のインデックス戦略が様々な市場環境の中でどのように振舞うかを理解することが大切であ る。本稿が年金基金の株式運用の一助となれば幸いであるとともに、今後更なるリスク抑制 型インデックスの発展を期待したい。 (2012 年7月 24 日 記) ※本稿中で述べた意見、考察等は、筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する公式見解ではない

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【参考文献】 ・ 『最小分散ポートフォリオ』 調査情報 2007 年 12 月号 石部真人 ・ MSCI ウェブサイト http://www.msci.com ・ S&P ウェブサイト http://www.standartandpoors.com ・ 東京証券取引所ウェブサイト(リスクコントロール・インデックス) http://www.tse.or.jp/news/17/110516_a.html

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編集発行:三菱UFJ信託銀行株式会社 投資企画部 東京都千代田区丸の内 1 丁目 4 番 5 号 Tel.03-3212-1211(代表)

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図表 14:各インデックスの実績ボラティリティ(年率標準偏差)の推移  出所:三菱 UFJ 信託銀行作成 次に、 S&P 500、ダイナミックベクター指数について、過去 24 ヵ月の実績ボラティリティ (年率標準偏差)の推移を示したものが、図表 14 右側のグラフである。全期間を通した絶対 リスクの水準は、ダイナミックベクター指数の方が S&P 500 よりも少し低くなっている。た だしリーマンショックの際には、 S&P 500 とダイナミックベクター指数の双方とも、リスク が急上昇
図表 16:各インデックスのリスク・リターン一覧      出所:三菱 UFJ 信託銀行作成 図表 17:最小分散ポートフォリオの低ボラティリティ・アノマリーによるリターン 改善効果 -40%-30%-20%-10%0%10%20%30%40%50%60%70% 199504 199602 199612 199710 199808 199906 200004 200102 200112 200210 200308 200406 200504 200602 200612 200710 200808 20090

参照

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