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はじめに 石 油 は わが 国 で 最 大 のエネルギー 源 として その 用 途 も 多 様 化 しています ガソリンや 灯 油 等 皆 さまに 馴 染 みのある 製 品 のほかにも ジェット 機 の 燃 料 になるジェット 燃 料 油 バ スやトラックの 燃 料 である 軽 油 船 の 燃 料

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Academic year: 2021

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(1)

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石油

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はじめに

石油は、わが国で最大のエネルギー源として、その用途も 多様化しています。ガソリンや灯油等、皆さまに馴染みのある 製品のほかにも、ジェット機の燃料になるジェット燃料油、バ スやトラックの燃料である軽油、船の燃料や様々な工場で使 われる重油等があり、さらに、いわゆる燃料としての石油のほ かに、石油化学製品の原料となるナフサや様々な機械で使わ れる潤滑油等があり、石油はわが国の経済活動や私たちの 生活に欠かせない大切な資源です。 日本の一 次エネルギー供給に占める石油の割合は、 2012年度時点では47.3%と、石炭(22.6%)、天然ガス (22.5%)を大きく上回っており、エネルギー供給の中心的 役割を担っています。2030年度においても石油の割合は4 割程度を占めるものと見込まれており、今後とも重要な資源 であることから、効率的に使っていく必要があります。 石油は、国内ではほとんど産出されないということが一般 によく理解されています。しかし、どのような形で輸入され、国 内でどれだけ消費されているのか、石油にはどのような税金 がどれくらい課せられているのか、また、2000年以降の米国 を中心としたシェール革命によって世界的なエネルギー供給 構造がどのように変化しているのか、東日本大震災で果たし た石油の役割とは何か、あまり理解されていません。 本書では、このような石油を取り巻く国内外の情勢の変化 等を踏まえて、石油についての理解を一層深めていただくた め、基礎的な用語の解説のほか、石油需給の変化と対応、石 油のサプライチェーンの強化、地球温暖化対策や今後の緊 急時への取組み、国内製品価格の決定方式等、多岐にわた る項目について、Q&Aという形で取りまとめました。 2015年3月 石油連盟

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Q1 石油はどのように誕生したの? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 Q2 石油(原油)はあとどれくらいあるの? ・・・・・・・・・・・・・・・・・3 Q3 石油の消費量はどのくらいなの? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 Q4 「石油依存度」はどのように変わってきたの? ・・・・・・・・・・・・・5 Q5 日本の石油製品の供給体制はどうなっているの? ・・・・・・・・・・・6 Q6 原油からガソリンや灯油を多く生産できないの? ・・・・・・・・・・・7 Q7 「バレル」ってなに? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 Q8 「シェールガス」、「シェールオイル」ってなに? ・・・・・・・・・・・・・9 Q9 「メタンハイドレート」ってなに? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 Q10 「メジャー・スーパーメジャー」ってなに? ・・・・・・・・・・・・・・・ 11 Q11 「OPEC」ってどんな組織なの? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 Q12 「IEA」ってどんな組織なの? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

基礎知識

1

Q1 世界の原油生産量と埋蔵量はどのくらいなの? ・・・・・・・・・・・ 14 Q2 原油はどんな国から輸入しているの? ・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 Q3 原油はどのように運ばれてくるの? ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 Q4 国内で原油は生産されないの?自主開発原油ってどんな原油なの? ・・ 17 Q5 石油製品の輸入・輸出はどうなっているの? ・・・・・・・・・・・・・ 18

原油生産と輸入

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Q1 東日本大震災直後の被害と復旧状況は? ・・・・・・・・・・・・・ 61 Q2 東日本大震災時にはどのような石油供給対策がとられたの? ・・・ 62 Q3 東日本大震災後どのような安全・防災対策がとられたの? ・・・・・ 63 Q4 今後、大震災等が発生した場合に石油業界は どのような供給体制をとるの? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64 Q5 「中核SS」ってどんなSSなの? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65 東日本大震災後の製品供給対策 及び安全・防災対策

11

Q3 タックス・オン・タックス(TAX on TAX)ってなに? ・・・・・・・・・・ 40 Q4 「地球温暖化対策税」ってなに? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41 Q1 石油製品の生産(精製)はどのように行われているの? ・・・・・・・・ 42 Q2 「品質確保法」ってどんな法律なの?・・・・・・・・・・・・・・・・・43 Q3 ガソリンの品質はどのようになっているの? ・・・・・・・・・・・・・ 44 Q4 灯油の品質はどのようになっているの? ・・・・・・・・・・・・・・・ 45 Q5 ジェット燃料油の品質はどのようになっているの? ・・・・・・・・・・ 46 Q6 軽油の品質はどのようになっているの? ・・・・・・・・・・・・・・・ 47 Q7 重油の品質はどのようになっているの? ・・・・・・・・・・・・・・・ 48 Q8 潤滑油の品質はどのようになっているの? ・・・・・・・・・・・・・ 49

石油の生産・品質

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Q1 石油製品ってどんなところに使われているの? ・・・・・・・・・・・・ 22 Q2 「ナフサ」ってなに? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23

石油製品の種類と用途

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Q1 石油備蓄の役割は?民間備蓄・国家備蓄・産油国共同備蓄ってなに? ・ 19 Q2 石油危機などで石油備蓄の取り崩しはあったの?・・・・・・・・・・ 20 Q3 大震災後、石油備蓄制度はどのように変わったの? ・・・・・・・・ 21

石油の備蓄

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Q1 原油価格は誰が決めるの? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 Q2 WTI、ブレント、ドバイ原油ってなに? ・・・・・・・・・・・・・・・・ 32 Q3 日本には石油の先物市場はないの? ・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 Q4 日本に輸入される原油の価格はどのように決まるの? ・・・・・・・ 34 Q5 原油価格と為替の変動は石油の価格にどのような影響を与えるの? 35 Q6 ガソリンの「仕入価格」と「小売価格」はどのように決まるの? ・・・・ 36 Q7 日本のガソリン価格は海外と比較するとどうなの? ・・・・・・・・・ 37

石油の価格

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Q1 製油所の安全・防災対策は? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58 Q2 「ダブルハル・タンカー」ってなに? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59 Q3 流出した石油はどうやって回収するの? ・・・・・・・・・・・・・・・60

製油所の安全・防災対策と油濁対策

10

Q1 石油需要はどのように推移してきたの? ・・・・・・・・・・・・・・・ 66 Q2 今後、石油需要はどうなるの? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67 Q3 「石油需要の軽質化」ってなに? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68

石油需給の変化と今後の対応

12

Q1 「エネルギー供給構造高度化法」(高度化法)ってどんな法律なの? ・ 71 Q2 「エネルギー基本計画」ってなに? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 72 Q3 石油産業の「総合エネルギー産業化」ってなに? ・・・・・・・・・・ 73

今後の石油・エネルギー政策

14

Q1 石油産業の規制緩和はどのように進められてきたの? ・・・・・・・ 69 Q2 規制緩和後、石油産業はどのように変化したの? ・・・・・・・・・・ 70

石油産業と規制緩和

13

Q1 日本の石油会社の特徴は? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 74 Q2 日本の石油会社の設備能力は? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・75 Q3 日本の石油会社の経営状況は? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・76 各石油製品の物性値(一例) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77

日本の石油産業の特徴と経営状況

15

Q1 製油所の環境対策は? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50 Q2 石油業界は地球温暖化防止のためにどんなことをやっているの?・・ 51 Q3 ガソリン・軽油の「サルファーフリー」ってなに? ・・・・・・・・・・・・ 52 Q4 「CCS」ってどんな技術なの? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53 Q5 製油所の省エネルギー対策は? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54 Q6 「バイオガソリン」ってなに? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55 Q7 「燃料電池」ってなに? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56 Q8 「エコフィール(高効率石油給湯機)」ってなに? ・・・・・・・・・・・ 57

石油の環境対策

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CONTENTS

もっと知りたい!

石油のQ&A

Q1 「石油のサプライチェーン」ってなに? ・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 Q2 ガソリンや灯油・軽油の流通経路はどうなっているの? ・・・・・・・ 25 Q3 石油会社間で製品の融通はどのように行われているの? ・・・・・・ 26 Q4 ガソリンスタンド/SSはどのような役割を果たしているの? ・・・・・・・27 Q5 「セルフSS」ってどんなSSなの? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28 Q6 「SSの過疎化」ってなに? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29 Q7 「SSの地下タンク老朽化対策」ってなに? ・・・・・・・・・・・・・・ 30

石油製品の流通と販売

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基礎知識

数億年前の生物が残した遺産

地球に生命が誕生したのは35億年前。はじめは海中の 微生物。やがて酸素を必要とする生物が出現し、4億年前 には、地上に根を張る植物や、それを餌にして生活する陸 上動物が現れました。 その後、動物は大型化し、恐竜の時代を迎えましたが、 彼らは今から6,500万年前に突如として絶滅してしまいまし た。石油はこの頃までに地中深い所で作られたといわれて います。

ケロジェン根源説(生物起源説)

石油のもと(源)は、海や湖で繁殖したプランクトンや藻 等の生物体の死骸とされています。それらが土砂とともに 水底に堆積して岩石になる途上、その中の石油を生み出す のに適した有機物が重合して、「ケロジェン」(油母)と呼ば れる複雑な高分子化合物になります。 石油はこのケロジェンと呼ばれる泥岩が地中深く堆積す るとき、地熱の作用を受けてケロジェンが熱分解し、石油系 炭化水素となったものと考えられています。 これが、有機成因説の中でも「ケロジェン根源説」と呼ば れるもので、石油誕生の最有力説となっています。

Q1

石油はどのように誕生したの?

石油誕生までの生成過程

海や湖にいた植物性プランクトンや藻類、それらを餌に育った生物など の死骸が、砂や泥で覆われる。 海 微生物 生物の死骸 泥 海 微生物 生物の死骸 泥 ①有機物 と 土砂 の 堆積 ② ケ ロ ジ ェ ン の 生成 海底に堆積して岩石となる途上で、有機物がかさなりあったケロジェン と呼ばれる泥岩になる。 海 ケロジェン(泥岩) 海 ケロジェン(泥岩) 砂 砂 このようにしてできた石油は、地下の圧力で上へ上へと移動し、わん曲 した岩石の下の隙間にたまっていく。 ④ 石油 の 移動 ・集積 長い時間にわたって、バクテリアや地熱の作用を受け、石油系炭化水素 に変化する。 ③熟成 ・石 油 の 生成 水 水 水水 帽岩 帽岩 ガス ガス 油 油 貯留岩貯留岩 泥岩泥岩 砂岩 砂岩 砂岩 砂岩 泥岩 泥岩 ガス

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基礎知識

原油の可採年数は60年

石油(原油)は天然資源の一つで、採掘できる年数には限 りがあります。 石油は「あとどのぐらいあるか」という目安として、可採年 数(R/P)という指標が使われます。これは、ある年の年末 の確認埋蔵量(R:Reserves)を、その年の年間生産量(P: Production)で割った数値で、2013年末の可採年数は60 年となっています。 確認埋蔵量とは、既に発見されている油田に埋蔵されて いる原油のうち、現在の石油探査や掘削等の技術と採算性 から回収できる量をいい、探鉱・開発技術の進歩などにより 確認埋蔵量が増えれば、可採年数は増えるので、「60年後 に石油がなくなってしまう」という訳ではありません。

可採年数は増加傾向

原油の可採年数は20年以上も前から、40年を上回る年 数で推移し、2008年末は50年でした。 最近では、石油探査や掘削等の技術が進歩し、海底油 田の開発により回収される量やオイルサンド・オリノコタール やシェールオイルなど、従来の原油の油田とは異なる形状・ 地層で確認された量が、生産量の増加を上回り、可採年 数は増加傾向にあります。

Q2

石油(原油)はあとどれくらいあるの?

原油の確認埋蔵量・生産量・可採年数の推移

20,000 15,000 10,000 5,000 0 100 80 60 40 0 2013年 2010年 2005年 2000年 1995年 1985年 1975年 単位:億バレル 単位:年 原油生産量 可採年数 確認埋蔵量 6,587 7,001 10,075 10,285 12,926 14,696 16,445 195 195 226 246 262 263 275 34 36 45 42 49 56 60 34 36 45 42 49 56 60 出所:OGJ誌各年末号

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1

基礎知識

世界の石油消費量

2013年の世界の石油消費量は、1日当たり9,133万バレ ル、年間333億3,545万バレル、Sに換算すると、1日当た り約1,452万S、年間約53億Sになります。 国別に消費量をみると、第1位がアメリカで世界全体に占 める割合は20.7%、第2位が中国で11.8%、第3位が日本 で5.0%となっています。アメリカと中国だけで世界の消費量 の約1/3を占めています。特に、中国では経済成長を背景と したモータリゼーションの進展により、ガソリン、軽油の需要 が伸びています。第10位以内には新興国のBRICs(ブラジ ル、ロシア、インド、中国)や中東最大の産油国のサウジアラ ビアが入っています。

1日1人当たりの石油消費量

2014年の世界の人口は、WHO世界保健統計によると 約70億4,400万人なので、世界の1日1人当たりの石油消 費量は約2.1R(牛乳パック約2本分)になります。 国別にみると、1日1人当たりの石油消費量が多いのはサウ ジアラビア、カナダで10Rを超え、アメリカで9.5Rとなってい ます。一方、消費量が多くても、人口の多い中国で1.2R、イ ンドで0.5Rとなっています。 日本の1日1人当たりの石油消費量は5.7R(牛乳パック 約6本分)で、世界の平均の約3倍近くとなっています。

Q3

石油の消費量はどのくらいなの?

世界の主な国の石油消費量(2013年)

出所:BP統計2013年版、WHO世界保健統計2014年版より作成 順位 国名 消費量(万バレル/日) シェア(%) 人口(人) 一人当たり消費量(R/日) 1 アメリカ 1,889 20.7 3億1,751万 9.5 2 中国 1,076 11.8 13億8,477万 1.2 3 日本 455 5.0 1億2,725万 5.7 4 インド 373 4.1 12億3,669万 0.5 5 ロシア 331 3.6 1億4,317万 3.7 6 サウジアラビア 308 3.4 2,829万 17.3 7 ブラジル 297 3.3 1億9,866万 2.4 8 韓国 246 2.7 4,900万 8.0 9 カナダ 239 2.6 3,484万 10.9 10 ドイツ 238 2.6 8,280万 4.6 上位10ヵ国計 5,451 59.7 36億300万 2.4 その他の世界の国計 3,682 40.3 34億4,130万 1.7 全世界 9,133 100.0 70億4,427万 2.1

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基礎知識

石油依存度とは

「一次エネルギー」総供給に占める石油(LPGを含む)の 割合を「石油依存度」といいます。 一次エネルギーとは、自然界から生まれたままエネルギー 源となる石油(原油)・天然ガス・石炭・原子力・水力等をい います。これに対し、ガソリン等の石油製品、電気、都市ガ ス、製鉄用のコークス等は、一次エネルギーを製油所や発 電所、都市ガス工場等で加工・転換したものであることから 「二次エネルギー」と呼ばれています。 第一次石油危機の1973年当時の石油依存度は、 77.4%と8割近くを占めていました。

わが国の石油依存度は47%

第一次・第二次石油危機を契機に、原油価格の高騰と石 油供給途絶という不安を経験したわが国ではエネルギー供 給の安定化を図るため、石油依存度の低減と非石油エネル ギー源の多様化が主要なエネルギー政策となり、石油依存 度は1973年度をピークに原子力と天然ガスの増加とともに 低下してきました。2000年代に入って5割を下回り、2010 年度には43.7%まで低下しました。 その後、2011年3月に発生した東日本大震災の影響で日 本のほとんどの原子力発電所が稼働を停止したため、原子 力に代わって、火力発電の燃料として天然ガス、石炭などと ともに石油が使われたことなどにより、2012年度の石油依 存度は47.3%と上昇しており、依然として「基幹エネルギー」 としての役割を果たしています。 今後、長期のエネルギー需給見通しは安全性を前提とし た上で、エネルギーの安定供給・環境保全・効率化等を考慮 し、石油・天然ガス・原子力等の特性を活かした現実的かつ 効率的なエネルギーのベストミックスの観点から策定される ことが求められています。

Q4

「石油依存度」は

どのように変わってきたの?

一次エネルギー供給(総供給)比率の推移

0 100 200 300 400 500 600 単位:原油換算百万S、% (注): 四捨五入の関係により100%にならない場合がある。 4.1 1.0 0.6 416 15.5 77.4 1.5 1.5 5.3 0.9 396 16.4 73.4 2.5 1.1 429 66.1 16.9 6.1 4.7 5.2 2.6 521 57.1 16.7 10.2 9.3 4.1 609 50.8 18.1 13.0 12.2 3.3 2.6 596 43.7 21.6 17.3 10.8 3.1 3.4 560 47.3 22.6 22.5 3.0 3.9 新エネルギー等 水力・地熱 原子力 天然ガス・LNG 石炭 石油(LPGを含む) 0.6 2010 2012 2000 1990 1980 1975 1973 年度 出所:経済産業省「総合エネルギー統計」

(8)

1

基礎知識

原油を輸入、国内で精製

わが国では、原料である原油を輸入して国内で精製し、 石油製品を供給する方式がとられ、石油製品の輸入はこ れを補完する役割を果たすということで国内需給バランス が維持されてきました。このような供給体制を「消費地精製 方式」と呼んでいます。この方式は、①大型の原油タンカー で大量に原油を輸送することによりコストの低減が図れるこ と、②国内の需要構造に合わせて石油製品の生産割合を 一定の範囲で調整できること、③国内の製品規格等に適合 した品質の調整が容易であること、④緊急時への対応に優 位性があることなど多くのメリットがあり、わが国の石油供 給体制の根幹となっています。

製品輸入と製品輸出

わが国では1980年代に入り、ナフサの輸入量が増加傾向 に転じたことに加え、1986年の特定石油製品輸入暫定措置 法(以下、特石法という)の施行以来、国内需要の一部を輸 入で賄う傾向が強まりました。また、2004年春以降、世界的 な精製能力不足を背景に、海外の製品市況が国内市況を上 回る「海外高/国内安」の中で、軽油の輸出が採算ベースに 乗ってきました。 石油元売会社にとっては、製品の輸出入はかつての灯油 輸入、余剰製品の輸出という実績から、現在では国内の需 給調整機能としての活用は言うまでもなく、アジアの経済 成長を取り込む観点からも製品輸出が大きな戦略となって います。このため、製品の輸出入は、より戦略的な観点から 国内外のマーケットをにらみながら機動的な活用が求めら れています。

Q5

日本の石油製品の供給体制は

どうなっているの?

石油需給バランスの推移

250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 0 単位:千S 13 年度 12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01 00 99 98 97 96 95 94 93 92 91 90 89 88 87 86 85 84 83 82 81 80 79 78 77 76 75 74 73 72 71 70 69 68 67 66 65 64 63 1962 内 需 国内生産 輸 入 輸 出 第二次石油危機 特石法制定 特石法廃止 湾岸危機 第一次石油危機 出所:経済産業省「資源・エネルギー統計」

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基礎知識

原油を精製してガソリンや灯油を生産

わが国では中東、アフリカ、東南アジアなどいろいろな地域 から原油を輸入していますが、これらの原油は高温で蒸留す ると、その原油毎に一定の割合でガソリン、灯油などの石油 製品の留分が生産されます。 このため、製油所では、加熱炉でまずこれらの原油を 350℃程度に加熱し、発生した原油の蒸気を常圧蒸留装置 (トッパー)内に送り、温度帯毎にガソリンや灯油などの留分 を取り出し、脱硫装置や分解装置などの二次装置により、有 害物質の除去、分解などを行い、最終的な石油製品に仕上 げています。

原油からガソリン、灯油だけ生産できない

石油製品は、原油からガソリン、灯油、軽油、重油など複 数の製品が同時に一定の割合(得率)で生産されるという 特性があります。これを「連産品」といいます。したがって、ガ ソリンや灯油等が一時的に不足しても、これらの製品だけ を増産することは困難です。 このため、次のような対応により需給バランスを調整して います。 (1) 最適な原油の選択 わが国の需要構成に最適な原油を組み合わせて輸入 しています。 (2) 二次装置による対応 わが国では二度の石油危機以降、石油製品の需要構 成は、ガソリン、灯油、軽油等の割合が高まり、重油が 減少するという「軽質化」が進んでおり、重油等を分解・ 改質する二次装置の増設により、不足するガソリン、灯 油などを増産しています。 その他に、製品の輸出入や在庫調整などでも対応してい ます。

Q6

原油からガソリンや灯油を

多く生産できないの?

精製工程のフロー

軽 質 油 重 質 油 ( 残 渣 ) 常圧蒸留装置等から発生する「残油」を、重質油分解装置によって分解することを通じ、最終製品としての残油得率を 減らし、白油(軽質油)得率を向上させています。 残油留分

  油

常圧蒸留装置

ー︶

LPガス 軽油 灯油 ガソリン ナフサ LPガス 軽油 灯油 コークス等 重油 ガソリン ナフサ

重質油分解装置

出所:経済産業省資料

石油製品の得率(2013年度)

揮発油 ナフサ ジェット燃料油 灯油 軽油 A重油 B・C重油 燃料油計 原油処理量 生産量(S) 54,623,131 20,508,201 15,396,367 17,694,798 43,308,527 14,291,481 22,664,197 188,486,702 200,147,639 得率 27.3% 10.2% 7.7% 8.8% 21.6% 7.1% 11.3% 94.2%

(10)

1

基礎知識

もともと英語で「樽(たる)」という意味

もともと、「バレル」(barrel)とは英語で「樽」という意味で すが、バレルがなぜ石油の計量や価格設定の単位に使わ れることになったのでしょうか。 石油産業は、今から150年前の1860年代に、アメリカの ペンシルバニア州での油田開発の成功がスタートだとされ ています。 当時は、現在のドラム缶のような石油の輸送容器がな かったので、欧州から輸入していたシェリー酒の空樽(50米 ガロン)を利用していました。この樽は木製のため、輸送中 に中味が蒸発や洩れにより目減りし、目的地に着いたときに 平均すると42米ガロン(1ガロンは約3.8R)となったため、 これを1バレル(約159R)とすることになったといわれてい ます。 以後、バレルは国際的に石油の消費量、原油の生産量・埋 蔵量の計量や原油価格設定の単位として使われています。

S、トンも併用

例えば、世界の石油消費量は1日当たり9,133万バレル、 サウジアラビアの原油生産量は964万バレル、また、原油 価格は1バレル当たり100ドルなどと使われています。 わが国では、計量単位にメートル法を使っており、原油や 石油製品などの容積を表す単位として、R、S、トンなどを 使っています。例えば、石油消費量は、年間2億Sとか、タ ンカーの原油積載量は20万トンなどです。 一方、石油精製装置の能力や原油処理量に関しては、1 日当たりの通油量を表す単位として、バレル・パー・デイ(B/ D)が使われています。 バレルとR・Sなどの換算は、次のように行うことができ ます。

Q7

「バレル」

ってなに?

1バレルとは?

1

バレル

42

米ガロン

159

バレルの換算法(例示)

●バレル/日× 5倍(≒30日÷6.29バレル)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・S/月 ●バレル/日× 58倍(≒365日÷6.29バレル)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・S/年

灯油用

ポリ容器(18ℓ)に

換算すると約

9

(11)

基礎知識

新たな掘削法の開発

「シェールガス」、「シェールオイル」とは、従来よりも深い 数百mから数千mの深さにある「シェール(頁岩)層」と呼ば れる、固い地層の中に存在する天然ガスと石油を指しま す。従来は「非在来型石油資源」とされ、存在は古くから知 られていたものの、採掘の困難さと膨大なコストから、商業 生産は困難と考えられ、ほとんど開発の手は加わりません でした。 しかし、今世紀に入り、シェール層に水平掘削を使って高 圧の水を送り込み、その水圧で岩に亀裂を作ってそこから ガスや石油を回収するという画期的な技術 (水圧破砕法) が米国で開発されると、原油価格の上昇もあって一気に シェール層の開発が進展しました。

資源量の急拡大とシェール革命

2000年代後半から急速に進んだ開発により、2012年ま でにシェールオイル3,450億バレル、シェールガス7,299兆 立方フィートが発見されたと米エネルギー情報局は2013 年6月に公表しています。これは在来型の石油埋蔵量の約 10%、天然ガスの約50%に相当するものであり、その分 資源量が拡大したといえます。またシェ-ルガスの開発によ り、石油・天然ガス産業が活況を呈し、米国内の天然ガス 価格は下落、輸入石油・ガスの削減による貿易収支の改 善、エネルギーコストの低減による米国製造業の競争力の 回復などが顕著になってきました。また、不安定な中東石油 への依存度の低減が期待され、米国の中東政策にも変化 が期待できるなど、まさに米国にとっては「革命」ともいうべ き事態に発展しています。 一方で、急速な開発に伴う米国内での環境問題の発生 や、国際的なエネルギー貿易の流れにも変化が生じるなど 注視すべき課題も多く、今後も注目していく必要があります。

Q8

「シェールガス」、

「シェールオイル」

ってなに?

世界のシェールガスの埋蔵量

世界合計

206.6

兆m3 アルゼンチン22.7 中国 31.6 アルジェリア 20.0 米国 18.8 欧州 13.3 豪州 12.4 インドネシア 1.3 ロシア 8.1 カナダ 16.2 推定埋蔵量も 確定したシェール資源 未確定のシェール資源推定埋蔵量が 単位:兆㎥ 出所:米EIA資料

シェールオイル・シェールガス掘削の仕組み

頁岩に水圧でヒビを入れ、 中の石油・ガスを取り出す けつがん 頁岩(シェール)層 石油・ガスが作られる 典型的な根源岩 けつがん 硬い岩盤 石油・ガスは長い年月をかけて 移動し、硬い岩盤の下にたまる 石油・ガス 石油・ガス 2000 4000メートル 井戸を掘り、自噴する ガスを集める シェールオイル・シェールガス 水平掘削技術・水圧破砕技術 石油根源岩 石油貯留岩 在来型石油・ガス

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1

基礎知識

大ガス田クラスのメタンハイドレートの存在を確認

メタンハイドレート(methane hydrate)は、天然ガスの 主成分メタン分子が、低温・高圧の状態で、水分子の籠(か ご)状結晶格子に取り込まれた、氷状の化合物をいいます。 温度が上がったり、圧力が下がったりすると分解し、燃え やすいメタンガスと水になります。火をつけると燃えるため、 「燃える氷」ともいわれています。燃焼後は水と二酸化炭素 (CO2)を残すだけで、有害物質を出さず、二酸化炭素排 出量も従来の化石燃料の半分以下で、環境負荷が低いと され、石油・石炭に替わる次世代のエネルギー源として注目 されています。 メタンハイドレート1㎥が分解すると約165㎥のメタンが 得られます。 メタンハイドレートは永久凍土層の地下(100m~600m) や深海底下(1,000m以下)など、世界的に広く分布すると みられています。 特に日本近海には多量のメタンハイドレートが存在すると 期待されており、東海沖~九州東方沖の「南海トラフ」を中 心に、大ガス田クラスのメタンハイドレートの存在が確認さ れています。

わが国におけるメタンハイドレート開発計画

わが国ではメタンハイドレートの現実的利用に向けて、 2001年7月に経済産業省がメタンハイドレート開発計画を 発表し、この計画に沿って独立行政法人石油天然ガス・金 属鉱物資源機構(JOGMEC)、産業技術総合研究所が中心 となって、研究・開発が進められています。 ① フェーズ1 (2001~2008年度) 海底下に大量のメタンハイドレートが埋蔵されていること を確認した。 ②フェーズ2 (2009~2015年度) メタンハイドレートの調査技術・分解生成技術・生産技術・ 環境影響評価などの基礎研究を実施し、2013年3月に 愛知・三重沖で世界初の洋上産出に成功や11月に新潟 県上越沖、石川県能登半島沖で無人探査機を使って調 査し、日本海側にメタンハイドレートが大量に存在するこ とを初めて確認するなど世界初となる業績をあげた。 ③フェーズ3 (2016~2018年度) フェーズ1・2の結果を基に、商業的産出準備や経済性、 環境影響等を総合的に評価し、技術の基礎固めを目指す。

Q9

「メタンハイドレート」

ってなに?

出所:メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム

日本周辺のBSR(海底擬似反射面)分布図

BSR(詳細調査により海域の一部に濃集帯を推定)約5,000㎢ BSR(濃集帯を示唆する特徴が海域の一部に認められる)約61,000㎢ BSR(濃集帯を示唆する特徴がない)約20,000㎢ BSR(調査データが少ない)約36,000㎢ 人工のメタンハイドレートを燃焼させた様子 (注): 1. BSR(bottom simulating reflector)は、反射地震記録断面上で、層理面とは関係なくほぼ海底面 に平行して現れる強振幅のイベントで、海底擬似反射面といわれる。一般的にガス・ハイドレート存在 の指標ともなっている。 2. 石油や天然ガスとほぼ同様の形態の「砂質層孔隙充慎型メタンハイドレート」のうち、メタンハイド レート含有量が高く、一定の広さ厚さを有するものを「メタンハイドレート濃集帯」と名付けられて いる。

(13)

基礎知識

一貫操業の国際石油会社

石油はその操業形態により上流部門(探鉱・開発・生産)と 下流部門(輸送・精製・販売)とに分かれ、欧米の大手石油 会社の多くはこの両方の機能を持つ一貫操業会社として活 動しています。この中でも、複数の国にまたがり大規模に国 際的な事業を展開する一貫操業の石油会社をメジャーと呼 びます。 1960年のOPEC(石油輸出国機構)結成までは、エク ソン、モービル、テキサコ、ソーカル、ガルフ(以上米国)、 シェル(英国とオランダ)、BP(英国)の7社が実質的に世 界石油市場を支配しており、セブンシスターズといわれて いました。またフランスのCFP(現トタール)を入れて8大メ ジャーズと呼ばれることもありました。 1973年の第一次石油危機までは、OPEC諸国の市場へ の影響力も弱く、また原油の生産から輸送、精製、そして 消費国での販売まですべての段階で技術力も圧倒的に有 利だったメジャーが、石油市場を管理・支配していました。

スーパーメジャーの誕生

当初は市場への影響力も弱かったOPEC諸国でしたが、 二度の石油危機を含む政治的な力も背景に次第に石油 市場での存在を増し、メジャーの活躍の場は次第に開発コ ストのかさむ遠隔地へと移っていきました。さらに、石油価 格の高騰で、開発に要する資金も膨大となり、1990年代 後半からメジャーや準メジャー同士での合併が相次ぎまし た。1999年にはエクソンとモービルが、2000年にはBPア モコとアルコが、2001年にはシェブロンとテキサコが合併 し、これらはスーパーメジャーとして現在に至っています。 また、フランスのトタールも、ベルギーのペトロフィナ、フラ ンスのエルフ・アキテーヌを買収して2003年にスーパーメ ジャーとなりました。 スーパーメジャーは、石油開発に限らず、総合エネル ギー企業として成長を図ろうとしています。エクソンモービ ルは化学部門へ力を入れていますし、シェルは天然ガス、ト タールは原子力などにも事業を拡大しています。

Q10

「メジャー・スーパーメジャー」

ってなに?

メジャーズ再編の流れ

セブンシスターズ スーパーメジャーズ エクソン(米) モービル(米) テキサコ(米) ソーカル(米) ガルフ(米) BP(英) アモコ(米) ロイヤル・ダッチ・ シェル(英・蘭) シェブロン テキサコ ロイヤル・ダッチ・ シェル ペトロフィナ (ベルギー) 1984年3月合併 1998年12月合併 2001年10月合併 トタール フィナエルフ 2000年2月合併 BP 2000年4月合併 トタール 2003年 エクソン モービル 1999年11月合併 シェブロン BPアモコ アルコ(米) 1998年12月合併 トタールフィナ エルフ アキテーヌ(仏) トタール(仏)

(14)

1

基礎知識

結成から石油市場支配まで

メジャーに自らの資源とその取引先である石油市場を支 配されていたイラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、 ベネズエラの5ヵ国は、1960年OPEC(Organization of Petroleum Exporting Countries、石油輸出国機構)を 創設しました。その後、1973年までに13ヵ国が加盟した OPECは、折からの第一次中東戦争に乗じた石油戦略の発 動により、石油価格の大幅な引き上げと石油市場への参加 に成功し、その後も1980年代後半まで国際カルテルとして 大きな影響力を行使、時には世界経済を混乱させるような 大幅な石油価格の引き上げを実施しました。このため、主 要消費国ではOPEC諸国以外での石油の開発や代替エネ ルギーの普及、省エネルギーが急速に進展し、OPEC諸国 は次第に苦境に立たされるようになりました。

最近の石油市場とOPEC

1990年代に入り、消費国で石油先物市場が開設され、 国際石油価格はこれら市場での取引により決定されるよう になると、OPECは各加盟国に割り当てた生産上限のもと で生産調整を行い、価格水準を維持しようとしました。しか し、2000年頃から中国を中心としたアジア諸国などで経済 成長とともに石油の需要が急増し、2000年代半ばには石 油価格は100ドルを超え、2008年には150ドル近い水準も 記録しています。 このように、国際石油市場はOPECに非常に有利に動いて いるようにみえます。しかし、2000年以降の高い原油価格 を背景に、シェール開発が進み、国際石油需給は中期的に やや緩和し始めるという観測が強まっています。この結果、 OPECが再び生産を制限する可能性があります。また、長期 的には、資源量が圧倒的に多いOPEC諸国の影響力が増 大するとの見方もあります。 OPEC加盟国(現12ヵ国)の沿革 1960年 イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5ヵ国で設立 1961年 カタール加盟 1962年 インドネシア、リビア加盟 1967年 アブダビ(アラブ首長国連邦としての加盟は74年)加盟 1969年 アルジェリア加盟 1971年 ナイジェリア加盟 1973年 エクアドル、ガボン加盟 1993年 エクアドル脱退 1995年 ガボン脱退 2007年 アンゴラ加盟、エクアドル再加盟 2009年 インドネシア脱退

Q11

「OPEC」

ってどんな組織なの?

OPEC加盟国

クウェート カタール UAE リビア イラン イラク アルジェリア ナイジェリア アンゴラ ベネズエラ エクアドル サウジアラビア リビア イラン イラン イラン イラク イラク イラク アルジェリア ナイジェリア アンゴラ ベネズエラ エクアドル サウジアラビア サウジアラビア サウジアラビア クウェート カタール UAE

OPECの世界シェア(2013年)

合計 1,644,515 百万バレル (100.0%) 合計 75,278 千バレル/日 (100.0%) OPEC 1,200,840 (73.0%) OPEC 30,695 (40.8%) 非OPEC 443,675 (27.0%) 非OPEC 44,583 (59.2%) 原油確認埋蔵量 原油生産量 出所:OGJ誌

(15)

基礎知識

石油消費国の組織

IEA(International Energy Agency、国際エネルギー機 関)は、1974年11月、第一次石油危機時の石油供給不安 を背景に、米国の提唱によりOECD(経済協力開発機構)の 下部組織として設立されました。 加盟の条件は、OECD加盟国であって、備蓄の基準(前 年の1日当たりの石油純輸入量の90日相当分)を満たすこ とです。現在、加盟国は29ヵ国で、34ヵ国あるOECD加盟 国の中ではチリ、アイスランド、イスラエル、メキシコ、スロ ベニアの5ヵ国が参加していません。

主な役割

IEAは設立当初は、OPECに対抗する性格が強く、活動も 緊急時に向けた備蓄の保有と加盟国間での石油の相互融 通システムの確立などが中心でした。しかし、石油市場に おけるOPECの地位が低下する一方で、石油消費国の中 心がOECD加盟国から途上国へ移っていったことから、現 在では代替エネルギーの開発、省エネルギーの推進、消費 国間での協力関係の強化に加え、地球環境問題やエネル ギーの安定供給に向けた途上国との関係強化などが新た な課題となっています。 加盟国間での共通課題としては、①エネルギー安全保障 の確保、②環境保護、③経済成長、④世界的なエンゲー ジメント、の4つを掲げています。事務局はパリにあり、最高 意思決定機関である理事会が毎年開催される他、2年に1 回、日本からも経済産業大臣が出席して閣僚理事会が開 催されます。

Q12

「IEA」

ってどんな組織なの?

IEA(国際エネルギー機関)の機構と民間諮問機関(2014年1月現在)

IEA加盟国 (計29ヵ国) 諮問・協議 提言・助言 緊急時問題 常設作業部会 (SEQ) ●緊急備蓄水準の策定・ 管理 ●緊急融通システムの 管理発動 石油市場問題 常設作業部会 (SOM) ●平常時の情報収集 ●国際石油会社  (メジャー)等との  協議・協調 長期協力問題 常設作業部会 (SLT) ●加盟国・非加盟国に  対するエネルギー  政策(エネルギー源  多様化、価格政策等)  の勧告 エネルギー研究 技術委員会 (CERT) ●石油依存度低減の  ための省エネ技術 ●代替エネルギーの  研究開発の促進等 地球規模エネルギー対話 常設作業部会 (SGD) ●主要生産国及び消費  国との協力・調整 ●これら諸国への政策・  技術の提言 エネルギー効率作業部会 事 務 局 ●オーストラリア ●オーストリア ●ベルギー ●カナダ ●チェコ ●デンマーク ●エストニア ●フィンランド ●フランス ●ドイツ ●ギリシャ ●ハンガリー ●アイルランド ●イタリア ●日本 ●韓国 ●ルクセンブルグ ●オランダ ●ニュージーランド ●ノルウェー ●ポーランド ●ポルトガル ●スロバキア ●スペイン ●スウェーデン ●スイス ●トルコ ●イギリス ●アメリカ 理 事 会 (GB) 民間諮問機関 石油産業 諮問委員会 (IAB) [緊急時問題] 石炭産業 諮問委員会 (CIAB) [石炭の利用拡大] 出所:IEA

(16)

2

原油生産

輸入

Q1

世界の原油生産量と埋蔵量は

どのくらいなの?

中東が世界全体の約30%を生産

世界の原油生産量(2013年)は、1日当たり約75,278千 バレル(年間約43億6,800万S)でした。主な生産地域は、 中東(30.5%)、東欧及び旧ソ連と北米が17.8%、アフリ カ、中南米、アジア・太平洋がそれぞれ10%前後となってい ます。 また、国別にはロシアが最大の産油国で世界全体の 13.8%、1,040万バレルを生産しています。次いで、サウジ アラビア(12.8%、964万バレル)、アメリカ(10.0%、754 万バレル)の順となってます。原油生産量上位10ヵ国で、世 界全体の65%を占めています。 アメリカの原油生産量は2008年には534万バレルでし たが、その後、シェールオイルなどの開発が進み、2013年 には754万バレルと2008年に比べ、220万バレル増となっ ています。国際エネルギー機関(IEA)によると、今後、アメリ カはシェールオイルの開発がさらに進み、ロシアやサウジア ラビアを抜いて、最大の産油国になると予測しています。

世界の原油確認埋蔵量の約50%は中東

原油確認埋蔵量(2013年)の48.6%は、中東地域に 存在しています。中でもペルシャ湾岸諸国の割合が大き く、サウジアラビア、イラク、クウェート、アラブ首長国連邦 (UAE)、イランの5ヵ国で、世界全体の46.4%を占めてい ます。 国別にみると、中東地域以外の産油国ではべネズエラが 世界最大の埋蔵量保有国で、世界全体の18.1%を占め、 また、カナダが10.5%で第3位を占めている点が注目されま す。 べネズエラには石油類似資源であるオリノコタールという 超重質油、カナダには高粘度の重質油を含むオイルサンド の埋蔵量が原油確認埋蔵量にカウントされていることによ るものです。

世界の原油生産量(地域別)

(2013年)

中東 22,955 (30.5%) 北米 13,393 (17.8%) アフリカ 8,247 (11.0%) アジア・太平洋 7,560(10.0%) 中南米 7,027(9.3%) 西欧2,667(3.5%) 東欧 及び旧ソ連 13,430 (17.8%) 世界合計 75,278 (100.0%) 単位:千バレル/日 出所:OGJ誌

世界の原油確認埋蔵量(地域別)

(2013年)

中東 799,127 (48.6%) 北米 215,050 (13.1%) アフリカ 126,729 (7.7%) アジア・太平洋 45,874(2.8%) 中南米 326,410 (19.8%) 西欧 11,298(0.7%) 東欧及び旧ソ連 120,025(7.3%) 世界合計 1,644,514 (100.0%) 単位:百万バレル 出所:OGJ誌 出所:OGJ誌

世界の原油生産量(国別)

(2013年)

順位 国名 生産量(千バレル/日) 比率 1 ロシア 10,403 13.8% 2 サウジアラビア 9,639 12.8% 3 アメリカ 7,535 10.0% 4 中国 4,211 5.6% 5 カナダ 3,328 4.4% 6 イラク 3,226 4.3% 7 クウェート 2,822 3.7% 8 アラブ首長国連邦 2,704 3.6% 9 イラン 2,555 3.4% 10 メキシコ 2,530 3.4% 上位10ヵ国計 48,953 65.0% その他の国計 26,325 35.0% 世界全体 75,278 100.0% 出所:OGJ誌

世界の原油確認埋蔵量(国別)

(2013年)

順位 国名 確認埋蔵量(百万バレル) 比率 1 ベネズエラ 297,740 18.1% 2 サウジアラビア 265,850 16.2% 3 カナダ 173,200 10.5% 4 イラン 157,300 9.6% 5 イラク 140,300 8.5% 6 クウェート 101,500 6.2% 7 アラブ首長国連邦 97,800 5.9% 8 ロシア 80,000 4.9% 9 リビア 48,470 2.9% 10 ナイジェリア 37,140 2.3% 上位10ヵ国計 1,399,300 85.1% その他の国計 245,215 14.9% 世界全体 1,644,515 100.0%

(17)

原油生産

輸入

Q2

原油はどんな国から輸入しているの?

約84%は中東地域から

わが国は、アメリカ、中国に次いで世界第3位の原油輸 入国で、2013年度の原油輸入量は、約2億1,035万Sに のぼっています。 輸入先は中東、東南アジア、中央アジア、アフリカ、中南 米、ヨーロッパ、オセアニアなど多岐に亘っていますが、中 東地域が全輸入量の約83.6%と高い割合となっています。 原油の輸入先を国別にみると、サウジアラビアが全輸入 量の30.7%と最も高く、次いで、アラブ首長国連邦(UAE) 22.7%、カタール13.0%、クウェート7.2%と続いています。

輸入先の多様化、分散化

わが国は、二度にわたる石油危機の経験から原油輸入 先の多角化、分散化を図り、中国やインドネシアからの原 油輸入を増やし、1973年に約80%前後あった中東地域か らの輸入は、一部がメキシコなどに切り替えられた結果、 1987年には67.9%まで低下しました。 しかし、90年代に入り、産油国の中で中国やインドネシア が自国での需要が増大して純輸入国に転じたほか、メキシ コも国内需要が増加したため、輸出量が減少しました。 このため、中東依存度は再び上昇傾向に転じ、2005年度 には第一次石油危機以来最大の約89.1%を記録しました。 2012年度は原発停止により石油火力発電用の低硫黄原 油の需要が増加したこと、また、ロシアがアジア市場への販 売を積極的に増やしていることなどにより、中東地域外から の原油輸入が増加したこと等で1997年度以来の低水準と なりましたが、それでも83.2%という高い割合でした。

わが国の国別原油輸入比率(2013年度)

イラン 9,655(4.6%) ロシア 15,050 (7.2%) カタール 27,430 (13.0%) マレーシア 1,045 (0.5%) ベトナム 3,080 (1.5%) 中東 175,869 (83.6%) 中東 175,869 (83.6%) アフリカ 4,256 (2.0%) アフリカ 4,256 (2.0%) 中南米 2,320 (1.1%) 中南米 2,320 (1.1%) オーストラリア 1,229(0.6%) インドネシア 6,805(3.2%) 東南アジア 11,324 (5.4%) ブルネイ 393 (0.2%) アラブ首長国連邦 47,803(22.7%) イラク 3,395(1.6%) 中立地帯 3,413(1.6%) クウェート 15,153 (7.2%) イエメン 16 (0.0%) オマーン 4,401 (2.1%) サウジアラビア 64,603(30.7%) 単位:千S ( )内は構成比。 出所:経済産業省「資源・エネルギー統計」

(18)

2

原油生産

輸入

Q3

原油はどのように運ばれてくるの?

大型タンカーで原油を運ぶ

わが国は天然資源に恵まれない島国なので、石油の99.7% を中東地域など海外からの輸入に依存せざるを得ません。 わが国へ大量の原油を効率よく運ぶために、タンカー が使用されています。輸入先によってタンカーのサイズが 異なります。中東諸国からの輸入にはVLCC(Very Large Crude Carrier)と呼ばれる20~30万トンクラスの大型タン カーが使われ、東南アジア諸国からの輸入には距離が短い うえに港湾施設の規模が小さいことから、7~10万トンクラ スが使われています。 大型タンカーは全長約300mで、東京タワーと同じくらい の長さです。タンカーの幅は60mあり、甲板の広さはサッ カーコート約3面分にもなります。

オイルロードの安全航行に備えて

主要な輸入地域の中東諸国のペルシャ湾から日本まで の距離は、約12,000kmあり、途中にはホルムズ海峡(ペ ルシャ湾)、マラッカ・シンガポール海峡などの難所がありま す。この原油を運ぶ航路をオイルロードと呼びます。日本ま での航海日数は片道20日間程度を要します。 石油連盟では、万一のタンカーによる油濁事故に備え、 マラッカ・シンガポール海峡に面したシンガポール、マレーシ ア、インドネシアと、ペルシャ湾内のサウジアラビア、アラブ 首長国連邦の合計5ヵ所にオイルフェンスや油回収機を配 備した油濁防除資機材基地を設置しています。

タンカーの長さは東京タワーの高さに相当

333m VLCCと東京タワーの比較 約300m

中東からの原油の輸送航路(オイルロード)

ペルシャ湾 ホルムズ海峡 マラッカ・シンガポール海峡 原油を運搬する大型タンカー タンカーはコンピュータで自動化されていて、乗組員 は20人くらいしかいません。カーナビゲーションと同 じ装置を使っているので、広い海でも、今どこにいるか が、すぐにわかることができます。 日本の代表的な石油輸入基地(鹿児島県喜入)

(19)

原油生産

輸入

Q4

国内で原油は生産されないの?

自主開発原油ってどんな原油なの?

国内生産量は約70万S程度

わが国では、明治初期から新潟県を中心に石油開発が 行われており、現在でも北海道、秋田県、新潟県で商業生 産が行われていますが、2013年度の国産原油の生産量は わずか70万S程度にとどまっています。 しかし、わが国は世界第3位(2013年)の大石油消費国 であり、この原油生産量はわが国の石油消費量の1日分 強、0.3%(2013年度)に過ぎないため、中東地域など海外 からの輸入に依存(99.7%)しています。 わが国では原油の生産量が極めて少ないため、わが国の 企業が資本参加して設立した石油開発会社等が海外に積 極的に進出し、油田の探鉱・開発・生産に取り組んでいます。

自主開発原油とは

日本の石油開発会社等が、海外で商業生産に成功した 油田から産出された原油を「自主開発原油」といいます。 日本企業による海外での石油の「自主開発」は、一定量の エネルギー資源を長期・安定的に確保するのみならず、わが 国と産油国との相互依存関係の構築・強化につながること や、産油国・メジャー(国際石油資本)との事業基盤が醸成 されることも、エネルギー安全保障上の大きな意義をもって います。 2013年6月末現在、わが国の企業等は世界各地で140 を超えるプロジェクトに取り組んでおり、そのうち、約70で開 発に成功し、石油・天然ガスの商業生産を行っています。 わが国企業が権益を有する石油・天然ガスの「自主開発 比率」は、国内需要量の約22%程度に達しています。

主なわが国の石油開発会社の海外石油開発プロジェクト(2013年6月末)

出所:石油鉱業連盟資料より作成 20社 30社 19社 6社 12社 3社 9社 1社 11社 14社 3社 2社 1社 1社 5社 1社 2社 出所:経済産業省「資源・エネルギー統計」

国内原油生産量の推移

1,000 800 600 400 200 0 単位:千S 2.0 1.5 1.0 0.5 0 単位:% 2013年度 2010 2000 1990 1980 1970 1960 国内生産量 国産比率 624 901 481 655 761 853 668 1.9 0.5 0.2 0.3 0.3 0.4 0.3

(20)

2

原油生産

輸入

Q5

石油製品の輸入・輸出は

どうなっているの?

石油供給構造の変化 

消費地精製方式を採用するわが国では、石油製品の輸 入は補完的な供給手段となっています。 最近では、輸入量は燃料油計でみると内需量の15~20% 程度を賄っています。一方、製品輸出は、海外の製品市況 が国内市況を上回る「海外高/国内安」を背景に、アジア・大 洋州を中心に軽油の輸出が伸びてきました。 わが国の石油供給構造は、消費地精製方式を根幹とし ながらも、アジアを中心とした製品貿易の活発化に伴い、 徐々に変化しつつあります。また、製品輸出はアジアの経済 成長を取り込む観点からも大きな戦略となっています。

製品輸出入の動向

製品輸入総量のうち、ナフサの割合が7割前後と圧倒的 に多くなっていますが、東日本大震災後、製油所の長期停 止や石油火力発電の稼動向上が影響し、ガソリンやB・C重 油の輸入量が大きく増加しました。ガソリンについては地理 的な近接性による輸送コストの低さなどから韓国からの輸 入が急増しています。また、B・C重油は2011~2013年度 平均でみると、全輸入量の2割超を占めています。 一方、主な輸出先は、ガソリンがシンガポール・韓国、灯油 は韓国・アメリカ、軽油はオーストラリア・シンガポール・韓国、 重油はシンガポール・中国・韓国となっています。 今後の輸出環境は、アジアの需要が引き続き堅調に推移 することがプラス要因となる一方、韓国等輸出競争力の高 い海外の製油所との競争、中国・インドを中心とした製油所 の増設計画による供給能力の拡大等から、大幅な増加は 期待できません。しかし、このような中でも、石油元売会社 は海外販路の開拓・拡張に向けて製品輸出に積極的に取り 組んでいます。 単位:千S、%

石油製品輸入量の推移

2000年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 ガソリン 1,62915.3 ▲23.32,227 2,2611.5 ▲63.3829 ▲21.5651 31.1854 1,09828.6 164.62,905 2,884▲0.7 ▲42.51,659 ナフサ 30,160▲2.1 27,964▲5.4 28,8553.2 26,250▲9.0 23,105▲12.0 25,83711.8 27,2485.5 24,868▲8.7 25,2761.6 25,9262.6 ジェット燃料 28.997 4665.0 ▲77.8103 0 2 0 43 0 94 ▲17.777 灯油 3,236▲9.1 ▲13.11,123 ▲50.2560 ▲69.7170 192.5497 ▲7.7459 1,053129.6 1,48641.2 ▲18.41,213 ▲24.9911 軽油 1,73830.1 ▲11.1519 ▲52.3247 2657.4 10.3293 3178.3 40.1444 96.9875 ▲33.4583 ▲56.6253 A重油 1,072▲7.9 ▲4.4299 ▲73.679 ▲66.826 375.6125 ▲39.376 153.1192 ▲53.789 ▲0.788 ▲38.954 B・C重油 ▲47.6879 4,14469.6 ▲23.53,169 4,56143.9 4,6441.8 ▲51.42,257 3,02334.0 147.57,483 9,37425.3 ▲27.76,781 燃料油計 38,810▲3.0 36,741▲2.1 35,273▲4.0 32,102▲9.0 29,315▲8.7 29,7991.7 33,10011.1 37,70413.9 39,5124.8 35,661▲9.7 出所:経済産業省「資源・エネルギー統計」より作成 単位:千S (注): 各油種とも下段は対前年伸び率

石油製品輸出量の推移

2000年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 ガソリン ▲43.3349 363.5521 ▲39.2317 69.0536 32.5710 1,552118.5 2,19841.6 ▲43.01,254 1,148▲8.4 1,74852.2 ナフサ ▲45.4145 0 23 ▲46.712 208.038 0 0 51 12.758 ▲70.317 ジェット燃料 6,196▲1.1 6,68913.6 7,95518.9 9,27716.6 10,0808.7 ▲17.48,321 8,9367.4 8,694▲2.7 9,0474.1 10,45715.6 灯油 ▲50.5156 146.4383 30.3499 29.1644 ▲31.1444 ▲19.6357 ▲44.6198 203.5600 ▲76.0144 427.2760 軽油 2,058▲9.1 4,087168.1 4,95021.1 8,99981.8 13,05045.0 11,31913.3 11,046▲2.4 ▲31.17,614 ▲15.86,410 10,40562.3 A重油 ▲17.6205 1684.1 ▲1.6165 111.6350 60.4561 6088.4 21.0736 ▲53.5342 129.8787 ▲29.1558 B・C重油 6,1802.6 9,86727.0 9,409▲4.6 9,183▲2.4 9,2690.9 ▲16.17,774 7,172▲7.7 6,792▲5.3 7,1415.1 ▲15.26,053 燃料油計 15,288▲4.4 21,71538.9 23,3197.4 29,00124.4 34,15317.8 29,932▲12.4 30,2851.2 25,346▲16.3 24,735▲2.4 29,99821.3 出所:経済産業省「資源・エネルギー統計」 単位:千S (注): 各油種とも下段は対前年伸び率

(21)

石油

備蓄

Q1

石油備蓄の役割は? 民間備蓄・国家備蓄・

産油国共同備蓄ってなに?

エネルギー安全保障と国際的な責務のため

石油は、わが国一次エネルギー供給の47.3%(2012年 度)を占めていますが、その殆どを輸入に依存しており、特 に中東依存度が83%と第一次石油危機直前(72年度)の 81%を上回る高い割合となっています。 資源小国であるわが国にとって「エネルギー安全保障」 (安定供給)は国内の産業活動や国民生活の根幹を支え る重要課題であり、エネルギー政策の基本となっています。 第一次石油危機後、IEAが発足し、加盟各国に90日分の 石油備蓄が義務付けられました。 これを受けて、わが国では1975年に石油備蓄法が制定 され、本格的に民間備蓄が始まり、1978年からは石油公 団(現在の独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (JOGMEC))による国家備蓄がスタートしました。 さらに、2009年以降、産油国(UAE、サウジ)との共同備 蓄プロジェクトが推進されてきました。

民間備蓄、国家備蓄と産油国共同備蓄の三本立て

日本の石油備蓄は、民間備蓄、国家備蓄と産油国共同 備蓄の三本立てで実施されています。民間備蓄は、石油の 輸入・生産(精製)・販売を行っている石油企業等が石油基 地や製油所・油槽所等で備蓄しているもので、現在70日分 が備蓄義務日数となっています。国家備蓄は、2004年以 降国の直轄事業として、その管理等は国から委託を受けた JOGMECが行っており、国家備蓄基地(全国10ヵ所)や石油 企業からの借り上げタンク等で備蓄しています。 実際の備蓄量は、2014年9月末現在、国家備蓄が原油 で約4,880万S、ガソリン・灯油等の製品で137万S保有さ れています。民間備蓄は、石油需要の大幅な減退により1日 分の内需量が減少していることから、現在では義務量70日 分を20日分上回る90日分、さらに、産油国共同備蓄として、 原油で約117万S保有されており、わが国全体の備蓄量は 204日分(9,106万S)となっています。 出所:経済産業省資料より作成

わが国の石油備蓄の現状(2014年9月末現在)

国家備蓄 産油国 共同備蓄 国家備蓄基地 (10基地) 原油 約4,880万S (製品換算4,773万S) (108日分) 製品 約137万S (3日分) 民間借上げタンク 原油 約117万S (3日分) 民間借上げタンク JOGMECが統合管理 石油備蓄 民間備蓄 製品換算 9,106万S (204日分) ・ 原油及び製品 約3,877万S(製品換算ベース)(90日分)  (原油 約1,904万S→製品換算 約1,809万S)  (製品 約2,068万S)

出所:JOGMEC

国家石油備蓄基地

苫小牧東部 むつ小川原 志布志 久慈 秋田 福井 串木野 白島 上五島 菊間 地上・地中タンク方式 洋上タンク方式 水封式 地下岩盤タンク方式

石油備蓄の現況(2014年9月末現在)

出所:経済産業省資料より作成 備蓄日数 製品換算 保有量 国家備蓄 111日分(IEA基準 91日分) 4,773万S(≒3.0億バレル) 原油 4,880万S製品  137万S(≒0.09億バレル)(≒3.1億バレル) 民間備蓄 90日分(IEA基準 76日分) 3,877万S(≒2.4億バレル) 原油 1,904万S製品 2,068万S(≒1.2億バレル)(≒1.3億バレル) 産油国 共同備蓄 3日分(IEA基準 2日分) 111万S(≒0.07億バレル) 原油 117万S(≒0.07億バレル) 合  計 204日分(IEA基準 169日分) 8,761万S(≒5.5億バレル)    9,106万S(≒5.7億バレル) (注): 1. 四捨五入のため内数と計は一致しないこともある。 2. 「備蓄日数」は石油備蓄法に基づき、国内の石油消費量を基に計算したもの。また、当該「備蓄日数」とともにIEA基準で試算した備蓄日数(石油ガスを含む)を参考値(暫定値)として記載している。 3. 国家備蓄は1978年度から開始し、88年度に原油3,000万Sに達した。さらに、87年11月の総合エネルギー調査会石油審議会石油備蓄小委員会報告を踏まえて備蓄増強を進め、98年2月に 原油5,000万Sを達成した。 4. 民間備蓄は、75年度に石油備蓄法(2001年に「石油の備蓄の確保等に関する法律」に改正)により、石油精製業者、石油販売業者及び石油輸入業者に義務付けられ、備蓄義務量は93年度以 降70日分となっている。 5. 産油国共同備蓄は、JOGMECが日本国内の民間原油タンクを、政府支援の下で産油国の国営石油会社に貸与し、当該社が東アジア向けの中継・備蓄基地として利用しつつ、わが国への原油 供給が不足する際には、当該原油タンクの在庫を、わが国向けに優先供給する制度である。

(22)

3

石油

備蓄

Q2

石油危機などで

石油備蓄の取り崩しはあったの?

石油備蓄は、石油危機時に民間備蓄を中心に数回にわ たり取り崩しが行われ、供給不安や価格の安定に効果を発 揮しました。 1979年の第二次石油危機時には、1979年3月から 1980年8月まで、石油備蓄法に基づき、民間備蓄義務量 が石油企業毎に引き下げられました。また、湾岸危機時に は、IEAの一員として、協調的緊急時対応措置(IEA加盟 国が協調して石油備蓄を放出する仕組み)に基づいて、 1991年1~3月の間、4日分の民間備蓄義務量が引き下げ られ、供給不安による無用な混乱の回避に一定の成果を 上げました。また、2005年8月の大型ハリケーン「カトリー ナ」による米国メキシコ湾岸エリアの石油関連施設への甚 大な影響に際しても、IEAの決定に基づき、国際協調体制 の一環として、民間備蓄義務量が約4ヵ月間にわたり3日分 引き下げられ、さらに元売各社は緊急的な措置として米国 向けにガソリンを7万S輸出しました。2011年3月には東日 本大震災による石油供給不足へ対応するため、わが国は 独自に民間備蓄を25日分(70日→45日)引き下げました。 さらに、同年6月には、OPEC加盟国であるリビアで内戦が 勃発、同国からの原油供給に支障が出たため、IEAによる 協調体制の一環として、民間備蓄が約6ヵ月間にわたり3日 分引き下げられました。 国家備蓄については、取り崩しの実績はありませんが、緊 急時に機動的に備蓄石油を放出できるよう、放出訓練の実 施や国家備蓄石油の放出能力の増強等が行われています。

石油危機等に対応して石油備蓄の取り崩し

わが国の民間備蓄・国家備蓄・産油国共同備蓄の現状(2014年9月末現在)

民間備蓄 国家備蓄 産油国共同備蓄 備蓄日数 90日分 111日分 3日分 備蓄量(製品換算) 3,877万S 4,773万S 111万S 備蓄目標 内需量の70日分 5,000万S(原油ベース、1998年2月達成) 保有形態 生産・流通過程で保有 封印方式(製品は生産・流通過程で保有) 流通過程で保有 保有場所 製油所・油槽所等の民間タンク 原油: ①国家石油備蓄基地、 ②民間タンク(借上げ) 製品: 製油所・油槽所等の民間タンク    (混合蔵置) 原油: JX喜入基地、 沖縄石油基地(OCC) 保有構成 原油:約50%  製品:約50% 原油:97.2%  製品:2.8% 原油:100% 管理主体 ただし、共同備蓄会社による代行が可能精製業者、輸入業者等 ①国家備蓄会社(約2/3) (全国で8社・10基地) ②民間企業(約1/3)(管理委託) 民間企業(管理委託) 備蓄石油放出 (取り崩し)の特徴 ①大部分が製油所や油槽所といった生 産・流通過程に保有されており、速や かに供給できる。 ②原油の調達動向や石油製品の需要に 応じて、弾力的に対応できる。 ①国の判断で放出し、その分供給が確実 に増すので、大きなアナウンスメント 効果が期待できる。 ②原油は、その大部分が石油備蓄基地か らタンカーにより製油所へ輸送する必 要があり、供給には時間を要する。製 品は製油所・油槽所等の民間タンクで 備蓄しており、速やかに供給できる。 平時には、産油国国営石油会社が当該タ ンクを(日本を含む)東アジア向けの供 給・備蓄拠点として商業的に活用する一 方、日本への原油供給途絶等の非常時に は、タンク内に蔵置している原油をわが 国が優先的に購入できる。 放出(取り崩し) 事例 ①第二次石油危機  (1979年3月〜1980年8月) ②湾岸危機(1991年1月〜3月) ③ハリケーン「カトリーナ」被害  (2005年9月〜12月) ④東日本大震災対応  (2011年3月〜5月) ⑤リビア情勢対応  (2011年6月〜12月) 事例なし 事例なし 政府の 財政支援措置 石油購入資金、タンク建設等を支援 国が負担(石油石炭税) 国が負担(石油石炭税) コスト負担 (最終需要家への転嫁が期待)製品コストの一部を構成 財源となる石油石炭税は、製品コストの一部を構成 (最終需要家への転嫁が期待) 緊急時には財源となる石油石炭税は、 製品コストの一部を構成 (最終需要家への転嫁が期待) 出所:経済産業省資料等より作成

参照

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