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大学と学生第549号広島大学におけるアクセシビリティ支援と人材育成プログラム_広島大学(岡田 菜穂子)-JASSO

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Academic year: 2021

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特集・先進的な障害学生支援の取組~障害学生支援ネットワークより~ 46 大学と学生 2009.12   広島大学では、全ての学生に質の高い同一の教育を行う ことを基本理念に、全学体制で「高等教育のユニバーサル デ ザ イ ン 化 」 を 推 進 し て い る。 「 高 等 教 育 の ユ ニ バ ー サ ル デザイン化」とは、大学等において、例えば、障害学生、 留学生、社会人学生等、多様な学生が在籍することを想定 して、あらかじめ教育環境を整備することである。具体的 には、一.アクセシビリティ支援体制の整備、二.障害学 生等へのアクセシビリティ支援、三.支援者育成を含めた 教育・人材育成プログラムの実施等である。以下、これら の取り組みについて概要を紹介したい。

 

広島大学におけるアクセシビリティ支援体制

  広 島 大 学 で は、 「 広 島 大 学 障 害 学 生 の 就 学 等 の 支 援 に 関 する規則」 、「身体等に障害のある者の入学者選抜及び就学 等に関する相談の指針」 、「身体等に障害のある学生に対す る 試 験 等 に お け る 特 別 措 置 に つ い て( 申 し 合 わ せ )」 を 制 定し、これらの規則等に基づいて、障害学生支援を行って いる。   支援の実施体制として、全学の意思決定機関「アクセシ ビ リ テ ィ セ ン タ ー 会 議 」( 以 下、 セ ン タ ー 会 議 ) を、 そ の 下部機関に企画・立案を行う「アクセシビリティセンター

  田

 

  穂

  子

(広島大学   アクセシビリティセンター特任助教)

拠点校の取組

(2)

特集・先進的な障害学生支援の取組~障害学生支援ネットワークより~ 47 大学と学生 2009.12 会議   企画部会」を設置している。センター会議は、各部 局(学部・研究科・専攻科)から選出された支援委員と、 アクセシビリティセンター長が必要と認める若干名の教員 で構成されている。センター会議での決定事項を実施する のが「アクセシビリティセンター」である。   ア ク セ シ ビ リ テ ィ セ ン タ ー は、 「 障 害 学 生 支 援 の た め の ボランティア活動室」 を平成二〇年度に再編成したもので、 教育担当副学長の直属におかれた、日常の支援の拠点であ る。アクセシビリティセンターには、センター長(兼任) 、 准教授、特任助教、情報支援コーディネーター、事務職員 二名が業務に従事しているほか、ティーチングアシスタン ト 四 名 と イ ン タ ー ン シ ッ プ 生 な ど の 学 生 ス タ ッ フ 二 〇 〜 三〇名が活動している。   センターは、障害学生支援に関する相談窓口であると同 時に、支援のコーディネート、支援方法の提案、支援機器 の貸し出し、点訳や字幕作成等の支援活動などを担う支援 の 拠 点 で あ る。 ま た、 「 三 」 で 詳 し く 述 べ る、 授 業 や 人 材 育成の場としても活用されている。   本学では、支援を希望する学生の申請を受けて、支援を 行っている。支援の申請先は学生の所属学部で、申請を受 けた所属学部が中心となって支援を実施することになって いる。学生、教員、職員は、支援に関する疑問や具体的サ ポート等について、アクセシビリティセンターへ相談・依 頼できる。   学生の所属学部が中心となり、アクセシビリティセンタ ーがバックアップをしながら、所属学部、学部間、学部と アクセシビリティセンターとの連携をはかりつつ、支援を 実施する仕組みである(図1参照) 。 図1.広島大学のアクセシビリティ支援体制図 図2.PDCA サイクル型 障害学生修学支援 図3.アクセシビリティリーダー育成プログラム 図1 広島大学のアクセシビリティ支援体制図

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特集・先進的な障害学生支援の取組~障害学生支援ネットワークより~ 48 大学と学生 2009.12

 

アクセシビリティ支援

  本学のアクセシビリティ支援の特徴の一つは、障害の程 度 や 授 業 の 形 式 な ど の 状 況 に 応 じ た、 最 適 な 支 援 を 選 択・ 実施できる点である。そのために、支援の流れに「合格後 相談」や「授業前相談」を組み込んだり、必要に応じて相 談の場を設けたりして、随時、学生の意見を支援にフィー ドバックできる体制をとっている。また、アクセシビリテ ィ セ ン タ ー で は、複数の支援 内容の選択肢を 用意しており、 状況に応じて支 援方法を組み合 わせるなど、よ り適当な支援を 実施できるよう 工夫している。   一学期間(半 年)を一つのサ イクルと考え、各学期ごとに支援を実施し、学期末には障 害学生へアンケートやインタビューで「受講体験聴取」を 行う。受講体験聴取の内容は、次学期の支援に反映される (図2参照) 。この支援のサイクルをくりかえすことで、卒 業までの一貫した自立支援を行うことが可能となる。

 

教育・人材育成プログラム

  障害学生支援がきっかけとなり、 現在、 支援者の育成や、 アクセシビリティ・コーディネートができる人材育成の取 り組みを拡充している。   障害や学内支援を知る機会として、全学生・教職員にむ けて配信しているのが 「オンラインアクセシビリティ講座」 である。教養教育科目「障害者支援ボランティア概論」と 「 障 害 学 生 支 援 ボ ラ ン テ ィ ア 実 習 」 で は、 障 害 学 生 支 援 お よび支援者育成を行っている。また、多様なニーズを想定 し た 環 境 づ く り の コ ー デ ィ ネ ー ト 能 力 を 育 む 科 目「 環 境・ 情報アクセシビリティ研究」を開講している。   上記の授業を体系化した「アクセシビリティ教育課程」 と「資格認定制度」からなる人材育成プログラムが「アク セシビリティリーダー育成プログラム」 である (図3参照) 。 図1.広島大学のアクセシビリティ支援体制図 図2.PDCA サイクル型 障害学生修学支援 図3.アクセシビリティリーダー育成プログラム 図 2 PDCA サイクル型 障害学生修学支援

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特集・先進的な障害学生支援の取組~障害学生支援ネットワークより~ このプログラムでは、平成一八年度よりこれまでに、九三 名 の ア ク セ シ ビ リ テ ィ リ ー ダ ー 資 格 取 得 者 を 輩 出 し て き た。資格取得者には、学内外におけるインターンシップの 場を提供しており、現在二〇名以上のアクセシビリティリ ーダーが様々な現場で活躍中である。   このプログラムは、平成二〇年度文部科学省「質の高い 大 学 教 育 推 進 プ ロ グ ラ ム 」 教 育 G P に 採 用 さ れ た。 平 成 二一年六月には「アクセシビリティリーダー育成協議会」 を設立し、行政・企業・他大学との連携を図りながら、来 年度からの学内教職員や学外へのプログラムのオープン化 に向けて準備を進めている。

 

今後の展開

  こ れ ま で 本 学 で は、 学 内 ア ク セ シ ビ リ テ ィ 支 援、 教 育・ 人材育成プログラムの整備・拡充を進めてきた。今後は、 これまでの取り組みの更なる充実と、その延長として新た な取り組みを展開して行きたい。 1   技術・研究開発:本学ではアクセシビリティセンター を中心に、ユニバーサルな教育支援方法の開発を手掛 けてきた。特に、新たな情報保障の方法として音声認 識技術の活用方法を研究開発しており、現在、リスピ ー ク 方 式 を 試 行 中 で あ る。 ( 平 成 二 一 年 度 〜 日 本 学 生 支 援 機 構  障 害 学 生 の 教 育 支 援 に 関 す る 調 査 研 究 委 託 事業「音声認識技術を活用したリスピーク通訳による 教育支援方法の研究」 ) 2   地域との連携:これまでのアクセシビリティ支援は、 キャンパス内の修学支援に限定されがちであったが、 インターンシップ生の活躍や地域との連携により、支 援の可能性が広がりつつある。今後は、自治体のサー ビスの活用等により、大学生活全体のコーディネート 図1.広島大学のアクセシビリティ支援体制図 図2.PDCA サイクル型 障害学生修学支援 図3.アクセシビリティリーダー育成プログラム 図 3 アクセシビリティリーダー 育成プログラム  

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特集・先進的な障害学生支援の取組~障害学生支援ネットワークより~ 50 大学と学生 2009.12 を目指して行きたい。 3   高大連携:障害のある中高生の大学進学促進と、障害 学生支援体制に関する情報共有のため、 近隣の中学校 ・ 高等学校の教諭を交えて研究会やセミナーを開催して いる。 (平成二〇年度〜日本学生支援機構   障害学生受 入促進研究委託事業「中等教育と高等教育を滑らかに つなぐ、最適な評価方法とユニバーサルな教育・情報 支援の研究」 )   以上、広島大学の取り組みの概要について述べた。本学 の取り組みの詳細については、左記の資料を参考にしてい ただきたい。これらの取り組みが、高等教育における障害 学生支援や支援者育成の一助となれば幸いである。 【参考資料】 佐野(藤田)  眞理子・山本  幹雄・吉原  正治(著) 、広島大学大学 院総合科学研究科(編集)    二 〇 〇 九  『 大 学 教 育 と ア ク セ シ ビ リ テ ィ ― 教 育 環 境 の ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン 化 の 取 組 み 』 叢 書 イ ン テ グ ラ ー レ 〇 〇 七、 丸 善 株 式会社 佐野(藤田)真理子・吉原  正治(編集)     二 〇 〇 四  『 高 等 教 育 の ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン 化 ― 障 害 の あ る 学  生の自立と共存を目指して ―  』大学教育出版  広島大学   アクセシビリティセンター     二 〇 〇 八  『 教 職 員 の た め の 障 害 学 生 就 学 支 援 の た め の 手 引 き 〜 授業における情報保障を中心に〔第三版〕〜』    広 島 大 学 ア ク セ シ ビ リ テ ィ セ ン タ ー ホ ー ム ペ ー ジ http://www. achu.hiroshima-u.ac.jp/

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