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Cost management and environmental cost : The case study of Cosumo-Oil corporation

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Academic year: 2021

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(1)

原 価 管 理 と環 境 原 価

一 コ ス モ 石 油 ㈱ の 事 例 を 中心 と して

柳 田

仁 ・山 田

英 俊

原 価 計 算 の よ うな実 践 的 学 問 に お い て は,E・ シ ュマ ー レンバ ッハ の 言 葉 を 引 用 す る ま で もな い こ とで あ る が,「 理 論 と実 務 の 融 合 」 が 重 要 な課 題 で あ る。 本 稿 で は,こ の よ うな観 点 か ら コス モ 石 油 の 事 例 を 中 心 に 「原 価 管 理 と環 境 原 価 」 に 関 して 論及 した 。 1石 油 業 の 原 価 計 算 と 原 価 管 理 1-1原 価 計 算 の 目 的 と 方 法 1-1-1原 価 計 算 の 目 的 原 価 計 算 と は,(1)一 定 の 給 付(製 品,サ ー ビ ス)に つ い て 発 生 し た 原 価 を 算 定 ・記 録 す る こ と(costkeeping),(2)原 価 資 料 お よ び 原 価 報 告 に つ い て の 分 析 ・管 理 を す る こ と(costmanagement)で あ る 。 こ の 場 合,原 価 の 計 算 に は む ろ ん 販 売 費 お よび 一 般 管 理 費 の 計 算 も含 ま れ て い る 。 こ れ に 関 連 し て わ が 国 で は,昭 和37年 に 大 蔵 省(現 財 務 省)企 業 会 計 審 議 会 か ら 「原 価 計 算 基 準 」 が 発 表 さ れ た 。 と こ ろ で,原 価 計 算 の 目的 は 時 代,国 に よ っ て 異 な る 。 大 別 し て,ア メ リ カ お よ び ヨー ロ ッパ 流 の 考 え 方 が あ り,近 年 で は,経 営 管 理 と 同 様 に,ア メ リカ 流 の 考 え 方 が 主 流 とな っ て い る 。 現 在,わ が 国 で は ア メ リカ 流 の 考 え 方 を 主 軸 と し,ド イ ツ 流 の 考 え 方 等 を 加 味 して い る 。 原 価管理 と環 境原 価 一コスモ石 油㈱の事例 を中心 として一29

(2)

我 が 国 の原 価 計 算 基 準 で は,原 価 計 算 の 目的 と して次 の もの を挙 げ て い る。

(1)

(2}

(3}

(4}

{5)

財務諸表作成 に必要 な原価資料 を提供す ること(財 務 諸表作成 目的)

価格計 算 に必要 な資料 を提供す る こ と(価 格 計算 目的)

経 営管理者 の各 階層 に対 して原 価管理 に必要な原価資料 の提供 す る

こと(原 価 管理 目的)

予算編成 な らび に予算 統制 のた めに必要 な原価 資料 を提供す るこ と

(予算編成 ・予算 統制 目的)

経営 の基本 計画設定 に必 要 な原 価資料 を提供 す るこ と(経 営の基本

計画設 定 目的)

以 上,5っ の 目的 が 「原 価 計 算 基 準」 に提 示 され て い る。 そ して これ らの 目的 は,情 報 提 供 に役 立つ 視 点 か ら2つ に区 分 す る こ とが 可 能 で あ る。 す な わ ち,(a)企 業 の外 部 利 害 関係 者 に役 立 っ財 務 会 計 目的 と,(b)企 業 の 内部 利 害 関係 者 に役 立っ 管 理 会 計 目的 で あ る。 本 稿 で考 察 対 象 とな っ て い る石 油 業 に 関 して も,こ れ ら原 価 計算 の 目的 は 同様 に 当 て は ま る。 す な わ ち,石 油 業 の 原 価 計 算 で は,石 油 製 品製 造 の た め に 消 費 され た原 価 を分 類 し,計 算 ・管 理 す る とい う一 連 の 手 続 きが必 要 で あ る。 そ して そ の 結 果 を企 業 内 部 管 理 者 や,外 部 利 害 関係 者 へ 報 告 す る こ とが 主 要 な原 価 計 算 の 目的 で あ る。 上 述 の 原 価 計 算 の 目的 で,(3)の 原 価 管 理 目的 が 一 般 に 最 も重 要 な もの で あ るが,後 述 す る よ うに,石 油 業 界 に お い て は,管 理 可 能 な原 価 部 分 が 少 な い とこ ろ に 問題 が あ る。 1-1-2原 価 計 算 の 方 法 原 価 計 算 の 手 順 は,以 下 の3つ の 計 算 段 階 か らな る。 す な わ ち,原 価(1) 費 目別 計 算(2)部 門 別 計 算(3)製 品 別 計 算 とい う手 順 で あ る。 費 目別 計 算 で は,原 価 を材 料 費 ・労 務 費 ・経 費 の3つ の 種 類 に 区 分 し,そ れ ら を 測 定 ・算 定 ・集 計 す る。 部 門 別 計 算 は,発 生 した 場 所 別 に 原 価 を 集 計 す る 計 算 段 階 で あ る 。 こ の 計 30国 際経営論集No.292005

(3)

算 段 階 で は,原 価 を 正 確 に把 握 し,管 理 す る こ と に そ の 目的 が あ るが,一 般 に は,製 造 間接 費 の み を そ の計 算 の 対 象 とす る こ とが 多 い 。 そ して,原 価 計 算 の最 終 計 算 段 階 は,製 品別 計 算 で あ る。 製 品 別 計 算 で は, どの 製 品 に どの よ うな原 価 が どれ だ け発 生 した か を計 算 す る。 石 油 業 で は,費 目別 計 算 の要 素 と して,主 要 な原 材 料 で あ る原 油 代,原 油 精 製 の た め の原 価(労 務 費 ・減 価 償 却 費 等)等 が あ る。 一 般 に製 造 間接 費 に 関 して の み,部 門別 計 算 を行 う。 ま た,石 油 業 の 製 品別 計 算 は,典 型 的 な連 産 品 原 価 計 算 で あ る。 1-2原 価 管 理 の 目 的 と意 義 1-2-1石 油 業 に お ける 原 価 管 理 の 目的 大 蔵 省(現 財 務 省)企 業 会 計 審 議 会 中間 報 告(昭 和37年11月)の 原 価 計 算 基 準 で は 「原 価 管 理 とは原 価 の標 準 を設 定 して これ を指 示 し,原 価 の 実 際 の 発 生 を計 算 記 録 し,こ れ を標 準 と比 較 して そ の 差 異 の原 因 を分 析 し,経 営 管 理 者 に 報 告 し,原 価 能 率 を増 進 す る措 置 を講 ず る こ とを い う」 と規 定 して い る。 す な わ ち,設 定 した標 準原 価 と実 際原 価 とを比 較 ・分 析 す る こ とに よ り, 原 価 の 削減 ・管 理 を 図 る こ とを 目的 と して い る。 具 体 的 に は,石 油 業 で は い か に して 原 価 の低 減 を 図 っ て い る の か。 そ もそ も,石 油 製 品 の原 価 の 大 部 分 は,原 油 で あ る原 材 料 費 が 大 半 を 占 めて い る。 1985年 ま でOPECは ア ラ ビア ン ・ライ ト原 油 を 基 準 原 油 と して 公 式 販 売 価 格 を設 定 し,そ れ を参 考 に してOPEC以 外 の 産 油 国 も 自国 の 原 油 価 格 を 決 定 して い た。 しか し,OPECの 設 定 した価 格 が市 場 価 格 とか け離 れ,極 端 に割 高 とな り, 石 油 需 要 の減 退 の 原 因 とな っ た た め,OPECは85年 に公 式 販 売 価 格 を放 棄 し た。 この 結果,86年 に入 り原 油 価 格 は 大暴 落 した の で あ る。 そ の後,OPECは 以 前 よ りも低 い 水 準 で 再 び公 式 販 売 価 格 を設 定 し よ うと 試 み た。 しか しそ れ は失 敗 に終 わ り,88年 以 降 は ア メ リカ のWT1(ウ エ ス ト ・ 原価管理と環境原価 一コスモ石油㈱の事例を中心として一31

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テ キ サ ス ・イ ン タ ー ミデ ィ エ ー ト)原 油,イ ギ リス の ブ レ ン ト原 油,中 東 の ドバ イ 原 油 ・オ マ,_,ン 原 油 な ど の ス ポ ッ ト価 格 に 連 動 し て,原 油 価 格 を 設 定 す る 方 式 が 主 流 と な っ て い る。 サ ウ ジ ア ラ ビア,ク ウ ェ ー ト,イ ラ ン な ど の 中 東 産 油 国 は,日 本 向 け の 原 油 価 格 を ドバ イ,オ マ ー ン 両 原 油 の ス ポ ッ ト価 格(月 間 平 均 価 格)を 基 準 に 決 め て い る。 す な わ ち,通 常 の 製 品 ・サ ー ビ ス 業 と 異 な り,原 価 の 約8割 が 管 理 不 可 能 な も の で あ る た め,原 価 管 理 の 余 地 が 少 な い と い う こ と で あ る 。 そ の 結 果, 原 価 低 減 の 努 力 は 残 りの 総 原 価 中20%程 度 の 部 分 が,管 理 可 能 な 原 価 と し て 存 在 す る こ と に な り,そ の 部 分 を い か に して 低 減 して い く か とい う と こ ろ に, 石 油 業 の 原 価 管 理 目 的 が あ る とい え る。 1-2-2石 油 業 に お ける原 価 管 理 の意 義 石 油 製 品 は原 油 を精 製 した 場 合 に,ガ ソ リン,灯 油,軽 油,重 油 な どの 各 製 品 が 同 時 に 生 産 され る とい う特 性 を も っ て い る。 す な わ ち,連 産 品 が産 出 され る の で あ る。 この 石 油 製 品 の 連 産 品 と して の特 性 が,製 品 の 需 要 構 成 や 価 格 の 形 成 に影 響 を 与 え る。 連 産 品 で あ る石 油 製 品 に お い て,石 油 製 品全 体 の総 合 原 価 は 算 定 可 能 で あ る が,そ れ ぞれ 独 立 した各 製 品 の個 別 原価 を算 定 す る こ とは 困難 で あ る。 この た め,石 油業 で の収 益 性 は全 製 品 の 合 計 に よ っ て算 定 され る。 石 油 業 にお け る原 価 低 減 の た め に も,原 価 計 算 は厳 密 か つ 正 確 に 行 われ な けれ ば な らず,そ の 測 定 され た原 価 を管 理 して い く こ とは原 価 低 減 に繋 が る もの で あ る。 そ こで,各 社 に 特 有 の原 価 管 理 技 法 が あ る とい うわ けで は な い もの の,石 油 業 に お い て,原 価 管 理 の余 地 は,他 業 種 の そ れ と比 較 して 非 常 に少 な い とい え る。 32国 際 経 営 論 集No.292005

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2環 境 原 価 と そ の 管 理 本 稿 で 論 じる石 油 業 界 の よ うな 業 種 で は,そ の 事 業 活 動 が 環 境 に 多 大 な負 荷 を与 え るの で,こ の 章 で は環 境 原 価 とそ の 管 理 の 本 質 に 関 して 論及 す る。 2-1環 境 原 価 の 意 義 と 内容 2-1-1G.R.Wagnerの 見 解 環 境 保 全 に 関 して発 生 す る原 価 種 類 及 び原 価 カ テ ゴ リー が 多 様 で あ るた め, 普 遍 的 な 体 系化 は困 難 で あ るが,Wagnerは 環 境(保 全)原 価 の意 義 に 関 して, 以 下 の よ うに論 じて い る(注1)。 近 代 的 な原 価 概 念 か ら言 え ば,環 境 原 価 は,企 業 の意 思 決 定 に よ っ て 生 態 的 環 境 に 関連 して 生 じた 全 体 経 済 的 損 失 を い う。 例 え ば,Stoelzlesは 特 に生 産 面 を強 調 して,環 境 保 全 関連 の コス トを以 下 の よ うに分 類 して い る。 (a)投資 コス ト (b)(a)から生 じた計 算 上 の原 価 (c)経営 依 存 原 価 (d)帰結 原 価 (e)その他 の原 価 更 に,こ の分 類 に㊦機 会 原 価 とい う総 括 的 原 価 カ テ ゴ リー を補 完 して,次 の よ うに体 系化 で き る。 (a)の環 境 保 全 投 資 コス トで は,環 境 関連 の企 業 の能 動 的 投 資 と直接 的 に 関 連 を持 つ 第1次 及 び 第2次 の原 価 を発 生 させ る。 例 え ば,生 産 性 向 上 の た め の 作 業 屑 を減 じる生 産 設 備 原 価,ま た 広 い 意 味 で は,市 場 開 拓 準 備 費,用 役 潜 在 的 準 備 費 及 び そ の他 生 産 準備 費 の形 態 で生 じた 原 価 も含 む。 (b)の計 算 上 の 環 境 保 全 原 価 に は,こ の投 資 コ ス トか ら生 じ,か っ,当 該 設 備 に係 わ る計 算 上 の減 価 償 却 費 な らび に財 務 活 動 か ら生 じる計 算 上 の 利 子 も 含 まれ る。 (c)の経 営依 存 的 環 境 保 全 原 価 に は,こ れ らの設 備 利 用 原 価 の一 部 で あ り, こ の 場合,追 加 的 あ る い は 特 別 に使 用 され た原 材 料,補 助 材 料,工 場 消耗 品 原価管理と環境原価 一コスモ石油㈱の事例を中心として一33

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及 び 当該 設備 装 置 操 作 の た め に必 要 な 人材 に係 わ る原 価 も含 ま れ る。 (d)の環 境 保 全 に係 わ る帰 結 原 価 カテ ゴ リー に は,環 境 関連 の 意 思 決 定 の 形 成 に遡 及 し得 るす べ て の金 額 が 包 含 され る。 しか し,投 資 及 び経 営 依 存 的原 価 に 関す る境 界 を 明確 にす るた め,特 に,事 実 の 予 見 が 困 難 で あ る帰 結 原 価 の み につ い て 論 ず るべ き で あ る。 例 え ば,具 体 的 に は,全 体 的 設 備 の 生 産 性 を あ ま り考 慮 しな い,環 境 にや さ しい 生 産 方 法 を採 用 す る こ とで 生 産 性 が低 下 した 場 合 の原 価 が これ に相 当す る。 ま た,環 境 保 全 に依 存 す る帰 結 原 価 と して は,後 に新 しい保 証 基 準 ま た は予 防 基 準 が 必 要 とな る陳 腐 化 予 防 を技 術 方 法 別 に 開発 す る よ うな 場合 の原 価 で あ る。 (e)のそ の他 の環 境 保 全原 価 に は,施 設 や 環 境 保 全 に係 わ る設 備 の 運 転 に 関 連 して 間 接 的 に 生 じる原 価 や,経 営 環 境 保 全 委 託 の た めの 人 件 費 等 が 含 まれ る。 (Oの 環 境 保 全 機 会 原 価 は,包 括 的 な情 報 を得 る こ と に よ って,経 済 的 代 替 性 に お け る シ ス テ マ テ ィ ッ クな 考 え方 か ら,経 営 経 済 的 意 思 決 定 の 評 価 を 可 能 にす る。 なぜ な ら,上 に挙 げ た環 境保 全 の た め の有 効 な 計 算 上 の原 価 の み で な く,環 境 指 向 の基 準 に よ っ て 実 現 され た 原価 節 約 もま た 意 思決 定 額 に 関 連 して い るか らで あ る。 例 え ば,原 材 料 の リサ イ クル,節 約 使 用,ま た は汚 水 排 出 量減 少 のた め の効 果 的 基 準 と して罰 金 を支 払 うこ とが あ る。 この機 会 原 価(別 の観 点 か らは 「機 会 収 益 」)は,そ れ が企 業 の環 境 保 全 指 向 の あ る 種 の経 済 的 利 点 を表 す こ とに よ っ て,上 に挙 げ た 原 価 と相 対 した ポ ジ シ ョン を形 成 す る。 しか し,環 境 保 全 原 価 を企 業 固有 の営 業 活 動 に係 わ る原 価 か ら切 り離 す こ とが 通 常,問 題 とな る。 な ぜ な ら,環 境 保 全 原 価 は,多 く の場 合,環 境 維 持 の た め の努 力 に よっ て按 分 され るか らで あ る。 この 問題 は,例 え ば,環 境 投 資,特 に経 済 的基 盤 か ら,長 期 的 競 争 状 況 の確 保 ま た は改 善 をす る こ とに よっ て解 決 され る。 それ 故 にr例 え ば,空 気 清 浄 フ ィル ター 装 置 の た め の任 意 な 投 資 が 純 粋 に 生 態 的観 点 か ら実 施 され る と,当 該 投 資 総 額 は,環 境 保 全 に役 34国 際経営論集No.292005

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立 つ もの と定 義 され る。 全 設 備 の 技 術 的耐 用 年 数 を高 め る フ ィル ター 装 置 の 設 置,ま た は そ の他 の 問題 解 決 の 際 に採 られ た,何 らか の革 新 的 解 決 方 法 に よ って 得 られ た収 益 一 ほ とん ど副 次 的 な もの で あ るが 一が 達 成 され る 限 り, これ らの投 資 コス トは 当然 企 業 の環 境 コス トに 分類 され る。 2-1-2環 境 省 「環 境 会 計 ガイ ドブ ッ ク2002年 版 」 我 が 国環 境 省 「環 境 会 計 ガ イ ドブ ッ ク2002年 版 」 で は,環 境(保 全)原 価 とは,環 境 負 荷 の発 生 の 防 止,抑 制 ま た は 回避i,影 響 の 除 去,発 生 した被 害 の 回 復 ま た は これ に 資 す る取 組 のた め の 投 資 額 お よび 費 用 額 で,貨 幣 単 位 で 測 定 した もの で あ る と して い る。 ま た,環 境 保 全 コス トの分 類 ・内 容,集 計 方 法 に 関 して も規 定 して い る。 そ の 分 類 で は,事 業 内 エ リア コス ト,上 ・下 流 コス ト,管 理 活 動 コス ト,研 究 開 発 コス ト,社 会 活 動 コ ス ト,環 境 損 傷 対 応 コ ス ト,そ の他 の コス トに 分 け て そ の 内容 を説 明 して い る(注2)。 (1)事 業 エ リア 内 コス ト これ は企 業 等 の 主 た る事 業 活 動 に よ り事 業 エ リア 内 で 生 じる環 境 負 荷 を低 減 す る取組 の た め の コ ス トで あ る。 環境 保 全 の分 野 との 関係 で公 害 防止 コ ス ト,地 球 環境 保 全 コス ト,資 源 循 環 コ ス トの3つ に 分 けて,そ れ ぞ れ 説 明 して い る。 (2)上 ・下 流 コ ス ト 事 業 エ リア の 上 流 す な わ ち財 ・サ ー ビス を投 入 す る 前 の領 域 で発 生 す る 環 境 負 荷 を抑 制 す る取 組 の た め の コ ス ト,お よび 企 業 等 が 生 産 ・販 売 した 製 品,容 器 包 装 等 の使 用 消 費 ・廃 棄 等 に伴 い,事 業 エ リア の 下流,す な わ ち財 ・ サ ー ビス を産 出 ・排 出 した 後 の領 域 で発 生 す る環 境 負 荷 を抑 制 す る取 組 の た め の コ ス トな らび に これ に 関連 した コス トで あ る。 (3)管 理 活 動 コス ト 企 業 等 にお け る環 境 保 全 の た め の管 理 活 動 で あ っ て,事 業 活 動 に伴 い発 生 原価管理と環境原価 一コスモ石油㈱の事例を中心として一35

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す る環 境 負 荷 の抑 制 に対 して 間 接 的 に貢 献 す る取 組 の た め の コ ス トや,環 境 情 報 の 開 示 等,企 業 等 が社 会 との コ ミュニ ケ ー シ ョン を 図 る取 組 の た め の コ ス トで あ る。 (4)研 究 開発 コ ス ト 企 業 等 にお け る研 究 開発 活 動 の た め の コス トで,環 境 保 全 に 関連 す る コス トで あ る。 (5)社 会 活 動 コス ト 事 業 活 動 に は 直接 に 関連 しな い社 会 活 動 にお け る環境 保 全 に 関す る取 組 の た め の コ ス トで あ る。 (6)環 境 損 傷 対 応 コス ト 企 業 等 にお け る事 業活 動 が 環 境 に 与 え る損 傷 に対 応 して 生 じた コス トで あ る。 (7)そ の他,上 記 以 外 の環 境 保 全 関 連 コ ス ト さ らに そ の 集 計 方 法 と して,差 額 集 計,合 理 的 基 準 に よ る按 分集 計,簡 便 な基 準 に よ る按 分 集 計 に分 け て 「2000年版 」と同様 の説 明 を して い る。 これ 以 外 に,環 境 原 価 の 定 義 ・分 類 に 関 して 触 れ て い る も の と して は, 「ガ イ ドブ ッ ク 」 に も影 響 を 与 え て い る ア メ リカ 環 境 保 護 庁(EPA)の 手 引 書 『経 営 管 理 手 法 と して の 環 境 会 計 入 門 』(日 本 公 認 会 計 士 協 会 訳)等 が あ る。 ち な み に,EPAの 手 引 書 で は,隠 れ て い る 可 能 性 の あ る コ ス ト(規 制 対 応 コ ス ト,事 前 コス ト,事 後 コ ス ト,自 主 的 対 応 コス ト,伝 統 的 コス ト),偶 発 コ ス ト,イ メー ジ ア ップ/関 係 づ く りコス トに大 別 して 一 覧 に供 して い る。 2-2環 境 原 価 の管 理 環 境 原 価 の 管理 法 と して (1)伝 統 的 な原 価 管 理 技 法 標 準 原 価 に よ る管 理 36国 際経営論集No.292005

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予 算 に よ る 管 理 等 (2)最 近 の 原 価 管 理 技 法 プ ロ ツ ェ ス 原 価 計 算(ABC/ABM) 原 価 企 画 ラ イ フ サ イ ク ル ・コ ス テ ィ ン グ フ ロ ー ・コ ス テ ィ ン グ サ プ ラ イ チ ェ ー ン ・マ ネ ジ メ ン ト そ の 他:PAF法,環 境 コ ス トマ ト リ ッ ク ス 法 等 が 考 え られ る が,そ の 際,製 造 原 価 等 の 管 理 と異 な っ て 環 境 効 率 と 環 境 容 量 との 問 題 に 関 して も 配 慮 す る必 要 が あ る 。 以 下 で は,紙 幅 の 制 約 もあ る の で,ラ イ フ サ イ ク ル ・コ ス テ ィ ン グ,フ ロ4_・ コ ス テ ィ ン グ の2技 法 に 関 して の み 論 及 す る。 2-2-1ラ イ フ サ イ ク ル ・コ ス テ ィ ン グ(LCC)の 活 用 比 較 的 新 し い 原 価 管 理 手 法 と して,LCCが 考 え られ る 。LCCの 起 源 に 関 し て は 種 々 の 見 解 が あ る が,一 般 に は1960年 代 の ア メ リカ 国 防 総 省 の 実 践 等 に 求 め る こ と が で き る(岡 野 憲 治,牧 戸 孝 郎 等)。 す な わ ち,国 防 総 省 が1963 年 にLCCに 基 づ い て 競 争 的 調 達 契 約 を す る か 否 か を 評 価 す る 技 法 と して 用 い た こ と に 起 源 を 発 す る とい う。 ア メ リカ 国 防 総 省 「LCC-1指 針,調 達 指 針 と して の ラ イ フ サ イ ク ル ・コ ス テ ィ ン グ(中 間 報 告)」(1970年7月)に お い て 詳 細 に そ の 概 念 が 規 定 され て い る。 す な わ ち,LCCと は,調 達 契 約 に 際 して そ の ハ ー ドウ ェ ア 等 の 取 得 原 価 の み で な く,所 有 す る こ と に よ っ て 発 生 す る オ ペ レー テ ィ ン グ ・コ ス ト, 保 全 コ ス ト及 び そ の 他 の コ ス トを 考 慮 す る 技 法 で あ る 。 こ の 技 法 の 目的 は, 調 達 され るハ ー ドウ ェ ア 等 に 関 して,そ の 全 耐 用 期 間 を 通 じ て 発 生 す る 所 有 コ ス トを 最 小 に 抑 え る こ と に あ る。 そ れ に よ っ て,調 達 者 で あ る政 府 は 負 担 を 削 減 で き る 。 原価 管理 と環 境原価 一コスモ石 油㈱ の事例 を中心として一37

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本 指 針 で は,LCC目 的 の た め の コ ス トを 取 得 原 価,最 初 の ロ ジ ス テ イ ク ス ・ コ ス ト,定 期 的 に 発 生 す る 原 価 の3つ の 要 素 に 分 類 し て 説 明 して い る。 こ の うち 取 得 原 価 に は,調 達 さ れ るハ ー ドウ ェ ア,デ ー タ,サ ー ビ ス 等 の コ ス ト が 含 ま れ て い る。 ま た,最 初 の ロ ジ ス テ ィ ク ス コ ス ト と は,そ の 調 達 に 際 し 識 別 可 能 で あ り,単 発 的 に 発 生 した ロ ジ ス テ ィ ク ス ・コ ス ト(例:最 初 の 保 全 人 員 ト レー ニ ン グ コ ス ト等)を 意 味 す る。 定 期 的 に 発 生 す る原 価 と は,調 達 部 品 の 稼 働,保 全 及 び マ ネ ジ メ ン ト等 に 関 連 して 発 生 す る原 価 で あ る。 こ れ に は 予 防 及 び 修 繕 保 全 の た め の 原 価,フ ァイ ル メ ン テ ナ ン ス 及 び 新 技 術 デ ー タ に つ い て 繰 り返 し発 生 す る 棚 卸 資 産 の 管 理 費,訓 練 費,稼 働 の た め に 要 す る材 料 ・燃 料 費 等 が 含 ま れ る。 ま た,ド イ ツ に お い て もLCCは そ の ま ま,あ る い は"Lebenszykluskostenrech nung"と 直 訳 さ れ 導 入 さ れ て い る 。Wildemann,H.,Madauss,B.-J., Wuebbenhorst,K,L.,Froehling,0.等 が こ の テ ー マ に つ い て 論 究 して い る 。 上 述 の よ う に,LCCは,元 来,物 品 の 調 達 に 際 し,そ の 全 耐 用 期 間 に わ た る使 用 コ ス ト,保 全 ・廃 棄 コ ス トが 最 小 に な る よ うな 購 入 の た め の 情 報 を 提 供 す る こ と に あ っ た 。 しか し,企 業 に お い て は,製 品 の 開 発 ・設 計 段 階 で こ れ ら全 て の 原 価 を 考 え る ほ うが よ り効 率 的 で あ る 。 そ れ 故 に,LCCは,製 品 の 開 発 ・設 計 ・製 造 ・輸 送 ・販 売 ・使 用 ・修 理 保 全 ・再 利 用 ・廃 棄 処 分 とい っ た サ イ ク ル を 考 慮 し,そ の 環 境 へ の 影 響 を 分 析 ・評 価 す る プ ロ ダ ク ト ・ライ フ サ イ ク ル ・ア セ ス メ ン ト(PLCA)に も 有 益 な 原 価 情 報 を 提 供 で き る 。 ドイ ツ に お い て も,G.R.Wagner等 は 環 境 保 全 の た め にLCCの 技 法 を 利 用 す る こ と に も触 れ て い る 。 こ のLCC実 施 上 の 難 点 と して,開 発 か ら廃 棄 処 分 に わ た る ライ フ サ イ クル ・ コ ス トを,そ の 資 料,技 法 等 が 必 ず し も完 全 で な い た め 正 確 に 算 定 す る こ と が 困 難 で あ る こ と。 更 に,新 し い 技 法 導 入 に 対 す る 準 備 体 制 が 追 い 付 か な い こ と等 が 挙 げ られ る(注3)。 38国 際 経 営 論 集No.292005

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2-2-2フ ロー ・コ ス テ ィ ング の活 用 原 材 料(水,空 気 を含 む)・ エ ネ ル ギー の投 入 とそ の製 品 お よび廃 棄 物 の 産 出 量 との 関係 か ら環 境 原価 の 計算 ・管理 をす る こ とをそ の 目的 と して い る。 す な わ ち,原 材 料 ・エ ネ ル ギ ー 等 を 投 入 時 か ら産 出 時 ま で,物 量 的 ・価 値 的 にそ の 流 れ を追 跡 して 測 定 ・把 握 す る計 算 ・管 理 す る方 法 で あ る。 伝 統 的 な 原 価 計 算 が 製 品 の原 価 の み に拘 るの に 対 して,こ の 計 算 法 で は,そ れ 以 外 の 仕 損 品,作 業屑,廃 棄 物 ・排 出 ガ ス等 の原 価 に 関 して も物 量 的 ・価 値 的 に そ の 流 れ を追 跡 して測 定 ・把 握 し,管 理 す る。 図 表2-2-1 原 材 料 の フ ロ0・ モ デ ル(製 薬 業) 図 表4-6-1原 材 料 の フ ロー ・モ デ ル(製 薬 業) 出 所:Strobel,Markus&Wagner,Bernd:a,a,0,S.43 こ の 技 法 は ド イ ツ の 学 者BerndWagner,MarkusStrobel(注4)等 に よ っ て 提 唱 さ れ た と さ れ た も の で あ る が,原 材 料 ・エ ネ ル ギ ー 原 価 の 構 成 比 率 が 高 い 業 種 ほ ど 有 効 に 作 用 し,サ ー ビ ス 業 関 係 で は あ ま り 有 効 で は な い 。 更 に環 境 原 価 計 算 を,固 定 費 補 償 計 算,補 償 貢 献 額 計 算,結 合 限 界 全 部 原 価 計 算 の よ うな そ の 他 の意 思 決 定 指 向 原 価 計 算 シ ステ ム と統 合 し,測 定 ・管 原価管理と環境原価 一コスモ石油㈱の事例を中心として一39

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理 す る こ と も可 能 で あ ろ う。 2-2-3環 境 効 率 の 概 念 " eco-e茄ciency"(エ コ ・エ フ ィ ー シ ェ ン シ ー)と い う用 語 は,"ecologicale缶 一 ciency"の 省 略 語 で あ り,外 来 語 と して そ の ま ま エ コ ・エ フ ィ ー シ ェ ン シ ー, ま た は エ コ 効 率,環 境 効 率 等 の 名 称 で 使 用 され て い る。 こ こ で は,最 近 よ く 使 わ れ て い る 環 境 効 率 とい う名 称 を使 用 す る 。 企 業 を 取 巻 く 自然 環 境 や ス テ ー ク ホ ル ダ ー の 変 化 に と も な い,企 業 は 自然 環 境 を 消 極 的 に,あ る い は 積 極 的 に 配 慮 す る よ うに な っ た 。 例 え ば,消 費 者 が そ の 企 業 の 事 業 活 動 に 不 満 を 持 て ば,彼 等 は 不 買 運 動 を した り,訴 訟 を 起 こ した り,新 しい 議 案 の 通 過 運 動 を す る(lobby)よ うに な っ た 。 ス テ ー ク ホ ル ダ ー は,も は や お と な しい 羊 で は な く な っ た の で あ る。 こ の よ うな 傾 向 は, 企 業 に と っ で 快 い こ と で は な い が,確 か に こ の こ と が 企 業 を して 社 会 の ニ ー ズ を 戦 略 的 に 考 え る よ う喚 起 した 積 極 的 要 因 の1つ で あ る(注4)。 そ の よ うな 企 業 に お い て,事 業 活 動 と環 境 配 慮 と の 関 連 を 指 標 化 して 示 し た も の が 環 境 効 率 概 念 で あ り,以 下 の よ うに 公 式 化 で き る。 環 境 効 率=事 業 活 動 パ フ ォ.._...マン ス 指 標 ÷ 環 境 配 慮 パ フ ォ ー マ ン ス 指 標 この 算 式 の 分 子 で あ る事 業 活 動 パ フ ォー マ ン ス指 標 に は 売 上 高,利 益,付 加 価 値,費 用,原 価 等 が,分 母 で あ る環 境 配 慮 パ フォ ー マ ン ス 指 標 に は 環 境 負 荷 量 が入 る。 環 境 原 価 の 管 理 で は,原 価 をパ フ ォー マ ン ス指 標 と した もの で あ る。 環 境 効 率 も効 率 化 指 標 で あ る が,戦 略 上,効 率 化 の み を追 求 す る の は 問題 が あ る。 有 限 の 地 球 環 境 に お い て は環 境 容 量 に つ い て も考 慮 す る必 要 が あ る (注5)。 40国 際 経 営 論 集No.292005

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〔脚 注 〕 (注1)Wagner,GerdRainer:KostenderUmwelterhaltunginihrerBedeutung fuerdieUnternehmenpolitik,inHandbuchKostenrechnung,(Hrsg.)Maennel, Wolfgang,BetriebswirtschaftlicherVerlagDr.Th.GablerGmbH,Wiesbaden1992, S.920 (注2)環 境 省 『環 境 会 計 ガ イ ド ブ ッ ク2002年 版 一 環 境 会 計 ガ イ ド ブ ッ ク2002 年 版 の 理 解 の た め に 一 』10頁 以 下 (注3)拙 著 『環 境 経 営 会 計 の 基 礎 理 論 と 実 践 』2004年,102,103頁 (注4)Strobel,Markus&Wagner,Bernd:StrukturierungundEntwicklungder BetrieblichenStoff-undEnergiefluesse,in:Umweltkosten-management,1997,SS. 28-57. (注5)拙 著:前 掲 書182頁 3コ ス モ 石 油(株)に お け る 原 価 管 理 と 環 境 原 価 の 事 例 注1) 3-1原 価 計 算 と原 価 管 理 3-1-1原 価 計 算 石 油製 品 は 典 型 的 な連 産 品 で あ り,コ スモ 石 油(株)に お い て も連 産 品原 価 計 算 を採 用 し,総 製 造 費 用 を 等価 係 数 を基 準 に して各 製 品 に配 分 して い る。 配 分 の も とにな る総 製 造 費 用 は処 理 原 油代 と製 造 費 で構 成 され てい る。 処 理 原 油代 は運 賃,保 険 料 を含 め た原 油 代,関 税,石 油税 か らな り,ま た,製 造 費 は製 油所 で か か っ た コス トで あ る。 この総 製 造 費 用 の うち か な りの 部 分 を 原 油 代 が 占め て い る。 原 価 計 算 期 間 は1ヶ 月 で あ り,1ヶ 月 ご とに原 油 の 消費 高 も計 算 され る が, 消 費 単価 の 計 算 は1ヶ 月 間 に発 生 した全 取 引 を集 計 して,総 平 均 法 に よ り算 出 して い る。 した が っ て 同一 期 間 内(1ヶ 月 間)は 消 費 単 価 が変 動せ ず 一 定 で あ る。 原 油 価 格 は 激 しく変 動 す る こ とが あ る の で,先 入 先 出 法 や 後 入 先 出 法 で は 消 費 単 価 が 大 幅 に異 な る こ とが あ り,消 費 単価 の計 算 に 適 して い る と 原価管理と環境原価 一コスモ石油㈱の事例を中心として一41

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は 言 え な い。 総 製 造 費 用 の 配 分 で は,1次 配 賦 で 処 理 原 油 代,製 造 費 を 製 品,半 製 品 (製,品に か な り近 い仕 掛 品)に 配 賦 し,2次 配 賦 で 半 製 品 投 入 金 額 を 製 品 に 配 賦 して い る。 原 価 計 算 の 方 法 は,す で に述 べ た とお り,連 産 品原 価 計 算 で あ り,市 場 価 格 を用 い て 等 価 係 数 を 定 め 製 品 に按 分 して い る が,市 場 価 格 は 実 際価 格 で は な く過 去 の 実績 な どか ら定 めた 予 定 価 格 を使 用 して い る。 3-1-2原 価 管 理 す で に述 べ た よ うに,総 製 造 費 用 の か な りの 部 分 を原 油 代 が 占 め て お り, 原 油代 の 決 定 は コ スモ 石 油(株)の 管 理 外 に あ る の で,総 製 造 費 用 の80∼90 %が 外 的 要 因 で決 定 され,原 価 管 理 とい う面 で は か な り難 しい状 況 に あ る。 た だ し,管 理 可 能 な 製 造,物 流 コス トに つ い て は,原 価 低 減 を 目標 と して 取 り組 ん で い る。 製 造 面 に お い て は,石 油 精 製 工 程 で発 生 す る ガ スやLPガ ス な どを利 用 した コー ジ ェネ レー シ ョンシ ス テ ム を設 置 して エ ネ ル ギー の有 効 利 用 を図 り,省 エ ネ ル ギ ・一 と原 価 低 減 を 目指 して い る。 ま た,物 流 面 で も原 油 輸 送 の 効 率 化 を図 るた め,20万t級 タ ン カ ー か ら30万t級 タ ンカ ー へ の 大 型 化 を進 め て い る。 さ らに,新 日本 石 油(株)と 設 立 した 日本 グ ロー バ ル タ ンカ ー(株)に お い て タ ンカ ー の共 同運 航 を行 って い る。 この よ うな タ ンカ ー の 大型 化 や 効 率 的 な 用 配 船,運 航 に よ り,タ ンカ ー燃 料 消 費 量 の 削減 に努 め て お り,物 流 面 に お い て も省 エ ネ ル ギ:.,と原 価 低 減 を 目指 してい る。 ま た,石 油 産 業 に お い て は安 全 性 や 安 定 供 給 を原 価 低 減 以 上 に重 視 せ ね ば な らず,原 価 低 減 に も限 界 が あ る。 安 全 面 に お い て は タ ンカ ー へ の 衝 突 防止 装 置,事 故 時 の 原 油流 出防 止 の た め の ダ ブル ハ ル 構 造 の 導 入 な ど各 種 の 対 策 を 講 じて い る。 しか し,安 定 供 給 とい う面 か らは,厳 冬 期 に は高 価 に な っ た 原 油 も輸 入 せ ね ば な らな い こ とが あ り,原 価 低 減 が進 み に くい 一 因 に な っ て い る。 コ ス モ 石 油(株)で は,原 価 管 理 は予 算 管 理 中 で と ら え てお り,月 別 で 予 42国 際経営論集No.292005

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算 と実績 の差 異 を月 次 報 告 とい う形 で 取締 役 会 に提 出 して い る。 以 上,コ ス モ 石 油(株)の 原 価 管 理 につ い て見 て き た が,総 製 造 費 用 の80 ∼90%が 外 的 要 因 で決 定 して しま うの で,原 価 低 減 は 目指 しつ つ もほ とん ど 原 価 管 理 はで き な い 状 態 で あ り,原 価 管 理 の 中 心 は い か に 国 内価 格 に転 嫁 で き る か とい うこ とに な ら ざる を えな い のが 実 状 で あ る。 3-2環 境 原 価 の 管 理 3-2-1環 境 全 般 に 対 す る 取 り組 み コ ス モ 石 油(株)で は 「地 球 環 境 問 題 は,持 続 的 な 発 展 に 対 す る 重 大 な 脅 威 」 と と ら え,環 境 問 題 に つ い て 積 極 的 に 取 り組 ん で お り,現 在 「環 境 で 選 ば れ る コ ス モ 石 油 」 を ス ロ ー ガ ン とす る環 境 中期 計 画 「ブ ー ア(BlueEarth) 21」(2002∼2004年)が 進 行 中 で あ る 。 「ブ ー ア21」 で は,① 温 暖 化 対 応,② 汚 染 物 質 排 出 削 減,③ 土 壌 環 境 対 応,④ 省 資 源,⑤ 製 品 の 環 境 負 荷 低 減,⑥ グ リー ン購i入,⑦ 研 究 開 発(環 境 技 術 開 発,新 エ ネ ル ギ ー),⑧ 環 境 貢 献 プ ロ ジ ェ ク ト(環 境 保 全 技 術 協 力,「 エ コ 」 カ ー ドプ ロ ジ ェ ク ト),⑨ 環 境 経 営 推 進 施 策(環 境 マ ネ ジ メ ン ト,環 境 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン)と い う9つ の テ ー マ を 設 定 し,目 標 達 成 に 向 け て 取 り組 ん で い る 。2004年 度 は 「ゼ ロ エ ミ ッ シ ョ ン 」,「グ リー ン 購 入 」,「土 壌 環 境 対 応 」 を 重 点 テ ー マ に 設 定 し,環 境 中 期 計 画 に 取 り組 ん で お りaま た,環 境 中 期 計 画(第1期)の 最 終 年 度 に あ た る の で,全 テ ー マ の 目標 達 成 を 目指 して い る 。 環 境 情 報 の 開 示 に つ い て も積 極 的 で,2001年 度 か ら環 境 報 告 書 を 毎 年 発 行 し,2002年 度 か ら は ダ イ ジ ェ ス ト版 で あ る 「グ リ0ン レポ ー ト」 の 発 行 も 開 始 した 。2004年 度 か ら は,企 業 と社 会 の 持 続 的 発 展 に 向 け た 企 業 活 動 に 関 す る情 報 を 幅 広 く 総 合 的 に 開 示 し て い くた め,従 来 の 「環 境 報 告 書 」 を 「サ ス テ ナ ビ リテ ィ レ ポ ー ト」 に リニ ュ ー ア ル し,環 境 以 外 の 情 報 も加 え,内 容 を さ ら に 充 実 させ た 。 こ れ ら の 報 告 書 は ホ ー ム ペ ー ジ に も掲 載 され て い る。 原価 管理 と環境原価 一コスモ石 油㈱の事例 を中心として一43

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3-2-2環 境 会 計 に対 す る 取 り組 み コス モ 石 油 グル ー プ で は,2000年 度 よ り環 境 会 計 の集 計 を 開始 して い る。 環 境 会 計 の 作成 に あ た って は,環 境 省 の 「環 境 会 計 ガ イ ドライ ン(2002年 版)」 ,「 環 境 保 全 コス ト分 類 の 手 引 き2003年 版 」 を参 考 に し,環 境 保 全 コ ス トお よび 環 境 保 全 効 果 に つ い て 取 りま とめ,ま た,経 済 効 果 に つ い て も集 計 して い る。 なお,2002年 度 に 「環 境 会 計 シ ス テ ム の 開 発 お よび 効 率 的 運 用 」 を環 境 中 期 計 画 の 一 環 と位 置 づ け 開発 を進 め,2003年 度 か らは この シ ス テ ム を用 い て 環 境 会 計 の集 計 を行 っ て い る。 3-2-3環 境 保 全 コ ス ト 2003年 度 の 集 計 結 果 は,投 資 額 で11,402百 万 円,費 用 額 で47,005百 万 円 と な り,前 年 度 に 比 べ て 投 資 額 で9,167百 万 円 の 増 加,費 用 額 で3,162百 万 円 の 増 加 と な っ た 。 投 資 額 は 償 却 資 産 へ の 設 備 投 資 額 の うち,環 境 保 全 を 目的 と し た 支 出 額 で あ り,費 用 額 は 環 境 保 全 に か か わ る 当 期 の 費 用 額(減 価 償 却 費 を 含 む)で あ る 。 コ ス トの 集 計 に つ い て は 財 務 会 計 の 勘 定 科 目 を 網 羅 す る よ う に 集 計 して い る が,通 信 費,水 道 光 熱 費,福 利 厚 生 費 な ど環 境 保 全 コ ス ト と して 内 容 が 特 定 で き な い も の は 環 境 コ ス ト抽 出 対 象 外 と して い る 。 集 計 す る コ ス トは ① 事 業 エ リア 内 コ ス ト(公 害 防 止 コ ス ト,地 球 環 境 保 全 コ ス ト,資 源 循 環 コ ス ト),② 管 理 活 動 コ ス ト(社 員 へ の 環 境 教 育 ,環 境 マ ネ ジ メ ン トシ ス テ ム の 運 用 ・維 持,事 業 所 内 の 緑 化 維 持 ・美 化,環 境 負 荷 の 監 視 測 定 の た め の コ ス ト),③ 社 会 活 動 コ ス ト(事 業 活 動 と 関 係 の な い 緑 化 活 動 に か か わ る コ ス トな ど),④ 上 ・下 流 コ ス ト(製 品 の 低 硫 黄 化,ガ ソ リ ン の 有 害 物 質 代 替,石 油 化 学 製 品 の 芳 香 族 分 低 減 化),⑤ 研 究 開 発 コ ス ト(環 境 保 全 に か か わ る 研 究 開 発 コ ス ト)に 分 類 され て い る。2003年 度 は こ れ ら の コ ス トの うち,公 害 防 止 コ ス ト,地 球 環 境 保 全 コ ス ト,製 品 の 低 硫 黄 化 の た め の コ ス トの 投 資 額 が そ れ ぞ れ7,119百 万 円,2,555百 万 円,1,272百 万 円 で あ 44国 際経 営論集No.292005

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り,ま た,費 用 額 は そ れ ぞ れ5,0x5百 万 円,7,598百 万 円,23,418百 万 円 で あ る 。 投 資 額 の 大 部 分 は こ の3つ の コ ス トが 占 め,費 用 額 は これ らの コ ス トとガ ソ リ ン の 有 害 物 質 代 替 の た め の コ ス ト(費 用 額8,527百 万 円)の4つ の コ ス ト で 大 部 分 を 占 め て い る。 な お,地 球 環 境 保 全 コ ス トとは,コ ー ジ ェネ レ ー シ ョ ン設 備 な ど の 省 エ ネ ル ギ ー 設 備 に か か わ る コ ス トで あ る 。 図 表3-1 》環 境保 金纂スト `調

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コ ス モ 石 油 グ ル ー プ で は ,ス ウ ェ ー デ ン 環 境 研 究 所 が 中 心 と な っ て 開 発 し た シ ス テ ム で あ るEPSに よ り設 定 され た 重 み づ け 係 数 を 導 入 し,各 項 目 の 環 境 負 荷 量 に乗 じ,全 体 負 荷 量 の 総 合 評 価 を し て い る。 事 業 活 動 に お け る環 境 負 荷 は,2003年 度 はEPSに よ るCO2i換 算 で329千 トン増 加 し,5,254千 トン と な っ て い る 。 ま た,製 品 使 用 時 の 環 境 負 荷 は,CO、 換 算 で 前 年 度 よ り3,643千 トン 増 加 し,80,694千 トン とな っ て い る。

図表3-2

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図 表3-3

口 環 境 負荷 の 統 舎化(単 位:午t・cap換算)

噌 覧 覧.^m一 盆卜 帆 、蝸 申 事業 工 リ ア 内 S◎x(係 数3◎3) 192 ▲10 NOx(係 数1{議7) 65 ▲1 ベンゼン(係数33B) o 0 曜 COO(係 数◎.00935) Q 0 C◎2(係 数 η 4,957 ▲318 事zリ ア内 禽計 5,254 ▲329 製 畠 潜在SO燈(係 数3α3) 5,524 『 i134 ≪. .:..;.使 矯 時CO2(係 数1) 75,170 ・3,509 製晶 台計 80,694 ▲3β43 事業工リア内÷饗畠 台計 85948 ・コ3,92 3-2-5経 済 効 果 経 済 効 果 は ① 省 エ ネ ル ギー に よ る節 約(コ ー ジ ェ ネ レー シ ョン に よ る節 約), ② 触 媒 リサ イ ク ル に よ る 節 約,③ 石 膏 売 却 収 入,④ ア ン モ ニ ア 再 生 装 置 設 置 の 効 果,⑤ 研 究 開 発 に よ る 効 果 額(ロ イ ヤ リテ ィ 収 入 ほ か),⑥ 本 社 事 業 所 の 電 気 代 節 約 な ど,の6種 類 を 集 計 して,2003年 度 は2,816百 万 円 の 効 果 を あ げ て い る が,そ の 大 部 分 は ① 省 エ ネ ル ギ ー に よ る 節 約 の2,571百 万 円 で あ る 。 原価 管理 と環境 原価 一コスモ石油㈱ の事 例を中心 として一47

(20)

図3-4

か経済 効 果

(攣位;筥万 円) 省エネルギーによる節 約額 (.W..ジ ェ ネ レ ー シ ョン に よ る 節 約) 2,57擁

触 媒リサイクルによる節約額

(廃棄処分 費用節約 額ほか〉

0

石膏売却収入

r X17

アンモニア再生装覆設置の効果

76 研 究 開発 による効 果 額 (ロイヤリティ収 入 ほか〉 49

本社事務所の電気代節約額など

3

舎計

2,8給 [脚 注] 注1)こ の 節 は 「コ ス モ 石 油 株 式 会 社 サ ス テ ナ ビ リテ ィ レ ポ ー ト」,「 コ ス モ 石 油 株 式 会 社DATABOOK」 に 依 拠 し て い る 。 4原 価 管 理 上 の 諸 課 題 一 石 油 業 界,特 に コ ス モ 石 油 の 場 合 4-1製 造 原 価 等 の 管 理 上 の課 題 石 油 業 にお い て は,原 油 代,税 金 の比 率 が 高 く,そ の 他 の 原 価 の割 合 が 極 端 に低 い。 我 が 国 で は 法 定在 庫 と して70日 間分 の備 蓄 が義 務 づ け られ て お り, この こ とが原 価 管理 を さ らに難 しい もの と して い る。 原 油 価 格 は,公 定 価 格 を基 準 と して算 定 され,ま た 税 金 は 国家 の財 政 政 策 に よ っ て決 定 され る の で,こ れ らは石 油 業 に は与 件 とみ な さな けれ ば な らな い。 そ れ ゆ え,原 価 管 理 の た め に残 され た部 分 は10%∼20%に 過 ぎ な い。 し た が って,一 般 の 業 界 に 比 して,管 理 可 能 な原 価 の範 囲 が制 約 され て い る。 この こ とが,石 油 業 界 に お け る原 価 管 理 の 最 大 の 問 題 で あ り,解 決 に は か 48国 際経営論集No.292005

(21)

な りの 困 難 が 伴 う。 4一 幽2環 境 原 価 管 理 上 の課 題 石 油 業 界 は,元 来,環 境 に対 す る負 荷 が 大 き い 産 業 で あ る の で,環 境 に対 して 最 大 限 の配 慮 を しな けれ ば な らな い。 そ の こ とが環 境 保 全 に役 立 ち,社 会 的 責 任 を果 た す と同 時 に企 業 の イ メー ジ ア ップ に もつ な が る。 そ れ ゆ え に コ スモ 石 油 の 環境 へ の配 慮 の度 合 い は業 界 トップ レベ ル に あ る。 そ の よ うな観 点 か ら,環 境 に対 して 最 大 限 の コ ス トを支 出 して い る。 そ の コ ス ト額 が 大 き くなれ ば な る ほ ど,原 価 管 理 の余 地 は 出 て くる。 環 境 負 荷 を効 果 的 に低 減 す るた め に石 油 の ライ フ サ イ クル 全 般 に わ た って 環 境 負 荷 を把 握 す る こ とが ま ず 大 切 で あ る。 そ の 手 法 と して,時 系 列 的 に物 量 を把 握 ・比 較 して い る。 さ らに,環 境 負 荷 の統 合 化 と環 境 生 産 性 の算 出 に 関 して も取 り組 ん で い る。加 え て,今 後 は 環 境 中 期 計 画 の 当該 項 目の環 境 会 計 シ ステ ム に よ る集 計 の検 討 と,開 示 項 目の網 羅 性 の 向上 に努 め る必 要 が あ る。 分 担 個 所:山 田 英 俊 は1,柳 田仁 は2,荒 井 義 則 は3,を 分 担 し,4は3 名 共 同 で あ る。 参 考 文 献 石 油 産 業 活 性 化 セ ン タ ーhttp://www.pecj.or.jp/japanese/indexj.html コ ス モ 石 油 株 式 会 社 サ ス テ ナ ビ リテ ィ レポ ー トお よびDATABOOK 山 下 正 喜 著 「原 価 計 算(改 訂 版)」 創 成 社2000年 柳 田仁 著 「環 境 経 営 会 計 の 基 礎 理 論 と実 践 」 夢 工 房2004年 原価 管理 と環境原 価 一コスモ石 油㈱ の事例 を中心として一49

参照

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