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15分でわかる(?)MRI

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Academic year: 2021

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(1)

15分で分かる(?)

MRI

●○● 古典力学的説明 ○●○

MRI原理へのいざない

Part 3

1個のプロトンから15分単位で理解できる(?)

基本的な信号強度

Part 3 巨視的磁化ベクトルでの説明

※教科書的記述、研修医・大学院生用

通常の教科書での信号強度の説明は、巨視的磁化ベクトルからスタートしています。 2004年位までは、こちらを主体としていました。 Part1およびPart2での説明に限界を感じた方は、こちらにて更に深く学習することをお 勧めします。 補遺の領域以降は大学院生レベルでの内容ですので注意して下さい。 第12版から双極子・双極子相互作用について少し掘り下げた記述を追加しています。 2009/10/30 初版 2018/07/03 第12.11版 https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~nisiyama/MRI-15-min-p3.pdf 講義ノート https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~nisiyama/MRI-Lecture-Note.pdf

(2)

Part 1~4へのリンク

• Part 1:プロトン密度、T1、T2と信号強度 (学部学生必須)

https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~nisiyama/MRI-15-min.pdf

• 補遺・任意断面の撮影・その1 --- 位置情報なければ0次元(点)

• 補遺・MRIの安全性に関連した項目

• Part 2:信号の取り出し方について (学部学生・研修医用)

https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~nisiyama/MRI-15-min-p2.pdf

• 補遺:TE時間後の信号の取得方法(SE、GRE、UTE etc.)

• 補遺:各種撮影法について(含・脂肪抑制法の原理)

• 補遺・任意断面の撮影・その2 --- 平面内での位置情報

• Part 3:巨視的磁化ベクトルでの説明 (教科書的記述、研

修医・大学院生用)

https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~nisiyama/MRI-15-min-p3.pdf

• 補遺:T1緩和とT2緩和の背景 --- 理論式と生体系との整合性

• 補遺:NMR/MRIの核種について

• Part 4:「流れ」を見る。 (大学院生用)

https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~nisiyama/MRI-15-min-p4.pdf

(3)

Part 3. ここはやっぱり1時間?

巨視的磁化ベクトルでの説明

一般的な教科書での説明

古典力学系で学びましょう

※静磁場内では、外部からエネルギーを与えられるなどして倒されない 限り、(理想状態として)巨視的磁化ベクトルは歳差運動を行わないので 注意してください。90度パルス等にて倒れた後では歳差運動を行います。 ※指定教科書・第5版のp.160の図4-9-3の説明文は、本文と明らかに相違した文章になっていま す。2重の意味で間違いやすいので注意して下さい。 ※「(4)核磁気共鳴現象」以降での記述、特に「スピンの位相が揃う」といった表現は量子力学系 の記述と古典力学系の記述が混在しており、誤解しやすいので注意して下さい。

(4)

いままでのコースとの違い

• 強調画像の本質を理解できる。

• T1緩和とT2緩和の本質的な違いを理解でき

る。

• TRとTEの本質的な意味を理解できる。

• 信号強度の残り10%程度を説明可能(すな

わち、80%程度を理解可能)。

(5)

巨視的磁化ベクトル:M

0

大きさは、ボクセル内の磁化ベクトルの量、

すなわちプロトン密度に比例する。

※ボクセル内で、局所的な磁場の状態が僅かに異なっていると、個々の磁化ベクトル のラーモア周波数が僅かに異なる。ボクセル内の平均の周波数がω0ということ。 ※局所磁場の僅かな差は「位相のずれ」(±α)を生じて、T2緩和に影響する。 M0

ω

0

ω

0

ω

0

B

0

(6)

静止座標系と回転座標系

x

y

ω

0

静止座標系 (x,y,z)

X’

Y’

回転座標系 (X’,Y’,z)

個々のプロトンの磁気ベクトル

(磁化モーメント)は、

座標系(x,y,z)に対しω

0

で回転

個々のプロトンの磁気ベクトル

(磁化モーメント)は、

ω

0

で回転する

座標系(

X’,Y’,z)に対し、ほぼ停止

z軸

B

0 X’ Y’ ω0 ω0

(7)

信号強度と緩和の基本

• 単位体積(ボクセル)あたりのプロトンの量

• プロトン密度 → プロトン密度強調画像(PDWI)

• 但し、全プロトンの内、0.01%程度のプロトンのみが寄与している。( 1Tの場合)

• 単位体積(ボクセル内)の巨視的磁化ベクトルが、

倒れて戻るときの戻り方の差を映像化する。

PDWI

以上の信号は得られない。

• 縦緩和(T1緩和) → T1強調画像(T1WI)

• エネルギーを失う緩和 • 時間が経てばベクトルが長くなる

• 横緩和(T2緩和) → T2強調画像(T2WI)

• エネルギーを失う緩和(+位相のずれやすさ) • 時間が経てばベクトルは短くなる • T1緩和時間 ≧ T2緩和時間 > T2*緩和時間 • 「=」は、「位相のずれやすさ」がゼロのとき。 • 通常、T1緩和はT2緩和よりも遅い。 • さらに、(静的な)局所磁場の影響でFID信号は T2緩和よりも早いT2*減衰をする。 位相がずれると T2緩和が早くなる M0 M0 Y’ Y’

B

0

(8)

M0 (PD)

t

Mz T1緩和(縦緩和) T2緩和(横緩和)

z

Y’ X’ Mz=M0(1-e-t/T1) M0 (PD)

t

MY’=Mxy MY’=M0e-t/T2 90度倒した後のT1緩和とT2緩和。 T2緩和時間がT1緩和時間よりも 非常に短ければ、巨視的磁化ベク トルの緩和曲線は下に凸となる。 MY’=M0e-t/T2* T2:180度パルスに対し不可逆的 な磁場不均一性(概して動的な不 均一性)による横緩和時間 T2*:180度パルスに対して可逆的 な磁場不均一性(概して静的な不 均一性)と動的な不均一性(不可 逆的→T2)による横緩和時間

(9)

TR T1緩和時間の短い組織 T1緩和時間の長い組織 M0 PD T2緩和時間の短い組織 T2緩和時間の長い組織 M0 PD TR TE 完全に緩和したときに戻るレベル TRで繰り返し90度パルスを与えた ときに戻るレベル

特定断面の画像を得るためには、繰り返し信号を得る必要がある。

(10)

SE法で画像化するには

• 一つの信号では、1次元(点)の情報しか得られないので、何度も繰り返し倒して、 2次元(面)ないし3次元(立体)の信号を得る。 • 基本的な撮影法としてSE(スピンエコー)法がある。 • 基本的な繰り返し • 90度倒し、引き続いて90度倒し、・・・を繰り返す。 • 上記繰り返し間隔がTR(Repetition Time, 繰り返し時間) • 上記90度パルスの間に、エコー信号を得るための180度パルスを入れる。 • 90度-180度パルス間隔の倍がTE(Echo Time, エコー時間)となり、平面に 倒された信号の情報を得ることができる。 • 90度倒して、十分な時間回復後(長いTR後)であれば、プロトン密度のレベル近く まで、巨視的磁化ベクトルが戻る。 • さらに90度倒し、できるだけ短い時間でエコー信号を得る(TEを短くする)こと で、プロトン密度強調画像(PDWI)を得る。 • さらに90度倒し、適度な時間でエコー信号を得る(TEを長くする)ことで、組織 間のT2コントラストが強調され、T2強調画像(T2WI)を得る。 • 90度倒して、適度な時間回復後(短いTR後)、すなわち組織間のT1コントラストが 強調された状態にする。 • さらに90度倒し、できるだけ短い時間でエコー信号を得る(TEを短くする)こと で、T1強調画像(T1WI)を得る。

(11)

90° ① ①前回の90°パルスから TR時間後、90°パルスを再度印加 TR 縦軸は z軸 ① B0 順を追って詳しく・・・

(12)

90°

ω

0

にて回転することで発生するFID (free induction decay、自由

誘導減衰)信号。局所磁場の影響でT2減衰よりも、もっと早い

T2*減衰をする。

縦軸は z軸 縦軸は xy平面

巨視的磁化ベクトルはxy平面に倒れ、

静磁場:B

0

の影響で

ω

0

にて回転し、

信号(電磁波)として受信できる。

ω

0 ② ω0=γB0 0

(13)

TE/2 ① ② ③ 90° T2*減衰←GRE系 ω0 ω0-β ① ② T2*減衰 B0

局所の磁場強度が僅かに(たとえば+

α、-β)異なると

位相がずれる。早く回転するウサギと遅く回転する亀

TE/2時間後に180度反転させると・・・

ω0-β ω0 ω0+α ω0+α 一周して来るんだ!!

(14)

180° ω0 ③ ω0-β ω0+α 途中で反転すれば、 ゴールは近い!! TE/2 ① ② ③ 90° 180° T2*減衰←GRE系 ω0 ① ② T2*減衰 ω0+α ω0-β 0

局所の磁場強度が僅かに(たとえば+

α、-β)異なると

位相がずれる。早く回転するウサギと遅く回転する亀

TE/2時間後に180度反転させると・・・

※y軸回りに180度回転させてい ますが、x軸回りに180度回転さ せる方法もあります(CPMG法)。

(15)

T2*減衰←GRE系 TE/2 ① ② ③ 90° 180° 90°パルスからTE/2時間後に 180°パルスを与える。 ω0 ① ② ③ T2*減衰

「180度回転させる」とは? たとえ速度が違っても、一定時間後に

同時に折り返せば、スタートから倍の時間後には同時にゴールする

(スタート地点に戻る)。

TE/2 TE/2 0 0 TE TE ω0-β ω0+α B0

(16)

T2*減衰←GRE系 TE/2 ① ② ③ 90° 180° TE T2減衰←SE系 ④ 180°パルスからTE/2時間後にエコー信号が 発生する。(ウサギとカメの同時ゴール) ω0 ① ② T2*減衰 ③ ④ T2減衰 エコー信号 ω0-β ω0+α ω0-β ω0+α 0

(17)

相対的に弱い信号

相対的に強い信号

プロトン密度による信号の違い

(90度倒し直後にエコー信号を得る)

※前回倒した後、十分な時間経てば、プロトン密度のベクトルまで回復する。その後に倒す、 すなわちTR(繰り返し時間)を長くする2000~4000msec。TEは短くし信号減衰を避ける。 M0 M0 エコー時間(TE)

(18)

それぞれのコントラストを取り出すために。。。

2 / 1 / 1 ) 1 ( T TE T TR e PD M e TR              のとき、 PD M TE TR       のとき、 、かつ 0 2 / 1 / ) 1 ( e TR T e TE T PD M       ) 1 ( 1 0 1 / 2 / T TR T TE e PD M e TE            のとき、 Short TE Short TE Long TE Short TR Long TR PDコントラストがつきやすい時間(Long TR) でT1(縦)緩和を90°倒し、なるべく早くエコー 信号を取り出す(Short TE) T1コントラストの影響をほとんど受 けない時間まで待って(Long TR) T1(縦)緩和を90°倒し、T2コントラ ストがつきやすい時間まで待って から、エコー信号を取り出す(Long TE) T1コントラストがつきや すい時間(Short TR)で T1(縦)緩和を90°倒し、 なるべく早くエコー信号 を取り出す(Short TE) T1-WI PD-WI T2-WI TR TE 500位 2000~ 4000位 ~20位 100位

(19)

まとめ・MRIとは?

• 所定の磁場内におかれた、単位体積あたりに含まれるプロト

ン(水素原子核)の密度(PD)と、その状態(縦緩和:T1、横

緩和:T2、流れ:v)を、繰り返し時間(TR)、エコー時間(TE)

等の値を調整して画像化する。

• 基本的にプロトン密度(PD)以上の信号強度(SI)を得ること

はできない。

• 厳密にそれぞれの正確な値を得ることはできずに、強調画

像として画像化する。(以下スピンエコーでの信号強度の例)

SI = f(v)×PD×(1-e

(-TR/T1)

)×e

(-TE/T2)

PDwI ≒ PD

; {TR → ∞, TE → 0}

T1wI ≒ PD× (1-e

(-TR/T1)

; {TE → 0}

T2wI ≒ PD× e

(-TE/T2)

; {TR → ∞}

(20)

見 て い る も の 空 間 分 解 能 組 織 分 解 能 直 接 画 像 化 可 能 な 断 面 ※ C T 組 織 の エ ッ ク ス 線 吸 収 度 ( エ ッ ク ス 線 吸 収 係 数 ) M R Iと 比 較 し 高 い M R Iと 比 較 し 硬 組 織 の 観 察 に 優 れ る 体 軸 に 垂 直 な 面 ( a xia l画 像 ) が 基 本 M R I 水 素 原 子 核 ( プ ロ ト ン ) の 単 位 体 積 当 た り の 密 度 と 状 態 CTと 比 較 し 低 い 特 に 、 ス ラ イ ス 厚 が 厚 い CTと 比 較 し 軟 組 織 の 観 察 に 優 れ る 任 意 の 断 面 を 画 像 化 で き る ※ た だ し 、 画 像 表 示 可 能 な 断 面 ( 多 断 面 画 像 再 構 成 : M PR を 行 う こ と で ) 「 任 意 の 断 面 」 を 表 示 可 能 装 置 側 TE : エ コ ー 時 間 F lip A n gle そ の 他 生 体 側 T2 : 横 緩 和 時 間 PD : プ ロ ト ン 密 度 v: 流 速 TR (r ep etetio n tim e): 縦 磁 化 を 一 定 角 度 倒 す パ ル ス の 繰 り 返 し 間 隔 。 ← T1 緩 和 の 程 度 を 調 整

TE (ech o tim e): 縦 磁 化 を 一 定 角 度 倒 す パ ル ス を 与 え て か ら 信 号 を 取 り 出 す ま で の 時 間 ← T2 緩 和 の 程 度 を 調 整 M R I撮 影 禁 忌 心 臓 ペ ー ス メ ー カ ー ( た だ し 、 M E 管 理 の 元 で 一 定 の 条 件 を 満 た す 場 合 に 検 査 可 能 な 機 器 が 出 て き て い る 。 ) 体 内 に 埋 め 込 ま れ た 金 属 ( 磁 性 体 は 禁 忌 、 非 磁 性 体 で も 長 さ と 配 置 に よ っ て は 誘 導 電 流 に て 深 部 熱 傷 の 危 険 ) M R Iの 信 号 強 度 ( ス ピ ン エ コ ー 法 の 場 合 ) PD × f(v) × g(TR ,T1 ) × h (TE ,T2 )  で 、 決 定 さ れ る 。 即 ち 、 単 位 体 積 あた り の プ ロ ト ン 密 度 に 比 例

g(TR ,T1 ) = 1 - exp (- TR / T1 ) < 1 、     h (TE ,T2 ) = exp (- TE / T2 ) < 1

TR と TE に よ っ て 、 PD ( プ ロ ト ン 密 度 ) を 強 調 す る か 、 T1 を 強 調 す る か 、 T2 を 強 調 す る か を 調 整 す る TR TE プ ロ ト ン 密 度 強 調 画 像 長 い 短 い T1 強 調 画 像 短 い 短 い T2 強 調 画 像 長 い 長 い 流 速 (v)の 影 響 を 受 け る 。 → 血 流 の ある と こ ろ で は 、 信 号 強 度 が 様 々 に 変 化 す る 。 利 用 す る も の エ ッ ク ス 線 磁 場 ( 0 .2 か ら 3 .0 T程 度 ) 電 磁 波 ( R F パ ル ス : r a d io fr eq u en cy パ ル ス ) TR :繰 り 返 し 時 間 T1 : 縦 緩 和 時 間 M R Iの パ ラ メ ー タ

(21)

補遺:T1緩和とT2緩和の背景

(22)

水分子のプロトンの緩和

• 水分子は回転・並進運動をしている。

• 水分子同士が相互に影響を与え合う時間(相

関時間)は、水の粘性が高くなると長くなる。

• 相互作用時にはプロトンの交換も含まれる。

ω

L

B

0

(23)

生体内の水分子の相関時間

• τ

c

~10

-12

• 自由水 (free water)

• τ

c

~10

-9

• 構造水(structured water)

• 蛋白質表面・細胞膜表面の不凍水から数分子層の厚さ。

• 0.6nm (Fullerton, 1986) から50nm (Drost-Hansen, 1982)とされ、高分 子から離れるに従って自由水へと遷移していく。

• 高分子の水和殻を形成していると考えられている。

• τ

c

~10

-7

~10

-6

• 結合水(bound water)

• 蛋白質表面・細胞膜表面の極性基と直接結合している水分子。

• ほぼ一分子層の厚さ。

• 上記の水同士は分離されているわけではなく、化学的な交

換が常に生じている。

水分子の状態と命名については、様々あります。 上述のものは参考文献にて代表的とされるものです。 ※第6版では、誤った記述をしていましたので、訂正しています。

(24)

水分子プロトンのT1 と T2の緩和速度は

相関時間(τ

c

) およびラーモア周波数(ω

L

)と関連する

● T1 緩和速度は 、 1/τcが ωLの時に最も早い。 ← エネルギー交換・喪失の効率が最も高い(同一周波数でぶつかってくる相手に エネルギーを渡しやすい) ● T2 緩和速度は τc が長いときに長くなる。(ωL以下でT1緩和と同じ) ← プロトンの磁気双極子・双極子相互作用による位相の乱れ ※ランダムな相互作用のため、SEの180°パルスでも戻らない。 T1緩和速度←エネルギー消失 T2緩和速度←エネルギー消失+位相の乱れ(磁気双極子・双極子相互作用) したがってT2緩和速度≫T1緩和速度 T2*緩和は、静的な局所磁場の不均一が加わったもの。(180°パルスで戻る)

τ

c

ω

L

B

0

(25)

T1緩和とT2緩和の理論式

BPP theory of water proton (Bloembergen, Purcell, Pound)

1.0E-04 1.0E-03 1.0E-02 1.0E-01 1.0E+00 1.0E+01 1.0E+02

1.0E-12 1.0E-10 1.0E-08 1.0E-06

相関時間:τ c(sec) T1,T2(sec) T1(1.5T) T2(1.5T) T1(3T) T2(3T) 構造水 結合水 ※理論式であり、生体内組織にそのまま適応されるものではありません。 自由水 長い 短い T1緩和と T2緩和が 同じ T1緩和と T2緩和が 異なる 境界領域 T1緩和 T2緩和

(26)

生体内の水のT2緩和

自由水、結合水、構造水などの異なる相関時間

(=異なるT2緩和時間)を有する水の混合状態

減衰以外の要素

プロトン密度など、

T2

:

1

2

exp

2

1

exp

A

p

T

t

p

A

SI

T

p

t

A

SI

i i i i i i i i

 

T2緩和に比べ 交換速度が速い場合 T2緩和に比べ 交換速度が遅い場合 ※T1緩和でも本質的には同じで、複数のT1値の混合状態として描出される。

(27)

仮想的な筋肉の水

カエルの腓腹筋・縫工筋(Beltons et.al.)

交換あり:T2緩和に比べ交換が早いと仮定した場合 交換なし:T2緩和に比べ交換が遅いと仮定した場合 ボクセル内 イメージ 交換あり (混ざり合う) 交換なし (混ざり合わない)

(28)

T2緩和

単一の指数関数減衰

ボクセル内のプロトンが何の障害も無く移動し100%交換していると仮定するならば・・・ ボクセル内 イメージ 交換あり (混ざり合う)                

i i i T p t A SI 2 1 exp 複数のT2値が関与するが、指数部のT2値としては1つの値。 データと指数関数近似曲線(図中「指数」)が一致するはず。

(29)

交換なし (混ざり合わない) y = 0.9781e-0.0302x y = 0.8416e-0.0222x y = 0.6512e-0.0165x 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 0 20 40 60 80 100 120 (msec) 信号強度 交換なし:short 交換なし:middle 交換なし:long 指数 (交換なし:short) 指数 (交換なし:middle) 指数 (交換なし:long) → T2=30.1 → T2=45.0 → T2=60.6

T2緩和

複数の指数関数減衰

ボクセル内でのプロトンが隔離され、100%交換していないと仮定するならば・・・ ボクセル内 イメージ

                i i i tT p A SI 2 exp 複数のT2値が関与し、信号強度はボクセル内の平均値。 たとえば、 Short:20msec以下の領域、Middle:20-40msecの領域、 Long:40msec以上の領域 として、それぞれに指数関数での近似曲線(図中「指数」)を描く ことができるが、範囲外ではずれてくる。

(30)

補遺・Magic Angle 効果

磁気双極子・双極子相互作用および

自由水と構造水・結合水の交換の影響(1)

顎関節円板中央狭窄部での信号強度の

主磁場に対する角度依存性

前方肥厚部(肥厚帯)と後方肥厚部(肥厚帯)では、コラーゲン線維束が3次元的に走行 しているが、中央狭窄部では、主として関節円板の面に平行に線維束が走行している。

(31)

緩和速度に影響する磁気双極子・双極子相互作用

あるプロトン(磁気双極子:Bp)からの距離(r)と静磁場(B0)からの角度(θ)に依存する 磁力(Bq)の内、静磁場方向の磁場成分:B1 = Bq×(3cos2θ-1) が緩和速度に影響する。

B

0

B

θ = 0°

1

=2×B

q

B

1

=-1×B

q

θ = 90°

B

1

=0

θ ≒ 55°

Magic Angle(魔法角) θ ≒ ±55° 3cos2θ-1 = 0となる線

B

1

= B

q

×(3cos

2

θ-1)

B

p

B

q

B

q

B

q

B

q 55° 55°

(32)

磁気双極子としてのプロトンに

よって生じる局所磁場

B

1

:局所磁場のB

0

方向の成分

B

1

=±(μ

0

/4π)μ(3cos

2

θ-1)/r

3

∝ (3 cos

2

θ

–1)

ここで

θ= 54.74º(≒ 55 º)の時、B

1

= 0

この影響によるT2緩和速度は局所磁場(B

1

)の2乗に比例する。

相互作用しあうプロトンが、相互に固定された位置に長時間存在する場合には、

静磁場に対して両者を結ぶ方向が55°の位置で最もT2緩和時間が延長し、

(緩和速度が遅くなり)信号強度が最大となる。

θ 54.74º magnetic dipole Bo B1 r 【注意】通常の水分子は、ランダムに移動している ため、磁気双極子・双極子同士の角度もランダムと なり、角度依存性のある局所磁場は平均化される。

(33)

θ ≒ 55° θ ≒ 55° B1が正 B0と同じ向き B1が負 B0と逆の向き B0方向 z軸 θ: B0に対 する角度

B

1

強度分布の

等高線による模式図

B1: 距離一定時の角度に よる変化(強度は正規化) xy平面 【注意】磁気双極子・双極子相互作用 は、距離の3乗に反比例して減弱する。 θ

(34)

Magic angle effect

マジックアングル効果

ウシの腱の信号強度変化TR=2000, TE=15

B

0

静磁場と同一方向

静磁場に対して

55°傾斜

静磁場に対し、コラーゲン線維が55°の角度に位置すると、MR画像

での信号が最大となる。信号強度の変化は角度に依存する。

コラーゲンの線維束が、ほぼ直線状に走行している場合に生じる現

症で、肩関節や膝関節などで有名。

(35)

Exchange

Surface of

Collagen fibers

B

0 θ Bound water

O

H

H

Bulk water 通常の水分子は、ランダムに移動しているため、磁気 双極子・双極子同士の角度もランダムとなり、角度依存 性のある局所磁場は平均化される。 しかしながら、コラーゲン線維の表面に、一定の間隔で 結合する水分子は、磁気双極子・双極子同士の位置関 係(角度)が固定されるため、T2緩和速度はマジックア ングルの影響を含めた角度に依存することとなる。

Evenly spaced binding sites appeared on the surface of the triple helix of collagen fibers.

(36)

二つのプロトン間距離が一定の場合での主磁場に対する

角度(

θ)と信号強度の関係(理論式)及びウシの腱と

ヒトの顎関節中央狭窄部での結果

• T2緩和速度

• 1/T

2

(θ) = 1/T

2

(90º) ×

(3cos

2

θ-1)

2

+ 1/T

2

(55º) + c

cはその他の緩和速度成分

• 信号強度

• SI(θ) = a × exp[-TE/T

2

(θ)]

= a × exp[-TE×{1/ T

2

(90º) ×

(3cos

2

θ-1)

2

+ 1/T

2

(55º) + c}]

aはプロトン密度およびその他の緩和の影響による値

• ウシの腱で実験的に得られた結果

• 角度:θ=0º での信号強度を1とすると

• 角度:θ=55º では、約3倍

• 角度:θ=90º では、約2倍となった

• ヒトの顎関節の中央狭窄部でも同様の結果となった。

・spin echo法におけるBovine tendonの信号強度の角度依存性について. 西山 秀昌, 笹井 正思, Peter BENEDEK, 前田 隆史, 松村 聡子, 渕端 孟、 歯科放射線 39 (1):27-34, 1999

・H.Nishiyama, Tadashi Sasai, et.al., Signal intensity change in pseudodynamic MR imaging of TMJ, Oral and Maxillofacial Radiolgy Today, Excepta Medica International Congress Series 1199 Radiology, 2000, pp.570-571.

前方肥厚部(肥厚帯)と後方肥厚部 (肥厚帯)では、コラーゲン線維束 が3次元的に走行しているが、中央 狭窄部では、主として関節円板の 面に平行に線維束が走行している。

(37)

Signal intensity ratio of the intermediate zone

R2 = 0.30

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

Angle between the disk and the static magnetic field (degree)

Signal intensity ratio

(Im/Ab)

0

300

600

900

1200

Signal intensity of bovine

tendon

(SE 2000/15 TR/TE)

Im/Ab

Bovine tendon

Quartic regression curve

55°

26関節3段階以上のステップ開口での総プロット。ウシの腱での信号強度変化と、

ほぼ一致している。縦軸左側は前方肥厚部に対する中央狭窄部の信号強度比。

H.Nishiyama, Tadashi Sasai, et.al., Signal intensity change in pseudodynamic MR imaging of TMJ, Oral and Maxillofacial Radiolgy Today, Excepta Medica International Congress Series 1199 Radiology, 2000, pp.570-571.

(38)

閉口 開口 ・上関節腔前方滑膜前端(関節包の前上端の付着部) ・前方肥厚部(肥厚帯) ・中央狭窄部での信号上昇 ・後方肥厚部(肥厚帯) ・後部結合組織で低信号となる後端部 55º

Magic angle 効果(

)と、後方肥厚部(

)から

後部結合組織にかけて(

)の信号変化が著しい症例(1)

B

0 外側 内側

(39)

Magic angle 効果(

)と、後方肥厚部(

)から

後部結合組織にかけて(

)の信号変化が著しい症例(2)

閉口 開口 ・上関節腔前方滑膜前端(関節包の前上端の付着部) ・前方肥厚部(肥厚帯) ・中央狭窄部での信号上昇 ・後方肥厚部(肥厚帯) ・後部結合組織で低信号となる後端部 55º

B

0 外側 内側

(40)

補遺・磁化移動 / 磁化移動コントラスト効果

MT ないし MTC (Magnetization Transfer Contrast) effect

磁気双極子・双極子相互作用および自由水と構造水・結合水の交換の影響(2)

• 自由水のプロトンと高分子に付随するプロトン(構造水、結合水、

ないし分子中のプロトン

※2

)の中心周波数

※1

は(ppmオーダで)

「ずれ」ている。

※1

中心周波数:共鳴周波数(ラーモア周波数)そのものに該当するが、

磁気双極子・双極子相互作用による局所磁場の不均一性で僅かに幅が

あるため、「中心」がある。

※2

狭義のMT(MTC)は「水の状態」の差のみを意識している。

この「ずれ」と「プロトンの化学交換や交差緩和現象(cross-relaxation)

」を利用し、高分子に付随するプロトンの中心周波

数に合致したパルス(saturation plus; 飽和パルス、自由水から

はずれたパルス;off-resonance plus)を「照射する・しない」に

て、大量にある自由水の信号強度(緩和時間ではない)の変化

(コントラスト)を観察する方法。

※「交差緩和」は、化学交換を含まない磁気双極子・双極子相互作用(12.7版から改訂)

(41)

CEST(MTCの応用)

• 広義のMT(MTC)は、化学交換全般を対象と

し、特に水・脂肪以外のプロトンを対象とした

場合、CESTないしCEST効果( Chemical

exchange saturation transfer)と呼ばれる。

• 対象:-N

H

基、-O

H

基等

• 例:APT(Amide proton transfer)イメージング

• -N

H

基を対象

• 欠点ないし困難な点:特定の化学交換のみに

ターゲットを絞りきれない(自由水と構造水・結合

水との交換を含め、他の影響が混在)

(42)

MT, CEST効果の図解

Zスペクトル 飽和パルスの周波数を連続的 に変化させプロトンの信号変化 を見たもの。 (バンド幅は±α ppmよりも広く して収集していると仮定) SIsat/SI0 1 信号強度(SI) 飽和パルスの周波数 ラーモア周波数 0 ppm +α ppm -α ppm MT, CEST効果 -α ppmへの 飽和パルス 化学交換による 信号強度の移動 自由水への 直接的な抑制 0 SI SI SI CESTeffect     CEST効果評価のための式の例 -α ppmと+α ppmに飽和パルスを照射したときの信号 強度(SI、SI)の差を、飽和パルスを照射しないとき の信号強度(SI0)にて割ったもの

(43)

補遺・NMR/MRIの核種について

このページ9.6版で誤っていたので差替えます

• スピンがゼロ(MRI/NMRの核種にならない)

• 「陽子(プロトン)の数が偶数」 かつ

「中性子(ニュートロン)の数が偶数」

• スピンが整数 (MRI/NMRの核種になる)

• 「陽子(プロトン)の数が奇数」 かつ

「中性子(ニュートロン)の数が奇数」

• スピンが半整数(MRI/NMRの核種になる)

• 「質量数が奇数の場合」

※上記以外に、核磁気回転比、天然存在比、核のスピン量子数、 四極子モーメント等が観測・測定に影響する。 ※安定な状態(ポテンシャルエネルギーが低いスピン対を形成す る状態)は個々の原子核で異なるため、スピン量子数が異なる。

(44)
(45)
(46)
(47)
(48)
(49)

参考資料

• MRIの基本 パワーテキスト第2版―基礎理論から最新撮像法まで、 Ray H. Hashemi (原著),

Christopher J. Lisanti (原著), William G.,Jr. Bradley (原著),メディカル・サイエンス・インターナ ショナル、6,500円(税別)

• MRI「超」講義―Q&Aで学ぶ原理と臨床応用、 Allen D. Elster (原著), Jonathan H. Burdette (原 著)、メディカル・サイエンス・インターナショナル、5,800円(税別) • MRIデータブック、MEDICAL VIEW、6,000円(税別) • NMRハンドブック 、Ray Freeman (著)、共立出版、8,400円 • パルスおよびフーリェ変換NMR―理論および方法への入門 (現代科学)、Thomas C. Farrar (著), Edwin D. Becker (著)、吉岡書店 • 生体系の水、上平 恒 、 逢坂 昭 (著) 、講談社 • 細胞の中の水、パスカル マントレ (著), 辻 繁, 落合 正宏, 中西 節子, 大岡 忠一 (翻訳) 、東京大 学出版会、5,200円(税別) • これならわかるNMR【そのコンセプトと使い方】、安藤喬志、宗宮 創(著)、化学同人、2,200円 (税別) • 磁気共鳴スペクトルの実際 -臨床応用マニュアル-、成瀬昭二(編集)、医学書院、12,000円 (税別) • MRI「再」入門 -臨床からみた基本原理-、荒木 力(著)、南江堂、6,500円(税別) • MRI応用自在(第3版)、高原太郎(監修)、高橋光幸、堀江朋彦、中村理宣、北川 久(編集)、 MedicalView、7,500円(税別) • 倉澤治樹教授 ホームページ(更新日 : 2017年4月25日)内PDF「原子核物理学」 • http://kurasawa.c.ooco.jp/ • http://kurasawa.c.ooco.jp/nucleus.pdf • 特集・日常診療にすぐに役立つCT/MRIの基礎と活用法 - 中枢神経系疾患 - 3.CT/MRIによる

定量解析 3-3.Amide Proton Transfer(APT)イメージング、栂尾 理, 樋渡 昭雄, 山下 孝二, 菊 地 一史, 吉浦 敬, 本田 浩、日独医報 59(2), 2014

• spin echo 法 に お け る Bovine tendon の 信 号 強 度 の 角 度 依 存 性 に つ い て . 西 山 秀 昌 , 笹井 正思, Peter BENEDEK, 前田 隆史, 松村 聡子, 渕端 孟、歯科放射線 39 (1):27-34, 1999

(50)

Part 1~4へのリンク

• Part 1:プロトン密度、T1、T2と信号強度 (学部学生必須)

https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~nisiyama/MRI-15-min.pdf

• 補遺・任意断面の撮影・その1 --- 位置情報なければ0次元(点)

• 補遺・MRIの安全性に関連した項目

• Part 2:信号の取り出し方について (学部学生・研修医用)

https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~nisiyama/MRI-15-min-p2.pdf

• 補遺:TE時間後の信号の取得方法(SE、GRE、UTE etc.)

• 補遺:各種撮影法について(含・脂肪抑制法の原理)

• 補遺・任意断面の撮影・その2 --- 平面内での位置情報

• Part 3:巨視的磁化ベクトルでの説明 (教科書的記述、研

修医・大学院生用)

https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~nisiyama/MRI-15-min-p3.pdf

• 補遺:T1緩和とT2緩和の背景 --- 理論式と生体系との整合性

• 補遺:NMR/MRIの核種について

• Part 4:「流れ」を見る。 (大学院生用)

https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~nisiyama/MRI-15-min-p4.pdf

参照

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