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H27ヒヤリ・ハット年報本文.indb

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【6】 「共有すべき事例」の再発・類似事例

はじめに

 本事業では、報告されたヒヤリ・ハット事例の中から、特に、広く医療安全対策に有用な情報として 共有することが必要であると思われる事例を、総合評価部会委員によって、「共有すべき事例」として 選定し、委員からの意見「事例のポイント」を付してホームページに掲載している。しかし、一度注意 喚起したことによって同種の事例の発生がなくなることは容易ではないことから、基本的で重要と考え られる内容を繰り返し情報提供することが必要であると思われる。そこで、平成23年年報~平成26 年年報では、それまでに提供してきた「共有すべき事例」を整理し、それらの再発・類似事例を紹介し て注意喚起を行った。  本年報においても、引き続き「共有すべき事例」の再発・類似事例について分析を行った。本年報で は、「小児において年齢別に処方量や剤形が異なる医薬品」に関する「共有すべき事例」を取り上げ、 2015年に報告された再発・類似事例の内容を紹介するとともに、関連する医薬品について整理して 掲載した。

1.「共有すべき事例」の選定状況

 2009年~2015年に提供した「共有すべき事例」は315件であった。「共有すべき事例」に 選定された事例の概要と発生場面について集計し、図表6-1に示す。 図表6-1 「共有すべき事例」の選定状況(2009年~2015年) 事例の概要 発生場面 件数 調剤 調剤 内服薬調剤 130 (41.3%) 外用薬調剤 18 (5.7%) 注射薬調剤 6 (1.9%) その他の調剤に関する場面 11 (3.5%) 管理 内服薬管理 9 (2.9%) 外用薬管理 2 (0.6%) 交付 交付 21 (6.7%) 疑義照会 116 (36.8%) 特定保険医療材料 0 (0.0%) 医薬品の販売 2 (0.6%) 合 計 315(100.0%)  また、これらの「共有すべき事例」の内容を、調剤や医薬品の販売に関する事例の「事例の内容」や、 疑義照会に関する事例の「変更内容」ごとに集計し、図表6-2に示す。2009年~2015年に取 り上げられた「共有すべき事例」全315件のうち、「疑義照会―薬剤変更」の事例が47件(14.9

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%)、「調剤―内服薬調剤―薬剤取違え」の事例が38件(12.1%)と多かった。  2015年に取り上げられた事例では、「疑義照会-薬剤変更」が13件と最も多く、その他に「調 剤-内服薬調剤-数量間違い」「調剤-内服薬調剤-薬剤取違え」がそれぞれ6件と多かった。 図表6-2 「共有すべき事例」の内容と選定件数 (単位:件) 事例の内容 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 合計 調剤 内服薬調剤 調剤忘れ 0 3 0 0 0 1 0 4 処方せん監査間違い 1 3 5 4 3 9 2 27 秤量間違い 0 0 1 1 0 0 0 2 数量間違い 1 2 2 2 2 6 6 21 分包間違い 0 1 2 1 0 1 0 5 規格・剤形間違い 3 1 2 3 5 1 1 16 薬剤取違え 5 3 2 14 4 4 6 38 分包紙の情報間違い 0 0 0 0 0 1 0 1 薬袋の記載間違い 0 1 3 1 0 1 3 9 その他 0 3 0 1 1 0 2 7 外用薬調剤 調剤忘れ 0 2 0 0 0 0 0 2 処方せん監査間違い 0 0 1 0 4 0 0 5 数量間違い 0 0 0 0 1 0 0 1 規格・剤形間違い 1 2 1 2 0 0 0 6 薬剤取違え 0 1 0 1 0 0 1 3 その他 0 0 0 0 1 0 0 1 注射薬調剤 規格・剤形間違い 2 0 0 0 1 0 1 4 薬剤取違え 0 0 0 0 0 1 0 1 薬袋の記載間違い 0 0 0 1 0 0 0 1 その他の調 剤に関する 場面 数量間違い 0 0 0 1 0 0 0 1 規格・剤形間違い 0 2 1 2 0 0 0 5 薬剤取違え 0 0 1 0 1 0 0 2 その他 0 1 1 0 0 1 0 3 内服薬管理 充填間違い 1 0 1 0 0 4 2 8 異物混入 0 0 0 0 0 1 0 1 外用薬管理 充填間違い 0 0 0 1 0 0 0 1 期限切れ 0 0 0 0 0 1 0 1 交付 患者間違い 1 2 2 2 3 1 4 15 説明間違い 0 0 1 0 0 0 1 2 交付忘れ 0 0 0 1 0 0 1 2 その他 1 1 0 0 0 0 0 2

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事例の内容 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 合計 疑義照会 薬剤変更 4 3 6 4 11 6 13 47 用法変更 0 0 0 0 1 2 2 5 用量変更 1 0 0 0 1 0 1 3 分量変更 1 4 1 4 4 5 5 24 薬剤削除 1 3 4 1 3 10 3 25 その他 1 1 2 1 1 4 2 12 医薬品の販売 説明間違い 0 0 1 0 0 0 0 1 その他 0 0 0 0 1 0 0 1 合 計 24 39 40 48 48 60 56 315  また、2015年における「共有すべき事例」の選定状況を、2015年に報告されたヒヤリ・ハッ ト事例全体と比較し、図表6-3に示す。  2015年に報告されたヒヤリ・ハット事例全体では、調剤の事例の割合は78.0%、疑義照会の 事例の割合は21.8%であったが、選定された「共有すべき事例」の割合は、それぞれ53.6%、 46.4%であり、報告されたヒヤリ・ハット事例全体と比較して疑義照会の事例の割合が多かった。 図表6-3 2015年における「共有すべき事例」の選定状況 【参考】ヒヤリ・ハット事例全体 共有すべき事例 疑義照会 26 46.4% 調剤 30 53.6% 特定保険 医療材料 9 0.2% 疑義照会 1,040 21.8% 調剤 3,727 78.0%

2.「共有すべき事例」の再発・類似事例

1)再発・類似事例の考え方  「共有すべき事例」のタイトルは、「〔疑義照会〕薬剤変更に関する事例」のように、事例収集項 目の内容別に示している。同じタイトルが付されている事例であっても、その具体的内容は様々で ある。例えば、「〔疑義照会〕薬剤変更に関する事例」には、「禁忌薬剤が処方されたため疑義照会 し薬剤変更になった事例」、「前回処方と比較して処方内容の誤りを疑い疑義照会し薬剤変更になっ た事例」などの事例が含まれている。本分析では、「共有すべき事例」を公表後に報告された事例 の中で、事例の内容や背景・要因の中で記述されている内容のうち、特に注目する点が類似してい る事例を再発・類似事例として取り上げることとした。

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2)「小児において年齢別に処方量や剤形が異なる医薬品」に関する再発・類似事例  2009年~2014年に取り上げた「共有すべき事例」のうち、「小児において年齢別に処方 量や剤形が異なる医薬品」に関する事例は、「疑義照会―薬剤変更」に関する事例として1件選定 されている。  小児における処方量は体重によって設定されている医薬品が多いが、年齢によって処方量や内服 する剤形が異なる医薬品もあり、注意が必要である。さらに、年齢による処方量や剤形の区分は、 医薬品によって異なっているため、処方および調剤にあたっては正確な知識を要する。このように、 年齢は重要な処方せん監査項目の1つであるため、「小児において年齢別に処方量や剤形が異なる 医薬品」に関する「共有すべき事例」について、2015年に報告された事例の中から再発・類似 事例を集計・分析することとした。   (1)共有すべき事例  2014年に公表した「小児において年齢別に処方量や剤形が異なる医薬品」に関する「共有 すべき事例」を示す。 「小児において年齢別に処方量や剤形が異なる医薬品」に関する「共有すべき事例」 (事例番号:000000035993)2014年2月 事例4 事例の内容等 (事例の内容) 10歳の子供の処方。タミフル20mgと剤形や用法などの指示もない手書きの処方せん。用法がな く、用量も不適切であるため疑義照会したところ、イナビル吸入粉末剤20mgの処方の間違いとの ことだった。10歳以上が1回2キットであるため、用量も間違いであることが判明。その場で適正 な用量を伝え、用量も変更となった。 (背景・要因) 当薬局ではインフルエンザの場合、主にイナビル吸入粉末剤20mgの処方が多いため適正用量など もすぐに提案することができた。 (薬局が考えた改善策) 同様の事例を防ぐため今まで通り注意を払う。 事例のポイント ●インフルエンザが流行している時期の月曜午前でもあり、医師も患者が立て込む中で、不適切な処 方をした可能性がある。 ●シーズンや時間帯などによっては、医師が多忙であるなど、様々な理由により不適切な処方をし得 るとの考えを常に持って調剤にあたる姿勢が重要である。   (2)2015年に報告された再発・類似事例 ①報告された医薬品  2015年1月1日~12月31日に、「小児において年齢別に処方量や剤形が異なる医薬品」 に関する事例は23件あった。  23件の事例について、処方された医薬品のブランド名、成分名、剤形、添付文書上の用法・ 用量などを整理して図表6-4に示す。ホクナリンに関する事例の報告回数が6回と最も多く、 次いでアレロックに関する事例が4回と多かった。

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図表6-4 報告された医薬品及び年齢別処方量 ブランド名 (成分名) 剤形(規格) 小児の年齢別用法・用量 報告回数 ホクナリン (ツロブテロール) (ツロブテロール 塩酸塩) テープ (0.5mg、1mg、 2mg) 0.5歳~ 3歳未満 1回0.5mg 1日1回 6   3歳~ 9歳未満 1回1mg 1日1回   9歳~ 1回2mg 1日1回 ドライシロップ (0.1%)     - 1回0.02mg/kg(製剤量20m g/kg) 1日2回(適宜増減可) アレロック (オロパタジン塩 酸塩) 顆粒(0.5%)   2歳~ 7歳未満 1回2.5mg(製剤量0.5g)  1日2回 4   7歳~ 1回5mg(製剤量1g) 1日2回 錠・OD錠 (2.5mg、5mg)   7歳~ 1回5mg 1日2回 ザイザル (レボセチリジン 塩酸塩) シロップ(0.05%) 0.5歳~ 1歳未満 1回1.25mg(製剤量2.5mL) 1日1回 3   1歳~ 7歳未満 1回1.25mg(製剤量2.5mL) 1日2回   7歳~15歳未満 1回2.5mg(製剤量5mL) 1日2回 錠(5mg)   7歳~15歳未満 1回2.5mg 1日2回 キプレス (モンテルカスト) 細粒 (4mg/0.5g/包)   1歳~ 6歳未満 1回4mg(製剤量0.5g1包)  1日1回 2 チュアブル錠(5mg)   6歳~ 1回5mg 1日1回 クラリチン (ロラタジン) ドライシロップ(1%)   3歳~ 7歳未満 1回5mg(製剤量0.5g)  1日1回 2   7歳~ 1回10mg(製剤量1g) 1日1回 錠・レディタブ錠 (10mg)   7歳~ 1回10mg 1日1回 ジルテック (セチリジン塩酸 塩) ドライシロップ (1.25%)   2歳~ 7歳未満 1回2.5mg(製剤量0.2g) 1日2回 2   7歳~15歳未満 1回5mg(製剤量0.4g) 1日2回 錠(5mg)   7歳~15歳未満 1回5mg 1日2回 アレグラ (フェキソフェナ ジン塩酸塩) ドライシロップ(5%) 0.5歳~ 2歳未満 1回15mg(製剤量0.3g) 1日2回 1   2歳~ 7歳未満 1回30mg(製剤量0.6g) 1日2回   7歳~12歳未満 1回30mg(製剤量0.6g) 1日2回(適宜増減可)  12歳~ 1回60mg(製剤量1.2g) 1日2回(適宜増減可) 錠・OD錠 (30mg、60mg)   7歳~12歳未満 1回30mg 1日2回(適宜増減可)  12歳~ 1回60mg 1日2回(適宜増減可)

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ブランド名 (成分名) 剤形(規格) 小児の年齢別用法・用量 報告回数 テルギンG (クレマスチン) ドライシロップ(0.1 %)       1歳未満 体重、症状などを考慮して適宜投与量を決定 1   1歳~ 3歳未満 1回0.2mg(製剤量0.2g) 1日2回   3歳~ 5歳未満 1回0.25mg(製剤量0.25g) 1日2回   5歳~ 8歳未満 1回0.35mg(製剤量0.35g) 1日2回   8歳~11歳未満 1回0.5mg(製剤量0.5g) 1日2回  11歳~15歳未満 1回0.65mg(製剤量0.65g) 1日2回 プラコデ (ジヒドロコデイ ンリン酸塩) (dl-メチルエ フェドリン塩酸塩) (クロルフェニラ ミンマレイン酸塩) 散・シロップ(配合剤)       2歳未満 成人量※の1/10 ※成人量 散:1日3gを 3回に分割 シロップ:1日 10mLを3回 に分割 1   2歳~ 5歳未満 成人量※の1/5   5歳~ 8歳未満 成人量※の1/3   8歳~12歳未満 成人量※の1/2  12歳~15歳未満 成人量※の2/3 ②再発・類似事例の紹介  2015年に報告された「小児において年齢別に処方量や剤形が異なる医薬品」に関する主な 事例の内容等を紹介する。 図表6-5 「小児において年齢別に処方量や剤形が異なる医薬品」の再発・類似事例 医薬品名 事例の内容等 【事例1】 ○処方された医薬品 ホクナリンテープ1mg (事例の内容) 今回、1歳児にホクナリンテープ1mgが処方された。通常、1mg は3歳から9歳未満に使用するため、処方医に問い合わせた。その結果、 0.5歳から3歳未満に使用できるホクナリンテープ0.5mgに変更 となった。 (背景・要因) ホクナリンテープ処方時に規格の確認を怠った可能性が考えられる。 (改善策) 未記載 【事例2】 ○処方された医薬品 アレロックOD錠5mg (事例の内容) 6歳の男児にアレロックOD錠5mg2錠分2朝夕食後4日分の処方 があり疑義照会した。処方医よりアレロック顆粒0.5%1g分2朝夕 食後4日分に処方を訂正する指示を受けた。 (背景・要因) 未記載 (改善策) 未記載

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医薬品名 事例の内容等 【事例3】 ○処方された医薬品 ザイザルシロップ0.05% (事例の内容) 7ヶ月女児。ザイザルシロップが5mL分2朝夕食後で処方された。 疑義照会したところ2.5mL分1夕食後に変更となった。 (背景・要因) 事例発生日は検診があり、医療機関は忙しかった。兄弟にはザイザル シロップ0.05%5mL分2朝夕食後の処方があり、続けて入力した ために間違えたようである。 (改善策) 未記載 【事例4】 ○処方された医薬品 キプレス錠10mg (事例の内容) 患者が処方せんを持って来局する前に処方せんのFAXが届いた。7 歳の患者にキプレス錠10mgが処方されており、通常はキプレスチ ュアブル錠5mgが処方されるため疑義照会を行ったところ、そのま まの処方で大丈夫との返答があった。患者の家族が来局したため話を 聞いたところ、「いつも行っている小児科Aが休診だったため、以前受 診していた医療機関Bを受診した。いつもキプレスをもらっているこ とを処方医に伝えたが、規格は伝えなかった。」とのことであった。お 薬手帳を持っていなかったため、家でキプレスの規格を確認してもら ったところ5mgだったとのことで、再度処方医に疑義照会した。キ プレス錠10mgからシングレアチュアブル錠5mgに変更となった。 (背景・要因) 医療機関Bでは、10mgはキプレス錠、5mgはシングレアチュブ ル錠を採用している。疑義照会時には処方医に年齢と規格のことを伝 えたが、患者よりキプレスと聞いている処方医は採用品のキプレスで いいと思ったのかもしれない。 (改善策) 疑義照会時に、病院の採用状況の説明も行い、より詳細に問い合わせ をするべきであった。また、今後も疑義照会の返答によって、疑義が 解消されない場合は、患者からの話をよく聞くようにし、再度問い合 わせをする。 【事例5】 ○処方された医薬品 ジルテックドライシロップ 1.25% (事例の内容) 蕁麻疹にて受診した患者にジルテックドライシロップ1.25%0.2 g分2朝食後・就寝前2日分が処方された。薬歴にて患者情報を確認 したところ、患者は2歳であり、ジルテックドライシロップ1.25% 通常の用量は1回量が0.2gであった。疑義照会にて用量を確認した ところ、1日量0.2gから0.4gに変更となった。 (背景・要因) お盆明けで間もないことと近隣の小児科が定休日であったことから、 当該医療機関、薬局ともに混雑していた。そのため、処方医は1回量 と1日量を間違えて処方した。 (改善策) 処方間違いの可能性も念頭に置き、混雑している際は特に念入りに確 認する。

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③事例の背景・要因  疑義照会の事例では、医療機関で処方された内容に疑義が生じているため、医療機関側の背景・ 要因を薬局で推測して報告されている事例が多く、情報が十分でない事例も含まれている。薬局 で把握できる範囲で報告された医療機関における主な背景・要因を図表6-6に示す。 図表6-6 主な背景・要因 医療機関における主な背景・要因 ①医薬品に関する認識不足 ・年齢による用量を勘違いしたと思われる。 ・処方元の医薬品の適応の認識不足。 ・ホクナリンテープ処方時に規格の確認を怠った可能性が考えられる。 ②患者の年齢の認識不足 ・1歳になっているのに気付かずに処方した。 ③入力時の間違い ・処方元医療機関の処方せん入力(レセコン使用)時の選択間違い。 ・単位間違い。 ④多忙 ・当日は検診があり、医療機関は忙しかった。 ・お盆明けで間もないことと近くの小児科が定休日であったことから、医院、薬局ともに混雑していた。 ④薬局から報告された改善策  報告された事例に挙げられた主な改善策を、医療機関における処方の際の改善策と薬局におけ る確認等に関する改善策に整理して示す。 図表6-7 薬局から報告された主な改善策 医療機関における改善策 ・複数規格ある医薬品は規格をよく確認し選択する。 ・処方せん印刷後、再度規格・内容の確認をする。 薬局における改善策 ・小児における投与量においては、年齢を分けて投与量を設定している医薬品があり、線引きされる 年齢の投与量には気をつけることと、継続来局の小児が年を重ねていることも頭に入れておく必要 がある。 ・その都度、用法及び用量をしっかり確認する。 ・年齢、体重等の適応の確認を行っていく。 ・小児は年齢・体重を確認し、処方量が妥当かどうかその都度チェックする。 ・処方薬の処方歴確認を徹底することと、新規処方の場合の用量チェックを怠らない。 ・医院からの処方間違いの可能性も考え、混雑している際は特に念入りに確認をする。

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3.まとめ

 「小児において年齢別に処方量や剤形が異なる医薬品」については、医薬品によって区分される年齢 が異なるため、注意が必要である。また、小児の処方の監査においては、患者の体重とともに年齢につ いても確認する必要があると考えられる。  本年報で紹介した「共有すべき事例」やその再発・類似事例を活用するとともに、過去に提供した「共 有すべき事例」やその中の「事例のポイント」を、薬局において今一度ご確認いただき、活用していた だきたい。

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薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 平成27年年報

事例から学ぶ

⑥共有すべき事例の再発・類似事例

-「小児において年齢別に処方量や剤形が異なる医薬品」に関する事例-

■事例の内容 7ヶ月の女児に、ザイザルシロップ0.05%5mL分2朝夕食後が処方された。 疑義照会したところ、2.5mL分1夕食後に変更となった。 背景・要因 検診のため、医療機関は忙しかった。患者の2歳になる兄にも、ザイザルシロップ 0.05%5mL分2朝夕食後の処方が出ており、続けて入力したために間違えた ようである。 ■事例が発生した薬局の改善策 未記載

➡この他にも事例が報告されています。

◆生後11か月の乳児に、ホクナリンテープ1mg1日1枚が処方された。通常、0.5~ 3歳未満は1日1回0.5mgであるため疑義照会すべきところだが、気付かずそのま ま交付した。その後、交付者が薬剤服用歴に記載中に気付いた。処方医に確認したとこ ろ、処方間違いであったことが判明した。処方医が患者の家族へ電話し、手持ちのホク ナリンテープ1mgを半分に切って1日0.5枚で使用するように指導した。すでに1 mg1枚で使用していたが、患者に副作用などは見られなかった。 ◆6歳の小児に、ジルテックドライシロップ1.25%1日0.8g(成分量10mg)分 2の処方が出た。成分量で1日10mgは、添付文書上7歳以上の分量に該当するため 疑義照会を行い、1日0.4g(成分量5mg)分2へ変更となった。 <参考>ザイザルシロップ0.05%の添付文書(一部抜粋) 【用法・用量】  小児〕通常、6ヵ月以上1歳未満の小児には1回2.5mL(レボセチリジン塩酸塩として1.25 mg)を1日1回経口投与する。通常、1歳以上7歳未満の小児には1回2.5mL(レボセチリジン 塩酸塩として1.25mg)を1日2回、朝食後及び就寝前に経口投与する。通常、7歳以上15歳未 満の小児には1回5mL(レボセチリジン塩酸塩として2.5mg)を1日2回、朝食後及び就寝前に 経口投与する。

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小児において年齢別に処方量や剤形が異なる医薬品に関するポイント

●小児用量は体重から算出することが多いが、「年齢」で区別されている医薬品があ ることを知っておく必要がある。 ●体内動態の違いから成人と小児の服用回数が異なるものがある。1日量が適切でも、 服用回数が異なることで1回量が過量となり副作用発現につながる危険性がある。 小児は体調の変化を言葉に表せず発見が遅れる可能性もあるため、特に注意が必要 である。 ●調剤や鑑査時に確認できるように、医薬品ごとに小児用量を記載した一覧表を作成 し見やすい場所に配置するのも有効である。製薬企業が作成した一覧表もあり、有 効に活用していただきたい。 ●小児の場合は兄弟で受診することがあり、処方医も思い込みが発生しやすい状況で ある。薬局での調剤も同様であり、業務手順書を遵守することが重要である。 ●交付後、家庭において正しく服薬するためには、患者ごと、医薬品ごとに識別でき るように薬袋や薬包紙に工夫する配慮が必要である。 ◆4歳の小児の処方せんに、キプレスチュアブル錠5mg1日1回就寝前と書かれていた。 処方医に疑義照会したところ、キプレス細粒4mgに変更になった。 ※小児の用法・用量については、平成27年年報 235頁 図表6-4に年齢別処方量を掲載してい ます。 <参考>キプレスチュアブル錠5mgの添付文書(一部抜粋) 【用法・用量】 通常、6歳以上の小児にはモンテルカストとして5mgを1日1回就寝前に経口投与する。 【使用上の注意】5.小児等への投与(1)1歳以上6歳未満の小児に対してはモンテルカスト細粒4 mgを1日1回就寝前に投与すること。

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❻「共有すべき事例」の再発・類似事例

小児において年齢別に処方量や剤形が異なる医薬品

薬局ヒヤリ ・ ハット分析表 2015年  ヒヤリ・ハット事例のうち、「小児において年齢別に処方量や剤形が異なる医薬品に関する事例」が 23件報告されています(集計期間:2015年1月1日~12月31日)。特に注意を要する医薬品 を以下に示します。 ブランド名 (成分名) 剤形(規格) 小児の年齢別用法・用量 気管支拡張剤 ホクナリン (ツロブテロール) テープ (0.5mg、1mg、 2mg) 0.5歳~ 3歳未満 1回0.5mg 1日1回   3歳~ 9歳未満 1回1mg 1日1回   9歳~ 1回2mg 1日1回 その他のアレルギー用薬 アレグラ (フェキソフェナジ ン塩酸塩) ドライシロップ (5%) 0.5歳~ 2歳未満 1回15mg(製剤量0.3g)1日2回   2歳~ 7歳未満 1回30mg(製剤量0.6g)1日2回   7歳~12歳未満 (適宜増減可)1回30mg(製剤量0.6g)1日2回  12歳~ (適宜増減可)1回60mg(製剤量1.2g)1日2回 錠・OD錠 (30mg、60mg)   7歳~12歳未満 12歳~ 1回30mg 1日2回(適宜増減可)1回60mg 1日2回(適宜増減可) アレロック (オロパタジン塩酸 塩) 顆粒(0.5%)   2歳~ 7歳未満  7歳~ 1回2.5mg(製剤量0.5g)1日2回1回5mg(製剤量1g)1日2回 錠・OD錠 (2.5mg、5mg)   7歳~ 1回5mg 1日2回 キプレス (モンテルカスト) 細粒 (4mg/0.5g/ 包)   1歳~ 6歳未満 1回4mg(製剤量0.5g1包)1日1回 チュアブル錠 (5mg)   6歳~ 1回5mg 1日1回 クラリチン (ロラタジン) ドライシロップ (1%)   3歳~ 7歳未満  7歳~ 1回5mg(製剤量0.5g)1日1回1回10mg(製剤量1g)1日1回 錠・レディタブ錠 (10mg)   7歳~ 1回10mg 1日1回 ザイザル (レボセチリジン塩 酸塩) シロップ (0.05%) 0.5歳~ 1歳未満 1回1.25mg(製剤量2.5mL)1日1回   1歳~ 7歳未満 1回1.25mg(製剤量2.5mL)1日2回   7歳~15歳未満 1回2.5mg(製剤量5mL)1日2回 錠(5mg)   7歳~15歳未満 1回2.5mg 1日2回 ジルテック ( セ チ リ ジ ン 塩 酸 塩) ドライシロップ (1.25%)   2歳~ 7歳未満 1回2.5mg(製剤量0.2g)1日2回   7歳~15歳未満 1回5mg(製剤量0.4g)1日2回 錠(5mg)   7歳~15歳未満 1回5mg 1日2回 ※ 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 平成27年年報235頁 図表6-4を改変

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 参考資料 1)ホクナリンテープ0.5mg/1mg/2mg添付文書.マイランEPD合同会社.2015年 11月改訂(第14版). 2)ホクナリン錠1mg/ホクナリンドライシロップ0.1%小児用添付文書.マイランEPD合同 会社.2015年11月改訂(第6版). 3)アレロック顆粒0.5%添付文書.協和発酵キリン株式会社.2015年11月改訂(第4版). 4)アレロック錠2.5/アレロック錠5添付文書.協和発酵キリン株式会社.2015年11月改 訂(第18版). 5)アレロックOD錠2.5/アレロックOD錠5添付文書.協和発酵キリン株式会社.2015年 11月改訂(第7版). 5)ザイザルシロップ0.05%添付文書.グラクソ・スミスクライン株式会社.2015年3月改 訂(第2版). 6)ザイザル錠5mg添付文書.グラクソ・スミスクライン株式会社.2015年2月改訂(第5版). 7)キプレス細粒4mg添付文書.杏林製薬株式会社.2016年9月改訂(第18版). 8)キプレスチュアブル錠5mg添付文書.杏林製薬株式会社.2016年9月改訂(第23版). 9)クラリチンドライシロップ1%添付文書.バイエル薬品株式会社.2015年11月改訂(第8 版). 10)クラリチン錠10mg/クラリチンレディタブ錠10mg添付文書.バイエル薬品株式会社. 2015年11月改訂(第15版). 11)ジルテックドライシロップ1.25%添付文書.グラクソ・スミスクライン株式会社.2015 年2月改訂(第24版). 12)ジルテック錠5/ジルテック錠10添付文書.グラクソ・スミスクライン株式会社.2015年 2月改訂(第24版). 13)アレグラドライシロップ5%添付文書.サノフィ株式会社.2015年10月改訂(第2版). 14)アレグラ錠30mg/アレグラ錠60mg/アレグラOD錠60mg添付文書.サノフィ株式会 社.2013年5月改訂(第16版). 15)テルギンGドライシロップ0.1%添付文書.高田製薬株式会社.2016年6月改訂(第11版). 16)プラコデ配合散添付文書.小林化工株式会社.2014年1月改訂(第11版). 17)プラコデ配合シロップ添付文書.小林化工株式会社.2014年1月改訂(第13版).

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