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妊娠期の妻への夫のサポート行動と胎児への関心―助産院と病院の比較調査から―

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Academic year: 2021

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妊娠期の妻への夫のサポート行動と胎児への関心

―助産院と病院の比較調査から―

Husband's support behaviors toward

the wife during pregnancy and interest in the fetus

―Based on a comparative survey of maternity hospitals and hospitals

尾 栢 みどり(Midori OGAYA)

* 抄  録 目 的 妊娠期の妻への夫のサポート行動及び胎児への関心において,助産院・病院健診での違い及びその関 連要因を明らかにする。 対象と方法 対象者は,正期産・経膣分娩(双胎を除く),出産後1週間以内の褥婦の夫328名で回収数は137名(回 収率42.4%)であった。内訳は関東地方の助産院5ヶ所70名,総合病院の産科病棟1ヶ所67名であった。 平成26年7~10月に無記名自記式質問紙調査を実施し,調査内容は妊娠期の妻への夫のサポート行動及 び胎児への関心,夫婦間の愛情関係,妊婦健診・両親学級への同行に対する妻の希望などとした。差の 検定はMann-WhitneyのU検定,二元配置分散分析などを,相関分析にはスピアマンの順位相関を用い, いずれも有意水準は5%とした。 結 果 対象者の年齢は26~52歳,平均36.2±5.3歳であった。助産院・病院健診の比較では,助産院健診に 第2子以降が,病院健診に第1子が多かった(p<.01)。そのため,助産院・病院健診と第1子・第2子以 降の2要因による二元配置分散分析を実施し,胎児への関心には第1子であることが影響していた(主 効果,p<.001)。一方,妻へのサポート行動は,買い物の荷物を持つことは病院健診の場合に,散歩の 付き添いや妻へのマッサージは第1子であることが影響しており,質問項目により結果が分かれた。 妊娠期の妻への夫のサポート行動および胎児への関心の関連要因では,夫婦間の愛情関係得点が高いほ ど夫は妻へのサポート(ρ=.197~291,p<.05)をし,胎児への関心(ρ=.276~.313,p<.01)を示していた。 結 論 胎児への関心は,助産院と病院健診の違いではなく第1子の父親であることが影響していた。一方, 妻へのサポート行動は質問項目により結果が分かれた。また,妻へのサポート行動や胎児への関心の関 連要因は夫婦間の愛情関係などであった。 キーワード:妊娠期,夫婦関係,父,家族看護,育児 2017年12月30日受付 2018 年9月2日採用 2018 年11月30日早期公開

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Abstract Purpose

The principle aim of the present study was to clarify differences in support behaviors by the husband toward the pregnant wife and interest in the fetus during pregnancy between maternity hospital and general hospital prenatal checkups and related factors.

Methods

Of 328 husbands of a puerperants (full-term / vaginal childbirth [excluding twins], within one week after child-birth), the subjects comprised 137 husbands who responded (response rate: 42.4%). The subjects comprised 70 per-sons in five maternity hospitals and 67 perper-sons in one maternity ward of a general hospital in the Kanto region. An anonymous self-administered questionnaire was distributed from July to October 2014; the contents of the ques-tionnaire concerned the support behaviors by the husband toward the wife and interest in the fetus during pregnancy, loving relationship between the husband and wife, and desire of wife for husband to accompany her to prenatal checkups / childbirth education classes. For examination of differences, Mann-Whitney's U test, two-way analysis of variance, etc. was used, and Spearman's rank correlation coefficient was used for correlation analysis (significance level was set at 5% for all tests).

Results

The age of the subjects was 26–52 years old, (mean age: 36.2±5.3 years). Comparison of maternity hospital/

general hospital prenatal checkups revealed that the birth of the second or younger child was the most common in the maternity hospital prenatal checkups and the first child was the most common in the general hospital prenatal check-ups (p<.01). Therefore, we conducted a two-way analysis of variance using two factors, (i.e., maternity hospital / general hospital prenatal checkup and first child / second or younger child), and it was shown that being the first child affected interest in the fetus (main effect: p<.001). By contrast, regarding support behaviors toward the wife, in the case of a general hospital prenatal checkup, subjects had a high possibility of carrying shopping bags and accompanying walking and massaging the wife and tended to be affected by being the first child. Thus, the results were divided by question item.

Among factors related to support behaviors by the husband toward the wife and interest in the fetus, as the score

for loving relationship between husband and wife increased, support behaviors toward the wife (ρ=.197–291, p<.05)

and interest in the fetus (ρ=.276–.313, p<.01) also increased.

Conclusion

Interest in the fetus was influenced by being the father of a first child without a difference between maternity hospital and the hospital prenatal checkups. However, the results regarding support behaviors toward the wife were divided according to the question item. Furthermore, factors related to support behaviors toward the wife and interest in the fetus included a loving relationship between husband and wife.

Key words: pregnancy, marital relationship, father, family nursing, child care

Ⅰ.緒   言

近年の核家族世帯や共働き世帯の増加という社会情 勢により,夫婦で協働して育児を行っていくことの重 要性が示唆されている(石井;2013,久保;2015,野 原他;2017)。また,それは決して育児に限ったこと ではなく,妊娠は妻にとって心身に変化が生じて負担 が増大する出来事であるため,妊娠期においても育児 期同様に夫からの支援が必要である。 一方,夫側に視点を移すと「妊娠期から妻をサ ポートしたり,胎児に接していくことは,自身が親と なる過程として重要である」と明らかにされている (小林;2002,森田他;2010,Plantin, et al;2011, 佐々木;2005,山本他;1995)。しかしながら,夫は 妻と違い自分の身体の変化を通して親となることを実 感できる訳ではない。これについて Adamsons(2013) は,「父親になる際にはパートナーと異なり身体及び ホルモンの変化がなく妊娠の自覚をするのに長い時間 を要する」と,新道他(1990)も「妻が妊婦らしい身体 つきになることで胎内の子どもを意識し,自身が父親 になろうとしていることを意識する」と述べている。 このように,夫は妻に対するサポートや妻を介して胎 児に関わることで,その後の出産や育児を考えたり, 胎児に対して肯定的な感情を持つといった機会を得て いると考えられる。 父親についての研究は,1970 年代にアメリカの心

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理学者Lamb(1976)が子どもの発達に必要なもう一人 の親として「父親の再発見」をしたことが転機となっ ているが,育児についての研究に対して妊娠中の妻お よび胎児への男性の関わりについての研究は国内外 ともにまだ数は少ない(Xue, et al;2018,中島他; 2008)。先行研究によると,森田他(2010)は夫達への インタビューの結果から「親となる男性が妊娠を機 に,妻への愛情を再確認することによって,夫/父親 として協力する気持ちが芽生える」と述べている。ま た,コミュニケーション能力が両親の良好な関係を発 展させる上で重要でありそれが男性の関与を促進させ る(Alio, et al. 2013)との報告や,育児遂行(世話)に ジェンダー・イデオロギーが規定している(松田, 2006)という研究結果もある。そして,胎児への関心 について,佐々木(2005)は「夫婦間のコミュニケー ション」と「胎児への関心(r=.427, p<.01)」,「胎児へ の関わり行動(r=.437, p<.01)」,「育児準備(r=.343, p<.01)」で相関がみられると明らかにしている。これ ら先行研究の結果等も踏まえ,妊娠期の妻への夫のサ ポート行動および胎児への関心に関連する因子を調査 することにした。 更に,妊婦健診の場所と妊娠期の妻への夫のサ ポート行動および胎児への関心においては,篦伊他 (2002)が妻に対する調査で「自然分娩に対する意識 は,病院よりも助産院・医院・自宅を選択するものが 多かった」と述べている。筆者の経験上からも,助産 院健診の場合の方が病院健診よりも,「助産院で自然 出産をしたい」という妻のサポーターとして夫はより 妻へ関わったり,胎児にも関心を示すのではないかと 考えた。 平成7年に母子保健法の一部改正がされ,出産また は育児に関する保健指導を行う対象に,妊産婦の配偶 者を加えることも明記されている。しかしながら,そ れから 20 年以上経過してもなお,妊娠期の保健指導 は妻を中心に行われており,夫への支援が十分である とはいえない。それに対しては,海外の文献をみて も,周産期の父親が抱えているストレス(Philpott, et al;2017)や初めて父親になる男性が幸せや興奮, ショックや心配など様々な感情を抱えていることが指 摘されており(Poh, et al;2014),医療従事者のサ ポートの重要性が示されている(Ledenfors, et al;

2016,Poh, et al;2014,Xue, et al;2018)。

そこで,妊娠期の妻への夫のサポート行動および胎 児への関心について,健診場所で違いはあるのか,ま た,その関連要因は何かということを明らかにできれ ば,それを踏まえて保健指導を行うなど助産師として 妊娠期からの夫への支援の一助にすることができると 考えた。

Ⅱ.研 究 目 的

助産院健診・病院健診での妊娠期の妻への夫のサ ポート行動および胎児への関心の違い,また,妊娠期 の妻への夫のサポート行動および胎児への関心につい ての関連要因を明らかにする。

Ⅲ.研 究 方 法

1.研究対象者・データ収集場所 研究対象者は,正期産・経膣分娩(双胎を除く)・ 出産後1週間以内の褥婦の夫とし,郵送での回収であ ることや対象者が男性であるということから,先行研 究(岩尾他,2012;佐々木他,2014;田辺他,2014) も踏まえて回収率は 3~4 割程度と考えた。また,分 析方法として差の検定には主に Mann-Whitney の U 検 定を用いることや相関分析にはスピアマンの順位相関 を用いるため,先行研究(岩尾他,2012;佐々木, 2005)を参考に 0.3 程度の相関が認められると仮定し て,100~150 名程度から回答が得られれば有意な値 になると考えて最終的に328名を対象に,無記名自記 式質問紙調査を実施した。 データ収集場所は,関東地方の助産院5ヵ所および 総合病院1ヵ所とし,比較調査であるという点と回収 率を考慮した上で,助産院での配付を128名,病院で の配付を200名とした。 2.調査内容 1)夫婦間の愛情関係尺度:菅原・詫間(1997) これは,夫婦間の愛情関係を測定している尺度であ り,信頼性においては,α 係数が夫版.94 と高い信頼 性があるとされている。構成概念妥当性においては, 27項目の愛情尺度を作成し,予備調査を実施,次に 全項目を主成分分析した結果,第1主成分の寄与率が 57.4%(夫版),61.6%(妻版)となり 1 次元構造であ ることが判明しており,因子負荷量.50以上の15項目 を夫婦間の愛情関係尺度としている。この尺度は,7 段階の順序尺度であり,得点が高くなるほど夫婦間の 愛情が強くなることを示している。

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2)平等主義的性役割態度スケール短縮版(SESRA-S):鈴木(1994) この尺度は,結婚・男女観,教育観,職業観,社会 観の4つの領域から構成され,対象者は,20歳以上の 男女が想定されている。また,5段階の順序尺度での 回答である。信頼性は,α=.91(男性α=.89,女性α= .91)。再テスト係数γ=.89(男性γ=.92,女性γ=.88)で 高い信頼性が得られている。妥当性はSESRA-Sの得点 について,男性よりも女性のほうが,女性では,教育 レベルが高校・専門学校・短大卒よりも4年生大学・ 大学院であるほうが,無職女性よりも有職女性のほう が,結婚後の姓について,平等的な意見を有する者ほ どSESRA-Sの得点が高く,また年齢が高くなるほど, SESRA-Sの得点が低く,これらのすべての結果が先行 研究から予測される方向であったことから,既知グ ループ法にて妥当性が確認されている。 3)妊娠期の妻への夫のサポート行動および胎児への 関心等 妊娠期の妻への夫のサポート行動は,「今回の妊娠 中に夫が行った,妻に対しての行動や言葉掛け・心配 り」と定義し,「買い物の荷物を持った」,「散歩の付き 添いをした」などの 8 項目で調査した。また,胎児へ の関心は,「今回の妊娠中に夫が行った,胎児に対し ての行動(児を迎えるための準備も含める)」と定義 し,「胎児に話しかけた」など4項目で,それぞれ自作 の7段階の順序尺度で調査した。 妊娠期の妻への夫のサポート行動および胎児への関 心の関連要因項目として,妊婦についての知識は,「妊 婦はホルモンの変化から様々な気持ちの変化が生じる ことを知っていた」といった4項目,助産師の行動は, 「妊娠についての知識を提供してくれた」など 6 項目, 職場の環境・慣例は,「業務が終われば周囲に気兼ねな く帰宅できる」など3 項目,対象者の父親の家事・育 児参加は,「自身の父親が家事を行っていた」など3項 目,妊婦健診や両親学級への同行に対する妻の希望 は,「妊婦健診への付き添いを妻が望んでいた」など 2 項目でいずれも自作の 7 段階の順序尺度で調査した。 属性は,夫婦の年齢,子どもの人数,妊婦健診の受診 場所,雇用形態,家族形態などを調査した(図1)。 自作の質問項目は,Alio, et al.(2013)や中島他 (2008)などの文献レビュー及びインタビューの結果 をもとに作成し,その後,修士または博士課程を修了 した母性・助産領域の専門家4名および,博士の学位 を持った調査研究の専門家1名で内容妥当性の検討を し,全員一致の項目のみを採用した。また,本研究は 尺度化のプロセスを踏んでいないため,自作の質問は 項目ごとに相関分析を実施しているが,「妻へのサ ポート行動」の α 係数は α=.76,「胎児への関心」は α=.75,であり最低限の内的整合性は得られている。 3.データ収集方法・期間 対象施設に本研究の目的・調査内容・方法について 口頭および文書にて説明し承諾,協力を得た。質問紙 の配付は,各施設のスタッフより対象者または褥婦に 質問紙を配付してもらった(褥婦に質問紙を渡した場 合は,褥婦より対象者である夫に質問紙を渡しても らった)。その後,質問紙は返信用封筒に入れて研究 者へ直接郵送してもらう方法にて回収した。データ収 集期間は平成26年7~10月末日までである。 ኵ ኵ䛾∗ぶ䛾ᐙ஦䞉⫱ඣཧຍ ዷ፬䛻䛴䛔䛶䛾▱㆑ ኵ፬㛫䛾ឡ᝟㛵ಀ ᖹ➼୺⩏ⓗᛶᙺ๭ែᗘ ຓ⏘ᖌ䛾⾜ື ⫋ሙ䛾⎔ቃ䡡័౛ ዷ፬೺デ䜔୧ぶᏛ⣭䜈䛾 ྠ⾜䛻ᑐ䛩䜛ጔ䛾ᕼᮃ ᒓᛶ

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図1 概念枠組み

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4.データ分析方法 データ分析は,度数及び基本統計量を算出,差の検 定においては,間隔尺度で正規分布が認められたもの に関しては,t 検定を用いた。また,順序尺度におい ては,Mann-Whitney の U 検定を,名義尺度において はフィッシャーの直接確率法を用いた。そして,「助 産院健診と病院健診」と「第 1 子と第 2 子以降」の 2 要 因の主効果を確認するための方法として,二元配置分 散分析を行った。相関関係においてはスピアマンの順 位相関を用いて分析した。いずれも,有意水準は 5% を採用した。分析には,IBM SPSS Statistics Premium

Grad Pack 22.0を使用した。 5.倫理的配慮 研究対象施設に対して,文書および口頭で協力依頼 と説明を行い,協力を得た。協力が得られた施設に対 しては,調査によって施設に不利益が生じないこと, 情報の管理に留意することなどを協力依頼書に示し, 口頭および文書による説明を行った。そして,対象者 に対しては無記名自記式質問紙に倫理的配慮に関する 説明書を添付した。本研究は日本赤十字北海道看護大 学研究倫理委員会の承認を得た(承認番号:428)。ま た,対象の協力病院の臨床研究倫理委員会の承認を得 て行った。

Ⅳ.結   果

1.対象者の背景 対象者 328 名のうち,助産院での配付は 128 名,回 収は70名(回収率54.7%),病院での配付は200名,回 収は69名(回収率34.5%)であり,合計139名(回収率 42.4%)から回答を得た。有効回答は137名(有効回答 率98.6%)であり,助産院70名,病院67名であった。 対象者の年齢は26~52歳,平均年齢は36.2±5.3歳, 対象者の妻の年齢は 22~43 歳,平均年齢は 33.7±4.5 歳であった。また,子どもの人数は平均 1.7±0.7 人, 第 1 子 66 名(48.2%),第 2 子 54 名(39.4%),第 3 子 16 名(11.7%),第 5子 1 名(0.7%)であり,第 1子が 66 名 (48.2%),第2子以降が71名(51.8%)であった。 対象者の回答では,妻が妊婦健診を受けていた場所 は,助産院 25 名(18.2%),両方 40 名(29.2%),病院 72名(52.6%)であり,助産院で出産する者は医師の 健診も受けなくてはならないと規定されているため, 助産院健診と病院健診の比較は,「助産院と両方(以下 助産院健診とする。)」「病院のみ(以下病院健診とす る。)」に分けて行うこととした。それを踏まえた結果 は,助産院健診65名(47.4%),病院健診72名(52.6%) であった。 家族形態は核家族 130 名(94.9%),複合家族 7 名 (5.1%)であった。対象者の雇用形態は正規雇用115名 (83.9%), 非 正 規 雇 用 5 名(3.6%), 自 営 業 15 名 (10.9%),その他2名(1.5%)であった。 対象者および妻の年齢,家族形態,対象者および妻 の雇用形態について助産院健診と病院健診の比較では 有意差は認められなかった(表1)。 2.妊娠期の妻への夫のサポート行動および胎児への 関心 妊娠期の妻への夫のサポート行動として,「買い物 の荷物を持った」は,非常によくあてはまる 68 名 (49.6%),ほぼあてはまる 43 名(31.4%),ややあては まる17名(12.4%),どちらでもない3名(2.2%),やや あてはまらない4名(2.9%),ほぼあてはまらない1名 (0.7%),全くあてはまらない1名(0.7%)であった。 また,妊娠期の妻への夫サポート行動として,「あ てはまる」と回答した対象者が多かった順に,「買い物 の荷物を持った」128 名(93.4%),「家事を意識的に 行った」109 名(80.0%),「妻の心配ごとや悩みごとを 聞いた」108 名(79.4%)であった。胎児への関心につ いては,「妊婦健診の結果を聞いた」131 名(95.6%), 「胎動をみたり・触れた」129名(94.2%),「胎児に話し かけた」117名(85.4%)の順で多かった。 3.助産院健診・病院健診と夫のサポート行動,胎児 への関心の比較 妊婦健診の場所(助産院または病院)と妊娠期の妻 への夫のサポート行動について,病院健診であった対 象者の方が助産院健診であった対象者よりも,買い物 の 荷 物 を 持 っ た(p<.05), 散 歩 の 付 き 添 い をし た (p<.01)と回答した(表 2)。胎児への関心において も,病院健診であった対象者の方が助産院健診で あった対象者よりも,胎児に話しかけた(p<.01),胎 動をみたり,触れた(p<.05)と回答していた(表3)。 4.第1子・第2子以降と夫のサポート行動,胎児へ の関心の比較 第1 子の対象者が第2 子以降の対象者よりも,散歩 の付き添いをした(p<.001),妻の体をマッサージし

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た(p<.01),妊婦健診の結果を聞いた(p<.05),とい うように妻へのサポートをしていた。また,胎児に話 しかけた(p<.001),胎動をみたり,触れた(p<.001), 育児物品の準備をした(p<.05)というように胎児への 関心を示していた。 5.助産院健診・病院健診と第1子・第2子以降での 妊娠期の妻への夫のサポート行動,胎児への関心の 比較(二元配置分散分析) 助産院健診・病院健診での妊娠期の妻への夫のサ ポート行動および胎児への関心の違いを更に検討した 結果,助産院健診に第 2子以降が,病院健診に第 1子 が有意に多い(p<.01)という群間差を認めた(表 1)。 そのため,この群間差を統計的にコントロールするた め,助産院・病院健診要因と第1 子・第 2子以降要因 の二元配置分散分析を行い,2つの要因どちらに主効 果があるのか確認した。 その結果,「胎動をみたり,触れた」(p<.001,表4), 「胎児に話し掛けた」(p<.001),「育児物品の準備をし た」(p<.05)といった胎児への関心については第 1 子 ・第2子以降に主効果を認めた。これらの項目におい て2要因に有意な交互作用はなかった。 一方,妻へのサポート行動においては,「買い物の 荷物を持つ」ことは助産院健診・病院健診に主効果を 認めた(p<.05,表5)。そして,「散歩の付き添いをし た」(p<.001 , 表 6),「妻 の 体 を マ ッ サ ー ジ し た」 (p<.05)においては第 1 子・第 2 子以降に主効果を認 めた。なお,これらの項目について2要因に有意な交 互作用はなかった。また,「妻の心配ごとや悩みごと を聞いた」,「家事・育児分担の話し合いをした」にお いては,助産院健診・病院健診と第 1子・第2 子以降 に交互作用を認めた(p<.05)。 以上の結果より,胎児への関心には助産院健診・病 院健診といった健診場所による違いではなく,第1子 であることが影響していた。一方,妻へのサポート行 動は,買い物の荷物を持つことは病院健診の場合に, 散歩の付き添いや妻へのマッサージは第1子であるこ とが影響しており,質問項目により結果が分かれた。 6.夫婦間の愛情関係,平等主義的性役割態度,妊婦 についての知識,助産師の行動,職場の環境・慣 例,対象者の父親の家事・育児行動,妊婦健診や両 親学級への同行に対する妻の希望 1)夫婦間の愛情関係 夫婦間の愛情関係得点の平均値は 83.42±12.00,最 小値 53,最大値 105 であった。夫婦間の愛情関係尺 度得点において,助産院健診と病院健診では尺度得点 に有意差はなかった。一方で,第 1 子と第 2 子以降 を比較すると,第1子の対象者の方が第 2子以降より も愛情関係が有意に高かった(t=−2.509,df=135, p<.05)。 2)平等主義的性役割態度 平等主義的性役割態度の尺度得点は,平均値58.2± 8.79,最小値 33,最大値 75 であった。また,平等主 義的性役割態度得点においては,助産院健診と病院健 診および第1子と第 2子以降ともに有意差は認められ なかった。 表1 対象者の背景 項目 全体(n=137) 助産院(n=65) 病院(n=72) 有意確率 年齢(mean±SD) 36.2±5.3 35.9±4.7 36.5±5.8 n.s. 妻の年齢(mean±SD) 33.7±4.5 33.5±3.9 33.9±5.1 n.s. 子どもの人数 第1子 66 (48.2%) 23 (34.8%) 43 (65.2%) ** 第2子以降 71 (51.8%) 42 (59.2%) 29 (40.8%) 家族形態 核家族 130 (94.9%) 63 (48.5%) 67 (51.5%) n.s. 複合家族 7 (5.1%) 2 (28.6%) 5 (71.4%) 対象者の雇用形態 正規雇用 115 (83.9%) 57 (50.0%) 58 (50.0%) n.s. 非正規雇用 5 (3.6%) 4 (80.0%) 1 (20.0%) n.s. 自営業 15 (10.9%) 4 (26.7%) 11 (73.3%) n.s. その他 2 (1.5%) 0 (0.0%) 2 (100.0%) n.s. 妻の雇用形態 正規雇用 55 (40.1%) 26 (47.3%) 29 (52.7%) n.s. 非正規雇用 10 (7.3%) 7 (70.0%) 3 (30.0%) n.s. 自営業 11 (8.0%) 2 (18.2%) 9 (81.9%) n.s. 無職 59 (43.1%) 28 (47.5%) 31 (52.5%) n.s. その他 2 (1.5%) 2 (100.0%) 0 (0.0%) n.s. 年齢:t検定,その他はFisher's 直接確率法 *p<.05,**p<.01

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表 2 妊 娠 期 の 妻 への 夫 のサポート 行 動 7 . 非 常 に よくあてはまる 6 . ほぼ あてはまる 5 . やや あてはまる 4 . どちらでも ない 3 . やや あてはまらない 2 . ほぼ あてはまらない 1 . 全 く あてはまらない 合 計 有 意 確 率 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 % 買 い 物 の 荷 物 を 持 った 助 産 院 27 (41.5) 22 (33.8) 11 (16.9) 0 (0.0) 3 (4.6) 1 (1.5) 1 (1.5) 65 (100.0) * 病 院 41 (56.9) 21 (29.2) 6 (8.3) 3 (4.2) 1 (1.4) 0 (0.0) 0 (0.0) 72 (100.0) 合 計 68 (49.6) 43 (31.4) 17 (12.4) 3 (2.2) 4 (2.9) 1 (0.7) 1 (0.7) 137 (100.0) 心 配 ごとや 悩 み ごとを 聞 いた 助 産 院 9 (14.1) 15 (23.4) 24 (37.5) 10 (15.6) 1 (1.6) 5 (7.8) 0 (0.0) 64 (100.0) n.s. 病 院 16 (22.2) 18 (25.0) 26 (36.0) 10 (13.9) 1 (1.4) 0 (0.0) 1 (1.4) 72 (100.0) 合 計 25 (18.4) 33 (24.3) 50 (36.8) 20 (14.7) 2 (1.5) 5 (3.7) 1 (0.7) 136 (100.0) 体 をマッサージ をした 助 産 院 12 (18.5) 18 (27.7) 18 (27.7) 7 (7.7) 2 (10.8) 1 (1.5) 7 (10.8) 65 (100.0) n.s. 病 院 23 (31.9) 13 (18.1) 17 (23.6) 6 (8.3) 3 4.2 7 (9.7) 3 (4.2) 72 (100.0) 合 計 35 (25.5) 31 (22.6) 35 (25.5) 13 (9.5) 5 (3.6) 8 (5.8) 10 (7.3) 137 (100.0) 散 歩 の 付 き 添 いをした 助 産 院 14 (21.9) 9 (14.1) 11 (17.2) 11 (17.2) 2 (3.1) 4 (6.3) 13 (20.3) 64 (100.0) ** 病 院 27 (37.5) 14 (19.4) 10 (13.9) 8 (11.1) 5 (6.9) 2 (2.8) 6 (8.3) 72 (100.0) 合 計 41 (30.1) 23 (16.9) 21 (15.4) 19 (14.0) 7 (5.1) 6 (4.4) 19 (14.0) 136 (100.0) 妻 の 体 が 冷 え ないように 意 識 助 産 院 4 (6.2) 15 (23.1) 16 (24.6) 12 (18.5) 2 (3.1) 6 (9.2) 10 (10.8) 65 (100.0) n.s. 病 院 7 (9.7) 13 (18.1) 17 (23.6) 16 (22.2) 6 (8.3) 7 (9.7) 6 (8.3) 72 (100.0) 合 計 11 (8.0) 28 (20.4) 33 (24.1) 28 (20.4) 8 (5.8) 13 (9.5) 16 (11.7) 137 (100.0) Mann-Whitney の U 検 定( *: p<.05 , ** : p<.01 ) 表 3 胎 児 への 関 心 7 . 非 常 に よくあてはまる 6 . ほぼ あてはまる 5 . やや あてはまる 4 . どちらでも ない 3 . やや あてはまらない 2 . ほぼ あてはまらない 1 . 全 く あてはまらない 合 計 有 意 確 率 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 % 胎 児 に 話 しかけた 助 産 院 9 (14.1) 15 (23.4) 24 (37.5) 10 (15.6) 1 (1.6) 5 (7.8) 0 (0.0) 64 (100.0) ** 病 院 45 (62.5) 7 (9.7) 11 (15.3) 6 (8.3) 0 0.0 1 (1.4) 2 (2.8) 72 (100.0) 合 計 70 (51.1) 17 (12.4) 30 (21.9) 9 (6.6) 3 (2.2) 4 (2.9) 4 (2.9) 137 (100.0) 胎 動 をみたり・ 触 れた 助 産 院 13 (20.0) 18 (27.7) 19 (29.2) 5 (7.7) 3 (4.6) 3 (4.6) 4 (6.2) 65 (100.0) * 病 院 48 (66.7) 13 (18.1) 9 (12.5) 1 (1.4) 1 (1.4) 0 0.0 0 0.0 72 (100.0) 合 計 81 (59.1) 29 (21.2) 19 (13.9) 5 (3.6) 2 (1.5) 0 (0.0) 1 (0.7) 137 (100.0) Mann-Whitney の U 検 定( *: p<.05 , ** : p<.01 )

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3)妊婦についての知識 「おなかが大きくなることによる不快症状を知って いた」について,非常に知っていた26名(19.0%),ほ ぼ知っていた 52 名(38.0%),やや知っていた 31 名 (22.6%)であった(表7)。 4)助産師の行動 「助産師があなたを気遣う声掛けをしてくれた」は, 非常によくあてはまる38名(28.4%),ほぼあてはまる 39名(29.1%), や や あ て は ま る 27 名(20.1%), で あった。また,あてはまるが多い順に「助産師に話し 掛けられた」107 名(79.2%),「助産師があなたを気遣 う声掛けをしてくれた」104 名(77.6%),「助産師が妊 娠についての知識を提供してくれた」39名(29.3%)な どであった。更に,助産院健診と病院健診を比較する と,助産院健診の方が「気遣う声掛けをしてくれた」 (p<.01,表 7),「妊娠についての知識を提供してくれ た」(p<.05,表 7),「出産についての知識を提供して くれた」(p<.05),「話し掛けられた」(p<.01)と回答し ていた。 5)職場の環境・慣例 「業務が終われば周囲に気兼ねなく帰宅できる」は, 非常によくあてはまる39名(28.5%),ほぼあてはまる 34名(24.8%),ややあてはまる 22 名(16.1%)であっ た(表7)。 6)対象者の父親の家事・育児行動 「父親が家事をしていた」については,非常にして いた10名(7.4%),ほぼしていた11名(8.1%),ややし ていた29名(21.3%)であった(表7)。 7)妊婦健診・両親学級への同行に対する妻の希望 「妻が妊婦健診への同行へ賛成していた」について, 非常に賛成は 75 名(54.7%),ほぼ賛成 28 名(20.4%), やや賛成11名(8.0%)であった(表7)。 7.妊娠期の妻への夫のサポート行動,胎児への関心 と関連要因 1)夫婦間の愛情関係との関係(表8) 妊娠期の妻への夫のサポート行動について,夫婦間 の愛情関係得点が高いほど,対象者は買い物の荷物を 表4 助産院・病院健診と第1子・第2子以降による『胎動をみたり,触れた』と二元配置分散分析結果 タイプIII平方和 df 平均平方 F 有意確率 要因1:助産院・病院健診 0.942 1 0.942 1.026 .313 要因2:第1子・第2子以降 22.105 1 22.105 24.096 .000 交互作用:助産院・病院健診 ×第1子・第2子以降 1.160 1 1.160 1.265 .263 合計 5587.000 137 修正総和 150.730 136 a.R2=.191(調整済みR2=.172) 表5 助産院・病院健診と第1子・第2子以降による『買い物の荷物を持った』と二元配置分散分析結果 タイプIII平方和 df 平均平方 F 有意確率 要因1:助産院・病院健診 4.990 1 4.990 4.059 .046 要因2:第1子・第2子以降 0.017 1 0.017 0.140 .906 交互作用:助産院・病院健診 ×第1子・第2子以降 1.006 1 1.006 0.819 .367 合計 5394.000 137 修正総和 169.796 136 a.R2=.037(調整済みR2=.015) 表6 助産院・病院健診と第1子・第2子以降による『散歩の付き添い』と二元配置分散分析結果 タイプIII平方和 df 平均平方 F 有意確率 要因1:助産院・病院健診 11.547 1 11.547 3.053 .083 要因2:第1子・第2子以降 53.514 1 53.514 14.150 .000 交互作用:助産院・病院健診 ×第1子・第2子以降 9.372 1 9.372 2.478 .118 合計 3772.000 136 修正総和 588.441 135 a.R2=.152(調整済みR2=.132)

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表 7 妊 婦 についての 知 識 , 助 産 師 の 行 動 , 職 場 の 環 境 ・ 慣 例 ・ 対 象 者 の 父 親 の 家 事 ・ 育 児 行 動 , 妊 婦 健 診 の 同 行 ・ 両 親 学 級 への 参 加 に 対 する 妻 の 希 望 7 . 非 常 に よくあてはまる 6 . ほぼ あてはまる 5 . やや あてはまる 4 . どちらでも ない 3 . やや あてはまらない 2 . ほぼ あてはまらない 1 . 全 く あてはまらない 合 計 有 意 確 率 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 % 妊 婦 についての 知 識 1) お 腹 が 大 きくなることでの 不 快 症 状 を 知 っていた 助 産 院 15 (23.1) 24 (36.9) 13 (20.0) 6 (9.2) 2 (3.1) 5 (7.7) 0 (0.0) 62 (100.0) n.s. 病 院 11 (15.3) 28 (38.9) 18 (25.0) 4 (5.6) 5 (6.9) 5 (6.9) 1 (1.4) 72 (100.0) 全 体 26 (19.0) 52 (38.0) 31 (22.6) 10 (7.3) 7 (5.1) 10 (7.3) 1 (0.7) 137 (100.0) 2) ホルモンの 変 化 から 様 々な 気 持 ちの 変 化 が 生 じることを 知 っていた 助 産 院 24 (36.9) 21 (32.3) 15 (23.1) 2 (3.1) 2 (3.1) 1 (1.5) 0 (0.0) 62 (100.0) n.s. 病 院 24 (33.3) 23 (31.9) 15 (20.8) 4 (5.6) 3 (4.2) 2 (2.8) 1 (1.4) 72 (100.0) 全 体 48 (35.0) 44 (32.1) 30 (21.9) 6 (4.4) 5 (3.6) 3 (2.2) 1 (0.7) 137 (100.0) 助 産 師 の 行 動 1) 助 産 師 があなたを 気 遣 う 声 掛 けをした 助 産 院 22 (34.9) 21 (33.3) 15 (23.8) 2 (3.2) 2 (3.2) 1 (1.6) 0 (0.0) 63 (100.0) ** 病 院 16 (22.5) 18 (25.4) 12 (16.9) 15 (21.1) 4 (5.6) 4 (5.6) 2 (2.8) 71 (100.0) 全 体 38 (28.4) 39 (29.1) 27 (20.1) 17 (12.7) 6 (4.5) 5 (3.6) 2 (1.5) 134 (100.0) 2) 妊 娠 についての 知 識 を 提 供 してくれた 助 産 院 18 (29.0) 20 (32.3) 13 (21.0) 7 (11.3) 1 (1.6) 3 (4.8) 0 (0.0) 62 (100.0) * 病 院 13 (18.3) 19 (26.8) 12 (16.9) 15 (21.1) 4 (5.6) 4 (5.6) 4 (5.6) 71 (100.0) 全 体 31 (23.3) 39 (29.3) 25 (18.8) 22 (16.5) 5 (3.8) 7 (5.3) 4 (3.0) 133 (100.0) 職 場 の 環 境 ・ 慣 例 1) 業 務 が 終 われば 気 兼 ねなく 帰 宅 できる 助 産 院 16 (24.6) 18 (27.7) 12 (18.5) 2 (3.1) 13 (20.0) 1 (1.5) 3 (4.6) 65 (100.0) n.s. 病 院 23 (31.9) 16 (22.2) 10 (13.9) 3 (4.2) 11 (15.3) 6 (8.3) 3 (4.2) 72 (100.0) 全 体 39 (28.5) 34 (24.8) 22 (16.1) 5 (3.6) 24 (17.5) 7 (5.1) 6 4.4 137 (100.0) 2) 自 身 の 都 合 で 仕事 の 調 整 ができる 助 産 院 8 (12.3) 13 (20.0) 20 (30.8) 5 (7.7) 8 (12.3) 4 (6.2) 7 (10.8) 65 (100.0) n.s. 病 院 17 (24.3) 18 (25.7) 16 (22.9) 2 (2.9) 1 (1.4) 9 (12.9) 7 (10.0) 70 (100.0) 全 体 25 (18.5) 31 (23.0) 36 (26.7) 7 (5.2) 9 (6.7) 13 (9.6) 14 (10.4) 135 (100.0) 対 象 者 の 父 親 の 家 事 ・ 育 児 行 動 1) 父 親 が 家 事 をしていた 助 産 院 4 (6.2) 8 (12.3) 13 (20.0) 7 (10.8) 2 (3.1) 13 (20.0) 18 (27.7) 65 (100.0) n.s. 病 院 6 (8.5) 3 (4.2) 16 (22.5) 3 (4.2) 5 (7.0) 18 (25.4) 20 (28.2) 71 (100.0) 全 体 10 (7.4) 11 (8.1) 29 (21.3) 10 (7.4) 7 (5.1) 31 (24.4) 32 (23.7) 136 (100.0) 2) 父 親 が 遊 んでくれた 助 産 院 13 (20.3) 14 (21.9) 21 (32.8) 7 (10.9) 5 (7.8) 3 (4.7) 1 (1.6) 64 (100.0) n.s. 病 院 19 (26.8) 19 (26.8) 21 (29.6) 3 (4.2) 4 (5.6) 2 (2.8) 3 (4.2) 71 (100.0) 全 体 32 (23.7) 33 (24.4) 42 (31.1) 10 (7.4) 9 (6.7) 5 (3.7) 4 (3.0) 135 (100.0) 妊 婦 健 診 ・ 両 親 学 級 への 同 行 に 対 する 妻 の 希 望 1) 妊 婦 健 診 の 同 行 に 賛 成 助 産 院 36 (60.0) 12 (20.0) 5 (8.3) 7 (11.7) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 60 (100.0) n.s. 病 院 39 (56.5) 16 (23.2) 6 (8.7) 8 (11.6) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 69 (100.0) 全 体 75 (54.7) 28 (20.4) 11 (8.0) 15 (16.8) 0 (0.0) 0 (8.8) 0 (6.6) 129 (100.0) 2) 両 親 学 級 への 参 加 に 賛 成 助 産 院 29 (52.7) 9 (16.4) 4 (7.3) 12 (21.8) 1 (1.8) 0 (0.0) 0 (0.0) 55 (100.0) n.s. 病 院 41 (62.1) 14 (21.2) 0 (0.0) 11 (16.7) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 66 (100.0) 全 体 70 (24.8) 23 (19.0) 4 (29.2) 23 (9.5) 1 (0.7) 0 (5.8) 0 (8.8) 121 (100.0) Mann-Whitney の U 検 定( *: p<.05 , ** : p<.01 )

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持ったり(ρ=.221,p<.01),妻の体が冷えないように 意識して行動(ρ=.291,p<.05)していた。また,胎 児に対しても愛情関係得点が高いほど,胎動をみた り,触れたり(ρ=.296,p<.001),育児物品の準備を していた(ρ=.276,p<.001)。 2)妊婦健診・両親学級への同行に対する妻の希望と の関係(表9) 妻が妊婦健診の同行に賛成していた対象者ほど,散 歩の付き添い(ρ=.281,p<.001),妻へのマッサージ (ρ=.254,p<.001)といったサポートを行っていた。 胎児への関心では,胎動をみたり,触れた(ρ=.312, p<.001),胎児に話しかけた(ρ=.340,p<.001)とい うように関心を示していた。 3)妊婦についての知識との関係 妊婦についての知識においては,妊婦はホルモンの 変化などから様々な気持ちの変化が生じることを 知っていたという対象者ほど,買い物の荷物を持ち (ρ=.246,p<.01),妻の心配ごとや悩みごとを聞いて いた(ρ=.251,p<.01)。また,妊婦に起こる体の変化 を知っている対象者ほど,妻の体が冷えないように意 識して行動した(ρ=.293,p<.001)といったサポート や妊婦健診の結果を聞いた(ρ=.343,p<.001)などの 胎児への関心を示していた。 4)助産師の行動との関係 助産師に積極的に話し掛けられた,妊娠についての 知識を提供してもらった,出産についての知識を提供 してもらった,妊婦健診の付き添いを勧められたと回 答した対象者ほど,妻の体が冷えないように意識して 行動していた(ρ=.307,407,259,262,p<.01)。 5)平等主義的性役割態度との関係 平等主義的性役割態度においては,低い相関ではあ る が 得 点 が 高 い ほ ど, 買 い 物 の 荷 物 を 持 っ た り (ρ=.213,p<.05),妻の心配ごとや悩みごとを聞く (ρ=.210,p<.05)といったサポートをしていた。また, 胎児への関心においてはほとんど相関がなかった (ρ=.106~.192)。 6)職場の環境・慣例との関係 自分自身の都合で仕事の時間や休みを調整できるほ ど,胎児に話し掛けた(ρ=.250,p<.01),胎動をみた り・触れた(ρ=.209,p<.05)などといった胎児への 関心を示していた。サポート行動に対してはほとんど 相関がなかった(ρ=.028~.141)。 7)対象者の父親の家事・育児行動との関係 対象者の父親の家事・育児行動(ρ=−.159~.110)に はサポート行動および胎児への関心ともにほとんど相 関がなかった。 表8 夫婦間の愛情関係と妊娠期の妻への夫のサポート行動,胎児への関心 サポート行動 荷物を持った買い物の みごとを聞いた心配ごとや悩 付き添い散歩の 冷えを意識した行動 マッサージ妻への 夫婦間の愛情関係 .221** .208* .160 .291* .197* 胎児への関心 話しかけた胎児に 胎動をみたり触れた 結果を聞いた妊婦健診の 育児物品の準備 夫婦間の愛情関係 .313** .296** .287** .276** Speamanの順位相関係数 *:p<.05,**:p<.01 表9 妊婦健診・両親学級への同行に対する妻の希望と妊娠期の妻への夫のサポート行動,胎児への関心 サポート行動 荷物を持った買い物の みごとを聞いた心配ごとや悩 付き添い散歩の 冷えを意識した行動 マッサージ妻への 妊婦健診への付き添いに賛成 .145 .206* .281** .251** .254** 両親学級への参加に賛成 .204* .265** .307** .197* .222* 胎児への関心 話しかけた胎児に 胎動をみたり触れた 結果を聞いた妊婦健診の 育児物品の準備 妊婦健診への付き添いに賛成 .340** .312** .292** .262** 両親学級への参加に賛成 .375** .332** .212* .150 Speamanの順位相関係数 *:p<.05,**:p<.01

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Ⅴ.考   察

1.助産院健診と病院健診での妊娠期の妻への夫のサ ポート行動,胎児への関心の比較 助産院健診・病院健診と妊娠期の妻への夫のサ ポート行動では,病院健診の対象者が助産院健診の対 象者よりも,買い物の荷物を持つというサポートをし ていた。これについては,篦伊他(2002)が「助産院 選択者は分娩そのものに対する自分の意志から選択を し,病院選択者は,立地条件や施設のアメニティを重 視し異常時の緊急対応への安全面を優先して選択して いる」と述べているように,病院での出産の場合は, より安全性を重視しているといえ,そのため妻への安 全の配慮や労りの思いから,買い物の荷物を持つとい うサポートが多くなったと推察する。 しかし,「買い物の荷物を持つ」という以外の「散歩 の付き添いをした」,「妻の体をマッサージした」とい うサポート行動や「胎児に話し掛けた」,「胎動をみた り,触れた」という胎児への関心においては,助産院 健診・病院健診による違いではなく,第1子の父親に なるということが影響していた。健診場所を選択する のは対象者自身というより,実際に妊婦健診を受け, 出産をする妻の場合が多いと考える。そのため,健診 場所がどこかということより,対象者自身にとって第 1子を迎えるという状況の方が勝り,初めての妊娠や 出産をする妻を支えたいという思いや胎児への関心の 高さがサポート行動および胎児への関心として反映さ れたものと考える。 また,今回の調査では核家族の割合が 94.9% で あったことを踏まえて考えると,第2子以降の対象者 は妻へのサポートおよび胎児への関わりのみならず, 上子の世話という別の側面への役割を担っていたとい う解釈もできる。これについては,先行研究でも,絹 巻他(1982)が妊婦の希望するサポートについて「初 産婦では手段的サポートを望むのに対し,経産婦では 上の子どもの世話と情緒的サポートを希望している」 ということを明らかにしており,妻の希望としても妊 娠中で身体への負担も多い中,自らへの関わりよりも 上子の世話をしてもらいたいという希望があったもの と考えられる。 2.妊娠期の妻への夫のサポート行動,胎児への関心 と関連要因 対象者は妊婦健診や両親学級への同行に対する妻の 希望があるほど,散歩の付き添いや悩みごとを聞くな どといった妻へのサポートや胎児に話し掛けたり,健 診の結果を聞くなどというように胎児への関心を示し ていた。石井(2013)は母親のゲートキーピング説と 称し,「夫の育児・家事参加に関しては,夫自身の考 え方や置かれている状況ばかりでなく,妻の意識にも 注目することが重要である」と述べているが,本調査 結果からは,妊娠期においてもこのような妻の希望が 夫のサポート行動や胎児への関心として反映されると いうことが明らかになった。妊娠や出産をするのは妻 であり,夫は主にサポーターであるが,自ら率先して 行動することは難しく,そこで妻の希望をもとに妊婦 健診や両親学級へ同行し,その結果を受けて妻へのサ ポート行動や胎児への関心として反映させていくこと ができるのではないかと考える。このような妻の希望 が関わり要因となっているという結果から,妻に対し ては行ってもらいたいことを率先して夫へ伝えるよう に促すことや夫に対しては新たな役割を抱えるという 負担にも配慮しながら,妻の希望に耳を傾けるよう伝 えていくことも必要な支援であると考える。 また,夫婦間の愛情関係が高いほど買い物の荷物を 持つ,心配ごとを聞くといった妊娠期の妻へサポート や,胎動をみる,胎児に話し掛けるというように胎児 へ関心を示していた。森田他(2010)が,「親となる男 性が妊娠を機に,妻への愛情を再確認することに よって,夫/父親として協力する気持ちが芽生える」 とも述べているように,妻への愛情をもとに夫は妻へ のサポートをしており,その妊娠中のサポートがその 後の出産や育児を夫婦で協力して行っていこうという ステップにもなっていると考える。 しかしながら,本調査では,第2子以降の対象者の 方が第1子の対象者より,夫婦間の愛情関係得点が低 かった。愛情関係が妻へのサポート行動や胎児への関 心に関連しているという結果を踏まえると,初めて子 どもを迎える対象者のみならず,第2子以降を迎える 夫に対しても助産師が積極的に関わり,夫婦間のコ ミュニケーションの促進や新たな子どもを迎えるため の役割調整が進んでいるかを確認するなどの支援をし ていく必要があると考える。 一方で,対象者自身の父親の家事・育児行動はほと んど妻へのサポートや胎児への関心の関連要因と なっていなかった。船橋(1999)が『「父親不在の時 代」から,現代の父親は「世話の担い手」も含む新た な父親役割が求められる』と述べているが,育児に限

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らず妻へのサポートおよび胎児への関心においても, 自らの父親を手本とする訳ではなく,前述したような 妻への愛情や妻からの希望など,夫婦の相互作用が大 切で,そのような妻との関わり合いの中で妻をサ ポートしていく気持ちが芽生えたり,胎児への関心も 高められていくと考えられる。

Ⅵ.本研究の限界と今後の課題

研究の限界と今後の課題として,本調査は回収率が 42.4%と低いため,対象者全体の結果を反映できてい るとはいえず偏りが生じている可能性がある。そのた め,今後は回収率を上げるための工夫が必要である。 また,調査施設は関東地方の助産院5施設,病院1施設 の計6施設のみということから,調査結果に偏りが生 じてしまっている可能性があり,今後は施設数を増や すことや全国規模の調査にしていくことを検討する。 また,今回は「妊娠期の妻への夫のサポート行動」 および「胎児への関心」等において自作の質問項目を 使用した。これについては,今後本研究や更なるイン タビューなどにより質問項目の研鑽を図った上で専門 家の意見をもらい,更なる内容妥当性の検討を行って いく必要がある。その上で,信頼性と妥当性のある尺 度開発も視野に入れて研究を継続したいと考える。 看護への貢献としては,本研究により妊娠期の妻へ の夫のサポート行動や胎児への関心に関与している因 子の一部を明らかにできた。よって,この結果をもと に助産師が夫に関わることで,妊娠期の妻への夫のサ ポートを促す一助とすることができると考える。

Ⅶ.結   論

1. 助産院・病院健診の比較では,助産院健診に第2 子以降が,病院健診に第 1 子が有意に多かった (p<.01)。そのため,二元配置分散分析を実施 し,胎児への関心には,助産院健診・病院健診 といった健診場所による違いではなく,第 1 子 の父親になることが影響していた。 2. 妻へのサポート行動においては,助産院健診と 比較して病院健診の対象者が『買い物の荷物を 持つ』というサポートをしていた。また,第2子 以降と比較して,第1子の場合に『散歩の付き添 い』や『妻へのマッサージ』をしており,質問項 目により結果が分かれた。 3. 妊娠期の妻への夫のサポート行動および胎児へ の関心の関連要因は,あまり強い相関ではな かったが,夫婦間の愛情関係,妊婦健診や両親 学級への同行に対する妻の希望などであった。 すなわち,夫婦間の愛情関係が強く,妻が希望 するほど,妻への夫のサポート行動は多く,胎 児への関心も高かった。 謝 辞 論文の執筆にあたり,調査票の回答にご協力頂いた 対象者の皆様,調査票の配付に際し全面的にご協力く ださいました病院および助産院の皆様,主指導教員の 河口てる子先生,副指導教員の田中和子先生に心より 感謝申し上げます。 なお,本研究は平成 26 年度日本赤十字北海道看護 大学大学院に提出した修士論文の一部を加筆・修正し たもので,結果の一部は第 56 回母性衛生学会学術集 会で発表した。また,日本私立看護系大学協会研究助 成事業「平成26年度若手研究者研究助成」を受けて実 施した。 利益相反 論文内容に関し開示すべき利益相反の事項はない。 文 献

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